戦争法案反対運動の高揚を象徴する、岩手県議選奥州選挙区・千田みつ子候補(共)のトップ当選
戦争法案の参院審議は、いよいよ大詰め。95日という常識外れの大幅延長をした今通常国会の会期末(9月27日)まであと3週間。60日ルール適用期間開始の9月14日も、もうすぐだ。「16日採決強行」「18日がリミット」などという観測記事が目につくようになった。強行できるかどうかは、情勢次第、あるいは情勢の読み方次第であろう。
参院の審議では、いよいよ法案のボロが現れてきた。とりわけ、アメリカの意向に沿って制服組が合意し策定した防衛政策を後追いして法案化がなされ審議されていることが浮かびあがってきた。衆院の審議段階では伏せられていた重要資料がいくつも出て来た。立法事実の欠缺が、明確になってきてもいる。
院外の運動のかつてない盛り上がりは続いているが、もう一つ注目されるのがこの時期に行われる大型地方選挙での選挙民の動向。本日の岩手県議選と13日の山形市長選が、全国の耳目を集めることとなった。
岩手県議選がこの時期となったのは、前回選挙が2011年東日本大震災の被害で、予定されていた一斉地方選挙から約5か月延期した事情による。今日は、国政選挙なみの注目を集めるはずだった知事選の投票日としても予定されていたが、はやばやと自民候補の不戦敗になり、現職達増知事の無投票再選となったのはご承知のとおり。結局、県議戦と、釜石市・陸前高田市・山田町の3市町議会議員選挙の投開票が行われた。
県議選は16選挙区。定数48に対し、63人(現職40人、元職3人、新人20人)が立候補した。このうち釜石、八幡平(定数各2)、大船渡、遠野、陸前高田、九戸(同1)で現職8人が無投票当選となった。残り10選挙区、40議席をめぐっての激しい選挙戦となった。岩手の有権者数は107万人。全国の1%規模での大型世論調査と考えることができる。
今回県議選の党派別立候補者数は、自民16、生活9、民主5、共産3、公明1、社民3、無所属26。前回は23人の当選者を出した民主党が、今回は割れている。
8月31日の地元紙岩手日報は、県議選立候補者全員に「安全保障関連法案」への考え方のアンケート調査結果を公表している。「選挙戦は安全保障法案の国会審議と時期が重なり、有権者の注目を集めている」と問題意識からのことである。このアンケートの結果がきわめて興味深い。
候補者63名のうち、「今国会で、安保関連法を成立させるべき」との回答は、わずかに4人(6・4%)。これに対して、「成立を見送るべき・廃案にすべき」は52人(82・5%)に上っている。
「成立させるべき」との回答者4名の内訳は「政府案」「政府案を修正」とも2人(3・2%)ずつで、いずれも自民公明の候補が回答した、という。「今国会で成立させるべき」という意見が4名。うち自民が2人。すると、自民党立候補者のうち14人は、「今国会で成立させるべき」とは回答できないのだ。
これは、地方政治家が自分の支持者をどう見ているかを反映している。有権者の手前、「今国会で、安保関連法を成立させるべき」とは回答できないのだ。そんなことを言ってしまえば、明らかに選挙に不利になる、落選するかも知れないと考えているのだ。来夏には参院選が控えている。参議院議員諸君、とりわけその半数の改選議員諸君。選挙民に、「今国会で、安保関連法を成立させるべきだ」と、堂々と言えるだろうか。
さらに、岩手日報は、「成立に否定的な回答のうち『憲法違反またはその恐れがあり廃案にすべき』が29人(46・0%)、『国民理解が不十分のため成立は見送るべき』は23人(36・5%)となった」と報じている。これが、地方政治家の意識状況なのだ。勝負あったというべきではないか。
詳細な得票状況はまだ分からないが、共産の候補3人が全員当選した。とりわけ、奥州選挙区(定数5、立候補8)での千田美津子候補(新人)のトップ当選が象徴的だ。党の躍進でもあろうが、戦争法案反対運動の成果というべきだろう。
自民党は3選挙区で苦杯をなめている。公明は、盛岡で1議席を確保したが、前回の9722票(4位/10人)から今回は8655票(8位)に票を減らしている。
この結果は、戦争法案反対運動の昂揚を反映したものであろう。
(2015年9月6日)