澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「維新よ。議員が決めたのだから住民の意見を封殺してもよい、とお考えか」 ー 大阪府議会カジノ住民投票条例案否決

(2022年7月30日)
 大阪は私が少年時代の8年間を過ごした懐かしい土地。その大阪が壊れそうだ。大阪はどうなってしまうのだろう。心配でならない。大阪を壊そうとしている張本人は維新。公明がその尻馬に乗っている。

 「都構想」の実現はようやく避け得たが、今度はカジノだ。大阪にカジノ誘致とは、賭博場をつくって人を呼び込むことで、大阪の経済を立て直そうというアホな試み。バクチに負けた人の不幸の積み重ねで、胴元の自治体は潤うという算段だ。

 「コロナにはイソジンがよく効く」と大真面目に記者会見したあの知事が、おなじノリで「地域経済活性化にはカジノが特効薬」と言って反対論に耳を貸さない。大真面目に「カジノには非常に大きな経済波及効果が見込まれる」として大規模カジノ誘致を強行し、賭博場の運営で大阪の経済再生をはかろうというのだ。

 これに反対する大阪府民が、カジノ誘致の可否を問う住民投票実施のための条例を制定すべく運動を展開した。住民運動体「カジノの是非は住民が決める 住民投票をもとめる会」は、7月21日法定数(14万6千)を超える署名を府に提出して条例制定を請求し、これを受けて昨日(29日)に臨時府議会が開かれた。知事は、露骨に住民投票の実施に敵意を見せ、「計画案が府・大阪市の両議会で議決・同意され、国に認定申請している」「したがって、住民投票には意義がない」とする意見を付して条例案を提出した。

 昨日の大阪府議会は、署名に表れた20万府民の民意を文字どおり「封殺」して、カジノ住民投票条例案を否決した。委員会審議への付託もなく、即日の否決。民主主義というものがうまく機能していないのだ。維新や公明に、民主主義の理解はない。維新と公明の罪は重い。

 同日の本会議では、条例制定請求代表者6氏が意見を陳述。「21万人を超える署名(有効数19万2773人)の重み」「ギャンブル依存症の恐ろしさ」などを語り、熟議と条例制定への賛同を訴えた。山川義保事務局長は住民投票実施に否定的な維新などに対し「『選挙で選ばれた議員が決めた、それだからいいんだ』と、私たち住民の意見を封殺している」と批判した。これは、民主主義の根幹に関わる批判である。それたけに、カジノ実施に凝り固まった維新議員の耳には入らなかった。

 維新や知事は、なぜかくも頑なに、住民投票の実施を拒否するのか。これだけ叩かれ、評判の悪い「夢洲カジノ」である。住民投票で過半の賛成を得られる自信があれば、住民投票でのお墨付きで批判を封じることが可能ではないか。しかし、投票すれば必ず負けるから住民投票はしない、住民投票条例は作らない。仮に負けた場合には、知事の座も市長の座も吹き飛ぶ。維新勢力の消滅ともなりかねないのだから。

 トップはともかく、大阪府・市の官僚組織はアホではなかろう。府民・市民の賛否の分布を調査して、把握しているに違いない。おそらくは、知事も市長も、住民の過半数がカジノ誘致に反対という調査結果を耳打ちされている。だから、カジノ誘致の賛否を問う住民投票など絶対にやらせるわけにはいかないのだ。
 
 2020年10月16~18日、日本経済新聞社とテレビ大阪が、大阪市内の有権者を対象に実施した電話世論調査がある。大阪府・市が誘致を目指すカジノを含む統合型リゾート(IR)について「賛成」が37%で「反対」が52%だった。これは信頼できる数値である。しかも、同年6月下旬の前回調査と比べて反対が3ポイント増え、賛成が3ポイント減っている。おそらくは、今はもっと反対派のリードが大きいと思われる。

 同年1月25・26日の朝日新聞社による全国世論調査(電話)もある。カジノを含む統合型リゾート(IR)について、政府が整備の手続きを「凍結する方がよい」は64%に上り、「このまま進める方がよい」は20%だった。もっとも、この調査でも大阪府内では「このまま進める」が3割と、全国平均(20%)より高めだった。とは言っても、3割に過ぎない。

 「求める会」は府議会の直接請求否決を受けて抗議声明を発表した。

 「民意を問うことさえ否定し、みずから固執する政策を押し通そうとする府知事とカジノIR推進派議員の態度は、さらに厳しい府民の批判を招くことは必至だ」

 まことにそのとおりであると私も思う。今は、維新を支持している大阪府民だが、けっしていつまでもではない。大阪府民を舐めてはならない。

“カジノはあかん”とまっすぐ声を届ける「たつみコータロー」と日本共産党へのご支援を

(2022年6月28日)
 昨年の夏亡くなった次弟(明・元毎日新聞西部本社記者)は人の悪口を言わぬ性格だったが、「東京都民はアホや」と吐き捨てたことがある。石原慎太郎が都知事に当選したときのこと。「あんな差別に凝り固まった男に都民がなぜ票を入れる」。私が叱られたようだった。

 そして、もう一度。今度は「大阪府民は本当にアホや」と。このときはほとほと呆れた情けないという感じ。橋下徹が府知事に当選したときである。私も次弟も小学校の途中から高校卒業までは大阪府の住民だった。大阪で育ったと言ってよく、大阪に郷土愛らしきものを感じてもいる。その大阪の選挙民が、どうしてまたこんな訳の分からぬオポチュニストを持ち上げたのだろうか。

 いまや、都政に石原慎太郎の影は薄い。しかし、大阪は事情が異なる。橋下は去ったが、府・市政も、大阪の政治地図も、後継の維新というウルトラ右翼勢力に支配されているごとくである。不祥事を頻発し、アベ・スガ政権に擦り寄り、教員や職員イジメを積み重ねながらも、いま府民の多数派を形成している。これに較べると、大阪自民党がまともに見えるのだから、何をか言わんやである。

 いま維新をめぐる幾つかの論争テーマがあるが、カジノ誘致問題を避けて通れない。カジノとは博打である。その本質は、お互いに人の財産を奪い合うことである。暴力を手段として他人の財産を奪うことは強盗であり、欺罔を手段とするものは詐欺である。合意の上で、サイコロを振ってカネの遣り取りをすることは賭博罪に当たる。常習賭博は最高3年の懲役、賭場開張は5年の犯罪である。

