「法と民主主義」5月号は、コロナ問題特集
世はコロナ問題一色である。消費生活も、文化も、言論活動も、教育も、経済も、国内政治も、国際政治も。そして、当然のことながら、医療や福祉も、今や一つとしてコロナと関わらざるものはない。
どうしてこんなことになってしまったのか、防ぐことはできなかったのか。今の対策は適切なのか、という問題意識が必要なのは当然として、このどさくさに紛れて何かをなそうとする者への警戒が必要であり、格差社会にこの危機がもたらす弱者へのしわ寄せの実態を直視しなければならない。誰もが、自宅への引きこもりができるわけではないのだ。
日本民主法律家協会の機関誌「法と民主主義」5月号(5月下旬発刊)は、『新型コロナウイルス問題を考える』(仮題) を緊急特集する。現下の状況に変化のない限り、おそらく6月号もその続編となる公算が高い。
飯島滋明・丸山重威両編集委員が中心となって、現在のところ依頼論稿は8本だが、その中には下記のような目玉となる記事がある。
コロナ感染症対策の在り方 上 昌広
コロナ対策の国際比較 稲 正樹
コロナ問題後の社会と立憲主義 広渡清吾
このどさくさに紛れてのアベ政権への警戒については、次の論稿が予定されている。
緊急事態条項の明文改憲の政治的意図 小沢隆一
コロナ対策の経緯と安倍政権の手法 丸山重威
以上の各論稿とは別に、「コロナ規制の中で考えること」を800字の寸評(コメント)として、各界の然るべき方に寄稿をお願いしている。
こちらの担当は私で、依頼の趣旨を以下のようにお伝えしている。
日ごろのご活躍に敬意を表します。
「法と民主主義」誌からのコメント寄稿のお願いを申しあげます。内容は、「新型コロナウィルス感染症蔓延とそれにともなって見えてきた様々な問題」について、それぞれのお立場からの寸評をいただきたいと存じます。問題意識は、次のとおりです。
新型コロナウィルス感染症が猛威を振るっています。その勢いは世界の隅々にまで及び、しかも全ての人びとに脅威を与えて行動の萎縮を強要しています。その収束の兆しは見えないまま恐怖と倦怠が世に満ち、人類が立ちすくんでいる感さえあります。誰にも、真剣にこの問題を考えること、克服のために声を挙げることが求められています。
また、この深刻な事態だからこそ見えてきた様々な問題があり、この事態にともなって副次的に生じた問題もあります。日本民主法律家協会が発行する「法と民主主義」は、2020年5月号(5月下旬発行)を「『新型コロナウイルス問題』を考える(仮)」緊急特集号とすることにし、その一章を割いて、多くの方に、「この問題を私はこう考える」という意見・論評集を掲載しようと企画しました。敢えて、お一人の原稿字数を800字(表題を除く)に抑えていただき、それぞれのお立場において最も関心ある角度から切り込んだ、凝縮したコメントをいただきたいと存じます。
この感染症蔓延に関しては、人類史や文明史との関わりにおいて論じる必要があるとも思われますし、この事態をもたらした人と物との国際交流やそれを前提とした経済の在り方にも検証の必要がありそうです。また、当然のことながら、疫学や予防医学、臨床医学からの分析や提言も期待されるところですし、医療行政や医療システムの脆弱性が問われてもいます。医学教育にも考えねばならないところがあるとおもわれます。
そして、この「緊急事態」に際して、実効ある感染予防と危険な権力の暴走の抑制という矛盾する二つの要請のバランスをどうとるべきか。これが、憲法や人権を大切に思う市民の最大の関心事であって、この政治的・法的な実践課題に喫緊の解答が求められています。
さらに、各国政府が共通の問題に取り組み、それぞれの流儀でそれぞれの結果を出しつつあります。各国の流儀を比較する視点は、権力的強制と民主的統制との優劣ではないでしょうか。また、この緊急事態を機に、統制型の政治システムが平時にも常態化する危惧はないでしょうか。
また、社会に「危機」が生ずれば弱者に被害が集中します。格差社会においては、その被害は深刻なものとなります。休校や休業に伴って、地域に企業に家庭に生じている具体的な問題をご指摘ください。
もちろん、以上の捉え方では不十分で、別の角度からの言及が必要とのご意見も、ぜひ承りたいところです。
以上、よろしくお願いいたします。
これまでにご承諾をいただいた主な方は、以下の各氏。
池内了/島薗進/右崎正博/堀尾輝久/吉田博徳/矢吹晋/李京柱/井上英夫/鈴木利廣/角田由紀子/大森典子
なお、「法と民主主義」の購入申込みは、下記のURLから。よろしくお願いします。
https://www.jdla.jp/houmin/index.html
(2020年4月25日)