昨日(8月9日)から、高枕をしてぐっすり眠れるようになった、あの二人に詩を贈ろう。
? 晋三をねむらせ、晋三の屋根に雪ふりつむ。
? 昭恵をねむらせ、昭恵の屋根に雪ふりつむ。
疑惑は深く埋められて、ふりつむ雪の底の底。
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昨日(8月9日)のこと。学校法人森友学園への国有地売却や、これに関わる財務省関連文書の改ざんなどをめぐる問題で、大阪地検特捜部は、被告発者全員を再び不起訴処分とした。
もともと被告発者は38名に上るものだった。大阪地検特捜部は、これを一括全員不起訴として国民の怒りを招いた。さすがに、大阪第一検察審査会は、そのうち10名について、「不起訴不当」と議決した。その中には、近畿財務局の国有財産管理官(当時)や、佐川宣寿・元同省理財局長らが含まれ、大阪地検特捜部はこれを再捜査していた
再捜査後の2度目の不起訴処分については、8月10日現在告発人代理人である私の許には通知が届いていない。だから、正式には処分があったとは言いがたいのだが、大阪地検特捜部が記者を集めて発表したのだから間違いはなかろう。
大阪第一検察審査会の本年3月15日議決(通知書は同月29日付で作成されている)が強制起訴につながる「起訴相当」でなく、「不起訴不当」であったため、検審による2度目の審査は行われず、強制起訴への道はない。この2度目の全員不起訴処分をもって、特捜部は捜査を終結する。なんということだ。安倍政権への濃厚な忖度疑惑を解明することなく、刑事事件としては幕引きにするのだ。
「森友・加計問題の幕引きを許さない市民の会」の会員で、告発人となった19名とその代理人は、昨日(8月9日)、以下の「見解」を公表した。
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2019年8月9日
大阪地検の不起訴処分決定に関する私たちの見解
(原処分)平成29年検第17422号
刑事告発人 醍醐聰外18名
同告発人ら代理人弁護士 澤藤統一郎
同 杉浦ひとみ
同 佐藤 真理
同 澤藤 大河
(1)大阪地方検察庁は、私たちが背任で告発した森友学園への国有地の不当な値引き売却事件について、本日、再度、不起訴処分を発表した。
大阪地検は不起訴処分の理由を公にしていないが、いわゆる「前打ち報道」によると、地中にごみが一定量存在していたことは確かだとし、起訴には至らないと判断したとのことである。
しかし、私たちは、様々な証拠資料を挙げて、地下埋設物が存在したとしても、それは値引きの根拠となる「瑕疵」、すなわち、工事の支障となるものではなかったと訴えたのであるから、上記の不起訴理由は私たちの告発に全く答えない不真面目なものである。
(2)大阪地検は当初の不起訴処分の理由として、瑕疵に見合う値引きをして売却を急がなければ森友学園側から損害賠償の訴えを起こされる可能性があったと語った。しかし、大阪第一検察審査会も不起訴不当の議決をした理由として記載したように、そうした提訴は、森友学園の顧問弁護士でさえ、勝算の見込みが乏しいものだった。
このような反証を再捜査でどう解明したのか、説明もないまま、再度の不起訴で幕引きを図ることを私たちは到底、容認できない。
(3)加えて、財務省は近畿財務局に交渉記録の改ざんを指示したり、森友学園側にゴミ撤去を偽装する口裏合わせの工作を持ち掛けたりしたことが国会の場で明らかになった。そうした一連の工作は、近畿財務局や財務省がやましい背任があったことを認識し、それを隠ぺいする工作を行なった事実を赤裸々に物語るものである。
大阪地検が、こうした事実に目を背け、参議院選挙が終わったこのタイミングで再度、不起訴処分の決定を発表したのは、安倍首相夫妻が深く関与した本件を、出来レースの国策捜査で幕引きしようとするものに他ならず、司法の威信、国民からの信頼を失墜させるものである。
私たちは巨悪を眠らせる今回の不起訴処分に厳重に抗議するとともに、これからも公文書の改ざん問題も含め、真相解明を願う多くの市民と協力して事件の真相を追求する努力を続けていく。
以上
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「巨悪を眠らせるな」は、東京特捜から検事総長となった伊藤栄樹の言葉であった。「巨悪を眠らせるな、被害者と共に泣け、国民に嘘をつくな」というのが、彼の部下に対する訓示であったという。
統治の機構は、法の支配を貫き人権侵害を防止する観点から、相互監視と牽制の実効性が確保されていなければならない。とりわけ、権力機構の頂点に立つ者の独善や暴走を許さない検察の役割はこの上なく重要である。検察が「巨悪」と表現するのは総理大臣、あるいは、総理クラスの大物政治家を意味する。佐藤栄作・池田勇人・田中角栄・金丸信…等々。
かつては、検察の「巨悪を眠らせるな」というセリフには、リアリティが感じられた。今はなくなってしまったが、安倍忖度へのメスを入れることが、その汚名を挽回する千載一遇のチャンスだった。にもかかわらず、検察は自らそのチャンスをつぶしたのだ。「巨悪を眠らせるな、被害者と共に泣け、国民に嘘をつくな」と言った検察の魂は、今どこへ行ったのか。
刑事事件としては幕が引かれても、市民運動は幕を下ろさない。この疑惑を追及し続けよう。安倍政権の政治の私物化を糾弾する声を上げ続けよう。
(2019年8月10日)
東京は暑い。熱い。アツ?イ。8月上旬の東京の暑さは尋常ではない。油断していると命に関わる、と言って誇張ではない。
この暑さのさなかに、来年は東京でオリンピックだという。とても正気の沙汰ではない。いったい誰が、こんな無謀なことをたくらんだのか。来年確実に起きるであろう悲劇に、誰がどのように責任をとれるのか。
一旦始まった戦争が、今さら引き返すことなどできないと、国の破滅まで突っ走ったのと、同じ構造ではないか。
その戦争の実態を語り伝えようという、平和を願う文京・戦争展「日本兵が撮った日中戦争」。猛暑のさなかに出足は好調である。昨日(8月8日)午後だけで、ほぼ400人が訪れた。狭い展示室に熱気が感じられる。
アンケートの回収率がとても高いというのが、主催者の感想。みな、戦争に対して一言いわねばならないという気持になっている。
東京新聞の記事を読んで、後援申請を不承認とした文京区教育委員会に抗議の意味で参加という人がかなりいた。あと2日、ぜひご来訪いただきたい。まず、この企画を宣伝したい。
「日本兵が撮った日中戦争」
平和を願う文京・戦争展
文京・真砂生まれの村瀬守保写真展
DVD上映 証言1 侵略戦争
証言2 中国人強制連行
文京空襲 語り部 小林暢夫さん
(8月10日午後2時より)
と き 8月 8日(木) 13:00?18:00
8月 9日(金) 10:00?20:00
8月10日(土) 10:00?16:00
ところ 文京シビック1階 アートサロン(展示室2)
入場無料
2年半にわたり中国各地で撮影し、家族に送られた日本兵の日常
村瀬守保さん(1909年?1988年)は1937年(昭和12年)7月に召集され、中国大陸を2年半にわたって転戦。カメラ2台を持ち、中隊全員の写真を撮ることで非公式の写真班として認められ、約3千枚の写真を撮影しました。天津、北京、上海、南京、徐州、漢口、山西省、ハルビンと、中国各地を第一線部隊の後を追って転戦した村瀬さんの写真は、日本兵の人間的な日常を克明に記録しており、戦争の実相をリアルに伝える他に例を見ない貴重な写真となっています。一方では、南京虐殺、「慰安所」など、けっして否定することのできない侵略の事実が映し出されています。
?一人一人の兵士を見ると、
?みんな普通の人間であり、
?家庭では良きパパであり、
?良き夫であるのです。
?戦場の狂気が人間を野獣に
?かえてしまうのです。
?このような戦争を再び
?許してはなりません。
村瀬守保
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この企画展の後援申請を不承認とした文京区教育委員会の委員5名の氏名を再度明示しておきたい。そして、ぜひとも、汚名を挽回していただきたい。
教育長 加藤 裕一?
