「公明党=創価学会ではない」とは、ときに聞かされること。「公明党≒創価学会ですらない」「創価学会は真面目ですよ。平和を求めることにおいては特にね」などとも。とりわけ学会の婦人部が、原水爆禁止や9条擁護に熱心だとされる。私は、その真否を判断できる材料をもちあわせない。ただ、創価学会の前身創価教育学会は、戦前の天皇制政府から過酷な弾圧を受けている。その意味では軍国主義の被害者であった。信徒団体としての創価学会が、平和を求める集団であってなんの不思議もない。
とはいえ。創価学会が王仏冥合という独特の政治理念をもって政界への進出を試み、公明政治連盟を作りさらに公明党の母体となったのは周知の事実。
その公明党の昨今の体たらくはどうだ。創価学会が真に平和を志向する団体であるなら、公明党がアベ自民党の下駄の雪となって、どこまでも改憲路線を支えていることは奇妙奇天烈というほかはない。今次参院選における公明党代表山口那津男の野党共闘への攻撃のボルテージはただごとでない。改憲阻止・立憲主義の回復・集団的自衛権行使容認反対・戦争法廃止での共闘に対するむき出しの敵意である。自身の憲法や平和への立ち位置をよく示している。
本当に創価学会は平和を志向しているのだろうか。公明党を通して創価学会を見る限り、眉唾と言った方が分かり易い。もしかしたら、公明と学会とは、二つの顔をもって役割分担しているのかも知れない。公明が反共・親自民・改憲路線の顔、学会が平和・護憲・環境保護の顔。両面取り込んで、分裂もしない奇妙なところが、この集団の強みであり、不気味なところでもある。
集団的自衛権行使容認の公明党には、創価学会の一部から猛反対があったようだ。戦争法の法案提出から強行採決反対する一連の運動の節々に、確かに創価学会のグループがデモに参加していた。これは、ごく一部の微震に過ぎないのだろうか。実は屋台骨を揺るがすほどの激震の徴候なのだろうか。外からは見えない。
創価学会と平和・憲法。昔は本当に相性がよかったようだ。創価学会婦人部は本気になって、平和憲法擁護、9条改憲阻止を訴えていたという。そのことを28年前の創価学会婦人部編『まんが・わたしたちの平和憲法』を紹介するブログで知った。
下記のURLをごご覧いただきたい。
http://seoul-life.blog.jp/archives/62149212.html
このブロガーは、ソウルに在住の若い人だ。こう言っている。
「ここに書かれた戦争へのシナリオが今の状況とそっくり
これは、1988年、僕が12歳の時に創価学会婦人部平和委員会の編纂で第三文明社から出版された『まんが・わたしたちの平和憲法』の最後の章です。主人公の男の子たちが旅に行っている1年あまりの間に、自覚のない国民が選挙で憲法改正に同意してしまい、その後に起こる悲劇を描いています。
僕はこの時この本を読んで憲法というものについて面白く学びましたが、この章を読んでとても怖くなったことと、それでもこんなことは起こるはずがない、もし起こるような動きがあれば何があっても止めなければ、と幼心に感じたのを覚えています。
もちろんこのまんがは夢の話ですし、極端なところがあるでしょう。しかしこの夢を現実にさせたがっているのが今の政権です。実際に、このまんがのp.184?185のような動きはほとんど現実のものとなってきてしまいました。
自民党と組んでいる公明党はもともとこのまんがのような護憲政党だったはずです。しかし、僕に平和憲法を教えてくれた公明党はすでに、その正反対の憲法違反を押し進める側になってしまいました。今の自公を勝たせてはいけません。彼らは昔の自民党でも、昔の公明党でもありません。…
第九条の理想は、時の幣原首相がマッカーサーに陳情して憲法となったものだそうです。アメリカに押し付けられたものではありませんでした。確かに理想かもしれません。でも日本がその理想の旗を降ろしてしまったら、世界はその理想に近づくでしょうか、遠ざかるでしょうか。…
このまんがを編纂したのは普通の主婦の人たちだそうです。これを読んで何かを感じる方は、どうか声を上げていただきたいと思います。多くの人にシェアしていただき、感じていただきたいです。身の回りの創価学会の人にも見せてあげてください。
国を守るという美名のもとに国家の名によって殺されるのは、国会議員でも、彼らに投票した大人たちでもなくて、子供たちなのです。最後にこのまんがの第六章冒頭の文をここに挙げます。
『いま憲法(特に第九条)が変えられる動きがあります。
一人ひとりが憲法に関心を持ち、第九条の平和の心を守っていきましょう。』」
この漫画は創価学会婦人平和委員会が出版した、「わたしたちの平和憲法―まんが (平和への願いをこめて―ジュニア版)」(1988/9)である。作画は、懐かしい山根赤鬼。念のためとアマゾンを検索したら、中古の出品3冊出てきた。価格は、17,998円、25,282円、そして30,000円という。今はあとかたもない歴史的な遺物として、高価なのかも知れない。
創価学会婦人平和委員会編の『平和への願いをこめて』(第三文明社・1981)というシリーズもある。本格的な民衆の戦争体験記集である。戦地の体験、各地の空襲、沖縄地上戦、そして原爆…。
下記URLをご覧いただきたい。
「昭和50年代の青年部と婦人部の反戦出版」
http://jounin.web.fc2.com/hansen/hansen.htm
戦争を知らない世代へ?(全56巻)
戦争を知らない世代へ? 全24巻
平和への願いをこめて 全20巻
最後の全20巻は下記のとおり。
?引揚げ編
?従軍看護婦編
?戦後生活(関西)編
?広島・被爆その後編
?学童疎開編
?基地の街(神奈川)編
?女たちの戦禍編
?聞き書き(千葉)編
?戦争未亡人(埼玉)編
?女教師編
?樺太・千島引揚げ(北海道)編
?沖縄戦後編
?被爆二世(長崎)編
?農村婦人(東北)編
?女子挺身隊(中部)編
?満蒙開拓(長野)編
?国防婦人会(大阪)編
?四国編
?戦争孤児(東京)編
?外地編 あの星の下に
上記「?従軍看護婦編 白衣を紅に染めて」の一節にネットで接することができた。従軍看護婦の手記が、慰安婦の惨状を語っている。
「ジャワ島に行く途中、私達の乗った輸送船が潜水艦に襲われ・・・・その時は運よく魚雷に当たらず、私たちはヤレヤレと胸をなでおろしましたが、それも束の間、またまた、何かの理由で船は進行を阻止され、やむなく途中のセレベス島マカッサルという所で1か月待機することになりました。ところが、私はこの地で先に記した戦場での負傷者よりもっとひどいものを見ることになりました。それは日本軍隊の恥部ともいわれている従軍慰安婦の実態でした。性病に冒され、局部が形がなくなるほどむごくくずれた彼女達は、『決していわないでくれ』といいながら、少しずつその生き地獄のさまを話してくれたものです。戦争のために送られた兵隊達もそこが戦場となっていなければ、休日もある。休みといっても行く所もすることもなければ、勢い、男達は慰安所に列をなす。慰安婦の数は少なくはなかったが、兵隊の数はあまりにも多く、時間を区切って用を済まさせたが、1日に数えきれないほどの人数を受け入れなければならず、それはもう生きた心地はない……と。それまで話に聞いたことはありましたが、現実にそういう所に身をさらさなければならない女性と接するにつけ、その中には朝鮮の女性もたくさんおりましたし、私は『ああ、日本人って、日本軍隊ってこういうものだったのか』と同じ日本人の女性として、言葉に表すこともできない憤りに苦しんだものでした」(156?157ページ、孫引き)
かつての創価学会は、かくも堅固な護憲派であり、反戦の姿勢も堅持していたのだ。この人たちの後輩が、今アベ改憲勢力の手先になりさがっているのだろうか。嗚呼。
(2016年6月26日)
昨日(6月23日)の毎日新聞朝刊。「参院選で有権者になる20歳未満の男女各50人の計100人に野党共闘について聞いた」という記事。回答した92人の意見分布と9人の個別意見を紹介している。「野党共闘に「賛成」と答えたのは28人。「反対」は18人で、最も多かったのは「その他」の46人だった。」という。新有権者の意見を知ることは極めて有益である。
もっとも、やや漠然とした問に、必ずしも噛み合わない回答になっているとの印象を避けられない。野党共闘は憲法改悪阻止ないしは立憲主義の回復を主たる目標とするもの。もう少し具体的には、「7・1閣議決定」と「戦争法の廃止」を主たる共通課題としている。だから本来は、野党の共闘が共通課題とした理念や政策への賛否を明確にしたうえ、その後に、その目的に照らして共闘が意味あるものか否かについて意見を聞くべきではなかったか。そうすれば、もう少し整理された分かり易い意見を聞くことができたのにと思う。
