澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

朝日も、「内閣支持率最低」の報道。

昨日の毎日に続いて、本日(5月25日)の朝日新聞朝刊一面に、「内閣支持率29%、発足以来最低に」という同紙の世論調査報道。5月23、24日の内閣支持率前回5月16、17日の調査結果と比較してこう変わった。わずか一週間の変化である。

支持率  33% ⇒  29% (4%減)
不支持率 47% ⇒  52% (5%増)
開差   -14 → -23%

 この不支持率29%という数値は、「2012年12月に第2次安倍政権が発足して以来の最低」だという。

なお、NHKも5月15・16・17日に、全国の18歳以上を対象に月例の「RDD」方式の世論調査を行っている。これが丁度、朝日の前回調査(5月16・17日)と重なり、数値も近似している。4月と比較すると以下のとおり。次回6月中旬の世論調査に関心が集まることになる。

支持率  39% ⇒  37% (2%減)
不支持率 38% ⇒  45% (7%増)
開差   +1% →  -9%

さて、朝日の《内閣支持29%・不支持52%》、毎日の《内閣支持27%・不支持64%》の原因である。長年の、無為・無策・不誠実、国政私物化や不透明に対する国民の審判ではあるが、直近の大きな出来事としては、コロナ対応と、火事場泥棒的な黒川人事強行である。

アベ晋三大好きな「国難」というべき事態。無能なリーダーにとって、自分の存在を目立たせ求心力を高める絶好の機会。トランプとアベの肝胆相照らす二人が、ともに馬脚を現すに至っていることが興味深い。点の稼ぎ時に、大きく躓いたのだ。よほどの無能と言わざるを得ない。

 PCRなどの検査体制の整備に対する政府の取り組みは「評価しない」が59%で、「評価する」は25%。経済的な打撃を受けた人や企業への支援策も「評価しない」は57%で、「評価する」は32%だった。ともに50~60代の評価が低く、7割前後が「評価しない」と答えた。

そして、黒川問題である。
黒川氏を定年延長させていたことについて、安倍首相の責任が「大きい」と答えた人は68%に達した。「それほどでもない」は24%。自民支持層でも52%が、首相の責任は「大きい」と答えた。

このまま、一直線にアベ政権崩壊という事態となれば、歴史に黒川弘務元検事長の偉大な功績が残ることになるだろう。

また、注目すべきは、「新型コロナの感染が拡大して以降、政治への関心が「高くなった」が48%、「低くなった」が4%だったこと(「変わらない」は48%)。「高くなった」は男性は39%で、女性は56%。関心が「高くなった」人に限ると、内閣支持率は24%だった。そして、新型コロナの感染再拡大を「心配している」が9割を超えている。アベ国政私物化政権に対する国民の批判は、到底おさまりそうにもない。

本日の緊急事態宣言解除のアベ会見。なんとも、白々しく嘘っぽい。あれでは、国民の信頼と共感を得ることができない。この人の不徳のいたすところ。支持率低下、不支持率大幅上昇も、むべなるかな。

(2020年5月25日)

我が輩(アベノマスク)の悲劇

我が輩はマスクである。白い布製。2枚で一組。サイズは極めて小さく、着用者の顔をデカく見せるとして、評判はよくない。正式の名はまだないが、アベノマスクと呼ばれることが多い。生みの親がアベだからだが、名付け親はアベではない。ときに、アホノマスクとも、ムダノマスクとも、ゴテゴテノマスクとも蔑まれる。はなはだ、肩身が狭い。

生みの親であるアベは、ウィルス感染の防御に役立つと触れ込んだが、あれは、どうもいいかげんなデタラメだったようだ。最近の実験結果では、ほとんど役に立たないとされ、ますます評判を落とした。アベはマスクで国民の口を塞ごうとしているなどと言われると、我が輩も返す言葉がない。立つ瀬がない。

物心ついたときから、肩身が狭かった。何せ466億円の壮大な無駄遣い。アベノ無為・無策・無能を象徴する「ムサクのマスク」と揶揄された。少しは役に立つはずの我が輩なのだが、どうしてこんなにも、貶められなければならないのか。これも、親の因果とあきらめるしかないのか。

我が輩、どこで生れたかとんと見当がつかぬが、遠いベトナムだったと教えられたことがある。物心ついたのは、日本の各地で「汚れがひどい」「シミがある」と騒がれ始めたあの頃のこと。あとは御難続きで、親を怨んでばかりの身の上に。

我が輩は、生まれながらに、「汚い」「不衛生」の烙印を押されて、回収⇒点検⇒費用の加算⇒評判の下落⇒配達の遅延⇒さらなる評判の下落、という悪循環。ちょうどアベ政権の評判凋落と軌を一にする。

ようやく、我が輩の兄弟が全国に配送され始める頃、世の中にはマスクはあふれて値段も下がった。なんとも、頃を見計らったようなバカげた成り行き。結局は、466億円という溜息の出るような無駄遣いが深く印象に残ることに。

ある弁護士はこうつぶやき続けている。

アベノマスク2枚 届いた方へのご提案。
★ 製造元の記載もない、危なっかしい(衛生商品たるマスクですらない)1枚200円余りのマスクの「返送運動」をしましょうよ。

返送の宛先は、官邸よりも自民党がふさわしく、意義があるかと。
 〒100-0014千代田区永田町1丁目11−23 自由民主党御中
 ― 切手94円は必ず貼って。
 ― 手紙を添えても可。匿名も違法ではない。
 ― マスク袋は開けないでそのまま返送を。
手紙は、例えば
・安倍晋三氏を総理総裁からおろし、別の人に替えて下さい
・危なっかしいマスクいりません。それより首相を代えて。

これに、こんな別の弁護士の反応も。

 私も全く同じ事を考えていました。
 自民党本部で活用してもらうのが1番いいですね。
 品質が信頼できれば、サイズが小さいから子どもさんに活用してもらう手もあったのですが・・

 なんと、子どもに着用させるのもためらわれる我が輩なのか。自民党に送るのがふさわしいと言われるそんなふがいない我が輩だと言うのか。

アベが親だから、アベが汚いことをやってきたから、アベの評判が悪いから、ああ、我が輩まで、これほど疎まれるとは。気が付けば、アベ本人以外、アベノマスク着用者は見あたらない。

