「本郷・湯島九条の会」の街頭宣伝行動で。
(2021年1月14日)
一昨日(1月12日)お昼休み時間の「本郷・湯島九条の会」月例街宣行動について、報告しておきたい。
この日はあいにくの霙まじりの冷雨の日、しかも2度目の緊急事態宣言が出たばかり。常連の何人かがお休みをされた。活動参加者は、これまでにない少数の9名。
それでも、賑々しい手作りプラスターは十分に人目を惹いた。
「会食パーティ閉めて、国会開け」
「ダンマリスガ首相「お答えを差し控える」111回」
「それは当たらない。壊れたレコード。棒読み。支離滅裂。答弁不能」
「学術会議は軍事研究のご意見番、任命拒否は許さない」
「保健所の増設・拡充を」
「選挙に行こう。冷たい自助の人はいらない」
いつも、トップにマイクを握るのは、地域の活動家・石井彰さん、本郷3丁目の株式会社国際書院という出版社の社長さんである。仲間内では「社長」と呼ばれている方。「社長」はコロナ禍を気遣うお話しから、今年が憲法公布75年になることを述べて、何よりも平和が大切であり、この長期間の平和を守った「平和憲法」の擁護を呼びかけた。そして、今年は総選挙と都議会議員選挙の年、憲法を守り生かす政治勢力を大きくしようと、滑舌のよいハリのある声で訴えられた。
その演説の中で、「私ももうすぐ80に手が届く歳に」と聞かされて驚いた。そんなお歳にはとても見えない。「だから、子や孫に平和な時代を残したい」とおっしゃる、その心意気が若さの秘訣であろうか。そして、もう一つ、「月に一度の活動を始めて、既に8年になります」と言う。ウーン、そんなにもなるか。この間、行動を中止にしたのは、台風に見舞われたたった一度だけ。
事後に、石井さんから、みんなにメールがきた。
「9名の方々が参集し演説の途中から小雪がちらつく新年初の昼街宣になりました。
コロナのせいか人影は多くありませんでしたが、それでも参加者はそれぞれプラスターを持ち、マイクはコロナ災厄は菅義偉政権による人災だと訴えました。さらに都立・公社病院の「独法化」を進める東京都は、この期に及んでなお都立病院独法化推進をやめようとはせず、1月都議会では独法化へ向けての定款採択を狙っていることを糾弾しました。そして国家は国民によって成立し、政府は選挙で国民によって選ばれた議員によってつくられている、国民一人ひとりの声、行動によって新しい私たちの政府をつくることができる、このことを力強く訴えました。
わたしたちの訴えにじっと聴き入っていた白髪のご婦人の方がおられ、聴き終わると、小さく頭を下げて信号を渡って行きました。こうしたお一人おひとりの力こそが歴史を変えていくことに確信を持ちました。
今年こそ、本当に憲法を護り活かす、わたしたちの政府をつくる明るい記念すべき年にしようではありませんか。
街宣をやっていると、何かしらの反応に出会う。じっと訴えを聞いてくれるありがたい方もいるが、何かしらの悪罵を投げつける「ヘンな人」もいる。また、ヘンなのかヘンではないのか、よく分からない人もいる。
先月の訴えのとき、突然に話しかけてきた初老の男性がいた。ヘンな感じではなく、とても落ちついた雰囲気の人。「あなた方は、9条だけを守ろうとお考えなのですか」と聞いてきたのだ。
「日本国憲法は平和憲法です。9条が大切なのはもちろんですが、前文を含む憲法の全条文が平和のための歯止めですから、憲法の全体を守ろうというのが9条の会のメンバーの考え方だと思います」
「ということは、天皇の存在も認めるということですね」。ああ、そうか。そういう人なのか。
「私たちは政党ではありませんから、みな思想が同じということではありません。天皇制についての考え方もいろいろです。私個人としては、常々あんなものはないに越したことはないと考えています。」
「でも、憲法には天皇の存在が書き込まれていますね。憲法を改正しようということですか」
「将来の課題としては憲法から天皇制をなくしたいところです。でも、そのことは今危急の課題ではない。いまはむしろ、天皇の元首化や天皇の権威を高めるためのあらゆる方策を阻止することが大切だと考えています」
「どうしてそんなに、天皇制を否定するのですか。理解できませんね」
「天皇は人間平等の対立物でしょう。あらゆる差別の根源ですよ。そして、国民を見下す権威として主権者の自立を損なう。為政者にとっては国民を操作するための便利な魔法の杖で、かつての戦争に天皇は徹底して利用されたではないですか。また、同じことがおきかねない。」
「驚きました。天皇があって日本がまとまっているのでありませんか」
「天皇なければ国民がまとまれないなんていうのは、国民をバカにした話。天皇を中心とした国民のまとまりなんて、まっぴらご免ですね」
「あなた方、市民と野党の共闘で新しい政府をと言ってましたね。天皇に対する考えがこんなに違うのでは、野党の共闘なんてできっこないでしょう」
「そんなことはないでしょう。共闘とは、思想を統一することではありません。天皇制についての考え方を統一しなければ、当面の共同の行動ができないわけではない。もっと大事なことでの意見の一致があればよい」
「憲法を守ろうというのなら、天皇制も守ってもらわなければ…」
「天皇制なんて、憲法の隅っこですよ。天皇の存在感を限りなく希薄にして、もっと大事な人権や民主主義や平和をこそ守らなければ…」