澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

始まった参院選に向けての野党共闘協議 ― 市民連合と5野党1会派

改憲派にとっては、「アベのいるうち、両院の議席が3分の2あるうち」が改憲のチャンスという認識。ということは、「アベが首相の座から去ることになれば」、あるいは「衆参どちらかの議院で改憲派議席が3分の2のラインを失えば」、千載一遇のチャンスは喪失することになる。いま、アベ9条改憲の策動による憲法の危機ではあるが、改憲派にとってもけっして明るい展望が開けているわけではない。

右派が描いたアベ改憲シナリオは綻びを見せつつある。国民世論の動向が、改憲を優先課題と認識していないからである。このことが、改憲を軸とした野党の共闘を促しているし、与党内にもアベ改憲に冷ややかな空気を漂わせてている。

憲法改正の課題ばかりは、議会での審議を強行採決で乗り切ろうというアベ政権の常套手段は使えない。そのあとに国民投票が控えているからだ。国民大多数の意見の集約点を国会審議で見極めなければならない。しかし、今国民は、「現政権での改憲には反対」なのだ。だから、改憲勢力も展望を持てない。客観的に改憲は困難なのだ。

アベ改憲がもとより困難なのだから、当初のシナリオのとおりにはことが運ばない。だから焦りが出て来る。その焦りが下村博文の自民党・憲法改正推進本部長への登用。こんな、焦りの結果のタカ派人事でうまく行くはずがない。下村は、「職場放棄失言」でボロを出した。政権と下村の焦りが裏目に出たのだ。かえって、野党を硬化させ臨時国会での憲法審査会開催を困難にしている。

しかも、下村の失態に対する公明党の冷ややかさはどうだ。いま、国民から改憲加担勢力と見られては選挙に勝てないとの思惑が強いのだ。自民党内も、下村に冷たい。アベの求心力低下を思わせる。

アベ改憲実現のためには、今臨時国会で憲法審査会を開き自民党改憲案の提示くらいはしておくことが改憲のためのシナリオだったがそれができない。とすれば、来年6月公示7月投開票の参院選前に、国会が改憲発議をすることは絶望的といってよい。となれば、2019年参院選こそが改憲阻止の重要なキーポイントとなる。半数の改選だが、これで改憲勢力の議席を3分の2以下にすることができれば、当面の改憲の危機を回避できることになる。

9月の沖縄知事選の教訓が大きい。野党の共闘ができれば、「自・公・維(・希)」の改憲勢力に勝てるのだ。安倍政権の露骨な利益誘導の総力戦も民意を動かせなかったではないか。アベ政権、けっして見掛けほど強くはない。

参院選ではいつものことだが、一人区の野党共闘の成否が結果を分けることになる。その一人区は32。いずれも、アベノミクスの恩恵からは置いてけぼりだ。TPPも、農業改革も水産改革も、この一人区では極めて評判が悪い。アベ政権の人気は地に落ちている。むしろ、怨嗟の声か満ちている。スムースな形での野党共闘さえできれば、勝算十分だ。現在の世論動向は、各政党を「与党連合対野党共闘」の対決構図に巻き込まざるを得ない。どちらかの陣営に入る以外に、一人区での当選の目はないのだから。

せっかくの勝機。共闘の協議開始時期としてはもうぎりぎりではないか。具体的な共闘のあり方の協議と候補者の選定を始めなくてはならない。

改憲勢力である与党連合とは「自・公・維」のこと。そして共闘に加わる野党は、立憲民主党・国民民主党・日本共産党・自由党・社会民主党・無所属の会の5党1会派。なかなか難しい野党のとりまとめを買って出ているのが、市民連合。これが、「市民と野党の共闘」の具体的な構図。

一昨日(11月16日・金)、「立憲野党と市民連合の意見交換会」が開催された。
意見交換会参加者は、下記のとおり。

立憲民主党 福山哲郎幹事長・辻元清美国対委員長
国民民主党 平野博文幹事長・小宮山泰子衆議院議員
日本共産党 小池晃書記局長・穀田恵二国対委員長
自由党   森裕子幹事長・日吉雄太国対委員長
社会民主党 吉川元幹事長
無所属の会 大串博志幹事長・広田一国対委員長

同日のTBSニュースは、次のように伝えている。

https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3526461.html
《野党と市民連合が意見交換、来年の参院選に向け選挙協力を確認》

 立憲民主党など主な野党と、安全保障関連法などに反対する団体「市民連合」が会談し、来年の参院選に向け、選挙協力を進めることを確認しました。

 「前回の参院選挙の前に、やはりこの市民連合と政党との意見交換が大きな役割を果していただいた。来年の参院選挙に向けて、より具体的、建設的な意見交換が出来るようにお願いをしまして」(立憲民主党 福山哲郎 幹事長)

 立憲民主党など野党5党1会派の幹事長らが、「市民連合」のメンバーと会談し、来年の参院選挙に向けて、全国に32ある「1人区」で野党の候補者を一本化することなど、選挙協力を進める方針を確認しました。市民連合は、2016年の参議院選挙でも1人区における野党統一候補擁立を後押ししていて、立憲民主党などは、来年の参院選でも候補者の調整で市民連合に仲介させたい考えです。

 しかし、無所属の会の岡田代表は16日、記者との懇談で、「市民連合が重要なプレイヤーであることは間違いないが、基本は政党がしっかり主導しないと候補者は出てこない」と述べています。

 一方、これまで安全保障や憲法についての考え方の違いなどから出席を見合わせていた国民民主党は、初めてこの会談に出席しました。

また、市民連合自身は、こう報告している。(抜粋)

はじめに立憲民主党福山幹事長より挨拶がありました。
「財務省の文書改ざん、加計学園問題、防衛省の日報隠しといったことで国会が大紛糾している最中に、前回の市民連合との意見交換会が行われました。半年が経った今、安倍政権は臨時国会で入管法改正を無理やり採決しようとしており、その体質は全く変わっていません。一方で、9月には沖縄県民の皆さんの力と、市民の皆さん、そして政党の皆さんの力の中で、玉城デニー知事が当選しました。安倍政権の体質が全く変わらず、民主主義を壊し続けているという状況の中で、今日このような形で集まれたことはとても意義が深いと思います。また、国民民主党の平野幹事長にお越しいただきました。我々としては歓迎させていただきたいと考えております。安倍政権を倒すために、来年の参院選に向けて、より具体的かつ建設的な意見交換をしていきたいと考えています。」

続いて安全保障関連法に反対する学者の会・広渡清吾より挨拶がありました。
「前回の参院選では、野党と市民の努力により32全ての1人区で候補者の1本化が実現し、大きな成果をあげました。来年の参院選に向けて、この水準を後戻りしてはならないと強く思っています。先日『あたりまえの政治』を掲げ、街頭宣伝を行いました。『あたりまえの政治』を求めなくてはならないというのが、今の安倍政権が陥っている状況です。憲法を守る、民意を尊重する、嘘をつかない。このあたりまえのことができない政治を変えなければなりません。そのためにも立憲野党の皆さんと市民との協力を深めていきたいです。」

さらに、立憲デモクラシーの会・山口二郎より安保法制の廃止、改憲阻止、さらに今の日本政治が直面するいくつかの重要な課題について、前回と同様に政策合意を何らかの形で結び、共通の旗印としていきたいといいう提起がありました。

その後、立憲民主、国民民主、共産、自由、社民、無所属の会の各党・会派と、市民連合の各構成団体から、幅広く意見交換が行われ、参院選に向けて市民と野党の協力をさらに強く深めていくことが確認され、意見交換会は終了となりました。

市民連合は、11月28日(水)19時から王子・北とぴあにて、野党とのシンポジウムを開催予定です。私たちは、このような機会を通じて、参院選に向けた協力体制をさらに深化させていきたいと考えています。ぜひご参加いただけますと幸いです。

