2019年2月18日・月曜日。京成上野から、早朝5時58分のスカイライナー001号で、旅が始まる。成田発のアシアナ航空便で仁川へ。本日から22日までの4泊5日。月曜の朝から金曜の夕刻まで、一衣帯水の国の首都の周辺の旅。
昨年に続いて、日本平和委員会が企画した「韓国ピースツアー」に参加している。総勢35人の大所帯。一人旅では経験できない、現地の平和運動や市民団体との交流が盛り沢山。観光スケジュールは一切ない。
ツアー名にサブタイトルが付いている。「日本の植民地支配から解放されて73年。南北に分断された朝鮮半島の平和と非核化をめざす民衆の運動が躍進する国へ!」という。
旅のセールスポイントは、以下のとおり。
1 キャンドル革命・ソウル市民民主主義がもたらした変化を市民との交流で学ぶ。
2 南北会談以降の軍事境界線を訪問
3 日本軍「慰安婦」問題解決へ向けた連帯と在韓日本領事館前での「水曜集会」デモに参加
4 在韓米軍基地の実態と被害、基地強化の反対を掲げる平和団体との交流
5 韓国の歴史と文化にもふれる
昨年同様、今週の月曜から金曜日までの5日間、憲法日記を書く暇はない。手許にパソコンもない。そこで、今日から5日間は、全て事前に書きためた「予定記事」の掲載である。
今回も、親しい吉田博徳さんからのお誘いに応じての参加。吉田さん、97歳にして矍鑠そのものである。今回のツアーの副団長を務める。
ところで、本日(2月18日)の見学地の一つに、「閔妃暗殺の現場」がある。景福宮の一角。1895年10月8日、日清戦争終了後間もなく、ここで閔妃が殺害されている。李氏朝鮮の第26代王・高宗の正妃である。明成皇后との尊号をもつ人物が、日本公使と軍の策謀によって、暗殺された。これが、乙未事変である。
高宗は「心やさしく温和だが性格が弱く人の言いなり」「意志薄弱」(イザベラ・バードの評)と評される人。高宗の父・大院君が親日派、閔妃が親露派の頭目として、両派が激しい抗争を繰り広げた。閔妃の親露派が優勢となるや、日本公使三浦梧楼(大使はいない)や軍事顧問岡本柳之助らが、親露派の閔妃を排除するための実力行使に出た。これに、大院君派などの朝鮮人が加わった暴徒が王宮内に乱入し、閔妃は景福宮・乾清宮内で斬殺され、遺体は焼却された。この狼藉も、結局親日派の大院君を復権させることには成功しなかった。
なお、三浦梧楼ら48名は謀殺罪等で起訴され、また軍人8人が軍法会議にかけられたが、証拠不十分で免訴となり釈放されたという。
喩えて言えば、日本に軍隊を置く某国大使が画策して、その国の在日軍隊が暴徒とともに皇居に乱入して皇后を殺害した、というこの上ない狼藉。朝鮮の民衆が怒ったのは当然だろう。
かつての日本が、朝鮮に何をしたかの、歴史的事実の一コマ。日本人はこの事件をどれだけ深刻な問題として認識しているだろうか。
(2019年2月18日)
えらく、待たせられますな。いつものことですがね。
きちんと予約制にしてもらいたいものですね。
でも、毎回、ここで結構知らない人とのお話しが弾んで、楽しいこともあるんですよ。
最近、楽しい話題なんて思い当たらないじゃないですか。
児童虐待だの、イジメ自殺だの、統計偽装だの…。
そうなんですよ。私は去年、定年になったんですが、それまではテレビの国会中継なんて観る暇もなかった。今は、よく観るんですが、政府のいい加減さには、ほとほと呆れて腹が立ちますね。
安倍さんの政治は確かにひどい。でも、安倍さんに限らず、アメリカも中国も、イギリスもみんなひどい。韓国もひどいじゃないですか。
韓国の何がひどいんですか。
韓国の国会の議長が、天皇陛下に謝罪を要求したでしょう。天皇陛下に謝罪を、ですよ。怪しからん話じゃないですか。
天皇への謝罪要求はどうして怪しからんのでしょうか。安倍首相は12日の衆院予算委員会で、「甚だしく不適切な内容を含み、極めて遺憾である旨、厳しく申し入れた。強く抗議するとともに、謝罪と撤回を求めた」と怒って見せています。河野太郎外相も同委員会で、「極めて無礼な発言だ」とは言うのですが、何がどうして無礼で、甚だしく不適切なんでしょうかね。
国会議長の発言の中に、天皇を指して『戦争犯罪の主犯の息子ではないのか』という言葉がありましたね。あれが、日本の国民を刺激したのではないでしょうか。
そう、天皇陛下を「戦争犯罪の主犯」、今上陛下を「戦犯の息子」なんて、日本人なら許せないと思うのが当たり前。
そうでしょうかね。天皇が戦争を始め、天皇の軍隊が近隣諸国に攻め入って人々を殺し、天皇の役人が徴用工を募集し、天皇の軍人が強制力を用いて慰安婦を募集して管理した。天皇が、侵略戦争と植民地支配の最高責任者であることは、ごまかしも言い逃れもできない事実でしょう。その戦争や植民地支配に伴う数々の戦争犯罪について、天皇を「戦争犯罪の主犯」と言って、ちっともおかしくないと思いますが。
東京裁判でも、天皇陛下は裁けなかった。陛下に責任はなかったからですよ。
当時、GHQは天皇を占領統治に使おうとしていました。日本を反共の防波堤にしたいという思惑もあった。だから、かなり無理をして、訴追を避けたのではないのでしょうか。
それでも、少なくとも現在の天皇陛下には何の責任もないはず。その陛下に謝罪要求の根拠はあり得ません。
ここに、新聞記事がありますが、こんな風に報道されていますね。
「文喜相氏は『日本を代表する(安倍)首相から(謝罪の)一言でいい。近く退位されるのだから、天皇がそれを行うことを願う』とし、陛下は『戦争犯罪の主犯の息子ではないのか』と指摘。『そのような人が、高齢の元慰安婦の手を握り本当に申し訳なかったと言えば、これを最後に問題は解決する』と語った」(10日付各紙=共同配信)
朝日新聞は、「文氏は(天皇に関し)『戦争犯罪』という表現は使っておらず、『戦争当時の天皇の息子』と述べたと思う」と共同配信の記事の一部を否定したとしています。
正確に言えば、ストレートな「謝罪要求」ではないのですね。でも、親のしたことを子に謝らせる、という発想に違和感がありますね。
敗戦後の日本国民自らが戦争責任追求をしてこなかったことが諸悪の根源となっているように思います。韓国など被害国の側から見れば、あの被害や屈辱を与えた日本が、本心から謝罪したことはない。だから、問題が片付かないまま、現在に至っている。
今できる解決のための謝罪の仕方として考えられるのは、首相か天皇かのどちらかだろう。安倍首相は、人格的に大いに問題のある人物だから、この人に謝られたところで真摯の謝罪だとは受け取りにくい。ならば、天皇の謝罪を、ということではないでしようか。気持ちはよく分かる。
しかし、安倍さんも、国会で言っていましたよね。「今回の(文・韓国国会議長の)発言に多くの国民が驚きかつ怒りを感じたと思う」と。多くを言う必要はないんじゃないでしょうか。私もそう思いますよ。
実は、それこそが一番深い、根本にある問題ではないでしょうか。あの戦争は、天皇の命令で行われた戦争でした。神である天皇が神国日本を防衛するためとして、臣民に命じて他国を侵略した奇妙な戦争。その敗戦の責任を天皇自らがとろうとはせずに生き延びた。その天皇を日本国民が責任追及することなく、天皇制を残してもいる。ナショナリズムの中心に、常に天皇が位置し続けている。
