例年になく熱い8月が終わった。その熱気はまだ冷めやらない。安保法案の成否の決着はこれからだ。情勢に切れ目はないが、暦の変わり目に戦後70年の夏を振り返ってみたい。
70年前の敗戦を契機に、日本は国家の成り立ちの原理を根本的に変えた。この原理の転換は日本国憲法に成文化され、大日本帝国憲法との対比において、明確にされている。
私の理解では、個人の尊厳を最高の憲法価値としたことが根本原理の転換である。国家の存立以前に個人がある。国家とは、個人の福利を増進して国民個人に奉仕するために、便宜的に拵えられたものに過ぎない。国家は国民がその存在を認める限りにおいて存続し、国民の合意によって形が決められる。国民の総意に基づく限り、どのようにも作り直すことができるし、なくしたってかまわない。その程度のものだ。
国民の生活を豊かにするためには、国家の存立が有用であり便利であることが認められている。だからその限りにおいて、国民の合意が成立して国家が存立し、運用されている。それ以上でも以下でもない。
こうしてできた国家だが、与えられた権力が必ず国民の利益のために正常に運営されるとは限らない。個人の自由や権利は、何よりも国家とその機関の権力行使から擁護されなければならない。個人の自由は、国家と対峙するものとして権力の作用から自由でなければならないとするのが自由主義である。この個人の尊厳と自由とを、国家権力の恣意的発動から擁護するために、憲法で権力に厳格な枠をはめて暴走を許さない歯止めをかける。これが立憲主義である。
戦前は、個人主義も自由主義もなかった。個人を超えて国家が貴しとされ、天皇の御稜威のために個人の犠牲が強いられた。天皇への忠死を称え、戦没兵士を神としてる祀る靖国神社さえ作られた。そして、国家運営の目標が、臆面も無く「富国強兵」であり、軍事的経済的大国化だった。侵略も植民地支配も、国を富ませ強くし、万邦無比の国体を世界に輝かす素晴らしいことだった。20世紀中葉まで、日本はこのようなおよそ世界の趨勢とはかけ離れた特異なあり方の国家だった。
70年前の敗戦は、大日本帝国を崩壊せしめた。そして新しい原理で日本は再生したのだ。普遍性を獲得して、国民個人を価値の基本とし、国家への信頼ではなく警戒が大切だとする自由主義の国家にとなった。軍国主義でも対外膨張主義でもない平和と国際協調の国になった。日本は、戦前とは違った別の国として誕生したのだ。かつて6500万年前の太古の世界で、恐竜が滅び哺乳類がこれに代わって地上を支配したごとくに、である。
敗戦とは、戦前と戦後との間にある溝のようなものではない。飛び越えたり橋を渡して後戻りできる類のものではない。戦前と戦後とはまったく別の地層でできており、敗戦はその境界の越えがたい断層とイメージすべきなのだ。この戦前とは異なった新しい国の原理として日本国憲法に顕現されたその体系が、「戦後レジーム」にほかならない。
日本国憲法に込められた、近代民主主義国家としての普遍性と近隣諸国に対する植民地支配や侵略戦争を反省するところから出発したという特殊性と。その両者の総合が、「戦後レジーム」である。
安倍晋三が憎々しげにいう「戦後レジーム」とは、個人主義を根底にこれを手厚く保護するために整序されたシステムであり、実は日本国憲法の体系そのもののなのだ。個人の尊厳、精神的自由、拘束や苦役からの自由等々の基本的人権こそが、国家の統合や社会の秩序に優先して尊重されるべきことの確認。これこそが、「戦後レジーム」の真髄である。
今年は新しい日本が誕生してから70周年。しかし、この夏、建国の理念に揺るぎが見える。いま、なんと「戦後レジームからの脱却」を叫ぶ、歴史修正主義者が首相となり、立憲主義を突き崩そうとしている。しかも、日本国憲法が自らのアイデンティティとする平和主義を壊し、日本を再び戦争のできる国にしようとしているのだ。この夏は、日本国憲法の理念を攻撃し改憲をたくらむ勢力と、70年前の建国の理念を擁護しようとする勢力との熾烈な戦いである。
70年前の国民的な共通体験は、「再び戦争の惨禍を繰り返してはならない」ことを国是とした。しかし、その国民意識は、自覚的な継承作業なくしては長くもたない。とりわけ加害体験については、「いつまで謝れというのか」という開き直り派が勢を得つつある。
安倍晋三を代表として憲法体系を桎梏と感じる勢力が勢いを増しつつある。しかし、これと拮抗して憲法の理念に賛同して、これを擁護しようとする勢力も確実に勢力を増しつつある。
2015年の夏、その決着はまだ付かない。秋へと持ちこされている。
(2015年9月1日)
本日、午後2時。首都で全国で、国民が主権者として、政権の前に立ち現れた。そして、主権者の意思を明確にし、議会や政府を掣肘した。まさしく、今日こそは、国民主権原理が、真っ当に正しく機能した記念すべき日となった。
何度でも繰り返そう。私たち国民が主権者だ。安倍でも、山口でも、中谷でも、谷垣でもない。日本国憲法が制定されて以来、一日24時間・年間365日、切れ目なく主権者であり続けているのだ。
正確に言えば憲法を制定したのも主権者国民だ。憲法は国民が主権者の地位にあることを確認したにすぎず、主権者の地位は憲法によって与えられたものではない。だから、実は日本国憲法制定以前から私たち国民が主権者なのだ。
切れ目なく主権者であるとは、選挙期間中だけの主権者ではないということだ。投票箱の蓋が開いていても閉まっても、投票箱の用意が無いときも、私たち国民が主権者なのだ。
私たち主権者国民の多くは、切れ目なく政治のことばかりを考えてはおられない。資本主義経済の中で忙しく立ち働かなくてはならないし、一人ひとりの生身の人間には、文化的活動もエンタテイメントも必要だ。家族生活も友人との付き合いもコミュニティの中での活動も、非政治的な社会生活の分野は限りなく広い。非政治の多くの時間が必要なのだ。
だから、代議政治の合理性は認めざるをえない。国民が候補者の中から議員を選び、衆議院議員の中から内閣総理大臣が選任されて、行政府の長となる。こうして、憲法の定めた手続きに従って、立法府と行政府が作られ、これに政治を任せることにしたのだ。
さはさりながら、主権者は国会や内閣に、すべてを丸投げしてお任せしたのではない。選挙期間だけの主権者ではなく、投票日一日だけの主権者ではない以上は当然のことだ。常に、主権者の意思にそって立法や行政が行われているかを監視続けていなければならない。そして、内閣や国会が、明らかに主権者の意に背くとき、そして次の選挙による意思表示では遅すぎる場合には、主権者の直接の出番となる。国民が主権者として起ち上がらざるを得ない事態なのだ。主権者は代議制の枠を超えて、直接にその意思を表明しなければならない。今日が、その日となった。
主権者が直接の意思を表明するためのもっとも基本的な手段が集会でありデモである。多くの人が集まって、声を揃えて国会と内閣の不当を叫ぶのだ。立法や行政に携わる者は、謙虚にその声に耳を傾けなくてはならない。
