来週がヤマ場だー「安倍総理から日本を守ろう」
本日の朝刊各紙に、戦争法案反対の全面広告。「強行採決反対!」の大きな活字が重い。続いて、「戦争法案廃案!」「安倍政権退陣!」のスローガン。そして、「国会に集まろう!」という総掛かり行動実行委員会からの呼びかけ。
具体的な行動日程は、下記のとおり。
14日・月曜日 13:00?17:00 国会正門前座り込み行動
18:30 強行採決反対・安倍政権退陣要求国会包囲大行動
15日・火曜日 12:30?17:00 国会正門前座り込み行動
18:30 戦争法案廃案! 国会正門前大集会
16日・水曜日 13:00?17:00 国会正門前座り込み行動
18:30 戦争法案廃案! 国会正門前大集会
17日・木曜日 13:00?17:00 国会正門前座り込み行動
18:30 戦争法案廃案! 国会正門前大集会
18日・金曜日 13:00?17:00 国会正門前座り込み行動
18:30 戦争法案廃案! 国会正門前大集会
さあ、いよいよ明日から始まる月曜から金曜までが大詰め。ここに来て、違憲法案推進勢力と反対勢力の色分けが鮮明になってきた。敵と味方の分水嶺は、強行採決によっての今国会成立に、イエスかノーかだ。
国会の中だけが、推進勢力の数が優る。国会の外では、圧倒的に反対勢力が優勢だ。理論的にも反対派が圧倒している。それでも、決めるのは国会なのだ。議会外の力関係を、議会内にどう反映させるか、問題はその一点にある。
大手メディアでの戦争法案推進勢力は、読売と産経のグループだけ。朝日・毎日・東京と地方紙は、圧倒的に反対論だ。しかも、理論水準や説得力に格段の開きがある。よろよろしている日経だが、その社説のトーンは「政府は具体例をあげて、(法律事実を)説明すべきだ」というのだから、今国会成立には慎重の範疇に数えてよい。NHKの報道姿勢の評価は最悪だが、市民の目の厳しさもあって、さすがに読売や産経のような法案への積極推進姿勢はない。
憲法学界・公法学会をはじめとする学界では法案の違憲論が席巻している。「安全保障関連法案に反対する学者の会」の廃案を求める署名は13,796人とされている。各大学に次々と反対する会が結成されて、教員と学生の共闘が進んでいる。実務法律家の集合体である日弁連や全国の単位会も全力を上げて反対運動に取り組んでいる。元内閣法制局長も堂々と声を上げている。この事態に黙っておられないと、元最高裁裁判官も声を上げ始めた。濱田邦夫、那須弘平、そして山口繁元最高裁長官まで。
核分裂における連鎖反応の如くに、次から次へと声があがっている。シールズにミドルズ、オールズ、ティーンズ、トールズ、ママの会と続いている。映画・演劇界や芸能界などの表現者グループも、法案成立が表現の自由に関わるものとして次々に声を上げている。「韓国ではネットが民主運動の進展に大きな役割を果たしたが、日本のネットは右翼に占拠されている」とは昔日のことではないのか。戦争法案反対のグループつくりにはネットが大きな役割を果たしている。
もう、これくらいで十分だろうと思っていたら、重量級の反対意見がまだあることを知った。歴代首相5人の反対論である。当然に安倍批判と一体のものとなっている。昨日(9月12日)の毎日新聞に、保坂正康「昭和のかたちシリーズ」が「元首相たちと安保法制」との記事で情報を提供している。
「8月14日の安倍晋三首相による談話発表の前に、元首相5人が安倍首相に提言を試みた。戦後の長期間、マスコミで働いてきた記者・編集者が、『歴代首相に安倍首相への提言を要請するマスコミOBの会』をつくり、12人の元首相に要請文を送ったのだという。その結果、5人が文書で1人が電話での回答になった。この5人の文書を、たまたま私も入手したのだが、安倍首相に対する率直な不満や不信を知り、驚くほどの内容であった。」
結局は6人がものを言ったことになるが、文書で安倍晋三への提言を試みたとして氏名を明らかにされている元首相は、羽田孜、鳩山由紀夫、細川護熙、村山富市、菅直人の5名。その内、羽田・鳩山・細川の「提言」が紹介されている。
「羽田孜氏の提言には、「『戦争をしない』これこそ、憲法の最高理念。平和憲法の精神が、今日の平和と繁栄の基礎を築いた。特に、9条は唯一の被爆国である日本の『世界へ向けての平和宣言』であり、二度と過ちを繰り返さないという国際社会への約束」とあり、末尾は「安倍総理から日本を守ろう」と結んでいる。」
これはすごい。そのとおり、「安倍総理から日本を守」らねばならない。
「鳩山由紀夫氏の2400字に及ぶ提言では、いくつかの鋭い指摘がされている。たとえば、「あまり報道されませんでしたが、昨年オバマ大統領が来日した際の記者会見で、『小さな岩のことで中国と争うのは愚の骨頂』と諫(いさ)めた通りです。安保環境が悪化しているならまだしも、その時よりはるかに良くなっているにも拘(かかわ)らず、『戦争に参加するための法案』を、なぜ今更議論するのでしょうか」と弾劾している。」
また鳩山は、「私は日本を『戦争のできる普通の国』にするのではなく、隣人と平和で仲良く暮らすにはどうすれば良いかを真剣に模索する『戦争のできない珍しい国』にするべきと思います」と結んでいるという。耳を傾けるべき貴重な提言ではないか。
「細川護熙氏は「安保法制の審議について」と題し、2500字で自らの意見を鮮明にしている。冒頭ではっきりと、「安保法制関連法案は廃案にすべき」と断じ、その内容と手続きの両面で問題があると指摘する。内容については、「憲法9条をもつ平和憲法を変えることは(解釈改憲によるとしても)、世界に確立した平和国家日本のイメージを損なう危険があるばかりでなく、日本人自身にとっても、その目指すべき将来の国家像を混乱させる」と訴えている」
また、細川は、「やじを飛ばすような唯我独尊の姿勢に苦言を呈し、『そのような手法で、違憲の疑いの強い安保法制を成立させることは、わが国の国益を損なうことになると言わざるを得ない』とたしなめている」という。
元首相たちの目には、現首相の姿勢が、危なっかしく見てはおられないのだ。しかも、その現首相の取り巻き連中が、安倍をたしなめることはない。ならば、国民がたしなめるしかないのだ。明日からあと5日がヤマ場だ。安倍総理から日本を守ろう。
(2015年9月13日・連続896回)