結局のところ、我が輩は、アベ政権のコロナ対策の不手際の産物と相場が決まった。針のムシロのこの身の上に同情してくれる人とてなく、「自民党に送ってしまえ」はあまりにひどい。

この世をはかなんで、覚悟を決めた。吾輩は死ぬ。死んで太平を得る。せめて我が輩の生みの親にも一言遺しておきたい。「いつまでも、権力にしがみついてるのはみっともないよ」と。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。ありがたいありがたい。
(2020年5月20日)

コロナ風だけではない。アベ暴風の中、本郷三丁目交差点で。

ご近所のみなさま、ご通行中の皆さま。お騒がせしますが、もう少しの時間。耳を傾けていただくようお願いします。
本郷湯島九条の会は、日本国憲法とその平和の理想をこのうえなく大切なものと考え、毎月第2火曜日の昼休み時間を定例の街頭宣伝活動の日と定めて、ここ本郷三丁目交差点「かねやす」前で、雨にもまけず風にも負けず、新型コロナの緊急事態にも負けずに、ささやかな訴えを続けています。

緊急事態と言われる今だからこそ、国民の声が封じ込められるようなことがあってはならない。このようなときにこそ、大切な表現の自由を錆び付かせず、訴え続けなければならない。そのような思いからの、本日の宣伝活動です。

先月同様、私たちからご通行中の皆様に、署名を求めたり、ビラの配布のために近づいたりはいたしません。基本的には、全員マスクをして、スタンディングのスタイルで訴えております。横断幕や、スローガンを書いたプラスターをご覧ください。そして、昼休みの限られた時間、マイクでの訴えに耳をお貸しください。

「この非常時だ、国を信頼して思いきったことをやらせるべきだ」という声もあります。しかし、それは明らかに間違っています。権力には常に批判が必要です。このようなときにお上にお任せしていては、徹底した弱者の切り捨てが行われます。しかも、安倍政権まやることです。政治と行政を私物化し、ウソとごまかしに明け暮れ、散々に公文書を隠し改竄してきた、薄汚い政権ではありませんか。こんな政権を信頼してお任せできるはずはありません。

アベ内閣のコロナ禍対策には、後手後手という批判が集中しています。しかし、それだけではありません。この汚い政権は、コロナに国民の意識が集中している間に、どさくさ紛れの悪法成立をたくらんでいます。まさしく火事場泥棒。その典型が、検察庁法改正法案です。

先週の金曜日5月8日に、衆院内閣委員会は、国家公務員法と検察庁法の抱き合わせ法案の審議を行いました。野党抜きの審議強行です。国家公務員の定年延長については問題がない。問題は、幹部検察官の人事に官邸が介入できるように仕組みをあらためる検察庁法改正案にあります。

アベ政権は、各省庁の幹部人事に介入することによって、その権力を固めてきましたが、検察庁人事にも手を出したい。そうすることによって、マクラを高くして眠りたいのです。

かつて、検察は国民からの信頼を得る存在でした。田中角栄をも逮捕し、起訴した実績を持ちます。検察のトップは、「巨悪を眠らせない」と名言を吐いています。そんな検察では、安倍は安眠することができない。アベは、検察を我が手におさめることで、ぐっすり眠りたいのです。

この法案のねらいは、官邸による官邸のための検察人事への介入を認めることなのです。人事への介入を通じて政権に対する検察の牙を抜こうというのです。この法案は、官邸が幹部検察官を選り好みして、政権に擦り寄るヒラメ検察官には定年を延長し、硬骨漢には定年延長の途を閉ざそうというのです。

こうして、検事総長や検事長や、あわよくば検事正までの全ての検察官を官邸寄りの人物で固めてしまおうということなのです。

アベ政権とは、後ろ暗い政権です。政治を私物化し、行政を私物化してきた。しかも、その手法は嘘とごまかしで固められたもの。公文書の隠匿・廃棄・改竄はお手のもの。モリ・カケ・サクラでは、内閣の関係者多数が刑事告発されています。安倍晋三本人も告発対象となっています。

硬骨な検察幹部が決意を固めれば、政権トップに対する刑事訴追がなされて、たちまち政権は崩壊の危機に陥ることになります。そこで、アベは、黒川弘務東京高検検事長を検事総長にしようと考えました。彼こそは、安倍政権の守護神と異名をとった検察官。そのための布石として、定年となった黒川の定年を延長した。2021年8月に定年退職する稲田検事総長のあとがまに据える含み。

この露骨な検察幹部人事介入強行は実は違法なのです。これに対する非難が巻きおこると、アベはまたまた考えました。違法・脱法だというのなら、法律を変えてしまえ。そうすれば問題ないじゃないか。いかにもアベらしいやり口。

これが、どさくさ紛れの法案の正体です。検察を手中に置くことでのアベの安心は、国民の不安、民主主義の不安でもあります。何よりも、刑事司法の公正に対する国民の信頼を失墜させることにほかなりません。このことに危機感を抱いた一人の女性が、8日に「ツイッターデモ」を呼びかけて、「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグを付けたツイッターを発信しました。これに賛同する同じハッシュタグのツイートが600万件を超えたと報じられています。

しかし、それでも政権は明日(5月13日)の委員会審議強行を明言しています。強行採決もあるかも知れません。これを止める力は、世論しかありません。

皆様。ツイッターでも、メールでも、ブログでも、ファックスでも、声を上げてください。鑑定や国会や、与党に声を届けてください。よろしくお願いします。

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薄曇りの夏日になった本郷三丁目かねやす前の昼街宣になりました。
男女合わせて7人の方々が結集しました。これまでのように署名・チラシ配布は控え、かつ social distance を取るという気の配り用なのです。マイクの声は本郷通り、春日通りに響き渡りました。さまざまな plasterを一人2枚持ち、かねやす前に立ち道行く人々に訴えました。

マイクはやはり検察庁法改定案に集中しました。黒川弘務東京高検検事長の定年は2月8日で、その前の1月31日に「黒川弘務東京高検検事長の定年延長の閣議決定」を安倍晋三首相は強行したのです。黒川検事長を検事総長に据えようという魂胆がみえみえなのです。ということは安倍晋三首相は自らの罪を自覚し、罰を恐れている証左とも言えます。このことを訴えました。かつ国家公務員法改定案に潜り込ませる「束ね法案」ということです。検察庁法が一般の国家公務員法と別につくられている意義は、検察官は起訴の権限を独占し準司法官的な役割を担っていることにあります。安倍晋三政権は、法体系・法解釈を破壊し、法の支配から「人の支配」に変えるというクーデターを強行しようとしているのです。

plaster のいくつかを書いておきます。
●アベ政権の検察私物化ゆるさない
●憲法改悪許さない
●おそいおそい 急いで給付を
●倒産・廃業・失業 ストップ
●はやく家賃給付・給料補償・雇用助成金を
●だまされないぞ コロナ不安につけこむ憲法改悪
●エッセンシャルワーカーの給料引き上げよう、みなさんありがとう
まだまだいっぱいありますが、このへんにしておきます。

