2017年5月19日
共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会
社会文化法律センター 代表理事 宮里邦雄
自由法曹団 団長 荒井新二
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長 原和良
日本国際法律家協会 会長 大熊政一
日本反核法律家協会 会長 佐々木猛也
日本民主法律家協会 理事長 森英樹
日本労働弁護団 会長 徳住堅治
明日の自由を守る若手弁護士の会
共同代表 神保大地・黒澤いつき
本日,衆院法務委員会において、共謀罪(「テロ等準備罪」)法案を含む組織犯罪処罰法改正案の採決が強行された。来週にも本会議への上程を計画していると伝えられる。私たちは,この暴挙に対し,満腔の怒りをもって強く抗議する。
そもそも、刑法は、どの行為が犯罪とされるかを定めているが、裏返せば、犯罪とされずに自由に行動できる範囲を定めているといえる。犯罪とは人の生命や身体自由名誉財産に被害を及ぼす行為と説明され、法益の侵害又はその現実の危険性が生じて初めて事後的に国家権力が発動されるというシステムは,我々の社会の自由を守るための制度の根幹である。
約300もの多くの犯罪について共謀の段階から処罰できることとする共謀罪法案は、既遂処罰を基本としてきた我が国の刑法体系を覆し、人々の自由な行動を制限し、国家が市民社会に介入する際の境界線を、大きく引き下げるものである。
私たちは沖縄ですでに弾圧の道具に使われている威力業務妨害罪の共謀罪が法案化されていることに警鐘を鳴らしたい。1999年に制定された組織犯罪処罰法によって、組織的威力業務妨害罪、組織的強要罪、組織的信用毀損罪が作られ、法定刑が長期3年から5年に引き上げられ、廃案となった2003年法案で共謀罪の対象犯罪とされた。これらの犯罪は、もともと構成要件があいまいで、労働運動などの弾圧法規として使われてきた問題のある犯罪である。この共謀罪はひとつだけでも治安維持法に匹敵する著しい危険性を持っている。自民党の2007年小委員会案では、これらの犯罪は共謀罪の対象から外されていたのに、これを何が何でも共謀罪の対象としようとしている安倍政権には、市民の異議申し立て活動に対する一網打尽的弾圧の意図を疑わざるを得ない。
「組織犯罪集団」の関与と「準備行為」を要件としても、法案の適用範囲を厳しく限定したものとは評価できない。首相は、一般人は処罰の対象にならないと説明しているが、同法案では、原発反対運動や基地建設反対運動などに適用され得る組織的威力業務妨害罪や、楽譜のコピー(著作権法違反)や節税(所得税法違反)など市民が普通の生活の中で行う行為が犯罪に問われかねないものも,対象犯罪に含まれている。そもそも、同法案には一般人を対象としないなどという文言はなく、「計画」と「準備行為」があれば、条文解釈上、誰でもが処罰対象となり得る規定となっている。現在の審議状況では、到底、私たち市民が納得できるだけの充分な説明が尽くされたとは言えない。警察は今でも,市民運動に関わる人の情報を収集したり,イスラム教徒だというだけで調査の対象とするなどの違法なプライバシー侵害を繰り返しているが,共謀罪が制定されれば、今以上に,市民の行動や,人と人との会話、目配せ、メール、LINEなど、人の合意のためのコミュニケーションそのものが広く監視対象とされる可能性が高い。政府は,共謀罪の制定が国連越境組織犯罪防止条約(TOC条約)の批准のために不可欠であるかのように主張するが,諸外国の例を踏まえれば、このような広範な共謀罪法案を成立させることなく国連条約を批准しても、国際的な問題は全く起きるものではない。また,この条約の目的はマフィアなどの経済的な組織犯罪集団対策であり、テロ対策ではない。日本は、国連の13主要テロ対策条約についてその批准と国内法化を完了している。法案には「テロリズム集団その他の組織犯罪集団」という言葉は入れられたものの、テロリズムの定義もなく、法の適用範囲を限定する意味はない。
共謀罪法案をめぐる衆議院法務委員会の審議・運営は,政府が野党議員の質問にまともに答える姿勢を放棄して「一般市民は捜査の対象にもならない」など根拠のない答弁を機械的に繰り返したり,野党議員が大臣に答弁を求めたにもかかわらず政府職員が勝手に答弁するなど,異常かつ非民主的という他ないものであった。5月17日,野党議員が金田法務大臣の解任決議案を提出したことは,道理にかなったものである。こうした異常な審議の挙句,いまだ審議すべき重要問題が多数積み残されたまま,本日,採決が強行されたことは,暴挙といわざるを得ない。
5月16日報道された朝日新聞の世論調査では、共謀罪法案を今国会で成立させる必要はないという意見は64%に達し、必要とする意見18%を大きく上回った。共謀罪法案反対の世論は急速に広がっており,国民の多数は、この間の審議を通じて浮かび上がってきた法案の多くの問題点について,審議を深めることを願っている。私たち共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会は、我が国の人権保障と民主主義の未来に大きな禍根を残す共謀罪法案の成立を阻止するため、引き続き全力を尽くす決意である。
以上
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以上の声明の「超訳ver.」が発表されている。「明日の自由を守る若手弁護士の会」の文責になるもの。これも、ご紹介しておきたい。
今日、衆議院の委員会で、共謀罪をつくる法律案が無理やり通されました。来週にも、衆議院の本会議にかけられる計画だと報じられています。私たちは、心のどん底から怒ってるので抗議のシャウトをします。
刑法という法律は、どういうことをすれば犯罪になるか、どういう行為は自由にしていいのかを決めています。人の命や身体、財産などを傷つけたり、傷つける危険性があってはじめて、国家権力が動く、というシステムになっています。そうでないと、私たち自由に行動できないからです。共謀罪の法案は、約300もの犯罪について、話し合っただけのときから刑罰をあたえることができるとしています。この法案は、命などの危険があってはじめて罰されるというシステムをひっくり返し、私たちが自由に行動できないようにし、国家が市民の行動に簡単に口を出せるようにするものです。沖縄では、「威力業務妨害罪」という犯罪がすでに、市民の行動を取り締まるための『名目』に使われてしまっています。今回の法案では、その「威力業務妨害罪」も話し合えば共謀罪になるとされているので、めちゃくちゃ危険です。「組織的威力業務妨害罪」という犯罪は、もともと「何をすれば犯罪になるのか」があいまいで、労働組合の活動などをつぶすために使われてきたので、大問題です。これひとつとっても、戦前の治安維持法と同じレベルでキケンな法律なのです。自民党は、2007年の党内の議論では「組織的威力業務妨害罪」などは共謀罪に入れていなかったのに、安倍政権は、なにがなんでも話し合っただけで犯罪にしようとしています。「物言う市民」を手当たり次第に取り締まるつもりだとしか思えません。首相は、イッパンジンは処罰されないと言っています。でも、「組織的威力業務妨害罪」は、原発反対や米軍基地反対の活動に使われかねません。楽譜のコピーは著作権法違反になりますし、節税も所得税法違反と疑われかねません。こういった行為は、市民が普通にやっていることなのに、話し合っただけで犯罪になりえるのです。だいたい、「イッパンジンは処罰されない」なんて、法案のどこにも書いてありません。「計画」して「準備行為」があったとされれば、誰でも処罰される可能性があるのです。全然納得できません。警察は今でも、犯罪をしていない人の個人情報を集めたり、イスラム教徒だというだけで尾行したりして、プライバシーを侵害しています。共謀罪ができれば、今以上に、私たちの行動や会話、目線、メール、LINEなど、コミュニケーションそのものが監視されるおそれがあります。政府は、「共謀罪を制定しないとTOC条約を批准できない」と言っていますが、諸外国を見てみても、こんな広範な共謀罪法案を作らずに条約を批准しても、問題ありません。そもそもTOC条約はマフィア対策のもので、テロ対策ではありません。日本はすでに国連の13個のテロ対策条約を批准しているし国内にもバッチリ適用できています。共謀罪法案にはとってつけたように「テロリズム集団その他の組織犯罪集団」って言葉は入っていますが、テロリズムの定義もなく、あたかも「テロ対策」っぼく見せるためだけのものです。
衆議院法務委員会では、政府は野党議員の質問にまっっったくまともに答えず、「一般市民は捜査の対象にならない」と根拠レスな答弁をただただ繰り返したり、野党議員が大臣の答弁を求めているのに政府の職員が勝手に答弁したり、異常としか言いようがなく、民主主義を踏みにじるものでした。5月17日に野党議員が金田法務大臣の解任決議案を提出したのは、当たり前すぎるほど当たり前のことです。こんなめちゃくちゃな審議のあげく、まだまだ審議しなければならない問題は山ほどあるのに、今日、強行採決されたことは、「暴挙」以外の何者でもありません。
5月16日に報じられた朝日新聞の世論調査では、「共謀罪法案を今国会で成立させる必要はない」という声は64%に達し、「必要」という声(18%)を大きく上回りました。共謀罪法案に反対する声は猛烈なスピードで広がっていて、多くの国民が、衆議院での審議を通じて浮かび上がってきたこの法案の「ヤバさ」について、もっと審議してよと願っています。私たち共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会は、日本の人権保障と民主主義の未来を大きくゆがめるであろう共謀罪法案の成立を食い止めるため、これからも全力を尽くします。
以上
ただいま、大谷昇文京春闘共闘会議議長から「STOP共謀罪、安倍暴走政治を許さない! 5・18 文京区民集会」の主催者としての開会のご挨拶がありました。引き続いて共謀罪法案審議の内容についての報告と学習に移ります。
主催者のご挨拶にもありましたように、はからずも風雲急を告げる事態での共謀罪反対集会となりました。本集会には、特別ゲストとして、暴走する安倍内閣の暴走法務大臣金田勝年さんをお招きいたしております。野党や市民からは「歴史に先例のない無能な法務大臣」と酷評されながら、数の力で救われてホッとしておられる金田法務大臣から、上程されている「共謀罪法案」の内容について、ご説明をいただきたいとの企画です。
ご紹介申しあげます。こちらが金田法務大臣です。実は、澤藤大河弁護士が法務大臣になりきって、共謀罪についてのご質問をいただき、ホンモノの法務大臣よりはるかに上手に、分かり易く共謀罪法案について、解説してもらいます。
もっとも、金田法務大臣は「共謀罪法案」という言葉を使いません、正確には「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」なのですが、どういうわけかこの法案を、提案者である内閣は「テロ等準備罪法案」と略称しているのです。政府の言い分がいかにインチキであるか、法務大臣自らに語っていただくことにいたします。
この金田法務大臣から説明を引き出す質問者役には、結束して共謀罪法案の廃案をめざす立場にある4野党の中から、日本共産党の福手ゆう子さんにお願いいたしました。実は、4月15日にも、同じ会場でよく似たシナリオで、福手さんに法務委員会での質問者役をお引き受けいただいたのです。これが、大変好評でしたので地元の大規模な集会に本日もう一度の登場をお願いした次第です。