それでも、記事が述べているとおり、それぞれの回答者の真剣さが伝わってくる。僭越ながら、個別の意見に向き合い検討してみたい。
賛成意見(28人中の3人の意見)
◆共闘は無理だと思っていた。自分たちの政策を横に置いても改憲を阻止したい真剣さが初めて見えた気がする。今回の選挙の争点には、過去にない重みのあることが分かった。……………………北海道・大学生・男19
◇澤藤コメント 至極真っ当な見解ではないか。各政党がそれぞれの理念や政策を有していても、明文改憲を許してしまえば取り返しのつかないことになる。したがって、「各政党独自の政策を横に置いても改憲を阻止するという一点で共闘する」姿勢を積極評価している。「今回の選挙の争点には、過去にない重みがある」というのは、明文改憲がかかった選挙だという理解なのであろう。論評の必要がない。
◆実際に憲法改正阻止ができるかどうかは疑心暗鬼の部分もあるが、与党対野党というわかりやすい図式で、報道もわかりやすくなった。以前より関心を持って見られるようになった。………………………埼玉・大学生・女19
◇澤藤コメント 「実際に憲法改正阻止ができるかどうかは疑心暗鬼」とは、「今次の野党による選挙共闘成立くらいのことでは、憲法改正阻止を実現すること難しいのではないか」ということのようだ。だから回答者は改憲阻止を望む立場なのだろう。ところが、野党共闘の成立の積極評価を「改憲阻止の目標」に照らしては語らず、「与党対野党というわかりやすい図式で、報道もわかりやすくなった」「以前より関心を持って見られるようになった」という傍観者としてのメリットを語るレベルで終えている。できれば、もっと積極的な当事者意識が欲しいところ。当事者意識とは、主権者意識と言い変えてもよい。
◆さまざまな意見を言う人が集まれば、団体として幅が出ると思う。一つの意見、政策を訴える一つの党よりも柔軟な対応をしてくれそう。…熊本・高校生・男18
◇澤藤コメント 共闘のメリットを「幅」「柔軟な対応」に求めて評価する意見。現今の風潮では、「決められない政治」「優柔不断」が攻撃されている。とりわけ右派から民主主義的政治過程の手続的加重が嫌われる時代である。そのようなときに、意見の異なるさまざまな人びとの集合自体に価値を認める見解は、民主主義の原点に立ち帰る素敵なものだ。とはいうものの、あまりに抽象的な一般論としてしか語られてないことが気にかかる。果たして、なんのためのどのような共闘かを認識したうえで、問題を煮詰めての結論なのだろうか。
反対意見(18人中の3人の意見)
◆党是が全く違う政党が一緒に戦って、与党を倒した後に何ができるのか疑問が残る。………………福島・大学生・男18
◇澤藤コメント これは、果たして自分の意見なのだろうか。与党の共闘攻撃をオウム返しに口にしているだけのようで、読む方に気恥ずかしさが残る。野党の選挙共闘は、本当に「党是が全く違う政党が一緒に戦」ってるのだろうか。自・公という「党是が全く違う政党」でさえ、それなりに共闘しているではないか。4野党は、改憲阻止、立憲主義や平和主義・福祉重視の理念、あるいは成長よりは分配を重視する経済政策において、立場は近いというべきではないか。「与党を倒した後に何ができるのか」ですって? 与党を倒せるところまで闘えたらたいしたものではないか。もし、与党を倒すことができれば、そのあとには新たな連立政権を作る道が開けるだろう。
◆4党は主張が大きく異なるのに選挙のために組むのはおかしい。一致しているのは安保法制廃止と改憲阻止くらいで、消費税や自衛隊への考え方もバラバラだ。……………兵庫・専門学校生・男18
◇澤藤コメント 問題は2点。「消費税や自衛隊への考え方がバラバラなまま、安保法制廃止と改憲阻止で、選挙のために組むことがおかしい」か。そして、本当に、「4野党が一致しているのは安保法制廃止と改憲阻止くらいで、消費税や自衛隊への考え方もバラバラ」なのか。
共闘とは考え方の違う者が、小異を捨てて大同に就くことだ。「消費税や自衛隊への考え方」を小異とし、「安保法制廃止と改憲阻止」を大同として、選挙民に訴えることは少しもおかしくない。むしろ、小異にこだわって、大同を生かすことができなくなることこそが有権者の期待を裏切ることになるというべきだろう。
「4野党の消費税や自衛隊への考え方はバラバラ」だろうか。消費税については当面8%維持で一致できる。問題は、福祉政策の財源確保のため税制をどうするかに各党の政策のバラエティはある。しかし、そのバラエティが共闘の障壁となるものではない。自衛隊について、その存在を違憲とするのは共産党だが、同党は性急にその解散を求めないと明言している。自衛隊の海外派兵阻止の一点を4野党の大同とすれば、共産党の自衛隊の存在を容認することは小異に過ぎず、共闘の一致点設定の支障とはなっていない。
◆たくさんの政党があり、それぞれ考えがあるのに、共闘でいろいろな政党の良さが薄れるのではないか。………………………福岡・大学生・女18
◇澤藤コメント これは、ご自分の意見なのだろう。多様な政党の存在を肯定するもっとなご意見。しかし、議会制民主主義においては、結局は選挙による議席数がものをいうことになる。多数の小政党は、大同団結することなしには、結局のところ議会に議席をもつことができない。ご意見はリアリティに欠けるものではないだろうか。譲れるところは譲って、共通する重要課題で選挙共闘をすることは、結局は、部分的にはせよ小政党の考え方の良さをさを生かす道となるのではないだろうか。しかも、今は歴史の分岐点となりかねない重大事態。憲法を守りきらないと、「いろいろな政党の良さ」を発揮する基盤が失われかねない。
「その他」の意見(46人中の3人の意見)
◆どちらともいえない。与党に強引な政治をさせないためには良いと思う。ただ、これまでの野党はまとまって、ばらけてを繰り返している印象が強く、まとまりきれないのではないか。……………………青森・団体職員・男18
◇澤藤コメント これは、野党共闘は評価する立場。その理由を「与党に強引な政治をさせないため」と明確にして、自分の見解の論理性を一貫させている。しかし、「まとまりきれないのではないか。」と共闘の継続性を問題として悲観している。私は思うのだが、今は事前に悲観している余裕などない。改憲はこの国に取り返しのつかない事態をもたらしかねない。それなら、悲観も楽観もなく、改憲阻止のための共闘をせざるを得ないのではないか。この回答者の立場からは、もっと共闘を積極評価してもよいのではないかと思えるのだが。
◆興味がない。最近の政治家は汚職など問題が目立ち、信頼できないので何をしようと変わらないんじゃないかと思う。………………………栃木・大学生・男18
◇澤藤コメント そのような気分も分からないではない。でも、あなたが政治を見放せば、今の政治を消極的に支持したことになる。それこそが、アベ政権の思う壺。汚職にまみれた政党や政治家、信頼できない政治を、批判して欲しい。そうしなくては政治は変わらない。不愉快な社会も変わらない。そのことはあなた自身の将来にはね返ってくる。
◆よく分からない。どの政党も日本の未来ではなく政権を握ることしか考えていないから、同じようにしか感じない。………………………山梨・高校生・男18
◇澤藤コメント 本来政党とは、「日本の未来」を考えるべきで、「政権を握る」ことを自己目的化してはならない。おっしゃるとおりだと思います。
今、「日本の未来」を揺るがす大きな問題が起きようとしています。それが、日本国憲法の改正(改悪)問題。あなた方の先輩世代の有権者が、いま政権与党を勢いづかせて、平和や人権、民主主義を壊す改憲を現実的な課題としています。これを放置しておくことは、軍国主義がのさばった、自由のない戦前の時代を再来させかねません。野党共闘は、政権を握ることを目的としたものではなく、かけがえのない憲法を変えさせないためのものだと理解していただきたいのです。
(2016年6月24日)
本日(6月22日)、いよいよ第24回参議院議員通常選挙が公示。7月10日の投票日まで18日間の選挙戦の始まり。立候補を予想された顔ぶれは出揃い、届け出は午後5時に締め切られた。最終的な候補者数は、選挙区(改選数73)225人、比例区(改選数48)164人の計389人となったと報じられている。
関心の焦点は、選挙区議席73のうち32を占める1人区の当落。周知のとおり、この32の全選挙区で市民と4野党の共闘が成立し、4野党の統一候補擁立が実現した。これで俄然参院選には明るい希望が見えてきた。その希望を担う32人の候補者のお一人、たのべたかお候補(栃木選挙区・元NHK宇都宮放送局長)に触れたい。
当意即妙という言葉がある。望むべくしてなかなかできない。思い返して、あのときこう言えばよかったと悔やむばかり。ところが、本日(6月22日)の赤旗首都版に、この人を紹介する次の記事を見つけた。