今日の午後、国会周辺は小雨をついて集まった大群衆に包囲された。これが、観念としての主権者ではない、具体的な形と意思を伴った主権者なのだ。主権者は、安倍政権に「国民をなめてはいけない」とたしなめた。いや、違憲の法案をゴリ押しする政権に「今すぐ退陣」と怒りを露わにした。
まだ、大群衆のコールが耳に残る。
「戦争法案今すぐ廃案!」
「安倍内閣は今すぐ退陣!」
安倍よ、山口よ、中谷よ、谷垣よ。この主権者の声を生で聞いたか。この主権者の声をなんと聞くのか。
憲法21条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と定める。新聞でもラジオでもテレビでもなく、「集会」を条文のトップに置いた憲法の真意を今日あらためて知った思いがする。「集会」は、政治を変えうるのだ。そのような手段として「集会の自由」がこの上なく重要なのだ。
メインのステージでは、岡田(民主)、志位(共産)、吉田(社民)、小澤(生活)の各党首が手を組んで戦争法案の廃案を誓った。日比谷エリアのステージでは、管(民主)、小池(共産)、福島(社民)の各議員が力のこもった演説をした。主権者が、野党各党の結束を指示している構図となった。
戦争法案の廃案を求める主権者の意思が明確になった今日以後も、安倍政権は敢えて主権者の意思に逆らおうというのか。
夏の陣が終わると、切れ目なく、いよいよ決戦の「秋の陣」が始まる。さあ、正念場だ。自信をもって、今日のコールを追求しよう。
「戦争反対!」「9条守れ!」
「憲法破壊絶対反対!」
「安倍内閣の暴走止めよう!」
「強行採決絶対反対!」
(2015年8月30日)
さあ出かけよう みんなして
家族トモダチ連れだって
ツレがなければ一人でも
日ざしが強けりゃ帽子をかぶり
雨が降ったら傘さして
風が吹いてもへこたれず
目指すは官邸 安倍屋敷
普段は無口な私だが
これまで黙っていたけれど
堪忍袋の緒が切れた
平和を守れと声を上げよう
安倍はやめろと声上げよう
私は平和を望むから
誰をも敵にしたくない
乱暴者のアメリカの
手先になって威を借りて
武力で脅して黙らせて
それで平和が築かれる?
そんな法律マッピラだ
アメリカの威を借りるとてただじゃない
思いやり予算は2000億
押しつけられた17機オスプレイは3600億
こんな大金 ドブに捨てるな福祉にまわせ
戦争法案廃案に
安倍内閣は退陣を
みんなで大きく声上げよう
国の主人は私たち
一人二人じゃ力はないが
津々浦々の人々が
100万人で声あわせ
山も動けとどよもせば
この国中にはびこった
魑魅魍魎を吹き飛ばす
地鳴りのような大声で
安倍も自民も吹き飛ばせ
政府も与党も吹き飛ばせ
違憲法案吹き飛ばせ
戦争勢力吹き飛ばせ
さあ出かけよう みんなして
100万人で輪を作ろう
目指すは国会・参議院
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8月30日(日)の「戦争法案廃案! 安倍政権退陣! 8・30国会10万人・全国100万人大行動」『全国を戦争法反対の声で埋め尽くそう!』に総結集しよう。
東京で10万人、全国で100万人の総行動をぜひとも成功させよう。この集会が、その後の情勢を決める。メディアを覚醒させ、国会に活を入れることにもなる。そして、国民の手で憲法を守ることにつながる。
大行動の案内は実行委員会の下記URLをご覧いただきたい。
http://sogakari.com/
http://sogakari.com/?p=633
http://sogakari.com/?p=732
8月30日(日)14:00? 場所:国会議事堂周辺
戦争法案廃案!安倍政権退陣!8・30国会10万人・全国100万人大行動
(2015年8月29日)
靖国神社にほど近い九段の一角、九段会館(昔は軍人会館)に隣接して、「昭和館」がある。日本遺族会から「戦没者遺児記念館(仮称)」として建設の要請があり、「戦没者追悼平和祈念館(仮称)」として厚生省(当時)が予算をつけ、2008年に現施設名で竣工した国立博物館である。
「主に戦没者遺族をはじめとする国民が経験した戦中・戦後の国民生活上の労苦についての歴史的資料・情報を収集、保存、展示し、後世代の人々にその労苦を知る機会を提供する施設」だという。やや分かりにくいコンセプトだが、館の運営は日本遺族会に委託されている。当然のこととして宗教色はない。戦争賛美ではありえないが、近隣諸国への加害責任の観点はほとんどない。
その昭和館がこの夏、「昭和20年という年?空襲、終戦、そして復興へ?」と題する特別企画展を開催している。8月30日までということなので、今日足を運んでみた。そして、今日は閑散とした靖国神社にも立ち寄った。
企画展の趣旨はこういうもの。
「昭和20(1945)年初頭より、日本各地では本格化した空襲により被害は拡大し、4月に米軍の沖縄本島上陸、8月6日には広島、9日には長崎に原子爆弾が投下されました。そして8月15日の「玉音放送」により、国民は戦争が終わったことをはじめて知らされました。終戦直後の国内は混乱を極め、人びとは戦時中とは異なる労苦を体験しながら、復興への第一歩を踏み出していきます。
戦後70年を迎えた今年、本展では激動の昭和20年を「空襲にさらされる日本(1月?8月)」「終戦8月15日」「混乱の中からの出発(9月?12月)」の3つの時期に分け、国内の様子を実物資料の展示を中心に紹介します。」
入場無料だから文句も言えないが、見るべきもののある企画展ではなかった。わざわざ足を運ぶほどのものではない。それでも、遊就館に行って感じる好戦的な不愉快な雰囲気はない。
「終戦8月15日」のブースでは、「玉音放送」が繰り返されていた。私は、あのおかしな抑揚の朗読を聞いていると限りなく不快になる。生理的に受け付けないのだ。その部屋で、たまたま同年代の男性から声をかけられた。「この玉音放送の文章はよくできていますね。たいしたものですね」という。これがきっかけで、意見交換となった。
「おやそうですか。私はちっとも出来がよいとは思いませんね」「この人、国民に謝らない。『なんじ臣民、朕が意を体せよ』って、えっらそうな口をきいて。信じられない神経ですね」「『天皇陛下のために』と何百万人もが命を落としていることをどう考えているんだか、その責任を自覚している口ぶりではありませんね」「このひと大元帥でしょう。敗軍の将ではないですか。古来敗軍の総大将は腹を切るのが、日本の美学でしょうが」「『私は腹を切る』とでも約束すれば、『さすが潔い』となったかも知れない。ところが、自分の責任はまったく棚上げして、責任は部下に押しつけて刑死させた」「自分は生きながらえて恥ずかしいとは生涯言わなかった人でしょう」
相手の男性は、怒らずに耳を傾けた。で、述べたのは「でも、時代が時代だからしょうがなかった」「戦前の人々は天皇を崇拝していたのですから」。
「そう、多くの人が洗脳されていたのですよね。オウム真理教が世間を騒がせたのは、『たとえ人殺しでも、尊師の命令に従うことが正しいことだ』、そんなふうに若者たちが洗脳されたことでした。『天皇のために戦え、天皇のために中国人や鬼畜米英を殺せ。勇敢に闘って死ね』。こんな風に洗脳した組織の最高責任者が、自らは責任をとろうとしなかった」
