澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「貯蓄から投資へ」とは、いったいどんなことなのか。

(2022年6月13日)
 いまや流行り言葉になってしまった「貯蓄から投資へ」。岸田内閣の大真面目な経済政策なのだが、これは、一昔前からの悪徳業者のセールストークなのだ。「リスクを取らねば損をする」「何もしないのも実はリスク」というのも、昔からの「欺しのテクニック」。それを今や、金融庁も文科省も、そして政権本体まで加わっての大合唱である。なけなしの庶民の資産までがむしりとられようとしている。

 まずは、国民全体を投資家にしようという壮大なたくらみが進行している。リスク金融商品のセールスマンは、ネット世界だけでなく、学校教育の現場を占拠しつつある。

 「学生時代に投資になじむ機会があれば、社会に出た後の資産形成の大きな力となることでしょう」「学生時代から金融教育を行う背景には、人生100年時代に備えた資産形成の知識を身につけておくべきという時代の流れもあります」「それは、新学習指導要領のテーマである「生きる力」の一部でもあると言えそうです」「教育の過程で学び始めれば、投資はもっと身近なものとなることでしょう」「学生でも銀行や証券に口座を持って、投資信託の積立をすることは可能です」「数百円のおこづかいで投資信託の積立を行う学生も増えるかもしれません」「口座の開設~税金の還付を受けるための確定申告を行えば、より詳しく金融について学ぶことができます」「親世代も子どもたちの見本となるべく、投資になじんでおきたいもの「今まで二の足を踏んでいた人も、積立投資を始めてみてはいかがでしょう」

 既に、2022年4月より、新しい指導要領に基づく高校家庭科の「投資教育」授業がスタートしている。事態は深刻と言わねばならない。

「家計管理については, 収支バランスの重要性とともに,リスク管理も踏まえた家計管理の基本について理解できるようにする。その際,生涯を見通した経済計画を立てるには,教育資金,住宅取得,老後の備えの他にも,事故や病気,失業などリスクへの対応が必要であることを取り上げ,預貯金,民間保険,株式,債券,投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット,デメリット),資産形成の視点にも触れるようにする。」(※高等学校学習指導要領(平成30年告示)「家庭基礎」より抜粋)

 今年の新一年生から、高校生は家庭科の授業内で株式や債券、投資信託など基本的な金融商品の特徴を学ぶことになるという。金融庁も『国民一人一人が安定的な資産形成を実現し、自立した生活を営む上では、金融リテラシーを高めることが重要である一方で、そのための機会が必ずしも十分とは言えない』(金融庁「金融経済教育について」)としている。

 「さあ、子どもたちに十分リスクは教えたぞ。あとは自己責任だ。どれもこれもカモだ」という政権と財界のホンネが聞こえる。

 狙われているのは、家計の貯蓄である。庶民は老後や教育や住宅や不時の備えに貯蓄せざるを得ない。その貯蓄を金融市場に吐き出してもらわなければ資本の利益にはならない。そのため、貯蓄に対する利息は限りなくゼロとし、あるいは実質マイナスにして、投資に誘導しようとする。まずは投資や金融商品のリスクに対する恐怖心を取り除こうというのだ。そのための甘い誘いが始められている。ご用心、ご用心。岸田と政府に騙されてはならない。

 政治や行政が本来やるべきことは、老後や教育や事故や病気に心配不要の社会政策の充実である。そうすれば、庶民は「宵越しの銭」をもたなくても済む。貯蓄にこだわる必要はなくなるのだ。

 金融商品のリスクについて教育するのなら、悪徳商法と闘ってきた消費者弁護士の意見を十分に取り入れなければならない。投資や投機勧誘がどれほどの不幸を招いてきたかのリアルな語りに耳を傾けなければならない。

 そして、きちんと原則を踏まえなければならない。投機にも投資にも、必ずリスクがある。リスクは一定の確率で必ず顕在化する。投機も投資も、働かずして利益に与ろうという非倫理性を本質にする。投機とは、他人の不幸を自分の利益に変えようという反社会的存在である。投資も証券市場での他人との売買で利益を上げるのは、証券市場の規模が一定している現在、やはり他人の損を自分の利益としていると考えねばならない。

 投資も投機も賭博と変わらない。国民全部がギャンブラーになれば、この社会の生産活動は成り立たない。

 今政府がやろうとしていることは、「カジノで経済活性化」「国民階投資家社会へ」である。不健全で危うい。合い言葉は、「キシダニダマサレルナ」でなくてはなない。

日本経済の再生は、与党惨敗からしかありえませんね。

(2022年6月11日)
 え~、キシダフミオです。自分では、ごくごく普通の日本人としてのレベルの知性と教養をもっているつもりです。前任者と前々任者の知性と教養のレベルが、そりゃひどいものでしかないから、それと比べれば私は穏やかでまともに見えるでしょう。その分、確かに私は得しています。

 しかも、前任者と前々任者の経済政策の失敗ぶりがひどいもの。何しろ、この10年国民の賃金がまったく上がらない。こんなことは、他国に例がなく、意識的にやろうとしてもなかなかできることではない。「アべノミクス」は見事にこれをやってのけた。そして、野放図に大量の不安定な非正規労働者群を輩出して、格差と貧困が蔓延する社会を作りあげてしまった。ですから、コロナがなくてもアベ退陣は必然だったのです。

 そんな時勢で、私は意識的にアンチ・アベノミクスの立場を鮮明に、「成長よりは分配の重視」「富裕層に厳しい金融所得課税の強化」を掲げて総裁選に打って出て、念願の総理の座をつかんだのです。ところがね、政治は難しい。私の思うようにはならないのですよ。私の耳は、もっぱらアベ陣営の大声を聞かざるを得ない羽目となり、「新しい資本主義」の看板を「骨太の方針」にまとめる辺りで、私の独自色はすっかりなくなってしまった。元の木阿弥、昔ながらの失敗したアベノミクスに先祖返りなのですよ。なんたることだ。

 昔から言うでしょ。「国民はそのレベルにあった政治しかもてない」って。多分、今の国民のレベルには、「アべノミクス」「アべノマスク」「…デンデン」の政治がお似合いなのかなって、私がそう思うのですよ。

 でも、グチっていてもしょうがないから、私も小技で勝負せざるを得ません。
 「『貯蓄から投資』へのシフトを大胆かつ抜本的に進めて、『資産所得倍増プラン』を推進する」ナンチャッテね。個人投資家向けの優遇税制「NISA」の抜本的拡充や、国民の預貯金を資産運用に誘導する仕組みの創設など、政策を総動員して努力はしているのですよ。ね、健気でしょう。

 けれど私にはある程度の知性がある。多少は、廉恥の心も倫理感もある。国民の預貯金をリスクある資産運用に誘導するなどという国策を掲げることは、悪徳商法のセールスマンになってしまったような後ろめたさを禁じ得ないのです。

