澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

9条改正「不要」57%ー北海道新聞世論調査の朗報

(2022年4月29日)
 本日は「昭和の日」。大型連休の初日だが、東京は生憎の本降りの雨。しかも肌寒い。ツツジも、サツキも、フジも、冷雨にうたれて気の毒の限り。
 
 このぐずついた天候のごとく、このところよいニュースがない。コロナ・ウクライナ・知床事故・道志村…。そして、諸式の物価高である。世の物価はなべて上がるが、賃金は上がらない、年金は下がる。株価だけが人為的な操作で持ちこたえ、持つ者と持たざる者との格差拡大に拍車がかかる。これでどうして、政権がもっているのやら。さらには、敵基地反撃能力だの、中枢機能攻撃だの、核シェアリングだの、防衛費倍増だの。ヒステリックで物騒極まりない見解が飛びかっている不穏さ。

 そう思っていたら、北海道新聞のデジタル版に、以下の記事。
 「改憲の賛否再び拮抗 9条改正「不要」57% 本紙世論調査」というのだ。これは朗報である。闇夜に一筋の光明とは大袈裟だが、元気が湧く。

  「5月3日の憲法記念日を前に、北海道新聞社は憲法に関する全道世論調査を行った。

 憲法を「改正すべきだ」は42%(前年調査比18ポイント減)、
 「必要はない」は43%(同13ポイント増)

 で拮抗(きっこう)した。
 前年は新型コロナウイルスへの不安の高まりなどを背景に改憲意見が強まったが、再び賛否が二分する状態に戻った。

 戦争放棄を定めた憲法9条については「改正すべきではない」が前年から横ばいの57%で、「改正すべきだ」の35%(同1ポイント減)を上回った

 自民党などはロシアによるウクライナ侵攻を機に9条改正に向けた議論の進展を図っているが、市民の間に改憲論は強まっていないことが浮き彫りになった。

 これが、憲法記念日直前の、全道の憲法意識なのだという。これから、順次全国の世論調査が実施され結果が発表されることになるだろうが、「市民の間に改憲論は強まっていないとは幸先のよい調査結果ではないか。

 いま、ロシアのウクライナ侵攻を奇貨として、反憲法勢力が懸命に笛を吹いている。曰わく、「自分の国は自力で防衛しなければならない」「平和を望むなら、軍事力の増強が不可欠である」「それに桎梏となっている憲法を、とりわけ9条を変えなければならない」と。

 この笛を吹いている側の勢力が、自・公・維・国の保守4党。しかし、国民はけっしてこの笛に踊らされてはいないのだ。むしろ、平和への危機意識が「9条守れ」の声に結実しているのではないか。道新の世論調査が、貴重なその第一報となった。さて、これから、メーデーがあり、憲法記念日となる。改憲阻止の世論を大きくしていきたいもの。

 ところで、「昭和の日」である。昭和という時代は1945年8月敗戦の前と後に2分される。戦前は富国強兵を国是とし、侵略戦争と植民地支配の軍国主義の時代であった。戦後は一転して、「再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることの決意」から再出発した、平和憲法に支えられた時代。戦前が臣民すべてに天皇のための滅私奉公が強いられた時代であり、戦後が主権者国民の自由や人権を尊重すべき原則の時代、といってもよい。

 本日は、戦前の軍国主義昭和を否定し、戦後の平和主義昭和を肯定的に評価すべき日でなくてはならないが、なんと、本来の「昭和の日」に、もっともふさわしからぬ人物の誕生日を選んだことになる。疑いもなく、昭和天皇と諡(おくりな)された裕仁こそが、戦前の狂信的軍国主義を象徴する人物にほかならないのだから。

 あの昭和前期の軍国主義の時代、国民には裕仁や軍部の手口が、見えなかった。いま、プーチン・ロシアが、隣国ウクライナに侵略戦争中の「昭和の日」を迎えてこのことを思い起こすべきだろう。

 プーチンの国内世論の支持はすこぶる高いと報じられている。皇軍の侵略を支えた日本国民の民意はそれを圧倒するものだったろう。プーチンの手口はヒロヒトの軍隊とよく似ている。戦前の日本の歴史を見据えて、プーチン・ロシアの責任を見極めよう。そして、プーチンもヒロヒト同様に、内外に戦争の惨禍をもたらした戦争犯罪者であり、平和への敵であることを確認しなければならない。

 戦前の軍国主義昭和を否定し、戦後の平和主義昭和を肯定する立場からは、憲法の理念を擁護し、憲法の改正を阻む決意あってしかるべきである。そうであって初めて、「昭和の日」の意義がある。

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