澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

自民党よ、いつの日にか真に「自由」で「民主」的な政党たれ。

思想・良心・信仰の自由に関するわが党の政策について

2018年8月4日 自由民主党

 わが党の「思想・良心・信仰の自由」に関する政策については、党内特命委員会において議論されて、「思想・良心・信仰の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」が取りまとめられ、2016年7月の参議院選挙及び17年の衆議院総選挙の公約に明記されたところです。わが党は、公約に掲げたように思想・良心・信仰の多様性を受容する社会の実現を目指し、思想・良心・信仰の自由に関する正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定に取り組んでいます。
 先月(7月)19日の、都立校教員に対する国旗・国歌(日の丸・君が代)への敬意表明の強制を当然とするがごとき最高裁(第1小法廷)判決は、最高裁裁判官らの判断とは言え、この重大な問題への理解不足と教育現場における関係者への配慮を欠いた望ましからぬ判決であることは否めず、最高裁には、わが党の基本方針と相容れぬものであることを指摘するとともに、「自由」と「民主主義」擁護の立場から、厳重な抗議を申しあげたところです。
 わが党は、今後とも思想・良心・信仰の自由という課題について、わが国が批准済みの「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(国際人権B規約・第18条)、「子どもの権利条約」(第14条)や各国の法制度等を調査研究しつつ、真摯かつ慎重に議論を進め、議員立法の制定を目指していく所存です。
 皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

目を白黒してはいけない。当然にパロディである。自民党がこんなことを言うはずはない。しかし、下記の元ネタはパロディではない。自民党ホームページからの、コピペである。

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LGBTに関するわが党の政策について

2018年8月1日 自由民主党

わが党のLGBTに関する政策については、「性的指向・性自認に関する特命委員会」において議論され、平成28年5月、「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」が取りまとめられ、同年7月の参議院選挙及び昨年の衆議院総選挙の公約に明記されたところです。わが党は、公約に掲げたように性的な多様性を受容する社会の実現を目指し、性的指向・性自認に関する正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定に取り組んでいます。
今回の杉田水脈議員の寄稿文に関しては、個人的な意見とは言え、問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があることも事実であり、本人には今後、十分に注意するよう指導したところです。
わが党は、今後ともこの課題について、各国の法制度等を調査研究しつつ、真摯かつ慎重に議論を進め、議員立法の制定を目指していく所存です。
 皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

このLGBTに関する自民党の政策は、これまで話題にならなかった。必ずしも、他党との対決政策となっていなかったからである。野党の政策を追いかけて、遅ればせながら自民党もこの水準にまでは到達したということなのだ。しかし、自民党は同性婚を認めないなど、保守的要素を残している。

なお、この自民党公式コメントの日付が西暦表示となっているのは、私が手直ししたものではない。今どき、自民党と言えども元号表示は不自然なのだ。しかも、煩わしい。来年以後、この煩わしさは倍化する。できるだけすみやかに、西暦表示一本に統一すべきが、ビジネスに限らず、すべての事務作業の合理性追求の方向である。
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それにしても、何の躊躇もなく、「子どもをつくらない性的少数者(LGBT)は『生産性』がない」とする文章をものした杉田水脈。LGBTに関する自民党の政策を知っていただろうか。知らずに、自民党の議員として、あるいはアベ子飼いの議員として確信に基づいての作文であったろう。仮に知っていたとしても、自民党の政策とは表向きと本音とがあり、LGBT差別こそが自民党の本音と思い込んでいたのだろう。

何しろ、あれ程頑固に、選択的夫婦別姓に反対を貫いているのが、自民党である。その保守的論理がLGBTに寛容であるとは考えにくい。

たとえば、2010年総選挙時の自民党選挙公約は、こう言っている。「民主党の夫婦別姓法案に反対 夫婦別姓を選択すれば、必ず子どもは両親のどちらかと違う『親子別姓』となります。わが党は、民主党の夫婦別姓制度導入法案に反対し、日本の家族の絆を守ります。」

日本の家族の絆を守ります。」は、まさしく、杉田水脈の発言にふさわしく、LGBTへの寛容とは相容れないではないか。

それでも、LGBT差別に関して、当事者や広範な市民による党本部への抗議の行動が盛り上がると、自民党も、「今回の杉田水脈議員の寄稿文に関しては、個人的な意見とは言え、問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があることも事実であり、本人には今後、十分に注意するよう指導したところです。」と言わざるを得なくなる。

報道では、「自民党は当初、『寄稿文は議員個人としてのもの』と静観する構えだった。しかし、7月27日に党本部前で大規模な抗議集会が開かれ、今週末にも各地で抗議活動が予定されるなか、党の責任を問う声が高まり、釈明に追い込まれた。」とされている。アベの責任追及にまで抗議の声が大きくなりそうなので、言い訳したと言うことなのだ。「これから丁寧に説明します」というあの手口。

この抗議の声を上げたのは、LGBT差別に苦しむ当事者だけではない。当事者を中心に、あらゆる差別を解消しようとする人々、多様性受容する社会を望む人々が、立ち上がっている。人種・民族・出自・宗教・障害の有無・家族構成・経済格差…等々による差別。その差別の一態様として、長い間一貫して行われている、思想・良心・信仰による差別を忘れてはならない。

中でも、国旗国歌に対する敬意表明の強制は、現代の踏み絵である。どうしても、従えない人がいるのだ。思想・良心・信仰ゆえに、この強制を受け容れがたい人を容赦なく攻撃しているのが、自民党である。

近い日に、自民党が今の姿勢を悔い改めて冒頭に掲げた声明を発表し、真に「自由」で「民主」的な政党に衣替えする日の来たらんことを切望する。
(2018年8月4日)

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