たしかに、韓国との問題となると、排外的なナショナリズムを感じますね。天皇が絡むと一段とその色が濃くなる。安倍さんや河野さんの立場としては、天皇の神聖を傷つける無礼は許せないと言うわけなのでしょうね。
右翼がそう言うのは度しがたいところですが、政権が右翼と同じことを言ってはならんと思います。
でも、今上陛下は、追悼と鎮魂の旅を続けこられた。戦争を反省する立場でも一貫しておられる。国民からの支持は当然ではありませんか。
ああ、現天皇の追悼と鎮魂は、皇軍の将兵に対する限りですね。けっして、侵略された側、敵とされた側の将兵に対する追悼と鎮魂はない。それから、現天皇が昭和天皇の戦争責任に言及したこともありません。
もちろん天皇(明仁)が、これまで朝鮮の元「慰安婦」にも、元徴用工にも、創氏改名を強制された多くの人々にも、謝罪したことはありません。
では、退位を目前にした天皇が、いま、元「慰安婦」や元徴用工に謝罪すべきだとお考えですか。
わたしは、それは明らかに天皇の政治利用だと思います。象徴天皇とは、存在するだけのもので、機能すべきものではない。役に立ってはいけないと思うのです。
ほう、ずいぶんお堅い。私は、日韓関係改善の役に立つのなら、内閣の責任できちんと謝罪させればよいと思いますがね。
韓国議長の発言は、大きな問題を投げかけています。私たちは、過去の朝鮮侵略の歴史をきちんと想起することで、これを受けとめなければならないと思います。重要なことは、今にして未解決な慰安婦問題や徴用工問題や天皇の責任問題を考えることであって、天皇の謝罪の是非ではないと思うのです。
おや、呼出がありました。お先に失礼。
(2019年2月16日)
「3・1独立運動」から間もなく100年。今月下旬、そのゆかりの地を訪れる旅に、私も参加する。現在の日韓関係の軋みの来歴としても、韓国の民主運動の源流としても、100年前のこの事件を把握しておきたい。
本日(2月10日)、日朝協会東京都連が主催する「新春の集い」。その記念講演が、「3・1独立運動は私たちに何を語りかけるか」という表題で、講師は趙景達氏(朝鮮民衆史・千葉大教授)。この講演を聞きいて少なからぬ衝撃を受けた。自分の中の常識が覆された。
今日の企画のポスターに、「朝鮮半島で100年前に起きたこと」「それは、東京・神田で始まった」「苛酷な植民地支配に抗して朝鮮民族は平和な万歳デモで立ち上がった。現代のキャンドルデモのように」とある。これが常識的な理解。
韓国では3月1日は、三一節として祝日に指定されている。本日の集会の主催者挨拶でも触れられたが、現在の大韓民国憲法の前文にも、「3・1運動」が明記されている。その冒頭を引用すれば、以下のとおり。
悠久な歴史と伝統に輝く我々大韓国民は、3・1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統と、不義に抗拒した4・19民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚して、正義・人道と同胞愛で民族の団結を強固にし、全ての社会的弊習と不義を打破し、自律と調和を土台に自由民主的基本秩序をより確固にし…、
「3・1運動で建立された大韓民国臨時政府」とは、3・1運動後、中華民国の上海市で結成された朝鮮の独立運動組織である。その中心の活動家として、李承晩・呂運亨・金九らの名が知られている。なお、「不義に抗拒した4・19民主理念」とは、李承晩政権を打倒した1960年の「4・19学生革命」をいう。
その歴史的な「3・1独立宣言書」への署名者は33名。宗教別に選定された代表者として、天道教15名、キリスト教16名、そして仏教から2名。この33名を指して「民族代表」という。
1919年3月1日午後。ソウル市内のタプコル公園(旧名・パゴダ公園)に集まった群衆の前で、「3・1独立宣言書」が読み上げられ、群衆は歓呼をもってこれに応じた。宣言文は、かなりの長文だが、冒頭は以下のとおり。
吾らはここに、我が朝鮮が独立国であり朝鮮人が自由民である事を宣言する。これを以て世界万邦に告げ人類平等の大義を克明にし、これを以て子孫万代に告げ民族自存の正当な権利を永久に所有せしむるとする。
タプコル公園に集まった群衆は、「独立万歳」を称えて、市内をデモ行進し、この熱狂はたちまち全国に伝播する。知識人の唱導する理念に民衆が賛同して運動をともにする美しい構図。そのように見える。そして、非暴力を理念とした「独立万歳」の運動は日本の軍と警察による苛酷な弾圧を招くことになる。
かつて、タプコル公園を訪れたときに、この民族代表33名を代表する人物の像を見た。名前は覚えられなかったが、これが孫秉熙(ソン・ビョンヒ) である。東学を「天道教」と改称した、教団の教主であった人物。即日、警察に逮捕され、懲役3年の刑を宣告されている。
本日の趙景達教授の講演では、この孫秉熙を独立運動のヒーローと見てはならない、と言う。のみならず、民族代表33名は、3・1運動を指導していないともいう。
本日配布のレジメには、思いがけない文章が並ぶ。
・3月1日における民族代表の背信
→独立宣言を行うはずのパゴダ公園に現れずに料理店で祝杯を挙げて自首する。 →学生と民衆を排除
・民族代表をめぐる評価の問題
→野心を秘めた民族代表の僭称
→愚民観と民衆不信に立つ民族代表
・孫秉熙の民衆・国家観
→本来総督府に協力的で韓国併合も仕方ないとしていた
→独立運動を当初から否定し、天道教徒に天皇の臣民になることを説いていた
3・1運動についてのイメージが崩れるが、問題はもっと大きい。
同教授は、「3・1運動の論理」に関して、知識人と民衆とは違うことを強調する。民族代表は知識人の論理の典型だったが、その限界は明らかで、統治者である日本の官憲には恐い物ではなかった。
「知識人に指導される民衆」ではなく、「民衆の運動を自律的なものとしてとらえる視点」が必要。これが本日講演のメインテーマであったと思う。
講演では、3・1運動では、「おずおずした臆病な民衆ナショナリズム」が解放されて、知識人の思惑を越えて猛威を振るった、という。その「民衆ナショナリズム」は1945年8月15日の日本の敗戦で再び燃え上がり、日帝に禁止されていた白服の民衆が万歳を叫んで街頭で乱舞したという。このときには、「おずおずした臆病なナショナリズム」ではなかった。
講演の骨格は、この集会の主催者が期待した、「苛酷な植民地支配に抗して朝鮮民族は平和な万歳デモで立ち上がった。現代のキャンドルデモのように」というものではなかった。さて、100年前の民衆の運動が、今にどう生きているのだろうか。知識人の運動の論理と民衆の論理を分ける考え方は有効なのだろうか。
問題の未整理、未消化のまま、現地を旅することになりそうだ。何か、答が見つかるだろうか。
(2019年2月10日)
マリーモンド(MARYMOND)をご存知ですか?
