澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

晋三に「ご飯論法」ありて、進次郎に「小泉進次郎構文」あり。

今話題の旬の政治家と言えば、まずは安倍晋三。次いで、麻生太郎と小泉進次郎。もちろん良い意味での話題性ではない。政治家の話題がその愚かさやぶざまさに集中せざるを得ない事態なのだ。民主制そのものの危うさをさえ物語っている。

安倍晋三についてはいうまでもないが、使用済みの麻生太郎だけでなく、使用前の小泉進次郎もこの上なくひどい。安倍晋三は、「ご飯論法」を批判された。なるほど、指摘のとおり、安倍の答弁はすりかえのご飯論法だけで成り立っている。小泉進次郎はどうか。さわやかに、滑舌明瞭に、まったく無内容の答弁を恥ずかしげもなく意味ありげに発語する。余人に真似のできない特技をもった演技者なのだ。

ネットの住民が、「小泉進次郎構文」なることばを流行らせている。「#小泉進次郎に言ってもらいたい中身のない台詞」という大喜利で盛り上がってもいる。もちろん、揶揄の形での小泉進次郎批判である。

中身のない空っぽ政治家が、なんとなく清新な雰囲気だけで、汚れた安倍政治を覆い隠す役割を果たしてきた。このことへのいらだちが、今や馬脚を現した進次郎への遠慮のない揶揄と哄笑となってあふれ出ている。明らかに、風向きが変わったのだ。

昨日(2月20日)の衆院予算委での、小泉進次郎答弁を報じる朝日(デジタル)の記事の一部を引用する。タイトルが、「小泉氏『反省伝わらぬことを反省』 複雑釈明も謝罪拒否」というもの。

 「反省しているんです。ただ、これは私の問題だと思うが、反省をしていると言いながら、反省をしている色が見えない、というご指摘は、私自身の問題だと反省をしている」

 小泉進次郎環境相は20日の衆院予算委員会で、16日の新型コロナウイルス感染症対策本部の会合を欠席して地元で後援会の新年会に出席していた問題をめぐり、複雑な釈明をしながら「国民への謝罪」をかたくなに拒んだ。

 19日の衆院予算委に続いて、立憲民主党の本多平直氏が再び追及。「昨日は小泉氏は『反省している』と述べたが、国民に謝罪してもらえないか」と迫った。
 これに対し、小泉氏は「私の反省がなかなか伝わらない」などと繰り返したものの、最後まで「謝罪」という言葉を口にしなかった。この問題をめぐる4往復のやり取りで、「反省」という言葉は20回も駆使した。

 以上の朝日の記事には、記者の「これは呆れた」というニュアンスが溢れている。
その朝日が紹介する「進次郎珍答弁」は以下の通りである。

本多 昨日、小泉大臣は「反省している」と。納得して私は甘かった。国民に謝罪していただけないか。
小泉 対策本部会議は環境政務官に代理出席を依頼し、危機管理上のルールにのっとった対応だ。だが、私自身がその会議を欠席し、地元の横須賀の会合に出席したことは問題だ、といった指摘を真摯に受け止め、反省しています。先ほど本多先生から、反省をしているとは言っているけど、反省の色が見えない(という趣旨の指摘があった)。それはまさに、私の問題だなと。反省をしているけど、なかなか反省が伝わらないと。そういった自分に対しても、反省をしたいと思います。はい。

本多 反省は昨日していただいた。国民におわびをする気はないか。
小泉 反省をしていると申し上げましたが、反省しているんです。ただ、これは私の問題だと思いますが、反省をしていると言いながら、反省をしている色が見えない、というご指摘は、私自身の問題だと反省をしております。私なりに反省して、本多先生からの質問のときに反省していると答弁しようと思い、私は反省していると申し上げております。それでも反省の色が伝わらないっていう、私自身の問題に対する、ご指摘に対してもしっかりと反省して、今後、そのようなご指摘がないように、気を引き締めて対策に取り組んでまいりたい。

本多 誰かの指摘がどうではなく、国民に対して、ということで申し上げている。反省の色が見えているとか見えていないとかは、気にしないでください。国民におわびをしなくていいんですね。
小泉 本多先生にということではなく、国民のみなさんに、ということだが、国民のみなさまがコロナウイルスの感染が広がり、不安を持っている中、さまざまな声を受けて、その声を真摯に受けとめて反省をしている。危機管理の対応はルール上、しっかりやっている。いずれにしましても、反省していますので、これからもしっかりその気持ちが伝わるように、真摯に職責を務めてまいりたい。

本多 大変残念です。最後のチャンスで。おわびはしないということでよろしいですね。
小泉 こうやって本多先生の質問の時間をとらせてしまっていることも含めて、なかなか反省の色が伝わっていないということも私自身の問題だなと、深く受け止め、反省し、職責を務めるために全力を尽くしていきたい。
   
念のために申し添えておかねばならない。これは、誰かがひねり出したパロディではない。どんなパロディも本家の愚かさ、可笑しさにはかなわない。「反省しているんです。ただ、これは私の問題だと思うが、反省をしていると言いながら、反省をしている色が見えない、というご指摘は、私自身の問題だと反省をしている」というのが典型的な進次郎構文。進次郎構文が笑いのタネとされている中での、本人による堂々たるダメ押しの進次郎構文なのだ。本人自身の答弁に出てきた、この無内容のトートロジー。これが、もてはやされてきた若手保守政治家の言葉かと思うと、とうてい笑ってはおられない。

(2020年2月21日)

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