「自民圧勝」に危機感と決意と
昨日の投票の結果、予想がほぼそのまま現実になった。改憲(壊憲)政党・自民党の「大勝」である。改めてたいへんな事態になったと思う。まことに気が重い。
不戦兵士・市民の会の機関誌に、「オオカミが七月まではネコかぶり」(極楽とんぼ)という川柳が掲載されている。衆参のねじれが解消して、いよいよネコはオオカミの正体を現すことになろう。勝ちに傲った政権与党が、数の力で原発再稼動・TPP・辺野古移転・福祉切り下げ・消費増税・教育制度改悪、そして国家安全保障基本法・秘密保全法の制定に邁進することになるだろう。さらに、問題は改憲の発議にある。
衆議院480議席総数の3分の2は320。自・み・維改憲3党の議席合計は366で、既に3分の2ラインを上回っている。参議院242議席総数の3分の2は162であるが、新議席の配分では、自・み・維3党の議席合計は142、新党改革(非改選の荒井広幸)を加えても143で届かない。但し、「加憲」派公明の議席20を加えると163となって、かろうじて発議要件に届くことになる。
今回改選の議員総数121のうち、3分の2は81であるがそのうち自・み・維3党の議員数はちょうど81、これに公明の11を加えれば92となって、3分の2のハードルを十分に超える数になる。今後の衆参両院の憲法審査会の審議と、集団的自衛権をめぐる安保法制懇の答申から目を離せない。防衛大綱もだ。しっかりと監視し、しっかりと批判しなければならない。
それにしても、本当に自民は民意をつかんだのだろうか。自民党の最近の国政選挙における比例得票数の推移は以下のとおりである。
2100万票(衆院2005年)→1650万票(参院2007年)→1900万票(衆院2009年)→1400万票(参院2010年)→1700万票(衆院回2012年)→1800万票(参院2013年・今回)。
歴史的大敗といわれた、第一次安倍内閣時代の2007年参院選でも、自民党は1650万票を獲得していた。今回の1800万票は、それと比較して大差のある得票ではない。「大勝」の要因は、得票増によるものであるよりも、対立政党が多数分立したことによる議席増の要素が強い。
今回選挙の一服の清涼剤は、共産党の8議席獲得である。非改選と合わせての11議席は、自民暴走への強力な歯止めとして期待しうる。個人的には、弁護士出身の共産党国会議員として仁比聡平さんの当選を祝し活躍を大いに期待したい。
比例区共産党515万票は、自民党1846万票に堂々対抗しうる票数である。今後の議会内論戦において、院内外の運動において、この票数は劇的に変化しうる。自民党の構造改革政策で潤う国民は本来一握りしかないはずなのだから。自民党の数を恃んでの暴走は、たちまち民意を失うことになるだろう。そして、自民党から離れた有権者の票の受け皿が共産党となる。それが、自共対決時代の対抗関係なのだ。
(2013年7月22日)