 この点の感覚は、安倍・菅の前任者にまったく持ち合わせのないところ。無知の強み、面の皮の厚さのメリットというべきでしょうね。彼ら、政策に失敗しても、違法行為が明るみに出ても、平気な顔ですよね。私にはなかなか真似ができない。

 私の政権の看板政策「新しい資本主義」の実行計画を、行動計画原案として発表したのが5月31日。これについて各紙とも、悪評さくさく。まあ、さもありなんというところでしょうな。

 社説の表題だけ拾ってみると以下のとおりですよ。6月1日の朝日が「分配重視の理念消えた」、同日毎日が「アベノミクスに逆戻りだ」、同日産経「看板倒れにならぬ政策に」。2日付日経が「成長と安定を将来世代へ着実に届けよ」、3日付東京「『分配』は掛け声倒れか」、4日付読売「方向性が一層不明確になった」。もう少し忖度あってしかるべきとも思うのだがね。

 総じて、私が当初掲げた「分配重視」のトーンダウンを批判する論調。朝日は「出てきた計画は、まったくの期待外れだった」「本来、優先的に取り組むべきは、働き手への利益還元である。賃上げに消極的な企業行動を改めさせる手立てこそが、計画の柱になるべきだった」という。毎日も「政策の力点が、立場の弱い人の不安解消から、成長戦略の推進にずれていったように見える」「分配重視はどこに行ってしまったのか」と嘆く。産経までもが、「抜本的に格差是正を図るには、高所得者への富の偏在を抑制できるよう、税制などを通じた所得の再分配を併せて講じる必要があろう。岸田政権はそこまで踏み込もうとはしない」と手厳しい。

 ほんとのことを言うとね、「新しい資本主義」ってなんだか私にもよくわからない。もちろん、アベさんよりは私の方が、格段に経済学の基礎には詳しいはず。実はそれが仇になっている。アベさんの無知の強みはここでも発揮されていて、オウムのように「3本の矢」を繰り返していられるんですね。幸せな性分。失政が明らかになっても、同じことを言い続けることが苦痛にならない。とうてい私にはできない芸当。

 アベノミクスは、規制緩和とセットの新自由主義的経済政策。目指すところは、成長至上主義。いずれは成長のおこぼれが庶民にもやって来るというんだが、待てど暮らせどおこぼれはやって来ない。替わりにやって来たのは、不安定雇用と格差拡大と貧困。さらには成長すら阻害した。誰が見てもアベノミクスは失敗で、もうダメだ。3本の矢のどれもが折れてしまった。だから、新規まきなおさなくてはならない。私は、アンチの政策をイメージして「新しい資本主義」と言ってみたわけね。

 ひとことで言えば、私の言う「新しい資本主義」とは、「奪アベノミクス」ということ。その目玉のキャッチが「分配重視」。そうしなければ、既に失速しているこの国の経済の再生はないし、そうすれば分厚い中間層の底上げで格差の是正もできるし、成長へとつなげることも期待できると考えたのですよ。

 ところが、私は甘かった。これからの政策転換で潤うはずの多くの国民の支持よりは、既得権を失う大企業や富裕層の反発が強かった。庶民減税も、金持ち増税も無理。金融所得課税の強化など引っ込めざるを得ない。「成長と分配の好循環」なんて、いったい何を言っているのか、私にも分からなくなった。

 はっきり言って、日本経済には展望がない。「脱アベノミクス」「アンチ・アベノミクス」の政策は、自民党政権ではできないからです。大企業と富裕層に支えられた現政権を打破する以外に、分厚い中間層の底上げで格差を是正することはできない。ロンドンのシティーで「インベスト・イン・キシダ」なんてしゃれてみたけど、リターンはない。今度の選挙、大企業幹部と富裕層以外に与党に投票する有権者がいるとは信じられないね。経済再生は、与党惨敗からしかないと思っていますよ。もちろん、これ、オフレコの話しね。

内閣不信任案否決の過程に見えてくる各党の政治姿勢

(2022年6月9日)
 本日の衆院本会議で、立憲民主党提出の岸田内閣不信任案が賛成少数で否決された。現状での否決という結果自体は予想されたところ。むろん、大切なのはプロセスである。この不信任案への対応で各党の姿勢がよく見えてきた。

 自民・公明の与党が、反対に回ったのは謂わば当然である。
 ところが、国民民主と維新の両党も反対にまわった。これは、あるまじき対応というべきか、「ゆ・党」と「悪・党」にふさわしいありかたというべきか。いずれにしても、その立ち位置を明確にすることとなった。
 さらに、れいわ新選組は採決を棄権した。おやおや、この党は国民生活擁護、反権力をウリにしていたはずではなかったか。
 結局、賛成は,立憲民主・共産党・社民党となった。

 なお、細田博之衆院議長の不信任決議案も同様に、自民・公明に加え、維新・国民民主の反対で否決された。

 立憲民主の泉健太は、岸田内閣下での、円安・物価高を「岸田インフレ」と批判した。「補正予算においても経済無策を続け、国民生活の苦境を放置しているのは許されない」と訴えた。

 さらに、消費税率の時限的な5%への引き下げや、安倍政権から続く異次元の金融緩和を含む「アベノミクス」の見直しを主張。岸田内閣の看板政策「新しい資本主義」を「分配政策が乏しく、格差を広げるアベノミクスが継続されている」と指摘。「分配を軽視し、格差が拡大させ、国民が分断される」と強調した。

 誰もが納得せざるを得ない常識的な主張ではないか。反対派は、これに反論し得たのか。

 自民の上川陽子は反対討論で、「ウクライナ情勢などによって、不確実性を増す情勢変化に的確に対応し続けてきた。唐突な不信任決議案の提出は不誠実だ」と反論。公明の浜地雅一は内閣支持率が政権発足時から上がっていることを理由に「国政を安定的に着実に運営する岸田内閣はまったく不信任に値しない」と討論したと報じられている。

 いずれも噛み合った反論になっていない。とりわけ、岸田内閣の看板政策「新しい資本主義」について、「分配政策が乏しく、格差を広げるアベノミクスが継続されている」「分配を軽視し、格差が拡大させ、国民が分断される」との指摘に対する噛み合った議論を期待したいところだが、ない物ねだりとなってしまった。

 反対討論に立った維新の足立康史氏は「内閣を積極的に信任するわけではない」としつつも、「少数派の野党が内閣不信任を提出し、多数派の与党が粛々と否決する一連の茶番に異議を申し立てると言う意味で、反対を投じる」と述べたという。

 この人のいうことは、常によく分からない。意味が伝わらない。それでも分かることは、この党のあまりの不真面目さである。それだけでも、不信任案提出の意味はあったというべきであろう。

 一方、共産の笠井亮氏は不信任案に賛成の立場から岸田政権が検討する「敵基地攻撃能力」の保有を「専守防衛の大原則を投げ捨てるものだ」と批判した。これはこれで、あまりに真っ当な対応のコントラスト。