共闘は容易なことではない。しかし、共闘しなければ選挙に勝てない。選挙に勝てなければ、アベ改憲を阻止することができない。アベ改憲を許せば、この国の平和主義が不可逆的に崩れる。憲法政治に取り戻すことのできない疵がつく。憲法を擁護しようとする諸勢力には、来夏の参院選に向けて選挙共闘するしか途はない。
(2018年11月18日)

沖縄県知事選に続く那覇市長選の結果は、安倍政権の凋落と保守友党との疎遠を物語っている

昨日(10月21日)の那覇市長選で、「オール沖縄」の城間幹子候補が再選を果たした。圧勝である。政権与党(+反共野党)候補のみごとなまでの惨敗。
  ▽城間幹子(無所属・現)当選 7万9677票
  ▽翁長政俊(無所属・新)落選 4万2446票
投票率が低かった(48.19%)のは、開票結果が分かりきっていたからだろう。

当選を報じる沖縄タイムスにこんな見出しが。

 「『えっ』早すぎる当確に絶句」「集大成の選挙、訴え届かず」「翁長政俊さん『申し訳ない』」

「『こうも簡単に見捨てるのか』 政府与党、劣勢で配慮一転 那覇市長選敗北」

一方、琉球新報の見出しは、

オール沖縄、衆院補選や夏の参院選に向け弾み」「自民、立て直し急務」というもの。

「オール沖縄」と「自民」との対立構造を描いて、前者に「弾み」がつき、後者は「立て直し急務」と明暗が分かれたことを強調している。下記のリードを、「誰もがもつ無難な感想」と読み飛ばしてはならない。今、明暗ところを分けている沖縄県政における与野党勢力の力関係が、来夏(19年)の参院選への展望となっていることを見るべきだし、これが全国の反安倍野党共闘を大きく励ますものとなつている。

 今年「選挙イヤー」の県内で、締めくくりとなる那覇市長選は、玉城デニー知事が支援する現職の城間幹子氏が再選を果たした。県政与党などで構成する「オール沖縄」勢にとって宜野湾市長選は敗北したものの、知事選、豊見城市長選に続く勝利で、来年4月に実施が見込まれる衆院沖縄3区の補欠選挙や夏の参院選に向け弾みが付いた。
 一方、自民は態勢の立て直しが急務で、4月に発足したばかりの現執行部の責任問題に波及しそうだ。

 琉球新報記事の中で、次の一文が目にとまった。

「那覇市長選は、9月の知事選と同様に『オール沖縄』勢と、安倍政権与党の自民・公明に維新が加わった『自公維』が対決する構図となった。現職の城間氏は、玉城デニー知事や翁長雄志前知事の次男で那覇市議の雄治氏が前面に出る戦術を展開したことで、無党派層を含め幅広い層で支持を広げた。」

おや? 那覇市長選で「オール沖縄」と対決したのは、「自公維」ではなく「自・公・維・希」だったはず。念のため、「希望の党」のホームページを閲覧してみたところ、「2018.09.25 お知らせ・沖縄県那覇市長選挙での推薦證授与について」という記事があり、「希望の党では、来る10月14日告示の沖縄県那覇市長選挙におきまして、翁長政俊氏の推薦證を9月23日に井上一徳政調会長が授与してまいりました。希望の党では、翁長政俊氏を全力で支援して参ります。」とある。

同党ホームページに推薦撤回の記事はないから、投票日当日まで希望の党としては、翁長政俊推薦勢力の一員と自認していたはず。だが、地元有力紙の記者には、無視されたということだ。

沖縄タイムスの記事も同様だった。

 「(翁長政俊候補陣営は)自民、公明、維新の3党態勢で臨んだが、『人海戦術が持ち味の創価学会員の姿が見えなかった』(県連関係者)という。翁長氏選対関係者は『勝てないと思ったら、みんな手を引く。これが現実だ』とため息をついた。」

 さて、臨時国会の開会(10月24日)直前の、沖縄県知事選に続く那覇市長選の結果は今後への影響が大きい。
産経も次のように述べている。

 那覇市長選の結果は単なる首長選の敗北にとどまらない。別の自民党選対幹部は「連敗で雰囲気は悪い。来年は4月に統一地方選、衆院沖縄3区補選もある。このままじゃ戦えない」と漏らす。

 影響は来年を待つまでもない。安倍改憲提案と、辺野古基地建設工事再開の阻止。大きな課題が眼前にある。安倍自民単独の暴走では事は成らない。どうしても補完勢力が必要なのだ。いま、公明・創価学会に自民の補完勢力であり続けることへのためらいが見える。内部批判による不協和音が大きいと報道されている。そして、「希望の党」という反共右翼政党の力量は無視しうるところまで落ちた。森友事件以来、維新の勢いも失せている。

 国民の目に見えてきた安倍政権凋落の傾向が、自民党のみならず「安倍友党」の活動力の低下として顕在化しつつある。それこそが、沖縄県知事選と那覇市長選の結果が教えてくれたものではないか。
(2018年10月22日)

選挙共闘の候補者には、しかるべき人物を。

今年も残すところあとわずか。今年を振り返って憲法に関わる最大の出来事は第48回総選挙(10月22日投開票)だった。それぞれの立場からの総括はあるのだろうが、私にとっては今振り返ってなんとも無念な結果。全国的な総括はともかく、地元のことにはきちんと発言しておかなければならない。部分の出来事が全体の教訓ともなり得よう。

結論から言えば、地元の小選挙区では不適切共闘候補を抱えての選挙だった。立憲民主党所属の松尾明弘というこの候補者を、市民団体や共産・社民・自由などが、次回にも再度共闘候補として擁立するようなことがあってはならない。立憲民主党の候補者としても適切ではあるまい。

にもかかわらず、共闘候補としてまったくふさわしくないこの人物が、次回を目指して政治活動をはじめているという。これは看過しがたい。早いうちに、周りがきっぱりと「NO!」というべきだ。選挙が近づいてからの、ごたごたは御免をこうむる。選挙総括の今の時期に、はっきりしておかなくてはならない。

選挙に関わった政党や市民団体からは、面と向かって言い出しにくい事情もあろう。私はものが言いやすい。はっきり言っておこう。

「松尾明弘君、君は反アベ反自民を掲げる立憲野党の共闘候補としてふさわしくない。そのことを自覚して、今後立憲野党の共闘候補として立候補する意思のないことを公式に表明していただきたい。できれば、不出馬宣言と同時に野党共闘への協力姿勢堅持の表明もあってしかるべきだろう。そして、今後の選挙でそれにふさわしい立候補者が擁立された場合には、誠心誠意その当選のための運動に力を尽くすことも表明していただけたらありがたい。
 もとより政治活動の継続は君の自由だ。立候補も君の権利だ。誰もそれを妨害はできない。しかし、もし君があくまで立候補するというのなら、君の思想にふさわしい支持母体、たとえば自民党からの出馬をお勧めする」

「松尾明弘君を市民と野党の共闘候補として擁立された東京2区内の市民団体や諸政党の皆さま。彼が、市民と野党の共闘候補としてふさわしくないことをそれぞれの組織内でご確認のうえ、今後共闘候補としての擁立はあり得ないことを早期に公表されますよう、一市民として強く要望いたします」

私の地元の文京区は、革新の気風が強い土地柄。都議選では定員2のところ、共産党候補者が度々勝ってきた。ときには、トップ当選もした。もちろん、共産党だけでそんな力はない。革新票を共産党候補が集めてのことだ。今年の夏の都議選でも、225票の僅差で惜敗はしたが、共産党候補は28%を得ている。民進党よりもはるかに、存在感があるのだ。その文京区を中心に台東区・中央区と、港区の一部が総選挙における東京2区となっている。今回の選挙直前、その2区の野党共闘候補として立憲民主党の松尾明弘が突然に決まった。振り返ってみれば、あのごたごたの中での成り行き。やむをえない一面はあったのだろうが、関係諸政党からの共闘候補者決定の経緯は知らされなかった。