道行く人々もそれとなく聴いているようでした。これからが正念場です。

「本郷・湯島九条の会」石井 彰

(2020年5月12日)

アベ政権の火事場泥棒にご注意を

今年の流行語大賞の選考は、気が滅入る言葉ばかりとなる。「コロナ」と「サクラ」、それに「ソーシャル・デスタンス」と「マスク」は当確だろう。「3密」と「アマビエ」も有力。さらに「後手後手」と「火事場泥棒」もダークホースだ。これまでは、「嘘とごまかしのアベ政権」、「公文書、隠匿・改竄・破棄のアベ政権」、「政治と行政私物化のアベ政権」と言ってきたが、このたび目出度くも「後手後手のアベ政権」、「火事場泥棒アベ政権」と枕詞が増えたわけだ。

「後手後手」は誰の目にも分かり易い。なにしろウィルスは融通がきかない、アベに忖度してくれないのだからこうなる。これに対して、「火事場泥棒」には、一言説明が必要だろう。昔から、火事場泥棒は卑劣極まりない犯罪と非難されてきた。混乱に乗じた手口が汚いということもあろうが、被害者の不幸に付け込んで私益をむさぼろうという心根こそが卑劣極まりないという非難の本質なのだろう。アベ政権と与党が今国会でしていることは、まさしく「火事場泥棒」と非難を受けねばならない。

いま、コロナ禍という大火の真っ最中である。国政は、国民のために、全力を上げて鎮火に努力しなければならない火急の事態。人びとが火を避け、火を消そうと必死で右往左往しているその火事場で、政権と与党はずる賢く立ち回ろうとしている。国民の関心がこの火勢に集中しているのをこれ幸いと、普段ならできないことを火事場の混乱に乗じて一気呵成にやってしまおうというのだ。薄汚い、「火事場泥棒」以外の何ものでもない。

政権が火事場泥棒として狙うものは、まずは改憲である。その第一歩としての憲法審査会での審議入り。そして今注目の検察庁法改正問題(検察人事コントロール法案)。その他、種苗法改正、「スーパーシティ」法案(国家戦略特区法改定案)、サクラ疑惑封じ込め、森友事件収束等々。油断も隙もない。

この火事場で盗まれようとしているのは、法の支配であり、立憲主義であり、 三権分立であり、刑事司法の公正であり、農産物の自給体制と農家の経営であり、行政の公平性等々である。コロナだけにではなく、アベ政権と自公の与党、そして急速に政権に近づこうとしている維新の動向に目を光らせねばならない。

火事場でも、泥棒の被害を避けるための警戒が必要なのだ。火事にだけでなく、戸締まりにも用心していることを示さなくてはならない。普段なら、集会、デモがその役目を果たすことになるのだが、今それができない。

それでも、知恵のある人はいるもので、この事態での火事場泥棒被害を避けるための工夫として、「Zoomで『#検察庁法改正案に抗議します』の反対集会をしよう」という呼びかけが始まっている。さて、どんなものになるのか、これは興味深い。

(2020年5月11日)

ウィルスもアベもとおくにとんでいけ

毎日新聞の仲畑万能川柳、これが常にも増して面白い。憂さ晴らしに、川柳はもってこいである。本日(5月8日)選の中に次の一句。

コロナうつ万柳詠んで吹き飛ばせ 尾道 瀬戸の花嫁

のみならず、このご時世ネタは尽きない。この万柳のためだけに、毎日新聞を定期購読しているファンもあると聞く。むべなるかな、この川柳欄に群がる投稿者たちは独特の部分社会を形作っている。社会の本流からは少しはずれた、それゆえに健全な部分社会。

