籾井勝人の「だまし討ち」に怒る
NHK・籾井勝人会長。これほど任務にふさわしからぬ人はない。また、この人ほど人格識見のなさを天下に晒した例も少なかろう。このみっともない会長人事が、NHKの権威も信頼も傷つけた。安倍政権の足をさえ引っ張っている。「NHKの新年度予算審理が終了すれば辞任するだろう」「自分で辞める気がなくても、政権が詰め腹を切らせるにちがいない」「政権にその気がなくても、NHKの総体が、まさかこんな会長を居座らせることはないだろう」。誰もがそう思っていた。ところが、そうはなっていない。それどころではなく、籾井のNHK乗っ取りが始まった。籾井の逆襲である。このままではたいへんなことになる。まさしく、「政府が右と言えば、左ということのできない」NHKになりさがる。これは、民主主義の危機にほかならない。
4月22日のNHK経営委員会でのできごとは、ある程度のことは各紙に報道されていた。しかし、昨日(5月1日)発行の週刊新潮の記事を読んで愕然とした。タイトルは、「NHKには独裁者がよく似合う」「『私が人事を決める』とすごんだ籾井会長の『経営委員会語録』」というもの。これほど深刻な事態とは知らなかった。視聴者・国民の受信料支払い凍結運動がどうしても必要だ。それ以外に籾井会長を辞任に追い込む手段はなさそうだ。受信料支払い凍結が、日本の民主主義の危機を救う。
週刊新潮の記事は、経営委員会委員長代行の上村達男さんを中心に書かれている。私は、弁護士としては消費者問題分野での活動家である。消費者問題の最大課題はは、新自由主義的な規制緩和路線との対決。商法や金融商品取引法の専門家としての上村さんは、規制緩和至上主義を厳しく批判する立ち場で消費者族とは肌合いの合う研究者。企業コンプライアンスに関しては厳格な立ち場を崩さない方だから、NHKの経営委員としては誰が見ても適格であろう。
その上村さんであればこそ、籾井会長の言動に批判の言が鋭くなることは当然のこと。籾井会長は、この批判を何とか封じなければならない。その批判封じの手段が、「根回し」と「だまし討ち」だったようだ。昨年の12月20日、宇都宮選対から同様の「だまし討ち」の目に遭った私としては、上村さんの怒りがよく分かる。
4月22日NHK経営委員会議事録は、本日(5月2日)現在未公開である。経過は新潮の記事によるしかないが、その内容は具体的で信頼性は高い。なによりも、後に議事録公開があるのだから、いい加減なことは書けなかろう。
籾井の逆襲は、露骨な人事権の濫用を手段とするもの。4月22日に明らかになったのは、理事の人事について。NHKの理事は10人いる。籾井会長就任の際に、辞表を書かされたとして話題になった、あの10名。安倍政権や籾井会長への親疎が一様でない。籾井としては、手の内の者で人事を固めたい。優遇する者を作り出してこれを子飼いとしたい。NHKの合理的経営のための人事ではなく、自らの地歩を固めるための人事。そして、安倍政権への期待に応える人事である。
22日の経営委員会の各委員の席には、予め封筒がおいてあったという。封筒にハサミを入れて出てきたのが籾井会長の理事に関する人事案。「一瞥してカッとなった上村達男経営委員会委員長代行と籾井会長の間でバトルが繰り広げられたという」。
承認を求める理事人事の提案を封筒に入れて当日提出するとは、常識的に考えがたいやり方。経営委員会の当日に人事案を示すなどはこれまで前例のないことと報道されている。やられた方の違和感が察せられる。この日、上村さんの「なんでこういうことになるのですか!」という問に、会長は「情報が漏れるからだ」と答えている。おまえたちを信頼していないという宣言である。
人事案の提案書には、理事10名の名前と担務が記入されていたという。内2人が新理事の起用。2人の理事が退任することになる提案である。実は、4月25日に任期が切れる理事は4人だった。そのうち2人を再任、2人を退任とした。それとは別に、籾井会長は前日(21日)に2人の専務理事を呼び出して、「退任を迫った」という。「その両者とも、今年の2月に再任されたばかり。そんな無茶苦茶な話しはないと断られ」ている。会長は、できるだけ、自分の手の内の者で理事を固める腹だったのだ。
さらに問題は、担務にある。「理事の担務で最も重要なのが放送統括、2番目が国際放送統括、3番目が経営企画統括」なのだそうだ。籾井は、理事の中で「唯一の籾井派」と言われる人物を専務理事に昇格させて、放送統括と国際放送統括を兼務させた。この二つを一人の理事が握ったことは史上初。そして、経営企画統括は新たに理事になった人物。菅官房長官と親しいとされているという。「ここまで露骨な人事は聞いたことがないですね」と新潮は中堅職員の解説を掲載している。