一度決まれば、疑義を挟めない。立ち位置の知れぬ立憲民主党の候補者であつても、自民党の議席を一つでももぎ取ることができるのならお手柄だ。そう思って、私も気乗りのしないまま投票依頼をした。

この選挙の前には知らなかったが、松尾明弘は弁護士である。私は、護憲運動や人権課題に携わる弁護士の事情に比較的通じた立場にある。だから、度々質問を受けた。「松尾さんってどんな弁護士さんですか」「これまで、どんな分野で活動をされてきた方ですか」。これに、なんとも答えようがないのだ。

正直に言えば、こんなところなのだ。「弁護士とは人権と社会正義を貫くのが使命ですが、松尾さんがそういう分野で仕事をしたという話しはまったく聞いたことがありません」「弁護士会は人権擁護のための諸活動に取り組んでいますが、彼がある分野で活躍したということは知りませんね」「平和や人権の課題に取り組み、その活動の延長として立候補したというなら応援したくもなりますが、そんなところはまったくなさそうです」「普通、政治家は大切にしている強い理念実現のために立候補するのですが、彼の場合にはなにも見あたりませんね」「いったい何のために、立候補したのやら」

もちろん、選挙中にそんな正直なことを言えるはずはない。気持ちは乗らなかったものの、「安倍自民党の9条改憲の策動を阻止するために、市民と野党の共闘候補である、松尾明弘さんをよろしく」と繰り返した。

この候補者、選挙中の東京新聞と朝日新聞の候補者アンケート回答で馬脚を現した。
まず、東京新聞アンケートを再現してみよう。
「設問1 改憲はどうする? 松尾明弘の答 改正すべきだ」
「設問2 憲法9条は? 松尾明弘の答 改正すべきだ」
「設問3 憲法9条の2項を残したまま自衛隊を明記することには  松尾明弘の答 賛成」
「設問5 安倍政権下で成立した安全保障関連法、特定秘密保護法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法についての評価は  松尾明弘の答 評価できるものも評価できないものもある」

「9条改憲賛成で」「憲法9条の2項を残したまま自衛隊を明記することに賛成」とは対決している敵の主張であり論理である。うっかりこんな者を当選させたら、敵に塩を送ることになる。大切な護憲派の一票を、アベ9条改憲派に掠めとられることになる。「安保関連法、特定秘密保護法、「共謀罪」法は、評価できるものも評価できないものもある」とは何ごとか。それでも、弁護士か。いや、良識ある市民か。なんのために法を学び、歴史を学んだのか。

朝日のアンケートに対する回答にも驚愕した。
「『原子力規制委員会の審査に合格した原子力発電所は運転を再開すべきだ』いう意見に、「賛成」「どちらかと言えば賛成」「どちらとも言えない」「どちらかと言えば反対」「反対」の5段階で求められた問への松尾明弘の回答は、「賛成」なのである。これも、明確な敵の立場だ。 

さらなる衝撃は、彼が軍拡論者だということだ。
「『日本の防衛力はもっと強化すべきだ 』に、「賛成」「どちらかと言えば賛成」「どちらとも言えない」「どちらかと言えば反対」「反対」の5段階の選択肢への回答を求められて、『賛成』と回答しているのだ。

これが、市民と野党の共闘候補か。共産党も、社民党も、立憲民主党も、こんな人物をどうして候補者としたのだ。いったい何を考えているのだ。どう責任を取ろうというのだ。いや、私も、こんな人物の票読みをしたのだ。謝罪して許しを乞うしかない。

彼は、これまで平和も民主主義も人権も、本気で考えたことはない。なんの理念もなく、選挙はイベントのノリでの出馬。客観的には、アベ改憲陣営から野党陣営に送り込まれた「トロイの木馬」の役割だ。野党陣営を撹乱し、護憲票を取り込んだ改憲派議員。

小選挙区制を所与の前提とする限り、改憲を阻止するには、改憲阻止を掲げる諸政党や無党派市民との共闘が不可欠である。しかし、現実の問題として共闘は難しい。難しいが、こんな人物を擁立してはならない。御輿に乗る人とかつぐ人が、真反対の方向を向いているような共闘は成立し得ない。見る夢がちがっていれば、夢の達成をともにすることはできないのだから。
(2017年12月22日)

市民と野党の共闘候補に「隠れ改憲派」はふさわしくない。

10月20日投開票の第48回総選挙。あれから既に1か月余が過ぎた。自分なりに腑に落ちる総括をしなければと思いつつ、なんとも落ちつかぬままで、まとめきれない。総括の最重要問題は共闘のあり方だ。

世論調査に表れた民意はけっして改憲支持ではなく、とりわけ9条改憲に賛成ではない。ところが、1996年総選挙で小選挙区制導入以来、憲法擁護を掲げる少数野党は勢いを殺がれ、今や議席の80%超が「改憲派」である。明らかに、民意と議席数に乖離が生じている。国会の中に「3分の1の堅固な壁」が築かれていたのは、はるか昔語りのこと。

小選挙区制を所与の前提とする限り、改憲を阻止するには、改憲阻止を掲げる政党や無党派市民との共闘が不可欠である。しかし、現実の問題として共闘は難しい。小選挙区候補として誰を立てるべきか。当然に、改憲阻止の一点で党派を超えた信頼を勝ち得る人物であるべきだが、これがなかなか人材を得にくい。

私の地元(東京2区、文京・台東・中央・港)の経験は一つの典型ではないか。貴重な教訓でもあると思う。

東京2区では共産党と立憲民主党との共闘が成立した。自民候補(辻)と、共闘候補(松尾)、そして希望の党候補(鳩山)の三つどもえとなり、自民党(公明推薦)候補が勝った。野党共闘候補は次点となって、比例復活もならなかった。新人としては健闘したとの評価もある。注目すべきは、比例代表の共産党票は激減した。その結果もあって、改憲阻止の政治戦において貴重この上ない東京比例区からの共産党候補の当選者は2名にとどまった。前回3名からの後退である。

観念的には、野党共闘の必要性は当然のことだ。問題はその候補者。東京2区で、ばたばたと決まった候補者選定の経過の詳細は知る立場にない。共産党が突然に予定候補を下ろして立憲民主党公認の松尾明弘という若い弁護士を政策協定ないままに、共闘候補者とした。この候補者、これまでどんな分野でどんな活動をしてきた人物かはまったく知らない。人権や平和に関する活動をしてきた人ではない。なにを訴えたくて、政治家を志したのか、選挙が終わったいまも、よく分からない。

松尾明弘の選挙用ホームページには、「護憲」の2文字はない。「改憲阻止」も、「憲法理念の実現」もない。安倍改憲阻止が最大の政治課題となっているときに、これに触れるところがないのだ。

彼が政策のトップに掲げるのは、次のレベルである。
1. 安全保障(外国の脅威から国を守る)
現実的で抑制的な安全保障政策を進めます。「専守防衛に徹し、近くは現実的に、遠くは抑制的に、人道支援は積極的に」との基本理念に基づき、日米同盟の深化を図ります。
2. 憲法について(国家の暴走を許さない)
未来志向の憲法を積極的に議論します。立憲主義を守りながら「新しい人権」や「統治機構改革」など時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに積極的に議論します。

