「自衛隊員の戦闘死者は靖国神社に祀りたい」ー総理のホンネ
(内閣広報官)本日は、皆さまからのご要望で、御質問にお答えするかたちで特別に総理がホンネを語ります。オフレコのお約束は厳格にお守りいただくよう、特にご注意ください。違約の社には、官邸から調査がはいることもありますことを事前に警告申し上げます。では、ご質問をどうぞ。
(記者)幹事社から質問いたします。
閣議決定された安全保障関連法案ですが、報道各社の世論調査では、賛否が分かれて、慎重論は根強くあると思います。また、野党からは、集団的自衛権の行使の反対に加えて、先の訪米で総理が議会で演説された「夏までに実現する」という表明についても、反発の声が出ております。総理はこうした声にどうお答えしていく考えでしょうか。
(総理)国民の命と平和な暮らしを守ることが、政府の最も重要な責務であります。我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中、あらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行う「平和安全法制」の整備は不可欠である、そう確信しています。ですから、国民のために法案の成立を早期に実現するよう努力いたします。
あらゆる世論調査で、国民が集団的自衛権の行使容認に反対ないしは慎重の結果となっていることはよく心得ています。しかし、国民の命と幸せな暮らしを守るために、この法整備を断固としてやり遂げなければならない。それが政権を預かるものの使命と考えています。
もちろん、国民の皆さまに、しっかりとわかりやすく丁寧に審議を通じて説明をしていきたいとは思います。しかし、いつまでもグズグスしているわけにはまいりません。民主主義のルールに従って、予め予定された期間の議論が終了すれば、粛々と多数決で決着をつけねばなりません。
先般の米国の上下両院の合同会議の演説において、「平和安全法制の成立をこの夏までに」ということを申し上げました。これは、国際公約ですから、国民の納得よりも優先させねばなりません。「夏」とは、常識的に8月末までにということですから、それまでに衆参両院の審議と議決を済ませる覚悟です。国民への説明を丁寧にする、委員会や本会議での審議を尽くすというのも、時間を区切ってのこととならざるを得ません。国民の納得は望ましいことですが、仮にそれが得られなくても、早期にこの法案を成立させることの方が、遙かに重要なことなのです。
こうした私の方針は国民の皆さまよくご存じのはず。私を、改憲論者で、平和は武力によってこそ守られるというイデオロギーの信奉者だと知ってなお、国民の皆さまに支持いただいています。2012年暮れの総選挙以来、私は総裁として、また我が党として、この戦争法制を整備していくことを一貫して公約として掲げています。特に、先の総選挙においては、昨年7月1日の閣議決定に基づいて、「平和安全法制」を速やかに整備することを明確に公約として掲げ、国民の審判を受けました。
皆さまご記憶のとおり、2014年総選挙は、私自身が「アベノミクス選挙」と命名し、「景気回復、この道しかない」とのキャッチフレーズを掲げた選挙でした。確かに、安全保障政策の転換を争点とした選挙ではなかった。しかし、よく読めば公約には安全保障問題も掲げていたのです。これを「争点ずらし」などというのは、負け犬の遠吠え。勝てばこっちのものですから、総選挙の結果を受けて発足した第3次安倍内閣の組閣に当たっての記者会見において、戦争法案は通常国会において成立を図る旨、はっきりと申し上げたはずであります。
国民の皆さまが望んでおられるのは、ものごとをテキパキと決めて前に進む政治であろうと心得ています。決められない前政権の政治に批判があって、安倍政権になったのではありませんか。ですから、私は、特定秘密保護法も、沖縄辺野古基地建設も、NSC設置法も、日米ガイドラインも、テキパキと決めてきました。7月1日閣議決定もその流れです。選挙で信任を得た以上は当然のことと考えています。世論調査の結果を無視するとはいいませんが、その結果で決断を躊躇することはいたしません。もちろん、国民の審判によって弱体化した野党の反対は覚悟の上で、粛々と採決の所存です。
(記者)国民の不安、懸念などについて説明を伺いたいと思います。自衛隊発足後今日まで、紛争に巻き込まれて自衛隊の方が亡くなることはなく、また、戦闘で実弾を使ったりすることもありませんでした。このことが国内では支持されていましたし、国際的な支持でもあったかと思います。今回の法改正で、自衛隊の活動がすごく危険になるとか、リスクな方に振れるのではないかと懸念されますが、この点に関する総理の御説明をお願いいたします。
(総理)まさに自衛隊員の皆さんは、日ごろから日本人の命、幸せな暮らしを守る、この任務のために苦しい訓練を積んで危険な任務に就いているわけであります。これからも同じようにその任務を果たしていくということが基本であります。
自衛隊発足以来、今までに1800名の方々が、様々な任務で殉職をしておられます。こうした殉職者が出ないよう努力はしたいと思いますが、これまでも危険な任務であったことはご理解いただきたいと思います。
自衛隊員は自ら志願し、危険を顧みず、職務を完遂することを宣誓したプロフェッショナルとして誇りを持って仕事に当たっています。その誇りのよってきたる根源は、死をも厭わずにお国のために尽すところにあります。当然のことですが、この法案が成立すれば、海外の戦闘で自衛隊員の死者が出ることは予想されるところですから、その戦闘死の顕彰を考えなければならないことになるでしょう。
私が、靖国神社参拝にこだわっているのは、過去の歴史をどう捉えるかというだけではありません。これからの戦争や武力行使における自衛隊員の犠牲者の顕彰につながるものと考えているからです。国が、戦闘員の死に無関心で、その死に感謝や尊崇の念をもたなければ、いったいだれが命がけの任務に当たることになるでしょうか。
危険な戦闘任務のための特別手当や、遺族に対する特別の補償の用意も必要でしょうが、何よりも全国民に戦闘死を名誉とする国民意識の涵養が不可欠だと思います。その死を誉れあるものとして子どもたちには教えなくてはなりませんし、公共への奉仕としてこれに勝るものはない立派な行為として、道徳の教科書にも是非載せなければならないと思います。
そして、できることなら、靖国神社に戦死した自衛隊員を合祀したい。その合祀の臨時大祭には、戦前の例に倣って、余人ならぬ天皇陛下自らのご臨席を賜ることが望ましいと考えています。
一方、怯懦から敵前において逃亡するなどの卑劣な行為には、旧陸軍刑法や海軍刑法に倣って厳罰を科する法制度を整えなければなりません。軍法会議の新設も必要になりましょう。そのためにも、憲法改正が必要なのです。
ここまで来れば、「非武装」や「専守防衛」という憲法9条を中核にした戦後レジームを放擲し、たるみきったその精神的呪縛からもようやくにして脱却できたことになります。そのとき、念願の精強な我が軍の軍事力によって平和と安全を確立する「あるべき日本の姿を取り戻した」と言えるのではないでしょうか。
(内閣広報官)時間も経過しましたので、記者の皆様からの御質問を打ち切ります。この席での総理発言はホンネのところですから、くれぐれもご内密にお願いいたします。
(2015年5月16日)