澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

軍事立法でも、治安立法でもなく、誤判防止の刑事司法を

一昨日(11月19日(土))、日本民主法律家協会の「第47回司法制度研究集会」が開催された。メインタイトルは、「治安国家化・監視社会化を問う 何のための刑訴法・盗聴法「改正」、共謀罪法案か?」というもの。

主催者の案内が、次のようになっている。
「今回の集会では、本年5月24日に成立した「改正」刑訴法・盗聴法の内容の危険性を暴くとともに、法律家団体と市民が協働しながら反対運動を展開してきた成果を共有したいと考えています。
 また、一昨年に施行された特定秘密保護法、「改正」刑訴法・盗聴法、そして、来年通常国会への上程が取り沙汰される共謀罪等が総体としてもたらすであろう監視社会・治安国家への対応には、「改憲」反対のすべての運動の結集が急務であると考えます。
『改憲』に向けた現政権の謀略に対峙していくための法律家運動の課題を模索するとともに、法律家運動の果たすべき役割を改めて確認し、市民とともに、大きな国民的運動を展開する決意を誓い合う司法制度研究集会になるよう、皆さまのご参加をお待ちしています。」

討論の素材となった報告は3件。「刑訴法『改悪』阻止の闘いと今後」小池振一郎、「盗聴法・共謀罪の本質」海渡雄一、そして「秘密保護法,盗聴法・刑訴法,共謀罪と治安国家・監視社会化」白取祐司(神奈川大学法科大学院教授)。前2件は、報告のタイトルで内容が推察できる。しかし、3件目の白鳥報告だけはよく分からない。集会主催者の注文で、メインタイトルに合わせた内容。

この白鳥報告が明晰で面白かった。クローズアップで問題を見極めようとする報告の中で、カメラを引いてロングでものを見ることによって、背景事情やものごとの関連性が見えてくる。そんな印象の報告だった。いずれ「法と民主主義」に掲載されるが、私流に把握した要点をかいつまんでご報告したい。

☆最近の刑事立法を概観すると、特定秘密保護法成立以来、とんでもない悪法の目白押しである。
 ・特定秘密保護法(2014年)
 ・通信傍受法改正法(2016年)
 ・刑事訴訟法改正法(2016年)
 ・共謀罪法案(2017年?)
どうしてこんなことになっているのか。政治状況の変化、端的に言えば安倍政権がもたらしたものだが、それだけではない。これまで悪法の成立に歯止めを掛けてきた勢力の変容があるように思われる。日弁連と研究者集団の変質を指摘せざるを得ない。
増員の影響か、弁護士のノブレスオブリージュの気概が希薄になってきたのではないか。また、かつて刑法改悪阻止運動の先頭に立った平野龍一のごとき存在が消え、政権や法務省にすり寄る研究者が増えている。真剣な検討を要する。

☆21世紀にはいって以来、「最近」以前の主要刑事立法を概観すれば、以下のとおり。
・少年法改正(検察官関与・原則逆送)(2000年)
・裁判長法・刑事訴訟法改正法(2004年)
・刑事収容処遇法(2005年)
・犯罪被害者参加法(2007年)
・公訴時効廃止法(2010年)
これらの刑事諸立法を貫徹する共通の理念を把握したり、傾向を指摘することが難しい。立法の背景が見えにくくなっていると言わざるを得ない。

☆一方、望ましいとして立法課題と意識されてきた下記の法は成立に至っていない。
・死刑廃止法
・再審法改正法
・監視型捜査規制法
・ミランダ法(弁護人立会権確立立法)

☆以上のごとき現在の状況を歴史的視座に置いてみると、以下の治安維持法の時代との類似性が指摘できるのではないか。
・治安維持法(1925年)
・治安維持法改正(1941年)
・軍機保護法(1937年)(1941年全面改正)
・国防保安法(1941年)*1940年大政翼賛会結成
1925年から敗戦までは、刑事法的には「治安維持法の時代」と言ってよい。上記各法は戦時法であり、戦争準備の立法であった。軍機保護法は1889年日清戦争後日露戦争を見据えて制定された。1937年に全面改正され、さらに1941年にも戦争の進展に応じて改正された。