 大阪の成長戦略として、賭場を開帳してその儲けを柱にしようというのが、維新の経済政策である。これに真っ向から反対しているのが日本共産党である。
 
 大阪地方区から出馬している共産党の候補者・たつみコータロー候補のホームページ「大阪にカジノはいらん ストップ!」にこうある。

https://www.jcp-osaka.jp/_

《人の不幸を踏み台に経済成長はあり得ない》
《首長の仕事は福祉の増進であって、博打の胴元ではない》

 これは、分かり易く、しかも本質を衝いている。博打とは、人の不幸を我が利益とする人倫にもとる行為である。必ず、人の不幸を生み出す。その不幸を踏み台にする経済成長も政策も政治もあり得ない。

 たつみ候補は「カジノを国に認定させないために、“カジノはあかん”とまっすぐ声を届ける私を勝ち抜かせてください」と連日訴えている。

 本日の赤旗は、こう報じている。

 「日本共産党の、たつみコータロー大阪選挙区候補は27日、大阪府豊中市の演説会で、森友事件を最初に告発した木村真・豊中市議(無所属)、大阪カジノに反対する市民の会代表の西澤信善・神戸大学名誉教授が応援演説しました。

 森友事件の発端となった小学校の建設予定地があった豊中市。たつみ氏が「私は国会でやり残したことがあります」と言うと、会場から即座に「森友」という声が上がりました。「当時の安倍首相への疑惑。事件解明を求めた裁判は1億円の賠償で強制終了させられた。国会で私に真相解明させてください。維新が進めるカジノ誘致も止めよう」との訴えに大きな拍手がわきました。

 木村氏は「私は無所属ですが、自分のニュース読者に、たつみさんをよろしくと電話かけをし、『共産党はあかんねん』という人にも食い下がってお願いしています。一人残らず、知人に声をかけきろう」と呼びかけました。

 西澤氏は「カジノ業者が大阪府民から年数千億円を巻き上げることが『経済効果』だと言われている。カジノを止めるには共産党の支持を伸ばすこと。たつみさんを国会に送り戻すことだ」と話しました。」

 泉下の弟に、「大阪府民は本当はアホじゃない。やっぱり賢いんだ」と言ってもらえる選挙結果を期待している。

内閣不信任案否決の過程に見えてくる各党の政治姿勢

(2022年6月9日)
 本日の衆院本会議で、立憲民主党提出の岸田内閣不信任案が賛成少数で否決された。現状での否決という結果自体は予想されたところ。むろん、大切なのはプロセスである。この不信任案への対応で各党の姿勢がよく見えてきた。

 自民・公明の与党が、反対に回ったのは謂わば当然である。
 ところが、国民民主と維新の両党も反対にまわった。これは、あるまじき対応というべきか、「ゆ・党」と「悪・党」にふさわしいありかたというべきか。いずれにしても、その立ち位置を明確にすることとなった。
 さらに、れいわ新選組は採決を棄権した。おやおや、この党は国民生活擁護、反権力をウリにしていたはずではなかったか。
 結局、賛成は,立憲民主・共産党・社民党となった。

 なお、細田博之衆院議長の不信任決議案も同様に、自民・公明に加え、維新・国民民主の反対で否決された。

 立憲民主の泉健太は、岸田内閣下での、円安・物価高を「岸田インフレ」と批判した。「補正予算においても経済無策を続け、国民生活の苦境を放置しているのは許されない」と訴えた。

 さらに、消費税率の時限的な5%への引き下げや、安倍政権から続く異次元の金融緩和を含む「アベノミクス」の見直しを主張。岸田内閣の看板政策「新しい資本主義」を「分配政策が乏しく、格差を広げるアベノミクスが継続されている」と指摘。「分配を軽視し、格差が拡大させ、国民が分断される」と強調した。

 誰もが納得せざるを得ない常識的な主張ではないか。反対派は、これに反論し得たのか。

 自民の上川陽子は反対討論で、「ウクライナ情勢などによって、不確実性を増す情勢変化に的確に対応し続けてきた。唐突な不信任決議案の提出は不誠実だ」と反論。公明の浜地雅一は内閣支持率が政権発足時から上がっていることを理由に「国政を安定的に着実に運営する岸田内閣はまったく不信任に値しない」と討論したと報じられている。

 いずれも噛み合った反論になっていない。とりわけ、岸田内閣の看板政策「新しい資本主義」について、「分配政策が乏しく、格差を広げるアベノミクスが継続されている」「分配を軽視し、格差が拡大させ、国民が分断される」との指摘に対する噛み合った議論を期待したいところだが、ない物ねだりとなってしまった。

 反対討論に立った維新の足立康史氏は「内閣を積極的に信任するわけではない」としつつも、「少数派の野党が内閣不信任を提出し、多数派の与党が粛々と否決する一連の茶番に異議を申し立てると言う意味で、反対を投じる」と述べたという。

 この人のいうことは、常によく分からない。意味が伝わらない。それでも分かることは、この党のあまりの不真面目さである。それだけでも、不信任案提出の意味はあったというべきであろう。

 一方、共産の笠井亮氏は不信任案に賛成の立場から岸田政権が検討する「敵基地攻撃能力」の保有を「専守防衛の大原則を投げ捨てるものだ」と批判した。これはこれで、あまりに真っ当な対応のコントラスト。

なお、NHKは、立民と自民との討論を、こう整理している。

 立憲民主党の泉代表は「国民が物価高で苦しむなか、政府が物価対策を届けていないことで、消費が低迷し、日本経済に打撃となる可能性がある。その事実を国民に伝え、国民の意思によって政治を動かせる限られた機会がこの不信任決議案だ」と述べ、賛同を呼びかけました。

 これに対し、自民党の上川幹事長代理は、「情勢の変化に対応し続けてきた岸田総理大臣の決断力や実行力への期待が高まっている。その歩みを止める不信任案の提出は極めて不誠実だ」と反論しました。

 立民の問題提起に自民が応え得ているか。議論は内容であって、有権者一人ひとりの判断が大切なのだ。結果としての賛否の票数だけを問題とするのは、民主主義の形骸化であり堕落である。この討論を茶番という輩が、民主主義の何たるかを知ろうとしない者なのだ。

賭博は不幸を作る犯罪である。IRを作らせてはならない。オンライン賭博を起訴せよ。

(2022年5月21日)
 山口県阿武町の4830万円「誤送金」事件。容疑者は誤入金があった4月8日から19日までに、34回にわたって当該口座から計約4633万円を出金。振込先は決済代行会社3社で、このうち27回の計約3592万円が1社に集中。4月12日には300万円と400万円が別の会社にそれぞれ送金された。…県警によると、容疑者は「オンラインカジノに使った」と供述している、と報道されている。