委 員 清水 俊明(順天堂大学医学部教授)
委 員 田嶋 幸三(日本サッカー協会会長)
委 員 坪井 節子(弁護士)
委 員 小川 賀代(日本女子大学理学部教授)
なお、教育委員の報酬は月額231,500円である。月一回の定例会に欠席しても全額が支払われる。ぜひ、区民の期待に応える委員であって欲しい。
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河村名古屋市長に抗議し、「表現の不自由・企画展」の再開を求める緊急署名に引き続きご協力を
こちらの緊急署名もぜひご参加よろしくお願いします。
8月1日に愛知芸術文化センターで始まったばかりの「表現の不自由展」。テロを予告した犯人の一人が逮捕されましたが、表現の自由擁護派と妨害派の衝突は、抜き差しならないところまで来ています。
安倍官邸と、河村名古屋市長そして維新の松井・吉村が、歴史修正主義と表現の自由妨害派としてのタッグを組む構図が鮮明になってきました。
「表現の不自由展」を中止のままにしておくことは、今後に禍根を残すことになります。ぜひとも、再開させなければならないと思います。
署名簿は、8月13日(火)に、第一次集約の上、8月15日(木)の午後に署名簿を持参して愛知県知事宛提出と決まりました。記者会見も予定しています。
署名の趣旨は、下記の2点です。
1.主犯者というべき河村名古屋市長に謝罪を求める。
2.企画展を即時、再開すること
この署名は短期・集中的に成し遂げなくてはなりません。
下記の要領で、よろしくお願いします。
署名用紙のダウンロード(プリントしてお使い下さい)
→ http://bit.ly/2Ynhc9H
ネット署名 → http://bit.ly/2YGYeu9 メッセージもぜひ
ネット署名に添えられたメッセージ一覧 → http://bit.ly/2LZz0RR
(2019年8月9日)
8月は、戦争を語り伝えるべきとき。あの戦争とは、いったいなんだったのだろう。戦地の生活とは、どんなものだったのか。そして銃後は。戦争とは、日常とどのようにつながり、どのように離れていたのだろうか。その戦争は、どうして起こったのか。どうして防げなかったのか。誰が、どんな思惑で戦争をたくらんだのか。いや、全国民の熱狂が戦争を欲したのだろうか。どうすれば、戦争の体験は、世代を超えて継承できるのだろうか。
そのようなことを語り伝え、考えるべき8月には、いくつもの恰好の企画がある。私の身近にも、今日から3日間、こんな企画がある。まず、これを宣伝したい。
「日本兵が撮った日中戦争」
平和を願う文京・戦争展
文京・真砂生まれの村瀬守保写真展
DVD上映 証言1 侵略戦争
証言2 中国人強制連行
文京空襲 語り部 小林暢夫さん
??????????? (8月10日午後2時より)
とき8月 8日(木) 13:00?18:00
8月 9日(金) 10:00?20:00
8月10日(土) 10:00?16:00
ところ 文京シビック アートサロン(展示室2)
入場無料
2年半にわたり中国各地で撮影し、家族に送られた日本兵の日常
村瀬守保さん(1909年?1988年)は1937年(昭和12年)7月に召集され、中国大陸を2年半にわたって転戦。カメラ2台を持ち、中隊全員の写真を撮ることで非公式の写真班として認められ、約3千枚の写真を撮影しました。天津、北京、上海、南京、徐州、漢口、山西省、ハルビンと、中国各地を第一線部隊の後を追って転戦した村瀬さんの写真は、日本兵の人間的な日常を克明に記録しており、戦争の実相をリアルに伝える他に例を見ない貴重な写真となっています。一方では、南京虐殺、「慰安所」など、けっして否定することのできない侵略の事実が映し出されています。
?一人一人の兵士を見ると、
?みんな普通の人間であり、
?家庭では良きパパであり、
?良き夫であるのです。
?戦場の狂気が人間を野獣に
?かえてしまうのです。
?このような戦争を再び
?許してはなりません。
?????????? 村瀬守保
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さて、ここからが暑苦しい話題。
この企画の主催者は、日中友好協会文京支部(代表者は、小竹紘子・元都議)である。同支部は、今年の5月31日付で、文京区教育委員会に後援を申請した。お役所用語では、「後援名義使用申請書」を提出した。
その申請書の「事業内容・目的」欄にはこう記載されている。
「保護者を含めて戦争を知らない世代が、区民の圧倒的多数を占めています。従って子どもたちに1931年から1945年まで続いた戦争日中戦争、太平洋戦争について語り伝えることも困難になっています。文京区生まれの兵士、村瀬守保氏が撮った日中戦争の写真を展示し、合わせて文京空襲の写真を展示し、戦争について考えてもらう機会にしたい。」
なんと、この申請に対して、文京区教育委員会は「後援せず」という決定にしたという。このことが、8月2日東京新聞朝刊<くらしデモクラシー>に大きく取りあげられた。
同記事の見出しは、「日中戦争写真展、後援せず」「文京区教委『いろいろ見解ある』」、そして「主催者側『行政、加害に年々後ろ向きに』」というもの。
日中戦争で中国大陸を転戦した兵士が撮影した写真を展示する「平和を願う文京・戦争展」の後援申請を、東京都文京区教育委員会が「いろいろ見解があり、中立を保つため」として、承認しなかったことが分かった。日中友好協会文京支部主催で、展示には慰安婦や南京大虐殺の写真もある。同協会は「政治的意図はない」とし、戦争加害に向き合うことに消極的な行政の姿勢を憂慮している。
同展は、文京区の施設「文京シビックセンター」(春日一)で八?十日に開かれる。文京区出身の故・村瀬守保(もりやす)さん(一九〇九?八八年)が中国大陸で撮影した写真五十枚を展示。南京攻略戦直後の死体の山やトラックで運ばれる移動中の慰安婦たちも写っている。
同支部は五月三十一日に後援を区教委に申請。実施要項には「戦場の狂気が人間を野獣に変えてしまう」との村瀬さんの言葉を紹介。「日本兵たちの『人間的な日常』と南京虐殺、『慰安所』、日常的な加害行為などを克明に記録した写真」としている。
区教委教育総務課によると、六月十四日、七月十一日の区教委の定例会で後援を審議。委員からは「公平中立な立場の教育委員会が承認するのはいかがか」「反対の立場の申請があれば、後援しないといけなくなる」などの声があり、教育長を除く委員四人が承認しないとの意見を表明した。
日中友好協会文京支部には七月十二日に区教委が口頭で伝えた。支部長で元都議の小竹紘子さん(77)は「慰安婦の問題などに関わりたくないのだろうが、歴史的事実が忘れられないか心配だ。納得できない」と話している。
村瀬さんの写真が中心の企画もあり、二〇一五年開催の埼玉県川越市での写真展は、村瀬さんが生前暮らした川越市が後援。協会によると、不承認は文京区の他に確認できていないという。
協会事務局長の矢崎光晴さん(60)は、今回の後援不承認について「承認されないおそれから、主催者側が後援申請を自粛する傾向もあり、文京区だけの問題ではない」と話す。「このままでは歴史の事実に背を向けてしまう。侵略戦争の事実を受け止めなければ、戦争の歯止めにならないと思うが、戦争加害を取り上げることに、行政は年々後ろ向きになっている」と懸念を示した。
なんと言うことだろう。戦争体験こそ、また戦争の加害・被害の実態こそ、国民が折に触れ、何度でも学び直さねばならない課題ではないか。「いろいろ見解があり、中立を保つため」不承認いうのは、あまりの不見識。「南京虐殺」も「慰安所」も厳然たる歴史的事実ではないか。教育委員が、歴史の偽造に加担してどうする。職員を説得して、後援実施してこその教育委員ではないか。
「戦争の被害実態はともかく、加害の実態や責任に触れると、右翼からの攻撃で面倒なことになるから、触らぬ神を決めこもう」という魂胆が透けて見える。このような「小さな怯懦」が積み重なって、ものが言えない社会が作りあげられてていくのだ。文京区教育委員諸君よ、そのような歴史の逆行に加担しているという自覚はないのか。
文京区教育委員会事案決定規則(別表)によれば、この決定は、教育委員会自らがしなければならない。教育長や部課長に代決させることはできない。その不名誉な教育委員5名の氏名を明示しておきたい。
すこしは、恥ずかしいと思っていただかねばならない。そして、ぜひとも、汚名を挽回していただきたい。
教育長 加藤 裕一?