これなら、踏み絵を踏んで希望の党に行ける。私はかつて彼のこの言を「明らかに付け焼き刃の護憲派」と評したが、訂正しなければならない。今の政治状勢において、こんなことをスローガンに立候補する者は、「改憲派」の範疇に入れなければならない。この候補者の擁立は、護憲指向の有権者の票を掠めとろうというに等しい。

この候補者、選挙中の東京新聞候補者アンケートに、「改憲・賛成」「9条改憲・賛成」「憲法9条の2項を残したまま自衛隊を明記することに・賛成」「安倍政権下で成立した安全保障関連法、特定秘密保護法、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法についての評価は・評価できるものも評価できないものもある」と答えて物議を醸した。

なにしろ、売りは長身と靴のサイズ。およそ共感できる候補者ではない。こんな候補者だが、私も票読みをした。今にして、恥ずかしい。不明を恥じいるばかり。

私はこれまで、選挙では一貫して共産党を支持してきたが、それは憲法擁護の立場からだ。明文改憲にも、解釈壊憲にも、最もぶれずに頼りになる存在と評価すればこそのこと。その共産党に実益なく、共産党の票も議席も大きく減らした共闘のあり方を、「大義」や「大局」の見地から素晴らしいなどと言っておられるかという思いが強い。

北海道や新潟など共闘成功実感例の報告もあるが、東京2区では「長続きするであろう共闘の成果」は、見えていない。まさか、次回も同じ候補者で、となろうはずはなかろうが。

なお、「市民と野党の共闘」において、東京2区で市民の中核をなしたのは、「みんなで未来を選ぶ@文京台東中央」(通称 ぶたちゅう)だった。

その総括が送られてきた。以下のとおり、紹介に値する立派なものと思う。自覚し自立した市民の運動が選挙を支えていることに感動を覚える。

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                        2017年衆議院選挙を振り返って

2017年1月、安倍政権の暴走を止めるため文京区、台東区、中央区の市民が集まり「みんなで未来を選ぶ@文京台東中央(以下、「ぶたちゅう」という)」が発足しました。設立集会では「立憲主義の回復」、「安保法制の廃止」、「個人の尊厳を擁護する政治の実現」を目指し、衆議院小選挙区東京2区で安倍政権に対峙する野党統一候補の実現と後押ししていくことが確認されました。
発足後は月1回のペースで統一候補に求める政策について議論を続け、9月には8項目の政策案が決定しました。単に自公の候補者に勝てればよい、野党統一候補が決まれば誰でも応援するということではありません。ぶたちゅうは私たちの掲げる政策案8項目の実現を目指す候補者を「市民と野党の候補者」として後押ししていくことを確認しました。
また政策協議と並行して市民と野党の共闘の雰囲気を盛り上げようと、7月9日に「二日遅れの七夕ウォーク」と称し、民進党(当時)の松尾明弘氏、共産党の石澤憲之氏と市民が一緒に文京区内を練り歩き野党共闘をアピールしました。政党の垣根を超え市民と一緒に行動した第一歩でした。

○統一の経緯
松尾氏、石澤氏へぶたちゅうの政策案を提示し、さらに協議を進めていこうとしていた矢先、衆議院の解散総選挙が決まりました。そして希望の党の発足、民進党の分裂と松尾氏を取り巻く環境が激変しました。希望の党の理念と合いいれないとした松尾氏は希望の党からの出馬を断り民進党から離党。これまで野党統一候補の実現に向けて歩んできた私たちの努力も無に帰したかに思えたその時、立憲民主党が立ち上がり松尾氏は立憲民主党からの出馬を決意しました。公示直前の10月6日、共産党が小選挙区の候補者であった石澤氏を比例の候補者に回すことを決断、東京2区における野党候補者の一本化が実現しました。これは、私たち市民が諦めずに野党共闘を求め活動を続け、政党が応えた結果に他なりません。ただし、公示日直前の一本化ということもあり、ぶたちゅうと松尾氏との間で政策協定を結ぶことはできませんでした。候補者との政策協定がなかったことが最後の最後まで確信をもって候補者を応援することに躊躇させる要因となり、これは今後の活動を考える上でも大きな教訓となりました。
公示日直前、10月7日の全体会において、候補者一本化という目的を達成したこと、実際の選挙においては、ぶたちゅうとしてではなく、個々人がそれぞれ選挙ボランティアとして選挙に関わっていこうと確認をして公示を迎えることになりました。

○選挙戦
実際、立憲民主党からの出馬とは言うものの、選対も万全な体制ではなく、必然ぶたちゅうの中心メンバーもネットワークを活用して松尾候補を応援することになりました。候補者カーへの同乗、ポスターや証紙貼り、政策パンフレットのポスティング、電話かけなどSNSによる選挙ボランティア募集に応じて次々に市民が選挙事務所を訪れ松尾候補を盛り上げました。まさに市民が直接選挙を作り上げていく選挙となりました。また民進党、共産党、社民党、無所属の区議が一緒になって松尾候補を街頭で応援し、市民が松尾候補の応援スピーチを行いました。
政党同士連携して国政選挙を戦うという初めての経験のため、ところどころ連携不足が生じていました。問題が起きるたびにぶたちゅうを始めとした市民が候補者や選対に率直に意見を上げ、政党間の認識のずれを埋める役目を果たしました。安倍政権を倒すためにはこの選択肢しかない、立憲野党の候補者を勝たせたい、立憲民主党に対する期待、人々の思いが一致点となり選挙最終日まで闘いぬくことができたのです。
結果的には自民辻候補に2万票余りの差をつけられ、比例でも惜敗率で惜しくも復活当選はなりませんでした。この結果をどうとらえるのか。今回の辻候補の得票率は46%、松尾候補は37%、鳩山17%。前回2014年の得票率は辻43%、中山(民主)・石沢(共産)37%、大熊(維新)18%です。混乱の中で迎えた衆院選挙でしたがふたを開けてみれば東京2区においては前回の選挙とほぼ同じ構図となりました。立憲民主党への追い風はありましたが、所詮は反安倍政権、共産党を含めたリベラル層の中での票の移動であり、希望の党ができたことで野党は分断され、自公の候補者と立憲野党という一対一の対決構図に持ち込めなかったことが敗因となりました。前回と変わりのない低投票率では選挙に関心のある人の中での票の移動では決して自民党候補には勝てません。この3年の間に安保法制、共謀罪法、モリカケ問題などがあっても票数を増やした自民党に対抗していくにはどうすればいいのか。保守3割、リベラル2割、残りの5割は無党派層と言われ、これから求められるべき運動はその5割の人にどう投票所に足を運んでもらうかにかかっています。

○これから
この選挙から私たち市民が学んだことは「統一候補者が決まれば終わりではない。野党共闘をかかげれば勝てるわけではない。」ではないでしょうか。
市民が直接候補者と関わり支えることで、政党同士の手を繋ぐ役目を果たし闘った初めての選挙となりました。
正直、私たちぶたちゅうもこのような選挙になるとは思っていませんでした。候補者は一晩にして地盤を失い、何もない中での選挙戦のスタート。結果的に市民が選対にどっぷりと入り込むことになり、市民の立場から候補者や選対へも遠慮なく要望を伝え、時にはダメ出しをして選挙を作り上げていきました。もしも政党が敷いた従来の選挙スタイルにお客様感覚で選挙ボランティアに行っていたらこのような選挙は生まれなかったでしょう。
市民と政党、候補者が同じ立場で政策や戦略を練り上げていくことがこれからの選挙には求められています。ぶたちゅうの目的は「統一候補の実現」でしたが、奇しくもそれだけでは選挙に勝つためには足らないことを学び、この経験を今後のぶたちゅうの運動をどう発展させるか考える一助としていきたいです。
そして組織票を意識した闘いはもちろんのこと、どれだけ多くの無党派層に政治に関心を持ってもらい、自分たちの生活と政治が直結しているのだと気づいてもらうこと、選挙時だけでなく普段から政治にコミットできる場を作っていくことが私たち市民に求められているのだと思います。
ぶたちゅうは主権者としてこれからも政治に関わり、不断の努力を続けて参ります。