なお、NHKは、立民と自民との討論を、こう整理している。

 立憲民主党の泉代表は「国民が物価高で苦しむなか、政府が物価対策を届けていないことで、消費が低迷し、日本経済に打撃となる可能性がある。その事実を国民に伝え、国民の意思によって政治を動かせる限られた機会がこの不信任決議案だ」と述べ、賛同を呼びかけました。

 これに対し、自民党の上川幹事長代理は、「情勢の変化に対応し続けてきた岸田総理大臣の決断力や実行力への期待が高まっている。その歩みを止める不信任案の提出は極めて不誠実だ」と反論しました。

 立民の問題提起に自民が応え得ているか。議論は内容であって、有権者一人ひとりの判断が大切なのだ。結果としての賛否の票数だけを問題とするのは、民主主義の形骸化であり堕落である。この討論を茶番という輩が、民主主義の何たるかを知ろうとしない者なのだ。

参院選直前に吹いてきた、「物価高」という与党への逆風。

(2022年6月8日)
 来週の水曜日、6月15日に通常国会が閉幕する。そして、参院選公示となり、7月10日投開票となる。

 有権者の関心事は、けっして憲法改正にはない。そしてコロナでもなくなった。主要な論争点の一つは、日本と世界の平和の構築をどうするかであり、もう一つは今急激に国民生活を襲いつつある物価高である。

 再選の投開票まであと1か月、この間に高物価は全ての国民に厳しい生活苦を強いることになる。とりわけ、非正規労働者、フリーランス、年金生活者には深刻である。言うまでもなく、これは天変地異ではない。国民はあらためて、この10年におけるアベノミクスと名付けられた自公政権による経済政策の失敗を学ばざるを得ない。賃金は上がらず、家計は冷え込み、生産も分配も滞って、ひたすらに大企業と金持ちを優遇した減税に励み、その減税を原資とした庶民増税に邁進してきた今日の脆弱な日本経済ではないか。今日の格差と貧困の実態ではないか。

 アベ政権も、その後継スガ政権も、アベノミクスの失敗を国民に批判され、目先を変えて岸田現政権となった。「分配重視」「金融所得課税」への言及はそれゆえである。ところが、今岸田は、完全に岸田色を失った。失敗したアベノミクス路線を何の成算も希望もなく、走り続けざるを得ない立場に追い込まれている。このアベ・スガ・キシダ、3代の経済政策の失敗故の生活苦が選挙の争点とならざるを得ない。

 本日夕刻、立憲民主党が衆議院に内閣不信任案を提出した。「一貫して無為無策」な政府を追及するものだという。多くの国民の気持ちを代弁するものではないか。もとより、「ゆ党」や「悪党」といわれる連中の賛同は難しいと報道されており、「同調の動きは限定的で、否決される見通し」とされているが、この不信任案は、有権者の支持を得ることができると考えてよい。

 毎日新聞によれば、同不信任案の理由は以下のとおりである。

 「岸田内閣の『何もしない』ことを安全運転と呼んではばからない厚顔無恥な政権がこれ以上続くのは、日本のためにならない」「『岸田インフレ』は亡国の道である。首相が『令和版所得倍増』の代わりに『資産所得倍増プラン』を掲げたことを『投資信託のコマーシャル』のようで、今この日本で、どれだけの人が乏しい生活費の中から投資にまわす余力があるだろうか」

 なお同時に、立憲は細田博之衆院議長に対する不信任決議案も衆院に提出した。
 細田氏の不信任理由は、細田氏が衆院議長として「最も不適切な人物」であり、衆院小選挙区定数の「10増10減」に否定的な見解を繰り返し示したことなどを問題視。さらに週刊文春が5月19日発売号以降、女性記者らにセクハラ行為を繰り返していると報じたことについて「あってはならない疑惑」だとし、細田氏が報道を「事実無根」だと全面的に否定していることに関し、「説明責任を果たさない」と問題視したもの。

 衆院は明日9日の本会議で不信任2案を審議・採決するが、有権者は各議院の賛否をよく見極めよう。

 提出後、立憲の西村智奈美幹事長は記者団に「政治は国民の命と暮らしを守るためにある。岸田内閣はその責任を全く果たしていない」と語ったという。「平和」と「暮らし」、その両者が目前の参院選の争点となってきた。俄然、政権には大きな逆風である。

岸田流 「分配重視」の竜頭蛇尾

(2021年10月24日)
 第49回総選挙まで、あと1週間。選挙情勢は混沌としてよく見えない。各政党の政策もよく見えてこない。最大の論争テーマして、岸田さんが設定した「新しい資本主義」「いわゆる新しい日本型資本主義」なるものがよく分からない。正確には、さっぱり分からない。

 「ネオリベ」も「ネオコン」も、頗るイメージは悪い。「新自由主義経済」ではなく、「新しい資本主義」とは、いったい何なのだ。これまでのどのような資本主義に比較して、どこがどう「新しい」と言うのだろうか。分かりにくさの原因はいくつもあるが、何よりも、岸田さん自身がはっきりものを言えない立場にあることが根本原因と言ってよいのだろう。

 アベノミクスの9年は、成長重視で格差貧困をほったらかしの「新自由主義経済政策」であり、その惨憺たる失敗であった。結局、成長もできず格差貧困を大きく拡大しただけ。一方に極端な富裕層を更に肥大化させ、他方で実質賃金を減じてしまった。安倍や麻生の失政に対して、国民的な怨嗟の声が巻きおこらないのが不思議でならない。

 アベノミクスの失敗を素直に認めて、「アベノミクス=新自由主義政策」からの脱却を目指すとすれば、岸田政策はとても分かり易いものになる。アベノミクスの成長重視政策から、格差貧困をなくす経済政策に転換するのだと明言すればよいだけのことだ。だが、ご存知の事情あって、それができない。

 「成長と分配」にかかわる論争を「卵が先かニワトリが先か」論争と同視して、どっちもどっちなどとしてはならない。また、「生産と分配」の論争と混同させてもならない。「成長と分配の好循環」と言っても、あるいは「官民協働で成長も分配も」と唱えても、具体的なイメージは湧かず、何を言っているのか、さっぱり分からない。

 アベノミクスを転換して、「まず配分」を重視の政策でなくてはならない。所得の再分配も、富の再分配も必要なのだ。具体的には、消費税を撤廃ないし半減する。金融所得の分離課税方式を撤廃する。所得税の累進化率を高める。新たな富裕税を創設する。そして、最低賃金を底上げする。具体的にやるべきことはいくつもある。野党が政権を取れば、その格差と貧困の解消が現実化される。

 しかし、岸田さんは、そんなことは言えないのだ。本日(10月24日)の毎日朝刊に、興味深い記事がある。「岸田氏演説、消えた『分配』 野党と差別化『成長』重視」というタイトル。