「いや、マッカーサーが天皇と会って、人格的に傾倒したのではないですか」
「私はそうは思いません。アメリカは終戦以前から、占領政策の中に天皇制を温存して天皇を利用することを考えていた」「天皇は部下を見殺しにして戦犯とし、自らはマッカーサーにへつらって生き延びた、そう言われてしかるべきではないですか」
この人柄のよい男性は、無理に反論はしなかった。「まあね。兵が死ぬ間際には『天皇陛下バンザイ』と言ったというのは建前で、本当はみんな『お母さん』と言ったそうですからね」と相槌を打ってくれた。これで、会話はおしまい。
さして多くはない展示品の中に、1945年1月の作品だという小学校5年生の女児の書があった。展示品目録には「習字」とされていたが、驚くべき達筆。
精魂込めて書かれたであろうその文字は、
「大東亜共栄の平和」
というもの。
これを見て、寒気がした。この子は、本気になって、日本は「平和のため」に戦争をしていると思っていたに違いない。神国と教えられた日本が、神なる天皇が統率したもう皇軍が、侵略したり、略奪したり、民家を焼いたり、強姦したりすることなどおよそ思い及ぶことではなかった。従軍慰安婦の存在など、夢にも知らなかったに違いない。
今また、「積極的平和」の美名で戦争が準備されつつある。戦後70年のいま、なすべきことは、あの1931年から始まった戦争を思い起こし、見つめ直し、絶対に繰り返さないことだ。「絶対に戦争の惨禍を繰り返さない」は、抽象的なスローガンではない。目の前の、戦争法案を廃案に追い込むことでなくてはならない。
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だから明後日、8月30日の「戦争法案廃案! 安倍政権退陣! 8・30国会10万人・全国100万人大行動」『全国を戦争法反対の声で埋め尽くそう!』に総結集しよう。
東京で10万人、全国で100万人の総行動をぜひとも成功させよう。この集会が、その後の情勢を決める。メディアを覚醒させ、国会に活を入れることにもなる。そして、国民の手で憲法を守ることにつながる。
大行動の案内は実行委員会の下記URLをご覧いただきたい。
http://sogakari.com/
http://sogakari.com/?p=633
http://sogakari.com/?p=732
8月30日(日)14:00? 場所:国会議事堂周辺
戦争法案廃案!安倍政権退陣!8・30国会10万人・全国100万人大行動
平和を大切に思うきみに、
憲法を大切に思うあなたに、呼びかけたい。
普段は忙しくて集会にもデモにも疎遠なきみも、
この日だけは、国会の周辺に出かけよう。
たった一人でも、とりあえずは出かけて10万人の輪の中にはいろう。
全国それぞれの地域で行われる集会に参加しよう。
そして、
「戦争法案を廃案にせよ!」
「センソウホウアン、イマスグハイアン!」
「安倍内閣は退陣せよ!」
「アベナイカクワ イマスグタイジン!」
と声を上げよう。
私たちのその声が集まって
平和を創ることになる、
憲法を擁護することになる。
平和と憲法を守るのは、
ひとひとりのきみであり、
あなたであり、私であり、
ほかならぬ私たち自身なのだ。
(2015年8月28日)
本日の「しんぶん赤旗」一面トップの大見出しが、「正義と真理 総結集」である。
「正義」は法曹界を象徴し、「真理」とは学者集団を指す。法曹界と学者300人が一堂に会して、戦争法案の廃案を訴えた。昨日(8月26日)の午後4時、日弁連会館の講堂クレオでのこと。
主催者挨拶は、「法の支配にもとづき正義を貫く法曹と、理性にもとづき真理を探究する学者の多くが集まって、同じ認識に立ち、今回の安保法制が憲法に違反し、真理と正義に反するということ、廃案しかないということで活動していきたい」というものだった。
日弁連と全国52単位弁護士会の全代表が集まった。また、元最高裁判事、元法制局長官も加わっている。そして、錚々たる学者の顔ぶれ。村越進日弁連会長の、「こんなに幅の広い人々が総結集したのはおそらく初めてのこと」「立憲主義の破壊だけは認めることができない」との発言には実感がこもっている。
その、記者会見の壮大な写真をご覧いただきたい。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-08-27/2015082701_01_1.html
この日、日弁連と学者は、正午から国会議員会館で「院内学習会 安全保障法制を問う」を開催し、その後議員会館の各議員を訪問して「安保関連法案」廃案への要請行動を行い、4時からの共同記者会見に臨み、その後日比谷野音で市民を交えた大集会を開催。そして、国会までのパレードを行った。まさしく、日弁連と学者が総力をあげたというに相応しい行動の日だった。
また同日、「安全保障関連法案に反対する学者の会」は、「100大学有志の共同行動」を行い、北海道から九州まで全国87大学253人の大学教員が一堂に会し記者会見に臨んでいる。
「学者の会」の発起人で事務局代表の佐藤学学習院大学教授は、各大学有志の声明は7月20日に18大学程度だったのが、現在同会がつかんでいるだけで108大学に広がり「それぞれ予想以上の賛同者を集めている」と報告。同会のアピールには学者・研究者1万3507人から賛同が寄せられ「各大学で自主的な動きがわき起こり、かつてない広範な共同がつくられている」と大学人の取り組みの勢いを語りました。(赤旗)
この日の行動で最も注目を集め拍手も多かったのは、創価大学教員の佐野潤一郎さん。この人が主役だったと言ってもよい。「創価大学が、いま立ち上がらなくてどうするんだと。私たちの大学出身の公明党の議員さんたちも、それについては、ぜひ反対をしていただきたいと思っています」「公明党の議員には、ぜひ頑張って、本当の意味で歯止めになってほしい。今のままでは、歯止めになっていないではないか」という発言。
公明党は政党の論理として与党でいたい。そのためには自民党と折り合わねばならない。「どこまでも付いていきます下駄の雪」に甘んじざるをえないのだ。しかし、公明党の母胎であり、これまで党を支えてきた創価学会員としては、これで納得できようはずがない。立党の精神は「平和の党」であったはずではないか。憲法九条をないがしろにしてよいのか。国民の大多数の憂慮を払拭しないまま専守防衛路線を投げ捨ててよいのか。野党の反対を無視しても強引に自衛隊の海外派兵を認める法案推進でよいのか。当然に疑問が生じているはず。
多くの創価学会員の公明党批判が聞こえてくる。創価大学と創価女子短期大学でも戦争法案への反対署名が取り組まれ、既に1400人を超えているという。世論調査による公明党の支持率も軒並み低下著しい。戦争法案の成否の帰趨に、来年に選挙を控えた参院公明党の動向が影響することは確実であり、その公明党の動向に創価学会員の意識や行動が影響することも疑いがない。佐野さんに代表される、創価大学内の戦争法案の廃案を求める活動に注目せざるを得ないのだ。