委員 清水 俊明(順天堂大学医学部教授)
委員 田嶋 幸三(日本サッカー協会会長)
委員 坪井 節子(弁護士)
委員 小川 賀代(日本女子大学理学部教授)
なお、教育委員の報酬は月額231,500円である。月一回の定例会に欠席しても全額が支払われる。その勤務ぶりについて、下記の区議のブログがある。これに、寄せられた区民の声に耳を傾けていただきたい。
http://a-kaizu.net/blog/archives/224
https://blogs.yahoo.co.jp/bunkyokugi/7234471.html
(2019年8月8日)
皆さまへ
街宣車を繰り出した威嚇と脅迫、それをバックにした地元市長の露骨な介入、官房長官の補助金を絡めた介入発言で、日本の過去を知らせ、表現の自由を考える企画展が中止に追い込まれるという異常事態が起こりました。8月1日に愛知芸術文化センターで始まったばかりの「表現の不自由展」のことです。
私たち有志は、こういう理不尽な、権力による事実上の検閲を絶対に許してはならないと声を上げるため、緊急に次の2項目の署名を呼びかけることにしました。
1.主犯者というべき河村名古屋市長に謝罪を求める。
2.企画展を即時、再開すること
この署名は短期・集中的に成し遂げなくてはなりません。
そこで、8月13日(火)を第一次集約日とし、集約後、すみやかに、大村愛知県知事、河村名古屋市長へ提出します。
すでに同様の署名も行われていますが、この署名にも、皆様のご賛同と拡散へのご協力を心より、お願いいたします。
署名用紙のダウンロード(プリントしてお使い下さい)
→ http://bit.ly/2Ynhc9H
ネット署名 → http://bit.ly/2YGYeu9 メッセージもぜひ
ネット署名に添えられたメッセージ一覧 → http://bit.ly/2LZz0RR
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愛知県知事・大村秀章様
名古屋市長・河村たかし様
「あいちトリエンナーレ2019」の企画展に対する
河村名古屋市長など公権力の介入に抗議し、企画展の再開を求めます
呼びかけ人:
池住義憲(元立教大学大学院特任教授)/岩月浩二(弁護士)/小野塚知二(東京大学大学院経済学研究科教授)/小林緑(国立音楽大学名誉教授)/澤藤統一郎(弁護士)/杉浦ひとみ(弁護士)/醍醐聰(東京大学名誉教授)/武井由起子(弁護士)/浪本勝年(立正大学名誉教授)
8月1日に愛知県内でスタートしたばかりの国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の実行委員長の大村秀章・愛知県知事と津田監督は8月3日、その企画展「表現の不自由展・その後」を突然中止すると発表しました。
各種報道によれば、この愛知芸術文化センターを会場に開催されたこの企画展では、慰安婦を象徴する「平和の少女像」、日本国憲法第9条をテーマとする俳句、天皇を含む肖像群が燃える映像作品等各地の美術館から撤去されるなどした二十数点を展示したものです。
この展示に対し、河村たかし・名古屋市長は「あたかも日本国全体がこれ(少女像)を認めたように見える」「多額の税金を使ったところで(展示を)しなくてもいい」などと述べ、少女像の撤去を求める抗議文を提出しました。また、愛知県によれば、電話やメールなどの抗議が多数寄せられるとともにテロ予告や脅迫の電話もあったとのことです。
こうした状況下で実行委員長の大村秀章・愛知県知事と津田監督は「安心して楽しく」鑑賞してもらうことが困難と判断し、この企画展の中止を決定しました。
しかし、名古屋市長が展示内容に介入したり、菅義偉官房長官が補助金交付の差し止めを示唆したりするなどの公権力による様々な「介入」や、テロや脅迫予告などに屈して企画展を中止することは、この企画展が主張する「表現の不自由」を雄弁に物語るものであり、許されません。
申し入れ
1.企画展の中止を迫った河村市長の圧力は、日本国憲法が保障する「表現の自由」(第21条)を侵害・蹂躙し、事実上の「検閲」ともいえるもので、直ちに撤回と謝罪をすること。
2.大村知事、河村市長は愛知トリエンナーレ実行委員会会長・副会長として、直ちに企画展を再開すること。その際は、テロや脅迫などに屈することなく、行政が毅然とした姿勢を示すことによって、憲法が保障する「表現の自由」守るよう努めること。
私は上記の申し入れに賛同し署名します。
*署名の第一次集約日は8月13日(火)です。署名は次のいずれかでお送りください。
用紙の郵送:〒285-0858 千葉県佐倉市ユーカリが丘2?1?8 佐倉ユーカリが丘郵便局 局留
表現の自由を守る市民の会 醍醐 聰 宛て
この署名用紙のダウンロードは→http://bit.ly/2Ynhc9H からできます。
*ネット署名は下記URLの<以下はネット署名です>のところに記入して「送信」をクリックしてください。
メッセージもお願いします。(ネット署名フォームの短縮は以下です。)
URL:http://bit.ly/2YGYeu9
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なお、ネット署名での「私の想い」(400字以内)は、下記のとおりです。
表現の自由とは、権力を批判する自由であり、権威に恐れ入らない表現の自由であり、社会の多数派に与しない言動の自由を意味します。けっして、安倍政権に忖度をする自由ではなく、天皇に阿諛追従する自由でもなく、国民の時代錯誤の差別意識に便乗して韓国や在日をバッシングする自由でもありません。
いま、眼前に展開しているのは、権力と社会の多数派とが結託した差別的ナショナリズムが、表現の自由を圧殺している構図です。
明らかに憲法の理念に反する、このような悪しき前例を作ってはなりません。中止となった展示の速やかな再開を求めます。
(2019年8月7日)
だれの言葉かは知らないが、「8月は6日9日15日」である。8月こそは、鎮魂の月であり、戦争の悲惨と愚かさを語り継ぐべき時、そして、あらためて平和の尊さを確認して「憲法第9条」擁護を誓うべき季節。なお、「6日9日15日」は、安倍晋三が、気の乗らない挨拶文の朗読を強いられる日でもある。
被爆から間もないじきに、広島の小学校に入学した私には、8月6日は特別の日である。その日の8時15分が人類史の転換点だとも思っている。その時、人類は、種としての自死の能力を手に入れたのだ。
それから74年目の今日。広島平和記念公園で恒例の「原爆死没者慰霊式・平和祈念式典」が営まれた。雨の中のしめやかな式典だったという。
松井一実市長の平和宣言は、列席した安倍晋三の目の前で朗読され、核兵器禁止条約に背を向ける日本政府に対し、「被爆者の思い」として署名・批准を求めると明確に宣せられた。
安倍晋三首相はいつものとおり、ホントにつまらない、気持ちのこもらない挨拶文を朗読した。紋切りの美辞麗句はあったが、「被爆者の思い」に応えるところはまったくなかった。
記者会見では「核兵器禁止条約には保有国が一カ国も参加していない」としてその実効性を疑問視し、「被爆者代表から要望を聞く会」に臨んでは、被爆者を前に日本政府による核兵器禁止条約の署名・批准を否定する姿勢をあらためて明確にした。この人は、本当に日本の首相なんだろうか。それとも、アメリカの属領長に過ぎない人なのだろうか。被爆者にも、被爆運動にも敵対する、日本の政府とは、首相とはいったい何なのだろう。
今日の式典で、耳目を惹いたのは、湯崎英彦広島県知事のあいさつだった。要点を抜粋してご紹介したい。
絶望的な廃虚の中、広島市民は直後から立ち上がりました。水道や電車をすぐに復旧し、焼け残りでバラックを建てて街の再建を始めたのです。市民の懸命の努力と内外の支援により、街は不死鳥のごとくよみがえります。
しかしながら、私たちは、このような復興の光の陰にあるものを見失わないようにしなければなりません。緑豊かなこの平和公園の下に、あるいはその川の中に、一瞬にして焼き尽くされた多くの無辜の人々の骨が、無念の魂が埋まっています。かろうじて生き残っても、父母兄弟を奪われた孤児となり、あるいは街の再生のため家を追われ、傷に塩を塗るような差別にあい、放射線被ばくによる病気を抱え今なおその影におびえる、原爆のためにせずともよかった、筆舌に尽くし難い苦難を抱えてきた人が数多くいらっしゃいます。被爆者にとって、74年経とうとも、原爆による被害は過去のものではないのです。
そのように思いを巡らせるとき、とても単純な疑問が心に浮かびます。
なぜ、74年たっても癒えることのない傷を残す核兵器を特別に保有し、かつ事あらば使用するぞと他を脅すことが許される国があるのか。
それは、広島と長崎で起きた、赤子も女性も若者も、区別なくすべて命を奪うような惨劇を繰り返しても良い、ということですが、それは本当に許されることなのでしょうか。
核兵器の取り扱いを巡る間違いは現実として数多くあり、保有自体危険だというのが、米国国防長官経験者の証言です。
明らかな危険を目の前にして、「これが国際社会の現実だ」というのは、「現実」という言葉の持つ賢そうな響きに隠れ、実のところは「現実逃避」しているだけなのではないでしょうか。
核兵器不使用を絶対的に保証するのは、廃絶以外にありません。しかし大国による核兵器保有の現実を変えるため、具体的に責任ある行動を起こすには、大いなる勇気が必要です。
唯一、戦争被爆の惨劇をくぐり抜けた我々日本人にこそ、そのエネルギーと勇気があると信じています。それは無念にも犠牲になった人々に対する責任でもあります。我々責任ある現世代が行動していこうではありませんか。
?(2019年8月6日)
昨日(8月4日)、一入暑い夏の盛りに、日本民主法律家協会・第58回定時総会が開催された。自ずと主たる議論は、改憲情勢と、改憲情勢に絡んでの参議院選挙総括に集中した。そして、「相磯まつえ法民賞」受賞対象の各地再審事件弁護団が語るホットな再審審理状況と裁判所のありかた、さらに降って湧いたような「表現の不自由展」の中止問題が話題となった。
冒頭に、渡辺治・元協会理事長から、「参院選の結果と安倍改憲をめぐる新たな情勢・課題」と題した記念講演があった。参院選の結果は安倍改憲を断念させるに至っていない。情勢は引き続いて厳しいという大筋。「法と民主主義」(8・9月合併号)に掲載の予定となっている。