☆特定秘密保護法は軍事立法であり、戦争準備の法と認識しなければならない。そして、「治安維持法の時代」の諸刑事立法が、改正を重ねていることに留意しなければならない。新規の立法はそれなりの抵抗に遭う。政権は妥協した形でマイルドに修正して立法に漕ぎつけ、頃合いをみてハードに法を改正する。新規立法よりは改正の方が世論の関心事とならず、抵抗は小さい。この事情は、戦前も今も同じこと。だから悪法反対運動は、立法成立後も改悪反対運動としての持続が大切なのだ。

☆分析のための視座として、
1 軍事法制下の刑事法
2 治安立法としての刑事法
3 監視社会と刑事立法
という、観点が必要だろう。

☆軍事法としての特定秘密保護法が危険で問題というだけでない。非常事態宣言下のフランスにおける刑事手続のように、テロ対策という名目の非常時立法は、常に軍事法としての危うさを警戒しなればならない。

☆いま、体感治安の悪化が煽られている。刑法犯は減少し、凶悪犯も著しく減っているにかかわらず、意図的に不信不安が醸成された結果である。警察依存型の刑事政策が意図されているからとみるべきだろう。このような策動に、どこかで歯止めが必要だ。

☆むのたけじが、自分の記者時代を振り返って語っている。
「治安維持法も国家総動員法も、法の具体的な適用の有無が問題であるよりは、そのような法律が作られ存在すること自体が大きな問題だった。」
今、そのような時代状況になろうとしているのではないか。必要なのは、軍事立法でも治安立法でもない。積極的に「誤判を防止し誤判被害者を救済する」ための、刑事司法改革こそが必要ではないか。
(2016年11月21日)

中国の人権派弁護士弾圧の報に、治安維持法時代の弁護士受難を思う。

時事や共同の配信記事によると、中国の「人権派弁護士」に対する弾圧がエスカレートして、有罪判決が相次いでいる。かつての天皇制政府による治安維持法による弾圧にも似た理不尽が今も現実に起こっているのだ。隣国の問題として座視するに忍びない。

昨年7月、中国当局は「人権派弁護士」を主とする人権活動家を「拘束・連行」した。その数200人を超す。令状による逮捕ではない「拘束・連行」の法的な根拠はよく分からない。治安維持法の予防拘禁のような制度があるのかも知れない。

いち早く警鐘を鳴らした香港のNPO団体「中国人権弁護士関注組」の当時の発表によれば、2015年7月16日までに拘束・連行された人権派弁護士や活動家は205名。「長期化する当局の摘発に、活動家らからは『弁護士を徹底的に脅して抑え込もうとしている』と懸念の声が上がっている」という。

同団体によると、当局が拘束を継続しているのは「社会秩序を乱す重大犯罪グループ」とみなされた「北京鋒鋭弁護士事務所」の主任弁護士、周世鋒氏や女性弁護士の王宇氏ら11人。一部は自宅に軟禁されている。ほかに15人の行方がつかめていない。179人は「一時拘束」だったようだ。

当局に「拘束」された人権活動家たちへの弁護活動が妨害され、弁護士接見も家族との交流も途絶されたまま、「拘束」が長期化した。治安維持法時代と同様、強要されてやむなく転向した者はその旨を表明して釈放されたが、連行1年を経て、拘束が継続している者23名と報じられている。

本年(2016年)7月9日には、今も拘束中の弁護士の家族ら7人が、即時釈放などを求める共同声明を出した。当局はこれに対して翌8日には、支援者の弁護士1人を新たに拘束することで応じ、「抑圧の手を緩める気配はない」(共同)。

その後、7月15日に、中国天津市人民検察院(地検)第2分院は昨年7月から拘束していた人権派弁護士の周世鋒氏や著名な民主活動家の胡石根氏ら計4人を国家政権転覆罪で起訴すると決めた、と報じられた。