ええ、実は最近知りました。これまでは、そんな言葉もそんなブランドがあることもまったく知りませんでした。でも、急に有名になりましたね。
私も詳しくは知らなかったのです。あらためてネットで検索してみたら、ステキなサイトが開けました。
https://www.marymond.jp/
なかに、こんなページがあります。
Donation
社会貢献するソーシャルビジネス
マリーモンドは韓国の若者たちが立ち上げた
ライフスタイルブランドです。
社会貢献するソーシャルビジネスとして
今、世界中の若者たちに愛されています。
売り上げの一部は、「慰安婦」被害者女性たちや
虐待被害児童への支援に寄付されています。
マリーモンドジャパンでご購入されると
売り上げは経費をのぞく全てが
性暴力問題解決のためのプロジェクトに使用されます。
そんな素敵なベンチャーなら、応援したくもなりますね。
私も、こんな言葉を見つけました。
負けずに堂々と 宋神道さん
花ハルモニ
「花ハルモニ」は、日本軍「慰安婦」被害者であるハルモニたちに、一人一人の特徴に合った花をマッチングさせることで、ハルモニの尊さを浮かび上がらせる、
マリーモンドのヒューマン・ブランディング・プロジェクトです。
昔の絵の中にしばしば登場し、長い間、私たちの
近くにいたセキチクは、1年中負けずに花を咲かせます。
固いものを柔らかくしてしまうセキチクの種と、
岩にも花を咲かせる姿は、負けない強い気持ちを持ち続けた
宋神道さんを思い出させます。
ハルモニは韓国語で親しみを込めた「おばあさん」の意味ですね。日本軍「慰安婦」被害者だった在日の宋神道(ソン・シンド)さんのことをセキチクにたとえて、「花おばあさん」と言っているのですね。
このブランドの商品は、携帯電話のケースや布製のバッグ、それに文房具や小物類。何かを買って応援したい気持になりますよね。
このブランド、これまでも、話題にはなっていたようです。でも、突然有名になったのは、「チェジュ航空の日本協力企業が韓国人職員に対し、勤務地では日本軍慰安婦被害者を後援するブランド『マリモンド(MARYMOND)』のカバンを持たないよう指示していたことが分かった。」というニュースがあって以来のこと。
少し調べてみたのですが、このニュースは、1月28日にソウル新聞が初めて掲載し、この記事をもとに29日の韓国有力紙・中央日報が大きな記事にし、それを30日に共同通信が日本の各メディアに配信したという経緯のようですね。
31日の夕方に、「韓国人空港スタッフへの『慰安婦支援ブランド禁止』令。企業はどこまで縛れるのか」という、Business Insider Japanの行き届いたネット記事が掲載されています。これで、問題点が過不足なく理解できます。
https://www.businessinsider.jp/post-184309
中央日報の見出しが、「チェジュ航空の日本協力企業 『慰安婦後援ブランドのカバン持つな』」というものでした。共同通信記事の見出しは、「成田の航空業務企業 勤務中の慰安婦支援製品所持禁止」。穏やかではありませんね。
この日本協力企業というのは、成田空港でチェジュ航空のアウトソーシングを請け負っているFMGという会社。そして、「マリーモンドブランドのカバンを持つな」と言われたのが、この会社で働く韓国人の地上職スタッフの女性。日本企業と韓国人労働者が慰安婦問題をめぐって対立、という構図となったわけです。日韓関係の微妙な時期に、もう一つの火種となったのが残念です。
中央日報記事のリードの日本語訳が、(FMGは)「日本の空港に勤務するチェジュ航空担当のグランドスタッフ(地上職)に『マリモンドのカバンを持つな』と禁止令を下した。」という、ややトゲトゲしい表現ですね。さらに、「『会社は政治的・宗教的意味を込めた物を許可していない』と公示した。」というのですから、韓国の人々の、日本の企業はそこまでやるのか、という気分が伝わってきますね。
日本側の反応ですが、共同通信がこの件を報じるとTwitter上には「思想警察、一歩手前」「『トラブルを避けたい』だけの過剰反応」などFMGの判断を疑問視する投稿が多く見られたということです。中には「ディオール製品を見かけたら『フェミニズム支援のブランドではないか』と苦情を入れるのか。苦情が入ったらディオールの所持を禁止するのか」などの意見もあったとか。会社が、慰安婦問題だから、神経を尖らしたと受けとめられています。
ニュースで指摘されているとおり、そのカバンには政治的なスローガンや元慰安婦の女性たちを支援していると分かるような具体的なメッセージが記されていたわけではありません。それでも会社が禁止したのはどうしてなんでしょうかね。
問題の発端は、「スタッフがマリーモンドのバッグを持っているのを見た社外の人物から『慰安婦支援のブランドではないか』などの指摘があった」ことだそうです。「社外の人物」が何者かは明らかにされていません。会社の過剰反応だった印象ですね。「社外の人物」からの指摘を恐れる雰囲気が問題ですね。何の対応もしないことで、大きな非難を受けることになると考えたのでしょう。
問題は、それだけでなく、スタッフの労働環境にもあったようですよ。ソウル新聞とのインタビューで、この労働者は「慰安婦おばあさんを後援する会社のカバンだから持つなというのは不合理ではないかと思った。だが、入社1年内に退社するとひと月分の月給より多い違約金を支払うことになっている雇用契約のため、異議を提起できなかった」「日本人上司が持続的に『まだカバンを変えていないのか』と指摘し、結局カバンをショッピングバッグに入れて持ち歩いた」とのことです。
これはひどい話。「入社1年内に退社するとひと月分の月給より多い違約金」というのは、労働基準法第16条「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」に違反します。もちろん、民事的には無効ですし、罰則もあります。労基法第119条で、「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」に処せられます。成田の中にある労働組合と連絡をとって、労基法違反を確認のうえ、労働基準監督署に申告すべきでしょうね。
FMG問題はそのくらいにして、マリーモンドのことを。「I MARYMOND YOU」という言葉をつくっているそうです。「あなたは今日も尊く美しい」という意味として。
慰安婦問題を支援するにふさわしい、品格と美しさを感じます。
Business Insider Japanの記事の最後が、「今の私たちは隣人にとって尊敬される存在だろうか。」という問いかけで締めくくられています。記者は、マリーモンドの品格に較べて日本社会の対応の品格のなさを嘆いています。
「隣人にとって尊敬される存在」になることは難しいでしょうね。尊敬されずとも、対等に仲良くしたいものです。せめて、粗暴だと恐れられたり、非情で冷酷などと思われぬようでありたいと思いますよ。