 「岸田文雄首相が衆院選の街頭演説で「経済成長」に軸足を置いた訴えを続けている。一方で、自身が掲げる「新しい資本主義」で重視する「分配」への言及は抑制気味だ。野党との差別化を狙う自民党が「成長」を前面に出すよう要請したためだが、野党は「アベノミクスと何ら変わらない」などと批判している。

 首相は23日、佐賀県武雄市の街頭演説で「成長」という表現を7回使いつつ、…「分配」の文言は、現地での第一声としては選挙戦5日目にして初めて消え、力点の違いは明らかだった。

 首相は9月の自民党総裁選で格差是正に取り組む考えを強調し、成長重視のアベノミクスの修正とも受け取れる「新しい資本主義」を掲げた。8日に衆参の本会議で行われた所信表明演説では「新しい資本主義」への言及は7回に達した。「成長」(15回)と「分配」(12回)をほぼ同じ回数使った。

 だが衆院選に入りこのバランスが崩れている。19日の福島市の街頭演説で「成長」は8回に対し、「分配」は3回にとどまった。20日以降は「成長」への偏重が加速し、「分配」の文言を使わない演説も増えた。「新しい資本主義」に触れるのも0回か1回が続いている。」

 「首相周辺は「首相の主張が変わったわけではない。自民党側から選挙戦術の進言があった」と明かす。

 やっぱり、「岸田自民党」ではなく、「安倍・麻生・甘利・高市 自民党」なのだ。来週日曜(10月31日)の投票日には、「安倍・甘利 自民党」に大敗北の審判を下さなければならない。 

共済協同組合に、グローバル保険企業の魔の手が。

私にも、顧問先の企業や団体がある。なんとなく気が合うところということだ。開業医共済協同組合が、その一つ。本日は、その第10回総代会。

これまで、総代会の都度、ブログに記事を書いてきた。下記のとおりである。

保険業界に抗う「開業医共済協同組合」の発展を願う。
http://article9.jp/wordpress/?p=5807(2015年10月25日)

まず恒産を確保して、しかる後に恒心を発揮しよう
http://article9.jp/wordpress/?p=7476(2016年9月25日)

当協同組合の発展に祝意を、そして協同組合運動の発展に期待を。                            http://article9.jp/wordpress/?p=9374 (2017年10月23日)

競争原理ではなく、協同・連帯の精神をこそ ― 開業医共済協同組合祝賀会で
http://article9.jp/wordpress/?p=11328(2018年10月23日)

このタイトルをご覧いただけば、なぜ気が合うというのかお分かりいただけるだろう。私は、協同組合運動の発展を願う立場だ。企業の競争原理ではなく、社会の協同・連帯の精神が大切だと思っているからである。そして、私自身も、小規模自営業者として、共済事業の大切さがよく分かるからでもある。

この団体は開業医を組合員として組合員間の共済事業を目的とした中小企業協同組合法に基づく事業協同組合である。会員数はおよそ2000名。保団連の事業の一部門が独立した形で発足したが、その総代会も第10回を迎えた。役員諸氏の献身性に支えられて、事業は極めて健全に順調に進展していることを喜びたい。

この組合は、新自由主義的な企業万能主義に反対の立場を明確にしている。かつて、共済は保険業とは無関係に種々の相互扶助制度として社会のそこここにあった。ところが、2005年の保険業法の「改正」が、これら共済制度のすべてを保険業法の網の目に入れて規制対象とした。名目は、「共済」を隠れ蓑にしたインチキ保険商品の横行から消費者を守るためということである。しかし、当組合はそうは見ていない。グローバリゼーションとして押し寄せたアメリカの保険企業の日本展開が、日本の相互扶助制度としての共済システムを企業展開の邪魔者と見ての圧力の結果だとの理解である。TPPやFTAに対する警戒は、農業漁業だけではない。共済にも及んでいるのだ。

営利事業としての民間保険会社の「休業保険商品」の保険料が高額になるのは理の当然である。資本出資者への配当も、会社役員・職員の人件費も、広告宣伝費のコストも避けられない。一方、当組合の役員は、これまでのところ常勤役員以外はすべて無報酬だ。資本への配当は無用。宣伝コストも微々たるもの。ところが、アメリカの保険企業にはこのことが面白くない。これを「不当な参入障壁」として、「平等化」を求めるという。

新自由主義とは、実は「自由」を本質とするものではない。巨大企業の行動の自由に対する規制には飽くまで撤廃・緩和を要求するが、巨大企業に邪魔者となる競争の「自由」は目障りとして新たな規制を創設するものなのだ。

本年度(2019年度・第11期)基本方針のタイトルが、「開業医の生活と経営を守り、協同組合の理念に基づく共済制度の発展を」というもの。その第1項に次の一文(抜粋)がある。

「1.当組合は、国民医療向上のために、国民の協同の力で、共済制度の解体を狙うアメリカと日本の金融資本の横暴を阻止し、何よりも人間として平和と自由を希求するものである。その立場を侵そうとする政治の動きに警鐘を鳴らし、開業医の経営と生活を守り、協同の理念を広げる当組合と制度の発展に尽力する。」

「アメリカと日本の金融資本の横暴」とは、実は非常に具体的で差し迫った問題なのだ。

在日米国商工会議所(ACCJ)が「共済等と金融庁監管下の保険会社の間に平等な競争環境の確立を」との意見書を公表している。

そのホームページへの記載が以下のとおり。
https://www.accj.or.jp/viewpoints.html?lang=ja
この意見書は「2020年7月まで有効」とされている。

同会議所は、米国政府の米国通商代表部(USTR)と密接に連携しており、その意見書は米国政府の対日要求といえる。しかも、在日米国商工会議所(ACCJ)の筆頭副会頭が、アフラックから出ている。共済を潰して、その市場を保険企業に、なかんずくアフラックに明け渡せという露骨な要求なのだ。農業分野と同様、安倍政権はこの要求に「ノー」と言えない。

総代会議案書は、「安倍内閣に圧倒的影響力を持っている同会議所によるこの意見書は、JA共済をはじめ、全労済、コープ共済、県民共済、都民共済、中小企業共済すべてについて、保険会社との平等な競争条件が確立されるまでは、共済の事業拡大及び新市場への参入は許さるべきでないと主張している」と指摘している。

彼らにとっては、個人保険分野(年金保険を除く)において約30%のシェアを占めている各種共済が、目障りなのだ。しかし、共済と保険とは元来が、「似て非なるもの」であり、同じテーブルで扱うなどは論外である。わが国の全ての共済制度を維持・発展させるためにも共済団体が一つになって運動していくことが急務となっている。

本日の総代会で確認されたものが、共済団体のすべてが、アメリカの巨大保険企業と対峙せざるを得ない事態であるという認識。「共済制度の解体を狙うアメリカと日本の金融資本の横暴を阻止し、何よりも人間として平和と自由を希求するものである。」というスローガンは切実なもの。農民・漁民だけではなく、共済組合もグローバリゼイションと闘わざるを得ないのだ。

