澤藤統一郎の憲法日記

改憲への危機感から毎日書き続けています

「安倍9条改憲」を阻止するために

本郷にお住まいの皆さま、ここ三丁目交差点をご通行中の皆さま、私は本郷5丁目に在住する弁護士です。日本国憲法とその理念をこよなく大切なものと考え、安倍首相による憲法改悪の策動を阻止し、さらに憲法の理念を政治や社会に活かすことがとても大切との思いから、志を同じくする地域の方々と、「本郷湯島九条の会」というささやかな会を作って、憲法を大切しようという運動を続けております。

会は、毎月第2火曜日の昼休み時間を定例の街頭宣伝活動の日と定めて、これまで5年近くも、ここ本郷三丁目交差点「かねやす」前で、護憲と憲法理念の実現を訴え続けて参りました。とりわけアベ政権の憲法をないがしろにする姿勢を厳しく糾弾してまいりました。今は、「安倍9条改憲」阻止が私たちの最大関心事です。

昨年・2017年の5月3日憲法記念日が「安倍9条改憲」策動の始まりでした。彼は、志を同じくする右翼団体の改憲促進集会と、これも志を同じくする読売新聞の紙面とで、2020年までに、憲法を改正したいと期限を切って具体的な改憲案を提案しました。

「安倍9条改憲」の内容は、憲法9条の1項と2項は今のままに手を付けることなく残して、新たな9条3項、あるいは9条の2を起こして、自衛隊を憲法上の存在として明記する、というものです。安倍首相は、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えるということになるだけで、この改正で実際は何も変わらない」と繰り返しています。

もし、本当に何も変わらないのなら、憲法改正という面倒で巨費を要する手続などする必要はありません。「自衛隊員が誇りを持って任務を全うできる」か否かは、国民が判断することで首相がしゃしゃり出ることではありません。

実は、「安倍9条改憲」で、憲法の平和主義の内容は明らかに変わるのです。現行憲法9条の1項と2項は、戦争放棄・戦力不保持を明記しています。これをそのままにして、戦争法(安保法制)が成立しました。このことによって、法律のレベルでは、自衛隊は集団的自衛権行使の名目で、海外で戦争のできる実力部隊と位置づけられたのです。しかし、憲法はこれを許していない、今ならそう言えます。

安倍9条改憲を許せばどうなるでしょうか。戦争放棄・戦力不保持の1・2項と、新たに自衛隊を書き込んだ憲法の新条文とが矛盾することになります。その矛盾は、新たな条文に軍配を上げるかたちで収められる危険が高いのです。「後法は新法を破る」という法格言があります。集団的自衛権行使可能な自衛隊の明記が、9条1項・2項を死文化させかねないのです。

それが、安倍晋三とその取り巻きの狙いだと考えられます。彼に欺されてはならないと思うのです。私は、安倍晋三という人物を、嘘つきで卑怯で、信用してはならないと固く信じています。そのことは、モリ・カケ問題での国会審議で、国民の大多数が共有している思いではありませんか。

そもそも、憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めます。これは、立憲主義を明記した条文と理解されています。主権者としての国民が、権力を託した相手である公務員に対して、憲法を守れ、憲法に従えと命令しているのです。

権力者の筆頭の立場にある内閣総理大臣たる者、ひたすらに主権者の命令である憲法を誠実に尊重し擁護する義務を負うのであって、憲法が気に入らないから改正しようなどと言い出してはいけません。

内閣は国会に対して法律案の上程はできますが、もとより憲法改正原案の発議(上程)の権限はありません。憲法改正は本来主権者国民の権限に属するもの、その原案の国会への発議と審議は、最も国民に近い立場にある国会議員が行うべきもので、内閣も総理大臣も改憲手続きには関与しないのが法の構造です。

にもかかわらず、憲法尊重擁護義務を負うはずの安倍首相の改憲意欲表明が、相変わらず旺盛です。ことあるごとに「自衛隊を憲法上の存在として明記したい」と繰り返し発言しています。そして、憲法改正原案の国会上程時期を、「秋の臨時国会を目指して議論を進めてもらいたい」とまで踏み込んでもいます。

たとえば、9月3日、安倍晋三首相は、防衛省で開かれた自衛隊高級幹部会同で180人の自衛隊将官を前に、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える。これは今を生きる政治家の責任だ。私は責任をしっかり果たしていく決意だ」と訓示しています。明らかに、憲法に自衛隊を明記するという改憲意欲を示した発言ではありませんか。

憲法尊重擁護義務を負う首相が、公的な場において公的資格で、厳正な政治的中立性を求められる自衛隊幹部に対して、憲法改正という政治性の高い「訓示」を述べる異様な風景といわねばなりません。

次いで、9月6日朝、安倍首相は、ネット右翼のテレビ番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』に出演して、同様の発言をしています。この番組を作ったDHCテレビは、沖縄の基地建設反対運動への偏見をデマとヘイトで煽った「ニュース女子」を制作したことで有名になった真正右翼の会社。安倍政権を擁護し応援する立場で一貫しています。安倍首相としては、自分の岩盤支持層へのサービスとしての出演なのでしょう。安倍晋三とは何者であるか、とても分かり易い図柄ではありませんか。

さらに、安倍首相は昨日(9月10日)午前、自民党総裁選の共同記者会見で、憲法改正問題に触れて、憲法改正を今後3年のうちに果たしたいと訴えています。当初の20年改正憲法施行からは1年ずれましたが、まだ諦めてはいないのです。

彼は、「もう私は、今回しか総裁選挙に出られませんから。あとの3年で(憲法改正に)チャレンジをしたいと考えております」という言い方。その上で、「自民党総裁として一定の目標を掲げないといけない。秋の臨時国会を目指して議論を進めてほしい」と述べています。前のめりな姿勢。

これに対して石破茂候補が、「理解ないまま国民投票にかけちゃいけません。誠実な努力を着実にやっていく上で、初めてそれが俎上(そじょう)に上るもの」と、クギを刺しています。軍事オタクで、タカ派イメージの強い石破さんをハトに見せる安倍首相の前のめりの姿勢です。

皆様、もしかしたら安倍首相は、「本当にやりたい憲法改正は諦めて、ほんのちょっとだけ、ごくマイルドな改憲提案なのだから、楽々実現できるはず」と思い込んでいたのかも知れません。

しかし、ことは国の将来を左右する重大事です。こんな嘘つきで軽薄な人物に、軽々に国の運命を任せてはなりません。安倍政権を支えている右翼改憲勢力は、「今が千載一遇のチャンス」「アベのいるうち、両院に改憲派議席が3分の2あるうち」の改憲をたくらんでいるのです。

安倍首相がその座を去るか、両院どちらかの改憲阻止派の議席を3分の1以上にすれば、憲法と平和の危機を乗り越えることができます。みなさま、ご一緒にその声を大きくしようではありませんか。
(2018年9月11日・連続更新1990日)

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