それにしても、FMGへの通報者と、FMGの頑なな対応のおかげで、私もマリーモンドの存在を知りましたし、マリーモンド応援の気持になりました。きっと多くの人が、マリーモンドファンになってくれると思います。
(2019年2月4日)
情報通の友人から、こう聞かされた。
安倍首相は、「衆議院の解散・ダブル選挙など、頭の片隅にもない」と繰りかえしている。しかしあれは、「ダブル選挙は、ワタシの頭の片隅にあるんじゃない。頭のドマンナカにあるんだ」と理解しなければならない。最近、多くの野党議員がそう言い始めた。
先日の日民協執行部会でのこと。今年7月21日参院選の重要性が語られた。安倍改憲の成否も、安倍内閣の消長も、この選挙の結果にかかっているという認識で異論がない。改憲を阻止するためには、この選挙での野党勢力の共闘態勢をつくらなければならない。その対抗策として、10月予定の消費増税を先送りを発表して、あるいは6月の「大阪G20」で何らかの成果を上げての衆議院解散・衆参同時選挙の目は本当にないのだろうかと話題になって、この発言を聞かされた。
その真偽のほどは分からないが、「ご飯論法の、あのアベの言うことだ。信用できるはずはない」ことには、一同納得だった。「アベの言うことだ。信用してはならない」は、野党議員だけではなく、今や天下の共通認識と言ってよい。
1月19日(日)は、毎月19日(「戦争法」成立の日)と予定された定例の国会前抗議集会だった。統一のプラカードはなく、参加者が手にしていたのは、それぞれの思いを絵にし、文章にした手作りのプラカード。圧倒的に目立ったのが、「嘘つき晋三」「ごまかし内閣」「記録改竄隠蔽政府」「政治の私物化を許すな」というものだった。
これだけ多くの国民から、「嘘つき」「ごまかし」と呼ばれる一国の政治的リーダーも珍しいのではないだろうか。「嘘つき晋三」と「フェイク・トランプ」、朋友仲良きも少しも麗しくはない。
安倍政治は、政治的な理念や政策以前の問題として、国民から信を措けないと烙印を押されているのだ。一国の政治は「信なくば立たない」。安倍政治は現に、立っていない。一見まだ立っているように見えるのは、無自覚・無関心層が支えているという錯覚でしかない。
さて、信の措けない安倍政権の数々の問題の内、韓国の広開土大王艦(駆逐艦)が自衛隊P1哨戒機にレーダー照射をしたとされる件。これだけは、自衛隊側の言い分が事実だと思い込まされていた。だから、安倍晋三が強気で映像を公開したのだと。
しかし、公平な目で見るとこれも大いに怪しいという。教えられて、ハーバービジネス・オンラインというサイト(運営主体は、あの「扶桑社」)に掲載された、牧田寛氏の下記の記事に目を通した。これは衝撃的な内容。もちろん、この記事も結論を単純に断定していない。軍事機密の壁に阻まれて断定的な判断は困難という。しかし、明らかなことは、日本側の情報はフェイクだらけ。韓国の言い分の方が、遙かに一貫していて説得力があるというのだ。日本のメディアの甘さを嘆いてもいる。「レーダー照射問題」を論じるには、ともかくこのサイトを読みこなしてからのこととしなければならない。
慰安婦問題も、徴用工判決も、そしてレーダー照射事件も、なんと我々は権力によって誘導されやすい環境に置かれていることか。背筋が寒くなる。こんなことで、嫌韓世論や民族差別感情の形成を許してはならない。もしかしたら、安倍内閣は、ナショナリズム昂揚の世論誘導実験をしているのではないだろうか。やはり、「アベの言うことだ。まずはウソだろう」と、疑う姿勢が正しいのだ。
2019.01.08
日韓「レーダー照射問題」、何が起きていたのか、改めて検証する
https://hbol.jp/182872
2019.01.12
日韓「レーダー照射問題」、際立った日本側報道の異常さ。そのおかしさを斬る
https://hbol.jp/183226
2019.01.15
レーダー照射問題、「千載一遇の好機」を逃したかもしれない「強い意向」
https://hbol.jp/183410
2019.01.18
日韓「レーダー照射問題」、膠着状態を生み、問題解決を阻む誤情報やフェイクニュース
https://hbol.jp/183653
2019.01.21
レーダー照射問題、韓国国防部ブリーフィング全文訳からわかる、日本に跋扈するデマの「曲解の手法」
https://hbol.jp/183842
(2019年1月23日)
30日以内
石川逸子
2019年1月13日
元徴用工訴訟をめぐって
日本政府は 1965年の日韓請求権協定に基づく
協議再開要請への返答を
30日以内に出すよう 韓国政府に求めた
植民地下 日本男性を根こそぎ徴兵したことから
労働者不足となり
一家の働き手 若い朝鮮人たちを
力づくで 脅して 軍事工場へ 飛行場へ 鉱山へ
拉致してきた 大日本帝国
自らの意思で会社と契約した労働者なんかじゃない
いわば奴隷だったのだ
思い出す
1944年9月 徴用令書の公布を受け
「給料の半分は送金する 逃げれば家族を罰する」
と脅され はるばる郡庁に集まり
軍人の監視を受けながら
貨車で釜山へ 連絡船で下関 汽車で広島の工場へ
12畳の部屋に12人詰めこまれたという
在韓被爆者たちの訴えを
思い出す
「ヤミ船でやっと帰国してみたら
送金はなく 赤ん坊が餓死していました」
「朝鮮総督府になにもかも供出して
屋根のない家に家族がいました」
「爆風で怪我し 体調ずっと悪く 今も息苦しくてたまりません」
口々に訴えたひとたちを
思い出す
「小学校時代
日本語をしゃべらないと殴られた
戦争末期には食器まで銃にすると取り上げられた」
と言ったひとを
「豊臣秀吉の朝鮮侵略を讃える授業が辛かった」
と言ったひとを
むりやり連れてこられたのに
自力で帰るしかなかったから
ヤミ船で遭難し 海の藻屑となったひとたちもいた
劣悪な食事に抵抗して捕らわれ
広島刑務所で獄死したひともいた
待てど待てど 戻らない夫を待ち
老いてもなお戸口に立ち尽くす妻もいた
それらひとりひとりの憤懣に 恨に
思いをいたすこともなく
30日以内と 居丈高に迫ることができるのか
「協定は国と国との約束
個人請求権はなくなりません」
これまでの国会での政府公式見解を
あっさりと 闇に葬り
期限を切って回答をせまる ごう慢に 無礼に 気づかないのか
思い出す
かつて日清戦争前夜
1894年7月20日
朝鮮政府に
受け入れるはずもない4項目の要求を突きつけ
同月22日までの回答を迫った
日本政府を
―京城・釜山間の軍用電話架設
―日本軍のための兵営建設
―牙山駐留の清軍を撤退させる
―朝鮮独立に抵触する清との諸条約の破棄
翌23日深夜
回答がえられないのを口実に
他国の王宮の門を オノやノコギリで打ち破り
王宮を力づくで占領し
国王夫妻・王子を幽閉し 財宝も奪った
日本軍
朝鮮人なら思い出すであろう
腹が煮えかえる歴史を
再び繰りかえすつもりでもいるのか
相手あっての交渉の日時を
30日以内など
一方的に要求するとは!