 「オンラインカジノ」とは、インターネットを通じての賭博である。「自宅に居ながらにして、簡単にギャンブルを楽しむことができます。お金を儲けることもできます」「パソコンとインターネット環境さえあれば、海外のカジノサイトで直接プレイをすることが可能です」「もちろんお金を賭けて勝負をしますし、勝てば配当も獲得できます」という甘い誘引が、インターネットに並んでいる。こんなもの、野放しにしてよいはずはない。

 あらためて、賭博の害悪、賭博の反社会性を深刻なものと受けとめざるを得ない。公営の博打場を作ろうなどという自民や維新の「犯罪性」を追及しなければならない。IRを作らせはならない。そして、オンラインカジノを取り締まらねばならない。

 安倍晋三の守護神と言われた黒川弘務東京高検検事長。番記者との賭マージャン報道を切っ掛けに賭博罪で告発され、略式起訴されて有罪(罰金20万円)となった。検察組織ナンバー2で検事総長に最も近いとされた人物も、可罰的違法性がないなどと無罪を争わなかった。賭博罪の犯罪性・可罰性は明白である。

 刑法185条が、「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」とし、同186条1項が「常習として賭博をした者は、3年以下の懲役に処する」と定める。法定刑はさして高くはないが、賭博は正真正銘の犯罪なのだ

 賭博罪の構成要件行為は「賭博をする」ことである。賭博とは、改正前の刑法の条文では、「偶然ノ輸贏ニ関シ財物ヲ以テ博戯又ハ賭事ヲ為シタル者ハ」とされていた。随分難しい熟語を使っているが、「輸贏」とは「負けと勝ち」のこと、「勝敗」「勝負」と言っても同じことである。「偶然で決まる勝負によって、カネやモノの遣り取りをする」ことが賭博である。相互に合意の上でのこととは言え、他人のカネを我がカネとし、他人の物を我が物とし、他人の不幸をもって我が幸せとする、人倫に反する反社会的行為といってよい。

 偶然の要素は少しでもあればよいとされているので、賭博の手口はサイコロ賭博やルーレットに限られない。カネやモノを賭ければ、囲碁・将棋・麻雀、相撲も野球もゴルフもジャンケンも、全てが賭博になり得る。もちろん、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときはこの限りでない」が。

 賭博の蔓延は大きな社会的害悪である。社会的な害悪という所以は、これに参加する多くの人に射幸心を煽り、健全な労働意欲を失わしめるからである。さらには、多数市民をギャンブル依存症に陥らせ、その家族にも大きな苦しみを与える。

 安倍政権は賭博という犯罪行為を大規模に奨励することでの経済振興策を思い立った。これがIRである。多くの人の不幸を不可避とする「経済振興」の愚策。批判が集中する中で、維新の大阪と、長崎のみがこの愚策に乗った。とりわけ、大阪の強引さが際立っている。

 いま、国民世論がIRという賭場の犯罪性を糾弾している。これ以上の不幸の源泉をはびこらせてはならない。もし、今「夢洲」(大阪市此花区)に、IRができていたら、阿武町の容疑者はそこに町のカネを注ぎ込んだに違いない。公営賭場だから、犯罪ににはならなくても実質的な反社会性がなくなるわけではないのだ。

 オンライン賭博も同様である。賭博の害悪は胴元がどこの誰であるかに関わらない。胴元が国内にあるか国外にあるのか、あるいは違法か合法かに関わりなく、賭博行為は犯罪である。

 インターネットでする賭博は、国内のパソコンへの入力で完結する。その先の胴元が、国内にあろうが国外にあろうが、あるいは違法か合法かに関わりなく、賭博行為は明らかに犯罪である。オンラインカジノでの起訴件数は過去2件しかないようであるが、これを野放しにしていては、賭博罪を創設した意味がなくなる。社会的害悪の蔓延を防止し得ない。

 阿武町の詐欺容疑者は、30回ものオンラインカジノへの賭博を繰り返していたようである。金額も大きい。明らかに常習賭博である。国民注視のせっかくの機会である。容疑者を常習賭博として起訴のうえ、公判を通じて「オンラインカジノ参加は刑法上の賭博行為であり、犯罪行為である」ことを明確にされるよう検察当局に期待したい。

IR(カジノ)とは「共食い」である。松井一郎よ、吉村洋文よ、立ち止まれ。そして「引き返す勇気」を持て。

(2022年5月9日)
 本日の毎日新聞夕刊に、「『共食い』はごめんだ」という永山悦子論説委員の、IRに関する解説記事。『共食い』=「カリバニズム」は、まことに嫌な語感。指摘されてみると、賭博・博打・カジノは、まさしく『共食い』=「カリバニズム」そのものではないか。イヤーな語感も共通だ。さらに、IRは別の意味の深刻な「共食い」の舞台にもなるという。

 「カリバニズム」と言わずに、「カニバリゼーション」というと、語感が変わるようだ。マーケッティング業界のテクニカルタームとして定着しているらしい。同じ企業の似たような製品同士が、購買層を「喰い合う」現象などをさすのだという。

 永山の解説では、「米国では、カジノの経済的影響の一つに『カニバリゼーション』が挙げられる。日本語で共食いの意味だ。カジノへの支出が増えると、その分、同じ地域内の経済活動や消費への支出が減る。『カジノの繁栄はその周辺の経済活動を犠牲にしたもの』(鳥畑与一「カジノ幻想」)」という。カジノが、参加者同士の「共食い」であるだけでなく、地域経済における「共食い」でもあるという指摘なのだ。

 大阪府・市が手を挙げた、人工島「夢洲」に計画されているカジノを含む統合型リゾート(IR)。このIRの経済的効果については、これまでは「こんな根拠薄弱な収支計画は絵に描いた餅、うまく行くはずがない」「破綻して、府民・市民に大きな負担をかけることになる」という悲観論の批判が強かった。

 ところが、「仮に、こんな杜撰な収支計画が絵に描いた餅とならず、破綻なく順調に経営されてしまった場合」には、もっと大きな問題が出てくると言うのだ。それが、囲い込まれた夢洲IRが近隣の大阪商圏を喰ってしまうという「カニバリゼーション」。そのカラクリがこう説明されている。

 「IRは、カジノだけでなく、エンタメ施設、ホテル、レストラン、国際会議場などを複合する巨大施設を指す。そこを訪れれば、だれもが仕事も娯楽も満足できるというコンセプトだ」「IRでは、カジノが利益の約8割を担う。カジノへ落とされるカネが経営を支えるから、IR側はカジノで長い時間を過ごさせたい。海外のカジノには『コンプ』という仕組みがある。コンプは、カジノのもうけを利用し、カジノを使う人にホテルや飲食などを格安で提供するサービスだ」「ただでさえIR内で用事が済むところ、コンプのようなサービスがあると、訪問者はIRに囲い込まれてしまう。施設外のホテルなどよりも安かったり、便利なサービスがあったりすれば、IRを選ぶ人も増える。地域産業は、とても太刀打ちできまい」

