大阪市長選を意義あるものとするためには…
橋下維新のやることは分からない。計算ずくで行動しているのか、それとも衝動で動いているのか。市議会の審理が自分の思うように進捗しないことを不満として、市長自身が辞職するという発想が理解しがたい。
地方自治法178条は、議会が首長不信任の議決をしたときに限って、「首長が議会を解散することができる」と定める。大阪市議会が、「市長辞めよ」と不信任を突きつけたときの対抗措置としてだけの議会解散権である。大阪都構想推進に非協力的な市議会を、市長に協力させる目的での議会解散を法は予定していない。
「解散ができなければ市長である自分が辞めて市長選で民意を問うことにしよう」。そのような意図での出直し市長選である。しかし、この選挙で当選したところで、何かが変わるわけではない。市長が再選され、市議会の構成はあいかわらずのまま。
もちろん前回選挙を上回る「圧倒的な支持」を得た場合には、大阪都構想に民意の後押しあることを示すことができる。しかし、維新の季節は一過性に終わっている。橋下の風も熄んだ。金看板とされた都構想のメッキは剥げている。橋下に前回2011年11月の市長選挙で75万票を取ったときの勢いはない。勝ってもたいしたメリットはなく、負ければ決定的なデメリットを背負い込むことになる。しかも、制度上市長としての任期が更新されて延びることにもならないという。こんな割りの合わない選択を余儀なくさせたものは、八方ふさがりの状況の逼迫であったろう。
昨日(3月23日)投開票の結果は、明らかに橋下の読みがはずれたことをものがたっている。事態打開を図っての策が裏目に出て、却って自分の首を絞めただけの結果に終わった。当選者橋下は、昨夜記者の前に姿を見せなかったという。
たしか橋下は、この出直し市長選で敗れた場合には、「橋下徹・松井一郎の二人とも政界を去る」と明言をしたはず。実質的に橋下は敗れたのだ。是非とも、潔く政界を去っていただきたい。それが、日本の民主主義のためである。
今回選挙の投票率は23.59%と大阪市長選で過去最低だった(前回60.92%)。「市民は橋下が設定した選挙そのものにノーを突きつけた」といってよかろう。大阪市長選の投票率で過去最低だったのは1995年の28.45%。各党相乗りの前助役と共産が推す新人との事実上の一騎打ちだった。今回の選挙戦では、有力対抗馬不在のなか、橋下氏が都構想の正当性を主張したものの、有権者の関心を引かなかった。
橋下の得票数は37万7472。前回選挙の得票75万0813と比較してちょうど半減。相対得票率を云々することは意味をなさない。当日有権者数211万4978人に対する絶対得票率は17.85%。大阪市の有権者5人に1人の投票を得ることができなかった。これが、有権者全体から見ての橋下の信任度の実態。前回選挙での絶対得票率が35.67%だから、これも半減。差し引き18%の市民は、前回は橋本に期待したものの、今回は橋下が危機を訴えても乗ってこなかったということだ。
白票が4万5098票、9.04%と「第2位」であったという。投票総数に占める割合は無効票が13.53%、意識的なものと思われる無効票が多かった、と報じられている。惨憺たる民意、というほかはない。大阪都構想の信任投票に市民のゴーサインは得られなかった。既に始まっている維新の終わりが加速することになっただけだ。
もっとも、橋下のやることが分からないだけでなく、せっかくの選挙に候補者を立てないという「高等戦術」を採った野党の対応も、その是非については釈然としないものが残る。本来、堂々と政治的主張を闘わせるべきが政党の在り方ではないのか。橋下が一人相撲で勝手に転けてくれたから「結果オーライ」ではあったが、本当にこれでよかったのだろうか。
ところで、今回選挙でもっとも注目されたものは投票率であった。投票率こそが、大阪市民の今回市長選の意義への評価であった。「投票率アップ・キャンペーン」が親橋下の党派性をもつことは誰の目にも明らかであった。が、実は今回大阪市長選挙に限らず、すべての選挙においてそうなのではないだろうか。
「投票率は高いことが望ましい」という意見にアプリオリに賛成することには、大きな抵抗感がある。今回選挙で絶対得票率の重要性が浮かびあがったとおり、民意は有権者の投票意欲をもその要素とする。安易な投票率アップキャンペーンは、風頼みお天気次第の有権者を支持層とする政党に有利に働く。投票率が下がれば、組織政党に有利に働く。選挙啓発運動や、投票率アップキャンペーンは、党派的であることを免れない。
大阪市選管は、選挙の度に大規模な「選挙に関する世論調査」を行っている。
「大阪市選挙管理委員会及び大阪市明るい選挙推進協議会では、今後の明るい選挙の推進に役立てることを目的として、平成23年(2011年)4月に大阪市議会議員選挙を中心に大阪市民の投票行動の実態及び選挙時に関する意識調査である「選挙に関する世論調査」を実施し、このほど調査結果を取りまとめました」
この中に、興味深い設問がある。次のうちからひとつを選ばせるもの。
・もっと投票率を上げるように努力すべきだと思う
・投票率が低いのもやむを得ないと思う
・無理に投票率を上げる必要はないと思う
この設問自体に、「投票率の向上すなわち善」との前提が見えている。
その回答結果の分析は次のとおり。
「今後の投票率については、『もっと投票率を上げるように努力すべきだと思う』が43.6%となっているが、一方、『投票率が低いのもやむを得ないと思う』で36.4%、『無理に投票率を上げる必要はないと思う』が14.4%と合わせると、50.8%が現状を容認しているとみられる。」
「これまでの調査と比較すると、『もっと投票率を上げるように努力すべきだと思う』が下がり、逆に『投票率が低いのもやむを得ないと思う』、『無理に投票率を上げる必要はないと思う』が上がっている。
前回(2007年)の調査では、『もっと投票率を上げるように努力すべきだと思う』が62.0%となっていた。大勢は、特定選挙で無理に投票率を上げようとすることには慎重になりつつあるということなのだろう。
総務省も、中央選管も、また各地方選管も、特定のタレントなどを起用しての「啓発運動」などには慎重であるべきだ。投票率を上げることが必ずしも正確な民意の反映に結びつくものではない上に、タレントの選定次第で民意を歪めることもあるのだから。
一人の男の無分別から6億円のつまらぬ無駄遣いに終わった選挙だった。せめては、選挙とは何か、民意とは何か、民主主義とはどうあるべきか、広く有権者が考える材料とすることができれば、まったくの無駄でもなくなるだろう。さらに、これをもって橋下維新早期退場実現のきっかけとすることができれば、無駄どころではなく、意義のある選挙だったことになる。
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NHK籾井会長、百田・長谷川両経営委員の辞任・罷免を求める署名運動へのご協力のお願い。
下記URLからどうぞ
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-3030-1.html
http://chn.ge/1eySG24
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NHKに対する「安倍首相お友だち人事」への抗議を
☆抗議先は以下のとおり
※郵便の場合
〒150-8001(住所記入不要)NHK放送センター ハートプラザ行
※電話の場合 0570?066?066(NHKふれあいセンター)
※ファクスの場合 03?5453?4000
※メールの場合 下記URLに送信書式のフォーマット
http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html
☆抗議内容の大綱は
*籾井勝人会長は即刻辞任せよ。
*経営委員会は、籾井勝人会長を罷免せよ。
*百田尚樹・長谷川三千子両経営委員は即時辞任せよ。
*経営委員会は、百田尚樹・長谷川三千子両経営委員に辞任勧告せよ。
以上よろしくお願いします。
(2014年3月24日)