開業医共済協同組合、これからが正念場である。
(2019年10月20日)

ファクトチェックは重要で、厳しい。

このところの各紙のファクトチェックが好評である。とは言うものの、量的にも質的にも、やや物足りなさを禁じえない。もっともっと、権力者の発言に鋭く遠慮のない切り込みに期待したい。

昨日(7月15日)の朝日は、安倍首相が誇る雇用増の実績は本当?」と切り込んだ。さすがに、よいテーマを選んでいる。これは、参院選の論争に必読。

安倍晋三首相 「この6年間、私たちの経済政策によって、働く人、雇用は380万人も増えた。年金の支え手が400万人近く増えたということ。それだけ保険料収入は増えた」(11日、大分県別府市での街頭演説で)

――△(一部不正確)

 総務省の労働力調査(年平均ベース)によると、企業や団体などに雇われている雇用者のうち役員を除いた働き手は、第2次安倍政権発足後の2013年から18年までの6年間で383万人増えた。「380万人増」という主張は正しい。

 ただ、増えた働き手のうち55%はパートやアルバイトなど非正規で働く人々が占める。非正規で働く人の多くは所得が少なく、不安定な生活を送っている。総務省が5年ごとに公表している就業構造基本調査によると、非正規で働く人の75%が年収200万円未満だった。この中には学生バイトや主婦のパートも含まれているが、いわゆるワーキングプアにあたる人も一定数いるとみられる。

 首相はこれまで「この国から非正規という言葉を一掃する」と何度も訴えてきたが、役員を除いた働き手に占める非正規雇用の割合は18年平均で37・9%となり、過去最高の水準になっている。

 非正規雇用が増え続ける一因には、企業が人件費を抑えようと正社員よりもパートやアルバイトを雇ってきたことがある。特に近年目立つのが、非正規で働く高齢者の増加だ。労働力調査によると、この6年間に増えた働き手383万人のうち40%は、パートやアルバイトを中心に非正規で働く65歳以上が占めている。定年後の再雇用でも、賃金など待遇面は現役時代より下がるのが一般的だ。

 加えて、1990年代後半以降、自民党政権が企業の求めに応じて派遣労働などの規制緩和を進めたことも非正規雇用の増加につながった

 秘書や通訳など26業種に限られていた派遣業は、小渕政権下の99年、建設業や製造業などを除き原則自由になった。さらに、安倍首相が政府・与党の中枢にいた小泉政権では、04年3月に施行された改正労働者派遣法によって、派遣期間の上限は1年から3年に延び、製造業への派遣労働も解禁された。

 一方、年金の支え手である加入者数は、保険料の納付期間が終了して加入者でなくなる人と新規加入者を出し入れすると、12年度末が6736万人、17年度末が6733万人で、ほぼ横ばいだ。「年金の支え手が400万人近く増えた」かどうかははっきりしない。

 保険料収入は確かに増加傾向にある。17年度は37兆2687億円で、12年度より7兆1千億円増えた。厚生労働省は理由の一つに、国民年金に比べて保険料が高い厚生年金の加入者が増えたことを挙げる。

 首相は演説で「4月に年金額が増えた」ともアピールする。19年度は公的年金の支給額が前年度より0・1%引き上げられた。引き上げは、15年度以来4年ぶり。国民年金の場合、満額で受け取る人は月67円増えて6万5008円、厚生年金はモデル世帯(夫婦2人分)で月227円増の22万1504円となった。

 ただ、少子高齢化に合わせて年金水準を自動的に引き下げる「マクロ経済スライド」により、物価上昇率(1・0%)や賃金上昇率(0・6%)よりも支給額の伸び率が抑えられている。だから支給額は増えても、実質的な水準は目減りしている。

こちらも選挙戦に使いやすい。東京新聞の《論戦ファクトチェック》野党、具体策示し年金改革公約 自民の主張「対案ない」は言い過ぎ

 参院選で重要争点の年金制度を巡り、自民党は政見放送で「(野党が)具体策を示さず不安をあおっている」と主張している。実際には、野党各党は公約などで現行制度の見直し案を示しており、自民の主張は「言い過ぎ」といえる。

 政見放送で三原じゅん子女性局長は「一部野党は、具体策を示さないまま不安をあおるだけ」と強調。隣の安倍晋三首相(党総裁)も、負担増なしに給付だけ増やせないと同調し「年金を充実する唯一の道は年金原資を確かなものにすること。すなわち、経済を強くすることだ」と話す。

 首相は十一日の福岡市での街頭演説でも「野党は財源も示さず、具体的な提案もしていない」と訴えた。

 しかし、立憲民主党は参院選の政策集で「低所得者の社会保険料の軽減措置」や「低年金受給者に対する追加給付」を掲げる。国民民主党は、低所得の年金生活者に最低月五千円を追加給付する政策を打ち出している。共産党社民党は、物価や賃金の伸びより年金の伸びを低く抑える「マクロ経済スライド」の廃止などを提言。日本維新の会は、年金の「積み立て方式」への移行案を提唱している。

 財源に関しては、年金制度見直し目的の財源を明示していない野党もあるが、共産は公約で、高額所得者の保険料を見直して年金財政収入を増やすと主張。国民も「金融所得課税の強化で捻出できる」(玉木雄一郎代表)と訴える。

 共産の志位和夫委員長はツイッターで「自民の政見放送は根拠のない野党攻撃。安倍さん、(同席した)党首討論で具体案を話したことが聞こえなかったの?」と投稿した。

もう一つ。こちらは、英BBCのニュース。「トランプは無能」という命題のファクトチェックが必要。どこかが、やってくれないだろうか。

 英国のダロック駐米大使が、トランプ米政権について「無能」「頼りにならない」と英首相官邸に報告していたと、英大衆紙メール・オン・サンデーが7日報じた。「米国との『特別な関係』の真価が試されかねない」(英BBC)と波紋を広げている。

トランプ無能の根拠よりは、むしろ、無能と言われてどう反応するかに興味が集まるところ。その態度が、政治家としての器の見せどころではないか。これを見つめる衆目が、ファクトのチェックとなる。

「無能」と言われて意に介さず、平然としていられるのは、ただ者ではないと思わせる。

無能と言われて、余裕綽々ニヤリと笑ってみせてはどうだろうか。何なら、ツィッターで、「無能と言われたよ。図星だね」くらい、言って見てはどうだ。風格が感じられないかね。

猛然と怒るのは、下の下。政治家として無能の極致。その醜態が、自らの無能を証明することになる。ときどき、我が国の首相にも思い当たる節がある。

結局、トランプは自らを無能と証明してみせた。が、このファクト。実は重い。この無能政治家を選んだ有権者の無能をも暴露することになるからだ。ファクトチェックは、厳しい。
(2019年7月16日)