周世鋒氏らの国家政権転覆罪刑事公判の進展に注目していたところ、7月30日には、「中国天津市人民検察院(地検)に「国家政権転覆罪」で起訴された中国の人権派弁護士の周世鋒氏ら4人について、家族や家族が依頼した弁護人を締め出した「秘密裁判」が近く開かれる見通しとなった。同罪で有罪の場合、懲役10年以上となるケースが多い。関係者が30日明らかにした。」(共同)との報道があって、その報道のとおりに公判の内容についてはまったく不明のうちに、相次ぐ有罪判決となっている。

周氏は、「著名な女性弁護士の王宇氏=国家政権転覆容疑で逮捕=らと共に弁護士事務所を設立。有害物質が混入した粉ミルクで多くの乳幼児に健康被害が出た事件の訴訟に関わるなど人権擁護に取り組んできた」と紹介される弁護士。

時事通信の伝えるところでは、昨日(8月4日)「中国の天津市第2中級人民法院(地裁)は、『国家政権転覆罪』で起訴された弁護士の周世鋒氏(51)に懲役7年、公民権剥奪5年の判決を言い渡した。周氏は上訴しないと表明した。国営新華社通信が伝えた。
 周氏は北京鋒鋭弁護士事務所の主任として、多くの人権侵害事件に取り組んできたが、昨年7月に民主活動家ら300人以上に対して行われた一斉連行で拘束された。このうち4人が今年7月、政権転覆罪で起訴され、有罪判決が出たのは周氏が3人目。」

続いて今日(8月5日)「中国『人権派』裁判、4人目にも有罪判決」の報道。
「中国で今週相次いで行われている人権派弁護士や活動家の裁判で、4人目にも有罪判決が下されました。この間、家族や主な支援者は自宅で軟禁状態となり、裁判の傍聴は許されませんでした。5日、初公判が行われたのは、会社経営者で人権活動家の勾洪国氏(54)で、国家政権転覆罪で懲役3年・執行猶予3年の判決が言い渡されました。」(TBS動画ニュース)

傷ましいのは、同氏が次のように言わされていることだ。「私は西洋のいわゆる『民主思想』にだまされていたと分かりました」(人権活動家 勾洪国氏)
報道では、「国営テレビで流された勾洪国氏の法廷での発言は、今週裁判が行われた他の3人と似たような文言で反省と謝罪が繰り返されました。」とされている。

「勾洪国氏の妻・樊麗麗さんら家族や主な支援者は警察に監視され、自宅軟禁状態となっていました。」「去年7月に一斉拘束された人権派弁護士や活動家のうち残る19人は、依然として家族や弁護士の接見が許されず、裁判の日程も明らかになっていません」とも報じられている。

刑事司法の公正こそは、一国の人権保障水準のバロメータだ。民主化度の試金石と言ってもよい。国民の人権は、権力の恣意的発動から厳格に守られなければならない。政権や党の意向次第で、法に基づかない人身の拘束があってはならない。適正な司法手続を経ずに、刑罰が科せられてはならない。

中国のこの刑事司法の原則無視は、まるで野蛮な天皇制下での日本共産党員やその同調者に対する弾圧の再来ではないか。

改正治安維持法に、「結社ノ目的遂行ノ為ニスル行為ヲ為シタル者ハ二年以上ノ有期ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス」という罰条が設けられている。「共産党の目的遂行の為に弁護活動をした」という認定で、弁護士が逮捕され有罪となったのだ。

良心的に果敢に人権のために闘った優れた弁護士の多くが、法廷で権力と切り結んだ弁護活動を理由に起訴され有罪になり、弁護士資格を剥奪された。3・15事件、4・16事件などの弾圧で逮捕された多くの共産党員活動家が治安維持法で起訴され、その弁護を担当した良心的な弁護士が熱意をもって弁護活動を行った。この法廷での弁護活動が治安維持法違反の犯罪とされて起訴されたのだ。悪名高い、「目的遂行罪」である。「外見上は弁護活動に見えるが、実は共産党の『国体を変革し私有財制度を否定する』結社の目的遂行のために法廷闘争を行ったもの」と認定されて有罪となった。有罪となった弁護士は司法省(検事局)から資格を剥奪された。

中国の事態の深刻さを憂うる。そこに、権力の本性を見ざるを得ない。我が国の天皇制政府の蛮行を忘れてはならない。戦前回帰などなきよう、心したい。
(2016年8月5日)

「起訴後勾留中の取調べに録画義務なし」との政府解釈にもかかわらず法案を推進する日弁連に強く抗議する ―「全過程可視化」はどこへ行ったのか?!