※最近の句で目立ったのは、マスクネタである。

マスク二枚配りみんなの口封じ  浦安 さやえんど
  これは秀逸。愚かな意図を見抜いた上で、笑い飛ばしている。

アベマスク家族4人であみだくじ 鹿沼 鹿沼土
  ハズレの二人がバツゲームとして使うことになる。

マスクよりお似合いですよ「頰っ被り」 戸田 小松多代
  もちろん、マスクを配ったあの人のこと。

二枚ずつアベノマスクの二百億 北九州 エミリー
  当初は200億の報道だった。いずれにしても愚かの極み。

10万とマスクのどっち先か賭け 静岡県 増田謙一郎 

布マスク変えられないか前広に 千葉県 姫野泰之 

散会時マスク総理は即外す 東京都 後藤克好 

躊躇なくマスク二個とは情けない 町田 不銹鋼

一世帯一人もいれば七人も 宗像 水芭蕉

売れる程手作りマスク上手くなり 寝屋川 ヒロポン

マスクかけ佐保姫別れの袖を振り 埼玉県 磯貝満智 

春うららマスクの形に日焼けして 柏原 年中無給

香港のマスク禁止は終わったの? 大野城 ぶび子

完売の文字が褪せても来ぬマスク 多治見 和宇茶中

※マスク以外のコロナ禍も笑いのネタに

二週間いつまでたっても二週間 東京都 新井文夫 

捲(めく)っても出口見えないカレンダー 茨城県 清水方子 

検査する代わりコーヒー嗅がされる 青森 よしのまち

オナラして臭い感じて安心し 大阪 板はん

コーヒーのたびに匂うか確かめる 東京 緑カレー

恐ろしやコロナ対策銃を買う 西宮 軒の小雀

取った税貸してあげると言う政治 海老名 しゃま

言い訳のアベオンステージNHK 別府 タッポンZ

志村さん「だいじょぶだあ~」って言ってたじゃん 千葉 ペンギン

オレなんざもともと距離を置かれてる 行田 ひろちゃん

ニュースから消えて下さいコロナの字 大田原 武田正子

メモを読む総理に空気読まぬ嫁 福岡 猫懐

クラスター→オーバーシュート→ロックダウン 交野 令和の令子

怖いのはコロナニュースに慣れたとき 神奈川 カトンボ

新聞が痩せた戦中思い出す 神奈川県 金澤紀六 

ステイホーム肥後で申せば「籠城じゃ」 長崎県 前田一笑 

あるんだね皆テレワークできる社も 宝塚 おーい銅将

ウイルスは「やってる感」では騙せない 東京 三次

コロナ禍も議員歳費はご安泰 水戸 むっちゃん

コロナから知る全国の知事の顔 岐阜 金子錆男

消毒をした手でノブを触るドジ 和歌山 松原まつこ

予定表消してばかりだこの春は 高槻 風頼坊

ひと月の長さ感じる新コロナ 山形 かみやじい

こんな時弱い人から解雇され 相模原 アンリ

日本語で怖さがわかる都市封鎖 茨木 イシマリ

我も彼もマクベスのごと手を洗う 熊本 しゅ

こんな事あるんやなあと空見上げ 伊丹 しずく

世界から握手抱擁消える日が 芦屋 言閑マダム

目に見えぬコロナこわくてひきこもる 三豊 泣きっ子

呼吸器もベッドも足らぬ医療大国 白石 よねづ徹夜

※川柳子は安倍晋三にも優しい

万柳の良いとこ安倍の支持もいる 白石 よねづ徹夜

もう既に「あきれ夫人」と呼ばれてる 川崎 さくら

後手後手の旦那のたまう「前広」と 神奈川県 安藤隆喜 

取る気ない責任だから軽く言え 東京 城山光

※9月始業もネタになる。

新入生引き受けますと秋桜(コスモス)が 埼玉県 磯貝満智
  これは優しい。コスモスがサクラにささやいている。

袴(はかま)から浴衣に変わる卒業式 埼玉県 金子雄一 
  なるほど。それも楽しい。

九月から始業コロナが薄笑い 東京都 大和田淳雄
  これは恐い。9月からの始業などできるものかと鬼のよう。

※ そして健全な精神は森友事件を忘れない。赤木さんのことも。

悪代官しっぽ切りまで部下にさせ 鹿沼 鹿沼土

部下死んだかまっちゃおれぬ出世道 周南 石丸壽人

忖度は懲戒受けても出世する さいたま 高本光政

権力の凄まじさ遺書見せつける 日立 北の馬場

忖度は人を殺すと皆知った 福岡 ナベトモ

もういいよ事実を言っても佐川さん 豊川 雨ニモ負太

起訴不起訴凄い力の検事さん 兵庫 新ポスト

(2020年5月8日)

不要不急の防衛費の支払いが大切か、コロナ禍に苦しむ国民の生活が大切か。

お代官様。
3郡16か村の百姓一同からのお願いでごぜいますだ。よろしくお聞きくだされ。

ほかでもねえ、今年の年貢のことでごぜいますが、どうしたって払えっこねえ。

ご存じのとおり、今年はこの領内に悪疫が流行りましてな。疫病神は、田にも畑にも、森にも林にも、はびこりましたでごぜいます。疫病神から逃れる場所と言えば、疫病退散のお札を貼った家の中だけでごぜいましてな。

そんな案配で、お代官様の指図もありまして。田起しから出穂の季節まで、村人一同は、外に出ることはかないませんで、一家揃って家内で自粛でございました。もちろん、子どもの寺子屋通いも、できねいありさまで。

だあれも、田にも、畑にも出ることとてなく、薪を切ることも、山菜摘むこともできんまま。これまでの蓄えを食い潰して、とうとう秋を迎えたでごぜいます。いつもの年であんしたら、五公五民で米俵を積み上げとるころですが、今年ばかりは納めるにも米はない。米に代わる金目の物もない。村人は、芋ばかりを食って生き延びておりやんす。そんなわけで、今年ばかりは年貢をご勘弁いただきたい。

いや、おねげいはそれだけではごぜいませんだ。来年の種籾は村内のどこを探しても、一粒たりともござりませんので。このままでは、来年の米の作付けはおぼつかねいことでございましてな、来年の年貢を納めることもできません。ここは、代官様の思し召しで、村民一同の全所帯に種籾一俵ずつを、お助け米として一律にお配りいただきとうごぜいます。

もとはと言えば、百姓どもが毎年この場に積み上げて納めた年貢の内のちょびっとをお返しいたただきたいというだけのこと。ぜひとも、お聞き届け願いたいものでごぜいます。

もちっと、おねげいがごぜいます。村の子どもたちが、今年は手習いやら稽古事も満足にできません。立派な子どもは、領国の宝でごぜいますし、親の願いでもごぜいます。子どもたちの学びのためのお金の工面を、代官様、是非ともおねげいしますだ。

いんや、それだけではねい。村人みんな、疲れ果て、腹を空かせ、病んでおります。ご領主様が、領民のためにやってくれたのはマスク2枚を配っただけ。あとは、ご城内にこもって犬と遊びほうけているちゅうとか。このままでは、領民は飢えて死ぬか、他国に逃げるかするより外はございませぬ。領民がいなくなれば、ご領主様もあの奥様も、食べてはいけなくなりますぞ。ぜひとも、お城と代官所の藏を開けて、お助け米を領民にお配りいただくよう、お願いしますだ。

まだある。すっかり荒れた田畑も山も林も手入れをしなけりゃならん。疫病退散のお祝いの祭りも盛大にやらねばならん。川のさらいも、堤防の直しもせねばならん。村人の薬も買わねばならん。ここは、思い切って、ドーンとお助け金を弾んでもらわねばなんねい。

この段、覚悟のお願いじゃ。お気付きなされまたかな。村人3千人。鉈だの鎌など携えてこの代官屋敷を取り巻いておりますぞ。必ず聞いてくだされい。

なんとな。そんなカネはないとな。そうは言わせぬ。ご領主は、遠国のバカ殿からF35ステルス戦闘機やイージス戦闘システムを買い付ける約束をしたそうじゃと聞いておる。なんと愚かなご領主様よ。百姓どもの汗と涙が不要不急の武器の買付に消えて、それでも疫病で苦しむ民百姓を見殺しにするとおっしゃるか。