 なるほど。これは、説得力がある。IRというビジネスモデルが成立するのは、収益の核としての大規模な「カジノ=賭場」があるからなのだ。健全な経済社会には存在し得ない「カジノ=賭場」とセットになっていればこそ、併設されているホテルも食堂も格安にできる。経営者はそのカジノの付属設備の魅力で客を吸収し、囲い込もうとする。真っ当な経済社会にある地域産業はとても太刀打ちできない。つまりは、客層はIRに吸い寄せられ囲い込まれて、喰われてしまうことになる。

 現実に、「米国では、あちこちでカジノ周辺の産業が衰退に追い込まれている。『カジノは地域を壊す』と言われるゆえんだ。それは、誘致自治体が思い描く『地域の経済振興』とは正反対の姿」だという。大阪市民よ、府民よ。本当にこのままでよいのか。

 永山は、この現象を、「人間同士の『共食い』」と表現して、「国や自治体が、『共食い』を推進するのは、どう考えてもおかしい」「立ち止まるのは、今からでも遅くない」と締めくくっている。

 毎日だけではない。大阪府と「包括連携協定」を結んだ読売新聞までが、5月4日の社説で、「カジノ誘致 収益に頼る地域振興は適切か」と疑問を投げかけている。もちろん、「適切ではない」と言いたいのだ。但し、理由は少し違う角度。

「大阪府と大阪市は開業後、カジノの売り上げや入場料から、それぞれ年500億円以上が入ると見込んでいる。しかし、訪日客が順調に回復するとは限らず、過大な期待だと言わざるを得ない。

 そもそも、来場者がカジノで失った賭け金を地域振興に使う成長戦略は適切なのか。国や自治体はギャンブル依存症の対策を進めるとしながら、カジノの収益に期待する姿勢は矛盾している。

 当初は認定を最大3か所と定め、地域間で競わせる想定だったが、その思惑はすでに外れている。国や自治体は、IR事業の実現ありきではなく、その必要性を再検討する時期ではないか。」

 もっとはっきり言うべきだろう。読売は大阪に、「カジノはもう止めた方がよい」と言いたいのだ。

この点は、朝日も同様である。
4月28日付の社説が「カジノ計画 このまま走る気なのか」という表題。「まさか、このまま突っ走る気ではないだろうね」という含意。

 「今後、巨額の建設費が住民負担となってはね返る恐れはないか、仮に事業者が撤退した場合、誰がどう責任をとるのかなど、納税者の視点からの慎重な吟味が必要だ。

 既にパチンコや競輪、競馬などの公営賭博があり、カジノ解禁がギャンブル依存症の患者をさらに増やすとの懸念は強い。地域の活性化とは何か。そのためにどんな施策を講じるべきか。腰を据えて考えるよう、社説は繰り返し訴えてきた。」

 そして最後は大阪府・市に、こううながしている。
 「『求められるのは、立ち止まり、引き返す勇気だ』。和歌山県が3月に開いたIRに関する公聴会で、公述人の一人はそう述べた。政府がいま、耳を傾けるべき至言である」

 そう。今なら、まだ浅い傷で引き返せる。松井も、吉村も、取り返しがつかなくなる前に、「引き返す勇気」を持て。

「核共有」「非核三原則見直し」「原発再稼働」「武力の拡大」…これが維新だ。

(2022年3月29日・連続更新9年まであと2日)
 一昨日の日曜日(3月27日)、維新が党大会を開催した。この党大会で採択された方針は穏やかではない。これまで、安倍自民が保守本流を逸脱した右翼路線と批判されてきたが、維新はさらにその右に位置して、自民党を右側から引っ張り、あわよくば侵食しようとさえしている。危険極まりない。

 産経新聞が、「維新党大会、『現実路線』で保守層に訴え」という表題で、以下のようにまとめている。

 「日本維新の会は27日の党大会で、…活動方針を決定した。議席を伸ばした先の衆院選以降、現実路線で保守層へのアピールを強めており、夏の参院選では与党に代わり得る責任政党の地位を盤石にしたいところだ。ただ、一部政策に関しては党内からも『維新らしさが失われた』と懸念の声が上がっている。」

 「ロシアによるウクライナ侵攻もあり、維新は参院選を前に緊急事態に対応するための『憲法改正』、米国の核兵器を自国領土内や周辺海域などに配備して共同運用する『核共有』、エネルギー価格の急騰に備えた『原発再稼働の必要性』を率先して訴えている。自民や立憲民主党に満足できない保守・中道層に『維新は現実を直視する政党』だと印象付ける狙いも透けてみえる。」

 「一方で課題もある。維新が打ち出す政策の意義は党内でも広く共有されていない。政府が国民に一定額の現金を毎月無条件で支給する『ベーシックインカム』を軸とした最低所得保障制度の導入に関して、維新ベテラン議員は「まるで社会主義国家だ。『自立する個人』を基本としてきた維新にはなじまない。財源の説明に困るのではないか」と主張。結党時からの熱心な支持者が離れかねないと懸念を示した。」

 また産経は、「『核共有、三原則議論を』 参院選見据え」との見出しで、日本維新の幹部が次のように語ったと報じている。

 「日本維新の会の馬場伸幸共同代表は27日、大阪市で開いた党大会で、夏の参院選を見据えて「核共有」政策や非核三原則をめぐる議論を始めるべきだとの認識を示した。「非核三原則は今、『語らせず、考えさせず』を加えた五原則になっている。タブー視せずに放置してきた課題を解決する」と述べた。

 松井一郎代表は党大会に先立つ会合で、ロシアによるウクライナ侵攻を受け『日本に攻め込まれないようにする防衛力を議論すべきだと参院選公約に盛りこむ』と語った。」

 維新とは、格別の政治理念を持つ政党ではない。権力を求める雑多なポピュリストたちの集合体である。その理念なき集団が、いまリベラルなスローガンや政策ではなく、「憲法改正」「核共有」「非核三原則見直し」「防衛力拡大」などという右翼的方針を打ち出すことで票が取れる、党勢を拡大できると、国民心理を読んでいることが重要なのだ。

 日本維新の会が理念として掲げるものは、「自立する国家」、「自立する地域」、「自立する個人」の実現である。この順序が、国家からであることで、ぞっとさせられる。この自立の意味は不明で、菅義偉流の「自助努力強要路線」との違いは認めがたい。