以上のタイトルは、昨日(5月16日)日弁連会長に宛てた法律家8団体の抗議書のタイトルそのものである。相当に厳しいトーン。私は、この抗議に全面的賛成の立場だ。
 まずはこの抗議の全文をお読みいただき、事態の深刻さをご理解いただきたい。

日本弁護士連合会 会長中本和洋殿 
       2016年5月16日

私たちは,参議院で審議中の刑事訴訟法等改正法案は,司法取引や盗聴の大幅拡大,「部分録画」を許す取調べ録音録画など,冤罪防止どころか新たな冤罪を作り出す危険が高く,捜査権限の拡大強化と国民監視を図るだけの制度を法制化するものだとして,本法案の廃案を求めて運動を続けてきました。
本法案は今週5月19日(木)にも採決予定と言われていますが,審議すればするほど本法案の人権侵害性が明らかになり,審議は全く尽くされていません。
このような法案を数の力で成立させることは絶対に許されません。

私たちは,日弁連が,17年前には現行盗聴法の成立に強く反対したにもかかわらず,本法案について推進の立場をとったことを誠に残念に思ってきました。日弁連が本法案を推進する最大の理由は,「取調べの可視化」が法制化されることにあったと思います。日弁連は,この「可視化」がどれほど不十分なものであっても,法制化されること自体が冤罪防止のための「一歩前進」であるとして,盗聴拡大や司法取引の導入と引き換えにしても余りある価値があると考えてきたはずです。

ところが4月8日の今市事件の宇都宮地裁判決は,本法案の先取りのような形で取調べの録音録画が行われたことにより,被告人の有罪判決が導かれるという重大な事態を露呈しました。暴力を振るわれ,「殺してゴメンナサイと50回言わされた」などの自白強要場面は録画されず,屈服して自白した場面が録画されて公判廷で再生されることにより,映像の強烈なインパクトによって,自白の「任意性」が容易に導かれただけでなく,実質証拠としても機能して有罪判決に至ったのです。裁判員たちは,録画がなければ有罪判断はできなかったと語っています。本法案の録画対象事件の少なさや大幅な例外規定をもって「抜け穴だらけの可視化」,「いいとこ録り」などと批判してきた私たちも,現実の裁判を目のあたりにして,これほど酷いことになるとは思わなかったと青ざめています。冤罪被害者たちは,本法案の恐ろしさを肌で感じ,必死で反対しています。

それだけでなく,今市事件に関連する国会質疑においては,本法案の重大な「欠陥」が明らかになりました。
今市事件では,2月に商標法違反で起訴され,起訴後の勾留中に殺人罪の取調べが行われ,6月に殺人罪で再逮捕されています。この3か月半にわたる起訴後勾留中の取調べにおいて自白が強要されましたが,その部分は録画されていません。そして,参議院法務委員会で林刑事局長は,別件で起訴後の勾留中の「被告人」に対する本件の取調べは,「被疑者」(法案301条の2第4項)の取調べではないから,録音録画義務がないと明言したのです。
これでは,本法案が成立したならば,別件での起訴後勾留を利用して,いくらでも録画なして自白を強要し,自白に追い込んだところで本件で逮捕することが可能になってしまいます。

日弁連は,本法案は,取調べの「全過程可視化」を実現するものだと主張し続けてきましたが,政府の解釈によって,「全過程可視化」など全く実現しないことが,はっきりと明らかになったのです。
法案の採決が迫った5月12日,日弁連の刑事法制委員会が,上記の一点に絞り,日弁連は,法務省等に対し,起訴後勾留中の取調べについても録音録画義務があることを明確にする法案への修正を求めるべきだとの意見書を出しました。ところが,日弁連の正副会長会議は,この意見を受け入れず,政府の解釈が間違っているとして,法案修正を求めない結論になったとのことです。