同じ遠国のバカ殿から、同じような兵器買付の約束をした隣国のご領主の方はウチのご領主とはずいぶん違って、こうじゃというではないか。
「韓国政府は4月16日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う対策として追加補正予算を編成し、全世帯に支給する「緊急災害支援金」の財源として、国防費9047億ウォン(約795億円)を削減して充てることを決定。4月30日に補正予算が成立しました。削減対象はF35ステルス戦闘機やイージス戦闘システムの米国からの購入費で、支払いを来年に先送りする方向だといいます。」(半田滋)

隣国にできたことが、どうしてご領内ではできぬことがありましょうや。いずれ、ご承知いただけないときは、われら一揆に立ち上がる覚悟はとうにできている。この屋敷を取り巻いた百姓どもの鬨の声が聞こえませぬかの。そっちの覚悟はいかがかの。
さあどうじゃ、肚をくくってご返答をいただきたい。さあ、さあ。さあさあさあさあ。
(2020年5月7日)

尾身茂発言に驚く。これでは、国民の信頼を得られない。

安倍晋三には、とうの昔に見切りを付けている。この人物を信頼してはならない。現下の国民的な災厄に適切に対応する適性も能力も誠実さもない。しかし、チームとして事に当たる、官僚諸君や医療人は信頼に足りるのではないか。その期待は捨てていない。頑張っていただきたいと願っている。

問題は専門家会議(新型コロナウイルス感染症対策専門家会議)に対する信頼の可否である。当初は、その分野での日本の最高知が集められているのだと思いこんでいた。だから政治性とは無関係に、無能な官邸にも適切なアドバイスができるだろうと期待は高かった。が、どうもそうではないらしい。次第に馬脚が現れてきた。そして、昨日(5月4日)の「緊急事態延長宣言」首相記者会見に陪席した尾身茂の発言は、国民の前に、「これはダメだ」「到底信頼しえない」ことをさらけ出した。

率直に申しあげよう。こんなにも注目された場で、こんなにも能力を期待される人の、こんなにもわけのわからぬ記者会見発言は前代未聞のことではないか。私が浅はかだった。思い起こせば、政権にくっついた「専門家」の不甲斐なさは、3・11原発事故でよく分かっていたはずではないか。安倍政権にくっついている「専門家」には、国民からの厳しい批判が必要なのだ。

官邸のホームページから当該部分を抜粋してみる。以下の質問は要約で、回答は全文である。原文は下記URLを参照されたい。
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0504kaiken.html

質問 ビデオニュースの神保(哲生)です。
PCR検査の話、総理は御自分もどこに目詰まりがあるのかをいろいろ聞いてみたというお話がありました。PCR検査は感染状況を知る上でも、自分が感染していることを知らないで人にうつしてしまうケースがあるという意味でも非常に重要だと思うので伺うのですが、内閣総理大臣がPCR検査が少ないので増やせと指示をしても、今の日本は実力的にPCR検査を増やすことができないと総理はおっしゃっているのでしょうか。それとも、まだ、これまでは本気で増やすことをしてこなかったということなのか。そして、なぜ民間を使うという選択肢が出てこないのか。詳しくお話しください。

(安倍総理)
 これはもちろん本気でやる気がなかったというわけでは全くありません。私は何回も、とにかく能力を上げていくと。実際、能力は上がってきているわけであります。国としてできることは、予算をつけて能力を上げるということでありまして、1万5000。しかし、1万5000、能力を上げたら、1万5000人分行くかといったら残念ながらそうなっていないのでありますが、多く見て、多くは東京に集中をしているわけであります。ですから、先ほど申し上げましたように、PCRセンターを20か所増やす中、東京に集中的に12か所増やしました。医師会にも御協力を頂く。言わばそういう体制をつくっても、なぜかと言えば、これはまず、それをPCRをやる方を迎えなければいけなかったわけでありますが、それをやる、言わば人的な目詰まりもあったわけでありまして、医師会の皆さんにも御協力を頂き、また、歯科医師会の皆さんにも御協力を頂くことになったわけでありまして、そういう意味において、全力を挙げていきたいと思っています。
 補足的にもまた尾身先生に御説明を頂きたいと思います。

 予てから、安倍は「PCR検査能力を上げていく」「1日2万件」と表明しながら、現実にはその半分にも到達せず、他人事のように「目詰まり」云々と言ってきた。質問の眼目は、この「目詰まり」にある。安倍晋三よ、本気でやる気があるのか、という問いかけなのだ。これに対する安倍答弁は、かろうじて最初の一文だけが理解可能であるが、それ以下は何を言っているのか分からない。忖度すれば、「これからは全力を挙げていきたい」というものだが、質問者の意図に的確に応えるなどという芸当は望むべくもない。この人、プロンプターやメモがなければ、この程度にしか語れないのだ。これが、わが国の行政府のトップの「能力」なのだ。

ここで尾身茂にバトンが渡される。以下、5パラグラフに分けて感想を述べる。

(尾身会長)

実は、もう民間の方は、先ほども申し上げましたように、3月6日から保険の適用が始まって、少しずつ増えております。今、いろいろ統計を我々は始めて、いわゆる感染研とか地方研でやられていることは分かっています。それと、民間の検査会社でやっているのも分かっていますが、実はこれはなかなか複雑でして、病院でやったものを、今、医師会なんかの御協力で保健所を通さないで行くというシステムができたのは皆さん御存じですけれども、入院されている患者さんは退院するまでに数回やることがありますよね。退院のために2回。そうすると、そのことが全部報告されてきてしまうと、分母、やっている件数が増えますよね。だから、我々、今、非常にジレンマで、今、大変難しいと思って、何とか解決しようと思っているのは、一つの報告、分母は感染研とか公的機関だけのものと、それから民間を入れると今度は増え過ぎてしまって、そこはオーバーになっているということが今、現実ですけれども、しかし、確かにトータルとしては、今日の専門家会議の方で見せましたけれども、検査件数が全く上がっています。