 同じ3月27日の日曜日、投開票された兵庫県西宮市長選挙では、維新候補が大敗した。党大会では、大阪府以外での勢力拡大が重要とされ、西宮市長選では、応援演説に松井一郎や吉村洋文を投入するなど党をあげて選挙戦に臨んだが、ダブルスコアに近い大敗となった。兵庫県内の市長選ではこれで4連敗だという。

 なお、「法と民主主義」4月号(3月末日発行)は、維新の問題点を特集する。ぜひとも、乞うご期待。

むちゃくちゃな維新の対共産議員懲罰動議 ー 見えてくる維新の本質

(2022年2月18日)
 今通常国会の予算審議が、はや大詰め。2月15日に衆院予算委で中央公聴会が開かれ、これが異様な進行となった。正確に言えば、公述人の一人の発言が異様だった。その公述人の名は原英史、国家戦略特区ワーキンググループの座長代理である。一般民間人ではなく、安倍政権の規制緩和路線を支えてきた人。安倍の行政私物化と言われる加計学園獣医学部設立認可にも、責任を負うべき立場の一人なのだ。公述人として推薦したのは、自民党ではなく日本維新の会。

 原は冒頭、「今日は、国会における誹謗中傷の問題に絞ってお話ししたい」と切り出し、どう幅広く解釈しようとも今年度予算案とは無関係の発言に終始。その内容は、加計学園の獣医学部設置にからむ国家戦略特区疑惑について報道した「毎日」記事や、これに関連した野党合同ヒアリングのあり方を問題とし、「毎日」や野党議員との間の訴訟についての自分の主張を読み上げたもの。さらに、映画「新聞記者」のストーリーが間違っているとの見解についても述べられた。とうてい、予算審議の公聴会における公述としてふさわしいものとは考えがたい。

 この異様な公述について、共産党の宮本徹が原英史を批判した。「自らの抱える案件について私的な反論をとうとうと述べられた。公聴会の在り方としてふさわしいのかという点で言えば、甚だ疑問だ」という趣旨。公述人として推薦した維新の「責任も問われる」とも述べた。私もこのときのビデオを見たが、宮本の発言は穏やかでまったく違和感は感じられない。この発言で紛糾した事実もない。

 このとき、宮本は原に対して一問だけ質問している。ワーキンググループが加計学園の獣医学部設置に関して特別扱いをしたのではないかという疑惑を前提に、要となるピンポイントの質問。「平成30年4月開学という重要条件が加計学園にだけ知らされ、競合する京産大には知らされなかった。そのため、最も有力視されていた京産大は断念に追い込まれた。いったい誰の指示で『平成30年4月開学』という重要条件が付け加えられたのか」。原はこれに答えず、明らかなはぐらかしに終始した。宮本から「質問にはお答えにならない。ですから、国家戦略特区とは行政私物化につながる仕組みになっていると、私たちは申しあげているわけです」と釘を刺されている。

 この公聴会に出席していた維新の議員は足立康史。原の面目が潰されたとでも思ったのか、日本維新の会は17日この中央公聴会での宮本発言を、「院の品位を著しく毀損する」ものとして、懲罰動議を提出した。これでは、議論が成り立たない。

 日本維新の会側の懲罰動議の理由は、同日(2月17日)藤田文武幹事長が記者会見でこう語っている。
 「15日の衆院予算委員会の公聴会で維新の会推薦の公述人に対する宮本氏の発言を巡って、大変、失礼な発言があった。推薦した、わが党の責任を問うようなことをおっしゃられた。宮本議員の方が反省すべき、撤回すべきだ」

 また、維新の馬場伸幸共同代表は、「一般の方の意見への誹謗中傷は社会人としておかしいのではないか。度重なれば公述人が意見を正々堂々と述べることに臆する場面も出てくる」と説明している。原を「一般の方」と同列に置いての立論である。

 宮本の「弁明」は以下のとおり。

 「中央公聴会は以下の衆議院規則にのっとって運営されるべきです。
 衆議院規則第76条 公聴会は、議員又は議長から付託された議案の審査のためにこれを開くことができる。
 同第83条 公述人の発言は、その意見を聞こうとする案件の範囲を超えてはならない。

 予算委員会の公聴会の案件は、いうまでもなく、新年度予算案です。
 公聴会の朝の理事会で、『国会における誹謗中傷について』と題する原公述人のペーパーを見た理事から、公聴会の趣旨にそってなされることを期待するという、旨の発言がありました。しかし、朝の理事会で表明された期待のようには、公聴会は、運びませんでした。様子は、衆議院のインターネット配信でご覧になれます。
 そこで、私は、議会人としての責任を果たすべく、公聴会での質疑に際し、
・予算委員会での公聴会は、予算案について国民の意見をきき、その後の審議にいかす場であるということ
・原公述人の公述は、自らの抱える案件について私的な反論をとうとうと述べられるものであったということ
・予算委員会の公聴会のあり方としてふさわしいのかという点でいえば、甚だ疑問に感じていること
・推薦した会派の責任も問われること

を述べました。
 原公述人の公述後の予算委理事会でも、あらためて宮本から、原公述人の公述について、予算委員会公聴会にふさわしくないと、前代未聞の事態ではないかと指摘しました。予算委員会ベテランの理事からも、長い間予算委員会をつとめてきた経験から、予算委員会の公聴会の性格について、大事な指摘がなされました。一方で、維新会派の理事の方からは、宮本の発言は公述人に失礼であり抗議すること、推薦会派への言及があったので議事録を精査して対応する旨の発言がありました。
 その後、16日、17日と予算委員会理事会がひらかれましたがその場で、この問題について、維新会派からは発言がないままでしたが、突然、本日、17日、維新会派のみなさんから、宮本徹への懲罰動議が提出され驚きました。
 公聴会のあり方としてふさわしいのか、宮本の問題的を受けとめないばかりか、逆に、威圧的に懲罰動議をだし、自らへの批判を封じようとするやりかたは、いかがなものでしょうか。」

 以上が、昨日までの話し。本日(2月18日)の赤旗を見て少し驚いた。維新と、原とのつながりの深さにである。新自由主義・規制緩和路線は、自民党や安倍政権の専売特許ではない。維新も大きく積極的に関与してきたのだ。維新の会が、原が主宰する会社に、政党助成金から毎年数千万円もの資金を提供し、その額は16~20年の5か年分で、1億5000万円にものぼるという。以下、その抜粋である。

 日本維新の会が、15日の衆院予算委員会中央公聴会で陳述した原英史氏(維新推薦)が代表取締役を務める政策コンサルティング企業「政策工房」(東京都)に対し、税金が原資の政党助成金から毎年数千万円もの資金を提供していたことが、総務省が公表した政党交付金使途等報告書でわかりました。

