澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「総点検・安倍政権のコロナ『対策』」を特集する「法と民主主義」7月号購読のお願い

(2020年7月31日)
「法と民主主義」7月号(№550)の特集は「総点検・安倍政権のコロナ『対策』」である。僭越ながら、私が総論に当たる一文を書いている。だからというわけだけでもないが、だからということもあって、ご購読いただくよう、お願い申しあげます。

以下、特集のリードをご紹介する。

突然に世界を襲った新型コロナウィルス (COVID-19)の蔓延は、それぞれの国と社会に大きな衝撃を与えた。各国とも、否応なく突きつけられたこの現実に全力で対応せざるをえない。同時に、この災厄は、克服しなければならない国家や社会の諸問題を露呈している。それぞれの国や社会の対応能力が試されてもいる。

本誌は、本年5月号に「新型コロナウィルス問題を考える」を特集し、続く6月号の特集を「新型コロナウィルス問題があぶり出したもの」とした。そして、今号は「総点検・安倍政権のコロナ『対策』」である。

唐突に生じた新型コロナ禍がいったいいかなる現象で、社会的にいかなる意味をもち、どのような法的・政治的問題を孕んでいるのか。その関心に応えた特集が、「問題を考える」という表題となった。次いで、感染症蔓延の現実が進行する中で、平常時には必ずしも十分に見えなかったこの社会の諸矛盾がさらけ出された。見えてきたものは、何よりも医療と福祉の脆弱性であり、経済至上主義がもたらした格差・貧困の実態であった。また、コロナ禍による経済活動の自粛は、社会的弱者への苛酷な皺寄せとなった。その実情報告が、「あぶり出したもの」である。

そして、今号の特集は、「総点検・安倍政権のコロナ『対策』」。コロナ禍が生みだした直接の問題点ではなく、安倍政権によってなされた「対策」を検証しようというもの。言うまでもなく、「対策」には括弧を付けねばならない。嘘とごまかしをもっぱらとし、政治と行政を私物化してきた安倍政権である。コロナ禍がこの社会の矛盾点をあぶり出したように、コロナ禍対策が改めてこの政権の体質をあぶり出している。

総点検は、対策の分野別に、[経済][財政][税制][労働][外国人][福祉][ジェンダー][政策手法]などを取りあげる。通底しているものは、一強体制のもと、国民からの信頼を失った政権の末期症状である。この期に及んでなお、相も変わらぬ新自由主義的本質と、オトモダチ偏重の体質である。

破綻寸前の政権による、コロナ対策不手際の実態を明らかにしつつ、憲法の理念から根底的に批判することが本号特集の趣旨である。

問題意識を示す[総論]は、「安倍政権のコロナ対策を素描する」との標題で、編集部の澤藤が執筆した。本来、国はこのような危急の事態に経済的弱者を救済するためにこそ存在する。そのあるべき姿と大きく乖離した安倍政権の在り方を批判するもの。また、この政権の否定的な諸特質がコロナ対策において顕著に露呈し、政権の末期症状を呈していることに言及されている。

[経済]の部門は、浜矩子氏インタビュー。コロナ対策で露わとなったアベノミクスの本質を語り、そもそも経済とは人の幸せのためにあると力説。「Go To トラベル」キャンペーンなどに典型的に見られる景気振興策の実態と問題点。監視社会論やベーシックインカムなどにも触れて切れ味がよい。提唱される「人間の経済学」に耳を傾けたい。
[財政]は熊澤道夫氏に解説願った。コロナ対策の財政出動は、時期に遅れ、生存権保障、事業継続の必要額に届かず、金融では内部留保豊かな大企業ほど有利。そして、一〇兆円の予備費計上が憲法上の財政民主主義を侵しているという。
[税制]は、全ての対策費用の財源に関わる論点。菅隆徳氏の論稿は、「コロナ税」や消費税増税を許さず、財源は大企業、大資産家に応分の負担をもとめ、法人税に所得税並みの超過累進課税を提言している。
[労働問題]は、実務家諸氏には避けて通れない。棗一郎氏の論稿は、コロナショック下の労働者の雇用と労働条件の維持に、安倍政権の政策は適切に対応しているかに焦点を当てて、網羅的に論点が提示されている。新しい事態に生じた労働問題と政権の対応も論じられている。
[福祉]政策は、今がその真価を問われるとき。藤田孝典氏は「コロナ対策とあるべき福祉」では、生存のための権利を保障するための三一の緊急提案が掲載されている。その中には、ジェンダーや外国人政策が詳細である。
[ジェンダー]の問題を明珍美紀氏が指摘している。自粛要請の中でDV被害が深刻化している。にもかかわらず、暴力に対する処罰は生ぬるく、窮地に陥る人々への支援は不十分。それが、「女性活躍を掲げる」この国の実態だという。
[政策手法]は栗原猛氏。まず、安倍政治の通弊を8項目にまとめる。それが、コロナ対策にどう現れているかを論じる。「財政民主主義と説明責任」「『中抜き』『孫抜き』と利権構造」 「経産省、電通、パソナをめぐる ブラックホール」「トップダウン手法と側近政治」と肯かざるをえない。

栗原氏論稿の末尾が、「今一番大事なことは国民一人一人が、不真面目でいい加減な政治に怒りを発することではないか。」と結ばれている。これが、特集の結論でもあろう。
(「法と民主主義」編集委員会)

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「法と民主主義」7月号

特集●総点検・安倍政権のコロナ「対策」

◆特集にあたって … 「法と民主主義」編集委員会
◆安倍政権の新型コロナ対策素描 … 澤藤統一郎
◆インタビュー●コロナ対策で露呈、覆い隠せないタチの悪さ
世のため、人のためを考えないアホノミクス
あらためて「人間の経済学」を … 浜 矩子
◆新型コロナウイルス感染症の財政政策 … 熊澤通夫
◆コロナ禍で問われる税収の空洞化 … 菅 隆徳
◆新型コロナショック下における労働問題に安倍政権の政策は対応できているか
── 労働者の雇用・労働条件は守られているか? … 棗 一郎
◆コロナ禍と外国人労働者を巡る課題と現状 … 板倉由実
◆コロナ対策とあるべき福祉 … 藤田孝典
◆加害者の処罰と支援体制の充実を──国際社会に後れを取る日本 … 明珍美紀
◆グローバル主義の限界と利益誘導政治 … 栗原 猛

◆連続企画●憲法9条実現のために〈31〉
イージス・アショア導入断念と日米の防衛戦略 … 千坂 純
◆司法をめぐる動き〈58〉
・解釈すれども判断せず
──憲法53条訴訟・那覇地裁判決が投げかけたもの … 志田陽子
・5/6月の動き … 司法制度委員会

◆メディアウオッチ2020●《コロナ危機とメディア》
いま改めて問われるジャーナリズム
メディア利用で知事選勝利、 宣伝効果求めコロナ政策迷走 … 丸山重威
◆あなたとランチを〈番外編〉
美魔女は法民に乗ってⅢ … 林 敦子さんインタビュー×佐藤むつみ
◆改憲動向レポート〈No.26〉
「憲法改正国民投票」を訴える安倍首相、橋下徹氏、吉村洋文氏 … 飯島滋明
◆時評●辺野古から考える「法の支配」の現在 … 岡田正則
◆ひろば●追悼 鬼追明夫先生
あの「記録映画・日独裁判官物語」は
今なお、司法のあり方を問うています … 高橋利明

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