ところで、8月26日の諸行動について、NHKはまったく無視だったそうだ。さもありなんと納得してはならない。「アベ様のNHK」に、あらためて怒りもて抗議しなければならない。
が、NHKは別にしても、赤旗を除く各メデイアの戦争法案反対運動の扱いが必ずしも大きくないのが、やや気になるところ。弁護士会も学者も元気だ。シールズに代表される若者たちも、ママの会も…。しかし、メディアがやや報道意欲を失っているのではないか。長丁場の法案審議の報道に、中だるみがあるのではないか。憲法と平和への危機感を持続してもらいたいものと思う。
この中だるみを打破するイベントが、8月30日の「戦争法案廃案! 安倍政権退陣! 8・30国会10万人・全国100万人大行動」『全国を戦争法反対の声で埋め尽くそう!』である。東京で10万人、全国で100万人の総行動をぜひとも成功させよう。この集会が、メディアを覚醒させるだろう。国会に活を入れることにもなる。その成功は国民の手で憲法を守ることにもつながる。
大集会の案内は実行委員会の下記URLをご覧いただきたい。
http://sogakari.com/
8月30日(日)14:00? 場所:国会議事堂周辺
戦争法案廃案!安倍政権退陣!8・30国会10万人・全国100万人大行動
平和を大切に思う人、
憲法を大切と思う人、に呼びかけたい。
普段は忙しくて集会にもデモにも疎遠な人も、
この日だけは、国会の周辺に出かけよう。
全国それぞれの地域での集会に参加しよう。
そして、
戦争法案を廃案にせよ
安倍内閣は退陣せよ
とコールしよう。
あなたのその声が集まって
平和を守ることになる、
憲法を守ることになる、のだから。
(2015年8月27日)
昨日(8月25日)の夕方、NHK包囲の抗議行動に参加した。
NHK放送センター西門の近くで、「私たちは怒っているゾー」「籾井はただちにやめろ」「アベチャンネルにするな」などコールを繰りかえしながら、NHKってなんだろう、と考え続けた。
NHKのNは、今や「内閣」のNである。Hは「奉賛」のH、あるいは「諂う」のH。「内閣奉賛会」ないしは「内閣へつらい協会」ではないか。「安倍政権報道部」の実態が抗議の対象とされている。「政府の声でなく、国民の声を報道しろ!」「『皆さまのNHK』を忘れないでー」と声があがる。
戦争法案の審議が進行し、衆議院の強行採決さえなされた。平和と憲法にとっての存立危機事態である。このときに、安倍政権とNHKとの癒着である。とりわけ政権がNHKの人事を牛耳って自らの政策遂行の道具としていることが到底座視しえない。
安倍が籾井を牛耳り、籾井が経営委員会や理事会を牛耳ることで、安倍がNHKを支配し、NHKが安倍政権におもねりへつらう態勢が構築されている。由々しき事態ではないか。
大本営発表を繰り返した戦前のNHKの体質は変わらず、今また、安倍政権と二人三脚で、新たな大本営発表を繰り返そうとしているのだ。このことに危機感を持ち、抗議しなければならないというのが、参加者の切実な思いなのだ。
有名無名の多くの人がリレーでスピーチした。NHK上層部を痛烈に批判するとともに、印象に残ったのは、良心的なNHK職員を励まそうというスピーチだった。
今さら言うまでもないが、NHKは国営放送ではない。受信料は税金ではない。飽くまで、NHKと視聴者各個人との受信契約締結の効果としての民事的な債務なのだ。だから、契約自由の原則に従い、本来は契約するもしないも視聴者の選択による。
ただし、放送法は不思議な規定を置いて、「NHK放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、NHKと放送受信についての契約をしなければならない」と定めて、NHKとの受信契約の締結を「しなければならない」としている。もちろん、受信契約締結強制も民事法上のもので、罰則での強制があるわけではない。契約締結者の受信料不払いも、そのことは民事的な債務不履行とはなり得ても、刑事罰の対象とはなり得ない。
放送法は、NHKを国民の信頼に支えられた報道機関と位置づけている。国民がNHKの報道姿勢を信頼し、進んで受信契約を締結して受信料を支払うことを想定しているのだ。この想定に反して、国民がNHKを見捨てた場合には受信料収入が激減することも想定されているといってよい。
この日のスピーチで、何人かが「今のようなNHKでは受信料を払えない」「籾井がやめるまでは受信料を払わない」「NHKよ。私に受信料を払いたいと思わせるまともな報道姿勢を貫いていただきたい」と発言した。これこそ、放送法が想定する最も真っ当な市民の声だ。
国民から信頼される報道機関としての基本は、何よりも権力から独立していることにある。今のように、政治権力と国民との立場が大きく乖離しているとき、権力と国民は公共放送であるNHKを自らの側に近づけようと、必死の綱引きをしているのだ。今この綱引きは、政権の側が優勢である。会長や経営委員の人事を牛耳って、政治報道には政権批判を許さないどころか、内閣奉賛の実態となってしまった。だから、「政府広報はやめろ」「戦争法案に加担するな」とコールが浴びせかけられるNHKの現状。これはあまりにもお恥ずかしい実態。
NHKOBである永田浩三さんが鋭く叫んだ。「NHKは政権のものでない。国民の貴重な宝物なのです」。なるほど、そのとおりなのだ。
籾井会長は「政府が右といえば、左というわけにはいかない」という安倍政権ベッタリの人物。「籾井会長はNHKトップに最もふさわしくない!」と何度も声があがった。安倍の息のかかったこの人物が会長として君臨する限り、国民の貴重な宝物は、安倍政権の手中でブロックされ、コントロールされるばかり。
国民はそれにふさわしい政府をもつ、という。国民は自分たちにふさわしいメディアをもつ、と言い換えられてもいる。しかし、今のNHKの現状が、国民にふさわしいとは到底考えられない。もっとまともなNHKにしなければならない。短期的には、戦争法案を廃案に追いこむために。長期的には、日本の民主化を促進するために。
それにはまず、籾井をやめさせることが先決問題だ。これが、考え続けての平凡な結論。あらためて叫ぼう。「籾井はやめろ」「アベチャンネルにするな」。
(2015年8月26日)
例年になく熱かった「戦後70年の夏」。さすがに風と空は涼しさを感じさせるが、戦争法案の廃案と安倍政権退陣を求める運動の熱気は冷めやらない。ますます熱い。
戦争の月・8月の下旬に多くの集会やデモが目白押しだが、その集大成版ともいうべき3集会をご案内する。私も、その片隅で声を上げている。
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まずは、明日の「8.25NHK包囲行動」である。
ぜひ下記のURLでチラシを拡散願いたい。
http://kgcomshky.cocolog-nifty.com/825NHKhoui/NHKhoui.pdf
メインスローガンは、「政権べったりの報道をやめろ 怒りの声でNHKを包囲しよう!」という大集会。
日時: 2015年8月25日(火) PM: 6:30?