韓国人留学生が言っていた
「日本の書店には
反韓反中の本があふれていますが
韓国には反日の本など並んでいませんよ」
恥ずかしい国の
一主権者であることを恥じながら
小さな新聞記事を切り抜く
????????????????????????????????????????????????????? ―2019・1・16
日本政府のあまりの無礼な態度に呆れ、拙い詩を作りました。
ご笑読くださいませ。 石川逸子
**************************************************************************
石川逸子さんは、第11回H氏賞受賞の詩人。受賞歴で紹介されることを快しとする方ではないが、紹介者が俗物だからお許しいただきたい。訴える術のない、無数の被爆者や「日本軍慰安婦」や戦没者たちを代弁して、その怒りや悲しみを詩にしてこられた。「日本軍『慰安婦』にされた少女たち」 (岩波ジュニア新書)など、多数の著書もある。
その石川さんが、元徴用工訴訟大法院判決への安倍内閣の対応に怒った新たな詩を書いた。1月13日の出来事を読み込んだ詩が16日の作となり、昨夜(19日)友人からメールで転送されてきた。歴史を踏まえての、「時事詩」でもある。
なお、作中にある「日清戦争前夜」の史実について、若干の解説を記しておきたい。
日清戦争は、日清両国の朝鮮に対する覇権の争奪戦だった。その陸戦は、牙山(韓国・中西部の都市)に籠もる清国軍を日本軍が攻撃したことを発端としている。
外交上、日本としては清国軍攻撃の口実が必要だった。その策を講じたのが、当時時の朝鮮公使・大鳥圭介だった。1984年7月20日午後、同公使は朝鮮政府に対しての申し入れをしたが、そのなかに「牙山駐留の清軍を撤退させる」との要求があった。この要求は、朝鮮が清軍を退けられないのであれば日本が代わって駆逐する意と解されていた。
回答期限の22日夜半の朝鮮政府の回答を不満として、23日未明日本軍は駐屯地龍山から漢城(ソウル)に向け進軍を開始。電信線を切断して、朝鮮王宮を攻撃し占領した。こうして日本は国王高宗を支配下に置き、大院君(高宗の実父)を再び担ぎだして新政権を樹立させた。そして新政権に対して牙山の清軍を掃討するよう日本に依頼させた。直ちに日本軍は牙山に向けて進軍し、本格的な陸戦は同月29日に始まり、その後8月1日に至って日清両国が宣戦布告をしている。
つけ加えれば、大鳥圭介は同年10月に朝鮮公使を解任されている。日清戦争後の1895年9月1日に朝鮮公使に就任したのが三浦梧郎。同年10月8日に、景福宮に押し入っての閔妃暗殺を指揮している(乙未事変)。日本は、日清戦争の前後に朝鮮の王宮に押し込み狼藉を働いているのだ。
(2019年1月20日)
本日(1月14日)は「成人の日」。数少ない、天皇制とは無縁の、戦後に生まれた祝日。「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」日(祝日法)とされている。関東は天気も晴朗。「みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」にふさわしい日となった。私も、この日に、若者諸君に祝意と励ましの言葉を贈りたい。
何をもって「成人」であることを自覚するかは、社会によって時代によって異なる。かつての日本では徴兵検査だった。その時代、すべての成人男子には否応なく兵役の義務が課せられた。男子にとって大人になるとは、天皇の赤子として、天皇の軍隊の兵士になる義務を負うことだった。軍人勅諭を暗唱し、行軍と殺人の訓練を受けた。戦地に送られ、命じられるままの殺戮を余儀なくもされた。
その時代、主権は天皇にあって国民にはなかった。立法権も天皇に属し、帝国議会は立法の協賛機関に過ぎなかった。女子には、その選挙権も被選挙権もなかった。その時代、天皇制を支えた家制度において女性は徹底的に差別され、民事的に「妻は無能力者」とされていた。
あり得ないことに、天皇は神を自称していた。もちろん、神なる天皇は操り人形に過ぎなかった。この天皇を操って権力や富をほしいままにした連中があって、その末裔が今の日本の保守政治の主流となっている。
天皇、戦争、女性差別は一体のものだった。そのような非合理な国は亡ぶべくして亡びた。国の再生の原理は、新しい憲法に確固として記載された。国民主権、平和、そして自由と平等である。徴兵制はなくなった。天皇に対する批判の言論も自由である。女性差別もなくなった…はずである。その憲法の「改正」をめぐって、いませめぎ合いが続いている。
平和も、国民主権も、性差のない平等も、言論の自由も、昔からあったものではない。これからずっと続く保障もない。現実に、憲法は一貫して「改悪」の攻撃に曝されている。徴兵検査のない成人式も、主権者の意識的な努力なければ、今後どうなるか定かではない。
私たち戦後間もなくの時代に育った世代は、日本国憲法の理念を積極的に受容して、今日までこの憲法を守り抜いてきた。しかし、この憲法をよりよい方向に進歩させることは今日までできていない。いま、せめぎ合っているのは、憲法を進歩させようという改正問題についてのことではない。大日本帝国憲法時代の「富国強兵」の理念を復活させようという勢力が力を盛り返そうとしているのだ。言わば、「成人男子には徴兵検査を」という時代への方向性をもった「憲法改悪」なのである。
今の若者は保守化していると言う言葉をよく聞く。しかし、今のままでよいじゃないかというほどの社会はできていない。今のままでは将来が不安だと若者たちも気付いているはずだ。
この世の不正義、この世の不平等、権力や資本の横暴、人権の侵害、平和の蹂躙、核の恐怖、原発再稼働の理不尽、沖縄への圧迫。格差貧困の拡大、過労死、パワハラ、セクハラ…。この世の現実は理想にほど遠い。若さとは、この現実を変えて理想に近づけようという変革の意志のことではないか。
若さとは将来という意味でもある。社会がよりよくなればその利益は君たちが享受することになる。反対に社会が今より悪くなればその不利益は君たちが甘受しなければならない。
君たちには多様な可能性が開けている。未来は、君たちのものだ。君たち自身の力で、未来を変えることができる。これから長く君たちが生きていくことになるこの社会をよりよく変えていくのは君たちだ。
さて、今年は、選挙の年だ。君たちの一票が、この国の命運を決める。とりわけ7月に予定の参院選。いまは、自・公・維・希の改憲勢力が、かろうじて議席の3分の2を占めている。この3分の2の砦を突き崩せば、安倍改憲の策動は阻止することができる。君たちの肩に、主権者としての責任が重くのしかかっている。
投票日だけの主権者であってはならない。常に、主権者としての自覚をもって、民主主義や人権・平和のために何ができるかを考える人であって欲しいと思う。
一つ、主権者としての自覚における行動を提案したい。DHCという、サプリメントや化粧品を販売している企業をご存知だろうか。その製品を一切購入しない運動に参加して欲しい。商品の積極的不買運動、ボイコットでこの企業に反省を迫ろうというのだ。
DHCとは、デマとヘイトとスラップをこととする三拍子揃った企業。その会長である吉田嘉明が在日や沖縄に関する差別意識に凝り固まった人物。電波メディアを使って、デマとヘイトの放送を続けている。そして、吉田嘉明とDHCは、自分を批判する言論に対するスラップ(言論抑圧を動機とする高額損害賠償訴訟)濫発の常習者でもある。詳しくは、当ブログの下記URLを開いて、「DHCスラップ訴訟を許さない」シリーズをお読みいただきたい。
https://article9.jp/wordpress/?cat=12