政治状勢も、国際情勢も、憲法情勢も、けっして明るくはない。それでも、総会や法民賞授賞式、懇親会での各参加者の発言が実に多彩で、元気に満ちていた。年に一度、こうして集う意味があることを確認した集会となった。
名古屋から参加した会員が、「表現の不自由展」の中止問題を生々しく語り、誰もが由々しき問題と受けとめた。右翼に成功体験をさせてはならない。現地での取り組みにできるだけの支援をしたい。
伝えられる内容の脅迫電話による展示の中止は、明らかに威力業務妨害である。脅迫電話の音声を公開し、速やかな告訴があってしかるべきで、刑事民事の責任を追及しなければならない。こんなときこそ警察の出番ではないか。この件の経験を今後の教訓とすべく、詳細な報告が欲しい。
採択された、憲法問題と司法問題での2本の「日本民主法律家協会第58回定時総会特別アピール」をご紹介して、総会の報告とする。
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2019参院選の成果を踏まえ、市民と野党の共闘のさらなる前進で、安倍改憲に終止符を
2017年5月3日の安倍首相の改憲提言以来、自民党は、改憲勢力が衆参両院で3分の2を占める状況に乗じて、さまざまな改憲策動を繰り返してきました。しかし、市民の運動とそれに支えられた野党の奮闘により、改憲発議はおろか改憲案の憲法審査会への提示すらできずに2年が過ぎ、この参院選で改めて3分の2の維持をはかるしかなくなりました。選挙戦での安倍首相の異様な改憲キャンペーンは、その証左です。
ところが、改憲勢力は発議に必要な3分の2を維持できませんでした。この3分の2を阻止した直接の要因は、市民と野党の共闘が、安倍政権による改憲反対、安保法制廃止をはじめ13の共通政策を掲げて32の一人区全てで共闘し、前回の参院選並みの10選挙区で激戦を制して勝利するなど、奮闘したことです。また、「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」が提起した3000万署名の運動が全国の草の根で取り組まれ、私たち日民協も参画する「改憲問題対策法律家6団体連絡会」は、自民党の改憲案の危険性をいち早く解明し、政党やマスコミへの働きかけ、バンフの発行や集会などを通じて、安倍改憲に反対する国民世論を形成・拡大する上で大きな役割を果たしてきました。
それでも、安倍首相は改憲をあきらめていません。それどころか、選挙直後の記者会見で「(改憲論議については)少なくとも議論すべきだという国民の審判は下った」などと述べて、改憲発議に邁進する意欲を公言しています。「自民党案にこだわらない」とも強調することで、野党の取り込みをはかり3分の2の回復を目指すなど、あらゆる形で改憲の強行をはかろうとしています。しかし、参院選の期間中もその後も、「安倍政権下の改憲に反対」が世論の多数を占めていることに確信を持ちましょう。
いま、安倍9条改憲を急がせる国内外の圧力が増大しています。アメリカは、イランとの核合意から一方的に離脱して挑発を繰り返した結果、中東地域での戦争の危険が高まっています。トランプ政権は、イランとの軍事対決をはかるべく有志連合をよびかけ、日本に対しても参加の圧力を加えています。こうしたアメリカの戦争への武力による加担こそ、安倍政権が安保法制を強行した目的であり、9条改憲のねらいです。辺野古新基地建設への固執、常軌を逸したイージスアショア配備強行の動きも9条破壊の先取りにはかなりません。
私たち日本民主法律家協会は、こうした安倍改憲の企てに終止符を打つべく、今後とも「改憲問題対策法律家6団体連絡会」や「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」の活動に邁進するとともに、市民と野党の共闘のさらなる前進に協力していくことを、ここに宣言します。
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「国策に加担する司法」を批判する
司法の使命は、憲法の理念を実現し、人権を保障することにあります。司法は、立法からも行政からも、時の有力政治勢力からも毅然と独立して、憲法に忠実にその使命を果たさなくてはなりません。その司法の使命に照らして、長く司法の消極性が批判されてきました。違憲判断があるべきときに、司法が躊躇し臆して、違憲判断を回避してきたとする批判です。その司法消極主義は、戦後続いてきた保守政権の政策を容認する役割を果たし、憲法を社会の隅々に根付かせることを妨げてもきました。
そのため、砂川事件大法廷判決(1959年12月16日)に典型的に見られる司法消極主義を克服することが、憲法理念実現に関心を寄せる法律家の共通の課題と意識されてきました。ところが、近時事態は大きく様変わりしていると言わねばなりません。
2018年10月に開催された、当協会第49回司法制度研究集会のメインタイトルは「国策に加担する司法を問う」というものでした。司法は、その消極主義の姿勢を捨て、むしろ国策に積極的に加担する姿勢に転じているのではないか、という衝撃的な問題意識での報告と討論が行われました。
その先鞭として印象的なものが、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う「海面埋め立ての可否をめぐる一連の訴訟です。とりわけ、国が沖縄県を被告として起こした「不作為の違法確認訴訟」。国は、翁長雄志知事(当時)による「前知事の埋立承認取り消し」を違法として、撤回を求める知事宛の指示を出し、知事がこれに従わないとして提訴しました。一審となった福岡高裁那覇支部への提訴が2016年7月22日、判決が9月16日という異例の超スピード判決。その上告審も、国への手厚い慮りで、同年12月20日判決となり国の勝訴が確定しました。「海兵隊航空基地を沖縄本島から移設すれば、海兵隊の機動力、即応力が失われることになる」とする国の政治的主張をそのまま判決理由とした福岡高裁那覇支部の原判決を容認したのです。
また、同じ時期に言い渡された、厚木基地騒音訴訟最高裁判決は、夜間早朝の飛行差し止めを認めた1、2審判決を取り消し、住民側の請求を棄却しました。「自衛隊機の運航には高度の公共性がある」としてのことで、国策の根幹に関わる訴訟での、これまでにない積極的な国策加担と指摘せざるを得ません。
以来、原発訴訟、「日の丸・君が代」強制違憲訴訟などで、最高裁の「親政権・反人権」の立場をあからさまにした姿勢が目立っています。最近では、地裁・高裁での再審開始決定を破棄した上「再審請求棄却」を自判した大崎事件の特別抗告審決定(2019年6月25日)、また、現職自衛官が防衛出動命令に従う義務はないことの確認を国に求めた戦争法(安保法制)違憲訴訟において「訴えは適法」とした2審・東京高裁判決を「検討が不十分」として破棄し、厳しい適法要件を設定して、審理を同高裁に差し戻した最高裁判決(同年7月22日)があります。
このような最高裁の姿勢は、最高裁裁判官人事のあり方と無縁なはずがありません。既に、最高裁裁判官の全員が第2次以後の安倍内閣による任命となっています。人権擁護の姿勢を評価されてきた弁護士出身裁判官が、必ずしも日弁連推薦枠内から選任されていないとも報道されています。最高裁裁判官の人事のあり方が重大な課題となっています。
私たち日本民主法律家協会は、こうした政権に擦り寄った司法を厳重に監視するとともに、国民のための司法制度確立のために、努力を重ねていくことを宣言します。
?(2019年8月5日)
「令和」は使いたくない。使用強制はまっぴらだ。
「令和」という文字を見るだけで、神経がざらつく。そもそも元号にアレルギーではあるが、「令和」の採択に安倍や菅など現政権が関わっていることも、嫌悪感の大きな一因となっている。何の違和感もなく、「令和」を使用している人のセンスを疑う。この場合のセンスとは、歴史に対する感覚、政治に対する感覚、体制との間合いの取り方についての感覚、つまりは憲法感覚を指している。
先月の参院選で野党統一候補として当選したある弁護士が、立候補前だったが5月になるやさっそく「令和」で書面を送ってきたのには驚いた。えっ? 「革新」の候補者が? 私は、この人の憲法感覚を信用しない。
反対に、「これは立派だ。この人たちなら信頼できる」というのが、北海道合同法律事務所の姿勢。8月1日の同事務所ホームページに次の記事。
http://www.hg-law.jp/news/entry-3078.html
札幌地方裁判所の元号の強制問題についての当事務所の取り組み
北海道合同法律事務所
1 2019年5月1日、天皇が明仁天皇から、徳仁天皇に代わり、元号も平成から令和に代わりました。こういった矢先に、札幌地方裁判所で元号の使用を強制するという事件が起きました。
具体的には、本年7月初め、私たちの事務所の事務職員が、札幌地方裁判所の破産係の受付に自己破産申立書を提出したところ、対応したA書記官は、事務職員に対して、申立書の「申立日」や「申立人の生年月日」の年数を西暦表記ではなく元号で表記するように訂正を求め、以後、「報告書の年月」や「債権者一覧表の借入日」等も元号表記することを要求しました。このことについて、あらためてその趣旨と理由を確認しに出向いた私たちの事務所の事務局長に対して、「合同さんはそういう主義主張だとわかっていますから、もういいです。合同さんに対してはもう言いません。」との返答をしました。
元号法が制定された1979年の国会において、元号法は「一般国民に元号の使用を義務づけるものではない」と国務大臣が答弁していますが、このようなA書記官の対応は、元号使用のお願いの範囲を超えて、強制に至るものと評価せざるを得ませんし、それが、A書記官の個人的な対応なのか札幌地方裁判所としての対応なのかも判然としませんでした。
そこで、以下の公開質問状を提出しました。
2019年7月22日
札幌地方裁判所長 本多知成 殿
公 開 質 問 状
〒060-0042 札幌市中央区大通西12丁目
北海道合同法律事務所
弁護士 池田賢太 弁護士 石田明義 弁護士 内田信也
弁護士 小野寺信勝 弁護士 加藤丈晴 弁護士 川上有
弁護士 笹森 学 弁護士 佐藤博文 弁護士 佐藤哲之
弁護士 中島 哲 弁護士 長野順一 弁護士 橋本祐樹
弁護士 桝井妙子 弁護士 三浦桂子 弁護士 山田佳以
弁護士 横山浩之 弁護士 渡辺達生 以上18名
