澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

野田聖子と、その長男真輝君に声援を送る。

昨日(8月17日)の毎日新聞夕刊。鬱陶しいオリンピック報道の紙面に埋もれるような「特集ワイド」。野田聖子のインタビュー記事。

「相模原殺傷事件」「感じた嫌悪『いつか起きる…』」「長男が障害持つ野田聖子衆院議員」という見出し。もう一つ、中見出しが「命ってすごいんだぞ」。私はすっかりこの人に感情移入してこの記事を読んだ。この人なら信頼してもよいのではないか、政治家として大成して欲しい、とも思った。

「相模原殺傷事件」は、あまりに重い問を時代に突きつけている。私は、この衝撃を受け止めかね、どう整理したらよいのか考えあぐねている。そこに、野田聖子インタビューである。多くの人の共感を得たのではないか。下記のURLを開いて是非全文をお読みいただきたい。
  http://mainichi.jp/articles/20160817/dde/012/040/003000c

この人の物言いには気取りがない。飾り気もない。そして尊大さがない。上からの目線を感じさせるところが微塵もなく、障がいの子を抱えて、優生思想を肯定する世間の雰囲気に恐怖を感じ、差別意識丸出しの曾野綾子からの名指しの批判に慄然とする、弱い母親の立場を隠さない。

事件犯人の殺意は、身障者を社会の厄介者とするこの社会の差別意識の土壌から生まれたものだ。石原慎太郎や曾野綾子らは、その加害者側の差別意識を代表する立場。対して、野田聖子は被害者側の立場で、「私も息子も、いつ襲われるか分からないジャングルの中を歩いているような気分」という。それでも、懸命に闘おうという気概に「侠気」さえ感じさせる。

野田聖子発言の中の次の個所が特に目に止まった。

野田 逆にお聞きしますが、この事件でなぜ被害者の名前が報道されないのでしょうか。被害者が生きてきた何十年という人生が、ないことになっているのでは。その人生を失った悲しみは、これで分かち合えるのでしょうか?

記者 「遺族が公表を望んでおられない」と警察が説明していることもあります。

野田 優生思想的な考えを持つ人たちから、家族が2次被害に遭うからでしょう。変ですよね。だからこそ私は逆を行きたい。息子の障害や写真を公表したのもその思いから。国会議員にも家族の障害を隠す人がいるんじゃないかな。でも隠す必要はない。息子に誇りを持ってほしいとの思いもある。

人は人であるだけでなく、それぞれが固有名詞と個別の人生をもつ、ほかならぬ自分なのだ。人は人として尊ばれるだけでなく、個性をもった個人としても尊ばれなければならない。

野田聖子は障がいをもつ子の母として、被害者が名前さえ知られることなく、抽象的な人数の一人としてのみ処理されることが、耐えがたくも許しがたいのだ。もちろん、家族が2次被害に遭いかねない事情はよく分かる。だからこそ、政治家である自分は、そのような社会と闘って社会を糺さなければならない。そう自覚して、愛息の障がいや写真を公表しているのだ。

社会に巣くう差別の土壌で心ない加害者が育つ。教室でのイジメ、公園でのホームレス狩り、ヘイトデモ、ネットでの匿名民族差別の悪罵…。加害者は世間の顔色を窺いながら、悪質さをエスカレートしていく。このような差別言動の横行は、この社会が病んでいることの徴表にほかならない。

病んだ社会が生みだした差別言動の行く着くところが、「社会のムダを省く」という「論理」で行われた「相模原殺傷事件」ではないか。犯人は、「誰が私を裁くことができるのか」と薄笑いを浮かべて、そう世に問うているのだ。

社会の差別意識を嫌悪し、これと闘おうという野田聖子の真っ当な姿勢に声援を送りたい。曾野綾子や、これに煽動されたネット住民のバッシングを許してはならないと思う。万が一にも、孤立させてはならない。

初めて、野田聖子の公式ホームページを開いてみた。政策の中に、次のアピールがある。
■子供を産み育てたいと願う人々がさまざまな理由で苦しい思いをし、豊かな日本にありながら子供の貧困が進み、社会の基盤が蝕まれています。安全な生殖補助医療環境、無用な負荷のない育児環境、子供の権利と命を守るセイフティーネットを整え、子供の幸せな誕生と健やかな成長を約束します。
■高齢者のホームレス化、孤独死が増え、老々介護の厳しさもますます増しています。現行の健康寿命関連施策を一層充実させるとともに、人生の晩年を温かく見守り支える社会的な意識醸成に取り組みます。
■先端医学、医療技術の発展を後押ししつつ、女性の健康や終末医療などを活発に議論する場と法制度を整え、生命倫理問題に真摯に向き合う社会を築きます。

毎日の記事と併せて読むと、信用できそうだと印象を受ける。そして、こんな、自民党に対する抵抗とも読める政策もあった。
■思考停止につながる党議拘束のあり方や不透明な党内ルールを見直し、多様な議員人材を育て、国民に開かれ、国民の力を活かす自民党を目指します。

野田は、選択的夫婦別姓に賛成の立場を表明してもいる。同じ自民党でも、アベとは大違いだ。保守の幅広さを感じさせる。

野田聖子とこれを支えている夫(議員ではない)と、そして来年は小学校だという真輝(まさき)君に注目し、拍手と声援を送る。
(2016年8月18日)

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Published in 木曜日, 8月 18th, 2016, at 19:38, and filed under 未分類.

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