あなたがなんとなくDHC製品を買うことが、デマとヘイトとスラップを蔓延させることになる。あなたの貴重なお金の一部が、この社会における在日差別の感情を煽り、沖縄の基地反対闘争を貶める。また、安倍改憲の旗振りに寄与することにもなる。
言論の自由を圧迫するスラップ訴訟は、経済合理性を考えればあり得ない。しかし、DHCの売り上げの一部が、こんな訴訟を引き受ける弁護士の報酬にまわることにもなる。
DHC製品不買は、「消費者主権」にもとづく法的に何の問題もない行動。意識的にDHC製品を購入しないだけで、この社会からデマとヘイトとスラップをなくすることができる。若者たちに訴える。ぜひ、主権者としての自覚のもと、「DHC製品私は買わない」「あなたも買っちゃダメ」と多くの人に呼びかけていただきたい。投票日だけの主権者ではない、自覚的な主権者の一人として。
(2019年1月14日)
河野タロウでございます。
日韓請求権・経済協力協定の理解に関して、ミスリーディングなニュースや解説が流されています。まことに遺憾なことで、この機会に丁寧な説明をしておきたいと思います。
しんぶん赤旗電子版は、2018年11月15日号にこう記事を掲載しています。
『河野太郎外相は14日の衆院外務委員会で、韓国の元徴用工4人による新日鉄住金に対する損害賠償の求めに韓国大法院(最高裁)が賠償を命じた判決(10月30日)をめぐり、1965年の日韓請求権協定によって個人の請求権は「消滅していない」と認めました。
日本共産党の穀田恵二議員への答弁。大法院判決について「日韓請求権協定に明らかに反する」としてきた安倍政権の姿勢が根本から揺らぎました。』
しかし、「個人の請求権は消滅していない」ということは以前から答弁していることですし、個人の請求権は救済されないということにはなんら変わりはないわけですから、何かが根本から揺らいだわけではなく、極めてミスリーディングです。
さらにこの記事は続けて、こう言っています。
『また穀田氏は、大法院判決で原告が求めているのは、未払い賃金の請求ではなく、朝鮮半島への日本の植民地支配と侵略戦争に直結した日本企業の反人道的な不法行為を前提とする強制動員への慰謝料だとしていると指摘。
これに関し柳井条約局長が、92年3月9日の衆院予算委員会で日韓請求権協定により「消滅」した韓国人の「財産、権利及び利益」の中に、「いわゆる慰謝料請求というものが入っていたとは記憶していない」としたことをあげ、「慰謝料請求権は消滅していないということではないか」とただしました』
韓国国民の請求権は、「消滅させられてはいませんが、請求権が救済されない」ということは、常々申し上げてきたとおりです。衆議院外務委員会で何か新しいことがあったわけではありません。
上記の判決にもとづく執行としてなされた、大邱地裁による新日鉄住金に対する差押え命令の法的効力に対しても、同様の原則を貫いてまいります。
いうまでもなく、協定によって、個人の請求権を含む日韓間の財産・請求権の問題は完全かつ最終的に「解決」されました。当時の韓国が軍事政権下にあって、この協定が韓国国民からは強い反対を受けていたことはご存じのとおりですが、どのような事情があろうとも、政府間の協定は正式に成立しています。
もう少し丁寧にご説明申しあげれば、請求権・経済協力協定第二条1で、請求権の問題は「完全かつ最終的に解決された」ものであることを明示的に確認し、第二条3で、「一方の締約国及びその国民は、他方の締約国及びその国民に対する全ての請求権に関して、いかなる主張もできない」としていることから、個人の請求権は法的に救済されません。
しかも、この協定を実施するために、日本では国内法を制定し、この法律によって、法律上の根拠に基づき財産的価値が認められる全ての実体的権利、つまり財産、権利及び利益を消滅させたところです。
おわかりいただけますか。徴用工の新日鉄住金に対する請求権は、消滅させられたわけではありません。しかし、法的に救済されないのです。よろしゅうございますね。
何か、質問がございますか。
A社です。「協定で請求権は消滅しないが、法的に救済されない」というご説明がさっぱり分かりません。今のご説明を聞いていますと、むしろ、日本がつくった国内法の効力として、日本国内では、請求権が法的に救済されないものになったと理解すべきではないでしょうか。そのような国内法をもたない韓国では、司法が請求権の法的救済を認めるのは当然のように思えるのですが、いかがでしょうか。
次の質問どうぞ。
A社です。お答えいただけないのですか。どうして、そんな常識では分かりにくい協定になったのでしょうか。そのようなことは、相互に確認されているのでしょうか。
ハイ、次の質問どうぞ。
B社です。「一方の締約国の国民の請求権に基づく請求に応ずるべき他方の締約国及びその国民の法律上の義務が消滅した」ことについてのご説明が、ポイントだと思うのですが、これが理解いたしかねます。日本政府は、この協定によって、植民地統治時代における、いかなる種類の個人請求権も法的保護から外されたものとお考えなのでしょうか。仮に、虐待による不法行為慰謝料請求権まで法的保護から外されたというご見解であるとすれば、国家間の協定で個人の訴権までを奪いうるというその根拠をご説明ください。
ハイ、次の質問どうぞ。
B社です。ぜひお答えいただきたい。国民個人の請求権は、これを政府が代理して放棄したり処分してしまうことができるとお考えなのでしょうか。徴用工問題だけでなく、慰安婦問題にもつなが論点ですので、ご回答いただきたい。
ハイ、次の質問どうぞ。
C社です。文大統領は、韓国が三権分立の国である以上、司法部の判断を尊重するしかないと意見を表明しています。司法の独立という文明国の原則から当然のことと思いますが、大臣はこれにご批判あるのでしょうか。
ハイ、次の質問どうぞ。
C社です。この問題は、第三国から見ると、日本の司法権の独立はなく最高裁は政権の意のままになるのだと誤解を受けかねませんよ。
ハイ、次の質問どうぞ。
D社です。外務省のお考えを伺います。今回の韓国大法院の徴用工判決を、どうお読みになっていますか。判決理由は、実体的な債権だけでなく、訴権も失われていないことを当然のこととして詳細な説明がありますが、法廷意見の論理は間違っているとお考えでしょうか。
ハイ、次の質問どうぞ。
重ねてD社ですが、ご説明のうち「韓国は日本との協定を締結した以上は、誠実に実行すべきだ」ということは分かります。しかし、それは韓国の行政府のことであって、司法は別ではないでしょうか。司法は、国際条約を尊重しなければなりませんが、条約が国民の人権を蹂躙するものとして憲法と矛盾する場合には条約を無視しなければならなくなります。今回の大法院の判断は、実質的にそのようなものとお考えになりませんか。
ハイ、次の質問どうぞ。
D社です。お答えいただけないのは、結局大法院判決の論理には反論できず、ただただ不愉快なだけだと聞こえますが、そういう理解でよろしいでしょうか。
ハイ、これで質問を打ち切ります。会見は終了しました。
(2019年1月13日)
話題の韓国映画「共犯者たち」。今日(1月4日)ようやく観る機会を得ての感想を記しておきたい。
そのドキュメンタリーの迫力に圧倒された。隣国でのこの大きな出来事について、あまりに無知だったことを悔いている。韓国の社会に対する親近感を新たにするとともに、権力の横暴と闘う多くの人々に敬意を表したい。そして、もっと大きな劇場で、もっと多くの人々に観てもらえないかと思う。