「ある集会の会場で、赤ちゃんが泣き出したときのことです。
『赤ちゃんの泣き声が満ちる幸せな社会でありたい』と静かに語り始めた、たのべ候補。続けて『戦時中、沖縄の洞窟では、泣き声で敵に居場所を知らせてならないと殺された赤ちゃんがいた。そんな国にしてはいけない』とスピーチしました。
会場から割れんぱかりの拍手がわきました。」
見事なものだ。これは付け焼き刃ではできない。赤ちゃんの泣き声を社会の幸せととらえる感性。戦争の歴史をしっかりと踏まえた理性を前提としての「当意即妙」なスピーチなのだ。演説会場に赤ちゃんの泣き声は邪魔という感性ではダメ。討論会が1分遅れたからと癇癪を起こすアベには絶対に真似ができない。
赤旗の記事は、次のようにも言っている。
「NHK報道局で「特報首都圏」「BS経済羅針盤」「ニュース7」などの制作にたずさわり、湾岸戦争時にはヨルダンで取材し、武力で平和は築けないことを痛感したという、た のべ候補。立候補を決意した思いをこう語ります。
『戦争法の成立が強まり、籾井勝人会長の対応は、局内に閉塞感を増幅させた。報道姿勢にも自己規制がかかった。これを見逃していたらとんでもない未来になる。誰かに頼るのではなく、自分が行動すべきと腹を固めました』
野党共闘実現に大きな役割を果たした日本共産党にも深い敬意を表します。
『志位和夫委員長の呼びかけで野党共闘が進み、この場に立つことができました。選挙区候補を降りた小池一徳比例候補の分まで頑張り、勝利します』」
このような、共闘を支える人たちへの配慮、仲間への気遣いが、始まったばかりの共闘の信頼関係を育むことになる。
本日(6月22日)の毎日新聞社会面にも、野党の選挙協力が円滑に進展している例として、次のように栃木が引用されている。
「栃木選挙区では憲法記念日の5月3日、市民団体主催の憲法集会に民進、共産、社民などが推薦する無所属新人の田野辺隆男氏(56)が出席。各党の県組織の代表者がすべて顔をそろえ、『我々は田野辺さんを勝たせる』『力を合わせて必ず戦い抜く』と口々に訴えた。公示後の張り出し用として、各党の名前を並べた共通ポスターも用意され、準備は万端だ。
円滑な連携の要因は、各党の仲介役を県内の市民団体の連携組織『戦争法の廃止と立憲主義の回復を求める県民ネットワーク』が担ったことが大きい。また、田野辺氏が昨年12月、参院選出馬のためNHK宇都宮放送局長を辞めた際、『反安倍(首相)陣営を結集したい』と無所属での立候補を表明。安保関連法廃止に加え反原発を前面に掲げる主張は、電力業界の労組なども抱える連合の反発が予想されたが、田野辺氏が協議の過程で『原発の後処理を頑張ってくれているのは、電力総連の皆さん』と配慮の姿勢を示し、『すんなりと田野辺氏への推薦がまとまった』(関係者)という。
対する与党候補は再選を目指す自民党現職の上野通子氏(58)。10年参院選で民主現職の簗瀬進氏が小差で敗れたが、今回は旧みんなの党の約20万票の行方が勝敗の鍵を握る。民進党幹部は『共闘は非常にうまくいっており、追いつく可能性は十分ある』と期待する。」
候補者の人柄と能力もさることながら、陣営全体が共闘を大切にしている姿勢を窺うことができる。たのべたかお候補陣営に敬意と激励の惜しみない拍手を送りたい。
なお、同候補の公式サイトのURLは以下のとおり。
http://www.tanobe.jp/
比例区の選挙結果は、党勢を比較的正確に反映する。だから、想定外の結果は通常ない。これに比して、選挙区選挙では、思いがけない結果が出やすい。とりわけ、参院選では改選数1の「1人区」の結果が情勢次第で大きく動き、票数僅差の議席の得失が積み重なって、選挙全体の勝敗を分けることになる。4野党の全1人区候補者一本化は、アベ政権を揺るがしかねない。アベは、正直に苦戦が予想される1人区から公示前の応援に回っている。
最近3回の参院選を見てみよう。
2007年選挙は、第一次アベ政権時代。アベ与党が小沢民主にボロ負けをして、この上なくみっともない、安倍退陣劇のきっかけとなった選挙だった。このとき、ボロ負けアベ自民の獲得議席数はわずか37。1人区(29選挙区)の勝者は、
自民6 民主17 その他6。
2010年は野党だった谷垣自民が菅民主に圧勝した。そのときの1人区(29選挙区)の勝者は、
自民21 民主8。(自民の獲得議席数51)
2013年は、与党のアベ自民が海江田民主に圧勝した。そのときの1人区(29選挙区)の勝者は、
自民29 民主0 その他2。(自民の獲得議席数65)
このとき、旧民主党は1人区で1議席も獲得できなかった。その結果、国会の「ねじれ」が解消して「憲法の危機」が顕在化した。
そして、今回2016年選挙である。1人区で各個撃破されたその教訓を汲めば、野党の共闘しか選択肢はない。今回、1人区の野党統一候補の内訳は、民進公認15人、共産公認1人、無所属16人。
この野党の共闘に危機感を抱いたからこその「野合批判」の繰りかえしであり、反共キャンペーンでもある。アベの苛立ちと罵りは、恐れの表れとして、野党の自信の材料である。
もっとも、当然のことながら、野党4党の協力態勢には、各地で温度差がある。栃木選挙区の「たのべたかお候補陣営」のように、共闘間の信頼関係を育くんでいただきたい。そうして、今回の参院選で2007年の選挙結果を再現し、アベを2度目の退陣に追い込みたい。そのことが、憲法の危機を救うことになるのだから。
(2016年6月22日)
明日(6月22日)が第24回参議院議員選挙の公示日。明日からのこの選挙戦は、いつにも増して日本の将来に大きく影響を与えるものとなる。
本日(21日)各紙の報道によれば、アベは、昨日(20日)のインターネット番組やテレビ番組での党首討論の中で、「(憲法改正について)選挙の結果を受け、どの条文を変えていくか議論を進めていきたい。次の国会から憲法審査会を動かしていきたい」と踏み込んだ。この発言は、「秋の臨時国会を念頭に、与野党の具体的議論に入りたいとの考えを示した」ものと理解されている。今度の選挙結果次第では、この秋の臨時国会で具体的な改憲案の条文作りまで進展しかねない。事態はここまで立ち至っているのだ。
アベ政権が悲願とする憲法改悪の野望に道筋を開く選挙となるかも知れないし、アベ政治に打撃を与えて改憲を阻止する選挙となるかも知れない。改憲へのアクセルを踏ませるか、それともブレーキを掛けるか。改憲是か非か、それがテーマの今回の参院選だ。
憲法とは、その国の形の骨格を定め、国の進むべき方向を指し示すもの。アベ改憲とは、日本国憲法の「形」も「理念」も崩そうということなのだ。立憲主義・平和主義・基本的人権と民主主義への、アベ流挑戦にほかならない。基本的人権の中には、表現の自由や信仰の自由という精神的自由だけではなく、福祉(生存権)や労働や教育に関わる社会権も含まれる。だから、政府与党の政策は、国民一人ひとりに寄り添うものになろうはずがない。力あるもの、強い者の利益のためという基本があって、それに票を掠めとるための甘い味付けがされているだけのことと見抜かなければならない。
不幸なことに、我々はこのような反憲法的な愚かな政権に甘んじている。これを許したのは有権者であり、前2回の国政選挙だ。心ある有権者は、大同団結してアベ政権の反憲法体質にノーを突きつけなければならない。共産主義や社会主義是非のレベルではない。おそらくは、「革新」是非のレベルですらない。18世紀末の立憲主義・自由主義と、20世紀前半の福祉国家論のレベルでの大同団結がなされなければならない。
今回の選挙では、「市民と4野党」の選挙共闘ができたことが何よりの収穫。32の1人区全部で野党統一候補の擁立ができたことに限りない祝意を送りたい。
その32人の中に親しい顔がある。和歌山の由良登信(ゆらたかのぶ)さん。「出たい人より出したい人」の典型だろう。こういう人の立候補が好もしく、頼もしい。
由良さんの経歴は、「和歌山弁護士会元会長、日本弁護士連合会元常務理事、日弁連消費者問題対策委員会元副委員長、和歌山県消費生活審議会元副会長」と四つ並べられている。由良さんは、1986年に弁護士になっており、弁護士としての経歴では私が15年ほど先輩になる。由良さんが「日弁連消費者問題対策委員会副委員長」を務めたとき委員長だったのが私。私には、消費者弁護士としての由良さんしか思い描けない。まさか、あの穏やかな風貌から、「安保法制(戦争法)をなくし 立憲主義・民主主義を取り戻す」運動の先頭に立つ人とは予想し得なかった。
「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合わかやま」から、推薦依頼があったので、よろこんで推薦人の一人として名を連ねた。添えられたリーフには、「ワンコイン(500円)募金にご協力をお願いいたします」とあった。無数のワンコインが支える政治運動なのだ。