その質問と回答のあと、金田法務大臣ご自身が、パワーポイントを駆使して、共謀罪の危険な本質と政権のねらいを解説します。そして、若干の質疑や意見交換のあと、集会アピールを採択して、デモ行進に移ることにいたします。
なお、皆様ご存じのとおり、共謀罪法案は3月21日閣議決定を経て国会上程され、衆議院法務委員会で審議が続いています。本日5月18日、つまり今日が法務委員会の強行採決かとの観測が報じられておりましたが、昨日17日に4野党共同の金田法務大臣不信任決議案が提出されて、現在審議がストップしております。
本日、午後1時開会の衆院本会議で同不信任決議案の審議が行われ、提案理由、賛成討議、反対討議を経て、先ほど残念ながら否決されました。場合によっては、明19日に法務委員会で自民・公明・維新の3党が強行採決し、週明けの23日にも、衆院通過となるかも知れないとの報道が飛びかっています。
是非とも、本集会で共謀罪の危険性を確認し、法案阻止の決意を固めようではありませんか。
では、質疑をお二人にお任せかせしますので、どうぞ。
Q 日本共産党の福手ゆう子でございます。
本日は、金田法務大臣には、わざわざ地域の共謀罪反対集会にご出席いただきありがとうございます。
最初にお伺いしますが、まだまだ議論が煮詰まらない法案審議ではありせんか。民主主義の常識から言えば、明日の強行採決などあってはならないこととと思いますが、大臣のお考えを聞かせてください。
A 審議が煮詰まったか否かは、私ではなく、法務委員会の委員長と、理事の皆さんが決めることですから、責任あるお答えは控えさせていただきます。
でも、ここは国会ではないから、本音をしゃべらせてもらえば、まあ、いつまでもだらだらと質疑を繰り返していてもしょうがない。衆議院では、30時間の審議があれば採決してもいいだろうとは思っています。委員会審議時間はもう26時間を超えていますから、30時間までは、もう少しの我慢と辛抱。それが過ぎたら、もう、こっちのもの。
Q なるほど、呆れたお考え。不信任決議案の中に、あなたのことを「国務大臣としての資質の欠如ぶりは、憲政史上例を見ないものと言っても過言でない」といっていることが、まことに的確であることがよく分かりました。
時間がありませんので、本論に移ります。大臣。なぜ、今、共謀罪の新設が必要なのでしょうか。
この共謀罪法案が成立すれば、広範な犯罪について、実行行為がなくとも共謀あるいは準備行為の段階で刑罰を科すことが可能になります。当然に、捜査も可能となります。つまりは犯罪の着手がなくとも、常に一般の市民に逮捕や捜索の危険が生じることになります。私たちの生活が、常に捜査機関の監視のもとにおかれることにもなりかねない。
とりわけ、政府が好もしいと思わない団体の行動については、恣意的に監視し取り締まることができるようになってしまいます。つまり、治安立法として、また弾圧法規として利用される危険な法案ではありませんか。だから、国民の強い反対を受けて、過去に3度も提案されながら、その都度廃案に追い込まれてきたではありませんか。
にもかかわらず、今回、4度目の法案提出となったその理由を明確に述べていただきたい。
A お答えのまえに、一言申しあげます。
今、あなたのご質問に「共謀罪法案」という法案名が出てきました。しかし、「共謀罪法案」ではございません。正確には「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」でありまして、これを提案者である内閣は「テロ等準備罪法案」と略称しているわけででございます。
法律の名称は、正確におっしゃっていただきたい。あなた方は、すぐにレッテルを貼りたがるが、これまで3度廃案となった「共謀罪法案」と今回提案の「テロ等準備罪法案」とはまったく違うものであることを最初に申しあげておきます。
Q えっ? では、これまで3度廃案となった「共謀罪」と、今回提案の内閣が「テロ等準備罪法案」という法案が、どう違うのか。そこから、ご説明をいただきましょうか。
A まず、分かり易いところでは、テロ等準備罪の対象となる犯罪の数が違います。
共謀罪法案では、実行行為への着手がなくても共謀の段階で処罰される犯罪の数は、676もあったのです。今回は、これをわずか91本の法律の、たった277罪に絞り込んだのです。どうです。676を277ですよ。全然違うでしょう。
Q 数の違いは大したことではありません。これこそ現代版「五十歩百歩」というべきでしょう。刑法や憲法の大原則を崩していることが問題なのではありませんか。
A いや、もちろん数だけというわけではありません。何が犯罪で、何が犯罪ではないかかが大変明瞭になったのです。
ご存じのとおり、「共謀罪」という罪を新たにつくろうということではありません。277の今ある罪を、「共謀」の段階でつかまえようと言うことです。具体的には、今ある組織的犯罪処罰法という法律に、6条の2という、分かり易い条文を新設することにしました。どんなに分かり易いか、その新設条文を読み上げてみましょう。
「次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 五年以下の懲役又は禁錮
二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年以下の懲役又は禁錮」
どうです。分かり易いでしょう。あとは、別表四と、別表三に書いてある277の罪のリストを探し、条文をよく読めばよいのです。しかも、捜査機関が濫用しないよう、厳格にいくつもの縛りがかけられていることがよくお分かりでしょう。
Q よくお分かりでしようと言われても、ちっとも、分からない。
「人を殺す」「人を傷つける」「財物を窃取(せっしゅ)する」という条文の記載なら、分かり易い。この共謀罪はことさらに分かりにくく作られているではありせんか。こんな条文がどう使われるのか、不安でなりません。
本筋に戻って、いったいなぜ、いま4度目の法案提出となったのかその理由をお聞かせください。
A これは、国際組織犯罪防止条約の批准のために必要な法案であると考えております。
この法案が成立すれば、条約の批准ができます。そうすることで、効果的に国際的な組織犯罪を防止し,テロをも防止することができます。
この条約は平成15年9月に発効しています。この条約については,同年5月にその締結について国会の承認を得ておりますが、我が国としても,早期に批准することが必要です。我が国も,国際社会の一員として,この条約を早期に批准し,国際社会と協力して,一層効果的に国際的な組織犯罪を防止するため,この条約が義務付けるところに従い,「テロ等準備罪」を新設する必要があることをご理解ください。
Q 国際組織犯罪防止条約、これはテロ対策とは無関係でしょう。だいたい何年に締結された条約ですか。
A 平成12年です。
Q 西暦2000年ですね。2001年の9・11事件の前年のことじゃないですか。テロが国際的な関心事になる前の条約ですよ。この条約はパレルモという都市で締結されて、パレルモ条約とも呼ばれているわけですが、パレルモとは、イタリア、シチリア島の最大都市でマフィアの本拠地といわれているところ。マフィアやヤクザ、そういう組織犯罪を対象にした条約ではありませんか。経済的なマネーロンダリングを防止することを主たる目的とした条約であって、政治的なテロを対象にした条約ではないことをお認めいただきたい。
A あなたは、よく勉強なさっているようですが、組織的な犯罪に対する対応は、経済的なマネーロンダリング防止だけではなく、この際、今や待ったなしのテロ対策を盛りこんだ方がよいに決まっていると考えています。
Q 新たな刑罰法規を作ろうというのですから、差し迫った必要性がなくてはならないわけです。我が国に、テロが差し迫っているというのでしようか。日本がテロの脅威にさらされているという具体的な根拠をお示しください。
A 世界中で、不安定な地域がたくさんあります。これだけ安全保障体制が揺らいでおるわけでありまして、先進諸国、たとえばアメリカでの9・11事件、イギリス・ロンドンでの連続爆破テロ、フランス・パリでの出版社襲撃事件などが起こっているわけです。
日本だけが、これらの事件に目を背けていていいのでしょうか。自由と民主主義・人権という共通の価値を守るために、憎むべきテロリストとの戦いに、日本だけが安穏としていることはできないのです。
Q 世界の情勢を聞いているのではありません。立法事実として、つまり、新たな法律を作らなければならない根拠として、日本にテロの具体的な危険があるかとお聞きしています。
A それはいろいろな考え方がありえます。日本人が、イラクやシリアで誘拐され、殺害される事件も起こっている。
Q 日本でのテロが差し迫っている状況にあるのかと聞いています。
A 我々は、テロの脅威から、国民を守るべき責務を負っております。常に備えなければならないのです。オリンピックも迫っております。安全なオリンピックを開催するためにも、どうしてもテロ等準備罪は必要なのです。
Q 日本にテロが迫っていると、あなたですら言えないような状態で、どうして包括的な共謀罪が必要と言えるでしょうか。
国連のテロ防止関連条約は13件あり、日本はすべてその批准を終え、それに対応した国内法の整備もできているではありませんか。たとえば、「テロリズム資金供与防止条約」「プラスチック爆薬探知条約」「核物質の防護に関する条約」「空港不法行為防止議定書」「海洋航行不法行為防止条約」「プラスチック爆薬探知条約」「爆弾テロ防止条約」などなど。テロ対策の法整備はきちんとされており、共謀罪法案が成立しなければテロ対策がされていない訳ではありません。
どうして、屋上屋を重ねるような、「共謀罪」の新設が必要でしょうか。
A 政府といたしましては、国民をテロから守る責務を負うものです。何重に屋を重ねても、念には念を入れて、国民の安全を守る法律を作ろうとしているわけでございます。
Q 問題は、不必要な法律というだけのものではなく、国民の人権を侵害する有害な法律であるということなのです。この共謀罪法案、もし成立してしまったら、犯罪の実行とは無関係に、ただ話し合っただけで処罰されてしまうのではありませんか。
A そういう印象操作はやめていただきたい。絶対にそんなことは、ないのであります。先ほど読み上げた条文に書いてあったとおり、まずは、組織的犯罪集団の団体の活動でなければ、処罰されることはありません。しかも、共謀が成立しただけ、つまり計画しただけでは犯罪が成立しないことは、法文上明らかであります。「準備行為」が必要なのです。一般の方が話しているだけで犯罪者になるなど、絶対にあり得ません。
Q では「組織的犯罪集団」から、お伺いします。労働組合や、市民団体が組織的犯罪集団に当たることはないのでしょうか。
A 組織的犯罪集団だけしか、対象とならないことは、明文で規定しております。
適法な活動をしている労働組合や、その他の団体は、その目的が犯罪はないのですから、当然対象とはなりません。繰り返しますが、この法律はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団を取り締まるのが目的で、一般の方には無関係なのです。
Q 更にお尋ねします。既に存在する適法な団体の目的が、ある時点から犯罪目的に変化したと認定することはあり得ないのですか。
