満身の怒りを込めて自民・公明の両党に抗議する
参議院前の舗道。国家安全保障特別委員会の審議打ち切りと強行採決に怒りの叫びが渦巻く。これこそ主権者の声。
自民党よ、恥を知れ。
公明党よ、恥を知れ。
強行採決は認めない。
委員会へ差し戻せ。
この強行採決には声もない。これは民主々義ではない。これは国民主権下の議会ではない。これは、平和な国の出来事ではない。この非民主主義的な法案審議のあり方は、その内容が民主々義を蹂躙するものであることを雄弁に物語っている。こんな与党に、こんな政権に、秘密の指定も管理もさせられるはずもない。
小選挙区制のマジックによる水増し議席に胡座をかく、傲慢極まりなき自民党。そして、暴走自民党のエンジンにアクセル役を買って出ている公明党。その罪の深さを知れ。そして、恥を知れ。
政権と与党とは、なにゆえに、かくも焦り、かくも急ぐのか。それは、傲りと裏腹の自信のなさの表れだ。学界、法曹界、ジャーナリズム、言論界、労働団体、女性団体、映画・演劇・音楽…。一つの法案に、ありとあらゆるジャンルから、これだけの反対の声があがったのは久しぶりのことではないか。原発に関する情報の秘匿を恐れる福島県議会や、米軍基地情報の秘匿を恐れる沖縄県議会など、自治体も反対決議をあげている。法案の内容とその危険性を知られれば、国民の反対の声が際限なく大きく広がることは確実なのだ。だから、彼らは焦り、急いだのだ。
振り返れば、何もかにもが「できるだけ秘密」「できるだけ国民に知られないうちに」という姑息なやり方で貫かれてきた。法案の形になる前のパブコメ募集が、期間わずか15日であった。この15日間に寄せられた9万を超えるコメントの8割を占めた明確な反対意見は完全に無視された。衆議院に法案が提出されたのが10月25日、審議にはいったのは11月7日。その後わずか20日足らずの11月26日に強行採決によって衆議院を通過。その10日後に参院で再びの強行採決。広く国民に知られないうちの駆け込み成立をという強引な姿勢以外のなにものでもない。
しかし、与党の計算は、うまくはいっていない。急ぐ余りの強引さが、強い批判を招き、敵を作ってもいるのだ。あらゆるマスコミが、この事態を批判している。「拙速である」「審議が不十分だ」「国民の理解が得られていない」「審議が深まるにつれて法案の危険は益々明らかになって来ているではないか」「与党には数の傲りがあるのではないか」。今や、慎重審議を求める世論は天の声。圧倒的な多数の意見となつている。政権にとっても、自民・公明の両党にとっても、これは思惑外れの事態となっているはず。
拙速といえば、これ以上のものはない。私は、この法案の審議に注意を払ってきた。政権が何をいうのか、聞き耳を立ててきた。それでも、昨日唐突に提案された「特定秘密指定のチェックに関する第三者(的)機関」なるものの性格はいまだに良く理解ができない。「首相は、同法施行までに特定秘密の指定や解除の妥当性をチェックする『情報保全監視委員会』と、統一基準を策定する『情報保全諮問会議』と、『独立公文書管理監』を政府内に設置する考えを表明した」と報道されている。しかし、それぞれの具体的な指揮系統、権限、規模や人選のあり方など、具体的なことはわからない。わかっているのは、いずれも、政府内に設けられる内部チェックの組織に過ぎないこと。そして、いったんは審議の進行を凍結して、このような機関の細目をすべて整えてから、改めて審議を再開しても、国政に何の影響もないことである。
繰り返すが、新しい組織の名前だけの唐突な発表が4日の午前中である。その日の午後に行われた大宮での公聴会では、もちろん誰も言及していない。その内容の吟味の時間も与えずして、5日の委員会強行採決なのである。「拙速」というよりは、「だまし討ち」というべきではないか。しかも、さらに本日になって、菅義偉官房長官は「情報保全監察室」なる組織を内閣府に設けると言いだした。さあ、ますます複雑怪奇。これは面妖な。いかにも官僚の考えつきそうなこと。自民党・公明党の議員の誰も、この新4機関の具体的なイメージを語ることはできないだろう。
この強行採決は絶対に許さない。さすがに、本日の本会議採決はない模様だが、怒りを燃やそう。民主々義や平和を守るためにはエネルギーが必要なのだ。怒りをそのエネルギーに変えよう。そして、持続しよう。さらに、本会議採決阻止の声をあげよう。そして、自民や公明に代わる、もっとマシな議会制民主々義を私たちの手でつくり出そう。
(2013年12月5日)