 こりゃまったくダメだ。発言の意味が分からん。とても科学者の言葉ではない。少なくも、新しいウィルス禍と闘おうという高度な知力を要するプロジェクトのチームリーダーの言とは思えない。この人の属するチーム内でのコミュニケーションが成立しているとは思えない。
「今、いろいろ統計を我々は始めて、…実はこれはなかなか複雑でして」という文理からは、「保健所を通す検査」に、「保健所を通さない検査」が加わったから、「実はなかなかPCR検査の統計が複雑でして」、「非常にジレンマで、今、大変難しいと思って、何とか解決しようと思っている」というように読める。この程度の統計処理を難しいというこの人の正直さは憎めないが、到底大事を託することはできない。
あるいは、「民間を入れると今度は増え過ぎてしまって、そこはオーバーになっているということが今、現実です」との意味は、こうであろうか。「これまでは、保健所を通した検査に限定することで、自分たちの対応できる範囲での陽性患者数に抑制してきたが、検査に民間が入ってくるとその意図が崩れてしまって、事態は大変難しい」 これも、バカげた話。PCR検査増加の必要についてまったく理解していないと言うことだ。
発言の趣旨が分からない。何が言いたいんだか理解し難い。問われているのは、これまでどうしてPCR検査に民間活用をしてこなかったのかということ。あなたは、民間の検査や報告を歓迎しているのか、「増え過ぎてしまって、そこはオーバー」だから邪魔で反対というのか。

 それと、先ほど、そういう中でも実は日本の死亡率は、これは一番の我々の目標、全ての感染を知っているわけ、これはなかなか難しいですね。分かりませんが、死亡率という意味で、今のあれでも死亡のことはピックアップして、その死亡の数は、これはヨーロッパのほうに比べても10分の1以下ということですから、必ずしもPCR、私自身はPCRはもう少し、総理がこの前2万件と。そのぐらいまでは行ったほうがいい。それに今、努力をしています。ただ、それと同時に、私は専門家として、一応事実としては、PCRは日本は最も少ない国の一つですけれども、人口当たりの死亡率、それから絶対数もヨーロッパの国の10分の1以下であるということは、これは事実です。しかし、だからといって、今のPCR体制がこのままでいいというように申し上げているのでは。

これも、いったい何を言っているのか。何を言いたいのか分からない。分かるのは、PCR検査不足の言い訳をしようという魂胆だけ。聞かれているのは、PCR検査の実数が伸びない「目詰まり」の実態。安倍得意の論法ずらしと同様に、問題を死亡率にすり替える。類は友を呼ぶというが、なるほど尾身も安倍流なのだ。

 もう一つは実は、PCRというのは、もう皆さんも御承知のように、やるのはそう簡単ではなくて、今、我々が、先ほど治療薬の話が出ましたけれども、私自身は治療薬の研究に直接は関わっていませんが、この5月あるいは6月で臨床治験の結果が出る。

これも、すりかえ論法である。しかし、PCRという検査を話題としているのに、唐突に治療薬の話。いったい、質問とどんな関係があるのか。質問に答える場での、このトンチンカンさは、この人には対話の能力のないことを表している。この人が臨床医であればインフォームドコンセントはできない。この人が教官であれば、生徒は不幸だ。そして、もしかしたら、今日本国民を不幸にすることにもなるのだ。

 それともう一つ、今のPCR関係で非常に重要なのは迅速診断キットです。抗原。これが、まだ最終的な結果はありませんけれども、これは簡単です。唾液を取ってできますから、実は、これは日本がインフルエンザでずっとやってきた、あれなのです。それで、私はこのPCRはこれからも、PCRとこれは補完的な関係ですから、この迅速診断キットというのが私はかなり期待をしています。もちろん早計に簡単なことは言えませんけれども、今、私たちの入っているところでは、比較的、特にウイルスの排出の多い、これが一番感染をしやすいケースですよね。この人たちを探知するのは十分。もちろんPCRの方が感度はいいですよ。だけれども、感染の症状の始まる前、2日ぐらいが一番多いんですね。
 このレベルのウイルスだと引っかける可能性があるということで、私自身はPCRはもちろん、これから様々な困難がありますけれども、努力して、2万件のところまでとりあえず行く。と同時に、迅速診断キットができると、かなり今の状況は変わるということがあるので、この2つを見ながら、また死亡率を、死亡率はだんだん今、死亡者は上がっていますから、死亡者をこのまま他の国に比べて少ないという維持をするためには様々な努力が必要だと思います。

この記者会見発言は一般国民に向けのもので、医療従事者向けでもジャーナリスト向けでもない。拙劣な日本語解説で、一定の知識なくしては内容を推察しえない。 迅速診断キットとは、「新型コロナウイルス検出PCR検査キット」のことではない。過日、楽天が「検査キット(COVID-19 PCR Testing Kit)」を販売するとして話題になったが、結局は販売は中止となった。尾身発言が言及したのは、そのPCR検査キットではない。そして今注目度の高い血清抗体検出キットのことでもなく、「抗原簡易検査キット」のことである。
果たして、どれだけの人が尾身解説を理解できたであろうか。また、知識あって、この人の言うことを推察できた人には、この発言は無用の長物である。

そして最後の「死亡率を、死亡率はだんだん今、死亡者は上がっていますから、死亡者をこのまま他の国に比べて少ないという維持をするためには様々な努力が必要だと思います。」は、ダメ押しの意味不明。
「死亡者の絶対数も、感染者に対する死亡率も、他国に比べて低く押さえるには今後の努力が必要」と言いたかったのだろうか。そんなことなら、あまりにも当然のうえ具体性がなくしゃべる価値も聞く価値もない。

これが、「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議・副座長」であり、「基本的対処方針等諮問委員会・会長」の発言である。安倍の持ち上げに乗じられて、恐れ入ってはならない。目を見開き、聞き耳を立てて、よく言い分を吟味しよう。いま、国民の厳しい批判こそが必要である。遠慮などしている余裕はない。
(2020年5月5日)

これが行政の行うPCR検査の実態。この貴重な情報を削除せよとは。

表現はまことに多種多様である。社会に有用な表現もあれば無用な表現もある。人畜無害の表現もあれば、特定の人や組織を傷つける表現もある。歴史における経験が教えるところによれば、社会に有用有益な表現は、多くの場合特定の人の耳に痛いものである。そのような表現が封殺されるようなことがあってはならない。あるいは、表現が躊躇されてもならない。

表現の自由とは、有用無用・有害無害を問わず、原則として表現一般に認められる建前ではある。しかし、有用有益な内容をもちながら、権力や社会的強者に嫌われる表現こそが、表現の自由保障の対象として最もふさわしい。これこそが、表現の自由の本領である。

ときに、公権力あるいは社会的な強者から、社会的に有用な表現の削除や撤回が求められる。私(澤藤)の場合は、DHC・吉田嘉明からの6000万円請求スラップ提訴であった。