場所: NHK放送センター(渋谷)
西門、正門、NHKホールそばの3カ所で
リレートークとコールが行なわれる。
主催: NHK包囲行動実行委員会
・政権に不都合なことを隠すな
・NHKは戦争法案に加担するな
・中国の脅威をあおるな
・国民の抗議の声を伝えよ
・国会審議をまともに放送せよ
・政治家と会食するな癒着するな
・籾井会長はNHK私物化するな
・権力監視のメディアになれ!
・籾井会長はただちにやめろ!
安倍政権が右といえば左とは言えないNHKへの抗議である。これだけの規模の世論の包囲にさらされながら、まだ安倍政権の命脈が保たれているのは、産経・読売と並んで、「皆さまから視聴料をいただいているNHK」の寄与が大きい。「安倍政権のスポークスマン」とまでいわれる岩田明子解説委員に代表される、その露骨な政権従属報道姿勢が安倍内閣の支持率を何%か押し上げているのだ。これを徹底批判しようという集会。
本日の赤旗〈潮流〉が、次のようにこの集会を紹介している。
「NHKの番組には優れたものがあっても、ニュースは安倍政権寄りだと視聴者の批判は高まるばかり。この機に市民団体の「放送を語る会」が、戦争法案をめぐるテレビニュースのモニター報告を発表しました▼これまで集団的自衛権などでもテレビ報道を検証。今回は、NHKのニュースは『安倍首相発言のコピー』となり、多様な批判的言論を伝えていないと実証的に指摘しました。『戦後未曽有の平和の危機』にジャーナリズムの役割を発揮する覚悟を求めての中間報告です▼明日25日、市民が『怒りの声でNHKを包囲しよう!』と一大行動に出ます。東京・渋谷のNHK放送センターの門前に集合です。大阪や京都では、呼応する取り組みがあります。“みなさまのNHK”へ要望します。7時のニュースで堂々と生中継してはいかが。」
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明後日(8月26日)には、日弁連が総力をあげた集会を予定している。
「安保法案廃案へ!立憲主義を守り抜く大集会&パレード?法曹・学者・学生・市民総結集!」と集会名も大変に熱い。
詳細は、下記日弁連のホームページを参照していただきたい。
http://www.nichibenren.or.jp/event/year/2015/150826.html
日時 2015年8月26日(水)
【集 会】 18時?19時(開場:17時15分)
【パレード】 19時15分?
日比谷野外音楽堂(千代田区日比谷公園1-5)
参加費等 参加費無料(事前申込み不要)
参加対象 どなたでも参加いただけます。
※定員3,000名のため、会場にお入りいただけない場合がありますが、パレードには参加いただけます。
集会での発言予定者は、現在のところ以下のとおり。
宮?礼壹氏(元内閣法制局長官)
溝淵勝氏(元裁判官、元高松地裁所長)
山岸憲司氏(前日弁連会長)
石川健治氏(東大教授・交渉中)
益川敏英氏(ノーベル賞受賞者・交渉中)
廣渡清吾氏(東大名誉教授・日本学術会議前会長・学者の会代表・予定)
上野千鶴子氏(東大名誉教授)
奥田愛基氏(SEALDs)
町田ひろみ氏(安保関連法案に反対するママの会)
道あゆみ氏(弁護士)
また、同日16時?17時、弁護士会館2階講堂クレオで「安保関連法案に反対する学者の会」と合同記者会見も行われる。こちらの出席予定は、以下のとおり。
濱田邦夫氏(元最高裁判事)
大森政輔氏(元内閣法制局長官)
宮?礼壹氏(元内閣法制局長官)
平山正剛氏(元日弁連会長)
村越進(日弁連会長)
水地啓子氏(女性弁護士として)
廣渡清吾氏(東大名誉教授・日本学術会議前会長、学者の会代表)
長谷部恭男氏(早稲田大教授・国民安保法制懇)
小林節氏(慶応大名誉教授)
石川健治氏(東大教授・立憲デモクラシーの会・交渉中)
水島朝穂氏(早稲田大教授)
那須弘平氏(元最高裁判事) メッセージ参加
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そして、8月30日(日)午後2時が、東京10万人・全国100万人の大集会。
詳細情報は実行委員会のウェブサイト(http://sogakari.com)を参照いただきたい。
戦争法案廃案! 安倍政権退陣!
8.30国会10万人・全国100万人大行動
8月30日?14:00?
