野党間の選挙共闘は難しい。
先日、日民協総会の折に、滋賀の玉木昌美弁護士と話をする機会があった。そのときに、参院選での滋賀の野党共闘の成立経過における興味深い事情を伺った。参院選の野党共闘候補となったのは、元滋賀県知事の嘉田由紀子さん。前回衆院選では、相当にぶれた印象のある方。難しい野党共闘を,市民主導で粘り強く作りあげたというやや微妙な教訓。ほぼ同じ内容が「自由法曹団通信」に投稿されたので、投稿内容をかいつまんでご紹介したい。
参議院選挙で滋賀選挙区では、野党共闘の嘉田由紀子さんが自民党の現職 二之湯武史氏を破り、初当選した。この当選は、野党四党の比例得票合計の1.64倍、共闘効果が大きく現れたといえる。圧倒的自民党有利のもと、無党派層に浸透し、保守からも一定の支持を集めたものといえる。
滋賀の場合、文字通り市民と野党の共闘を実践し、それが結果を出した。前回の衆議院選挙で希望の党にすりより、野党共闘に敵対した嘉田さんを候補者にすることには異論もあった。しか し、その政治姿勢について「市民の会しが」は嘉田さんに政治姿勢を正す文書を提出し、そのブレインや本人と真剣な協議をした。6月8日、《市民と野党の共闘で参院選に勝利し、安倍政治を終わらせる滋賀県民集会》を開催したが、野党統一候補になった嘉田さんは、「前回の希望の党にすり寄った点等について政治的に未熟であったこと、間違っていたこと」を謝罪し、安倍九条改憲反対等市民の願い、野党の共通政策を実現すべく奮闘する決意を述べた。
選挙は、連合と国民民主が合同選対を作り、野党共闘を強く打ち出すことや共産党と一緒に活動することに躊躇を示し、当初盛り上がりにかける点かあった。「市民の会しが」や「市民アクション滋賀」は、野党を勢ぞろいさせる街頭宣伝や集会を企画し、選挙直前も選挙期間中も展開した。労働戦線をめぐる路線の対立が激しかった者同士がその障害を乗り越え、一緒にマイクを握り、野党統一の嘉田支持を訴えたという麗しい事例も生まれた。前回の反省と野党共闘の候補者である点は、支持拡大において出された喜田さんに対する不信感を次第に克服するに至った。
今回の滋賀の野党共闘の勝利には、これまでの運動の積み重ねがある。「市民の会しが」は、改憲、原発だけでなく幅広いテーマで市民フォーラムを再三開催して議論し、野党共闘の政策課題を深める作業をしてきた。滋賀において四野党の九項目の共通政策が作成できたのも、前回の参議院選挙以来、市民が野党と一緒になって県民集会や街頭宣伝を取り祖んできたうえの信頼関係があったからである。…
なるほど、「言うは易く行うは難い」ことを実践しているわけだ。翻って、我が東京2区の次の総選挙候補者選定は難しい。今表立って候補者として運動をしているのは、立憲民主党の松尾明弘ただ一人。私が「隠れ改憲派」と異名を献呈している人。もちろん、どこの党からの出馬も自由だが、野党共闘の候補者として,まったくふさわしからぬ人。どんな人かは、下記のURLを参照願いたい。
「隠れ改憲派」松尾明弘は、野党共闘候補としてふさわしくない。
(2019年6月18日)
https://article9.jp/wordpress/?p=12811
その一部を再掲する。
「平成から令和の時代に変わりました。
新しい時代に、日本は新しく変わっていかなければならないと誰もが思っています。
しかし残念ながら、政治の世界にだけは、何としても今まで通りの形で変えずに行きたい、問題解決を先送りにしたい、と頑張っている人たちがまだまだたくさんいます。
自分たちの世代で、世界に誇れる新しい日本の形を作り上げていく。
それこそが、自分の子供、孫の世代に対する、最大の責任の果たし方であると考えています。だからこそ私は、批判にさらされ、休みもなく、不安定であることを承知のうえで、国政にチャレンジします。
まっとうな政治を実現し、停滞する日本の政治を前に進めていくために、私はもう一度政権交代することを目指します。」
この松尾の訴え。なんと無内容な、なんと愚かな、人の心に響かない、切実さのない、わけの分からない言葉の羅列。憲法も人権も差別も貧困も格差も出てこない、みごとなまでの無内容。
「平成から令和の時代に変わりました」って、ものを考えない人の決まり文句。この人、企業法務をやっている弁護士のようだが、すべて元号表記なのが驚き。若いのに、もともとが保守の心情が染みついているのだ。
この人のキャッチコピーなのか、「自由を守り、みんなが一緒に暮らせる国へ」という標語が見える。「自由を守り」とはなんだ。誰のどんな自由なのか、最低限明らかにしなければ意味がない。企業の飽くなき利潤追求の自由、解雇の自由、ヘイトスピーチの自由、国家の武装の自由、先制攻撃の自由…なのかも知れない。自由を脅かしているものの特定も、それへの闘いの宣言もない。まったくの空理空論、かる?い言葉が心細げに踊っているだけ。
私が松尾あきひろを批判するのは、野党共闘候補にふさわしくない、ということだ。2度と、地元でこんな候補を担ぎたくはない。
こんな候補者でも、滋賀のように、「その政治姿勢について『市民の会』から政治姿勢を正す文書を提出し、そのブレインや本人と真剣な協議を重ね、《東京2区市民集会》で、前回総選挙の際の『9条改憲賛成』や『原発再稼働賛成』等について、『決定的に政治的に未熟で間違っていた』と謝罪し、安倍9条改憲反対等市民の願い、野党の共通政策を実現すべく奮闘する決意を述べれば、共闘候補としての擁立はあり得るだろうか。総選挙まで、モヤモヤは晴れそうにない。
(2019年9月21日)