澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「辺野古新基地建設は絶対不可能」の翁長発言に同感

本日(4月5日)午前、翁長沖縄県知事と菅官房長官は、辺野古新基地建設問題に関して、およそ1時間にわたって会談した。菅さんは沖縄基地負担軽減担当相として会談に臨んだつもりだったかも知れない。

双方とも、ほぼ予想されたとおりの発言内容。政府側が粛々と新基地建設工事を進める方針を説明する一方、県側は新基地建設に反対の考えを改めて訴え断念を求めた。もっとも、翁長知事の新基地建設反対の断固たる態度は、予想を上回るものという印象だ。これに気圧されたか、官房長官は、辺野古新基地建設反対が沖縄の民意だという翁長発言に反論はしなかった。メディアを通じての国民へのアピール効果という点では、翁長側が圧倒したといってよいだろう。

翁長発言として報道されているところは次のようなもの。
「今日まで沖縄県がみずから基地を提供したことはない」「『粛々』という言葉が、かつての沖縄の自治は神話だと言った(米軍統治下の)キャラウェイ高等弁務官の言葉と重なり、問答無用と感じる」「上からの目線で『粛々』ということばを使えば使うほど、沖縄県民の心は離れ、怒りは増幅していく」「辺野古の新基地は絶対に建設することができないと確信している」「建設は絶対不可能だ。頓挫で起こる事態は全て政府の責任だ」「(自分が当選した昨年11月の知事選の)争点は、辺野古の埋め立てに関する承認への審判だった。圧倒的な(沖縄県民のノーという)考えが示された」

また翁長知事は、「安倍総理との面談の手配をお願いしたい。辺野古の建設を中止し、しっかりと話し合って基地問題を解決していただきたい」と首相との面談も求めたという。辺野古の新基地建設断念だけでなく、普天間を含む沖縄の基地問題の「解決」を求めての要請である。

さらに会談後、翁長知事は記者団に対し、「きょうは平行線だったが、言いたいことは申し上げた。きょうの会談を取っかかりとして大切にしなければならない。これから沖縄の主張はしやすくなったと思う」「基地問題で後退することは全くない。私は『辺野古に基地が絶対できないように、県の行政手続きのなかであらゆる手段を使う』と言っている」と述べている。まさしく、肚をくくった言ではないか。

私は、知事の「辺野古の新基地建設は絶対に不可能」という言を新鮮な思いで聞いた。知事が県民世論を代表して、新基地建設不可能というのだ。そのとおりに違いない。住民の圧倒的な反感の中で孤立する軍事基地がその機能を発揮することができるだろうか。アメリカ政府は、これほどの県民世論を圧殺してまで新基地建設を必要としているのだろうか。

仮に、辺野古新基地を敢えて強行すれば、米軍と自衛隊とは県民世論から大きな指弾を受けるだけのことではないか。実は、昨年(2014年)1月の名護市長選挙、11月の知事選挙と、12月の総選挙とは、沖縄県民にとっては辺野古新基地建設可否の住民投票であった。県民の意思は投票結果として既に明確になっている。

辺野古を抱える名護市民の意思だけではない。沖縄県民の意思も、普天間を抱える宜野湾市の市民の意思も、圧倒的に辺野古新基地建設ノーの投票結果に表れている。

法技術的な問題は実は些細なことに過ぎない。圧倒的な沖縄の民意が示された今、これに従うべきが民主主義国家の政府のあるべき姿勢であろう。タイミングよく、安倍訪米が間近である。安倍首相は、オバマ大統領に向かってこう言わねばならない。

「実は、日本は民意で動くことを国是としています。選挙の結果、沖縄の民意が『辺野古新基地建設ノー』と明瞭に示されました。民主主義国家としてこれを尊重せざるを得ないのです。ですから、辺野古新基地建設は断念いたしました。ご了承ください」

翁長知事に続いて、安倍首相も、そのように肚をくくらなければならない。
(2015年4月5日)

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