本年7月2日及び同月5日、当事務所の事務職員が、貴庁民事第4部商事部受付に自己破産申立書を提出しました。対応したA書記官は、事務職員に対して、申立書の「申立日」や「申立人の生年月日」の年数を西暦表記ではなく元号で表記するように訂正を求め、以後、「報告書の年月」や「債権者一覧表の借入日」等も元号表記することを要求しました(以下、「本件元号使用要求」といいます。)。このことについて、同月5日、あらためてその趣旨と理由を確認しに出向いた事務職員に対して、「合同さんはそういう主義主張だとわかっていますから、もういいです。合同さんに対してはもう言いません。」との返答をしました。
あらためて、年数の表記方法について、公開質問状を提出いたしますので、1週間以内に文書でご回答ください。
(※ 実際の公開質問状では書記官の実名を記載していますが、この書面の公開に当たっては実名である必要がないので、A書記官と記載しています。)
2 この質問状に対し、7月29日、札幌地方裁判所の民事次席書記官と総務課長が私たちの事務所に来て、裁判所の見解を口頭で説明をしてくれました。
その説明の要旨は次のとおりです。
・ 今回の元号使用要求が札幌地方裁判所の方針なのか否かについて
今回の元号使用要求は、A書記官の個人的見解であり、札幌地方裁判所としての方針ではないし、破産係を所管する民事第4部としての方針でもない。
・ 元号使用要求の法的根拠について
指摘された国務大臣の答弁のとおり、元号の使用を強制する法的な根拠は一切なく、あくまでも出来るのはお願いであり、今回のA書記官の対応はお願いを越えたものであり、元号の使用を強制したと評価されても仕方がないものである。
ただ、A書記官としては、生年月日について戸籍との照合の便宜も踏まえると元号で記載したほうが良いとの思いがあった。
・ 裁判所の対応
A書記官が元号の使用を強制したことについて謝罪すると共に、今後、このようなことがないように職員に対して指導を徹底する。
書面による回答はいただけませんでしたが、回答期限までに裁判所のしかるべき方が上記のとおり説明をすると共に謝罪もしてくれましたし、回答等を公開することも了解してくれました。私たちは、このような札幌地方裁判所の対応は責任ある対応と評価します。
このような事件が他の裁判所や他の役所等で起きることがないよう、社会に訴えることも含め、この事件を社会に公表いたします。 以上
北海道合同の弁護士諸君の姿勢は立派だし、札幌地裁の対応も適切だったと思う。皆さん、あらゆるところで、「令和」使用強制をきっぱりと拒否しようではありませんか。
(2019年8月3日)
表現の自由は、民主主義社会の血液である。表現の自由が十分に保障されている社会こそが、活性化した民主主義社会である。表現の自由が枯渇するとき、民主主義も窒息し死に瀕する。民主主義社会においては、表現の自由は最大限尊重されなければならない。
表現の自由とは何か。権力を批判する自由のことである。権威に恐れ入らない自由である。社会の多数派に与しない言動の自由である。けっして、安倍政権に忖度をする自由ではなく、天皇に阿諛追従する自由でもなく、国民の時代錯誤の差別意識に便乗して韓国や在日をバッシングする自由ではない。権力や権威や社会の多数派には、相応の寛容の姿勢が求められるのだ。
日本に表現の自由はあるか。国境なき記者団が毎年発表しているのは「世界報道自由度ランキング(Press Freedom Index)」。表現の自由よりは狭い「報道自由」についてのものだが、日本の地位は180か国中67位である(2019年)。安倍政権成立前の2011年が11位。12年が22位だった。安倍政権成立後の13年に突然53位と順位を下げ、以後、59位、61位、そして72位となって、70位前後を低迷している。韓国(41位)、台湾(42位)などの後塵を拝している。さもありなん。
そのことを自覚せざるを得ない事態が今進行しつつある。愛知で行われている「トリエンナーレ 『表現の不自由展・その後』」でのことである。「表現の自由展」ではなく、「表現の不自由展」というタイトルが刺激的である。この展覧会のホームページには、展示の趣旨をこう述べている。
「表現の不自由展」は、日本における「言論と表現の自由」が脅かされているのではないかという強い危機意識から、組織的検閲や忖度によって表現の機会を奪われてしまった作品を集め、2015年に開催された展覧会。「慰安婦」問題、天皇と戦争、植民地支配、憲法9条、政権批判など、近年公共の文化施設で「タブー」とされがちなテーマの作品が、当時いかにして「排除」されたのか、実際に展示不許可になった理由とともに展示した。今回は、「表現の不自由展」で扱った作品の「その後」に加え、2015年以降、新たに公立美術館などで展示不許可になった作品を、同様に不許可になった理由とともに展示する。
権力から、権威から、そして社会的多数者の側から排斥された表現、つまりは保護さるべくして保護されなかった表現の実例を集めた「表現の不自由展」なのだ。わが国における表現の自由保障が、いかに形骸化し脆弱であるかの展覧会。ところが、その展覧会自体の成立が危うくなっている。まさしく、忖度や、多数派の暴力的恫喝によってである。わが国における表現の自由の喪失を満天下にさらけ出す事態となった。
主催者側は、「開会初日の8月1日だけでテロ予告や脅迫ともとれる内容を含む批判的な電話が200件とメールが500件」「2日も、ほぼ同数の電話やメールが殺到した」と公表している。この社会は病んでいる。恐るべき事態ではないか。
8月2日、展覧会を視察に訪れた河村たかし名古屋市長は、「平和の少女像」に関して、次のように述べたと報じられている。
「ほんとにまあ、ワシの心も踏みにじられましたわ、これ。ということで展示を即刻中止して頂きたいですね」「芸術かどうかは知りませんけど、10億も使っている」とコメント。「これを反日作品だと解釈しているのは市長の側では?」との質問には「なにを言ってるの。誰でもそう思ってるじゃないですか?」と応じた。
「ワシの心も踏みにじられましたわ」は、舌足らずで意味不明。この「平和の少女像」自体が人の心を踏みにじる作品ではあり得ない。少女像をめぐる一連の論争によって、「ワシの心も踏みにじられた」ということなら、あり得ることだろう。が、近代の日韓の歴史を真摯に見つめようとする立場からは、それこそが心ない物言いというしかない。「ということで展示を即刻中止」という表現の差し止め要求は、表現の自由を蹂躙する傲慢極まりない姿勢と言うほかはない。
日本有数の大都市の市民を代表する市長ともあろう人が、このような粗暴な発言をすることを日本の社会が許容している。いや、むしろこの市長は、韓国民や韓国との協調を望む日本人に不愉快な思いをさせることを承知で、声高にこの少女像の撤去を求める発言をしているのだ。この粗暴な発言が自分の政治的な支持者にアピールすることになると計算してのことである。
表現は、権力や多数派にとって歓迎すべからざる内容であればこそ、その自由を保障することに意味がある。「ワシの心も踏みにじられる」表現こそ、保護されなければならない。「カネを出しているのだから、県や市の意向に従え」と言ってはならない。ましてや、「これを反日作品だと解釈」して、撤去を要求するのは、政治的弾圧というほかはない。日本における表現の不自由はここまで来ている。日本の民主主義は、本当に危うい。
(2019年8月3日)
戦前の話だ。天皇が神であり統治権の総覧者でもあったころにも、貴衆両院からなる帝国議会というものがあった。が、帝国議会は立法権の独立した主体ではなかった。当然のこととして、立法権は天皇に属し、帝国議会はその協賛機関に過ぎないとされた。
そのことを、臣民どもによく分からせるために、会期の冒頭には貴族院で開院式が行われ、ここで毎回天皇が勅語を述べた。貴族院本会議場の正面、議長席真後ろの奥、一段と高いところに天皇の玉座がしつらえられた。天皇が議員を見下ろす位置にである。勅選の貴族院議員も、選挙を通じて議員となった衆議院議員も、天皇を仰ぎ見、天皇に低頭して拝謁した。
その開院式における勅語。その典型的な一例を引用しておこう。第79回帝国議会(1941年12月26日)太平洋戦争勃発直後の時期におけるものである。
朕茲に帝國議會開院の式を行ひ貴族院及衆議院の各員に告く
朕か外征の師は毎戰捷を奏し大に威武を中外に宣揚せり 而して友邦との盟約は益益固きを加ふ朕深く之を欣ふ 朕は擧國臣民の忠誠に信倚し速に征戰の目的を達成せむことを期す 朕は國務大臣に命して昭和十七年度及臨時軍事費の豫算案を各般の法律案と共に帝國議會に提出せしむ卿等克く時局の重大に稽へ和衷審議以て協贊の任を竭さむことを期せよ
これが、帝国議会開会式での天皇の発言。天皇制の時代の雰囲気がよく伝わってくるではないか。あれは、昔のことか。いや、実は今もたいして変わってはいないのだ。
貴族院が参議院に変わり、勅語が「お言葉」に変わりはした。その余は、今も昔も大きくは変わっていない。
昨日(8月1日)が臨時国会開会。その開会式で、新任の天皇が原稿を読みあげて発語した。その朗読原稿は、下記のとおりと報道されている。
本日、第199回国会の開会式に臨み、参議院議員通常選挙による新議員を迎え、全国民を代表する皆さんと一堂に会することは、私の深く喜びとするところであります。
ここに、国会が、国権の最高機関として、当面する内外の諸問題に対処するに当たり、その使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します。
これは、開会宣言ではない。開会の式辞でもない。開会式に参加して、一言感想と希望を述べたという発言に過ぎない。なぜ、こんなものが必要なのだろうか。
通常の言語感覚からは、やや奇妙な物言いである。公的な場では「全国民を代表する皆様」と言うのが普通の日本語だろうが、天皇たるもの、国民に「様」付けはできないようだ。おそらくは、「さん」までが許容範囲なのだろう。「私の深く喜びとするところであります」も、もってまわった、ヘンな言い方。単に「皆さんと一堂に会する」程度のことを、「深く喜びとする」というのが、いかにもわざとらしくて不自然。勅語の時代の「朕深く之を欣ふ(これをよろこぶ)」の名残なのかも知れない。
後半の「国権の最高機関として、当面する内外の諸問題に対処するに当たり、その使命を十分に果たし、国民の信託に応えることを切に希望します」というのは、この上なく徹底した無内容。