 原氏は現在、大阪府・市の特別顧問。2011年に橋下徹大阪市長、松井一郎府知事が立ち上げた府市統合本部の特別顧問に就任するなど、維新と深いつながりがあります。また、13年に安倍晋三内閣のもとで設置された国家戦略特区ワーキンググループでは発足当初から委員に就任し、17年以降、座長代理を務めるなど安倍元首相ともつながりのある人物です。

 16~20年分の使途等報告書によると、日本維新の会が「政策業務委託料」として、政策工房に毎月200万~300万円を提供。16年分の総額は3888万円、17年分は3564万円、18年分は2916万円、19年分は2608万円、20年分は2640万円で、5年間の合計は1億5616万円にのぼります。

 分かり易い。維新とは、こんなにも深く新自由主義路線に取り込まれ、こんなにも親密に国家戦略特区ワーキンググループとも結びつき、結局のところ安倍国政私物化政策ともつながっていたのだ。今回、はしなくもその一端を印象づけられることとなった。

 それにしても、維新の懲罰動議はむちゃくちゃである。こんなことを許してはおけない。議会制民主主義の健全化は、世論の監視の成否にかかっている。維新が、何をしても許されると勘違いして暴走するとき、議会制民主主義が壊れていくことになる。多くの国民の目と耳とで維新の本質を把握し、きちんと批判しなければならない。手遅れにならぬうちに。 

「法と民主主義」4月号の特集は、「維新の本質と問題点と危険性(仮)」

(2022年2月16日)
「法と民主主義」4月号(3月下旬発行)特集は維新問題となる。その特集の表題は、今のところ、「維新の問題点と危険性(仮題)」。

 維新の問題点と危険性は、漠然ではあるが自明であろう。我々が、イメージする維新とは、橋下徹の粗暴な発言の数々、自治体職員や教員に対する異様なバッシング、保健所を筆頭とする公的設備や人員の削減、維新議員や関係者のスキャンダル、大阪都構想の重ねての失敗。そして、コロナ禍における雨ガッパとイソジン、その結果としての棄民と患者の自宅放置死亡事故…。

 最近顕著になっているのは、自民党を右へ右へと牽引する役割。野党を分断させようという「ゆ党」ならではのたくらみ。何よりも、性急で乱暴な憲法改正の姿勢。

 しかし、この危険な存在ではある維新というものの本質や正体がよくつかめない。なにゆえ、大阪でこれだけの地盤を築き、集票し得たのだろうか。どんな階層が、どんな理由で、いったいこの党のどんな面を魅力として支持したのだろうか。

 そのうえで、万博、カジノ、コロナ対策、教育、福祉などの政策の実態を明らかにしてみたい。大阪の現場を中心に執筆陣がほぼそろった。研究者・弁護士・ジャーナリスト・労働運動の活動家など。これは豪華なラインナップ。この号、たくさん売ろう。大阪だけでなく、全国に。

論稿の表題(仮題)
1 維新とは何か。その支持層の分析。(研究者)
2 大阪府民、市民はなぜ維新を支持するのか。(ジャーナリスト)
    ※読売新聞との包括連携協定にも触れて。
3 大阪カジノ構想の問題点
4 大阪都構想の問題点とその後維新の動き
5 維新の地域経済政策の誤り【医療・教育・福祉】(研究者)
6 コロナ対策と維新の医療行政(大阪府職労)
7 維新による教育破壊(大教組)
8 法律家の大阪維新との闘い―この10年を振り返って(弁護士)
9 維新の労働組合攻撃に対する反撃(弁護士)
10 改憲勢力としての日本維新の会の危険性(弁護士)
11 国会の中の維新(ジャーナリスト)

ところで、友人宮武嶺氏のブログ。維新問題では、群を抜いた充実ぶり。
https://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/8ac639c19f019d1a39efcb0d1faa8ba3

その本日付記事の冒頭が次の一文。

【#維新に殺される】全国のコロナ死者数が過去最多の236人(2月15日)のうち日本最悪死者数の大阪府は42人。緊急事態宣言を出すはずの重症病床使用率40%を超えても維新の恥だと逃げる吉村氏は歴史上最悪の知事だ

 10万人の人口に対するコロナ死者は、東京23・5人、神奈川15・7人、愛知県17・1人に対して、大阪府は37・5人。

 このブログで言い続けていることですが、橋下府政以来の大阪の医療・保健・福祉・教育破壊と吉村・松井維新の無能無策の新自由主義政策のつけが、またも一気に出ているわけです。

 松井大阪市長が代表で、吉村府知事が副代表という無能の象徴二人が幹部の日本維新の会がよく大きな顔をしていられると、その面の皮の厚さには橋下氏を含めて呆れかえるしかありません。

 宮武さんは、【#維新に殺される】とハッシュタグを付けて発信しておられるようだ。最近、似たものをよく見かける。少し探したら、これだけ見つかった。

#吉村はんはよう殺っとる
#吉村洋文に殺される
#吉村と松井仕事でけへんねんしやる気ないねんから辞めたらええやんどんだけ市府民殺すねん博打ばっかり夢中で
#維新のままでは大阪が危ない
#維新に騙されるな
#維新は日本に必要ない政党
#維新は最悪の選択肢
#橋下徹は維新の関係者なのでTV出演は不偏不党に反します
#平熱パニックおじさん
#大石パニックおじさん
#吉村知事のコロナ失政
#吉村と松井を許すな
#吉村辞めろ

こんなツイートのやり取りもあった。

「大阪だけが(コロナ死者数)異常に多いのはなぜなんだろう。維新のせいにするのは簡単だが、行政だけでこんなに差は出るとは思えない。何が原因か分かれば予防にも役立つのだが。」

「いや「行政だけ」でこれだけ差が出るんだよ。検査、隔離、診断、入院、全ての過程に「行政」がかかわる。本当に、マジで、維新支持者は反省して。大阪の過大な死者数は全部あなたたちのせい。」

「ネオリベ自治体」という何とも的確な言葉も出て来る。ウーン、維新を批判する人々もこれほど分厚く存在するのだ。そして、その批判の言葉が鋭く的を射ている。

維新・前川清成議員(奈良)の二つのバッジに維新の信用が懸かっている。

(2022年1月15日)
 維新と読売の関係に興味津々である。包括提携協定を締結したポピュリズム政党と権力迎合体質の大新聞との深い仲は、今後どうなるのか。何がどう変わっていくのか。