A 一般論としてお答えすると、この法律は組織的犯罪集団の組織的行為だけを処罰対象とし、一般人は対象とならないことは申しあげたとおりです。しかし、もしこれまでは合法的な活動をしていた団体が、ある時点から犯罪を企む集団となったとすれば、すでにその集団の構成員は一般人ではないのです。適法な団体の目的が、ある時点から犯罪目的に変化することがないとは言えません。
Q おや、大変な答弁が出た。つまり、「この法律が罰するのは、一般国民ではない」という意味は、「この法律が罰するときには、既に一般人ではないからだ」と、こういうことではありませんか。これでは、何の縛りにもならないではありませんか。
A あなたの解釈は、あまりに一方的で偏っているのではないでしょうか。重大犯罪を目的とする団体に、それと知って属しているということは、一般国民の目から見て、一般人とは呼べないことは通常の感覚ではないですか。
Q 企業でも、市民団体・労働組合、サークルでも、適法な通常の団体が、ある時点から犯罪目的だと認定されることはありうるのだから、国民誰でも、共謀罪の犯罪者になり得るということじゃないですか。
A 重大な犯罪を計画している団体に属して、具体的な重大犯罪を計画していたらできるだけ早期に、摘発せられるべきは当然ではありませんか。
Q ついに、国民の誰もが共謀罪適用の対象になりうることが分かりました。しかも、犯罪目的があるかどうか、計画があるかどうか、捜査段階では、判断するのは、裁判所ではなく、捜査機関。つまりは警察になるわけです。その結果、警察が、国民生活に監視の目を光らせ、あらゆる団体が犯罪目的をもっていないかを調べる。これは、まさに現在の治安維持法ではないか。
A 全くそうではございません。
治安維持法は、私有財産制を否定し、国体を変革しようとするという、思想そのもの、つまり、犯罪とは切り離して、特定思想を有する団体を結成すること、加入することを処罰する法律でございます。
今回の、テロ等準備罪は、思想のみを処罰するのものではありません。準備行為という外に表れた具体的行為の存在を要求しています。
Q いったい、その準備行為とは、どのようなものだというのですか。
A 先ほど、分かり易い条文を朗読したなかに書いてあったじゃありませんか。もう一度その部分だけを読見上げて見ましょう。
「資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為」というものです。
Q 「資金又は物品の手配」と言えば、ATMから現金を下ろすこと、コンビニで買い物をすること、日常の行為じゃないですか。「関係場所の下見」と言えば、散歩も花見も含まれる。これじゃ誰もがつかまるじゃないですか。
A だから、一般人か、怪しい奴か、常日頃から警察が監視しておけばよいのですよ。監視を徹底させておきさえすれば、きのこ狩りでも、双眼鏡をもって花見をしても、一般人は安心なのです。怪しいやつだけをつかまえるのです。
Q 結局は怪しいか怪しくないかは、捜査機関が判断する。政府に批判的な活動をしていると、犯罪を行っているとして、捜査の対象とされかねない。しかも、計画と準備で犯罪が成立するのだから、団体監視を常に行うことが主たる捜査方法になることは明白ではありませんか。団体に対する警察の監視、団体内部でも密告を恐れて活動が萎縮する。これこそ治安維持法そのものではないですか。
A あなたは、少し感情的になっておられる。お答えしたとおり、一般人が処罰されることはないのです。
治安維持法だって、一般人は処罰されることはなかったわけですよ。天皇制を否定したり、社会革命をたくらむような、当時の国賊・非国民を取り締まったわけで、けっして善良な一般人が取り締まりの対象となったわけではないのです。
Q 具体例でお伺いしましょう。
労働組合が、団体交渉での使用者側の姿勢が不誠実だ、のらりくらりの回答でいっこうに進展しない。もう我慢できない。みんなで社長をカンヅメにしててつやの交渉をやろうと相談をした。徹夜になりかねないから、おにぎりを買っておこうとコンビニで買い物をした。つまり、物品の手配です。
277の対象犯罪の一つに、組織的監禁罪がはいっています。すると、おにぎり購入の時点で、共謀罪が成立し、その後交渉は急転妥結して徹夜交渉にはならなかった。それでも犯罪は成立するということになりませんか。
A 乱暴な組合員たちですね。日常的な監視が必要だとは思いますが、共謀罪で処罰できるかどうか、「テロ等準備罪」として処罰可能かどうか、なんともお答えのしようがない。
Q つまり、犯罪が成立しうるから検討が必要だということですね。
A それはそのとおり。犯罪が成立するか否かは、常に微妙な事実の問題を含んで諸般の事情をよく調べなければなりません。
Q 諸般の事情をよく調べるとは、つまり、とりあえず逮捕や家宅捜査をしなければならないと言うことではありませんか。
A それは、そのとおりであることもあれば、そうではないこともある。一概には申しあげられないところです。
Q 結局、共謀罪は成立しうる、少なくとも、絶対に共謀罪が成立しないわけではないということを確認しました。
共謀罪は、国民の自由な団体活動のみならず、表現の大幅な萎縮を生み出し、思想・信条の自由を侵害する、違憲なものであることが明白になりました。けっして成立させるわけにはいきません。
戦前の悪名高い治安維持法で大弾圧を受けたのは、共産党だけではありせん。出版人も、労働組合員も、平和運動も、教育運動も、宗教家もでした。
私たちは、日本国の主権者として、絶対にこのような弾圧法規の成立を許しせん。あくまで、この法案の廃案を求める国民運動の先頭に立つ覚悟を述べて、締めくくりの言葉とさせていただきます。会場の皆様のうちで、共謀罪の廃案にご賛同いただける方には拍手を
A お答えのまえに、一言申しあげます。
今、あなたのご質問に「共謀罪法案」という法案名が出てきました。しかし、「共謀罪法案」ではございません。正確には「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案」でありまして、これを提案者である内閣は「テロ等準備罪法案」と略称しているわけででございます。
法律の名称は、正確におっしゃっていただきたい。あなた方は、すぐにレッテルを貼りたがるが、これまで3度廃案となった「共謀罪法案」と今回提案の「テロ等準備罪法案」とはまったく違うものであることを最初に申しあげておきます。
Q えっ? では、これまで3度廃案となった「共謀罪」と、今回提案の内閣が「テロ等準備罪法案」という法案が、どう違うのか。そこから、ご説明をいただきましょうか。
A まず、分かり易いところでは、テロ等準備罪の対象となる犯罪の数が違います。
共謀罪法案では、実行行為への着手がなくても共謀の段階で処罰される犯罪の数は、676もあったのです。今回は、これをわずか91本の法律の、たった277罪に絞り込んだのです。どうです。676を277ですよ。全然違うでしょう。
Q 数の違いは大したことではありません。これこそ現代版「五十歩百歩」というべきでしょう。刑法や憲法の大原則を崩していることが問題なのではありませんか。
A いや、もちろん数だけというわけではありません。何が犯罪で、何が犯罪ではないかかが大変明瞭になったのです。
ご存じのとおり、「共謀罪」という罪を新たにつくろうということではありません。277の今ある罪を、「共謀」の段階でつかまえようと言うことです。具体的には、今ある組織的犯罪処罰法という法律に、6条の2という、分かり易い条文を新設することにしました。どんなに分かり易いか、その新設条文を読み上げてみましょう。
「次の各号に掲げる罪に当たる行為で、テロリズム集団その他の組織的犯罪集団(団体のうち、その結合関係の基礎としての共同の目的が別表第三に掲げる罪を実行することにあるものをいう。次項において同じ。)の団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を二人以上で計画した者は、その計画をした者のいずれかによりその計画に基づき資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為が行われたときは、当該各号に定める刑に処する。ただし、実行に着手する前に自首した者は、その刑を減軽し、又は免除する。
一 別表第四に掲げる罪のうち、死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮の刑が定められているもの 五年以下の懲役又は禁錮
二 別表第四に掲げる罪のうち、長期四年以上十年以下の懲役又は禁錮の刑が定められているもの 二年以下の懲役又は禁錮」
どうです。分かり易いでしょう。あとは、別表四と、別表三に書いてある277の罪のリストを探し、条文をよく読めばよいのです。しかも、捜査機関が濫用しないよう、厳格にいくつもの縛りがかけられていることがよくお分かりでしょう。
Q よくお分かりでしようと言われても、ちっとも、分からない。
「人を殺す」「人を傷つける」「財物を窃取(せっしゅ)する」という条文の記載なら、分かり易い。この共謀罪はことさらに分かりにくく作られているではありせんか。こんな条文がどう使われるのか、不安でなりません。
本筋に戻って、いったいなぜ、いま4度目の法案提出となったのかその理由をお聞かせください。
A これは、国際組織犯罪防止条約の批准のために必要な法案であると考えております。
この法案が成立すれば、条約の批准ができます。そうすることで、効果的に国際的な組織犯罪を防止し,テロをも防止することができます。
この条約は平成15年9月に発効しています。この条約については,同年5月にその締結について国会の承認を得ておりますが、我が国としても,早期に批准することが必要です。我が国も,国際社会の一員として,この条約を早期に批准し,国際社会と協力して,一層効果的に国際的な組織犯罪を防止するため,この条約が義務付けるところに従い,「テロ等準備罪」を新設する必要があることをご理解ください。
Q 国際組織犯罪防止条約、これはテロ対策とは無関係でしょう。だいたい何年に締結された条約ですか。
A 平成12年です。
Q 西暦2000年ですね。2001年の9・11事件の前年のことじゃないですか。テロが国際的な関心事になる前の条約ですよ。この条約はパレルモという都市で締結されて、パレルモ条約とも呼ばれているわけですが、パレルモとは、イタリア、シチリア島の最大都市でマフィアの本拠地といわれているところ。マフィアやヤクザ、そういう組織犯罪を対象にした条約ではありませんか。経済的なマネーロンダリングを防止することを主たる目的とした条約であって、政治的なテロを対象にした条約ではないことをお認めいただきたい。
A あなたは、よく勉強なさっているようですが、組織的な犯罪に対する対応は、経済的なマネーロンダリング防止だけではなく、この際、今や待ったなしのテロ対策を盛りこんだ方がよいに決まっていると考えています。
Q 新たな刑罰法規を作ろうというのですから、差し迫った必要性がなくてはならないわけです。我が国に、テロが差し迫っているというのでしようか。日本がテロの脅威にさらされているという具体的な根拠をお示しください。
A 世界中で、不安定な地域がたくさんあります。これだけ安全保障体制が揺らいでおるわけでありまして、先進諸国、たとえばアメリカでの9・11事件、イギリス・ロンドンでの連続爆破テロ、フランス・パリでの出版社襲撃事件などが起こっているわけです。
日本だけが、これらの事件に目を背けていていいのでしょうか。自由と民主主義・人権という共通の価値を守るために、憎むべきテロリストとの戦いに、日本だけが安穏としていることはできないのです。