安倍晋三・三原じゅん子出演の「自民党政見放送・本音版」

今次参院選自民党政見放送の評判がすこぶる悪い。そのことが話題となっていることを教えられて、本日(7月12日)初めて、ユーチューブで閲覧した。

16分の我慢というより苦行だったが、なるほどこれはひどい。正視に堪えない。三原じゅん子が、安倍晋三をインタビューする形式だが、考え得る限りでの最悪の人選。このコンビは、これ以上はない最悪の組み合わせ。聞いていて気持ちが悪くなる。異臭漂うがごとき胡散臭さだ。

私が閲覧した時点で、高評価974、低評価5528。率直な感想として、高評価974もあることが信じられない。もっとも、アベと三原の関係者の作為とすれば、諒解可能だが…。シナリオ制作の熱意の不足や技術の拙劣もあろうが、この二人、あまりに国民をバカにしているのだ。まったくのおざなり。真剣さが伝わってこない。

ユーチューブ視聴者からの低評価コメントの書き込みが延々と続いている。せっかくだから、その一部を下記のとおり、書き写しておいた。高評価のコメントは見あたらない。これだけひどいと、アベ親衛隊のネトウヨ諸君も、書きようがないのだろう。

こんな気持ち悪い政見放送、初めて見た
歴代でも最低の黒歴史放送
フェイクだらけの政見放送
恥を知れ、三原じゅん子。
通販番組みたいで胡散臭さがすごい 失敗だね
普通はこんな矛盾することばっかり言うと、馬鹿だと思われるから恥ずかしいと感じるんだけどな
なぁなぁ、知ってる?? こういうの、『茶番』って言うんやで??
どこのカルト宗教の方ですか?? 気持ち悪いんだよ 何演技してんだよ 普通に話せよ
ここまで白々しいセリフを恥ずかしげもなくよく言えるもんだ
自画自賛と嘘の数々に腸が煮えくりかえるわ
拉致被害者家族をダシにするのほんとうに止めてほしい、、、
全く具体的なことを言っていない。自民党も恥を知りなさい。
これに三原じゅん子起用したのはアカンわ。
こういうのはもっとナチュラルにやれる人じゃないと。
恥を知れ!!!!!!!
これはひどい…
国の長がこれでは国民として恥ずかしいです。
いい加減にしてくれ、生ける国難よ。
嘘とごまかし満載の国民をだます言葉でいっぱいです。知性を持ち合わせていない安倍首相と三原じゅんこが互いに相手を褒めちぎるバカバカしさは見ていて恥ずかしいほどです。これが自民党の政見放送であるならば、自民党はもう、ぶっ壊れています。

流石に酷すぎで草。大根役者にも程があるだろwwwwwwwww

大学生です。この動画を見て胸糞悪さしか感じませんでしたが、ここでどれだけ自民党を叩いても何も変わりません。選挙に行きましょう。
政治に関して何も分からなくても政権放送を見れば、誰が本当に本気で日本国民のことを考えてくれているかすぐわかります。

歴代総理の中でもNo.1の○○ それでも自公に投票する○○は同罪。○○につける薬はない。
これを見てもまだ自民党支持する人達って、頭の中どうなってるの?
恥ずかしくて最後まで観ていられませんでした。
この低レベルなシナリオを誰が書いたのか?
毎度お馴染みのレベルの低さだが、今回も官僚が書いたのだとしたら、そヤツは、安倍を陥れようとしているとしか思えない。
茶番大根コント。見てらんない。
選挙にちゃんと行って、ちゃんとした政治家に投票しようね。
この人たちを日本のリーダーにしたのは誰ですか?
過去最高の税収を上げているのに、法人税減税と富裕層減税を行いつつ、「打ち出の小槌はないから増税」で納得できるわけがない。国民の財布は、自民党、政府の打ち出の小槌ではないのですよ。国内の内需を殺して企業の内部留保だけを増やしても外国人投資家に金が流れるだけ。高校無償化や幼児教育無償化は基準が厳しすぎて大半の国民は恩恵に与れない。
これはAIっていう新しい物で作られているのですか?
ああ、これが吉本仕込みの新喜劇か 大したものです
右左関係なく言う。これは単純に政権放送として質が悪いと思う。
見る前は低評価の割合の意味が分からなかったけど、実際に16分間これを見させられ続けるのは例え自民党支持者でもキツいわな。

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三原 NHK視聴者の皆様、このところ話題の三原じゅん子でございます。
あの「八紘一宇」発言で右翼の皆様のアイドルになりましたワタクシ。先の通常国会終盤では、野党を叱りつけて「恥を知れ」、なんてはしたないことを申しあげて存在感を誇示したばかり。本日は、第25回参議院議員通常選挙の政見放送の裏バージョンとして、安倍晋三自民党総裁に思う存分本音を語っていただきたいと存じます。よろしくお願いします。

安倍 表バージョンの政見放送の評判が散々でしたね。「キモい」「お前らこそ恥を知れ」と非難ゴウゴウでしたから、ここはひとつ、裏バージョンで巻き返さなくては。

三原 できが悪かったのは、シナリオとプロンプターに頼りすぎたからだと思うんです。確かに不自然な演技でしたから、今度はシナリオに頼らず、思うとおりに、本音を語ってください。

安倍 本音を語って、国民の信頼を得る自信はありませんが、右翼の皆さんには喝采してもらえるはず。できるだけやってみましょう。どうぞ。

三原 ところで総理。いま国際情勢は、トランプ大統領がこれまでの秩序を掻き回して、文字どおり激動のなかにあります。こうしたなかでGG20大阪サミットの議長を務められました。手応えはどうでしたか?

安倍 そう。問題はトランプ大統領なんですよ。『公正なルールが必要なんです』と大統領には申しあげたが、聞く耳を持たないからしょうがない。アタクシは精一杯、議長役を務めましたが、現実は厳しかった。とうとう『保護主義と闘う』という首脳宣言を作ることはできなかった。米中対決の構図の中で、日本の存在感が薄れてしまったことを否定しようもない。でもね、アタクシ個人としては、一人前に外交をやっている振りはできたと思うんです。だから、損はしなかった。

三原 そのトランプ大統領を大相撲に招待するなど、総理は蜜月ぶりを世界に存分に発信しておられますね。

安倍 大統領とは、深い関係にあるからこそ、何でも率直に言い合える仲なんです。だから、大統領はアタクシに、遠慮なく、イージス・アショアや、ステルス戦闘機を大量に買ってくれと言える。深い関係ですから、アタクシは断れない。アタクシも彼に、「農産物貿易交渉での裏取引は、参院選が終わるまでは秘密を守って発表しないでくれ」と率直に言える。もちろん快諾してもらいました。とてもよい関係なんです。この次は、日米安保条約の双務化への見直し。日米はさらに深い絆で結ばれるはずです。

