スラップ常習のDHC・吉田嘉明への批判に遠慮も萎縮もあってはならないーー「DHCスラップ訴訟」を許さない・第52弾
DHCスラップ訴訟を許さないシリーズ第51弾が、9月2日東京地裁一審全面勝訴判決の日のこと。以来、2か月ぶりの第52弾である。これから控訴審が始まる。ご注目いただきたい。
久しぶりに、各紙の本日夕刊紙面にDHC・吉田嘉明の名前が出た。「不起訴不当」と検察審査会から議決を受けた渡辺喜美に、政治資金を提供した側の人物としてである。改めて思い起こして欲しい。
一連の事件の構造は単純なものだ。一方に、政治家に金を出して政治を動かそうとするスポンサーがいて、他方に金をもらって政治活動をしようという政治家がいる。双方の思惑が噛み合って、巨額のカネの授受がなされた。その額8億円。
もちろん、日の当たるところでの金の授受ではない。政治資金規正法上の政治資金収支報告書にも、公職選挙法上の選挙運動費用収支報告書にも記載がない。政治資金や選挙運動資金の流れを可能な限り可視化して国民の批判に曝すことが法の理念なのだから、この8億円の授受は『裏金』と言ってよい。
この裏金、政治資金あるいは選挙運動資金であることに疑いはない。政治への影響力を意図して、吉田から渡辺に渡されたこの巨額の裏金はいったい何を狙ってのものか。どのような政治を求めてのものであろうか。
DHC・吉田は、企業経営者として労働行政や公正取引ルールなどの一般的行政規制に服するだけでなく、薬事行政や健康食品行政上の規制、消費者行政上の厳格な規制を受ける立場にある。いずれも、主として消費者の健康を守るための、典型的な社会的規制である。まさかDHC吉田が、消費者の健康や労働者の利益のために、規制を強化し厳格化するための政治を求めてカネを出すことなどおよそ考えられない。「行政規制の緩和」のために「官僚と闘う」政治を目指して、吉田と渡辺の思惑は一致し裏金が動いた。こう見るのが、社会の常識というものだ。
いったんは思惑噛み合った両者に、たまたま齟齬が生じて、吉田が週刊新潮誌上に暴露記事を書いた。このことから、裏の金が表に出た。つまりはたまたまの事情で8億の裏金の存在が世に知られた。おそらくはこれが氷山の一角で、政治の裏面には、もっと口の固い連中同士の表に出ない類似の金がうごめいているのではないだろうか。
さらに強調したいことは、この裏で行われた吉田から渡辺への金の授受が、政治資金あるいは選挙運動資金の授受ではあっても、政治家個人に貸したという形式をとればお咎めなしであるとするなら、政治資金規正法も公職選挙法も、役立たずのザル法である。本件金銭授受の当事者である両者の行為が、透明性を徹底し量的規正を設けた法の趣旨に反していることは明らかである。こんなやり方の脱法を許してはならない。カネを出した方も、受けとった方も、厳格に処罰できる法の整備が必要だ。そうでなければ、いつまでも金にまみれた薄汚い政治の浄化はできない。
本日各紙夕刊の報道。いつになく、はっきり記事を書いている産経から引用する。他も大同小異の記事だが、朝日・毎日・読売は「化粧品販売会社会長」と言って、DHCの企業名も吉田嘉明の個人名も記事にしていない。何を遠慮しているのか。時事・日経・産経との差が際立つている。「DHC吉田はスラップの常習者だ。これに関わると面倒だから、できるだけ名前を出したくない」。そう考えてはならない。「DHC吉田はスラップの常習者だ。そのことをおもんばかって萎縮したと思われてはジャーナリズムの名折れだ。できるだけ、名前を出さねばならない」と考えねばならないのだ。
産経は、「渡辺喜美氏の不起訴『不当』 8億円政治資金問題で東京第1検察審査会が議決」という見出し。
「みんなの党(解党)の渡辺喜美元代表(63)をめぐる8億円の政治資金問題で、政治資金規正法違反罪などで告発され、東京地検特捜部が不起訴処分としていた渡辺氏について、東京第1検察審査会(検審)が『不起訴不当』と議決していたことが2日、分かった。議決は10月22日付。東京地検が再捜査するが、『起訴相当』でないため、再び不起訴とした場合は2回目の審査に進むことはない。
検審は議決で『証拠上、資金供与が渡辺氏個人ではなくみんなの党に対して行われたものと認める余地が十分にある』と判断した。渡辺氏をめぐっては、化粧品会社ディーエイチシー(DHC)の吉田嘉明会長から計8億円を借り入れ、政治資金収支報告書に記載していなかった問題が昨年3月に発覚。上脇博之神戸学院大法科大学院教授らが同法違反罪などで渡辺氏を東京地検に刑事告発した。