Q 世界の情勢を聞いているのではありません。立法事実として、つまり、新たな法律を作らなければならない根拠として、日本にテロの具体的な危険があるかとお聞きしています。
A それはいろいろな考え方がありえます。日本人が、イラクやシリアで誘拐され、殺害される事件も起こっている。
Q 日本でのテロが差し迫っている状況にあるのかと聞いています。
A 我々は、テロの脅威から、国民を守るべき責務を負っております。常に備えなければならないのです。オリンピックも迫っております。安全なオリンピックを開催するためにも、どうしてもテロ等準備罪は必要なのです。
Q 日本にテロが迫っていると、あなたですら言えないような状態で、どうして包括的な共謀罪が必要と言えるでしょうか。
国連のテロ防止関連条約は13件あり、日本はすべてその批准を終え、それに対応した国内法の整備もできているではありませんか。たとえば、「テロリズム資金供与防止条約」「プラスチック爆薬探知条約」「核物質の防護に関する条約」「空港不法行為防止議定書」「海洋航行不法行為防止条約」「プラスチック爆薬探知条約」「爆弾テロ防止条約」などなど。テロ対策の法整備はきちんとされており、共謀罪法案が成立しなければテロ対策がされていない訳ではありません。
どうして、屋上屋を重ねるような、「共謀罪」の新設が必要でしょうか。
A 政府といたしましては、国民をテロから守る責務を負うものです。何重に屋を重ねても、念には念を入れて、国民の安全を守る法律を作ろうとしているわけでございます。
Q 問題は、不必要な法律というだけのものではなく、国民の人権を侵害する有害な法律であるということなのです。この共謀罪法案、もし成立してしまったら、犯罪の実行とは無関係に、ただ話し合っただけで処罰されてしまうのではありませんか。
A そういう印象操作はやめていただきたい。絶対にそんなことは、ないのであります。先ほど読み上げた条文に書いてあったとおり、まずは、組織的犯罪集団の団体の活動でなければ、処罰されることはありません。しかも、共謀が成立しただけ、つまり計画しただけでは犯罪が成立しないことは、法文上明らかであります。「準備行為」が必要なのです。一般の方が話しているだけで犯罪者になるなど、絶対にあり得ません。
Q では「組織的犯罪集団」から、お伺いします。労働組合や、市民団体が組織的犯罪集団に当たることはないのでしょうか。
A 組織的犯罪集団だけしか、対象とならないことは、明文で規定しております。
適法な活動をしている労働組合や、その他の団体は、その目的が犯罪はないのですから、当然対象とはなりません。繰り返しますが、この法律はテロリズム集団その他の組織的犯罪集団を取り締まるのが目的で、一般の方には無関係なのです。
Q 更にお尋ねします。既に存在する適法な団体の目的が、ある時点から犯罪目的に変化したと認定することはあり得ないのですか。
A 一般論としてお答えすると、この法律は組織的犯罪集団の組織的行為だけを処罰対象とし、一般人は対象とならないことは申しあげたとおりです。しかし、もしこれまでは合法的な活動をしていた団体が、ある時点から犯罪を企む集団となったとすれば、すでにその集団の構成員は一般人ではないのです。適法な団体の目的が、ある時点から犯罪目的に変化することがないとは言えません。
Q おや、大変な答弁が出た。つまり、「この法律が罰するのは、一般国民ではない」という意味は、「この法律が罰するときには、既に一般人ではないからだ」と、こういうことではありませんか。これでは、何の縛りにもならないではありませんか。
A あなたの解釈は、あまりに一方的で偏っているのではないでしょうか。重大犯罪を目的とする団体に、それと知って属しているということは、一般国民の目から見て、一般人とは呼べないことは通常の感覚ではないですか。
Q 企業でも、市民団体・労働組合、サークルでも、適法な通常の団体が、ある時点から犯罪目的だと認定されることはありうるのだから、国民誰でも、共謀罪の犯罪者になり得るということじゃないですか。
A 重大な犯罪を計画している団体に属して、具体的な重大犯罪を計画していたらできるだけ早期に、摘発せられるべきは当然ではありませんか。
Q ついに、国民の誰もが共謀罪適用の対象になりうることが分かりました。しかも、犯罪目的があるかどうか、計画があるかどうか、捜査段階では、判断するのは、裁判所ではなく、捜査機関。つまりは警察になるわけです。その結果、警察が、国民生活に監視の目を光らせ、あらゆる団体が犯罪目的をもっていないかを調べる。これは、まさに現在の治安維持法ではないか。
A 全くそうではございません。
治安維持法は、私有財産制を否定し、国体を変革しようとするという、思想そのもの、つまり、犯罪とは切り離して、特定思想を有する団体を結成すること、加入することを処罰する法律でございます。
今回の、テロ等準備罪は、思想のみを処罰するのものではありません。準備行為という外に表れた具体的行為の存在を要求しています。
Q いったい、その準備行為とは、どのようなものだというのですか。
A 先ほど、分かり易い条文を朗読したなかに書いてあったじゃありませんか。もう一度その部分だけを読見上げて見ましょう。
「資金又は物品の手配、関係場所の下見その他の計画をした犯罪を実行するための準備行為」というものです。
Q 「資金又は物品の手配」と言えば、ATMから現金を下ろすこと、コンビニで買い物をすること、日常の行為じゃないですか。「関係場所の下見」と言えば、散歩も花見も含まれる。これじゃ誰もがつかまるじゃないですか。
A だから、一般人か、怪しい奴か、常日頃から警察が監視しておけばよいのですよ。監視を徹底させておきさえすれば、きのこ狩りでも、双眼鏡をもって花見をしても、一般人は安心なのです。怪しいやつだけをつかまえるのです。
Q 結局は怪しいか怪しくないかは、捜査機関が判断する。政府に批判的な活動をしていると、犯罪を行っているとして、捜査の対象とされかねない。しかも、計画と準備で犯罪が成立するのだから、団体監視を常に行うことが主たる捜査方法になることは明白ではありませんか。団体に対する警察の監視、団体内部でも密告を恐れて活動が萎縮する。これこそ治安維持法そのものではないですか。
A あなたは、少し感情的になっておられる。お答えしたとおり、一般人が処罰されることはないのです。
治安維持法だって、一般人は処罰されることはなかったわけですよ。天皇制を否定したり、社会革命をたくらむような、当時の国賊・非国民を取り締まったわけで、けっして善良な一般人が取り締まりの対象となったわけではないのです。
Q 具体例でお伺いしましょう。
労働組合が、団体交渉での使用者側の姿勢が不誠実だ、のらりくらりの回答でいっこうに進展しない。もう我慢できない。みんなで社長をカンヅメにしててつやの交渉をやろうと相談をした。徹夜になりかねないから、おにぎりを買っておこうとコンビニで買い物をした。つまり、物品の手配です。
277の対象犯罪の一つに、組織的監禁罪がはいっています。すると、おにぎり購入の時点で、共謀罪が成立し、その後交渉は急転妥結して徹夜交渉にはならなかった。それでも犯罪は成立するということになりませんか。
A 乱暴な組合員たちですね。日常的な監視が必要だとは思いますが、共謀罪で処罰できるかどうか、「テロ等準備罪」として処罰可能かどうか、なんともお答えのしようがない。
Q つまり、犯罪が成立しうるから検討が必要だということですね。
A それはそのとおり。犯罪が成立するか否かは、常に微妙な事実の問題を含んで諸般の事情をよく調べなければなりません。
Q 諸般の事情をよく調べるとは、つまり、とりあえず逮捕や家宅捜査をしなければならないと言うことではありませんか。
A それは、そのとおりであることもあれば、そうではないこともある。一概には申しあげられないところです。
Q 結局、共謀罪は成立しうる、少なくとも、絶対に共謀罪が成立しないわけではないということを確認しました。
共謀罪は、国民の自由な団体活動のみならず、表現の大幅な萎縮を生み出し、思想・信条の自由を侵害する、違憲なものであることが明白になりました。けっして成立させるわけにはいきません。
戦前の悪名高い治安維持法で大弾圧を受けたのは、共産党だけではありせん。出版人も、労働組合員も、平和運動も、教育運動も、宗教家もでした。
私たちは、日本国の主権者として、絶対にこのような弾圧法規の成立を許しせん。あくまで、この法案の廃案を求める国民運動の先頭に立つ覚悟を述べて、私の質問を終わります。
お願いいたします。
盛大な拍手をありがとうございました。
(2017年5月18日)
国会議員会館前の通路を人が埋めつくしている。連日行われている共謀罪法案反対の抗議行動。正午から1時間が集会。13時30分から16時まで座り込み。そして、18時30分から1時間の集会。これが連日のスケジュール。
昼休みの1時間。各団体の幟旗が林立し、思い思いのプラカードを持った人々が集まってくる。野党の議員が審議の内容を報告する。沖縄からの訴えがある。出版人からのアピールが行われる。見込み捜査に対する警告の発言がある。
そして、コール。
共謀罪は絶対ハイアン
今すぐハイアン
強行採決絶対ハンタイ
審議を尽くせ
採決するな
憲法守らぬ内閣イラナイ
アベ内閣はイラナイイラナイ
アベ内閣は今すぐタイジン
タイジン タイジン
さらに、「一般人が処罰対象になることはない」という法相のインチキ答弁に対する怒りのスピーチが繰り返される。
詭弁というものがある。「白馬非馬(白馬は馬にあらず)」論がその典型。白馬は白い、馬は白いとは限らない、ならば白馬と馬とは違うものだ。だから、白馬は馬ではないという論法。
「一般人は共謀罪の処罰対象にならない」論も、白馬非馬に劣らない新型詭弁。一般人とは違法なことをしない人、違法なことをするのは一般人ではない。処罰されるのは違法なことをした人だけだ。だから、一般人が処罰対象になることはない。バカバカしい「論理」。これぞ、詭弁。
馬への課税を逃れるための論法としての「白馬非馬」論は、現実の役には立たなかったと伝えられている。「一般人は共謀罪の処罰対象にならない」論も、共謀罪成立後の現実において、人権侵害の防止になんの役にも立たない。共謀罪成立までの方便。まさしく、これぞ詭弁。
こんな詭弁論争で、衆議院法務委員会での共謀罪法案審議が深まりを見せないまま、強行採決日程が噂されている。6月18日の予定は延びたものの、「週末にも」「来週冒頭にも」などと報じられている。議論の内容ではなく、数の力だけがものをいう世界となってしまっている。これは、議会制民主主義の衰弱であり、危機と言ってもよい。
ところで、今朝(5月16日)の朝刊。政府広報紙の読売・産経だけでなく、毎日までがトップを皇族の婚約記事とした。これが大きなニュースか。これが国民に伝えるべきトップニュースなのか。共謀罪審議で国会が揺れ、アベ友学園事件追及に新展開があり、加計学園事件に新資料も出てきた。トランプのアメリカもEUも多難、報じなければならないことは山積しているこの今において、である。これがめでたいニュースか。祝意の強制は迷惑千万。こんなことをおめでたがっている国民こそがオメデタイ。
とんでもない時代になりそうな元凶の一つは小選挙区制、加えて政党助成金である。比較第一党の自民が不当に多数の議席を獲得し、少数野党の議席数が不当に少ない。そして、派閥ではなく党中央に権力が集中する。このようにしたのは小選挙区効果であり、政党助成金効果にほかならない。こうして、アベ一強体制ができ、特定秘密保護法に戦争法の強行が続き、さらにいま共謀罪なのだ。