 その恰好の素材が早くも現れた。維新・前川清成議員(奈良)の公選法違反容疑の報道である。各紙が大きな関心をもって報道している。しかも、各紙かなりのスペースを費やしている。前川は弁護士だというから、それなりの法的弁明があり、その弁明の適否についての判断の材料を読者に提供しなければならないからだ。ところが、読売はまことにあっさりしたもの。ネットでの記事だが、以下のとおりである。

維新・前川議員を書類送検…衆院選で公選法違反容疑
読売新聞 2022/01/15 10:38)
「昨年10月の衆院選で、公示前に自身への投票を呼びかける文書を有権者に送付したとして、奈良県警は14日、日本維新の会の前川清成衆院議員(59)を公職選挙法違反(事前運動、法定外文書頒布)の疑いで書類送検した。捜査関係者への取材でわかった。前川議員は読売新聞の取材に「違法性はない」と否定している。
 前川議員は奈良1区から出馬して落選したものの、比例選で復活当選した。」

 信じがたいことに、以上が全文である。「最低限の事実を報道しないわけにはいかないが、できるだけ目立たないように。読者への悪印象を避けるように」配慮しているとしか思えない。

 これに、毎日のネット記事を対置させてみよう。同じ記者が連名で2本出稿している。

 維新の前川清成衆院議員書類送検 公示前に投票呼びかけ文書配布疑い
毎日新聞 2022/1/14 15:12)
「2021年10月の衆院選で、公示前に自身への投票を呼びかける文書を有権者に送ったとして、奈良県警は14日、日本維新の会の前川清成衆院議員(59)=比例近畿=を公職選挙法違反(法定外文書頒布、事前運動)の疑いで書類送検した。
 県警は検察に起訴を求める「厳重処分」の意見を付けた。罰金以上の刑が確定すれば失職し、原則5年間、公民権停止となる。前川氏は「公選法に抵触するところはないと確信している」とのコメントを出した。
 (前川清成氏が送ったとされる選挙はがきの見本=(関係者提供写真))
 送検容疑は衆院選公示前の10月中旬ごろ、自身への投票を呼び掛ける文書数十通を母校・関西大の卒業生らに送ったとしている。
 捜査関係者などによると、文書は選挙運動期間中にのみ使用が認められている「選挙はがき」に宛名やメッセージなどの記入を依頼する内容で、はがきや返信用封筒などをセットにして送られていた。
(前川清成氏が関西大の卒業生らに送ったとされる依頼文。選挙はがきの宛名や推薦メッセージなどの記入を求めている=関係者提供拡大)
 毎日新聞が入手した選挙はがきには「選挙区は『前川きよしげ』、比例区は『維新』とお書き下さい」と記載され、依頼文には「ぜひ一票をお願いします」とメッセージの例文が添えられていた。
 県警はこうした内容が、不特定多数の有権者に投票を呼び掛ける選挙運動に当たると判断。前川氏が指示したとみて調べていた。
 前川氏は21年12月、毎日新聞の取材に応じ、「(卒業生らでつくる)『前川きよしげを支える関大有志の会』の会員に約2000通を送ったが、選挙はがきに宛名などの記入をお願いする『準備行為』で、事前運動には当たらない」などと説明していた。
 前川氏は奈良弁護士会所属の弁護士。04年の参院選で初当選し、参院議員を2期、旧民主党政権で副内閣相などを務めた。21年10月の衆院選では維新の公認候補として奈良1区から出馬し、比例復活で当選を果たした。」

選挙はがき
 公職選挙法で選挙中に配布が認められている文書の一つ。はがきに候補者の写真や政策、推薦文などを記載し、有権者に支援を呼び掛けるもので、衆院選(小選挙区)で候補者個人が使用できるのは3万5000枚まで。立候補届け出後、投票日前日まで使用できる。「公選はがき」「推薦はがき」とも呼ばれる。」

「各陣営やっている」公選法違反を全否定 維新・前川議員の言い分は」
毎日新聞 2022/1/14 15:14)
(前川清成衆院議員=奈良県庁で2022年1月12日午後3時31分、加藤佑輔撮影写真)
 「僕だけじゃなく、各陣営がやっている」――。2021年10月の衆院選で投票を呼び掛ける文書を公示前に送ったとして、公職選挙法違反(事前運動など)の疑いで書類送検された日本維新の会の前川清成衆院議員(59)。毎日新聞の取材に強い口調で違法性を否定し、「報道されたら訴える」とも話していた。文書はどんな内容で、何が問題とされたのか。
 捜査関係者などによると、文書は公選法で選挙運動期間中にのみ使用が認められている「選挙はがき」や、そのはがきに宛名やメッセージの記入を求める内容だ。
 選挙はがきは、通常サイズのはがきなどに候補者の写真や政策、推薦文などを掲載したもので、郵便局で「選挙」との表示を付けてもらって有権者に郵送する。衆院選(小選挙区)で候補者個人は3万5000枚、政党は候補者1人につき2万枚まで配布が認められるが、立候補の届け出から投票日前日までしか使えない。
(前川清成氏が送ったとされる選挙はがきの見本=関係者提供)
 前川氏によると、文書は選挙はがきに宛名やメッセージなどを事前に書いてもらうために送ったという。衆院選の公示(10月19日)より前の10月上旬ごろ、母校・関西大の卒業生らでつくる「前川きよしげを支える関大有志の会」の会員ら約2000人に会長名で送付。返信用封筒なども同封したという。
 毎日新聞が入手した選挙はがきの見本は、「あなたの1票で奈良県に維新の国会議員が誕生します」「選挙区は『前川きよしげ』、比例区は『維新』とお書き下さい」と投票を呼び掛ける内容で、維新副代表の吉村洋文・大阪府知事とのツーショット写真を掲載。依頼文には、はがきに記入するメッセージの例として、「前川さんへぜひ一票をお願いします」と書かれていた。
 奈良県警は、こうした文書を不特定多数に送る行為が選挙運動に当たると判断。公示前だったことから、事前運動と法定外文書頒布の疑いで書類送検したとみられる。
 一方、弁護士でもある前川氏はこうした見方を「恣意(しい)的だ」と批判した。関西大の卒業生らに選挙はがきの協力を求めたのは合法的な「選挙の準備行為」であって、投票を呼び掛ける選挙運動ではないという理屈だ。「(選挙期間の)12日間で計5万5000枚のはがきを(宛名などの)重複がないかチェックして発送することなんて誰もできない」と話し、他の陣営でも同様の文書を配っていると主張。「弁護士のバッジを懸けてもいいが、絶対に不起訴になる」「公判請求(起訴)などであれば、とことん闘う」と話した。
 同種の事件では、16年の参院選で、公示前に選挙はがきを有権者に送ったとして、奈良県警が元参院議員の後援会関係者を公選法違反(事前運動など)の疑いで書類送検。奈良簡裁が罰金30万円の略式命令を出した例がある。はがきは後援会名義で出されたが、会員ではない人も含めて1万通以上送られた点が問題視されたという。
 選挙制度に詳しい岩井奉信・日本大名誉教授は「文書には『ぜひ一票を』との言葉があり、投票依頼と受け取られかねない。後援会の内部で配っているだけなら後援会活動の一環と見なされるが、不特定多数に配っていれば選挙運動に当たる可能性がある」と指摘している。」