実際には提訴にまで至ることなく、訴訟提起をチラつかせて恫喝し表現の自粛を求めることが、この社会で多く行われているのだろう。DHCが組織としてこういう動きをしていたことは、DHCスラップ訴訟の中で明らかとなっている。

このコロナ禍での行政の動きは不透明のままである。とりわけ、いっこうに増えないPCR検査の実態がどうなっているのかさっぱり分からない。実際に検査を受けた人の情報は貴重なものである。そのような貴重な情報が社会に多数提供され集積されるることが、合理性ある政策決定と、決定された政策への信頼確保に不可欠だからである。「お上」が密室で拵えた、検証不能の政策の合理性に信頼がおけないのは当然ではないか。

コロナについて、とりわけ検査の実態について、もっと情報の公開を、と考えていたところに、知人からこんなメールをいただいた。「独自のドキュメンタリーを創り続けている映画監督、早川由美子さんは、新型コロナへの感染不安を感じ、PCR検査を受けた。そして、そこに至るまでのプロセスと、検査会場での観察を、自身のブログで報告した。ところが、その記事について、一部削除の「要請」圧力を、世田谷区役所から受けている。貴重な体験ルポをシェアする。」 これはありがたい。

早川さんは、こう述べている。

現在、私は世田谷に住んでいますが、世田谷区のPCR検査を受け、その記録をブログで公開したところ、世田谷区保健所から削除を求められています。あくまでも削除の「お願い」としつつも、要請に従わない場合は法的措置をとるとまで言われています。
ぜひ、以下のブログを読んでくださればと思います。

■世田谷区のPCR検査を受けました
https://www.petiteadventurefilms.com/setagaya_pcr/

■「PCR検査会場を区民に知らせるな!」世田谷区健康企画課からの電話(2020年4月27日)
https://www.petiteadventurefilms.com/20200427/

以上は世田谷区の例ですが、おそらく他の自治体も似たような状況かもしれません。
このメールやブログは転載歓迎です。問題意識を共有してくださればありがたいです。

このレポートは、一般人がPCR検査を受けようと望んでも、容易には検査を受けられない実態が、生々しく分かり易く詳細に語られている。これは貴重な情報である。早川さん夫妻は結果として、検査を受けることができた。その場所は、保健所ではない別の場所だった。そのことの詳細もブログに記載されている。

そして、4月27日世田谷区健康企画課の課長さんからのブログ削除要請に関する電話の内容が書き起こされている。区側は「どうしてものお願い」として、「ブログとツイッターを削除頂けないでしょうか」と言う。理由は、区として公開していないPCR検査の場所を、ブログなどで公開されては不都合ということ。PCR検査の場所を非公開とすることも、これを公開したら大きな不都合が生じることも、到底理解し難い。なによりも、市民の表現を削除せよという根拠が考えられない。

できるだけ文意を損なわず、当該部分を抜粋してみよう。

:削除をお願いするというのが、私たちの立場です。

  早:お願いを、今、していただいているというのは分かりました。

:で、お願いではないです。これ、このままお願いではなくて、ずっと(ツイッターやブログを)出し続けた場合というのは、わたくしのほうも、区の弁護士のほうとご相談させていただくということになりますけど?

:あ、そうですか。じゃあ、そのような手続きについても分かりました。

  区:「わかりました」っていうのは、どういうことですか?

:あの、「言い分について分かりました」っていうことです。

  区:削除の約束は…。削除の約束はしていただけますか?

:それは、今ここで約束することはできないです

  区:なぜですか?

:なぜですかって言われても、わたし今…

:ここにツイートが残っていれば…必ず関係者の方が、(検査会場に)行きますよ。それによって、検査を受けられない人がまた増えるんですよ。責任取れますか? 検査に殺到した場合に、検査の体制を覆すことによって、救われる命も救われなくなるんですよ。それに対してご自身が個人で責任を取れますかって申し上げているんです。

:私にそういう一個人のね、責任とかっていう風におっしゃる場合、例えば、電話が全くつながらないっていう間に、重症化して亡くなる方の責任も、区役所のほうは取れるんですか?

:それは当然認識しています

:「認識」っていっても、(責任は)取れるんですか?

:認識はしています

  早:でも全然つながらないです。

※4月30日追記

世田谷区は、「検査会場が知られてしまったら、検査を受けたい区民が殺到する」と主張していますが、本当にそうでしょうか? とあるメディアの記者の方によれば、他の自治体では、検査会場でメディアの取材対応などをしており、検査会場が事実上公となっているところもあるそうです。

果たして、それらの場所に人々が検査を求めて押し寄せているでしょうか? むしろ、感染のリスクが非常に高い場所ですから、うかつには近づきたくないと考える人の方が多いのではないでしょうか??

私がブログに掲載した、検査会場内部の写真をご覧になった方からは、「感染対策がほとんどされていないようで、検査を受けに行くことで二次感染してしまいそう」という意見を頂きました。世田谷区が、検査会場の場所や内部の写真を削除せよと私に求める背景には、「検査件数を増やしたくない」「感染防止策の緩さを指摘されたくない」という思惑もあるのかもしれません。

上記のブログをたいへん興味深く読んだ。そして驚いた。今どき、行政がこんなにも軽々しく、市民の表現を削除しようとするものだろうか。これではまるで、区がDHCや吉田嘉明なみではないか。しかも、世田谷と言えば、革新区長ではなかったか。行政が「どうしてものお願い」といえば、市民は当然に削除に応じるだろうという思い上がりが見え見えである。そして、一転して「お願いではないです。これ、……区の弁護士のほうとご相談させていただくということになりますけど?」となる。法的手続ともなれば、市民にとってはたいへん荷が重い話となる。要請ではなく、恫喝と言っても差し支えなかろう。

早川ブログに虚偽や不正確な記述があるからこれを是正せよというのではない。正確な記述の内容が不都合だというのだ。さて、健康企画課の課長さんは、既に「区の弁護士のほうとご相談」を終えていることだろう。その結果を知りたいものである。名誉毀損訴訟なら、どんな弁護士もさらさらと訴状だけは書ける。こんな簡単な訴訟はない。しかし、このケースは違う。早川ブログは、誰の名誉を毀損してもいない。そもそも、違法の要素は微塵もない。にもかかわらず、行政が憲法に保障された市民の表現の自由を奪おうというのだ。所詮は無理なはなしというほかはない。

