澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「核共有」「非核三原則見直し」「原発再稼働」「武力の拡大」…これが維新だ。

(2022年3月29日・連続更新9年まであと2日)
 一昨日の日曜日(3月27日)、維新が党大会を開催した。この党大会で採択された方針は穏やかではない。これまで、安倍自民が保守本流を逸脱した右翼路線と批判されてきたが、維新はさらにその右に位置して、自民党を右側から引っ張り、あわよくば侵食しようとさえしている。危険極まりない。

 産経新聞が、「維新党大会、『現実路線』で保守層に訴え」という表題で、以下のようにまとめている。

 「日本維新の会は27日の党大会で、…活動方針を決定した。議席を伸ばした先の衆院選以降、現実路線で保守層へのアピールを強めており、夏の参院選では与党に代わり得る責任政党の地位を盤石にしたいところだ。ただ、一部政策に関しては党内からも『維新らしさが失われた』と懸念の声が上がっている。」

 「ロシアによるウクライナ侵攻もあり、維新は参院選を前に緊急事態に対応するための『憲法改正』、米国の核兵器を自国領土内や周辺海域などに配備して共同運用する『核共有』、エネルギー価格の急騰に備えた『原発再稼働の必要性』を率先して訴えている。自民や立憲民主党に満足できない保守・中道層に『維新は現実を直視する政党』だと印象付ける狙いも透けてみえる。」

 「一方で課題もある。維新が打ち出す政策の意義は党内でも広く共有されていない。政府が国民に一定額の現金を毎月無条件で支給する『ベーシックインカム』を軸とした最低所得保障制度の導入に関して、維新ベテラン議員は「まるで社会主義国家だ。『自立する個人』を基本としてきた維新にはなじまない。財源の説明に困るのではないか」と主張。結党時からの熱心な支持者が離れかねないと懸念を示した。」

 また産経は、「『核共有、三原則議論を』 参院選見据え」との見出しで、日本維新の幹部が次のように語ったと報じている。

 「日本維新の会の馬場伸幸共同代表は27日、大阪市で開いた党大会で、夏の参院選を見据えて「核共有」政策や非核三原則をめぐる議論を始めるべきだとの認識を示した。「非核三原則は今、『語らせず、考えさせず』を加えた五原則になっている。タブー視せずに放置してきた課題を解決する」と述べた。

 松井一郎代表は党大会に先立つ会合で、ロシアによるウクライナ侵攻を受け『日本に攻め込まれないようにする防衛力を議論すべきだと参院選公約に盛りこむ』と語った。」

 維新とは、格別の政治理念を持つ政党ではない。権力を求める雑多なポピュリストたちの集合体である。その理念なき集団が、いまリベラルなスローガンや政策ではなく、「憲法改正」「核共有」「非核三原則見直し」「防衛力拡大」などという右翼的方針を打ち出すことで票が取れる、党勢を拡大できると、国民心理を読んでいることが重要なのだ。

 日本維新の会が理念として掲げるものは、「自立する国家」、「自立する地域」、「自立する個人」の実現である。この順序が、国家からであることで、ぞっとさせられる。この自立の意味は不明で、菅義偉流の「自助努力強要路線」との違いは認めがたい。

 同じ3月27日の日曜日、投開票された兵庫県西宮市長選挙では、維新候補が大敗した。党大会では、大阪府以外での勢力拡大が重要とされ、西宮市長選では、応援演説に松井一郎や吉村洋文を投入するなど党をあげて選挙戦に臨んだが、ダブルスコアに近い大敗となった。兵庫県内の市長選ではこれで4連敗だという。

 なお、「法と民主主義」4月号(3月末日発行)は、維新の問題点を特集する。ぜひとも、乞うご期待。

Comments are closed.

澤藤統一郎の憲法日記 © 2022. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.