以上のとおり、読売と毎日でこれだけの圧倒的な情報量の差があることに驚かざるを得ない。読売しか読まない人に、毎日のこの記事を読ませたいものと思う。

 さらに、毎日の報じた、この維新議員の弁明が興味深い。いかにも維新らしいというべきか。「弁護士のバッジを懸けてもいいが、絶対に不起訴になる」と言ったのだ。懸けてもらおう。起訴になったら、自分の言葉に責任をもって、弁護士のバッジを外していただきたい。そう、永久にでなくてもよいが、少なくとも10年は。

 そして、「公判請求(起訴)などであれば、とことん闘う」のは被告人の権利だ。闘うのは当然だろう。しかも、公判闘争の結果には議員バッジが懸かっている。起訴されて有罪となれば、否応なく議員バッジは取りあげられる。この議員は、相次いで二つのバッジを失うことになる。

 そのとき、「弁護士バッジだけはやっぱり着けておきたい」はなしにしてもらいたい。維新はこの議員の「有言実行」に責任をもたねばならない。弁護士バッジの着脱に、維新の信用がかかっている。そのときは、読売も維新の態度を正確に詳細に報道していただきたい。

薄汚い地方権力と本領を忘れたジャーナリズムとの、醜くも危険な癒着。

(2022年1月12日)
ある維新の議員が、昨日付のブログでこう発信している。

 「東京新聞 望月衣塑子記者のアンフェア発言に物申す。立憲・CLPの不祥事と大阪の連携協定はまったく同列ではない」

 分かりにくいものの言い方だが、私はこう思う。
 「東京新聞 望月衣塑子記者の発言に非難さるべき不適切さはまったくない。これをアンフェアと謗る維新議員こそ強く非難されねばならない。確かに、立憲・CLPの不祥事と大阪の連携協定はまったく同列ではない。維新と読売の癒着というべき大阪の包括連携協定の方が格段に悪性が強く、はるかに民主主義への負の影響が大きい。これを真逆に描くのは、ミスリードも甚だしい」

 「公権力と大新聞の癒着事件」と、「立憲・CLPの不祥事」との悪性・危険性を比較するには、問題を2層に分けてとらえねばならない。まずは、当該行為自体の可非難性であり、次いで当該行為の可視性の問題である。

 まずは、《読売新聞大阪本社と大阪府との包括連携協定》をどう評価すべきか。誰がどう見ても、ジャーナリズムと権力との癒着である。しかも、巨大全国紙と巨大地方都市の特別な関係の構築。好意的に読売をジャーナリズムと見るならば、権力批判をその本領とするジャーナリズムの堕落と言うべきだろう。また、権力の側から見れば、御用広報紙の取り込みで、批判を受けない権力は堕落する。そのツケは、府民にまわってくる。

 というだけではない。読売という御用新聞とポピュリズム政党維新の癒着である。当然にそれぞれの思惑あってのことだ。とりわけ、維新の府政は問題だらけだ。カジノ誘致も万博も、そしてまだ都構想も諦めていないようだ。コロナ禍再燃の中、イソジンや雨合羽の体質も抜けきってはいない。維新府政は、ジャーナリズムの標的となってしかるべきところ、読売の取り込みは維新にとっては使えそうなところ。客観的に見れば、この上なく危険極まる、汚れた二つの「相寄る魂」。

 但し、この癒着はことの性格上、アンダーテーブルではできないこと。年末のギリギリに発表して共同記者会見に及んだ。もちろん、会見では批判の矢が放たれたが、可視化はせざるを得ない。この癒着は大っぴらに開き直ってなされた。

 対して、《立憲がカネを出していたCLPの不祥事》の件である。こちらは、立憲がカネを出していたことが秘密にされていた。ここが不愉快でもあり、大きな問題でもある。これまでは与党の専売特許と思われていたことを野党第一党もやっていたというわけだ。

 可視化ができているかだけを比較すると、維新と立憲、立憲の方が明らかに分が悪い。立憲も弁明しているが、洗いざらいさらけ出して膿を出し切るのがよい。

 しかし、可視化ができているか否かの点だけを比較して、《維新は公明正大、これに較べて立憲のやることは不透明で怪しからん》というのは、ミスリードも甚だしい。

 行為の悪性や影響力を較べれば、維新の方が格段に悪い。読売と維新は、開き直って大っぴらに、「悪事」を働いているに等しいのだ。

 大阪読売のOBである大谷昭宏の声に耳を傾けたい。

「本来、権力を監視するのがメディアの役割なのに、行政と手を結ぶとは、とんでもない話です。大阪読売はこれ以上落ちようがないところまで落ちた。もう『新聞』とか『全国紙』と名乗るのはやめて、はっきりと『大阪府の広報紙』と言ったほうがいい。そこまで自分たちを貶めるんだったら、もはや大阪読売はジャーナリズムの範疇には置けませんよ」「期待はしていなかったんですが、それにしても行政機関と提携するとは、ジャーナリズムとしてあり得ない。そこまでジャーナリズムの誇りを打ち捨ててしまうのか。OBの一人として哀れというしかないですね」「今回、読売が協定を結んだのは、明らかに部数増と大阪府からの見返りを期待しているからです。大阪府の職員は、朝日や毎日よりも、府と協力関係にある読売を読むようになるでしょうし、読売に優先的に取材上の便宜を図ろうとするでしょう。まさにギブ&テイクです。」「会見では、一部の地方紙も行政と協定を結んでいると言い訳していましたが、痩せても枯れても読売は全国紙ですから、影響力の大きさが比較にならない。しかも、大阪府が、朝日や毎日や産経にも声をかけて、結果的に読売だけが応じたというならまだしも、今回は読売のほうから大阪府に提案したんです。吉村知事は『報道内容に何ら影響されることはない』と言うが、ゴロニャンとにじり寄った側が相手を叩くことなんかできるわけがないじゃないですか」

 「木に縁りて魚を求む」の喩えもある。維新に「権力の謙抑」やら「ジャーナリズムの本旨」を説いても耳にはいるとも思えないが、批判は続けなくてはならない。

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