以上
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もっとも、運動に参加した無党派市民の中には、この総括とはやや違った感想をお持ちの方もいる。そのような方のお一人のご意見をご紹介したい。(原文のままではないが、文意を損ねてはいない)

朝日新聞の候補者アンケート(10月14日)に対して、
共闘候補の松尾明弘氏は、「憲法改正に『どちらかと言えば賛成』」、「防衛力強化に『賛成』」と答えています。ここまでは、東京新聞アンケートからすれば想定の範囲内でした。しかし「原発再稼働に『賛成』」には驚き(辻自民党候補、鳩山希望の党両候補は「どちらとも言えない」)、先制攻撃論に「どちらかと言えば賛成」にはぶっ飛びました(辻は「賛成」、鳩山は「どちらとも言えない」)。こんな回答をする立憲民主の候補はもちろん他に一人もいません(東京新聞アンケートと同じ結果)、希望ですら24人中、1区松沢、15区柿沢、17区西田、20区鹿野、23区伊藤の5人だけです(松原仁や長島昭久のほうがましな回答でした)。松尾候補は、希望のなかに入ってもかなり「右」ということになります。

自民党候補ですらだれでも「先制攻撃に賛成」しているわけではありません。(たとえば、1区山田、3区石原、4区平、5区若宮は賛成していない)。

新聞アンケートの回答について「政治家として未熟」という意見がありましたが、そんな次元の問題ではなく、これは松尾氏の国防に関する「信念」なのではないかと考えます。

防衛力を強化し、先制攻撃までできるようにするには、日本は建前では防衛用の兵器しかもっていないので、今後は攻撃用の武力も整備することになります。「非核三原則堅持」(辻も同じ)とはいうものの、北朝鮮の核に対抗し、プルトニウムもあり余っているのだから、日本も核武装しようという道筋になるのではないかと思われます。

もちろんぶたちゅうの「8項目の候補予定者に求める政策」
1.安倍政権での下での憲法「改悪」に反対し、すべての人の人権を大切にする社会をめざす
3.武力による解決を否定し、憲法の精神に立脚した真の平和外交をめざす
6.原発に頼らないエネルギー政策、電力自給率における再生可能エネルギーの割合の増加につながる経済政策と、法整備の推進を求める
および、以前の7項目の統一候補に求める政策ともかけ離れています。(略)

選挙期間中に不特定多数の文京・台東・中央・港の有権者に松尾候補を推薦したわたくし自身の責任を大いに感じています。

松尾氏が次回も立候補するというご意向なら、立憲や希望ではなく、自民党から立候補すべきだと思います。

 

まったく同感である。みんなが右へならえで、「もう一息だったね。今度は当選のために頑張ろうね」などと言うのではなく、一人ひとりが自立する市民として意見を述べていることが素晴らしいと思う。

なお、私は松尾明弘候補は、立憲民主党内の「隠れ改憲派」であると指摘せざるを得ない。東京2区で改憲阻止の立場から選挙に携わった方に、「次回も松尾明弘候補」はあり得ないことを確認していただきたいと切実に願う。
(2017年11月27日・連日更新第1702回)

「新潟ショック」を考えるー持続的野党共闘はいかにして可能か

知人から、新潟日報の切り抜きをいただいた。10月24日(火)付の「新潟ショック再び(上)」というタイトル。「(上)」があるのだから、当然、(中)も(下)もある。「再び」だから、前幕もあるわけだ。

ネットを検索すると、以下のとおり出ている。(もっとも、全文を読むには登録が必要)

新潟ショック再び(上) 共闘効果
「民進系の苦境、共産が救う」
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20171024353548.html

新潟ショック再び(中) 自民敗北
「魔の2期生 基盤弱く」
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20171025353758.html

新潟ショック再び(下) 県政地図
「波紋呼ぶ知事の肩入れ」
http://www.niigata-nippo.co.jp/news/politics/20171026353918.html

リードは以下のとおりだ。
22日投開票の第48回衆院選は県全域で「自民対野党共闘」の図式となり、県内6小選挙区で野党側が4勝2敗と勝ち越した。昨年の参院選、知事選に続き、共闘態勢を敷いて票を積み上げた野党陣営。自民党は2期生が支持基盤の弱さを露呈し、小選挙区で五つあった議席を半分以下に減らした。与党が3分の2の議席を得た全国情勢と反対の結果は、関係者に衝撃を与えた。なぜ県内では、与野党勢力が逆転したのかー。激戦を総括し、今後の県内政界地図を展望する。

リードが言う「6小選挙区で野党側が4勝」の内訳は、立憲民主党1、無所属3である。また、自民2勝も際どい辛勝だった。

北海道・沖縄とならんで、新潟は野党共闘の威力が発揮された成功地域として注目されている。「新潟ショック再び(上) 共闘効果」の記事の最後は、森裕子(参議院議員)の次の言葉で締めくくられている。
「安倍1強を打ち破るヒントは、新潟にある」
野党共闘の成果へのたいへんな自信だ。

記事の内容は、涙ぐましいまでの共産党の、共闘先候補への献身ぶりである。共産党は、全6区に候補者擁立を予定していたが、公示直前で1区のみ残して5区の候補を下ろしている。これで、「自民対オール野党共闘」の図式ができた。それだけでない。共産県議が立憲民主党候補者支援で「自分の選挙以上に動いた」という例が紹介されている。人手のない民新系候補者の手足になったのが、共産党だったのだという。オール野党共闘を下支えしたのが、自党の独自候補を下ろした共産党だったという報道。勝てたから、肯定的な報道となっている。

しかし、これは美談の紹介記事ではない。まったくの第三者であるメディアの関心は、「かくのごとき野党共闘が、安倍一強政治を打ち破る萌芽たりうる」というところにある。しかし、運動に参加する者の視点は、自ずから異なる。このような共闘関係は本当に長続きするものだろうか、と疑問を呈せざるを得ない。

新潟のようには結果が出せなかったものの、全国的に同じような共産党から立憲民主党や無所属の候補者への献身的支援が行われた。その結果、共産党は大きく比例得票数を減らし、議席数も激減した。これでよいということにはならなかろう。

新潟の共産党比例票数は前回と比べて、あるいは昨年の参院選と比べて増えただろうか。増えないとすれば、共産党はこの選挙でそこまで他党に尽くして、いったい何を得たのだろうか。

共産党の票が痩せ、共産党の議席が減っても、それ以上に護憲政党全体の議席が増えればいいじゃないか。などと言うことで、共闘が長く続くわけがない。新潟1区は、候補者を下ろした共産党の献身的な支援で立憲民主党の候補者が当選した。次回も、次々回も共産党は同じことを繰り返すのだろうか。そうすれば、党勢はジリ貧化するしかない。

新潟県全6区で野党共闘が成立するなら、その内の何区かは共産党や自由党・社民党に候補者を譲るとか、「小選挙区は立憲民主党でも比例は共産」と共闘候補者自身が訴えるとか。共闘とは、参加する者にメリットがなければならない。何の見返りもない献身の継続には明らかに無理がある。

安倍一強を倒し、確固たる国会内護憲勢力を形づくるための野党共闘が、その核になるべき共産党の身を削って成り立っている現実に不安を覚える。共闘参加の各野党に、相互のメリットが獲得できるような工夫が必要である。野党間の接着剤となる市民運動は、政党間の公平を実現するよう配慮をしなければならない。

「新潟ショック」とは、野党共闘の成立による政権側のショックのことだ。漫然としていては、この不公平な事態は続かない。万が一にも、いつの日か野党共闘にヒビがはいって、野党の側が「新潟ショック」などと口にすることのないように希望する。
(2017年11月1日)