もちろん、内容のある発言では、あちこちに問題が生じることになるから、無内容に徹することにならざるを得ない。ならば、こんな無内容なことをなぜ言わねばならないか、聞かされなければならないか、また見せつけられなければならないのか。それが大きな問題なのだ。
憲法には、天皇のなし得る行為が限定列挙されている。そのなかに、国会の開会式への出席も、そこでの発言も書かれてはいない。当然のことながら、天皇は憲法に書かれていないことをするべきではない。
憲法第4条1項には、「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。」と明記されている。「この憲法の定める国事に関する行為」というのが、憲法第6条と7条に列挙されている国事行為のことであって、天皇がなし得るのはこれのみ。これ以外のことをしてはならない。だから、本来は国会の開会式に出かけたり、発言したりしてはいけないのだ。内閣が呼び出してはいけないわけだ。
もちろん、天皇にも人格はあり、制約・制限は大きいが一応人権の保障もある。天皇の私的な生活は認められ、そのための金銭の支給もなされている。国の関与と切り離されたところでなら、家代々の宗教儀式だってできるのだ。たとえば、大嘗祭だって、政府と関わりなくひっそりと、私的な収入と貯金を使ってやる分には問題はない。
つまり、天皇の行動には、「国事行為」と「私的行為」の2種類だけがある。それが原則のはずだった。ところが、その中間領域があるという解釈がある。解釈があるというのは不正確で、そのような既成事実が積み重ねられて、これを追認する解釈が生まれたのだ。
この、私的領域の行為ではないが国事行為でもないという、中間領域の天皇の行為を「公的行為」とか「象徴としての行為」と名付けられている。前天皇(明仁)は「象徴としての行為」の実績作りに熱心だった。見方によれば、違憲行為の実績作りに熱心だったことになる。
問題の核心は、天皇という存在の位置づけにある。大日本帝国時代と同様に、天皇が議会正面上階の玉座から、国民の代表を見下して、無内容なことを述べることが、国会の開会式に権威を付与することになる、という考え方がある。これが、時代錯誤の危険な考え方だといわなければならない。
かつて、人の理性が覚醒に至っていなかった時代、権力の正当性の根拠は宗教的権威に求められた。あるいは、血統への信仰にである。古代エジプトでも、ヨーロッパ近世の絶対主義王政でも。近代市民社会の理性は、このような蒙昧を排して、統治の正当性を人民の意思のみに求めるに至った。
大日本帝国憲法は神聖なる万世一系の天皇が統治した宗教国家であった。統治の正当性の根拠は、8世紀に成立した神話に求められ、神なる天皇の権威に臣民らがこぞってひれ伏すことによって成立した。これに対して、日本国憲法は、神なる天皇の権威を否定し、主権者国民の意思のみを統治の正当性の根拠とした。が、徹底していない。その不徹底の部分が、歴史の産物としての、象徴天皇制である。
日本国憲法下の日本社会の歴史は、この象徴天皇制という曖昧模糊なるものの肥大化を許すか、極小化してゆくか、常にその岐路に立ち続けてきたのだ。
無内容でも国会の開会式に天皇を招いて発言させることが、有権者の意思のみによって成立したはずの国会に、有権者の意思を凌駕する天皇の権威を国会に付与することになるというのが、今の国会開会式の慣行を支える思想なのだ。天皇が上から目線で国民代表を見下ろし、国民代表が天皇に頭を下げる。どうして、こんなとんでもない構図が、戦後からこれまでも生き続けているのだろうか。
少なくとも、私が一票を投じた議員や政党には、こんな開会式に出席して、天皇に頭を下げてもらいたくはない…のだが。
(2019年8月2日)
8月に入った。暦(大暑)のとおりの猛暑である。本日も早朝6時に家を出ての散歩だったが、汗が吹き出る。世の中も暑苦しい。安倍晋三が政権に居座る日本だけではない。世界中が、である。暑苦しさの根源に差別がある。ヘイトスピーチを一掃して、涼やかな世にしたいものと思う。
昨日(7月31日)の毎日新聞・夕刊の「特集ワイド」に、川崎市の「差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)に関するタイミングのよい記事。「ヘイトスピーチに罰則、条例化目指す川崎市はいま 実効性に期待する被害者」というタイトルで、この条例案の意義を的確に指摘して分かり易い。井田純記者の労作である。
https://mainichi.jp/articles/20190731/dde/012/040/007000c
川崎市のホームページを検索すると、関係資料に接することができるが、如何せん公的な文書。やや繁雑でもある。ぜひとも、「特集ワイド」をお読み願いたい。
ところが、これはネットでは有料記事となっている。やむを得ない。毎日新聞読者以外は、下記の私の記事に目を通していただきたい。
6月24日、川崎市はこの条例案を公表し、パブリックコメントを募集している。期間は、7月8日から8月9日(金)まで。
市の広報では、「意見を提出できる方の範囲」を、「市内に在住、在勤、在学の方、又はこの案件の内容に利害関係のある方(個人、団体を問いません。)」としているが、誰もが「この案件の内容に利害関係のある方」と言ってよい。「特集ワイド」の最後が、「川崎市に呼応するように、同じ神奈川県内の相模原市でも、罰則付きのヘイト対策条例制定に向けた動きが始まっている。」と締めくくられている。この条例が、ヘイトスピーチ規制に実効ある法規制の第1号である。国民的議論の対象とされてしかるべきで、大いに意見を寄せるべきだと思う。
なお、パブコメは分類されて発表されることになろうから、賛成の趣旨をまずは明確に述べて、その理由を書くべきだろう。URLは下記のとおり。
「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)に関する意見募集について
http://www.city.kawasaki.jp/templates/pubcom/250/0000108585.html
意見のフォームはこちら。
https://sc.city.kawasaki.jp/multiform/multiform.php?form_id=3851
ご参考までに、私のコメントは、以下のとおりである。
**************************************************************************
私は、「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)に、積極的に賛成します。併せて、川崎市がこのような人権尊重のまちづくりに取り組んでいることに、敬意を評します。
私は、1971年に登録した弁護士です。日本国憲法の理念をこの上なく大切なものとして、その実現のために努力して参りました。憲法の根幹に、人権の尊重があることはいうまでもありません。人権尊重とは、すべての人が平等に、その人格が尊厳あるものとして、処遇されなければならないことを意味します。「差別のない人権尊重の社会」は、日本国憲法の目指すところであり、暮らしやすい社会でもあります。
ところが、近年、民族や人種に対する差別を公然と口にして恥と思わない人びとや集団が目立つようになっていることを憂慮せざるを得ません。
戦前、富国強制のスローガンのもと、近隣諸国への侵略や植民地化を国是としていた時代には、日本や日本国民が他に優越したものであるという明らかに誤った独善的な選民思想が意図的に流布されました。そのことが、近隣諸国民に対する差別意識を醸成し、現在なおこの差別意識に捕らわれている人が少なくありません。その差別意識を公然と口にしてよいという近時の社会の雰囲気に、極めて危険な兆候を感じます。
私は、国民の自由に対する権力的規制には、反対の立場を貫いて参りました。規制は権力がするもので、現政権のごとき、日本国憲法の理念理解に乏しく、むしろ日本国憲法を敵視する権力が悪用することを恐れてのことです。しかし、ヘイトスピーチ跋扈の現状は、いわゆるヘイトスピーチ解消法制定3年を経てなお治まることなく、到底これを看過し得ません。もはや、言論の自由を根拠としてヘイトスピーチ規制をすることに躊躇しえないと考えるに至りました。
本条例素案が表現の自由一般を不当に侵害することのないよう、種々の配慮をしていることを歓迎して、条例制定に賛成いたします。
当然のことながら、ヘイトスピーチ派はこの条例制定に反対しています。もちろん、そのホンネは、今までどおりにマイノリティとして弱者である宿命を持った在日の人びとに対する根拠のないイジメを続けたいだけのことです。しかし、それでは、訴える力となりませんので、何とか「理論付け」しようと試みているようではあります。しかし、真面目な議論として耳を傾けるべきものは見あたりません。その幾つかのパターンへの感想を述べておきます。
反対論その1 「条例素案における犯罪構成要件が特定性を欠き、曖昧に過ぎないのではないか。たとえば、「ヘイトスピーチ」の定義にしても、禁止されている行為にしても。」
そんなことはありません。「ヘイトスピーチ」の定義自体は、「ヘイトスピーチ解消法」第2条の定義規定「この法律において『本邦外出身者に対する不当な差別的言動』とは、専ら本邦の域外にある国若しくは地域の出身である者又はその子孫であって適法に居住するもの(以下この条において『本邦外出身者』という。)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦外出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の域外にある国又は地域の出身であることを理由として、本邦外出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動をいう。」で、構成要件文言としては特定性十分ではありませんか。
また、本条素案が禁止する「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」については、以下のとおり、特定性十分と考えまられます。
「素案の説明資料4(2)」に、明記されているとおり、「何人も、市の区域内の道路、公園、広場、駅その他の公共の場所において、次に該当する『本邦外出身者に対する不当な差別的言動』を行い、又は行わせてはならない。」