だから、心の底から思う。
憲法守らぬ内閣イラナイ
アベ内閣はイラナイイラナイ
アベ内閣は今すぐタイジン
タイジン タイジン
(2017年5月17日)
5月26日、日本弁護士連合会は2017年度の定期総会を開催する。以下が、その総会で付議され採択予定の宣言案である。「改めて憲法の意義を確認し、立憲主義を堅持する」との表題が付せられている。
「日本国憲法が施行されて、今年で70年を迎えた。今日、国家による自由への介入の強化、恒久平和主義に反する集団的自衛権の行使を可能とした安保法制など立憲主義の危機ともいえる状況が生じている。今こそ、70年の歴史を振り返り、また、人権侵害と戦争をもたらした戦前への深い反省の下、この憲法が、近代立憲主義を継承し、先駆的な規定を設けたことの意義と、市民の取組のよりどころとしての役割を果たしてきたことを、未来に向けての指針として、この危機を乗り越えていくことが求められている。
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものであり、私たち一人ひとりが、不断の努力により自由と権利を保持し、立憲主義を堅持する責務を負っていることを確認することが、何よりも重要である。
当連合会は、改めて基本原理である基本的人権の尊重、国民主権、恒久平和主義と、それらを支える理念である立憲主義の意義を確認し堅持するため、今後も市民と共にたゆまぬ努力を続ける決意である。」
実は、昨年(2016年)10月の人権擁護大会でも、日弁連は「憲法の恒久平和主義を堅持し、立憲主義・民主主義を回復するための宣言」を採択している。2005年の同大会でも、「立憲主義の堅持と日本国憲法の基本原理の尊重を求める宣言」である。このところ、「立憲主義の堅持ないし回復」が重ねての意見表明を必要とする大きな課題として意識されている。「立憲主義」が揺らいでいる。あるいは危機が忍びよっているということなのだ。
堅持あるいは回復の宣言を重ねなければならない「立憲主義」とは何であるか。その説明を日弁連自身が次のように述べている。
「国民が制定した憲法によって国家権力を制限し、人権保障をはかることを『立憲主義』といい、憲法について最も基本的で大切な考え方です。」
したがって、立憲主義が揺らいでいる、あるいは危機にあるということは、憲法によって制限されているはずの国家権力が制約から外れて暴走しているということだ。憲法が、国家権力を縛りつけておく力量を喪失しつつあると危惧せざるを得ない事態なのだ。
その傾向は、安倍政権誕生以来著しい。あるいは、立憲主義が危うくなる時代状況が安倍政権を生み出したのかも知れない。いずれにせよ、安倍内閣と立憲主義は、相容れない関係にある。したがって本来は、暴走する安倍政権に警告を発すべきが筋である。あるいは、安倍政権を支えている諸勢力に、立憲主義尊重を突きつけなければならない。
しかし、弁護士全員の強制加盟団体である日弁連である。まさか安倍退陣を迫るなどできようはずもない。結局のところ宣言は、「私たち一人ひとりが、不断の努力により自由と権利を保持し、立憲主義を堅持する責務を負っていることを確認する」「当連合会は、改めて立憲主義の意義を確認し堅持するため、今後も市民と共にたゆまぬ努力を続ける決意である」として、「私たち一人ひとり」と「当連合会の努力」の課題にとどめている。
とはいえ、宣言案には、職能集団である日弁連の危機意識も相当強く滲み出ている。
「今日、国家による自由への介入の強化、恒久平和主義に反する集団的自衛権の行使を可能とした安保法制など立憲主義の危機ともいえる状況が生じている。」というのだ。
「国家による自由への介入の強化」の最たるものが、共謀罪創設のたくらみであろう。特定秘密保護法もしかり。総務大臣の電波メディアへの「停波恫喝」もしかり。沖縄での平和運動への暴力的介入もしかりである。
「恒久平和主義に反する集団的自衛権の行使を可能とした安保法制」も、立憲主義危機の顕著な徴表である。何しろ、憲法に縛られるはずの内閣が、「気に入らない憲法だから、解釈を変えてしまえ」と、閣議決定で憲法解釈を覆してしまったのだ。明文改憲ができないから、閣議決定で「壊憲」に及んだというべき事態である。
「今こそ、人権侵害と戦争をもたらした戦前への深い反省の下」も、含蓄が深い。対峙しているのが、「戦後レジームからの脱却」を呼号し、「(伝統の)日本を取り戻す」とスローガンを掲げる現政権なのだから。
「この憲法を…未来に向けての指針として、この危機を乗り越えていくことが求められている。」というのは、断固現行憲法を擁護するという宣言である。私は、その点でこの宣言案を支持する。
「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものであり、私たち一人ひとりが、不断の努力により自由と権利を保持し、立憲主義を堅持する責務を負っていることを確認することが、何よりも重要である。」は、明らかに憲法97条を下敷きにした文章。周知のとおり、自民党の改憲草案は同条の全文削除を提案している。ここにも、日弁連の日本国憲法堅持の姿勢を見て取ることができる。
権力には絶えざる批判が必要である。しかし、権力は、批判をきらい、社会の全てを支配し膝下におこうという衝動を常にもつ。そのような権力に、一歩も引くことなく対峙すべきことを使命とする幾つかの部門がある。ジャーナリズムがそうであり、大学がそうだ。けっして権力の支配に組み込まれてはならず、権力から距離を持ち、独立していなければならない。司法もそうだ。とりわけ、在野法曹は権力から独立し、必要な批判を怠ってはならない。今こそ、在野性に徹した権力批判が必要なときなのだ。
(2017年5月16日)
国政も国際情勢も慌ただしいが、身近なところで都議選が近い。人も車も動き出した。候補者の声が聞こえる。ポスターもにぎやかになってきた。
「改憲と共謀罪にノー」という勢力に、都政でも大きく伸びてもらいたい。自民・公明・維新の保守ブロックと、公明との連携を明確にした「都民ファーストの会」(以下、「都ファ」)には、小さく縮んでもらいたい。
何が都議選のテーマか。話題になるのは、まずは築地市場の移転の是非。築地を建て直すことでいいじゃないか派と、新設豊洲への早期移転派の角逐。後者は実のところは、都政を財界に売り渡し、大規模再開発推進第一の立場なのだ。もちろん、食の安全も絡んでいる。今のところ、自公の豊洲移転促進と、共産の築地でいいじゃないかの対立の図式。都ファは、この最大関心事にまだ態度未定という。知事派でありながら、信じがたいこの無責任。
次いで、住民福祉だ。保育園と特養問題。そして、良くも悪くもオリンピック。開発が伴うことから資本が群がるが、都民の側から見れば浪費と疑惑にまみれた、時代錯誤の大イベント。今さら中止は難しかろうが、狂騒とコストを最小限に抑えなければならない。防災問題もある。中小企業支援も…。
教育問題も注視しなければならない。従来からの小池百合子という政治家の国家主義的姿勢を懸念せざるを得ない。この点では、舛添さんの方が、はるかにマシだった。
5月11日の朝日が次のように報道している。
「この春、東京都内にある七つの都立看護専門学校の入学式は、いつもと少し様子が違った。小池百合子・都知事が議会で『要望』したのを受けて、今回から式典に国歌斉唱を採り入れたからだ。小池氏の狙いとは。
『国歌斉唱。ご起立ください』。都立広尾看護専門学校(渋谷区)で4月10日にあった入学式。『君が代』の演奏が流れ、新入生と在校生が歌い出した。都によると、他の看護専門学校でも国歌斉唱があった。今回が初という。
知事の発言『忖度』
きっかけは、小池氏の(議会での)発言だった。3月の都議会で自民都議の質問に答える形で『グローバル人材の育成の観点からも、国旗や国歌を大切にする心を育むことこそ重要』などとし、看護専門学校や首都大学東京の入学・卒業式での国歌斉唱を『望んでいきたい』と述べた。
その月末。関係者によると、看護専門学校の校長が集まる会議で、入学式で君が代を歌うことを申し合わせたという。都の関係者は『知事が答弁したことなので。まあ、今はやりの「忖度(そんたく)」なのかもしれませんけど』と言う。」
あの石原慎太郎都知事の時代に、教育長名の悪名高き「10・23通達」が発出されて、都内の都立高校と特別支援学校、そして公立中学校・小学校は、例外なく苛烈に「日の丸・君が代」の強制が実行された。しかし、石原の時代にも、石原後継知事の時代にも、都立看護専門学校に「日の丸・君が代」は持ち込まれなかったのだ。看護師と「日の丸」、医療と「君が代」。どう考えても、似つかわしくない。それが、小池都政1期目で、全看護専門学校の入学式に「日の丸・君が代」である。
朝日の記事にある、「3月の都議会で自民都議の質問」というのが、以下のとおりである。質問者が、自民党の松田康将(板橋)、元は下村博文の秘書だったという人物。下記のとおりのお先棒担ぎ。
○松田 …都立の学校教育施設であっても、福祉保健局所管の都立の看護学校七校では、国旗掲揚はされているものの、国歌の斉唱はありません。また、独立行政法人ではありますが、公立大学首都大学東京の入学式、卒業式においても同様であると伺っております。
平成二十七年六月には、当時の下村博文文部科学大臣が、国立大学長を集めた会議で、各大学の自主判断としながらも、…事実上の実施要請をしたことによって、今年度の入学式では、新たに六校で国歌斉唱が行われました。
都立の看護学校、首都大学東京と、どちらも学習指導要領の法的拘束力が及ばない教育施設ではありますが、…入学式、卒業式において、国歌斉唱をされるのは自然であると考えますが、小池知事の見解を伺います。
○小池 教育に関してのご質問でございます。国旗・国歌、国民の自覚と誇りを呼び起こすものとして、いずれの国でも尊重されていると、このように認識しております。また、グローバル人材の育成の観点からも、国旗や国歌を大切にする心を育むということこそ重要かと考えます。
…今ご指摘がございました都立の看護専門学校、そして、首都大学東京でございますが、ご指摘のとおり学習指導要領の適用が及ばないことにはなります。しかしながら、いわゆる国旗・国歌法の趣旨を踏まえますと、例えば、都立の看護専門学校におきましては、国旗掲揚は行われているが、国歌の斉唱は行われていない、しかしながら、国歌の斉唱を進めることを望みたいと思います。それから、首都大学東京におきましても、国旗の掲揚は行われているけれども、国歌の斉唱については行われていないという報告を受けておりますが、これも国歌斉唱についても行うよう望んでいきたいと思っております。
○松田 保守政治家としての小池百合子都知事、さすがです。ありがとうございます。
なんとも自民党内右派と相性抜群の小池都政なのだ。こんな知事を持ち上げてはならない。
「『日の丸・君が代』不当処分撤回を求める被処分者の会」事務局の近藤徹さんから、下記のコメントをいただいた。
「小池都知事は日本会議国会議員懇談会副会長の『実績』の持ち主。教育観は、「都民ファースト」どころか「『君が代』ファースト」だ。「日の丸・君が代」を強制する10・23通達(2003年)に基づく延べ480人もの教職員の大量処分に象徴される権力的教育行政を見直そうという「気配」もない。
今年度より厚労省の保育所の運営指針、文科省の幼稚園の教育要綱に「国旗・国歌に親しむ」と明記され、小中高校で「日の丸・君が代」が強制され、学習指導要領に「指導するものとする」とされ、それを専門学校・大学まで広げ、幼児から大学生まで「日の丸・君が代」で染め上げようというのだ。
