澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

中国では、いまだに密室での刑事裁判が行われている。

(2020年12月28日)
私は元々、嫌中でも反中でもない。むしろ、学生時代から中国の文物に親しみ、偉大な中国革命をなし遂げた中国の人民と中国共産党には畏敬の念を持ち続けてきた。

その畏敬の念が天安門事件を機に崩壊を始め、いま香港の事態の報道を通じて雲散霧消の寸前である。中国の人権と民主主義のありかたには絶望するしかない。どうしてこうなってしまったのだろうか。残念でならない。

私のような思いをもつ者は日本中に少なくないはずである。いや、世界中に無数にいるはずだ。延安からの苦難の長征を経て1949年の革命に至ったあの、輝ける理想に満ち満ちた中国人民と共産党は、今どこへ行ったのか。中国当局は、このような国際世論を歯牙にも掛けないというのだろうか。

私の無念の気持ちを、さらに鞭打つ中国の人権状況の記事は、毎日続いている。昨日と本日の記事3件を引用しておこう。法廷の公開さえ行われない人権を無視した中国刑事訴訟の実態の記事、中国に司法の独立などないことを示す香港司法の記事、そして武漢における報道の自由抑圧の記事である。

経済がうまくまわっている外観あれば、このような野蛮の横行が放任されるということなのであろうか。事態は深刻である。いや、深刻な事態に、私がようやく気付いただけなのか。

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「香港活動家を秘密裁判 中国・深センで拘束4カ月」「あす初公判 家族抗議『人権無視』」(昨日(12月27日)付赤旗)

中国広東省深セン市で4カ月にわたり拘束され、16日に起訴された香港人活動家10人の初公判が28日に同市の裁判所で開かれることが25日にわかりました。活動家の家族が中国当局指定の弁護士から得た情報を香港メディアが報じました。

香港メディアによると、裁判は非公開の「秘密裁判」で開かれ、傍聴やインターネット中継もなし。判決文も公開されず、結果は弁護士から家族に知らされるだけだといいます。家族らは25日に声明を発表し、「基本的人権を無視し、中国が対外的に宣伝する『陽光の司法(公開された司法)』原則に反している」と中国当局を強く非難。その上で、
 (1)裁判をネットで中継する
 (2)家族の代表や家族が委託した弁護士、内外メディアや各国外交官らの傍聴のもと、公開の裁判を行う
 (3)判決文を公開する
 (4)判決後、家族が活動家に面会できるようにする
―ことなどを求めました。

香港人活動家らは8月下旬、計12人で香港から台湾へ密航する途中、海上で中国当局に拘束されました。この中には、8月に国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕され保釈中だった李宇軒氏も含まれています。10人のうち李氏ら8人は違法な国外渡航を企てた罪で、2人は違法な国外渡航を組織した罪で起訴されました。違法な国外渡航の罪の最高刑は禁錮1年で、違法な国外渡航を組織した罪は2?7年の禁錮刑だといいます。

16日に起訴されなかった2人の状況は判明しておらず、家族は情報を公開するよう中国当局に求めています。

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「中国共産党機関紙、黎智英氏の保釈決定非難−本土で裁判可能と警告」(Bloomberg2020年12月28日12時20分)

中国共産党機関紙の人民日報は週末の論説で、香港高等法院(高裁)がメディア企業のネクスト・デジタル(壱伝媒)創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏の保釈を23日に認めたことを激しく批判し、裁判を本土に移して行う法的根拠があると警告した。

人民日報は黎氏(73)を「悪名高い極めて危険」な人物だとし、同氏が保有する資産と外国勢力の「動機」を考えると、保釈金が没収されても問題なく、逃亡は難しくないと指摘した。黎氏は今月、外国勢力と結託したとして香港国家安全維持法(国安法)違反の罪で起訴されていた。

人民日報は、国安法55条を中国が発動する十分な根拠があると主張。55条は外国の関与などで複雑な事案となる場合、もしくは香港政府が事実上法執行できない深刻な状況が生じた場合に中国は「国家安全を脅かす犯罪に関する事案に管轄権を行使」できると定めている。

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「武漢の実態『虚偽情報伝えた』として起訴 裁判開始」(ANN ニュース(国際) 2020年12月28日 12:29)

新型コロナウイルスの感染が最初に拡大した中国・武漢の惨状を伝えたことで起訴された中国人ジャーナリストの裁判が開かれています。
元弁護士の張さんは市民ジャーナリストとして武漢の病院の実態や遺族への当局の圧力などをSNSで発信しました。5月に突然、滞在中のホテルで拘束されて「悪意を持って嘘の情報を伝えた」などの理由で起訴されました。最長5年の禁錮刑になる可能性があります。張さんは留置施設で「当局批判に対する仕打ちで裁判自体が違法だ」として抗議のための絶食、ハンガーストライキを続けていて、健康状態が悪化しているということです。

「武漢コロナ情報で懲役4年 SNS発信で市民記者有罪 上海」(共同)

新型コロナウイルス感染症に関する「虚偽」情報を中国・武漢からネット上に発信したとして、公共秩序騒乱の罪に問われた市民記者、張展氏(37)に対し、上海の裁判所は28日、懲役4年の判決を言い渡した。この日が初公判で、即日判決となった。新型コロナを巡る情報発信で有罪となったケースは初めてとみられる。

 起訴状などによると、張氏は今年2月以降に武漢から医療現場の混乱ぶりを伝え、遺族が当局に抑圧されている問題も発信。6月に逮捕され、9月に起訴された。

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