映画の内容は、李明博・朴槿恵と続いた保守政権による、テレビ放送への露骨な権力的介入と、それに抗して闘う記者たちの実録である。「共犯者たち」とは、李明博・朴槿恵という「主犯」の意を体して、これに追随した各テレビ局(KBS、MBC)の首脳たちを指す。彼らは、政権の意を受けて社長や副社長などに天下りし、あるいはその地位に抜擢された。この「共犯者たち」は政権の意向のとおりに、報道の内容を曲げ、抵抗する硬骨の記者たちを解雇した。報道の自由を守れ、という放送局従業員労組のいくつもの大きなストライキがあり、そのストライキの責任者が相次いで解雇された。被解雇者は200人以上にもなったという。
解雇されたひとりである崔承浩(チェ・スンホ)が、自ら監督となり、自らの闘いを撮影したドキュメントがこの映画。全編に怒りのエネルギーが満ちている。
この映画を観る日本人は、日本の政権によるメディア介入の構造との余りの酷似に驚き、日本の放送界に重ねてこの映画を観ざるを得ない。もちろん、主犯は安倍晋三である。そして、共犯はNHKの首脳たち。とりわけ、官邸と意を通じていると指さされている人物。
韓国で起こった政権による言論介入の事態は、当然に日本でも起こりうる。そのとき、「私は、私たちは、あんな風に闘えるだろうか…」。そう、ジャーナリストのひとりがコメントを寄せている。ジャーナリストだけではない。平和や人権、民主主義のために、政権の横暴と対峙しなければならないと思うすべての人の課題だ。「あんな風に」闘わねばならないと思う。
惜しむらくは、日本の観衆には韓国のテレビ放送事情がよく呑みこめない。そのため、目まぐるしく展開する事態の理解に消化不良の感が残る。
幸い、2018年12月25日朝日のWEBRONZAに、朴晟済(パク・ソンジェ)氏が、この間の事情を分かり易く解説している。その一部を抜粋して紹介させていただく。
https://webronza.asahi.com/journalism/articles/2018121100003.html
なお、同氏はMBCの記者。2012年労組委員長時代に170日間ストライキで解雇され、17年末に復職して、現在はMBC報道局長の任にある。
韓国の地上波放送局のうち、ニュースを報じるのは3社である。日本のNHKと似ている第1公営放送KBSと第2公営放送MBC、民放SBSである。このうちKBSとMBCは、政府と国会で推薦する人たちが理事会を構成するように法律で定められている。当然、半数以上の理事たちが青瓦台(大統領府)と与党の推薦を受けて任命される。このように構成された理事会が社長と経営陣を選出する。
金泳三、李明博、朴槿恵など権威主義的な保守政党の大統領在任中は、青瓦台が意図した人物がKBSとMBCの社長に任命されるのが当然の慣行だった。韓国ではこのように政府与党が決めて送り込まれる社長を「落下傘」と呼ぶ。保守政権時代のテレビニュースは、政権に親和的であると同時に、「朝中東」(「朝鮮日報」「中央日報」「東亜日報」の保守3紙)の論調と大きく変わらない保守的な色合いを帯びたものであった。
反対に、金大中、盧武鉉と現在の文在寅など1980年代の野党出身の?相対的に?進歩志向の大統領在任中には、放送局は権力の影響から比較的自由な社長を得ることができた。3人とも生涯を民主化と人権のために生きてきた政治家だったので、言論の自由に対する認識と理解も格別だった。この時期の放送局理事会は、青瓦台や政府与党の顔色をそれほど窺うことなく社長を選出してきた。そうして選出された社長は、記者やプロデューサーにも取材と報道の自由を十分に保障してもくれた。
2007年12月、李明博候補が大統領に当選し、韓国の放送界は激変を経験することになる。李明博大統領とハンナラ党は、KBSとMBCの報道の論調に対し、深刻な不満を持っていた。とくにMBCのニュースと時事番組には、「実権を握ったら黙っていない」というような発言を公然と言ってはばからなかった。08年春、BSE(牛海綿状脳症)に感染した危険がある米国産牛肉の輸入を許可した政府を批判するMBC時事番組「PD手帳」(PDはプロデューサーの意)が放映され、李明博政権を糾弾する大規模なろうそく集会がはじまった。大統領は政権初期に支持率が10%台に急落するという切迫した危機にさらされる。
李明博政権が危機突破のために選んだカードは、過去の独裁政権が行ったように放送を掌握することだった。まず検察を動員して「PD手帳」製作陣を逮捕し、名誉毀損罪を適用して裁判所に引き渡した。そして、KBSとMBCの社長を解任してしまい、大統領と親密な関係にあったジャーナリストらを落下傘社長として送り込んだ。
こうして、李明博政権・朴槿恵政権の約9年にわたるメディアへの介入、これに迎合するKBSやMBC上層部と、これに抗う記者たちの闘争が始まる。
いま、この映画を作った崔承浩(チェ・スンホ)は、MBCの社長に迎えられている。しかし、映画は困難な闘いのさなかで終わっている。
最終盤、解雇された仲間の記者が癌だと知って、チェ・スンホが見舞いに行く場面がある。田舎の粗末な家に住む彼にチェが質問をする。「苦しい中で何年も闘ってきた意義をどう考えている?」。これに、彼が真剣な面もちで答える。「困難なときに、沈黙しなかったこと。それが闘ったことの意義」。思わず涙が出そうになった。
そうだ、人は、苦しくとも、口を開かねばならないときがある。困難と知りつつも、闘わねばならないことがある。それが譲れない自分の生き方であり、自らの矜持を守ることなのだ。怯懦をよしとせず、報道の自由のために闘った人々のすがすがしさに、拍手を送りたい。
(2019年1月4日)
本日(11月25日)は、小平での吉田博徳さんの朝鮮史の講義。講義のタイトルは、「日本と朝鮮の2000年」。2000年の日朝関係史を2回で語ろうという、壮大な企画。
前回が朝鮮の誕生から幕末まで。そして第2回の本日が、我が国の明治維新から現在までの150年。資料は別にして、講義の骨格となった吉田さんのレジメだけを掲載しておきたい。立派なもので、参考になるのものと思う。
近年、慰安婦問題・徴用工問題等、日本の植民地支配時代の日本の違法が清算されていないことが具体的な問題として噴出している。あらためて、日朝・日韓の関係史を確認し直す必要があると思う。この企画は、時宜を得て講演者・受講者の熱意溢れるものだった。また、1921年生まれで、幼児期から青年期までを当地で過ごした吉田さんならではの貴重な講義でもあった。
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=日本と朝鮮の歴史を正しく知ろう=その1
主催「学びあい支えあう会」
後援 日朝協会小平支部
講師 吉田博徳氏
一、 はじめに
日本と朝鮮の歴史の流れについて、骨子を知ること
二、古代の日本と朝鮮
1 日本民族はどうしてできたか 北、西、南から流入した。
2 朝鮮の誕生
?檀君神話と箕氏朝鮮・衛氏朝鮮 三韓(馬韓・辰韓 弁韓)時代
?古代朝鮮と日本の文化
三、三国時代と日本(高句麗・百済・新羅)
1 高句麗の歴史と概要(BC 18?AD 688)
絶えず北方狩猟民族の侵略と闘い、668年に唐・新羅連合軍のため滅亡
2 百済の歴史の概要(BC18?AD663)
農業と文化の興隆に努力し、日本との交流 663年に滅亡
日本は百済再建を援助し、白村江の決戦敗北
3 伽耶(伽羅)の歴史(?AD562)
4 新羅の歴史の概要(BC57?AD935)
約1000年の歴史を持ち、朝鮮半島の統一を達成 その要因
新羅と唐との関係
5 古代朝鮮と日本の関係
大量の渡来人の来日 北方民族の防波堤
四、高麗王朝と日本 (936?1392)
1 高麗王朝の特徴と経過
北方民族、モンゴルの侵略との闘い
2 倭寇の侵略と刀伊の来襲 元寇(文永の役・弘安の役)