渡辺氏は『収支報告書に記載義務のない個人的貸借だった』と説明。特捜部は今年1月、嫌疑不十分で不起訴とした。審査申立書は『渡辺氏は罪を免れるため個人的貸借とごまかしている可能性が高く、捜査は不十分』と主張していた。(以下略)」
私は、予てから政治とカネの問題に関心をもっていたが、この事件でメディアが渡辺だけを叩いて、スポンサー側のDHC・吉田の行為を弾劾しないことを強く不満に思った。そこで、週刊新潮に吉田の手記が発表された直後に、DHC・吉田の側を批判するブログを3本書いた。下記のとおりである。これが、損害賠償の根拠とされた。
どんな「罵詈雑言」が2000万円の賠償の根拠とされたのか、興味のある方もおられよう。ぜひ下記3本のブログをご覧いただきたい。
https://article9.jp/wordpress/?p=2371
「DHC・渡辺喜美」事件の本質的批判
https://article9.jp/wordpress/?p=2386
「DHC8億円事件」大旦那と幇間 蜜月と破綻
https://article9.jp/wordpress/?p=2426
政治資金の動きはガラス張りでなければならない
いずれも、DHC側から「みんなの党・渡辺喜美代表」に渡った政治資金について、「カネで政治を買おうとした」とする批判を内容とするものである。
何を血迷ったか、DHC吉田は、この私のブログが名誉毀損に当たる違法な記事だとして、いきなり2000万円の損害賠償請求訴訟を提起した。私だけでなく、同様の批判をした10人に対しても一斉の提訴だった。カネに飽かせた乱暴極まる提訴。敗訴してもともと、「DHC吉田を批判するとこのような面倒になるぞ」という恫喝の実績を狙った、典型的なスラップ訴訟である。
私は、この提訴自体が怪しからんと「DHCスラップ訴訟を許さない」シリーズを書き始めた。そしたらどうだ、2000万円の請求金額は6000万円に跳ね上がった。この請求拡張の経過自体が、スラップであることを自ら証明している。ところで、このシリーズは以下のとおり、既に51回にわたっている。下記のURLを開いてたどれば、すべて読める。読み物としてもなかなか面白いのではなかろうか。
https://article9.jp/wordpress/?cat=12
2014年7月13日 第1弾「いけません 口封じ目的の濫訴」
14日 第2弾「万国のブロガー団結せよ」
15日 第3弾「言っちゃった カネで政治を買ってると」
16日 第4弾「弁護士が被告になって」
2015年9月2日
第51弾「全面勝訴・ご支援に感謝 表現の自由が輝いた」
さて、DHC吉田は9月2日東京地裁での全面敗訴判決を得て控訴した。これから、東京高裁での控訴審が始まる。
ありがたいことに、一審段階で多くの弁護士にご支援いただき、111名の弁護団結成となった。控訴審ではさらに多くの弁護士にご参加いただき拡充の見通し。その経過は、当ブログで逐一ご報告する予定。控訴審にご注目いただきたい。
私は、何よりも、政治的批判の言論を圧殺しようとしている、スラップ常習のDHC吉田に腹を立てている。そして、このような恫喝に屈してはならないと覚悟を決めている。私は理不尽に黙れと言われれば、精一杯の大声を出さねばならないと思うタチなのだ。けっして、DHC吉田に対する批判に、萎縮や遠慮があってはならない。言うべきことを軋轢を恐れて自主規制してはならない。むしろ、もっもっと声を大きく、その不当を糾弾し続けなくてはならない。
ぜひ、ご支援をお願いしたい。そして、政治とカネの問題。消費者利益と行政規制の問題。さらに、政治的言論の重要性と、これを封殺しようとするスラップ訴訟の不当性を重大なこととしてお考えいただきたい。
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『DHCスラップ訴訟』控訴審にご支援を
このブログに目をとめた弁護士の方で、『DHCスラップ訴訟』被控訴人弁護団参加のご意思ある方は東京弁護士会の澤藤(登録番号12697号)までご連絡をお願いします。
また、控訴審の訴訟費用や運動費用に充当するための「DHCスラップ訴訟を許さぬ会」の下記銀行口座を開設しています。ご支援のお気持ちをカンパで表していただけたら、有り難いと存じます。量的規制は設けませんが、くれぐれも多額に過ぎることのございませぬように。
東京東信用金庫 四谷支店
普通預金 3546719
名義 許さぬ会 代表者佐藤むつみ
(カタカナ表記は、「ユルサヌカイダイヒョウシャサトウムツミ」)
(2015年11月2日・連続946回)