場所:国会議事堂周辺ほか
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声を上げよう。
「戦争法案を廃案に!」
「安倍内閣は退陣せよ!」と。
平和と民主主義を守るために。
声を上げることは、主権者の権利であり責務でもある。
今、大きく声を上げないと平和と民主主義が崩れてしまうかも知れない。
平和と民主主義がいったん崩れると、その再建のために声を上げる自由はもはやなくなる。
だから、手遅れにならぬうちに、声を上げよう。
できるだけ多くの人に呼びかけて、できるだけ大きな声を。
今なら、まだ間に合うのだから。
明日では遅すぎるかも知れない、のだから。
(2015年8月24日)
東京弁護士会は会員約7400人を擁する、最大の単位弁護士会である。その会内機関誌(月刊)を「LIBRA(リブラ)」という。「LIBERAL(リベラル)」と紛らわしいが、12星座の中の「天秤座」からの命名。
正義の女神テーミスは目隠しをして天秤を携えているという。つまりは、「正義とは公平のことで、これぞ弁護士業務の理念である」との寓意が込められている。弁護士と天秤。私には、大いに違和感があるが、何しろ全員加入制の弁護士会のこと、この題名は無難な選択なのだろう。
その「リブラ」8月号の表紙裏に、ズラリと並んだ歴代会長による共同記者会見の写真が大きく掲げられている。背後に、「私たちは,安全保障関連法案の撤回・廃案を強く求めます!」という横断幕。次のキャプションがつけられている。
「東京弁護士会歴代会長による違憲の安全保障法制に反対する共同声明を発表」
「2015年7月15日正午過ぎ,衆議院平和安全法制特別委員会で,安全保障法案が強行採決されたことを受け,同日午後2時より弁護士会館で記者会見を行い,標記共同声明を発表しました。当会歴代会長のうち存命の24名全員による声明であり,会見には24名中12名の歴代会長が出席しました。また,会見には報道機関14社が参加し,関心の高さがうかがわれました。当会は,安全保障関連法案の違憲性とその危険性を強く訴え,同法案の撤回あるいは廃案を求める活動を継続していきます。」
http://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2015_08/h2.pdf
歴代会長が連名で声明を発表するのは初めてのことなのだそうだ。会見に参加した歴代会長の中で最高齢が安原正之弁護士(93歳)。1950年に弁護士となり、1982年に会長職を務めている。記者会見では、自らの学徒動員による戦争体験を語り、平和の大切さを訴えた。その上で、今回の安保法案を「法律家であれば、とうてい誰も納得できるものではない」「日本は70年間戦争することなくここまできた。若い世代が、この平和を継続することを望む」と述べている。
現会長の伊藤茂昭弁護士は同会見での発言で、「戦後70年に及ぶ平和な日本の礎を破壊する暴挙だ。法律家として絶対に譲れない一線を越えている」と与党の強行採決を強く批判した。
存命の歴代会長24人全員が名を連ねたことのインパクトは大きい。「圧倒的多数」ではなく、保守的な会派(派閥)からの推薦会長を含めての「全員」。これが、戦争法案に対する法律家の常識的な見方だと言うべきだろう。
明日から、また熾烈な戦争法成立阻止闘争が始まる。今、政権は明らかな論理破綻に陥っているのだが、なりふり構わず法案成立を押し通そうとしている。こと憲法の問題となれば、弁護士会は黙過できない。政権との対決を覚悟しても、運動に立たざるを得ない。政権と対決する陣営の中で。弁護士は法論理の争いにおいて貴重な存在である。我が、東京弁護士会なかなかよくやっているではないか。
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歴代東京弁護士会会長全員による「共同声明」の全文は以下の通り。
http://www.toben.or.jp/message/seimei/post-408.html
2015年07月15日
「二度と戦争をしない」と誓った日本国憲法の恒久平和主義が、今最大の危機を迎えている。
現在、国会は政府の提出した「安全保障関連法案」を審議中であるが、会期を異例の95日という長期間延長し、本日、衆議院の特別委員会での採決を強行した。政府与党は、引き続き、本国会での成立を辞さないとの構えを見せ、日々緊迫の度を増している。
安全保障関連法案は、昨年7月1日の集団的自衛権行使の容認等憲法解釈変更の閣議決定を立法化し、世界中のどの地域でも自衛隊の武力行使(後方支援)を可能とするものである。「厳格な要件を課した」と称する存立危機事態・重要影響事態等の発動の基準は極めて不明確で、時の政府の恣意的な判断で集団的自衛権が行使され、自衛隊の海外軍事行動が行われる危険性が高く、憲法9条の戦争放棄・恒久平和主義に明らかに反するものである。
また憲法改正手続に則って国民の承認を得ることなく、憲法を解釈変更し、これに基づく法律制定をもってなし崩し的に憲法を改変しようとすることは、立憲主義および国民主権を真っ向から否定するものである。
衆議院憲法審査会に与野党から参考人として招じられた3名の憲法学者がそろって「安全保障関連法案は憲法違反」と断じ、大多数の憲法学者も違憲と指摘している。これまでの歴代政府も一貫して、集団的自衛権行使や自衛隊の海外軍事活動は憲法9条に違反するとの見解を踏襲してきたのである。
然るに、政府は「日本をめぐる安全保障環境が大きく変わり、国民の安全を守るためには集団的自衛権が必要」と主張し、武力による抑止力をことさらに喧伝しているが、そのような立法事実が実証できるのかは甚だ疑問である。また、政府は唐突にも、1959年(昭和34年)12月の砂川事件最高裁判決を本法案の合憲性の根拠として持ち出しているが、同判決は、個別的自衛権のあり方や米軍の国内駐留について述べたものであって、集団的自衛権を認めたものではないことは定説である。
われわれ国民は、日本国憲法の恒久平和主義という究極の価値観のもと、様々な考えや国際情勢の中で平和と武力の矛盾に揺れながらも、戦後70年間軍事行動をしなかったという、世界に誇れる平和国家を創り上げてきたのである。政府は「国民の安全を守るのは政治家である」として、かかる歴史と矜持を、強引に踏みにじろうとしている。
私たちは、憲法とともに歩みこれを支えてきた在野法曹の一員として、憲法の基本理念である恒久平和主義が、時の一政府の発案によって壊されようとしている現状を深く憂い、ここに安全保障関連法案の違憲性とその危険性を強く国民の皆さんに訴えるとともに、同法案の撤回あるいは廃案を求める。
昭和57年度会長 安原 正之 昭和58年度会長 藤井 光春
昭和63年度会長 海谷 利宏 平成元年度会長 菅沼 隆志
平成5年度会長 深澤 武久 平成7年度会長 本林 徹
平成9年度会長 堀野 紀 平成11年度会長 飯塚 孝
平成12年度会長 平山 正剛 平成13年度会長 山内 堅史
平成14年度会長 伊礼 勇吉 平成15年度会長 田中 敏夫
平成16年度会長 岩井 重一 平成17年度会長 柳瀬 康治