狐狸にばかされた10月総選挙のあとに、雨にも風にも負けず市民アクション

今日で10月が終わる。2017年10月とはいったい何だったのか。タヌキやキツネにだまされ続けたような、おかしな1か月だった。

印象は雨ばかりの10月。暗く寒く降られっぱなしの1か月だった。憲法の運命にも、風雨が強かった。少なくも湿っぽく、威勢のよい話のないこの1か月。この長雨は、憲法の涙雨かと思わせるほど。

先月末は、かなりの程度にアベ政権を追い詰めていた空気があったではないか。あわよくばこの機会にアベ退陣を、などと思ってもいたはずが、あれは雨中の幻であったか。大山鳴動して濡れネズミの一匹も出てこない。狐狸の跳梁の後に目を覚ませば、相も変わらぬアベ政権の安泰で、護憲勢力が寒空にかぜっぴきの体。

野党共闘の難しさの実体験がむなしい。むなしいが、貴重なものだと思う。選挙後に、いろんな人の経験と意見を聞いたが、置かれた場所や環境、あるいは立場で、一人ひとり極端に意見が違う。そんなものなのだろう。そんな中から、教訓を得なければならない。

私の周りで、なんとはなしに形成された護憲派の合意は、こんなところだろうか。

今回選挙は、小選挙区制が諸悪の根源であることを誰の目にも明白にした。本気になって、選挙制度を改革しなければならない。

しかし、選挙制度改革の早期実現は容易でない。その間にも選挙は繰りかえされるだろう。その場合、小選挙区を前提とする限り、野党の共闘なくして改憲発議を阻止する議会内勢力を形成することはできない。

明文改憲阻止を最優先課題とするならば、とりあえずは「アベ改憲構想反対」での国会内共闘を作りあげるしかない。そうしなければ、修復不能な改憲策動の進展を危惧せざるを得ない事態となる。

その共闘を実現する原動力は、各地域の市民運動が担うことになるだろう。市民運動の力量が、各野党の共闘を作りあげ、支え、維持することとなる。当選させるだけでなく、変節を許さない市民の運動の継続が求められる。

「立憲民主党を信頼してよいのか」という問に、「その中心にいる人々は戦争法や共謀罪反対運動の中で、市民に背中を押されて変わってきている」と感想を述べる人が多い。「市民運動がしっかりしている限りは信頼できる」ということだ。

選挙直前になってからではない持続的な「市民と野党の共闘」があって、その成果としての共闘候補者の選任がなされるべきなのだろう。

そんなことを考えさせられた10月が今日で終わって明日から11月。まずは、特別国会が始まり、11月3日の憲法公布記念日を迎える。そして、今や支持率最低のトランプが来日する。厳重な警備の迷惑とともに、である。

その後はどうなるのか分からない。臨時国会は開かれるのか。加計学園の獣医学部設置認可はどうなるのだろう。森友学園の国有財産バーゲン疑惑解明はどこまで進むのだろうか。自民党内の改憲発議案作りの作業は進展するのだろうか。

全ては、市民と野党の共闘の盛り上がり次第ということになる。
まずは、明日(11月1日)の特別国会開会にタイミングを合わせた対国会市民行動。

「安倍9条改憲を許さない! 森友・加計学園疑惑徹底追及ー安倍政権の退陣を要求する11.1国会開会日行動」

スケジュールは以下のとおり。
11月1日(水),12:00~13:00  国会前行動
総がかり行動・全国市民アクションと共謀罪NO!実行委員会が共催で,
13:30~15:00,参議院議員会館講堂で,共謀罪NO!実行委員会主催の「共謀罪法の廃止を求める11・1院内集会」

「特別国会に共謀罪廃止法案を提出してもらおうという趣旨で,各政党に案内を出して,議員の出席を呼びかけています」「希望の党で当選した元民進党の国会議員で共謀罪反対でがんばった議員にも1人1人声をかけています」とのこと。

11月3日には、「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション 11.3国会包囲大行動」が企画されている。久しぶりに10万人規模の大集会を目指している。

日時:11月3日(金・休)14時~
場所:国会議事堂周辺
主催:安倍9条改憲NO!全国市民アクション/戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会

3日の大集会には、私も「弁護団」の腕章をつけて要員として参加する。市民運動の盛り上がりが、国会内の野党共闘の力と質に反映するというのだから、傍観ばかりはしておられない。

11月が、天候も政治もまともな1か月であって欲しいと願っている。天候は願うだけでしかないが、政治は有権者の運動次第。諸行動の盛り上がりを期待したい。
(2017年10月31日)

アベに勝たせてはならない。共産党を負けさせてはならない。

今回総選挙は、アベ一強政治に鉄槌を下す絶好の機会…だったはず。この悪名隠れなきアベ政権に最も厳しく対峙してきた日本共産党の出番でもあったはず。

それが、どうも雲行き妖しいという。アベを支える自公勢力が堅調で、共産党の影は薄いというのだ。これはたいへん。どういうわけで、こんなことになるというのだろうか。私の感覚からは信じがたい。事態の変転急に過ぎるのだ。

アベ叩きの材料は十分過ぎるほどだ。森友・加計学園問題という大型の疑惑。政権による政治と行政の私物化、それに付随する行政過程の不透明さ、アベのオトモダチと行政の癒着の醜さ酷さ。それに、特定秘密保護法・戦争法・共謀罪法・刑訴法改悪と、悪法のオンパレードだ。それだけではない。甘利、下村、高市、稲田、豊田、萩生田…と政権周辺人物像のマイナスイメージも十分だ。それでいて、なにゆえ与党が順調で、アベ政権追求の急先鋒であった共産党が逆境にあるというのだろうか。わけが分からない。

愚痴を言ってみてもしょうがない。本日(10月20日)は、地元小選挙区の立憲民主党新人候補の選挙事務所に、電話かけ要員として詰めた。電話帳をたよりの、ローラー作戦である。せっかくの機会。なんと言おうか。ある程度内容を考えて臨んだ。
たとえば、こんな風に。

お忙しいところ、おそれいります。選挙のお願いでお電話しております。すこし、お時間をお貸しください。

安倍政権を終わらせるためには、市民と野党が候補者を一本化して小選挙区で自民党の候補者に勝たなければなりません。そのためには、志を同じくする市民と野党の話し合いで、候補者や政策を調整しなければなりません。

東京2区では公示直前にその話し合いがまとまり、立憲民主党の松尾ひろあき候補が、憲法を守る立場の一本化候補者となりました。事実上いま、自民党の辻清人候補と松尾ひろあき候補の一騎打ちとなっています。ぜひとも、22日の投票日には、小選挙区では立憲民主党の松尾ひろあき候補に憲法を守る一票を投じていただくようお願いいたします。

また、比例代表選挙ではぜひとも、日本共産党と党名を書いていただくようお願いいたします。立憲民主党の松尾ひろあき候補と日本共産党が、必ず安倍一強政治をストップし、平和を守り、庶民の暮らしを守り、そしてなによりも改憲を阻止して憲法を守りぬき、憲法の理念を暮らしに活かす政治の実現に邁進いたします。

ところで、安倍政権による今回の解散は、モリ・カケ隠し解散以外の何ものでもありません。4野党は連名で、モリ・カケ問題疑惑解明のための臨時国会開催を要求していました。これは憲法に基づく正式の手続で、内閣は臨時国会を開かねばならなかったのです。ところが、安倍政権は、モリ・カケ問題疑惑追求には耐えがたいとして3か月も放っておき、民進党に不祥事が起こるや、ここがチャンスと10月10日臨時国会冒頭解散に及んだではありませんか。

