澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

リメンバー「10・23通達」

悪名高い「10・23通達」が発出されて今日が13年目となる。これまでの長い闘いを振り返り、これからを展望して「学校に自由と人権を!」集会が開かれた。「日の丸・君が代」関連の裁判の原告団ら14団体でつくる実行委員会が主催したもの。盛会だった。

今年の集会には、情勢を反映して「憲法を変えさせない! 誰も戦場に送らせない!」という副題がついた。メインの講演は青井美帆学習院大学教授。「戦争できる国と教育」の演題。そして、私が特別報告「『君が代』訴訟の新しい動きと勝利への展望」。
以下に、私のレポートのレジメを掲載して、集会の報告とする。

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  『君が代』訴訟の新しい動きと勝利への展望
はじめにーWe Shall Overcome
  あの日から13年 今も闘い続けていることの意味を再確認しよう
    I do believe That we shall overcome some day.
  Somedayではあるが、勝利を展望して闘い続けよう。

第1 「10・23通達」関連訴訟全体の流れ
 1 高揚期(予防訴訟の提訴~難波判決)
  ※再発防止研修執行停止申立⇒須藤決定(04年7月)研修内容に歯止め
  ※予防訴訟一審判決(難波判決)の全面勝訴(06年9月)
 2 受難期(最高裁ピアノ判決~)
 ※ピアノ伴奏強制事件の合憲最高裁判決(07年2月)
   ⇒これに続く下級裁判所のヒラメ判決・コピペ判決
  ※「君が代」解雇裁判・一審佐村浩之判決(07年6月)が嚆矢
   取消訴訟一審判決(09年3月)も敗訴。
   難波判決 高裁逆転敗訴(11年1月)まで。
 3 回復・安定期(大橋判決~)
  ※取り消し訴訟(第1次訴訟)に東京高裁大橋判決(11年3月)
    全原告(162名)について裁量権濫用として違法・処分取消
  ※君が代裁判1次訴訟最高裁判決(12年1月)
   河原井さん・根津さん処分取消訴訟最高裁判決(12年1月)
   君が代裁判2次訴訟最高裁判決(13年9月)
    間接制約論(その積極面と消極面) 累積加重システムの破綻
    原則・減給以上は裁量権濫用として違法取消の定着
 4 再高揚期(福島判決~)
  ※いま確実に新しい下級審判決の動向
  ※最高裁判例の枠の中で可能な限り憲法に忠実な判断を。
   10・23通達関連だけでなく、都教委の受難・権威失墜の時代

第2 最近の諸判決と、その要因
   13年12月 「授業をしていたのに処分」福島さん東京地裁勝訴・確定
  14年10月 再任用拒否(杉浦さん)事件 東京高裁勝訴・確定
  14年12月 条件付き採用免職事件 東京地裁勝訴 復職
 (15年1月 東京君が代第3次訴訟地裁判決 減給以上取消)一部確定
  15年 2月 分限免職処分事件 東京地裁執行停止決定
  15年 5月 再雇用拒否第2次訴訟 東京地裁勝訴判決
  15年 5月 根津・河原井さん(07年)停職処分取消訴訟 東京高裁逆転勝訴
  15年10月 岸田さん(ピアノ)減給(修正裁決)処分取消 東京地裁勝訴
  〈16年 4月 再雇用拒否東京地裁判決(請求棄却)→控訴審継続中〉
  15年12月 再雇用拒否第2次訴訟 東京高裁勝訴判決
 (15年12月 東京君が代第3次訴訟高裁判決 控訴棄却)
 (16年 7月 最高裁三小 東京君が代第3次訴訟で上告棄却・不受理)
   16年 7月 岸田さんの高裁判決(都教委の控訴棄却)
 ※基調は、最高裁判例にしたがった下級審の姿勢だが、
 ※最高裁判決法廷意見と補足意見の積極面が生きてきている。
 ※また、都教委の暴走を看過できないとする裁判所の姿勢が見て取れる。
 ※各原告団・弁護団による総力の努力が相乗効果を産んでいる。
 ※粘り強く闘い続けたことの(一定の)成果というべきではないか。

第3 訴訟での勝利への展望
 1 最高裁判決における到達点の確認
  *「間接」にもせよ、思想・良心に対する制約と認めたこと
  *2名の裁判官の反対意見(違憲判断) とりわけ宮川意見の存在
  *多数裁判官の補足意見における都教委批判
 2 最高裁判決が語ったことに対する反論ー正面突破作戦
  *最高裁の「論理」の構造そのものを徹底して弾劾し、真正面から判例の変更を求める。裁判所の説得方法は、「大法廷判例違反」「学界の通説に背馳」「米連邦最高裁の判例に齟齬」などにある。
  *職務命令違反による懲戒処分が戒告にとどまる限りは、懲戒権の濫用にあたらない。⇒すべての懲戒が権利濫用として違法になる。
 3 最高裁判決が語っていないことでの説得ー迂回作戦
  *最高裁は、権利侵害論については語ったが、制度論については語っていない。
  *「主権者である国民に対して、国家象徴である国旗・国歌への敬意を表明せよと強制することは、立憲主義の大原則に違反して許容されない」という意を尽くした主張に、判決は応えていない。
  *手厚く述べた憲法20条違反(信仰の自由侵害)の主張にも、憲法26・13条・23条を根拠とする「教育の自由」侵害の主張にも、また、子どもの権利条約や国際人権規約(自由権規約)違反の主張についても、最高裁は頑なに無視したままである。

第4 勝利への展望を切り開くもの
  ※法廷内の訴訟活動と、現場と支援の運動の連携。
   そして、司法の体質を変える運動と。司法だけが「民主化」することの困難さ。
  ※都政を変える運動と展望を。
  ※文科省の教育政策を弾劾する運動を
  *国際人権論からの政治的追求など

We shall overcome some day.(闘いを継続することなしに勝利は得られない)

(2016年10月23日)

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