三原 総理は、拉致問題にも熱心に取り組んでいらっしゃいますが、解決の見通しはいかがですか。

安倍 ずいぶん進展しました。トランプ大統領だけでなく、習近平主席からも、拉致問題について、金正恩委員長に、伝えていただきました。アタクシごときでは、どうせ直接には相手にしてもらえませんが、米中の首脳に、話を伝えていただけるようになったことは、大きな前進です。アタクシ自身、あらゆるチャンスを逃さないとの、考え方の上に、全力で取り組んでいく、決意です。

三原 政治は、結果責任だと言いますが、結果を出すためには、まず決意が必要ですから、力強い決意の表明、頼もしい限りです。

安倍 これまでもそうですが、外交のことですから、何をやっているか具体的なことはお話しできません。これまで同様、何度でも、力強い決意を語り続けようと思っています。

三原 令和の時代がはじまって2カ月ですが、ずいぶんと世の中に浸透していますね。元号の制定は大変な責任と重圧だったと思いますが、けっこううまくやったのではないですか。

安倍 アタクシも政治家です。改元は、しゃしゃり出るチャンスですよ。温和しく、ただ見ているわけにはいかない。天皇の政治利用だと苦情を言う人もいましたが、このせっかくのチャンスを逃す手はない。明治維新時の長州の先輩と同じ思いで同じことをしただけです。これまで骨折ってきた甲斐あって、マスコミは官邸の言いなりですから、結局はメディアを通じての印象操作の成功ですね。みごとに、国民世論をあたらしい元号を評価・歓迎の方向にもっていくことができて、ホッとしています。

三原 令和の時代にも安心できる、責任ある社会保障制度をつくることは、わたしたち政治家の責任ですが、一部の野党は大切な年金を政争の具にし、具体的な政策も示さないまま、ただただ不安を煽るだけの議論に終始していることは、大変残念に思っています。わたしたちだって、高齢者のみなさまの年金を少しでも増やしたいと思っています。しかし、そんな打ち出の小槌はあるのでしょうか。

安倍 誰もが、年金は増やしたいし負担は減らしたい。でも、そんな打ち出の小槌はありません。できもしないことを言うのは無責任。一番大切なのは、年金制度が破綻なく継続していくことです。そのためには、保険料は上げ、給付額は下げてもやむを得ない。富裕層や大企業から税金を取ればよいという安易な意見もありますが、それではまるで社会主義の政策ではありませんか。そんなことができるはずはありません。何よりも強調したいことは、経済成長が順調である限り、年金は大丈夫だということです。ご存じのとおり、集めた年金積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を通じて、株式市場に投資し、債券を購入して運用していますから、株高が続く限りはご安心ください。もちろん、株式相場が下がったらたいへんなことになるわけですが。

三原 念のために伺いますが、アベノミクスのもとで、経済は順調なんですよね。経済が順調である限りは、株高が続いて運用益も確保されるんですよね。

安倍 もちろんです。経済指標は複雑ですから、素人目で一見しますと、破綻しているようにも見えますが、有能な財務官僚が上手にアベノミクスのもとで経済は順調と説明してくれています。アタクシは、それを受け売りしているだけですが、大丈夫です。皆さん、安心してください。

三原 今のお話しで、すこし心配になったんですが、本当に大丈夫なんですよね。

安倍 本当に大丈夫ですよ。でも、絶対かと言われれば、リスクがゼロとは言えません。株式のことですから、必ず運用益が確保できると断言はできません。

三原 そのときは、いったい誰が責任を取るのですか。

安倍 責任…と言われても、誰も責任の取りようはないわけです。それは国民の皆さんの選挙によって形作られた政府の政策ですから、国民のみんなに、広く薄く責任があるわけです。ですから、あきらめていただくほかありません。戦争について一億総ザンゲだったように。

三原 総理。私、心配になってきました。ホントに、ホントに大丈夫なのかしら。

(2019年7月12日)

福祉の増進も減らない年金も、我々の一票次第なのだ。

国家とは、かつては夜警のためだけのものだった。しかし、今は国民の福祉を増進するための存在と考えられている。国民の福祉を実現するためには経費が必要になる。国家は、その経費を調達しなければならない。さて、問題はその財源をどこに求めるかである。

国家の財源の基本は税収である。国民各階層のどこからどのように徴税して、誰のためにどのような福祉政策を実現するのか。それを決めるのが政治だ。民主主義社会では、主権者国民がこれを決する。主権者国民は議会制民主主義のもとでは、有権者となる。今、われわれは有権者として、この点についての政治選択をしようとしている。

2年前(2017年)の総選挙は、政権が「国難選挙」と名付けた。明日にも、北朝鮮からのミサイルが我が町に落ちてくるやも知れぬと脅しの中の異様な選挙で、安倍自民党が大勝した。今度は、「年金選挙」であり、「消費税選挙」である。年金も税制も、あるべき制度の構想は立場によってまったくことなる。

安倍晋三は、最近の記者会見や党首討論会で、こう繰り返している。
「年金を増やす打ち出の小槌はない。今から年金給付額を調整していくことが必要だ。」「そのためには『マクロ経済スライド』が必要だ」「野党は財源に裏打ちされた具体的な提案はなにもせずに、不安ばかりをあおっている」「福祉政策の財源確保のために消費税増税が必要だ」

いつもながらの「財源の抗弁」である。「何をするにも財源の裏付けがなければできないだろう」「財源ないんだから、これ以上はムリ」「財源の範囲ではできることをやった」「野党のように空理空論は語れない」、という例の弁明。

私は、この「財源の抗弁」を聞くたびに、昔、ノースウェスト航空日本支社長だったジェンキンスという人物の名言を思い出す。今はなき、「赤い尾翼のノースウェスト航空」である。その日本支社長が、カウボーイさながらのジェンキンスという人物だった。その労働組合対策が、絵に描いたような古典的な「力対力」の対応だった。

ジェンキンスは、組合の賃上げ要求に対して「ノースウェストには、金がないわけではない。とれるものなら力で取ってみろ」と言ったことが伝説になっていた。

この航空会社に立派な500人規模の労働組合が結成され、不安定だった労働者の身分を着実に確保し、賃金や退職金などを上げてきた。ジェンキンスが、「団結の力でしか労働条件の改善はできない」ことを教えたのだ。ジェンキンスに鍛えられて、こちらも絵に描いたような立派な労働組合が育った。

組合員は、肌で理解していた。会社は従業員を安く使いたい。そのためには労働組合を弱体化したい。従業員は、賃金を上げたい。労働環境をよくしたい。そのためには労働組合を強くしなければならない。強い組合ができれば、力でベアを勝ち取ることができる。賃上げの原資がないわけはない。要は、それをとれる力があるかないかだけなのだ。