誰が見ても、疑惑を隠し、保身のための解散・総選挙。オトモダチのための不公平な政治はもうごめんです。ぜひ、議席の数に傲った安倍政権を退陣に追い込むべく、「東京2区では、市民と野党の共同候補である立憲民主党松尾あきひろ候補を」「比例代表は、ぜひとも日本共産党を」よろしくお願いします。

ほかにもあれこれ考えたのだが、電話かけは難しい。どうも舌が滑らかに動いてくれない。考えていたことは、ほとんど役に立たない。そもそも会話らしい会話にならないのだ。ほかの人が上手にやっているのに、舌を巻く。どうも修行が足りないようで、情けない。

それでも、私はこの選挙共闘を注目に値すると思っている。共闘を支えている無党派市民の意識レベルが高く、熱意もきわめて旺盛なのだ。そして、候補者に遠慮なくものを言っていることだ。演説の仕方が未熟、情熱が足りない、もっと自信をもって語らなければならない。憲法についての見解がおかしい。今度は大分よくなった…。注文の域を超えて、叱責すらしている。おそらく、支援者の方が候補者よりも政治意識が高い。

立候補者をエライ先生とは見ない。自分たちの候補者として、注文を言うのが当たり前という、新しい政治文化を見る思い。これは貴重だし、脇で見聞きしていて面白い。

私の印象では、民進党はけっして腰の座った政党ではなかった。しかし、その民進党が戦争法反対の運動では、最後まで党全体として迷わず闘った。今にして思えば、民進党が立派だったわけではない。国民運動の盛り上がりが、民進をしてあそこまで闘わせたのだと思う。

今、市民と野党の共闘を支えている市民が素晴らしいと思う。この人たちが、本当の意味での「希望」だ。選挙共闘、そして「安倍9条改憲」阻止の共闘も同じだ。政党の背中を押す国民運動の盛り上がり次第で、原則的にもなり、非原則的にもなるだろう。選挙後の市民運動の働きが、政治の行方を決めてゆくのだと思う。

野党共闘の中では、共産党が最も腰が座ってブレない。改憲策動へのブレない姿勢に信頼できる共産党の議席が減じることは、憲法の命運にきわめて危険だ。

あらためて、もう一度言おう。今度の選挙ではアベ自民に勝たせてはならない。そして、改憲阻止勢力の中心に腰を据える共産党を負けさせるわけにはいかない。
(2017年10月20日)

あなたの比例代表の一票を日本共産党に。アベ政権の改憲暴走への貴重なブレーキとして。

10月22日(日)の総選挙投票日が間近である。有権者の投票意向調査による各党の議席獲得予想が各紙を賑わしている。天気予報もそうだが、最近この予想がバカにできない。結構当たるのだ。

先日、私にも日経からの調査だという電話がかかってきた。選挙に関心はあるか、投票に行くか、どの政党を支持しているか、今度は誰に投票するか、…。相当な時間をかけての丁寧な聴き取り。これで、一定のサンプル数が確保できれば、なるほど調査の信頼度は高い。しかも、調査主体による誤差が大きくない。となれば、一喜一憂せざるを得ない。いや、一喜はなくて、もっぱら一憂ばかりなのだ。

私は、日本のあらゆる政治勢力の中で、日本共産党こそが最も原則的に憲法擁護の立場を堅持していると考えている。憲法改正を許さないという姿勢において、また日本国憲法の平和的・民主的理念の実現や、基本権尊重の姿勢において、その揺るぎない立場に敬意をもっている。

しかし、今の世において、共産党が大きく支持を伸ばし、議会での多数議席獲得に困難な事情あることは認めざるを得ない。ここしばらくは、共産党一党で改憲を阻止し護憲を貫く力のないことは誰の目にも明らかだ。とすれば、改憲を阻止するためには、志を近しくする他党や市民運動との共同が必要になる。「少なくもアベ政権の改憲には反対」「個別的自衛権は認めるが9条改憲には反対」「自衛隊の存在は認めるが9条を変えてはならない」「改憲ありき護憲ありきの議論でなく立憲主義の精神を尊重しながら、憲法改正論議に真摯に取り組む」などという諸勢力をも糾合して改憲発議を阻止するための3分の1の議席の確保を目指さなければならない。

それが「市民と野党の共闘」ということで結構なのだが、今回選挙の議席獲得予想では肝腎の共産党自身の勢いが芳しくない。反アベ票・反改憲票が、最も反アベに徹し、最も護憲に徹した共産党の議席に結びつかず、言わば途中下車現象が起きようとしているのではないか。反アベ護憲勢力の真ん中に揺るぎない存在感をもって位置していなければならない共産党の議席が細ってしまっては、共闘の意味合いも半減してしまう。

本来、共闘とはギブアンドテイク、あるいはウィンウィンの関係でなくてはならない。さて、共産党から見て、ギブだけではなくテイクがあるのだろうか。果たしてウィンとなる共闘になっているのだろうか。投票箱の蓋を開けてみなければ分からないことなのだが、各紙の予想に一喜一憂する身としては、どうしても落ち着かない。

だから、遠慮なく声をあげようと思う。「比例は共産党に」「あなたのもっている2票のうち、小選挙区票は野党共闘候補に。そしてもう1票の比例代表選挙は、ぜひとも共産党に投票をお願いします」。
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以上のことを私が語るとぎこちない。今朝の赤旗に、嫌みなく上手な語り口で同趣旨の発言が紹介されていた。神奈川(藤沢市)の太田啓子弁護士。10月15日、横浜市内での弁護士有志の宣伝でのスピーチとのこと。この人とは、今週月曜日(10月16日)の、森友学園問題刑事告発の相代理人になったことで初めて知りあった。「安倍政権のブレーキに」という表題がついている。共産党に、エンジンやアクセルになる力はない。しかし、政権が暴走して改憲に至る危険へのブレーキ役としては貴重な存在という風な訴え。

私、神奈川県内で弁護士をやっていますけれども、各地で憲法の出張勉強会をやってきました。4年半で200回ぐらいやってきたかなと思います。
22日が投開票の総選挙、どこに投票するか、もう決めていらっしゃいますでしょうか。もしも決めていなかったら、ぜひ、比例で日本共産党と書くことを検討してみてほしいんです。
選挙制度にもいろんな問題がありまして、共産党は、少しでも自民党の候補に勝てそうな他の党の候補を応援するために、候補を降ろしています。これは、とっても痛みがある判断で、私は共産党員ではないんですけれども、共産党に心から敬意を表しています。
この共産党の議席が減らないように、比例では共産党と書きましょう。書くことにアレルギーがあったり、家族に共産党嫌いがいてもいいんです。家族には「今回も自民党に入れたよ」と言いながら、こっそり共産党と書いても誰にもばれません。
今回、自民党は公約の大きな6本の柱の中で、憲法9条を変えて自衛隊の存在を明記すると書いています。選挙期間中の街頭演説ではまったく触れなくても、実際に自民党が議席を多く取ったら、国民の意思であると言って、どんどん憲法を変える。絶対そういう方向になるんです。弁護士として、絶対に断言できることなんです。
今回の選挙で共産党に入れても、共産党政権にはなりません。少しでも安倍政権の暴走へのブレーキの力を大きくしたい、そう思えば、野党の力を本当に頑張って追求してきた共産党の力を1議席でも多くするしかない。そのためには、比例では共産党と、ぜひ書いてください。
(2017年10月19日)

