澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

《NHK文書開示請求訴訟》明日・4月27日(水)103号法廷で口頭弁論。パワーポイントでの解説をお楽しみに。

(2022年4月26日)
 NHKと森下俊三経営委員長の両名を被告として、NHKの報道と経営の姿勢を問う《NHK文書開示請求訴訟》。その第3回口頭弁論が、明日・4月27日(水)14時から東京地裁103号法廷で開かれます。
 
 法廷では、原告主張の要約をパワーポイントを使って、原告代理人が説明いたします。ぜひ傍聴をお願いいたします。
 なお、傍聴券の配布は1時20分からとされています。1時20分までに地裁庁舎入り口での抽選に参加すれば、おそらく全員が傍聴可能です。万が一、満席で入廷できなかった方は、参議院議員会館102会議室で、15時30分開会の報告集会にご参加下さい。こちらでは、詳しい資料を配付し、法廷よりも時間をたっぷりとって、パワポの解説を繰り返します。

 この訴訟は、興味津々の進行となっています。これまで意図的に隠蔽されていた問題の経営委員会議事録(「NHK会長を厳重注意した会議の議事録」)が、明日の法廷の進行次第では、NHKのホームページへの公表が実現することになりそうなのです。そうなれば、この提訴の大きな成果です。ぜひ、この法廷の進行にご注目ください。

 放送法第41条は、経営委員会委員長(被告森下俊三)に経営委員会議事録の作成と公表を義務付けています。この「公表」の実行は、NHKがそのインターネットホームページ(NHKの公式サイト)に掲載して、視聴者の誰もが閲覧できるようにすることになっています。NHKは、4月22日提出の準備書面において、経営委員長(被告森下)の指示さえあれば、ホームページへの掲載に何の差し支えもないことを明言しています。

 放送法で義務付けられている経営委員会議事録の公表がなぜ実現しないのか。その責任は、NHK執行部にではなく、もっぱら被告森下俊三の側にあることが明白になりつつあります。放送法32条2項によって禁じられている番組編成に対する露骨な介入の違法を隠蔽しようとしていたことが明らかになっていると言って差し支えないからです。法廷では、この点をパワーポイントを使って、原告代理人が説明いたします。

 「クローズアップ現代+」の「かんぽ生命保険違法勧誘問題」報道に端を発した「会長厳重注意の議事録」隠蔽は、放送法違反の違法行為を重ねた被告森下俊三の責任だけでなく、これを選任した政権の責任問題が浮かび上がっています。

 なお、簡単に、これまでの経緯を確認しておきます。
 本件の原告となった110名は、NHKの報道姿勢を正す市民運動に参加してきた者として、「かんぽ保険違法勧誘問題」報道に対する日本郵政グループ幹部からの介入とこれに呼応した経営委員会の動きにを重大視し、先行する経営委員会議事録開示請求に対するNHKの不開示決定を許せないと考えました。

 そのため、「もしまた、NHKが議事録を不開示とするときには文書開示請求の訴訟を提起する」ことを広言して、「文書開示の求め」の手続に及び、所定の期間内に開示に至らなかったため、昨年6月14日に本件文書開示請求訴訟を提起した。その結果、ようやく7月9日に至って「議事録と思しき文書」(被告NHKはこれを「議事録草案」と呼んでいます)が開示されました。

 おそらくは、これだけで大きな成果です。この「議事録草案」では、森下らが、日本郵政の上級副社長鈴木康雄と意を通じて、「クローズアップ現代+」の《かんぽ生命保険不正販売問題報道》を妨害しようとたくらんだことが浮かび上がっているからです。経営委員会の無法に、NHK執行部と番組作成現場が蹂躙されている構図なのです。結局は安倍政権以来、政権が関わる人事の全てがムチャクチャなのです。

 もっとも、この「議事録草案」は、所定の手続を経て作成されるべき「議事録」ではありません。放送法41条では、「経営委員会委員長は、経営委員会の終了後、遅滞なく、経営委員会の定めるところにより、その議事録を作成し、これを公表しなければならない」とされていますが、そのようにして作成され、公表されなければならない議事録の開示はまだないことになります。

 被告森下が、この「議事録草案」を適式な「議事録」であって、遅ればせながらも文書開示義務は履行済みだというのであれば、その議事録は「公表」されなければなりません。NHKの公式サイトに公表する決断が求められています。今さらこれを躊躇する理由は、天下に違法を知られたくないからという以外は考えられません。いまだに適式の議事録が作成されておらず、公表もされていないとすれば、森下の責任は重大です。

 NHKが暴走することのないよう、放送法は、NHKの最高意思決定機関として経営委員会を置き、その重責を担う経営委員12名を「国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する」という制度設計をしました。当然に良識を備えた経営委員の選任を想定してのことなのです。

 ところが、この経営委員の選任が、安倍政権以来ムチャクチャというしかないのです。政権の思惑で送り込まれた、明らかな違法をして恥じない経営委員たちが、今回の事件を起こしているのです。この訴訟は、その問題に切り込んでいます。
 ぜひとも、ご注目ください。

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