≪類型≫
◎ 特定の国若しくは地域の出身である者又はその子孫(以下「特定国出身者等」という。)を、本邦の域外へ退去させることをあおり、又は告知するもの
◎ 特定国出身者等の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えることをあおり、又は告知するもの
◎ 特定国出身者等を著しく侮蔑するもの
≪手段≫
◎ 拡声機を使用する。
◎ 看板、プラカード等を掲示する。
◎ ビラ、パンフレット等を配布する。
◎ 多数の者が一斉に大声で連呼する。
反対論その2 「条例素案の罰則部分は、過剰に表現の自由を規制をするものとして憲法21条に違反するものではないか。」
憲法21条「表現の自由」保障の本領は、権力者や社会的強者を批判する自由の領域にあります。マイノリティであり、社会的弱者の人権を侵害する表現が自由になされてよいはずはありません。ヘイトスピーチの自由など、本来てきにあり得ないのです。しかし、ヘイトスピーチを権力的規制の対象として処罰条項を設けてよいかは、また別のことになります。いわゆる立法事実(そのような処罰規定を作る根拠としての事実)が必要となります。まさしく、ここが争点です。私は、ヘイトスピーチデモの口汚さや、ネットでのネトウヨ言論の品性のなさの積み重ねが、雄弁に立法事実の存在を物語っていると考えます。
しかも、「ヘイトスピーチ」即犯罪の成立ではなく、市長からの勧告・命令を経て、なおこれに従わない場合にはじめて罰則の適用となるというのですから、けっして過剰な言論規制になっているとは考えません。
反対論その3 「条例素案の『インターネット表現活動に係る拡散防止措置』は、一地方自治体の条例でネット上の『表現の自由』を規制するものとして、条例の権限を越えているのではないか。」
匿名性に隠れてのネット上での差別発言、しかも差別感情剥き出しの罵詈雑言は、当然に規制されてしかるべきものと考えます。したがって、条例素案が、ネットでのヘイト発言を罰則での取締りから除外していることに、生温い規制との批判があるかも知れません。私は、提案のとおり、この点は将来の課題として留保してよいと思います。
なお、条例素案は、「インターネット表現活動に係る拡散防止措置及び公表」は、その対象を、次のものに限定しています。
◎ 市の区域内で行われたインターネット表現活動
◎ 市の区域外で行われたインターネット表現活動(市の区域内で行われたことが明らかでないものを含む。)で次のいずれかに該当するもの
・ 表現の内容が特定の市民等(市の区域内に住所を有する者、在勤する者、在学する者その他市に関係ある者として規則で定める者をいう。以下同じ。)を対象としているもの
・ 前記のインターネット表現活動以外で、市の区域内で行われた「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の内容を市の区域内に拡散するもの
けっして、無限定に規制をしているものではなく、「条例の権限を越えている」ものではないと考えられます。
反対論その4 「条例素案は、『本邦外出身者』だけを保護対象にしており、『本邦出身者』のヘイトスピーチ被害を保護対象としていない。この非対称性は、逆差別として許されないのではないか。」
これはかなり数多くみられる見解ですが、言いがかりの類の見解というほかはありません。圧倒的なマイノリティである『本邦外出身者』が、圧倒的なマジョリティであり、それゆえ社会的強者である『本邦出身者』(日本人)に対して、差別的発言がなされているとは考えられないところです。少なくとも、「『本邦出身者』(日本人)に対する差別的意識を助長し又は誘発する目的で公然とその生命、身体、自由、名誉若しくは財産に危害を加える旨を告知し又は本邦出身者を著しく侮蔑するなど、本邦の出身であることを理由として、本邦出身者を地域社会から排除することを煽動する不当な差別的言動」がなされているはずはありません。
一方的なヘイトスピーチがなされている現実が非対称なのです。これを是正する措置が非対称になるのは当然ことと言わねばなりません。
? 条例素案の解説を一読すれば、お分かりのとおり、人権侵害となる不当な差別は数多くあります。解説が挙げているものだけでも、「こども」「男女平等」「高齢者」「障害者」「部落差別」「外国人」「性的マイノリティ」「その他…」。条例素案は、それらの侵害された人権全般を救済し、あるいは不当な差別全般の解消に思いをいたしながら、特に緊急の対応の必要ある『本邦外出身者』に対する差別に限って、刑事罰もやむを得ないと限定して考えています。この姿勢を支持するものです。
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なお、「条例」(素案)の内容は以下のURLで読めるが、読みにくい。読み易いよう、以下にコピペしておきたい。
http://www.city.kawasaki.jp/templates/pubcom/cmsfiles/contents/0000108/108585/20190624soan_hp.pdf
目次
「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)を作成しました。
<主な内容>
? 「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)について
1 条例制定の背景
2 川崎市人権施策推進協議会からの提言について
3 条例制定について
? 「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)の内容
1 前文
2 総則
3 不当な差別のない人権尊重のまちづくりの推進
4 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進
5 その他(雑則、罰則、施行期日等)
? 今後のスケジュール
本文
1 条例制定の背景
川崎市は、日本各地や海外から多くの人たちが移り住み、地域に根づいて多様な文化が交流する「多文化のまち」へと発展する中、「川崎市外国人市民代表者会議条例」の制定をはじめ、「川崎市子どもの権利に関する条例」や「男女平等かわさき条例」を制定するなど先駆的な取組を行い、その後も、「川崎市子どもを虐待から守る条例」や「川崎市自殺対策の推進に関する条例」の制定など、着実に人権施策を実施してきました。
しかしながら、近年、本邦外出身者に対する不当な差別的言動、いわゆる「ヘイトスピーチ」や、インターネットを利用した人権侵害などの人権課題が顕在化してきました。
このような状況の下、平成28年7月、市長が、「川崎市人権施策推進協議会」に対し、「ヘイトスピーチ対策に関すること」につき優先審議を依頼したところ、同年12月には、同協議会が、市長に対し、「ヘイトスピーチ対策に特化したものではなく、ヘイトスピーチにつながっていく土壌に、直接対処する幅広い条例として、ヘイトスピーチ対策も含めた多文化共生、人種差別撤廃などの「人権全般を見据えた条例」の制定を求める」提言を提出しました。
また、平成28年には、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」、「部落差別の解消の推進に関する法律」のいわゆる「差別解消三法」が施行され、川崎市をはじめとした地方公共団体にも地域の実情に応じた施策を講ずることが求められることになりました。
2 川崎市人権施策推進協議会からの提言について(一部略)
提言で取り組むべきとされた項目
項目1 公的施設の利用に関するガイドラインの策定
項目2 インターネット上の対策
項目3 制定すべき条例の検討
「人権全般を見据えた条例の制定に必要な作業に入るべきである。」
【協議会の意見】
● ヘイトスピーチ対策に特化したものではなく、ヘイトスピーチにつながっていく土壌に、直接対処する幅広い条例が必要である。
● 内容については、ヘイトスピーチ対策も含めた多文化共生、人種差別撤廃などの人権全般にかかるものが想定される。
【特に留意すべき点】
● 協議会及び部会において、幅広い条例が必要との認識では一致したところであり、具体的な内容については、ヘイトスピーチ対策を含めた多文化共生、人種差別撤廃などの人権全般にかかるものが求められる。
3 条例制定について
(1)条例制定の考え方
いわゆる「ヘイトスピーチ」や、インターネットを利用した人権侵害などの人権課題が顕在化している現状を踏まえ、全ての市民が不当な差別を受けることなく、個人として尊重され、生き生きと暮らすことができる人権尊重のまちづくりを推進していくため、条例を制定します。
(2)条例の特徴
? 人権全般を見据えた条例
「川崎市人権施策推進協議会」からの提言を踏まえ、ヘイトスピーチ対策に特化したものではなく、ヘイトスピーチにつながっていく土壌に、直接対処する幅広い条例とします。
したがって、人種、国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害等の人権全般を見据え、不当な差別のない人権尊重のまちづくりを推進します。
? 本邦外出身者に対する不当な差別的言動を規制する条例
特に、一定の要件に該当するヘイトスピーチに対しては、罰則等をもって規制する条例とします。
「(仮称)川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」(素案)の内容
1 前文
● 川崎市は、日本国憲法及び人権に関する諸条約の理念を踏まえ、あらゆる不当な差別の解消に向けて、一人ひとりの人間の尊厳を最優先する人権施策を、平等と多様性を尊重し、着実に実施してきた。
● 今なお、不当な差別は存在し、いわゆる「ヘイトスピーチ」や、インターネットを利用した人権侵害などの人権課題も生じている。
● 市、市民及び事業者が協力して、不当な差別の解消と人権課題の解決に向けて、人権尊重の理念の普及をより一層推進していく必要がある。
● 全ての市民が不当な差別を受けることなく、個人として尊重され、生き生きと暮らすことができる人権尊重のまちづくりを推進していくため、この条例を制定する。
2 総則
(1)目的
ア 不当な差別のない人権尊重のまちづくりに関し、市、市民及び事業者の責務を明らかにする。