由良さんの「ごあいさつ」を引いておこう。
安倍政権は「戦争する国づくり」に暴走しています。昨年9月19日に強行成立させた安保関連法は、日本が武力攻撃を受けた時の備えではなく、自衛隊をいつでも海外に派兵して武力行使できるようにするものであり、明白に憲法9条に違反しています。
主権者として、憲法違反の政治を許しておくわけにはいきません。憲法にもとづく政治(立憲主義)を取り戻すために、市民が各地で立ち上がっています。
私も、その熱い思いを共に抱いて、戦争しない国、平和な国日本を子や孫に引き継ぐために頑張り続けます。
弁護士 由良登信(ゆらたかのぶ)
参院選の公示前である。もちろん、今日まで由良さんはいかなる選挙の候補者でもない。由良さんの推薦母体は、候補者としての由良さんへの応援を依頼していない。特定選挙に関して由良さんへの投票依頼をする文章は一切ない。飽くまで、政治活動の一貫としてのリーフレットの記事であり、その配布である。
メインのキャッチフレーズは、「市民の力で政治を変える ゆら登信(たかのぶ)」だ。アベ政治を本気で止める!!「ゆら登信の政策」13項目が並んでいる。どれも憲法の理念を実現する生活目線に沿った内容だ。もちろん、すべて選挙運動ではなく政治活動としての訴え。
だから、リーフの紙面で「ゆら弁護士は、ほっとけないの思いで走り続けます」と言っている。私も、そのような走り続ける由良さんを応援する。ブログの掲載によって由良さんへの投票依頼をするのではない。政治活動に走り続ける由良さんを応援する趣旨でのことだ。
由良さんの政治活動も、私のブログの記事掲載も、憲法21条で保障された権利だ。これを規制することはできない。明日、公示予定の参院選に由良さんが立候補の届出をすれば、公選法の適用がなされ、積極にも消極にも選挙運動の規制がかかることになる。
ゆらさん応援のリーフレットの出来がよい。応援する人たちのコメントがまた、すばらしい。すべて名前が明記され、写真も掲載されているが、コメントと肩書だけ紹介したい。
戦争と平和が争点、決めるのは市民です、ゆらさんは、野党合意を実現する唯一の人、市民連合の宝です!!(和歌山大学名誉教授)
私たちは、先の戦争の反省に立って平和憲法を定めました。安倍政権の暴走は止めなければなりません。(弁護士)
庶民の声に耳を傾け代弁する信念の人・ゆら登信さんをみんなの力で国会に送りましょう! (女優・和歌山市出身)
ウソや暴言連発の政権にあきれています。誠実さと弱者への想像力を持たない政治家はいりません。(ママの会@わかやま)
時代は「小さくされた人たち」に聞くリーダーを必要としています。心より応援します。(牧師)
障害のある人も地域で楽しく豊かに暮らせる社会にして欲しい。日本を戦争に巻き込む安倍政権にNO! (社会福祉士・作業療法士)
誰もがもっている「平和」への想い。その想いとあまりにもかけ離れている政治にはがまんできません。(まちづくり協会理事長)
由良さん、がんばれ。私も応援する。「市民が主体となって運動し、市民の願いを託せる人を国政に送り出す、という和歌山の新しい民主主義」が実を結ぶまで。
(2016年6月21日)
私が、アベです。「アベ政治を許さない」って、全国津々浦々に回状をまわされている、お尋ね者同然の、あのアベ。
参院選が近くなったのに、最近何もかもうまく行かない。手詰まり状態でね。出るのは愚痴と溜息ばかり。ホントにどうしちゃったんだろう。唯一の慰めは、ダブル選挙をやろうとして思いとどまったこと。こんな状態で総選挙も一緒にやっていれば、オウンゴールで地獄に落ちかねないところだった。その点は不幸中の幸い。まあ、致命傷にはならなさそうだ。
見え透いているって評判は悪いけど、今度の選挙は「経済政策を問う選挙」「道半ばのアベノミクスへの支持を求める選挙」と訴えている。「憲法改正の是非を問う選挙」とも、「改憲発議の議席を求める選挙」とも言ってない。それなのに、「アベの本心は改憲だ」「与党に議席を与えたら平和憲法が危うくなる」って大合唱だ。それがまんざら嘘でもなく、当たっているから始末に悪い。
一番心配なのは、アベノミクスの評判が悪いこと。そりゃそうだろう。もう、3年半にもなるんだ。ダマシダマシひっぱって時間を稼いできたけど、ボロ隠しもそろそろ限界だろう。選挙直前の世論調査で、軒並みアベノミクスの評判が悪い。「アホノミクス」とか、アベノ「ミス」クとか、うまいこと言うもんだと私が感心していてはしょうがない。
毎日新聞が、今日(6月20日)の朝刊で、最新の全国世論調査の結果を発表している。安倍内閣の支持率は5月の前回調査から7ポイント減の42%、不支持率は6ポイント増の39%。まあ、この程度は想定内だ。ところが、安倍政権の経済政策「アベノミクス」を「見直すべきだ」という回答が61%で、「さらに進めるべきだ」の23%を大きく上回っている。これはショックじゃないか。経済政策選択選挙とこちらが設定した土俵で勝ち目がないことになるんだから。
さらに、問題は地方だ。今朝(6月20日)発表の福島民報と福島テレビの県内世論調査の結果では、「安倍晋三首相が進める経済政策「アベノミクス」について「評価しない」は51.2%となった一方、「評価する」は19.7%で全体の2割弱だった。」。しかも、「安倍内閣支持」は34.6%で、「支持しない」は47.2%という恐るべき数字。おいおい、これでは参院選挙は惨敗ではないか。
実際、最近手詰まりでうまく行かない。基本は、私が信奉する大国主義・軍国主義・新自由主義の改憲路線が、国民の意識と大きく乖離しているということなんだ。国民は、右翼の軍国主義者はキライなの。そのことは、前から分かっているんだけど、これまではなんとか右へ右へと国民をひっぱってくるのに成功してきた。もう少しで、憲法改正まで漕ぎつけることもできそうだったのに。どうすれば国民を欺しおおせるか。私だって真剣に考えているんだ。
こういうときは、アタマを切り替える。経済政策がうまく行かないのも、貧困や格差も、地方の疲弊も、原発再稼働も、沖縄問題も、福祉や教育の財源を調達できないこともTPPも、そして政治とカネの問題も、すべてはアベ政権の政策が悪いからではない、と割り切ること。責任転嫁は私の得意技だ。
経済の指標って、どうにでもいじって操作することができるんだよね。これがダマシのテクニック。手品のタネ。ちょっとでもよい面があれば、針小棒大にアベノミクスの成果だと言い立てる。それでもごまかせないときは、「民主党政権時代の負の遺産が、まだ払拭できていない」と民主党のせいにする。あるいは、「リーマン級の世界経済のデプレッションが原因」と責任転嫁する。これまでは、こうやつて切り抜けてきた。
でも、今一番頭が痛いのは、野党の選挙共闘。しかも、市民の後押しがついている。これには、これまでのマニュアルでは対応しかねる。実にやっかいだ。こいつが悩みの根源だ。
私が政治戦術において師と仰ぐのは、もちろんヒトラーさ。あの戦術を学ぶべきだとするのは、ひとり麻生さんだけではない。ヒトラーの戦術の成功は、例のニーメラーの言葉として定式化されているように思う。要するに各個撃破だ。ユダヤ人、共産主義者、社会民主主義者、労働運動、自由主義者、宗教家…。それぞれが、順次各個に撃破されて、ナチスの独裁が完成した。宗教弾圧を受けた牧師ニーメラーが自分のこととして立ち上がったときには、時既に遅しだったというわけだ。実に、各個撃破こそが、歴史から学ぶべき見事な教訓。これをわがこととして使いこなさなければならない。
ところが今、市民と野党が共同して政権に襲いかかっている。共産主義者も、社会民主主義者も、労働運動も、自由主義者も、宗教家もだ。女性運動も、若者も、学者も弁護士もではないか。表にには出て来ないが、在日もだろう。みんな一緒に束になってのことだ。各個撃破戦術が通じなければ、アベ政権の危機と言わざるを得ない。冷や汗が出て来る。こんなときには、基本に還ろう。彼らの共闘をぶちこわすための基本だ。そのキホンのキが、いうまでもなく反共攻撃。実はこれも、私の得意技。
基本原理は、ヘイトスピーチとおんなじだね。「キョーサントー」と「ニッキョーソ」という言葉を、いかにも醜悪なもののように繰り返す。「野党の共通政策は、まるでキョーサントーの政策そのものではありませんか」「まさか、そこまでキョーサントーと一緒に行動できるはずはない」「どこまで、キョーサントーと運命共同体になろうと言うのでしょうか」「あなたもキョーサントーですか」「どうした。ニッキョーソ、ニッキョーソ」
キョーサントーとは、悪魔の教えの信奉者ではありませんか。世の中には、まだまだキョーサントーとレッテルを貼られることを恐れる人たちがいる。それなら、そのことを最大限に利用するのが、政治家である私のやり方。共産主義が何であるか、日本共産党がどんな綱領や政策をもっているか、そんなことは問題ではありません。キョーサントーとレッテルを貼られてもいいのかい、という脅しの楔の打ち込み方。これが、「野合批判」の本質。