五、李氏朝鮮と日本(1392?1910 徳川時代末 1868まで)
1 李氏朝鮮国の特徴
封建的支配体制の整備 世宗によるハングルの制定
2 豊臣秀吉の朝鮮侵略(1592?1598)
第一次侵略(文禄の役)第二次侵略 (慶長の役)
秀吉の朝鮮侵略は何をもたらしたか
3 徳川幕府の朝鮮政策
朝鮮通信使に対する優遇 朝鮮貿易
六、「その1」のまとめ
秀吉の朝鮮侵略を除き、全期間を通じて友好・協力関係であった。
朝鮮からの渡来人は、日本文化の発展に大きな貢献を果たした。
=日本と朝鮮の歴史を正しく知ろう=その2
一、はじめに
紀元前後から徳川時代までの約1800年間は、倭寇と豊臣秀吉の朝鮮侵略を除いて日本と朝鮮は極めて親密であり、朝鮮からの渡来人が日本文化に大きく貢献した。
二、明治維新から韓国併合まで
1 明治維新の性格と朝鮮政策の根源
2 江華島事件。日朝修好条規
3 壬午(じんご)軍乱と済物浦(さいもっぽ)(仁川)条約
4 甲申政変と漢城条約
5 東学農民戦争と日清戦争
6 闘妃暗殺
7 日露戦争と朝鮮 朝鮮の支配権をめぐってロシアと戦う
8 伊藤博文の威嚇外交 第二次日韓条約の乱暴
9 韓国軍隊の解散と義兵闘争
10 安重根(あんじゆんぐん)による伊藤博文の暗殺
11 韓国併合条約
三、日本の韓国植民地支配
1恐怖の武断政治
朝鮮総督府の性格 寺内正毅初代総督による韓国人の無権利状態
2土地調査事業 韓国の農民から土地を取り上げる仕組 日本人の農場の進出
3「3・1独立運動」 独立万歳を叫ぶ非武装の大衆デモに武力弾圧
死者7,509人 負傷15,961人 逮捕者 46,949人などの被害
4 関東大震災と朝鮮人大虐殺
なんの罪もない朝鮮人6,000人以上を虐殺して、調査も謝罪もしない賠償もしていない
5 15年戦争と朝鮮
?侵略戦争の兵粘基地
?強制連行
?日本軍慰安婦
?皇国臣民教育 創氏改名など
?朝鮮人に徴兵制を施行
四、まとめ
1 「植民地時代に良いこともした」論について
2 戦後処理を正しく行わなければ、何年たっても真の友好は生まれない
3 北東アジアの地域共同体構築のために努力しよう
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講演後、会場から今回の徴用工判決について質問が出た。予め、吉田さんは経過の概要と評価とをまとめた資料を用意して回答し、会場にいた私を指名して補充の説明を求められた。その話の内容を、これも以下のレジメにしてみた。なにがしかの参考になろうかと思う。
徴用工訴訟・大法院判決の概要
2018/11/25 弁護士 澤藤
※経過 1997年日本での提訴の前史がある。(敗訴確定)
韓国での提訴が2005年。(徴用工4人)
一審判決(原告敗訴)⇒二審判決(原告敗訴)⇒大法院差し戻し(2012年)
差戻審判決(原告逆転勝訴)⇒大法院判決・2018年10月30日(確定)
※「核心的争点」は、
原告(元徴用工)の被告新日鉄住金に対する「強制動員慰謝料請求権」が、
日韓請求権協定の成立によって消滅したか否か。
※その判断の枠組みは
1本件「請求権」は、解決済みとされた協定の適用対象請求権に含まれているか。
2含まれているとすれば、協定の効力は原告の本件「請求権」にどう影響するか
「強制動員慰謝料請求権」は消滅する? しない?
消滅したのは外交的保護権だけ? 裁判を起こす権利(訴権)も?
※意見の分布(13裁判官)
(1) 多数意見(7名) 結論⇒原告勝訴
「強制動員慰謝料請求権」は、協定の適用対象請求権に含まれていない。
従って、協定の締結によって消滅していない。
(2) 個別意見1(1名) 結論⇒原告勝訴
大法院差し戻し判決の羈束力として含まれていないと解釈するしかない。
(3) 個別意見2(3名) 結論⇒原告勝訴
「強制動員慰謝料請求権」は、協定の適用対象請求権に含まれている。
しかし、同協定によって原告らの個人請求権は消滅していない。
協定によって剥奪されたのは、外交的保護権だけである。
(4) 反対意見(2名) 結論⇒差し戻し(実質原告敗訴)
「強制動員慰謝料請求権」は、協定の適用対象請求権に含まれている。
同協定によって外交的保護権だけが消滅しただけではなく、
原告らの個人請求権の行使(訴権)が制約されたと解すべきである。
※影響 他の裁判への影響 被告は三菱重工業、不二越、IHIなど70社超
元徴用工は22万余(運動体には100万説も)
※本質 植民地支配の未清算 戦争遂行のための外国人の人権侵害
※これまでの日本の見解
政府も、最高裁も、請求権自体の消滅は語っていない。
★日本政府の反応
アベ「国際法に照らしてあり得ない判断だ。日本政府としては毅然と対応していく」
河野「元徴用工の個人請求権問題は1965年の日韓請求権協定で解決済」「国際裁判を含めあらゆることを視野に入れた対応をせざるを得ない」
外務省「今後、韓国政府の出方を見極めたうえで協議開催を求める。協議が不調に終われば、第三国の委員を交えた仲裁委員会での話し合いを求める見通しだ。それでも解決しなければ国際司法裁判所(ICJ)への提訴も検討する。」
★新聞論調(2018.11.7 【社説検証】から引用)
1965年の日韓国交正常化の際に結んだ請求権協定では、日本政府や企業の賠償問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記された。韓国政府も個人の請求権を含め解決済みだと認めてきた。しかし、韓国最高裁は「植民地支配や侵略戦争遂行と直結した反人道的な不法行為」と決めつけ、個人請求権を認めた。
こうした判決は、現在の日韓関係を根底から覆すものでしかない。朝日、毎日を含め各紙社説は韓国最高裁の判断を批判する論調でほぼ足並みをそろえた。
韓国の徴用工判決 産経「史実歪め国の約束無視」
★政府とメディアのミスリードによる排外主義世論に警戒を。
(2018/11/25)
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ウソとごまかしの『安倍政治』総検証!
12月3日(月)18時?20時(17時30分開場)
衆議院第1議員会館 地下1階「大会議室」
衆議院第1議員会館は丸ノ内線・国会議事堂、有楽町線・永田町駅
(どなたでもご参加いただけます。
議員会館ロビーで入館証をお受け取り下さい。)
民意を無視して9条改憲を強引に進めようとしている「安倍政治」。その「安倍政治」において、公文書・公的情報の隠蔽・改竄・廃棄・捏造が横行し、権力のウソとごまかしが国民主権や議会制民主主義を脅かそうとしています。
私たちは、森友・加計学園に典型的にみられる権力の私物化、「働き方改革」のウソ、外交交渉の内容の捏造等々、ウソとごまかしによる「ポスト真実」の政治を許せず、アピールを発表して賛同の署名を呼びかけました。
下記のとおり、賛同署名集約の集会を開催いたします。この日、署名簿を安倍晋三氏に届けるとともに、この集会にさまざまな分野からの発言を得て、「安倍政治のウソのごまかしを総検証」いたします。そして、どうすれば、安倍政治に終止符を打つことができるか考えてみたいと思います。どうぞご参加ください。
司会 澤藤統一郎(弁護士)
挨拶 浜田桂子(絵本作家)
「安倍政治」と「ポスト真実」
小森陽一(東京大学大学院教授)
「働き方改革」一括法と「ポスト真実」
? 上西充子(法政大学キャリアデザイン学部教授)
「公文書管理」と「ポスト真実」
? 右崎正博(獨協大学名誉教授)
日米FTA(自由貿易協定)と「ポスト真実」
? 古賀茂明(元経済産業省官僚)
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