澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「朋友相信シ」の蜜月変じて、「朋友相食ム」の醜悪

ボクって愚かなんだ。あんなこと言わなきゃよかった。いつものことだが、もう少し落ちついて、言葉を選んでものを言うべきだったんだ。でも、ついついカーッとなって、「何をムキになっているんですか」なんて言われちゃうんだ。

あのときは、まさかこんなことになるとは思わなかった。籠池があすこまで肚をくくって逆襲するなんて思いもよらなかった。だって、ボクは総理大臣だよ。長期政権を目指して、アベ一強と言われてもいる。みんな、ボクには揉み手をして擦り寄って、忠義を売ろうとしているじゃないか。籠池もその一人だ。ボクは、擦り寄ってきた友だちをおろそかにせず、それぞれに処遇してやってきた。そのボクに、無名の民間人が食ってかかるなんて、考えられないことだろう。

だから、2月17日の衆議院予算委員会でのこと。森友学園疑惑がメディアに報じられて間もなくの頃だ。民進党の福島伸享議員から森友学園との関係について問われて言っちゃった。「私や妻がですね、認可あるいは国有地払い下げにですね、勿論事務所も含めて一切関わっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もし関わっていたんであればですね、これはもう私は総理大臣を辞めるということでありますから、はっきりと申しあげたいとこのように思います」「いずれに致しましてもですね、繰り返して申し上げますが私も妻もですね、一切認可にもですね、あるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして…繰り返しになりますが私や妻が関係していたとなればこれはもう、まさに総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申しあげておきたい」

あんまり、はっきりと言っちゃったんだ。あとさき考えないで。
条件節の主語は「私」「妻」「(安倍晋三議員)事務所」の3者。述語は、(私立小学校設立)認可あるいは(その敷地の)国有地払い下げに、関係していたこと。そして、条件充足の効果は、ボクが「総理大臣も国会議員も辞める」ということ。

ああいう世間知らずの危険な人物と付き合ってしまったのが、かえすがえすも残念だ。あ~あ、また、うるさい野党の連中やメディアに叩かれる。「総理を辞めろ」、「議員も辞めろ」とうるさいだろうな。デモ隊も、「アベは、やめろ」「議員をやめろ」「嘘つきはやめろ」なんて、「ヤメロ・ヤメロ、コール」が鳴り響く。頭が痛くなってきた。

こんなことにもなろうかと、籠池の参考人招致にはゴーサインを出さなかったんだ。もしかしてホントのことを洗いざらい口走ってしまいかねない危険を感じていたんだ。でも、ここまで開き直ることは思っても見なかった。もっと上手に繕って、ボクの窮地を救ってくれてもいいじゃないか。もとは肝胆相照らす同志だった仲じゃないか。それをあんな風に足蹴にされたんじゃ、こちらも惻隠の情を示しようがない。もう終わりだ。

昨日(3月23日)の証人尋問。案の定、証人になんか呼ぶんじゃなかった。だれが見たって、疑惑はいっそう深まった。偽証罪で脅かせばビビって口をつぐむだろうと思ったんだ。見事に思惑外れだ。あれで、内閣支持率は10ポイント下がったんじゃないか。

それにしても、与党担当者の無能力に呆れる。まあ、自分のことは棚に上げてのことだけどね。自民党の国対委員長は、「首相に対する侮辱だから」証人に呼び出す、としっかり言っちゃった。あれはひどい。マイナス5ポイントくらいになったんじゃないの。そして、「首相に対する侮辱だから懲らしめてやる」という姿勢が見え見えの尋問担当者。自民党も公明党も、そして維新もだ。

アベ政権と与党が悪役を買って出て、意地の悪い悪代官と木っ端役人を演じて、結局は籠池をいじめることもできなかった。

あの籠池の「100万円寄付」の証言は痛い。供述に生々しい信憑性がある。とても作り話とは思えない。あの証言を聞かされれば、だれだって妻が籠池に100万円を寄付したと信じるだろうさ。なんと言っても、描写が具体的で詳細だ。客観的な状況に照らして破綻がない。しかも、宣誓をし、偽証罪の制裁を科せられての証言だ。12名の尋問者の質問にほころびが出なかった。

いまさらながら、自民党の国対委員長は、開き直って「百歩譲って、首相夫人が100万円寄付していたとして、それがいったい何だというんですか」と言い始めた。だれだって分かる。「アベの妻は100万円出すくらいの熱い籠池教育支持者だった。ならば、忖度の条件も作ったろうし、口利きだってしただろう」。そのように国民が考えるだろうと言うことだ。

証人に呼び出して、かえってコチラが窮地に立った。野党が嵩にかかって「フェアに、同じ土俵で、首相の妻にも証人として証言をさせよ」と言っている。当たり前だが、そんなことをさせたらおしまいだ。だって、そんなことをさせたら、偽証罪で脅されて、本当のこと言っちゃうもん。

でもよく考えてみると、この話、もともとは妻とボクとが塚本幼稚園の教育に共感し共鳴したことが発端なんだ。なにしろ、幼稚園児に教育勅語を暗唱させ、五箇条のご誓文や軍歌を覚えさせる素晴らしい理想の教育。籠池夫婦もボクら夫婦も、ともに戦後民主主義を否定して、戦前の臣民の道を履践しようという右翼と右翼。言わば、妻も私も籠池の臣民教育に感動し、籠池夫婦はアベ極右政治姿勢に共鳴して、同志的な連帯感をもったということだ。籠池が、設立予定の学校に、安倍晋三記念小学校などと命名しようとしたのはその同志的連帯の証し。私も、右翼の支持者に手柄顔ができると思ったんだ。今は、勅語教育が攻撃の的になり、私が手のひら返したことで、右翼の諸君も私を裏切り者と言い始めている。

ボクは、こんなとき、教育勅語を読み直す。
爾臣民
父母ニ孝ニ
兄弟ニ友ニ
夫婦相和シ
朋友相信シ
恭儉己レヲ持シ
博愛衆ニ及ホシ
學ヲ修メ 業ヲ習ヒ
以テ智能ヲ啓發シ
徳器ヲ成就シ
進テ公益ヲ廣メ……

妻との間の「夫婦相和シ」も実は怪しい。「朋友相信シ」は完全に壊れてしまった。正直の徳目は、教育勅語にはない。「徳器ヲ成就シ」がこれに当たるだろうか。ともかく今はなんとしてでも、籠池を嘘つきの悪者に仕立てて、右翼政権の窮地を脱しなければならない。

妻を証人喚問させるなんて、そんな真実バレバレを許してはならない。そんなことをするくらいなら、総理大臣も議員もやめた方がマシだ。さりとて、証人喚問を拒否すれば、ますます疑惑がふくらんで支持率はますます下がることになる。疑惑が深まっても、拒否せざるを得ない。いい考えも出てこないから、ここしばらくユーウツなんだ。頭がイタイ…。
(2017年3月24日)

Comments are closed.

澤藤統一郎の憲法日記 © 2017. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.