私には、臨機応変という才覚はない。だからもっぱら、ワンパターンの反共演説となる。動画で繰り返されるから、ワンパターンがみっともないと言われるが、しょうがない。
最近のワンパターンは、「私は子供の時、お母さんからあまり他人の悪口を言ってはいけない。こう言われました。あまり野党のことを批判したくありませんが、分かりやすくするために少し批判させてください」と野合批判をする。「気をつけよう、甘い言葉と民進党」「民進党には、もれなく共産党がついてくる」を、繰り返す。
あの口の悪い日刊ゲンダイが、「口撃するほど票が逃げる 安倍首相の“反共”ネガキャン演説」と大きく報じている。「立法府の長である総理大臣」を夕刊紙が批判するなんて、民主主義の世の中で許されることなのだろうか。しかも、こんなにあくどい筆致。
「安倍首相が参院選の全国遊説で「野合批判」を強めている。とりわけ目立つのは共産党に対する“口撃”だ。安倍首相は国会質疑でいつも共産議員にコテンパンにやり込められている。だから「共産憎し」に力が入るのだろう。」「また共産批判だよ。ウンザリだね」「安倍首相の演説パターンはこうだ。最初に候補者を紹介した後、アベノミクスの“果実”とかいうインチキ数字を並べ立て、最後は野合批判で締めくくる。決まって批判の矛先は共産だ。」ああ、本当のところまったくそのとおり。やっぱりよく見られているんだな。
問題は、有権者の中に戦前からある「天子様に楯突く不敬・不届きな共産党」のイメージがどのくらい残っているのか。共産党員に対する差別意識に乗りかかることが吉と出るか、凶と出るか。実は、私にも確信はない。
日刊ゲンダイは、「安倍首相の頭の中には、一昔前の有権者の共産アレルギーの印象が強く残っているのだろう。それで調子に乗ってネガキャン“口撃”を続けているワケだが、効果は全く期待できない。」「有権者はちゃんと理解していますよ。若い世代なんて、アレルギーどころかシンパシーを感じている人の方が多いくらいです(野党クラブ担当記者)」などと言っているが、じゃあ、反共攻撃以外になにか効果のあるやり方があるかね。
私の反共ワンパターン。品がない。低次元の誹謗中傷。まともな政策論争になっていない。悪評は知っているよ。でも、志位さんだって相当なものだ。産経新聞が紹介する志位演説の最後はこうだよ。
「自公とその補完勢力を少数に追い込めば、参院選であっても安倍政権は総辞職になる。もうあの顔を見なくてもよくなる」と締めくくった。
「もうあの顔を見なくてもよくなる」って。こっちだって、「もうあの顔は見たくない」ね。
(2016年6月20日)
ご近所の皆さま、ご通行中の皆さま。少しの時間、耳をお貸しください。
来週の水曜日6月22日が第24回参議院議員選挙の公示日、そして7月10日が投票日です。今回の参院選は、いつにも増して重要な選挙といわねばなりません。とりわけ、憲法の命運にとって決定的な選挙といわざるを得ません。憲法の命運は、この国と国民の命運でもあります。参院選の結果が、この国のあり方を決定づけると言ってけっして大袈裟ではありません。
私たちは、「本郷湯島九条の会」の会員として、憲法擁護という一点から、皆さまに訴えます。今度の選挙では、憲法を守る政党、改憲阻止を公約とする候補者へのご支援をお願いいたします。憲法改正をたくらんでいる自民党にはけっして投票をしてはなりません。それは、99%の市民にとっては、自分の首を絞めることになるからです。自民党と連立与党を作っている公明党への投票も同じこと。そして、自民党への摺り寄りの姿勢を露骨に示している「おおさか維新」にも貴重な一票を投ずることのないよう、心から訴えます。
このたびの参院選で問われているものは、何よりも立憲主義の回復です。安倍政権と、自民・公明の与党は、憲法にもとづく国の運営、憲法にもとづく政治という、近代社会・近代国家の大原則を打ち捨てました。恐るべき憲法破壊の罪状と指摘せざるを得ません。
2014年7月1日、安倍内閣は、集団的自衛権行使を容認する閣議決定を行いました。日本が侵略されていなくとも、親しい国の要請で、海外で武力行使ができるというのです。これまで、歴代の自民党内閣が憲法違反としていたことを、あっさりと合憲としてしまいました。憲法に縛られるのはイヤだ。不都合な憲法の条文は解釈を変えてしまえ、というのです。これが、立憲主義の放棄。そして、戦争法を上程して成立を強行したことは、記憶に新しいところ。
戦争法を廃止して、立憲主義を取り戻す、これが今回参院選の課題です。
次に、明文改憲阻止という課題があります。今度の選挙は、安倍自民党の憲法改正の姿勢に、国民のノーを突きつける選挙です。
自民党は、2016年参院選の政策パンフレットを作成しています。26頁に及ぶ政策の最後の最後、26ページ目のおしまいに、「国民合意の上に憲法改正」とわずか10行が掲載されています。意味のある文章はわずか3行「衆議院・参議院の憲法審査会における議論を進め、各党との連携を図り、あわせて国民の合意形成に努め、憲法改正を目指します」とだけ言っています。まるで、積極的な改憲の意図はないごとくではありませんか。
しかし、これはウソです。これまでの政権の言動から見て、明らかに改憲の意図を隠した、有権者騙しの戦術といわねばなりません。嘘つきの安倍政権に欺されてはなりません。
第2次安倍政権が発足以来、今度が3度目の国政選挙になります。2013年7月の前回参院選では、安倍政権は、まだボロの出ていなかったアベノミクスの「三本の矢」の成果を強調して、自民党が大勝しました。選挙に勝って政権は何をしたか。言論の自由を踏みにじる特定秘密保護法だったではありませんか。2014年末の衆院選では、政権は「景気回復、この道しかない」とアピールして、選挙では勝ちました。そのあとに待っていたのが、戦争法の上程と数にものを言わせた成立の強行ではありませんか。
選挙の争点になるのを意識的に避けながら、安保政策を大転換させる布石を打ってきたといっていい。
国論を二分する重要な憲法上の課題を、選挙前にきちんと説明することなく、議席を掠めとったあとで、本当にやりたいことをやってのける。こうして、日本の有権者は2度欺されました。3度欺されてはなりません。自民党や公明党に、選挙で勝たせてはならないのです。
今度の選挙は、自民党は破綻したアベノミクスを取り繕って、経済政策を争う選挙としています。しかし、選挙結果が、自民・公明の与党と、与党摺り寄りの「おおさか維新」を合わせて、参院の改憲発議に必要な3分の2以上の議席を確保すれば、安倍政権は一路憲法改正に邁進することになります。そのようなことを許してはなりません。
昨年の戦争法反対の国民運動の盛り上がりの中で、危険な安倍政権に対抗するために、市民から「野党は共闘」の声があがりました。今、多くの市民の声が後押しして、参院選での野党共闘が実現しつつあります。
立憲主義を投げ捨て、さらには明文改憲をたくらむ政権与党と、これに対抗して立憲主義と民主義を取り戻し、改憲を阻止しようという野党共闘の対決の構図が明確になっています。選挙の勝敗を決めるのは、32ある一人区。その一人区の全部で安倍改憲を許さない立場で一致した、民進・共産・社民・生活の4野党が、統一候補者を決めました。与党と野党は、改憲をめぐる土俵の上で、がっぷり四つに組んだのです。
「憲法改正の必要はない」というのが、今やあらゆる世論調査で圧倒的な国民の声となっています。自公の改憲路線は、けっして世論が支持しているわけではありません。しかし、これまでは、野党がバラバラで自公連合に個別撃破を許してきたということです。今度は、一人区の全部で共闘ができたのですから、けっして前回参院選のように自公の大勝とはなりません。
今回参院選では、初めて18歳からの有権者が参加した選挙になります。文部科学省と総務省が作成した選挙を考えるための副教材が全高校生に配布されているということです。そこには、「民主政治とは話し合いの政治であり、最終的には多数決で合意を形成する」としながら、「ただし、多数決が有効に生かされるためには、多様な意見が出し尽くされ、少数意見が正しいものであれば、できるだけ吸収するというものでなければなりません」と記されていることが話題になっています。数の暴力は民主主義とは無縁なもの。議席を与えれば、少数意見を圧殺し改憲を強行する安倍自民と与党ではありませんか。ぜひとも、憲法の擁護につながる野党の側にご支持をお願いいたします。そのことが、立憲主義・民主主義を取り戻し、平和と生活を守ることになるのですから。
(2016年6月13日)