安倍政権の『教育勅語』や「ヒットラーの『わが闘争』の教材化容認の閣議決定は、つい最近のこと。そして安倍首相の『2020年までに改憲を』の発言。その先にあるものは、「日の丸・君が代」強制を道具にして『お国(天皇)のためにいのちを投げ出せ』ということだ。悲惨な痛恨の歴史を繰り返してはならない。『子どもたちを戦場に送るな』の誓いを新たにしよう。」
まったく同感である。都議選では、「自・公・維+都ファ」が、全て都民福祉と民主主義教育の敵だ。
(2017年5月15日)
5月11日の毎日新聞朝刊に「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案要綱 全文」が掲載されている。伝えられているところでは、ほぼこのとおりに法案が作成され、19日に閣議決定されて国会に提出されるという。これを読みながら考えた。
「吾輩は猫である」は、一人称の話者が猫という動物の範疇に属する個体であることを意味している。「である」は断定を表しているが、必ずしもなくても意味が通じる。しかし、文豪が「である」を選んだのだ。「吾輩は猫だ」「吾輩は猫なり」「猫なるぞ」「猫なのだ」「猫よ」「猫なの」「猫なのよ」「猫です」とは違った、「である」特有のニュアンスを読みとらねばならない。なくても意味が通じるとは言えども、重要な役割を担っている。
やや格式張った「である」が、滑稽味十分に活用されている。これが、「吾輩は猫であるのである」「吾輩は猫なのであるのである」と言えば、おふざけの文章になる。あるいは知性に欠けた一昔前の政治家の演説。いまどき、こんな言い回しはあるまいと思われようが、お目にかかった。「であるのである」調に。この要綱案にに出てくるのであるのである。おそらくは諧謔味を多分に盛りこんで、読者を退屈させない工夫なのであるのであろう。
「退位した天皇は、上皇とするものとすること。」
「上皇の敬称は、陛下とするものとすること。」
「上皇のきさきは、上皇后とするものとすること。」
「皇嗣職が置かれている間は、東宮職を置かないものとするものとすること。」
などなど…。まさか、このまま法律になるはずもないものとするものではあろうが、この特例法全体の文章には、まったくしまりがない。
第1条になる「趣旨」は以下のとおり。
「この法律は、天皇陛下が、昭和64年1月7日のご即位以来28年を超える長期にわたり、国事行為のほか、全国各地へのご訪問、被災地のお見舞いをはじめとする象徴としての公的なご活動に精励してこられた中、83歳とご高齢になられ、今後これらのご活動を天皇として自ら続けられることが困難となることを深く案じておられること、これに対し、国民は、ご高齢に至るまでこれらのご活動に精励されている天皇陛下を深く敬愛し、この天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感していること、さらに皇嗣である皇太子殿下は57歳となられ、これまで国事行為の臨時代行等のご公務に長期にわたり精勤されておられることという現下の状況に鑑み、皇室典範第4条の規定の特例として天皇陛下の退位及び皇嗣の即位を実現するとともに、天皇陛下の退位後の地位その他の退位に伴い必要となる事項を定めるものとすること。」
文意をとりやすいように、段落をつけてみる。
「この法律は、
(1) 天皇陛下が、昭和64(1989)年1月7日の御即位以来28年を超える長期にわたり、国事行為のほか、全国各地への御訪問、被災地のお見舞いをはじめとする象徴としての公的な御活動に精励してこられた中、83歳と御高齢になられ、今後これらの御活動を天皇として自ら続けられることが困難となることを深く案じておられること、
(2) これに対し、国民は、御高齢に至るまでこれらの御活動に精励されている天皇陛下を深く敬愛し、この天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感していること、
(3) さらに、皇嗣である皇太子殿下は、57歳となられ、これまで国事行為の臨時代行等の御公務に長期にわたり精勤されておられること
という現下の状況に鑑み、
皇室典範第4条の規定の特例として、
天皇陛下の退位及び皇嗣の即位を実現するとともに、
天皇陛下の退位後の地位その他の退位に伴い必要となる事項を定めるものとする。」
大意は、「特例として、天皇の退位及び皇嗣の即位を実現する」ということ。その特例を認める趣旨ないし理由が、もったいぶった「現下の状況」として、上記(1) (2) (3)に書きこまれている。
(1) は現天皇(明仁)の事情である。高齢のため、「国事行為」と「象徴としての公的な活動」の継続が困難になったことを「案じている」という。
(2) は国民の側の事情である。天皇を敬愛し、天皇の気持ちを理解し共感している、という。
(3) は皇太子(徳仁)の事情である。57歳になり、国事行為の臨時代行等の経験がある、という。
だから、「生前退位の特例を認めてもよかろう」という趣旨なのだが、問題山積といわねばならない。
(1) は、天皇(明仁)の強い意向を忖度して、わざわざ立法するということだ。天皇の意向を忖度し尊重するとは、いまどき天皇の威光を認めるということではないか。なんの権限も権能も持たず、持ってはならない天皇の意向の扱いとして、明らかに憲法の趣旨に反する。
高齢のため、「国事行為」に支障をきたせば摂政を置けばよい。「象徴としての公的な活動」はもともとが憲法違反なのだから、しないに越したことはない。この特例法が、天皇の「象徴としての公的な活動」を公的に認めることは、違憲の疑い濃厚な大問題である。
(2) は、越権甚だしい。天皇を敬愛し理解し共感する国民もいるだろう。しかし、敬も愛もせず、理解や共感とも無縁な国民も現実に存在する。けっして少なくはないこのような人々に、敬愛や理解・共感を押しつけてはならない。仮に天皇を敬愛しない者がたった一人であったとしても、このような価値観に関わる問題について、国民を一括りにしてはならない。国民一人ひとりに、思想・良心の自由があり、その表現の自由がある。全国民が天皇を敬愛しているなどとの表現は、厳に慎まなければならない。法律に書き込んではならないのだ。
(3) はさっぱり訳が分からない。忖度すれば、「皇太子も、もう歳も歳だし、これまでの経験もあるから、天皇の役割が務まるだろう」ということのようだ。こんなことを法律に書き込むのは、当人にはまことに失礼ではないか。もっとも、天皇とは憲法上決められた形式的な事項を行うだけの存在で、何ら資質や能力を要求されない。だから、わざわざ(3)を書く必要はまったくない。
天皇とは、憲法上の存在ではあるが、主要なアクターではない。その存在を可及的に小さくすることが、憲法本来の要請である。いささかも国民主権の障害物となってはならない。権威や威光を認めてはならない。生前退位を認めるために、法律に余計なことを仰々しく書き込むには及ばないのだ。
(2017年5月14日)
国民的映画シリーズ「男はつらいよ」にしばしば出て来るのがサクラ。倍賞千恵子演じる寅次郎の妹ではなく、露天商の常套手口としてのサクラ。当て字で「偽客」と書いてサクラと読ませる。なるほど「偽の客」だ。
ものの本によれば、語源は江戸時代の芝居小屋だとか。小屋主が雇った見物人役が、見物席から役者に声をかけて場を盛り上げる。「パッと派手に景気よくやってパッと消える」ことが桜を連想させてのサクラ。見物人の一人と思わせる立場性が重要で、以後芝居に限らず営業主とつるんだ偽客をサクラというようになったとされる。
芝居の掛け声なら客に実害はない。しかし、露天商や的屋などの売り子とつるんで客の中に入り込み、褒めそやしながら率先して商品を買ったり、わざと高値で買ったりすれば、明らかに欺罔行為への荷担だ。これを「仕込み客」というようだが、顧客一般を代表するような顔をした、実は事業者とつるんだ偽客。最近は、サプリメントのコマーシャルに出て来る「個人の感想」を述べる出演者。詐欺罪にも該当する行為に外ならない。また、ウェブサイトへの顧客誘引のためのサクラを用いた書き込みも甚だしく、これをビジネスとしている者もあるという。
今、自民党というテキ屋が日本国民という顧客に向かって、共謀罪という商品購入を勧誘している。自民党が売ろうとしているこの商品、実は買ってはいけない危険物。商品に欠陥があるという生やさしいしろものではない。そもそも危険が丸ごと商品化されたもの。これを真っ赤な嘘の数々でパッケージしてのたたき売り。
「テロ対策に必要」「社会の安全安心のために」「これを買っていただかないことには、国連の条約批准ができない」「国際社会の常識」「オリンピックに備えて」と嘘をならべたて、悪徳商法の手練手管を駆使しての声を枯らしたタンカバイ。しかし、この売り込みは、過去3度も失敗している。4度目もなかなか客の食いつきはよくない。
そこで、さっとサクラが登場する。まずは公明党。この商品を手にとって吟味するフリをして、「おや、この商品は本来とてもよい品だ。でも、ちょっとばかり嵩がはっている。少しそぎ落として、スリムにしてはどうか」。あたかも消費者目線でものを言っているかのごときが、サクラのサクラたる所以。で、676あった共謀罪群は277に縮小された。これで商品の欠陥がなくなったとばかりに、法務委員会審議が始まった。
ところが、審議は思うようには運ばない。そこで2人目のサクラが登場する。言わずと知れた、アベ自民に擦り寄りたい日和見維新である。ここにサクラの謀議が成立し、強行採決のシナリオが完成したとされる。冗談ではない。国民を甘く見るな。
報道では、「自民・公明両党と日本維新の会は11日、『共謀罪』の趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案について、取り調べの可視化(録音・録画)や、GPS(全地球測位システム)捜査の立法措置の検討を盛り込む法案修正に合意した。合意では、法案本則に取り調べなどの捜査の際、『適正の確保に十分配慮しなければならない』との内容を盛り込み、付則に、『取り調べの録音・録画を検討する』などと明記する。また、最高裁で令状が無い捜査は違法だとする判決が出た『GPS捜査』については、立法措置の検討を付則に入れる。」(朝日)という。これがどうして「法案修正」になるのか、不可解千万。サクラによる商品の印象操作にいかほどのメリットあるかも、理解し難い。
それでも、公明・維新が自民に恩を売り、自民が公明・維新をサクラとして利用して、詐欺グループ3者がダマシのテクニックで国民に危険を売り付けようとしていることは確かなのだ。
気をつけよう。季節外れの毒あるサクラ。
サクラ サクラ
5月の議会
公明はサクラ
維新もサクラ
自民にベッタリと
いざや
いざや
眉に唾して
ハイアンとせん
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なお共謀罪についての自民党宣伝の嘘については、「共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会」が、「共謀罪法案 政府・自民党の説明 10の疑問とウソ」としてまとめている。その項目だけ抜粋しておこう。
?東京オリンピック・パラリンピックのために必要?
⇒安倍首相をはじめ、誰もそんなことは言っていませんでした
?「テロ対策」のために必要?
⇒法案は「テロ対策」を目的とするものとはなっていません
?現行法ではテロが防げない?