市民の権利や自由は、常に試練に曝されている。早川さんが区からの削除の要請に応じれば、せっかくの憲法上の基本権も眠り込んでしまう。そうすれば、国民の知る権利も知らぬうちに眠り込まされるのだ。早川さんが、くじけることなく、区の要請を拒否し、ブログの掲載を継続しておられることに敬意を表したい。
(2020年5月4日)

「絶対おもろい! 新型コロナいろは川柳」

青年法律家協会議長の北村栄さん(名古屋)のご紹介。「絶対おもろい!新型コロナいろは川柳」。「(青法協)あいち支部の平松清志弁護士が、コロナに関しての「いろは川柳」を作り、あいちのMLに流してくれました。会員も多士済々ですね。本当に笑え、気分転換にうってつけ」という触れ込み。

平松清志です。
地元の9条の会(野田・荒子9条の会)の定例街宣も世情に鑑みて中止となったので、代わりにブログで宣伝しようと、暇に任せて いろは川柳を作ってみました。

 いつまでも続く「瀬戸際」「正念場」

 ロックダウン街が死んでるオレも死ぬ

 橋下は微熱だけでも検査受け

 ニッポンはもはや先進国じゃない

 防護服足りずに代用?雨合羽

 変だよね 検察人事と 安倍政権

 トランプと安倍が愚かさ競ってる

 ちょっと待て 不要不急の 悪法案

 理屈なし その場限りのやったふり

 布マスク400億の無駄遣い

 留守番の子どもを襲う侵入者

 ヲタクらはランサーズからの回し者?

 ワクチンができなきゃ続くパンデミック

 閣僚もアベノマスクは着けてない

 4日間待ってコロリと逝くコロナ

 台湾と韓国 先に収束よ

 蓮舫や辻元disるデマ右翼

 葬式もまともに出せぬ感染者

 too late too littleだよ政府案

 ネトウヨのヘイトスピーチ許すまじ

 なんで今 オリンピックに固執する?

 ランドセル背負うことなく夏は来ぬ

 無理だよね 電車でソーシャルディスタンス

 ウソばかり大本営発表NHK

 ヰ(ウィ)ルスに感謝捧げる安倍昭恵

 能天気 アベは自宅で猫を抱き

 怖ろしや院内感染続々と

 クラスター追えど探せど患者増え

 雇い止め、首切り続くコロナ不況

ま まだ辞めぬ河井夫婦は雲隠れ

 憲法を知らぬ首相の暴走だ

 ファシズムの音が聞える緊急権

 国難はお前だ無能安倍政権

 依怙贔屓はびこる国は破滅する

 テレワークできぬ現場だ 俺たちは

 安倍辞めろ麻生も辞めろ菅辞めろ

 三密を避けられないよ保育所は

 記者会見 台本ありきの朗読会

 行き場なし DV被害者 増え続け

 目に見えぬ敵は見ぬふり「専門家」

 身に迫る医療崩壊 無策ゆえ

 しばらくはステイホームだ ひきこもり

 ヱ(ウェ)ブ会議 やりたいけれど どうやるの?

 PCRやらなきゃ増えぬ感染者

 モリカケも桜も辺野古も忘れない

 世界中物笑いだぜゴミマスク

 スシローも岩田明子も見たくない

 んだどもさ なじょして死んだ 志村けん

 

なるほど、本当によくできている。なるほど、絶対に面白い。

作者の平松清志弁護士(愛知県弁護士会所属、高畑アクセス法律事務所)のプロフィルは、下記のとおり。

名古屋南部法律事務所に23年間所属し、労働事件(東海銀行差別事件、日立 製作所差別事件)、刑事冤罪事件(山中事件、名張事件)、消費者事件(原野商法事件)等を担当。これまでに担当した法律相談は6000件以上に上る。弁護士会では、人権擁護委員会両性の平等部会長、法律相談センター運営委員長を歴任、東海労働弁護団幹事。

http://www.t-access.jp/index.html

(2020年5月2日)

この事態、アベや小池の言うことを聞いているだけは解決とならない。

アベ・小池の、国民・都民に対する休業要請や外出自粛要請。一応尊重はしつつも納得はしがたい。一つは、上から目線で、「感染が終息しないのは、言うことを聞かないおまえさんたちの自己責任」というイヤーな感じを拭えないからだ。

まず行政がやるべきことをやらねぱならない。そのための国家であり都政ではないか。医療崩壊を回避する防衛策こそが喫緊の最大課題である。医療従事者の安全を確保するために金も物資も惜しんではならない。

コロナに関する国民の不安を払拭するには、マスク2枚では足りない。「予想されるいかなる事態においても、重症患者への救命措置に遺漏はありませ」と、トップリーダーが言い切れる態勢を整えることではないか。

そして、国民に安心して休業も外出自粛もできる経済保障もしなければならない。行政がやるべきことをやらずに国民にのみ忍耐を求め、責任転嫁を図るごとき施策には、破綻が見えている。

もう一つ、納得しがたいのは、「5月6日までの、休業・接触機会8割減要請」策の実効性が見えてこないことである。出口戦略が見えてこない、と言ってもよい。要するに、曖昧模糊としたこの構図では積極的な協力のインセンティブに欠けるのだ。

いわゆる西浦モデルは机上の空論に近い。代入する変数次第でどうにでもグラフを描くことは可能で、結論は変わってくる。どうにでも描けるグラフで、一国の重要政策を左右されてはたまらない。アベや小池は、そんな危険な賭けに興じているわけだ。

それより納得しがたいのは、これまでのクラスター潰し戦略との整合性である。感染経路を追うことができない市中感染がこれだけ増えたのだ。PCR検査態勢なり、抗体検査態勢なりの抜本的拡充が必要だと思うのだが、その宣言はない。

そして、アベ・小池の言に従っていても、実は先が見えないのだ。「接触機会8割減」が厳格に実行されたとしても、コロナ禍が終了するわけではない。感染者の人口比割合が、緊急事態宣言が発せられる時点に戻るのがせいぜい、感染拡大の危険性は相変わらずなのだ。

「8割減」政策が、一時的に感染の規模を抑えこんでも、大半の人は未感染で抗体をもたない。その後の感染拡大が繰り返される可能性は極めて高い。この事態、実はアベや小池の言うことを聞いているだけは解決とならないのだ。そのように明確に自覚して、「感染症専門家」だけでなく、多方面の専門家を含む国民的規模の議論で本格的な対策を講じなければならない。

(2020年4月26日)

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