イ 人権に関する施策の基本となる事項と、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関する事項を定める。
ウ 前記ア及びイにより、人権尊重のまちづくりを総合的かつ計画的に推進し、もって人権を尊重し、共に生きる社会の実現に資する。
(2)定義
ア 不当な差別…人種、国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害その他の事由を理由とする不当な差別をいう。
イ 本邦外出身者に対する不当な差別的言動…「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(以下「ヘイトスピーチ解消法」という。)第2条に規定する本邦外出身者に対する不当な差別的言動をいう。
3 不当な差別のない人権尊重のまちづくりの推進
(1)市の責務
市は、不当な差別を解消するための施策その他の人権に関する施策を総合的かつ計画的に推進する。
(2)市民及び事業者の責務
市民及び事業者は、市の実施する不当な差別を解消するための施策その他の人権に関する施策に協力するよう努める。
(3)不当な差別的取扱いの禁止
何人も、人種、国籍、民族、信条、年齢、性別、性的指向、性自認、出身、障害その他の事由を理由とする不当な差別的取扱いをしてはならない。
(4)人権施策推進基本計画
ア 市長は、不当な差別を解消するための施策その他の人権に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、基本計画を策定し、基本計画には、人権に関する施策の基本理念、基本目標、基本的施策、その他人権に関する施策を推進するために必要な事項を定める。
イ 市長は、基本計画を策定(変更)しようとするときは、あらかじめ、「人権尊重のまちづくり推進協議会」の意見を聴き、また、基本計画を策定(変更)したときは、公表する。
(5)人権教育及び人権啓発
市は、不当な差別を解消し、人権尊重のまちづくりに対する市民及び事業者の理解を深めるため、人権教育及び人権啓発を推進する。
(6)人権侵害を受けた者に対する支援
市は、関係機関等と連携し、インターネットを利用した不当な差別その他の人権侵害を受けた者に対する相談の実施その他必要な支援に努める。
(7)情報の収集及び調査研究
市は、不当な差別を解消するための施策その他の人権に関する施策を効果的に実施するため、必要な情報の収集及び調査研究を行う。
(8)人権尊重のまちづくり推進協議会
ア 前記(4)イの場合のほか、不当な差別のない人権尊重のまちづくりの推進に関する重要事項について、市長の諮問に応じ、調査審議するため、附属機関として「人権尊重のまちづくり推進協議会」を置く。協議会は、委員12人以内で組織し、委員は、学識経験者、関係団体の役職員、市民のうちから市長が委嘱する。
イ 委員の任期は2年とし、再任可とする。そのほか、臨時委員を置くことやその解嘱、秘密漏えい禁止、部会を置くことについて規定し、その他協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
4 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進
(1)この章の趣旨
市は、ヘイトスピーチ解消法第4条第2項の規定に基づき、市の実情に応じた施策を講ずることにより、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の解消を図る。
(2)本邦外出身者に対する不当な差別的言動の禁止
何人も、市の区域内の道路、公園、広場、駅その他の公共の場所において、次に該当する「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」を行い、又は行わせてはならない。
≪類型≫
◎ 特定の国若しくは地域の出身である者又はその子孫(以下「特定国出身者等」という。)を、本邦の域外へ退去させることをあおり、又は告知するもの
◎ 特定国出身者等の生命、身体、自由、名誉又は財産に危害を加えることをあおり、又は告知するもの
◎ 特定国出身者等を著しく侮蔑するもの
≪手段≫
◎ 拡声機を使用する。 ◎ 看板、プラカード等を掲示する。
◎ ビラ、パンフレット等を配布する。 ◎ 多数の者が一斉に大声で連呼する。
(3)勧告・命令・公表
◎前記(2)に違反(1回目)⇒勧告
市長は、1回目と同様の違反行為を行ってはならない旨を勧告することができ
る。
◎違反行為(2回目)⇒命令
市長は、前2回と同様の違反行為を行ってはならない旨を命ずることができる。
◎違反行為(3回目)⇒公 表
市長は、命令に従わなかったときは、氏名又は団体の名称、住所、団体の代表者等の氏名のほか、命令の内容その他規則で定める事項を公表する。
・市長は、勧告の前に、1回目の違反があったことについて、「差別防止対策等審査会」の意見を聴く。
・市長は、命令の前に、勧告に従わなかったことについて、「差別防止対策等審査会」の意見を聴く。
・市長は、公表の前に、公表される者にその理由を通知し、その者が意見を述べ、証拠を提示する機会を与える。
(4)公の施設の利用許可等の基準
市長は、市が設置する公の施設において、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」が行われるおそれがある場合における公の施設の利用許可及びその取消しの基準その他必要な事項を定める。
(5)インターネット表現活動に係る拡散防止措置及び公表
対象
◎ 市の区域内で行われたインターネット表現活動※
◎ 市の区域外で行われたインターネット表現活動(市の区域内で行われたことが明らかでないものを含む。)で次のいずれかに該当するもの
・ 表現の内容が特定の市民等(市の区域内に住所を有する者、在勤する者、在学する者その他市に関係ある者として規則で定める者をいう。以下同じ。)を対象としているもの
・ 前記のインターネット表現活動以外で、市の区域内で行われた「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の内容を市の区域内に拡散するもの
※ インターネットその他の高度情報通信ネットワークを利用する方法による表現活動で、デモや演説など他の表現活動の内容を記録した文書、図画、映像等を不特定多数の者による閲覧又は視聴ができる状態に置くこと(いわゆる「拡散する」こと。)を含む。
ア インターネット表現活動に係る拡散防止措置
市長は、インターネット表現活動が「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」に該当すると認めるとき。
→ インターネット表現活動に係る表現の内容の拡散を防止するために必要な措置を講ずる。
イ インターネット表現活動に係る公表
市長は、前記アの措置を講じたとき。
→ 「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」に該当する旨、表現の内容の概要、拡散を防止するために講じた措置その他規則で定める事項を公表する。ただし、公表することにより前記(1)の「「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の解消を図る」との趣旨を阻害すると認められるときその他特別の理由があると認められるときは、公表しないことができる。
・ 前記の措置と公表は、市民等の申出又は職権により行う。
・ 市長は、措置や公表の前に、「差別防止対策等審査会」の意見を聴く。
・ 市長は、公表をするに当たっては、当該「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の内容が拡散することのないよう十分に留意する。
(6)差別防止対策等審査会
ア 前記(3)の勧告、命令、前記(5)の措置、公表を行う場合のほか、不当な差別の解消のために必要な事
項について、市長の諮問に応じ、調査審議するため、附属機関として「差別防止対策等審査会」を置く。審査会は、委員5人以内で組織し、委員は、学識経験者のうちから市長が委嘱する。その他の細目については、前記3(8)の「人権尊重のまちづくり推進協議会」と同様とする。
イ 審査会は、前記(5)の措置と公表に係る申出を行った市民等に意見書又は資料の提出を求めること等の必要な調査を行うことができ、前記(2)に違反したと認められる者、前記(3)の勧告に従わなかったと認められる者又は前記(5)のインターネット表現活動を行ったと認められる者に対し、書面により意見を述べる機会を与えることができる。また、その指名する委員に前記の必要な調査を行わせることができる。
(7)表現の自由等への配慮
この4の欄に記載の項目の適用に当たっては、表現の自由その他の日本国憲法の保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないように留意する。
5 その他(雑則、罰則、施行期日等)
(1)報告及び質問
ア 市長は、前記4(2)に違反したと認められる者、前記4(3)の勧告や命令に従わなかったと認められる者に対し報告を求めることができ、また、その職員に、関係者に質問させることができる。
イ 質問を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯する。
ウ 前記アの権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(2)委任
この条例の実施のため必要な事項は、規則で定める。
(3)罰則
前記4(3)の命令に違反した者は、500,000円以下の罰金に処する。また、法人等の場合には、行為者を罰するほか、法人等も罰する(両罰規定)。
(4)施行期日
ア 公布の日 次のイとウ以外のもの
イ 令和2年4月1日 「人権尊重のまちづくり推進協議会」、インターネット表現に係る拡散防止措置及び公表並びに「差別防止対策等審査会」に関するもの
ウ 令和2年7月1日 「本邦外出身者に対する不当な差別的言動」の解消に向けた取組に関するもののうち、禁止、勧告、命令、公表、報告及び質問並びに罰則
(以下略)
(2019年8月1日)