アベ晋三でございます。日本会議国会議員懇談会特別顧問のアベ、神道政治連盟会長のアベ、みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会のアベでもございます。また、行政府のトップであるだけでなく、時折は立法府の長までも兼ねているワタクシ。要するに右翼の軍国主義者で権力を掌握しているアベ晋三なのでございます。本日は、自民党総裁として、また、改憲勢力のリーダーとして、ここだけの話しを身内の皆様方に申しあげるわけでございます。
7月10日の参院選投票日まで、ちょうどあと一月となりました。6月22日が公示日で、7月10日に投開票が行われます。この選挙は、この道しかない我が国の今後にとってこの上ない重要な選挙なのでございます。
何となれば、敗戦によってGHQに押しつけられ、心ならずも涙とともに飲み込んだ日本国憲法を、いまこそ改正して真の日本を取り戻すまたとないチャンスだからでございます。我が国においては、いまだに戦後民主主義の外来思想に毒された蒙昧な輩が社会の隅々にまではびこっています。彼らは、個人の尊厳が原点だ、個人の尊厳を守るために国家の権限を制約すべきだ、などと言っています。国が強くなっては、国民個人の権利を圧迫するから、国は弱くてもよい。いや、国は強くなってはならない。むしろ権力は弱いに越したことはないなどとまで。このような亡国の暴論が幅をきかせています。その根拠となっているのが、日本国憲法。護憲勢力と言われる連中が、憲法に基づいているとしてこの暴論を喧伝しています。これが、我が国の嘆かわしい現実なのでございます。
言うまでもなく、国家は強くなければなりません。富国強兵こそが、維新以来の正しいスローガンなのでございます。人権だの平和だのと、軟弱なことを言っていては、近隣諸国に侮られ貶められて、やがては国の存立を危うくすることになることは火を見るよりも明らかではありませんか。
個人の尊厳を確立する以前に、強固な国家の建設をこそ重視しなければなりません。基本的人権の尊重よりは、国家の公序確立を優越する価値としなければなりません。しかも、その国家の公序において、その中心に天皇陛下を戴くのが、古来よりの我が国の国柄ではありませんか。
精強な国家は、何よりも強い経済によって支えられます。富国がすべての基礎となります。富国が実現してこそ、人心は安定して国家を信頼し、強兵たる軍隊を作ることができるのでございます。
その点、いろんな批判を受けながらもアベノミクスは正しい政策であると自負しております。つまり、アベノミクスとは、国民個人を豊かにする目的を持つものではなく、強兵のための富国をこそ目的とする経済政策なのでございます。貧富の差はあってよい。不安定雇用も、男女賃金の格差も、子どもの貧困も、そんなことは些細な問題。要は強兵のための財政支出を可能とする強い国家の基礎となる経済であればよいのでございます。
しかし皆さん。いま、そのような本音を口にしようものなら、「憲法違反だ」「日本国憲法を理解していない」「アベは立憲主義を解ってない」「アベ政治を許さない」と、集中砲火を受けることが目に見えています。ですから、ここは隠忍自重、賢く対処しなければなりません。
アベノミクスはいずれ国民を豊かにする、と有権者を引っ張り続ける策略が必要なのです。端的に言えば、国民を欺さねばなりません。戦後レジームから脱却して、真正の日本を取り戻すためです。正しい政治を行うという目的のためですから、嘘が許されて当然なのでございます。
日本国憲法こそが、戦後レジームの骨格であり、強い国家の敵対物であり、また、非日・反日と自虐史観の根源なのですから、憲法改正の実現までは、じっと我慢で本音を隠し続けねばならないのでございます。
政治家の評価があっという間に地に落ちる恐ろしい世の中であることは、オリンピック招致であんなにはしゃいでいた東京都知事も、二代続いて、あっという間に炎上して袋だたきに遭っていることが証明しています。猪瀬も舛添も、所詮はジャーナリストや学者であって政治家ではありません。上手に嘘がつけないのでございますよ。その点、私は三代目の生粋の政治家ですから、嘘のつきかたの呼吸はよく心得ているのでございます。
舛添は、「せこい」「せこすぎる」として攻撃されています。ここが面白いところ。本来、政治家のつつましさは美徳。せこさを非難される筋合いはありません。でも、庶民には「せこい不祥事」はよく分かるのです。反応しやすいのです。二泊三日の正月の家族旅行の費用を政治資金の流用で捻出するなんてことは、常に身銭を切らざるを得ない我が身との比較で容易に怒り心頭の対象となるのです。私の海外旅行の金額などはケタが違います。でも、堂々とやってのければ、庶民には想像もできないこととて怒りが現実化してこないのでございます。
ともかく、本音を隠すこと、上手に嘘をつきとおすことが肝要なのです。そうすれば憲法を改正する絶好のチャンスがやって来る。その大事なときに、舛添のようなヘマを犯してはならないのでございます。本音は隠して、票をかすめ取る。憲法改正は争点にしない。でも勝てばこっちのもの。「国民の信任を得た」として、改憲に踏み出すのでございます。
ご承知のとおり、憲法を改正するためには各院の3分の2の議員による発議が必要。ですから、今回の改選議席で3分の2をとるためには、改憲勢力は78の議席をとらねばなりません。もちろん、自民党単独では無理。下駄の雪の公明党と一緒でぜひ78議席を。それでも足りなければ、頻りに政権への擦り寄りを目指している、おおさか維新も一緒にして78議席。
改憲を阻止しようという、民主・共産・社民・生活4党は、改憲の危機意識から共闘を組んだのでございます。けっして侮ることはできません。彼らの目標は、改憲3党で3分の2をとらせないこと。今回改選121議席のうち、78議席をとらせないこととなります。
われわれ改憲派の陣営は、どうすれば78議席をとることができるか。勝敗を左右するのは32ある一人区でございます。この32の一人区すべてで野党統一候補が立つことになりました。由々しき事態といわねばなりません。
わたくしは、選挙遊説を、被災地視察として福島、大分、熊本から始めました。次いで、山梨、そして昨日(6月9日)山形、本日(6月10日)は奈良、三重両県と、すべて一人区をまわっています。
そして、訴えるのは、「景気回復、この道しかない。」ともっぱらアベノミクスの成果。乏しい成果を針小棒大に言わねばなりませんが、嘘をつくのは慣れたもの。また、従順な国民の皆さまは、結構その気になって、欺されてくれるのでございます。
もう一つの訴えは、「野党統一候補が、民進党と共産党の両党に共通する政策を作れるはずがない。民進か共産か、どちらの考え方に賛成するのか、はっきり示すべきだ」と言う分断作戦です。自民党と公明党の関係はどうなんだ、と切り替えされたりもしますが、両党は基本姿勢も政策も一致ですから、問題はないのでございます。
改憲のくわだては後景に引っ込め、アベノミクスの成果を針小棒大に宣伝して票を掠めとろうとする、国民欺しの大作戦。その内容につきましては、くれぐれも内密にお願い申しあげる次第でございます。
(2016年6月10日)
参院選の投開票(7月10日)が間近となった。北海道5区補選や沖縄県議選などの前哨戦の結果はまずまずで、野党共闘は順調な滑り出し。明るい見通しをもって選挙戦本番をを迎えることになっている。
昨日(6月7日)の民進党岡田克也代表の記者会見発言に注目せざるを得ない。
「民進党の岡田克也代表は7日、参院選で改憲勢力による3分の2以上の議席確保の阻止について『目標ではない。私にとって最低限の数字だ』と述べた。これまで勝敗ラインについては明言を避けてきたが、改憲勢力に3分の2を許せば野党第1党の党首として責任論は避けられないため、事実上の勝敗ラインとして言及した。」(毎日)
また、同じ席で「(安倍政権の)本当の狙いは憲法の改悪。そのための3分の2の確保ということである。それを絶対に阻止する、そのことを正面から掲げて戦っていきたいと思う」と述べたとも報道されている(TBSニュース)。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn?a=20160607-00000079-jnn-pol
多くの市民の期待に応える、最大野党党首の意欲溢れる発言に拍手を送りたい。
至上命題が、明文改憲の阻止である。現在の選挙制度を前提とする限り、野党がバラバラでいる限りは、改憲を狙う与党勢力に各個撃破されて選挙に勝てない。憲法擁護を求める国民の多数の声が、「死票」となって議場から閉め出され切り捨てられる。「憲法の改悪を絶対に阻止」するためには、野党の共闘が必要なことはあきらかだ。目前の参院選における選挙協力を形だけのものとするのではなく、真に勝ち抜くための中身のある共闘を実現しなくてはならない。