⇒テロ関連条約の締結をはじめ、すでに実効的な措置がとられています。
?国連越境組織犯罪防止条約条約締結のために必要?
⇒共謀罪をつくらなくても条約は締結できます
?「一般人は対象とならない」?
⇒一般人も対象となることは、政府も認めています
?「準備行為」の要件があるから限定されている?
⇒「準備行為」は、誰もが日常的に行う行為です
?内心を処罰するものではない?
⇒内心を問題にして処罰することは政府も認めました
?対象犯罪を限定したから大丈夫?
⇒「組織的犯罪集団」とはまったくなじまない犯罪が多く含まれています
?「今までの共謀罪とは違う」?
⇒看板を変えても、これまで三度廃案になった共謀罪と同じです
?日本が監視社会になることはない?
⇒いまでも行われている市民の監視がもっと日常的に行われます
最後の?についてだけ、【ミニ解説】を引用しておきたい。
「共謀罪は、結果が発生せず、犯罪の実行行為もなされていない段階で、犯罪の『計画(合意)』を犯罪とするものです。『計画(合意)』段階で摘発するためには、その前から特定の市民、団体を監視対象にしなければならなくなります。
すでに、現行法のもとでも、『犯罪予防』『公共の秩序維持』を口実とした市民の監視、プライバシー侵害が横行しています。
計画(合意)段階で犯罪が成立することになれば、捜査の名の下に、さらに日常的かつ広汎な監視がなされることは明らかです。」
(2017年5月13日)
損害賠償請求書
2017年5月12日
住所
被通知人 株式会社ディーエイチシー
代表者代表取締役 吉田嘉明殿
住所
通知人 澤 藤 統一郎
2014年4月16日、被通知人は、吉田嘉明とともに原告となって、通知人を被告とする東京地方裁判所平成26年(ワ)第9408号損害賠償等請求事件を提起した。その請求の趣旨は、相原告と併せて2000万円の支払い請求と、通知人のブログ記事の削除ならびに謝罪文掲載の各請求であり、その請求原因は、通知人のインターネット上のブログ記事が被通知人らの名誉を毀損し侮辱するものとの主張であった。
同事件の訴状は同年5月16日に通知人に送達され、7月11日の進行協議を経て、8月20日が事実上の第1回口頭弁論期日となったが、その直後の同月29日請求の拡張がなされ、請求金額は相原告と併せて6000万円となった。
同事件は、2015年9月2日に請求を全部棄却した判決言い渡しとなったが、被通知人ら両名は東京高等裁判所に控訴し、控訴審は第1回口頭弁論期日に結審して、2016年1月28日控訴棄却の判決言い渡しとなった。
被通知人らはさらに最高裁に上告受理を申立てたが、同年10月4日の同裁判所不受理決定によって、本件は確定した。
以上の被通知人の本件提訴と提訴後の訴訟追行の経過は、被通知人らが民事訴訟本来の権利の救済や回復を目的として提訴したものではなく、明らかに通知人の正当な言論を嫌忌して、これを妨害し封殺しようとしたものと断じざるを得ない。何人にも裁判を受ける権利が保障されているとはいえ、かかる民事訴訟本来の趣旨目的を逸脱濫用した提訴は違法というしかない。
したがって、被通知人は、故意又は過失によって通知人の法律上保護される利益を侵害した者として、民法709条および同719条1項に基づき、吉田嘉明と連帯して通知人に生じた全損害を賠償する責任を負うものであるところ、通知人に生じた損害は、応訴の費用や職務への支障、ならびに高額賠償請求を手段とした恫喝的態様による表現の自由侵害による精神的損害等を合算して、その金額は600万円を下回るものではない。
よって、通知人は被通知人ならびに吉田嘉明に対し、連帯して、600万円の支払いを求める。
なお、仮に、被通知人が本損害賠償請求に応じない場合には、損害賠償請求の提訴をすべく準備中であることを申し添える。
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損害賠償請求書
2017年5月12日
住所
被通知人 吉田嘉明殿
住所
通知人 澤 藤 統一郎
2014年4月16日、被通知人は、株式会社ディーエイチシーとともに原告となって、通知人を被告とする東京地方裁判所平成26年(ワ)第9408号損害賠償等請求事件を提起した。その請求の趣旨は、相原告と併せて2000万円の支払い請求と、通知人のブログ記事の削除ならびに謝罪文掲載の各請求であり、その請求原因は、通知人のインターネット上のブログ記事が被通知人らの名誉を毀損し侮辱するとの主張であった。
同事件の訴状は同年5月16日に通知人に送達され、7月11日の進行協議を経て、8月20日が事実上の第1回口頭弁論期日となったが、その直後の同月29日請求の拡張がなされ、請求金額は相原告と併せて6000万円となった。
同事件は、2015年9月2日に請求を全部棄却した判決言い渡しとなったが、被通知人ら両名は東京高等裁判所に控訴し、控訴審は第1回口頭弁論期日に結審して、2016年1月28日控訴棄却の判決言い渡しとなった。
被通知人らはさらに最高裁に上告受理を申立てたが、同年10月4日の同裁判所不受理決定によって、本件は確定した。
以上の被通知人の本件提訴と提訴後の訴訟追行の経過は、被通知人らが民事訴訟本来の権利の救済や回復を目的として提訴したものではなく、明らかに通知人の正当な言論を嫌忌して、これを妨害し封殺しようとしたものと断じざるを得ない。何人にも裁判を受ける権利が保障されているとはいえ、かかる民事訴訟本来の趣旨目的を逸脱濫用した提訴は違法というしかない。
したがって、被通知人は、故意又は過失によって通知人の法律上保護される利益を侵害した者として、民法709条および同719条1項に基づき、株式会社ディーエイチシーと連帯して通知人に生じた全損害を賠償する責任を負うものであるところ、通知人に生じた損害は、応訴の費用や職務への支障、ならびに高額賠償請求を手段とした恫喝的態様による表現の自由侵害による精神的損害等を合算して、その金額は600万円を下回るものではない。
よって、通知人は被通知人ならびに株式会社ディーエイチシーに対し、連帯して、600万円の支払いを求める。
なお、仮に、被通知人が本損害賠償請求に応じない場合には、損害賠償請求の提訴をすべく準備中であることを申し添える。
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本日、上記2通の内容証明郵便による損害賠償請求書を提出した。宛先は、吉田嘉明ならびに株式会社ディーエイチシー、請求の賠償金額は合計600万円である。損害賠償請求の根拠は、吉田とDHCが私を被告として提起した民事訴訟の提起とその訴訟追行のあり方が違法で、不法行為にあたるというものである。
もとより、裁判を受ける権利は誰にも保障されている。民事訴訟を提起して敗訴したからといって、その提訴が違法で被告に生じた応訴のための損害賠償の責任が生じるわけではない。しかし、飽くまで民事訴訟という制度は、侵害された権利の救済を目的とするもの。その趣旨・目的を逸脱して、正当な言論を抑圧し封殺して、萎縮効果をねらった恫喝的な提訴となれば違法というしかない。不法行為が成立して因果関係が認められる限りの全損害を賠償しなければならないのだ。
この件は、いずれ訴訟になる。DHC・吉田のごときスラップの濫発は、連鎖的に模倣者を輩出しかねない。言論の自由に対する脅威であり、民主主義の基礎を揺るがしかねない問題でもある。
訴訟開始の暁には、経過を当ブログで逐一ご報告したい。関心をお寄せの上、ぜひともご支援をお願い申しあげる。
(2017年5月12日)
日本国憲法が施行されて70周年の2017年5月3日に相前後して、安倍晋三政権による憲法破壊の暴挙が相次いだ。
安倍首相は、5月1日に開催された「新憲法制定議員同盟」の集まりで、「改憲の機は熟してきた。必ずや歴史的一歩を踏み出す」と挨拶したのに続いて、5月3日に開催された改憲派の集会にビデオ・メッセージを寄せて、「憲法9条に自衛隊の存在を明記した条文を追加して、2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と述べた。また、日本維新の会が主張する憲法改正による教育無償化に関して、「高等教育についてもすべての国民に真に開かれたものとしなければならない」と述べ、実現に意欲を表明した。
同首相は、これを「内閣総理大臣としてではなく、自民党総裁としての意見表明だ」としているが、そのような手前勝手な「使い分け」はおよそ通用しない。憲法99条によって憲法尊重擁護義務を負い、かつ73条1号により「法律の誠実な執行」の事務を担って、66条3項によって「行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う」内閣のトップとしての立場をわきまえない、憲法無視の態度に他ならない。日限を明確にし、かつ内容もきわめて具体的な改憲発言である以上、首相の権限逸脱のそしりも免れない。この問題を国会で追及されてまともに答えずに発した「読売新聞を読め」との言は、国会軽視と自らの職責の無自覚も甚だしい。
その発言内容に着目すれば、自衛隊の存在を明記する第3項の9条への追加、いわゆる「加憲」は、9条改憲の一形態に他ならず、現行憲法を「改正」する点においては、自民党の2012年改憲案と何ら異なるところはない。自衛隊の存在を合憲化する3項を加えれば、現在の9条1項と2項の意味は自ずと変わるのであり、より端的に言って、3項によって「上書き」された2項の「戦力不保持」の規定は死文化する。そして、合憲化される自衛隊は、2015年制定の安保法制(戦争法)によって集団的自衛権行使や他国軍への「後方支援」の権限を付与された自衛隊であって、「専守防衛の自衛隊の合憲化」では決してない。3項の追加を契機にして、いずれは軍法会議や緊急事態条項の提起にまで及ぶことは必至である。また、高等教育を含む教育の無償化の問題は、あえて憲法に書き込まなくても法律の制定や予算措置で実現可能なことであり、この問題の「憲法化」は、むしろ現在の日本における喫緊の教育課題であるはずのこの問題の「先送り」を意味する。
さらに、安倍政権は、GWのさなかに、北朝鮮とアメリカとの対立と緊張が激しさを増す情勢の下、安保法制によって新設された自衛隊法95条の2による「米艦防護」の「任務」を米側の要請を受けて自衛艦に付与し、自衛艦は米艦と太平洋上を並航した。ところが、安倍首相や菅義偉官房長官らは、今回の活動の内容について国会で質問されてもつまびらかにせず答弁を拒否している。もし、自衛艦の行動が米艦の軍事作戦に対応したものであれば、状況から判断して北朝鮮に対する「武力による威嚇」に他ならず、これらは国連憲章2条4と日本国憲法9条1項に違反する危険極まりない軍事行動である。
本協会は、4月19日、「軍事力で問題は解決しない!米朝対立による戦争の危機を回避せよ」を緊急声明として発表したが、その趣旨をここでも再確認したい。今回の「米艦防護」を口実にした自衛艦の行動は、安保法制とその発動が、「軍事秘密」のベールに包まれて国民と国会の監視を受けることなく行われること、その意味において安保法制は、憲法9条に違反すると同時にアジアの平和にとって役立つどころか戦争の引き金になりかねない危険極まりないものであることを如実に示した。
私たちは、以上のような安倍首相の改憲発言と安倍政権による違憲の戦争法の発動を断固糾弾するとともに、施行70年を迎えてますますその価値が高まりつつある日本国憲法を守り、アジアひいては世界の平和のためにこれを実現していくための努力を今後とも続けていくことをここに宣言する。
