落胆せずに怒ろうー怒りを廃案を求める運動のエネルギーに
本日(11月26日)午前中に衆院の国家安全保障特別委員会が、特定秘密保護法案の審議を打ち切って、修正案についての採決を強行した。通常は採決前に行う討論を省略し、自・公に、みんなを加えた賛成多数で可決した。修正案の案文ができたのは、昨25日ではないか。慎重審議とは名ばかりの泥縄。なお、維新は採決時に退席し、民主、共産、生活各党が反対した。
本日遅れて開会された本会議では、討論に続いて採決となり、野党のうち民主、共産、生活、社民の各党が反対した。与党と法案の修正で合意した日本維新の会は、26日の採決には反対して、途中退席した。自民、みんなの両党の一部で反対、退席する造反が出ている。
採決を強行した自・公の与党側は、「審議を尽くして修正すべきは修正した」というが、ひどい嘘だ。昨日(11月25日)の福島地方公聴会で意見陳述者7人が7人とも、法案の成立には反対であり慎重審議を求めたことをどのように受けとめたのか。しかも、その7人がそれぞれに多様な角度から、法案の問題点を指摘したことをどのように審議に反映したというのか。採決強行の日程を決め、しかし、「福島の皆様のご意見も聞きましたよ」という形式を整えるために、利用しただけではないのか。
将棋に「形づくり」という言葉がある。勝敗が明確になった最終盤に、形勢挽回不能を覚った敗者側が、最後の投了図を美しく飾るための手を指すことを意味する。こうして、勝者と敗者とが共同して一局の将棋を美学をもって完成することになるのだという。転じて、勝ちにつながらない形ばかりの指し手をもいうようだ。
将棋の形づくりは、ひとつの文化として美しい。対局者双方に相手に対する敬意があるからだ。しかし、国会審議の「形づくり」はこの上なく醜い。終局の美学はなく、人の誠実さをもてあそんだ後味の悪さだけが、苦く残る。懸命に真剣に訴えた、福島の声を一顧だにしない本日の採決強行は、まことに醜い「形づくり」でしかなかった。
落胆はすまい。怒ろう。民主々義を踏みにじる者への怒り。人の尊厳を顧みない者への怒り。歴史の歯車を逆転しようとする者たちへの怒り。その怒りのエネルギーで、この法案を廃案に追い込もう。
与党の中にも、この稀代の悪法の推進者と見られたくはないという雰囲気が見えるではないか。維新ですら採決には反対した。みんなも一枚岩ではない。あらゆる世論調査が、法案審議の拙速を批判している。国民世論は、明らかに国会内の議席の分布とは大きくねじれている。60年安保の時も衆院の強行採決のあとから大きな運動が盛りあがったことを思い出そう。
本日の「本郷三丁目交差点昼休み街宣行動」には23人にご参加いただいた。町会長さんまでもお顔を見せた。手作りプラカードを各自の胸にし、ハンドマイクで呼び掛けながら、2種類のビラを撒き、署名活動を行った。意気軒昂、大いに盛りあがった。通行中の多くの人が耳を傾けてくれる。ビラの受け取りもなかなか良い。これからも続けよう。廃案を勝ち取るまで。
(2013年11月26日)