参議院の定数は、選挙区選出議員146名、比例代表選出議員96名の合計242名。3年ごとに半数(121)が改選される。改憲を標榜する与党(自・公)と、これを補完する準与党(おおさか維新・日本のこころ)の非改選議席数は以下のとおりである。
自民 66
公明 11
おおさか維新 5
日本のこころ 3
合計 85
参議院の改憲発議に必要な3分の2の議席数は162。今回の改選で改憲派4党が77議席を獲得して非改選議席に積み増しすれば、改憲の実現に手が届くことになる。これを阻止するためには、改憲阻止派4党が、改選総議席121から77を差し引いた44議席(以上)を獲得すればよいことになる。44議席を割り込めば、一挙に憲法が危うくなる。
民進・共産・社民・生活の改憲阻止派4党で、合計44議席。44が絶対防衛ライン。前回(2013年)参院選の各党獲得議席数は以下のとおりである。
民主 17(その後プラス1)
共産 8
社民 1
生活 0(その後プラス1)
合計 26(その後28)
6年前の2010年参院選では、民主党単独で44議席を獲得しているが、現状での4党44議席獲得の厳しさは誰の目にも明らかと言えよう。だから、野党共闘が必要なのだ。
毎日の報道では、「民進党は参院選の政治活動用ポスターのキャッチフレーズを『まず、2/3をとらせないこと。』『国民と進む。』の2種類に決めた。近く発表する。」という。
これも歓迎すべきこと。要するに、改憲阻止に護憲派4党で44議席をとらねばならない。44議席をとるためにはどうするか、を発想しなければならない。必然的に、野党共闘に行き着かざるを得ないのだ。
その、野党共闘における政策協定が昨日成立した。下記の、時事通信配信記事が比較的詳しくその経過と内容を報じている。
「「安倍政権対野党プラス市民」=安保廃止へ政策協定 【16参院選】」
民進、共産、社民、生活の野党4党は7日、安全保障関連法廃止を訴える市民団体が設立した「市民連合」との間で、7月の参院選に向け政策協定を締結した。「安倍政権対野党プラス市民」の対決構図を掲げ、幅広く政権批判票を取り込む狙いだ。協定には安保法廃止に加え、安倍晋三首相が目指す憲法改正の阻止を盛り込んだ。
「一人ひとりの生活を大事にする。そのことが成長につながっていく」。民進党の岡田克也代表は調印式後に共同記者会見に臨み、個人の生活重視や格差是正を訴えた。大企業や富裕層が富めば中小企業や低所得層も恩恵を被るとするアベノミクスとの対立軸と位置付ける主張だ。
協定の締結は、市民連合が提示した政策要望書に、4野党の党首らが共闘を約束して署名する形を取った。協定書には安保や憲法問題だけでなく、保育士の待遇改善や高校授業料の完全無償化、男女賃金格差の是正など、民進党が重視する「人への投資」の具体的なメニューが並んだ。
4野党は参院選の勝敗を分ける32の1人区全てで候補を一本化し、自民党との事実上の一騎打ちに持ち込んだ。モデルケースとなった4月の衆院北海道5区補選で、野党統一候補は敗れはしたものの、無党派層の6?7割の支持を得たとされる。野党はこの「実績」に手応えを感じており、参院選でも市民との連携を前面に打ち出す戦略だ。
野党一本化を主導した共産党の志位和夫委員長は共同会見で「全1人区で野党統一候補が実現したのは、市民の運動が背中を押してくれた結果だ」と謝意を表明。市民連合側の呼び掛け人の山口二郎法政大教授は「さまざまな政策課題についても市民と野党の間で確認し、共に戦っていくことが必要だ」と語り、草の根の支援を約束した。」
市民連合とは、2015年12月、下記の五市民団体が母体となって結成された市民団体の連合体である。
「立憲デモクラシーの会」
「安全保障関連法に反対する学者の会」
「安保関連法に反対するママの会」
「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動、シールズ)」
「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」。
政党は本来的に、政治理念や政策の独自性を競い合う存在。その独自性をぶつけ合うのが、選挙という場。選挙共闘はなかなかに難しい。これを可能にしたのが、市民の声であり、後押しの力である。学者・青年・学生・女性・労組・反原発・環境・平和・消費者・弁護士等々の市民運動が、政党に呼びかけて共闘を現実のものとした。まさしく、「〈安倍政権〉対〈野党プラス市民〉」の構図なのだ。しかも、市民主導で共闘の政策が成立した。
市民連合の政策要望書(すなわち、共闘の政策)は、東京新聞が次のように要約している。
・安全保障関連法の廃止と立憲主義の回復
・改憲の阻止
・公正で持続可能な社会と経済をつくるための機会の保障
・保育士の待遇の大幅改善
・最低賃金を(時給)1000円以上に引き上げ
・辺野古新基地建設の中止
・原発に依存しない社会の実現に向けた地域分散型エネルギーの推進
念のため、以下に全文を挙げておきたい。明文改憲阻止と、安保法廃止・立憲主義回復がメインだが、それだけではない。格差・貧困の克服、差別なく働ける社会の構築、そして、沖縄と原発がテーマだ。これで、十分に選挙は戦えるではないか。多くの国民の共感を得る政策となっている。もう、けっして野党の野合などという悪口は言わせない。余裕を失ったアベ改憲勢力の悔し紛れの分断策として、笑って聞き流そう。
I 安全保障関連法の廃止と立憲主義の回復(集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を含む)を実現すること、そのための最低限の前提として、参議院において与党および改憲勢力が3分の2の議席を獲得し、憲法改正へと動くことを何としても阻止することを望みます。
上記のIに加えて、市民連合は、個人の尊厳の擁護を実現する政治を求める市民連合として、以下のIIをすべての野党が実現するよう要望します。
II すべての国民の個人の尊厳を無条件で尊重し、これまでの政策的支援からこぼれおちていた若者と女性も含めて、公正で持続可能な社会と経済をつくるための機会を保障することを望みます。
・日本社会における格差は、もはや経済成長の阻害要因となっています。公正な分配・再分配や労働条件を実現し、格差や貧困を解消することこそが、生活者の購買力を高め、健全な需要を喚起し、持続可能な経済成長を可能にします。
・誰もが自由で尊厳ある暮らしを送ることができる公正で健全な社会モデルへの転換を図るために、格差のひずみがとりわけ集中してきた若者や女性に対する差別の撤廃から、真っ先に着手していく必要があります。
1.子どもや若者が、人生のスタートで「格差の壁」に直面するようでは、日本の未来は描けません。格差を解消するために、以下の政策を実現することを望みます。
保育の質の向上と拡充、保育士の待遇の大幅改善、高校完全無償化、給付制奨学金・奨学金債務の減免、正規・非正規の均等待遇、同一価値労働同一賃金、最低賃金を1000円以上に引き上げ、若いカップル・家族のためのセーフティネットとしての公共住宅の拡大、公職選挙法の改正(被選挙権年齢の引き下げ、市民に開かれた選挙のための抜本的見直し)
2.女性が、個人としてリスペクト(尊重)される。いまどき当たり前だと思います。女性の尊厳と機会を保障するために、以下の政策を実現することを望みます。
女性に対する雇用差別の撤廃、男女賃金格差の是正、選択的夫婦別姓の実現、国と地方議会における議員の男女同数を目指すこと、包括的な性暴力禁止法と性暴力被害者支援法の制定
3.特権的な富裕層のためのマネーゲームではダメ、社会基盤が守られてこそ持続的な経済成長は可能になります。そのために、以下の政策を実現することを望みます。
貧困の解消、累進所得税、法人課税、資産課税のバランスの回復による公正な税制の実現(タックスヘイブン対策を含む)、TPP合意に反対、被災地復興支援、沖縄の民意を無視した辺野古新基地建設の中止、原発に依存しない社会の実現へ向けた地域分散型エネルギーの推進 以上
(2016年6月8日)
各紙の「野党 参院選全1人区で候補一本化」との見出しが目にまぶしい。
香川選挙区で民進党が擁立を断念し、共産党の候補予定者への一本化が決定。これを受けて共産党は近く、民進党と調整中の三重、佐賀で公認候補を取り下げる方向だという。これで事実上、今夏の参院選「1人区」(32選挙区)すべてで、民進・共産・社民・生活4党による候補者一本化実現となった。
各選挙区の候補者と所属は以下のとおりである。
青森 田名部匡代 民・新
岩手 木戸口英司 無・新
宮城 桜井 充 民・現
秋田 松浦大悟 民・前
山形 舟山康江 無・前
福島 増子輝彦 民・現
新潟 森ゆう子 無・前
富山 道用悦子 無・新
石川 柴田未来 無・新
福井 横山龍寛 無・新