2017年5月11日
日本民主法律家協会
理事長 森 英樹
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以上が本日確定し発表した、日本民主法律家協会の安倍晋三改憲発言に関する抗議声明である。
論点はいくつもあるが、本声明の特色は、「自衛隊の存在を合憲化する3項を加えれば、現在の9条1項と2項の意味は自ずと変わる」ことの指摘にある。いうまでもなく、「自衛隊」は日本国憲法上の概念ではない。問題は、これを憲法に押し込むことがどのような意味を持ちうるか。単なる現状の追認にとどまるだろうか。
7・1閣議決定と戦争法によって、自衛隊とは集団的自衛権行使可能な実力組織となっている。つまり、海外で戦争遂行が可能な装備と編成を常備し、ことある折には個別的自衛権の行使を超えた実力の行使をなしうるとの解釈が可能なものとなっている。
安倍晋三が9条3項をおくことによって合憲化しようという自衛隊は、そのような「自衛隊」なのだ。けっして、「戦力にあたらない実力組織」などという無色のものではなく、戦争法によって黒く色塗りされた、戦うことのできる「自衛隊」にほかならない。その結果、「3項によって『上書き』された2項の『戦力不保持』の規定は死文化する。そして、合憲化される自衛隊は、2015年制定の安保法制(戦争法)によって集団的自衛権行使や他国軍への『後方支援』の権限を付与された自衛隊であって、『専守防衛の自衛隊の合憲化』では決してない」と説明されているとおりなのだ。
(2017年5月11日)
本日は、表題の「会」ホームページ開設のお知らせと、幾つかのお願い。
「国有地低額譲渡の真相解明」とは、言わずと知れた「アベ友」学園事件の隠された真相を明るみに出して、解明しようということである。「アベ友学園事件」は、憲法問題でもあり、教育問題でもあり、行政の説明責任や情報の管理と開示の問題であり、行政の中立性の問題でもある。また、政治と行政の関係のあり方をめぐる問題でもあり、さらには地方教育行政の独立性の問題でもある。
「真相解明の会」は、多面的なアベ友学園問題を「国有地低額譲渡の真相解明」の一点において、徹底して追及しようとの趣旨で結成されたものである。当初は、「安倍晋三記念小学校」と首相の名を校名に冠し、首相の妻が、名誉校長に就任して広告塔を務めた小学校。まさしく、首相夫妻とズブズブの関係にあったその学校の敷地が、常識では考えられない「特例」の待遇を受け、「国有地(超)低額譲渡」の対象となった。どのような経過で、なにゆえに、国有財産処分をめぐってこのような理不尽きわまる事態が出来したのであろうか。その真相の解明から、この社会の深層の風景が見えてくるのではないだろうか。このような不合理に、国民は主権者として怒らねばならない。けっして、これをうやむやのうちに放置してはならない。
この会の実務は、阪口徳雄君を筆頭とする大阪の弁護士諸君と上脇博之さんら関西の学者のみなさんが担ってくれている。このほど、立派なホームページが立ち上がった。
その目玉は、関連事実の詳細な「年表」である。そして、公益通報(内部告発)の呼びかけや専門情報の提供のお願いなど。幾つかの記事を引用してご紹介し、ご協力をお願いしたい。
ホームページのURLは下記のとおり。
http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/
「設立の趣旨と入会のお願い」
http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/purpose/
近畿財務局は、2016年6月、学校法人森友学園に対し、小学校用地として国有地を、鑑定価格9億5600万円からごみ撤去費8億1900万円などを差し引いた1億3400万円で売却しました。
国会の審議を経た現在でも、ごみ撤去費用に関する算定資料の欠如や交渉経過の記録廃棄等、なぜこの低額譲渡がなされたかの真相は極めて不透明なままです。また、安倍首相はじめ政府の関係閣僚や官僚らは、野党が求める調査や証人喚問を拒否したり、あたかも事実を隠蔽するかのような答弁に終始したりし、多くの国民を納得させる説明がなされていないのが現状です。
このままでは国有地が異常に低額で売買された事実はうやむやにされそうであるとの「危機感」から専門家として何かできることはないかと話し合う中で、できることは何でもしようと「国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会」(略称「真相解明の会」)を結成しました。この会では
1.当面は「真相解明の会」の入会の賛同の呼びかけの呼びかけと同時に近畿財務局長に中立、公正な第三者による調査委員会の設置などの要求
2.今後、専門家として本件事件の真相解明についての調査と研究
3.多数の弁護士・研究者が自ら刑事事件として告発など
4.多数の国民が参加できる要請・告発などの呼びかけ
5.その他専門家としてできる行動はすべて行う
との方針で結成しました。
ぜひ、弁護士・研究者の各位の賛同のお願いをする次第です。
(呼びかけ人代表) 阪口徳雄(呼びかけ人) 豊川義明、大江洋一(以上大阪)、村山晃(京都)松岡康毅(奈良)、梓澤和幸、澤藤統一郎、児玉勇二、山下登司夫、中山武敏、宇都宮健児(以上東京)、野上恭道(群馬)、郷路征記(札幌)、渡辺輝人(京都)、小林徹也、由良尚文、愛須勝也、菅野園子、白井啓太郎、岩佐賢次(以上大阪)
宛先:Email:sinsokaimei@yahoo.co.jp
弁護士 岩佐賢次宛 FAX06-4302-5159
*管理の都合上、なるべく電子メールでの送信をお願いいたします。
1 「弁護士・研究者の会」に
?入会する。 ?入会しない。
入会する場合、氏名の公表は?可 ?不可
2 第三者調査委員会の要望書に
?賛同する。 ?賛同しない。
賛同する場合、氏名の公表は?可 ?不可
3 近畿財務局の職員を背任罪で告発する場合、告発人に名を連ねることは
?可 ?告発状の中身が決まった段階で積極的に検討したい。?不可
【氏名】漢字( )読み仮名( )
【連絡先メールアドレス】( )
【送付先住所】(〒 )
【電話番号】( )
【FAX番号】( )
【弁護士の方】単位会( )弁護士会、修習( )期
【研究者の方】所属( )役職( )
【メッセージを一言】( )
公益通報(内部告発)の呼びかけ
http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/yobikake/
本問題は安倍官邸が近畿財務局において「適正」に処理したという国民世論を無視した態度で真実の情報の大半が隠蔽されたままで「うやむや」に終わらせされようとしています。しかしこの問題には多くの関係者が関与し、真実または真実の周辺事実を知っているとおもわれます。
・近畿財務局、大阪航空局の職員
・大阪府の職員
・学校法人森友学園の関係者
・地中埋設物の撤去、小学校の建設に関係した従業員または下請けの関係者
・安倍昭恵夫人に付き添った中央省庁の役人の周辺の関係者
公益通報者保護法は事業者が隠蔽工作を行っている場合は外部通報をした者に不利益取り扱いをしてはならないことになっています(法第3条3号ロ・第5条1項、2項)
なお、この公益通報(内部告発)を担当する本会の代表の弁護士阪口徳雄は公益通報者保護法の制定前に「公益通報(内部告発)支援センター」を大阪の弁護士らで結成した時の事務局長として、多数の公益通報者の相談・受理にのって来た経験を有しています。(新聞記事参照)この代表の下で守秘義務を有する弁護士5名が特別この回の公益通報(内部告発)を受理して相談することになりました。
通報者の一切の秘密を守ります。
公益通報(内部告発)に当たっての留意点
1.通報先の住所(〒541?0041大阪市中央区北浜2?1?5平和不動産北浜ビル4階弁護士阪口徳雄宛)
メールアドレス「sinsokaimei@yahoo.co.jp」
FAX06?6223?5202(弁護士阪口徳雄宛)
2.メール、FAXで通報される場合は勤務先のアドレス、FAXを使わないこと。Webメール、自宅のPCなどのアドレスを使うこと
3.最初の通報には ☆通報者の知っている情報の概要 ☆関係先(それを通報すると個人情報が判る場合は省略して頂いても結構です)がわかればよく、氏名、詳細な通報ではなくてもかまいません。メールの場合は弁護士の方からメールの場合は連絡します。もし必要な場合は面談させてもらいます。但し手紙、FAXの場合は通報の場合は通報者と連絡を取りたい時のためには、氏名、連絡先を書いて頂かないと連絡ができませんのでよろしくご協力のほどお願いします。
4.形式は問いません
本件に関する専門情報の提供のお願い
今回の低額売買については地中埋設物が地下9メートルまでありその撤去費用などが8億円と高額な試算をして土地鑑定価格から控除しています。このような手法に極めて疑義があります。
・地中埋設物の調査。積算方法についてのコンサルの方かまたはゼネコンなどの業務に従事している方でそれが判る方
・国、自治体の積算関係の業務に従事されている方で今回の8億円の積算の仕方に批判、疑問のある方
・その他、今回の森友学園への低額売買などに関して専門的な見地から批判、意見がある方
などの情報も是非お願いします
?森友学園問題年表(関連情報を含む)
http://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/moritomogakuen-mondai-nenpyou/
森友学園問題の年表について
「国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会」では、その結成前から、国有地が低額で「森友学園」に払い下げられた問題について、マスメディアの報道した情報や私たちが入手した関係資料の情報を参考に、エクセルで年表を作成しました。
この年表では、主に
1.近畿財務局などの国
2.大阪府私学課などの大阪府
3.安倍晋三首相と昭恵夫人など国会議員
4.籠池泰典夫婦など森友学園
という主体ごとに、国有地の払い下げ等の事項、または、それに関連する事項をまとめています。
また、時期として、
1.森友学園が小学校建設のための国有地を探し始めるまでの時期、
2.森友学園が国有地を探し始めた頃以降、払い下げを受けるまでの時期、
3.森友学園が国有地の払い下げを受けた以降、現在までの時期
という3つの時期の順番で、上記事項をまとめています。
以上のように森友学園問題につき主体別に、かつ時系列で、直接・間接に関係する事項を把握しやすいように年表にまとめました。
情報公開請求をしていますので、それが開示されれば、今後、情報を追加します。また、まとめた年表情報に誤記・誤認があれば、指摘いただければ、情報を訂正します。さらに、この年表に漏れている情報につき皆様から提供があれば、その情報を加筆します。
この点での皆様の協力をお願いします。(引用終わり)
国有財産とは、政権の財産でもなければ、首相の財産でもない。飽くまで国民の財産である。これを、首相とズブズブの関係にある者、首相の歴史修正主義や右翼思想に共鳴する者に対し、あるいは首相の後ろ盾があるとの忖度される者に、ただ同然で払い下げられてよかろうはずがない。
いま、アベ友学園疑惑追及の火勢を消してまわろうとする意図的な動きを感じざるを得ない。ぜひとも、多くの人の、熱意と情報をご提供いただきたい。
(2017年5月10日)