1974年秋のことだが、この労働組合が全面無期限ストを45日間打ち抜いて、ほぼ全面勝利の妥結に至った。組合側弁護士としてこの争議に関わったわたしには人生観を変えるほどの大事件だった。争議の妥結は、会社からの争議差し止め訴訟における法廷での勝利の和解という形式で行われた。1974年12月13日のことである。私が弁護士登録をしてから4年に満たないころのこと。このストのメインの要求は賃上げではなく、団結権に関わるものだったが、この争議は組合をさらに鍛えた。

国家財政も同じだ。財源がないはずはない。要は、とれるだけの力があるか否かなのだ。政権を支えている財界や大金持ちを相手にした、庶民の自覚に基づく力。この力関係は、政党の議席に反映される。この経済社会を支配する大企業とこれを支える保守政権は、大企業や大金持ち優遇を変える意思はない。いつまでも「財源がない」と言い続けるだけなのだ。

財源は、直接税の累進率を高めて、担税能力に応じた負担を求めればよいだけのこと。大金持ちからは累進率を高めた所得税として、大企業からもまずは、租税特別措置の優遇を廃止し、法人税を累進化して負担を求めればよい。

逆進性顕著な消費税を増税するとは、経済的な弱者からさらに税をむしりとろうということだ。弱者からむしりとった税収を福祉にまわす? 福祉にまわすために、弱者から消費税をさらにむしりとる? それはいったいどういうことだ。

有権者の意思次第、力量次第で、財源などはどうにでもなるのだ。もしあなたが、大金持ちではなかったら、そして、年金を減らしたくなかったら、福祉行政の恩恵を享受したければ、アベ自民党には票を投じてはならない。そして、その取り巻きの公明・維新にも。
(2019年7月11日)

全国の漁民の皆さん、安倍自民党に票を投ずることは、自分の首を絞めることですぞ。

またまた、法と民主主義」6月号《特集・アベノミクス崩壊と国民生活のお薦めである。本日は、アベノミクスと漁業… 加瀬和俊」論文のご紹介。

「特集にあたって」と標題するリードでは、南典男編集委員が、加瀬論文をこう要約して紹介記事を書いている。

 「加瀬和俊氏(帝京大学教授)は、安倍内閣による漁業・農業の『成長産業化』方針の下で、漁業法が大幅に改変され、企業的経営体が優良漁場を優先的に確保し、免許された海面を私有地のように排他的に占有し続ける仕組みが作られ、
①小規模漁業者を排除し、
②都道府県行政を国の付属物とみなし、
③現場の実情を軽視している
と指摘している。
アベノミクスによって、漁業のみならず地域経済全体が壊されようとしている。」

加瀬さんは、長く東大社研の助教授・教授だった方。専門は、日本近代経済史(雇用・失業問題、農漁業問題)だという。今次の漁業法改正問題では、その新自由主義的本質を追及して、政府に果敢な論戦の先頭に立った。

アベノミクスとは何か、どんな特徴をもっているのか、4頁の論文によく表れている。さらに、そもそも経済とはあるいは経済政策とは、いったい何を目指すものなのかが、鋭く問われているとも思う。いったい、今の政権は、何を大義として、誰のためにどのような経済社会を作ろうとしているのだろうか。そのような問題意識が、この論文の最後の次のまとめの一文に鮮明である。

 以上のように、今回の漁業法の改訂の経緯には、資本力を有する企業的経営に最大限の便宜を図り、それが当該産業内の大多数の経営体にマイナスに作用するものであっても、それこそが「成長産業化」なのだという思い込みと、それを強権的な方法で実現するという手法とが鮮明に表れており、アベノミクスの典型例とみなすことができる。

 アベノミクスが推進するものは、「資本力を有する企業的経営に最大限の便宜」を実現することである。そのことによって、「当該産業内の大多数の経営体へのマイナスの作用」が強行される。大義は、「成長産業化」である。

もう少し砕いて端的に言えば、こういうことだ。
今のまま零細漁民に小規模な漁業をやらせていたのでは、漁業はいつまでも成長産業にはならない。今の零細漁民保護制度を抜本的に改変して、漁業界外部からの大資本を呼び寄せて漁業を企業的経営の対象とすることが肝要なのだ。そのための、最大限の企業誘致策を講じることが喫緊の課題で、零細漁民の切り捨て強行もやむを得ない。

具体的な内容は、およそ以下のとおりである。

新制度の意図するところは在来型の各種の管理方式を撤廃して漁船規模を大型化し、操業を自由に行いたいという企業の主張を受け入れていることにほかならない。

今回の漁業法「改正」は、「規制改革推進会議等の官邸主導の諸会合で水産政策審議会等にはかることもなく、仲間内だけで作った方針の提示を通じて、一気苛成に漁業法の全面改訂(2018年12月成立)に至った」のである。

 漁業法はその章別編成を含めて全文改訂といって良い大幅な変更がなされた。
 その特徴の第1は、法律の目的から「漁村の民主化」(旧法第1条)を削除し、法全体をそれに対応させて改変した。
 第2は、家族経営は遅れた存在であり、「成長産業化」のためには企業経営の優遇とともに、家族経営を企業的レベルに引き上げる必要があり、そのレベルに到達した者だけが存続する資格があるという発想」である。(以下略)

私は思う。いま、アベノミクスが強行しようとしている漁業政策は、漁民と漁村を根こそぎ破壊しようとするものなのだ。アベノミクス推進派にとっては、現在の沿岸漁業とその保護政策は、資本の自由な操業にとっての障害物でしかない。
企業的漁業に桎梏となっている零細漁民による沿岸漁業を清算して、その後に大資本による企業的漁業が行われようとしている。これは、国際的潮流である「小規模農業者・小規模漁業者の重視」とは大きく異なる特異な経済政策に外ならない。

かつては、農漁村が、保守政治の金城湯池といわれた。今や、まったく、事情は異なるのだ。アベノミクスに、新自由主義に、生業とコミュニティを奪われようとしている農民・漁民は、反安倍の立場に立たざるを得ない。

 全国の漁民の皆さんに、警鐘を鳴らさねばならない。漁民が、安倍自民党に一票を投ずることは、おのれの首を絞めることなのだ。農業においても同様である。君、欺されて与党に票を投ずることなかれ。

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「法と民主主義」(略称「法民」)は、日民協の活動の基幹となる月刊の法律雑誌です(2/3月号と8/9月号は合併号なので発行は年10回)。毎月、編集委員会を開き、全て会員の手で作っています。憲法、原発、司法、天皇制など、情勢に即応したテーマで、法理論と法律家運動の実践を結合した内容を発信し、法律家だけでなく、広くジャーナリストや市民の方々からもご好評をいただいています。定期購読も、1冊からのご購入も可能です(1冊1000円)。

お申し込みは、下記のURLを開いて、所定のフォームに書き込みをお願いいたします。なお、2019年6月号は、通算539号になります。
https://www.jdla.jp/houmin/form.html
よろしくお願いします。
(2019年7月10日)

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