平成18年度会長 吉岡 桂輔 平成19年度会長 下河邉和彦
平成20年度会長 山本 剛嗣 平成21年度会長 山岸 憲司
平成22年度会長 若旅 一夫 平成23年度会長 竹之内 明
平成24年度会長 斎藤 義房 平成25年度会長 菊地裕太郎
平成26年度会長 ?中 正彦 平成27年度会長 伊藤 茂昭
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その翌日には、東弁会長声明が出ている。
http://www.toben.or.jp/message/seimei/post-410.html
2015年07月16日
東京弁護士会 会長 伊藤 茂昭
本日、衆議院本会議において、『安全保障関連法案』が与党のみによる賛成多数で強行採決され、参議院に送付された。
『安全保障関連法案』は、他国のためにも武力行使ができるようにする集団的自衛権の実現や、後方支援の名目で他国軍への弾薬・燃料の補給等を世界中で可能とするもので、憲法改正手続も経ずにこのような法律を制定することが憲法9条及び立憲主義・国民主権に反することは、これまでも当会会長声明で繰り返し述べたとおりである。
全国の憲法学者・研究者の9割以上が憲法違反と断じ、当会のみならず日弁連をはじめ全国の弁護士会も憲法違反を理由に法案の撤回・廃案を求めている。法律専門家のみならず、各マスコミの世論調査によれば、国民の約6割が反対を表明しているし、約8割が「説明不足」だとしている。
このように、法律専門家の大多数が憲法違反と主張し、国民の多くからも強い反対や懸念の表明があるにもかかわらず、『安全保障関連法案』を政府及び与党が衆議院本会議における強行採決で通したことは、国民主権を無視し立憲主義及び憲法9条をないがしろにする暴挙と言わざるを得ない。
安倍総理自身が、「十分な時間をかけて審議を行った」と言いながら「国民の理解が進んでいる状況ではない」と認めており、そうであるならば主権者たる国民の意思に従い本法案を撤回すべきである。国民の理解が進んでいないのではなく、国民の多くは、国会の審議を通じ、本法案の違憲性と危険性を十分に理解したからこそ反対しているのである。
参議院の審議においては、このような多くの国民の意思を尊重し、慎重かつ丁寧な審議がなされるべきであり、政府及び与党による強行採決や60日ルールによる衆議院における再議決など断じて許されない。
あらためて、憲法9条の恒久平和主義に違反し、立憲主義・国民主権をないがしろにする『安全保障関連法案』の撤回あるいは廃案を、強く求めるものである。
(2015年8月16日)
安倍談話が発表となった。村山富市の「何を言っているのか、分からん」というのが言い得てまことに妙だ。これが、多くの人の偽らざる気持ちを代弁する名言だろう。ことほどさように、いたずらに目眩ましの贅言が積み重ねられている。意図的に、わけの分からぬ代物に仕立てたのだ。
わけの分からぬ複雑なモノは、見る人それぞれが見たいように見ることができる。安倍の狙いないしは願望はその点にある。苦し紛れ安倍の忍法カメレオンだ。国内世論や、公明党・中・韓には、「侵略・植民地支配・反省・お詫びのキーワードがすべて揃っているでしょう」と言い訳ができるように組み立てた。彼が支持基盤としている国内右翼の面々には、「よく読んでみて。私は自分の見解として何にも言っていない。これまでの政府の立場を承継せざるを得ないというだけのこと」とすり抜けることができる。コウモリ路線を狙ったわけだ。
その評価は、両面から適切になされなければならない。
一面、安倍は言いたくもない「侵略・植民地支配・反省・お詫び」を言わざるを得なかったのだ。歴史修正主義者が、「謙虚に歴史に学ぶ」などと、屈辱的な言葉を口にした。これは、彼が追い詰められている証左だ。このことには自信を持つべきだろう。
他面、実のところ、談話は先の大戦を侵略戦争といわず、天皇制政府の植民地支配を反省していない。歴代政権の立場を踏襲するとはいったが、自分の言葉として反省もお詫びもしていない。中・韓のメディアも国民も、これで納得するはずはない。村山富市その人が、「村山談話が受け継がれたという印象はない」と言っていることに着目しなければならない。
コウモリ路線とはどちらにもよい顔をしようということだが、結局はどちらからも評価されることなく排斥されることになる。それが、安倍の命運なのだ。
安倍晋三とは何者か。歴史修正主義者というだけの人物ではない。「アンダーコントロール」だの「完全ブロック」だのと、平気で嘘を言える人物である。口から出任せを信用できるはずもなかろう。本当に「歴代政権の立場を踏襲する」のなら、まずはただちに戦争法案を撤回しなければならない。この法案は、日米の軍事的連携を深めて、主として中国を牽制しようという法整備である。安倍は、繰りかえし、「これまで以上に日本の安全性は高まる」と言っているが、あちらから見れば挑発行為だ。緊張が高まり、危険が増大することは目に見えている。
次いで、靖国神社参拝根絶を宣言しなければならない。自分だけでなく、閣僚の参拝もさせてはならない。侵略神社への閣僚の参拝が、どんなに中韓両国民の神経を逆撫でしているか、よく知っているはずではないか。
さらに、侵略や植民地支配の反省の立場を明記した歴史教科書を採択させ、つくる会系の歴史修正主義教科書を厳格に排斥することも必要だ。
そうすれば、安倍の評価は少しは上がるはず。どうだ、アベ君。頑張ってみないか。
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安倍談話ーあら面妖な その1
有識者懇の言い分には耳を傾けたとの安倍晋三。どうして、名だたる憲法学者の言には耳を傾けないの。不思議だな。
安倍談話ーあら面妖な その2
「特定の国を想定したものではないと言いながら、ウクライナや南シナ海・東シナ海などで力による現状変更は許すことができない」と言っちゃう。どうして? 不思議だな。
安倍談話ーあら面妖な その3
「最も重要なのは、不戦のメッセージ」などと言いつつ、どうして戦争法案を夏の終わりまでに成立させようというのだろう。どうして? 不思議だな。
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旗幟鮮明 は叩かれる、
隠忍自重 と身をすくめ、
捲土重来 期すべきが、
自業自得 の身の破滅。
美辞麗句 をちりばめて、
自画自賛 はしておれど、
奇々怪々 なる文面は、
四面楚歌 へと一直線。
(2015年8月14日)
戦争法案審議は、7月16日衆院での強行採決後明らかに様相の変化を見せている。法案の内容がよく知られてきたことに加えて、強行採決の乱暴を見せつけられて、民意は安倍政権を見限りつつある。内閣支持率は急激に低下し、安倍内閣の焦りが誰の目にも明らかになっている。国立競技場問題や辺野古基地新設問題でも、政府は従来の強気の姿勢を維持できなっている。対決法案の一つであったカジノ法案は、一時は「長期の会期延長が成立のチャンス」と報道されたが、その強行が内閣の評判をさらに落とすことになるからと、今国会成立断念となった。
