直ちに「聖火」を消せ。《コロナに打ち負かされた証しとしての東京五輪》を中止せよ。
(2021年8月4日)
かつて政権は、東京五輪開催の意義を「人類が新型コロナに打ち勝った証し」とノーテンキに説明した。コロナには勝てそうもないと分かってからはこの開催意義の看板は引っ込められたが、コロナ禍を顧みない無謀な五輪の開催には固執し続けた。五輪開催の意義なんぞ所詮はお飾り、どうでもよいことなのだ。そして、東京五輪開催強行の今、「政権がコロナに打ち負かされた、無能の証しとしての東京五輪」が現実化しつつある。
また、菅は何度も、「安全安心な東京五輪」を強調してきた。「国民の命と健康を守るのは私の責務で、五輪開催を優先させることはない」とも言っている。しかし今、感染爆発のコロナ禍の実態は、東京五輪を「安全安心」の対極のものとしている。取り返しのつかない事態となる前に、直ちに聖火を消せ。《コロナに打ち負かされた証しとしての東京五輪》を中止せよ。
政権も都知事も、そしてバッハも組織委員会も、コロナに打ち負かされたことを潔く認めなければならない。その上で、多くの人の命と健康を守るために、聖火を消して速やかに東京オリンピックを中止し、円滑な事後処理に移行しなければならない。
コロナに負けたことは、バブルの外側でも内側でも顕著である。一昨日以来の、「重症入院患者以外は原則自宅療養」という政府と都の方針変更が、事実上の敗北宣言にほかならない。医療態勢逼迫を超えて、医療崩壊を自白したに等しい。我が国の医療態勢はかくも脆弱だったのだ。
そして、本日の新規感染者数である。東京4166人、全国1万4207人と過去最高になった。これでも第5波のピークは見えていない。本日の閉会中審査・衆院厚生労働委員会で、政府のコロナ対策分科会会長尾身茂は、東京都の新型コロナ感染症の新規感染者数が1日1万人を超える可能性を肯定している。
東京都を中心に医療状況の深刻さは新規感染者数に表れているばかりではない。都内の入院患者数はすでに3351人(3日時点)まで増え、過去最多だった1月12日の3427人に迫りつつある。都で感染拡大時に最大で確保できる病床6406床に対する病床の使用率は2日時点で50%と、最も深刻な「ステージ4」(感染爆発段階)に達した。
また、1週間平均の1日当たり新規感染者数は3337人(3日時点)と過去最多を更新し続けており、入院者数が急増する懸念が生じている。療養者数も2万7千人を超え、自宅療養者数は1万4千人を上回っている。
この事態に、世論の反発は強い。国民は、やる気のない無能な、この政権・この都政を継続させ続ける限りは、自分たちの命と健康が危ないことに気付き始めているのだ。
一方、バブルの内側も、危うい。まずは、「選手村の敷地内で飲酒し騒ぎ」「選手ら複数人か 警察官が出動」という話題。
31日午前2時と言えば、深夜である。東京五輪選手村の警備関係者から「選手村の敷地内で飲酒して騒いでいる人がいる」と、警視庁月島署に連絡があった。屋外の共有スペースで大人数の選手らが、マスクを外し酒を飲みながら騒いでいたという。署員が駆けつけた時にはそれらしい人たちの姿はなく、騒ぎを聞きつけた関係者数十人が現場に集まっていたという。負傷者がいるとの情報もあるが、被害届は出ていない。
なお、選手村では新型コロナウイルス対策で、大勢が利用する共用スペースでの飲酒は禁じられている。違反した場合は競技への出場可否に影響する可能性がある。
この騒ぎで、昨日(8月3日)「組織委員会が、関連する7?8の各国・地域オリンピック委員会(NOC)に注意喚起した」「組織委は、非常に目に余る状況としてNOCに注意をした」と報道されている。具体的なNOC名は明かされていない。騒ぎを主導した選手の所属NOCから謝罪があり、既に競技を終えている対象選手については今大会の離村ルールである「競技後48時間」を待たずに“強制帰国”させる措置を取ったという。また、他にも飲酒騒ぎがあったとする報道が出ている。
さらに本日、「選手村で初クラスター」「ギリシャ、5人陽性」と報じられている。
東京五輪・パラリンピック組織委員会は4日、ギリシャのアーティスティックスイミングの選手4人と関係者1人が新型コロナウイルス検査で陽性が確認されたと発表し、併せて「クラスター(感染者集団)と言わざるを得ない」との見方を示している。5人は東京・晴海の選手村に滞在しており、選手村でのクラスター発生は初となる。これまでの五輪関係者の累計陽性者数は300人を超えた。
バブル方式とは、選手が国外から持ち込んだウイルスを閉じ込め外の世界への感染を防止する狙いだけでなく、反対に外からの選手への感染を防止する効果もあるだろう。しかし、既にバブルの内も外も清浄ではない。日本社会も国際社会も、そして五輪そのものも、完全にコロナに負けているのだ。