退任した2人の理事が異例の挨拶をしている。1人は、「経営委員は何をやっているのか」と怒りを隠さなかったそうだ。なぜ、その権限を行使して籾井会長を罷免させないのか、という意味。「前代未聞のこと」であろう。もう1人も、涙を浮かべて、「現場はたいへんなんです。一生懸命やっているのに可哀想だ」と述べたという。愚かな会長の言動で、第一線の職員が迷惑していることについての精いっぱいの表現なのだろう。
ところが、である。この日出席の経営委員は11名(1人欠席)。そのうち、2人だけが籾井会長の人事提案に同意を留保したという。9人は同意に回ったわけだ。籾井にしてみれば、慣例に反して人事提案を封緘してハサミを入れさせるなどは、経営委員の神経を逆撫でする危険な行為であることは承知の上。事前の根回しなしには考えられない手法である。経営委員の何人に根回ししたのかは分からない。しかし、上村さんを筆頭とする「うるさがた」を除く根回しで、大丈夫だと踏んでの提案であったに違いない。なにしろ、「安倍友(あべとも)人事」による経営委員会なのだから。
上村さんは、事前の根回し工作を知らされず、経営委員会内部では結局は孤立させられた。籾井提案同意が9、留保2の勢力分布である。権力を握る者の、根回しとだまし討ちの効果である。
新潮記事は、さらに警告する。「5月末には、要の局長、部長級人事があるようです。籾井さんは、今度はここに手を突っ込むと噂されています」と言うのだ。そして「歴代の会長や理事たちは、手を替え品を替え政権と距離を置きながらやってきたものを、これからはツーカーでやろうとしているとしか思えない」というNHK幹部の声を紹介している。週刊新潮に政権べったりを批判されるNHKなのだ。このままで良かろうはずがない。
新潮記事は、「クレジットカード払いが主流になっている中、受信料が減ることはまずないが、もし減っていた場合、籾井さんは窮地に立たされることになるでしょう」という元理事の言葉を引用して、最後をこう結んでいる。「今回の独裁的人事が、受信料の不払いを加速させる可能性があることもお忘れなく」
以上が、受信料支払い凍結運動開始の日に発売の週刊誌の記事である。頃や良し、籾井勝人会長辞任に要求を高く掲げて、国民の手で会長を辞任させ、報道における民主主義を勝ち取ろうではないか。
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受信料支払い凍結運動にご参加を
具体的な受信料支払い凍結の手続については、下記のURLに詳細である。是非とも参照の上、民主主義擁護のための運動にご参加ください。
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/nhk-933f.html
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支払い凍結と並んで、NHK籾井会長、百田・長谷川両経営委員の辞任・罷免を求める署名運動も継続中です。こちらにもご協力をお願いします。
運動の趣旨と具体的な手続に付いては、下記URLからどうぞ
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-3030-1.html
http://chn.ge/1eySG24
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NHKに対する「安倍首相お友だち人事」への抗議を
☆抗議先は以下のとおり
※郵便の場合
〒150-8001(住所記入不要)NHK放送センター ハートプラザ行
※電話の場合 0570?066?066(NHKふれあいセンター)
※ファクスの場合 03?5453?4000
※メールの場合 下記URLに送信書式のフォーマット
http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html
☆抗議内容の大綱は
*籾井勝人会長は即刻辞任せよ。
*経営委員会は、籾井勝人会長を罷免せよ。
*百田尚樹・長谷川三千子両経営委員は即時辞任せよ。
*経営委員会は、百田尚樹・長谷川三千子両経営委員に辞任勧告せよ。
こちらもよろしくお願いします。
(2014年5月2日)