私たちは,この日弁連の結論に強く抗議します。
政府がはっきりと「録音録画義務なし」との解釈を明言しているのですから,法案が成立すればその解釈どおりに実務は動くでしょう。何か月も,やりたい放題,録画なしで自白を強要でき,自白に追い込まれて「スラスラ」自白している場面だけ録画する。このような法案の成立を,日弁連が黙って見ていることが許されるのでしょうか。
「全過程可視化」はどこに行ったのでしょうか。
法案はまだ成立していないのです。
政府見解に抗議し,法案の修正を求めるのは当然のことでしょう。
それがダメなら、今からでも日弁連として法案に毅然として反対して下さい。
「日弁連が冤罪に加担した」と言われないために。
日弁連が冤罪被害者と国民の信頼を取り戻すために。

  社会文化法律センター
  自由法曹団
  青年法律家協会弁護士学者合同部会
  日本国際法律家協会
  日本民主法律家協会
  盗聴・密告・冤罪NO!実行委員会
  盗聴法廃止ネット
  盗聴法の拡大と司法取引の導入に反対する刑事法研究者の会

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同じく8団体が、同じ日に民進党にも要請書を提出している。その、タイトルだけをお読みいただきたい。これで、本文はあらかた推察がつく。

冤罪防止を目的としたはずの刑事訴訟法等「改正」法案は、冤罪拡大の「大改悪」法案であることが、参院質疑の政府答弁で改めて明らかに!!
今市事件裁判判決(本年4月8日)を通して、「一歩前進」とされてきた取調べの可視化(録音・録画)が、「むしろ冤罪・誤判を誘導するという危険性」をメディアも報道!
私たちは、民進党が5月19日採決容認方針を撤回し、徹底かつ十分な審議を貫くことを強く求めます!

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法律家8団体がこぞって、刑事訴訟法等『改正』法案は、実は「冤罪・誤判誘発法」となる危険性を指摘しているのだ。そして、その指摘の内容は極めて具体的だ。今市事件の取り調べ経過と部分可視化による判決で、その危険は顕在化している、と警告し猛反対している。

今市事件の教訓は次のようなものだ。被告人は、まず「偽ブランド品のバッグを所持していた」という商標法違反の別件で逮捕され起訴された。起訴のあとは、取り調べに応じる義務はないとされているが、それはタテマエだけのこと。現実には本件の殺人事件について、ぎゅうぎゅう取り調べを受けた。このときに、自白強要があったが、この場面は録画されなかった。屈服して自白した場面だけが録画されて公判廷で再生されることになったのだ。「この,自白映像の強烈なインパクトによって,自白の『任意性』が容易に導かれただけでなく,実質証拠としても機能して有罪判決に至った」。裁判員たちは、「この映像がなければ有罪判決は出せなかった」と言っている。部分可視化がもたらした有罪判決であり、冤罪である可能性が限りなく高い。

しかも、この取り調べの「部分可視化」について、参議院法務委員会で法務省の刑事局長は,このような「別件で起訴後の勾留中の「被告人」に対する本件の取調べは録音録画義務がない」と明言している。つまりは、現法案が成立すれば今市方式が是認されるのだ。

日弁連は、「部分可視化でも一歩前進」の立場、また「刑事局長答弁は法(案)の解釈を間違えている」という立場でもある。これに対して、8団体意見は「このような制度化された部分可視化は冤罪を誘発する」、「立法担当者が明言する取り調べ運用は必ず実務となる」という批判。
信頼されている日弁連が間違うとことだ。朝日も毎日も批判をしにくい。むしろ、赤旗のほかでは、産経がきちんと問題点を報道するという奇妙なことが起こっている。

明後日、5月19日(木)にも参議院での委員会採決強行があるかも知れない緊迫の状況。ぜひ反対の声に応じていただきたい。
(2016年5月17日)

澤藤統一郎の憲法日記 © 2016. Theme Squared created by Rodrigo Ghedin.