それだけではない。川内原発再稼働あり、TPP問題あり。70年談話問題もあり、オウンゴール発言もある。安倍政権の末期症状露呈ではないか。
このような状況下、衆院とはまるで違った雰囲気の中での参院の特別委員会審議である。衆院では詰め切れなかった新たな問題が次々に出てきている。まさしく、これこそが「二院制の妙味」ではないか。
昨日(8月11日)の委員会審議で新たな爆弾が炸裂した。小池晃質問である。正確には、爆弾は小池質問であるよりは、小池が示した自衛隊内部文書である。前回の小池質問でも、「後方支援」における米軍と自衛隊の一体化を具体的に想定した恐るべき内部資料が示された。今回のものは、ひと味違うものだが、より根底的な問題を突きつけるものと言ってよい。次々と自衛隊の内部資料が共産党の手に渡って天下に公開されている。それなりの理由あってのことだろうが、きわめて興味深い。
この爆弾炸裂の効果として委員会審議が止まった。質疑の途中で「散会」となって、お盆休みに突入である。先行きは、「大気不安定」。雲行きが怪しい。豪雨や突風、真夏の降雹さえ予想される。
この日(昨日・11日)の委員会審議予定は質疑時間合計4時間16分とされていた。質問者と持ち時間は、以下のとおりである。
大塚耕平(民主) 60分 13:00?14:00
小西洋之(民主) 40分 14:00?14:40
柴田巧(維新) 30分 14:40?15:10
小池晃(共産) 30分 15:10?15:40
井上義行(元気) 16分 15:40?15:56
和田政宗(次代) 16分 15:56?16:12
中西健治(無ク) 16分 16:12?16:28
福島みずほ(社民)16分 16:28?16:44
山本太郎(生活) 16分 16:44?17:00
荒井広幸(改革) 16分 17:00?17:16
なお、出席大臣は、中谷防衛大臣・岸田外務大臣で、安倍総理はいなかった。
3番手で質問に立った小池晃が資料を示して質問を始めると、中谷防衛相は答弁に窮した。このような文書の存在を承知しているか、イエスかノーかと聞かれて回答できない。「ノー」と答えればシビリアンコントロールの不手際から制服組の暴走を許したと攻撃される。さりとて、イエスと答えれば、法案成立を前提とした部隊運用の計画を容認していたとして、国会軽視も甚だしいと突っ込まれる。どちらの答えもできないのだ。
答弁不十分という小池のアピールに、3度の「速記中止」となり、さらに速記中止の程度では対処できなくなって「休憩」が2度はいった。最初の休憩が15時25分から同32分まで。2度目が15時48分から16時7分まで。そして2度目の休憩が終了して、議長が審議の再開を宣告した。そして驚いたことに、「本日はこれにて散会いたします」と続けて流会となった。
結局小池質問は終了せずに持ちこされ、井上・和田・中西・福島・山本・荒井らの各質問は、この日は実現せず、次回持ち越しとなった。
本日の東京新聞朝刊は、この間の事情をこう説明している。
「共産党の小池晃氏は、自衛隊が法案の成立を前提に武器使用基準の見直しや日米間の具体的な調整内容をまとめた資料を独自に入手したとして自衛隊の独走だと追及。中谷元・防衛相は同名の内部文書の存在を認め、『国会の審議中に内容を先取りするようなことは控えなければならない』と釈明した。
小池氏によると、資料は陸海空の各自衛隊を束ねる統合幕僚監部が作成し、四月に再改定した日米防衛協力のための指針(ガイドライン)と安保法案に沿って検討項目を列挙。南シナ海の警戒監視への『関与のあり方を検討していく』と明記し、南スーダンに派遣している国連平和維持活動(PKO)に関しても『駆け付け警護が業務に追加される可能性がある』と見通しを示している。五月に作成されたとみられ、法案の成立時期も『八月』と明記されていた。
小池氏は『戦前の軍部の独走(と同じ)だ。絶対に許されず、議論できない』と批判した。他の野党も同調し、委員会は紛糾。予定した審議時間を一時間半以上残して散会した。」
当然のことながら本日の赤旗は一面トップの扱い。
「“8月成立” 日程表まで作成 小池氏『軍部独走の再現』と追及」「参院安保特 審議中断、散会に」などの見出しが大きい。
本文の記事は、以下のようなもの。
「自衛隊内で『8月中の戦争法案成立・来年2月施行』を前提に、法案の実施計画が立てられていた―。11日の参院安保法制特別委員会で、日本共産党の小池晃議員が独自に入手して暴露した防衛省統合幕僚監部の内部文書『日米防衛協力のための指針(ガイドライン)及び平和安全法制関連法案について』(防衛省統合幕僚監部の内部文書PDF)で、国会・国民無視の計画が初めて明らかになりました。
小池氏は『法案の成立を前提に部隊の編成計画まで出ている。絶対に許されず、法案を撤回すべきだ』と追及しました。中谷元・防衛相は答弁不能となり、審議はたびたび中断。結局、途中散会となりました。
文書は、今国会に戦争法案が提出された5月末時点で作成されたとみられます。表題から分かるように、新ガイドラインと戦争法案の概要、双方の関係を示したものです。『今後の進め方』とする日程表では、法案成立を前提に、最も早いパターンで『8月法案成立』、それから『6カ月以内の施行』開始として来年2月に施行を明記しています。また、7日に部隊派遣延長が閣議決定されたばかりの南スーダンPKO(国連平和維持活動)について、来年3月から『駆けつけ警護』を認めるなど、戦争法案を反映させる日程が具体的に示されています。」
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この資料から読み取れる大きな問題点が二つある。
一つは、小池が指摘したとおりの「軍部独走」である。防衛大臣の知らないところで、統合幕僚監部は、当然に法案が成立することを前提とした作戦計画を立てているのだ。シビリアンコントロールができていないと批判されて当然な事態。
もう一つは、新ガイドラインの政府・自衛隊に対する絶対的権威性である。政府・防衛省・自衛隊にとって、ガイドラインは憲法に優位する規範となっているという実態があぶり出されている。
資料を引用した小池質問の中に次の文言がある。
「この説明文章の中にこうあります。ガイドラインの記載内容については、既存の現行法制で実施可能なものと平和安全法制関連法案の成立を待つ必要があるものがあり、ガイドラインの中ではこれらが区別されることなく記載されていると。これ、本当に率直に書かれているんですね。大臣、法案が成立しなければ実施できない内容を、国会で議論もしないうちに日米合意し、発表したことになる、そういうことですね。」
これは的確にガイドラインの性格を言い表している。まずはガイドラインありきなのである。現行法でガイドラインに盛り込まれた自衛隊の任務ができなければ、できるように法律を作るのだ。違憲だという批判をものともせずに、である。小池自身が言っているとおり、「独立と主権をないがしろにする異常な対米従属の姿勢」にほかならない。
衆議院での審議も緊張感あったと思う。野党はよく頑張った。参議院も劣らず、審議の緊迫度が高く充実している。つくづく思う。与党に議席の多数を持たせて碌なことはない。来年の参院選挙が楽しみになってきた。
(2015年8月12日)