山梨 宮沢由佳 民・新
長野 杉尾秀哉 民・新
栃木 田野辺隆男 無・新
群馬 堀越啓仁 民・新
岐阜 小見山幸治 民・現
三重 芝博一 民・現
滋賀 林久美子 民・現
奈良 前川清成 民・現
和歌山 由良登信 無・新
鳥取島根 福島浩彦 無・新
岡山 黒石健太郎 民・新
山口 纐纈 厚 無・新
徳島高知 大西聡 無・新
香川 田辺健一 共・新
愛媛 永江孝子 無・新
長崎 西岡秀子 民・新
佐賀 中村哲治 民・元
熊本 阿部広美 無・新
大分 足立信也 民・現
宮崎 読谷山洋司 無・新
鹿児島 下町和三 無・新
沖縄 伊波洋一 無・新
これまで相争う関係にあった各党の候補者調整である。困難が大きいのは当然のこと。「岡田克也(民進党)代表は20日の会見で、香川について『共産党との関係は現時点で白紙だ』と述べた。共産党の候補予定者を民進党が推薦する可能性は低く、正式な協力態勢が整った石川や熊本などとは温度差がある」(毎日)と報じられている。各党がこぞって、統一候補を推薦というきれいな図を描くには至っていない。
それでも、全一人区で与野党一騎打ちの構図になる。この意義は大きい。「改憲か、その阻止か」という対抗軸が明瞭になるからだ。いくつかの選挙区では、野党共闘の成果としての議席の獲得が現実化するだろう。その新たな獲得議席が、明文改憲を阻止し、解釈改憲も是正する貴重な存在となるだろう。
明文改憲の阻止と戦争法廃止の両者を統一するスローガンが、「日本の政治に立憲主義を取り戻そう」である。日本国憲法の存在を前提として、いま、安倍政権の、反憲法的政治姿勢は目に余る。憲法が政権を縛り政権の方向を定めているのに、政権はこれを嫌って、憲法をねじ曲げようとしている。あまつさえ、憲法そのものを書き換えようとしている。このアベ政権の姿勢を「立憲主義に反する」と批判し、「立憲主義を取り戻せ」とスローガンを掲げているのだ。
憲法擁護義務を無視した安倍政権は、強引に憲法9条の解釈を変えて戦争法の成立を強行し、それでも足りずに、明文改憲を狙っている。政権の目指す憲法が、「自民党改憲草案にあることは自民党の広言するところ。これまで国民が共通の認識としてきた憲法価値である、平和・人権・民主主義の擁護が「立憲主義を取り戻せ」のスローガンに包含されている。表現の自由も、福祉も、労働も、歴史認識も、その具体的課題となる。
参院選での野党共闘態勢の構築は、正式な共闘成立公表とともに、メディアの大きな話題となるだろう。また、今後に大きな影響を与えることにもなるだろう。まずは、5月27日告示6月5日投開票の沖縄県議選を励ますことになり、衆院選の小選挙区共闘を促すことになるだろう。
今回参院選の統一候補の内訳が、「政党公認16、無所属16」である。政党公認16のうち、「民進15、共産1」というのが、現実的な落としどころなのだろう。このように現実化した参院1人区共闘が、総選挙でできないはずはない。世論が求め、そうしなければ勝てないという現実があるからだ。しかも、ここで「各院の3分の1」という「絶対防衛圏」を破られては、後戻りできない禍根を残すことになるではないか。
参院とは対照的に、衆院の野党共闘協議は進んでいないのが実態。民進党の態度が消極的だといわれてきた。しかし、「国会会期末が迫るなか、野党内には首相が参院選に合わせて衆院解散に打って出るとの警戒感が高まり、民進も態度を変えた。」「民進の岡田代表は、『衆参ダブル選挙の可能性もかなり高い。幹事長レベルでよく話し合っていく』と述べ、衆院小選挙区での候補者調整を急ぐ考えを示した。21日には愛媛県新居浜市で記者団に『特に一本化すれば勝てる可能性があるところは、一本化の努力はすべきだ』と述べた」「仮に衆参同日選となれば調整に残された時間は少なく、選挙協力がどこまで進むかは不透明だ。民進幹部は『いざとなったら「えいや」でやるしかない』と語る」(朝日)と報じられている。
ことは、憲法の命運に関わる。憲法の命運とは、国民の権利と自由と平和の命運にほかならない。「野党は共闘」「野党は真剣に共闘に取り組め」と声を上げ続けねばならないと思う。
(2016年5月22日)
参院選の野党統一候補擁立の動きに注目し続けている。その成否が改憲阻止の成否に直結するからだ。アベ壊憲政権の与党勢力に3分の2の議席を与えてはならない。そのためには、明文改憲阻止の一点で野党の選挙共闘が不可欠だ。民進・共産・社民・生活の野党4党間で進んでいる、候補者統一が改憲を阻止しうる院内勢力を形づくることになる。そして、参院選後の総選挙での選挙協力にも道を切り開くことになる。
注目の一人区は全部で32(県数では34)。このところ、5月15日に鹿児島、16日に奈良、そして昨日(18日)和歌山と岩手の野党統一候補擁立の発表があった。残るは3選挙区、三重・香川・佐賀のみである。ここまでくれば、一人区全部で野党統一候補擁立実現の見通しが高くなってきた。がぜん、参院選は伯仲模様、熱を帯びたものとなってきている。
岩手は、民進が生活に譲った形での共闘成立。協議難航した生活と民進両党を説得したのが、間にはいった社民・共産の両党だったと報道されている。「野党共闘は衆参一体で捉えるべきだ」との立場から、生活推薦候補を参院選の共闘候補とし、民進推薦候補を次期衆院選岩手2区候補とする案を提示して、打開につなげたという。これで、野党4党対自公の一騎打ちとなる。注目選挙区の一つである。
和歌山の共闘模様は、やや複雑だ。すんなりの全野党合意ではない。
まず、安全保障関連法廃止を掲げる「市民連合わかやま」の主導で、統一候補者が模索された。「市民連合わかやま」が、各野党に呼びかけた政策の合意は次の3点である。
?安全保障関連法の廃止
?集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回
?日本の政治に立憲主義と民主主義を取り戻す
結局、「市民連合わかやま」は、この3項目の政策で参議院選挙の和歌山選挙区予定候補に由良登信弁護士(元和歌山弁護士会会長)を推薦することを決定し、民進、共産、社民の各野党に「野党統一候補として推薦いただきたい」と申し入れた。市民組織先行での野党への呼びかけは、「この指止まれ方式」だ。
これに対し、共産・社民・生活の3党は、この指にとまって、由良推薦を決めた。共産は独自候補を比例区に回してのこと。民進党県連の、この指への止まり方は微妙だった。自党の参院選予定候補者を「次の衆議院選挙の和歌山2区で候補とする」と「転戦」を発表はしたが、由良候補推薦とはならなかった。「基本的な理念や政策に違和感がある。野党の統一候補とは言えない」として、参議院選挙では、自主投票としたという。
複雑な事情は知り得ないが、民進も既に決めていた候補者を下ろしたのだ。由良候補を、「事実上の野党統一候補」と言ってよいだろう。
私は、由良さんをよく知る一人だ。日弁連の消費者委員会で活動をともにした。信頼のできる人だし、社会的弱者の立場に立つことを鮮明にしている人。到底、自ら国政に出ようというタイプには見えなかったが、この人が選挙に出るなら、なるほどよい候補者だ。人当たりが柔らかで、誰の意見にも穏やかに耳を傾ける。何よりも声がよい。歯切れがよいし、滑舌が滑らかで聞きやすい。そして、話が分かりやすい。説得力がある。
がんばれ、由良さん。がんばれ、和歌山野党共闘。
「野党は共闘」とは、市民の声であり、今や天の声でもある。野党はこの天の声に耳を傾けざるをえない。なんと言っても、これが大義なのだ。この大義が、由良さんのような無所属候補を擁立したのだ。これで、「野党共闘+市民の陣営」対「与党(自公)の陣営」の対立構図が明確になってきた。対立軸は、明文改憲と解釈改憲の是非である。「憲法擁護の、野党+市民」対「改憲の自公」の対立なのだ。
典型例としての愛媛県の例。無所属の候補と、これを擁立した市民組織「安保法制(戦争法)の廃止を求める愛媛の会」と4野党(ここでは、民進、共産、社民、新社会)との合意内容は以下のとおりである。
?憲法違反の安全保障関連法廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を公約する
?安倍政権の打倒をめざす
?自民党改憲案にもとづく憲法改正を阻止する
?立憲主義と民主主義の回復をめざし、その姿勢を貫く
こうして、日本国民は、憲法12条の「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。」を実践し、日本国憲法とその理念を、日々選び取り血肉化しているのだ。憲法を排撃すること厳しいアベ政権が、国民の憲法意識を鍛えているとも言えるだろう。
最後に、もう一度。がんばれ、由良さん。がんばれ全国の野党統一候補者の皆さん、そして共闘を支える野党と市民の皆さん。
(2016年5月19日)