神様も「護憲勢力に清き一票を」と言っている。

ずいぶん長かった印象の今年の9月だが、今日で終わる。都会にも秋の気配。上野周辺を歩くと、紅葉にはまだ早いがさすがに落ちついた雰囲気。

たまたま立ち寄った五條天神社頭の掲示板に、「平成二十九年九月 生命の言葉」が。

 虎に乗り かたはれ船に 乗れるとも
 人の口端に 乗るな世の中

「かたはれ船」は「片破れ船」であろう。出典は荒木田守武の『世中百首』からの言葉だそうだ。「世間体が大切。人の噂にならぬよう身を処しなさい」という、何ともつまらない処世訓。だが、社頭に飾られたからには、今月中は神様の言葉だ。これが目に止まったのは本日なればこそ。次のように誤読したからだ。

 アベに乗り 沈む前原にすがるとも
 乗るな 百合子の口車

もちろん、アベの自公与党を支持してはならないし、沈没目前の前原民進も頼むに足りない。だからといって、けっして百合子の口車に乗せられてはならぬぞよ、という、あらたかなご託宣。眼光紙背に徹して、行間を読めば、天神様も「このたびの総選挙では護憲勢力に清き一票を投ぜよ。さすれば、国家安穏・天下太平の御利益を与えん。この旨ゆめゆめ疑うことなかれ」と言っておいでなのだ。

散歩から帰って、パソコンを開けたら、旧友小村滋君からの【アジぶら通信 第34号】が届いていた。題字に冠して「アジアは広くニホンは深く」と副題がついている。元朝日の記者だった小村君とそのごく少数の仲間たちによるメルマガ個人紙。関西人ながら沖縄にのめり込んだ小村君が、沖縄の運動の立場で発信を続けている。広告収入一切なし。カンパの要請を受けたこともない。こんなミニコミも訴える力をもっている。実はこのメルマガ、私には必ず2度届く。小村君から受信した知り合いが、私にもBccで転載してくれるからだ。

今号は5頁建て。トップは、「沖縄は不屈  世界に発信 9/29 小凡・記」。映画「米軍が最も恐れた男 その名はカメジロー」の紹介記事である。なお、小凡が彼のペンネーム。

次いで、「『オール沖縄』に平和賞」の記事。
ドイツの平和団体「国際平和ビューロー」(略称IPB、ノーベル平和賞受賞団体)からオール沖縄会議に「ショーン・マクブライド平和賞」が 授与されるという内容だが、そのなかに小村君の思いが次のように述べられている。

「安倍政権は9月28日、“思いつき身勝手”解散を強行した。民進党は、小池新党『希望の党』に抱きついた。本土の新聞もTVも意味不明の“合流報道”で埋めつくされた。従来の野党連合はつぶれた。沖縄の辺野古新基地阻止は、本土の政局から孤立していくようだ。
しかし沖縄は元気だ。10月1日で普天間基地にオスプレイが配備されて5年になる。琉球新報は、連日、オスプレイ配備5年の調査報道だ。9月28日付は全県世論調査の記事で埋めた。「オスプレイ『危険』72%」がメインカット、「県民68%『撤回を』」が次に大きな見出し。3番手の見出しに「辺野古移設反対80%」とある。これなら沖縄の衆院4小選挙区とも翁長知事を支援する組織「オール沖縄会議」陣営が勝てるのではないか。沖縄は、わが道を進んでいる。」

なるほど、民進の崩壊は、各地の平和運動や市民運動に直ちに影響するのだ。「従来の野党連合はつぶれた。沖縄の辺野古新基地阻止は、本土の政局から孤立していくようだ。」という指摘は重い。「しかし、沖縄は元気だ」という言葉に救われる。そして、「従来の野党連合」はまた新しい運動の枠組みにつながるはずだ。それまでは、沖縄が本土を見捨てず、元気でいてほしい。

ところで、「オスプレイ『危険』72%」の数値は、さらにアップ することになる。昨29日夕刻、米軍普天間飛行場所属のオスプレイ2機が、新石垣空港に緊急着陸したからだ。その内1機はエンジントラブルで自力走行できず、車の牽引によって誘導路から除かれたという。翁長知事が、「こうした事態が繰り返されることに県民は大きな不安を感じている」と述べたが、もう何度目になることだろう。さらに、本日(30日)シリアでもオスプレイが墜落、米兵2名が負傷との報道。

明日(10月1日)のオスプレイ配備5周年には、あらためて「オスプレイ出ていけ」の声が高くなるだろう。日本全土を我がもの顔に飛びまわるオスプレイの危険が、今ここにある「国難」となっているのだから。

このオスプレイ国難を突破するには、アベに乗ってはだめ。沈む前原にすがっても無理。ましてや百合子の口車に乗せられては、オスプレイ撤退の実現はあり得ない。「オール沖縄」と、本土の「市民と野党連合」とで闘い続けるしか展望は開けないのだ。

(2017年9月30日)

前門の虎でも後門の狼でもなく、鳩をこそ選択を。

激動の臨時国会冒頭解散の一日(9月28日)が明けて。メデイアの報道は、《アベ与党》対《小池新党》対立の構図で充ち満ちている。あたかも、有権者の選択肢はこの二者しかないかのごとくだ。しかし、どちらを選んでも、改憲勢力である。どちらも働く市民の味方ではない。どちらも、平和と民主主義を目指す勢力ではない。

かたや、《アベ与党》は虎である。これまで大企業の利益をもっぱらにして勤労市民に犠牲を強いてきた凶暴な虎。自分勝手なトランプとの同盟関係の堅固を誇る危険な虎。傍若無人に密林に君臨するようになって5年に近く、今や「9条改憲」と吠えている老虎である。

こなた、《小池新党》は狼である。前門の虎から逃れようとする人々を後門で待ち構える若い狼。小池百合子の権力欲に形を与えるとまさしく狼の姿となる。「日本のこころ」の代表を原始メンバーに加えておいて、民進の護憲リベラル派の参加には牙をむいて排除しようという、その心根が既に狼である。有権者は、火を避けて水に陥る愚を犯してはならない。

目前の総選挙の争点はなによりも「憲法」。対抗軸は「改憲か護憲か」である。警戒すべきは明文改憲だけではなく、解釈改憲も、なし崩し壊憲も、である。「虎」も「狼」も改憲勢力であり、平和主義・民主主義・立憲主義・人権原理に背を向けるからこそ危険な存在なのだ。どちらを勝たせても、特定秘密保護法も戦争法も共謀罪もなくなることはない。もしかしたら、改悪される恐れすらある。

選挙の主人公は、政党でも候補者でもない。もちろんメディアでもなく、飽くまでも有権者こそが主人公である。主権者が国政の進路を決定するために、このときに有権者として立ち現れるのだ。主権者が自らを主権者として自覚する機会でもある。

その主権者は、けっして改憲も壊憲も望んではいない。平和と人権と民主主義の確立と堅持とを望んでいる。その主権者の意を体する市民と野党が、護憲勢力として結集し、共闘の条件整備の努力を積み重ねてきた。政党は、その共闘の主体としての市民をけっして裏切ってはならない。

勤労市民にとっては、虎と狼とどちらを選んでも後悔することになる。改憲指向の保守2党しか選択肢がないとすれば、大政翼賛状況に等しい。10月10日の公示までには全選挙区に主権者の選択肢として、虎でも狼でもない護憲の鳩が羽ばたくことになるだろう。

いま、目の前に繰り広げられた突然の事態に、メデイアも有権者も戸惑いを隠せない。劇場型の政治の流れに翻弄されてメディアの誤導が甚だしいが、これに惑わされてはならない。もう少し落ちつけば、虎と狼の本性が暴かれることになるだろう。まだ時間はある。一時的な暗転に目を眩まされることなく、落ちついて政策や候補者を見極めよう。とりわけ、小池百合子とはこれまで何をし、どんな発言をしてきた人物なのかを見据えよう。

そのうえで、ぜひとも、前門の虎でも後門の狼でもない、護憲の鳩をこそ選択するよう呼びかける。
(2017年9月29日)

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