広島地検が、自民党・河井案里参院議員の選挙運動員3名を逮捕したのが3月3日。その勾留期限が24日に迫っている。昨日(20日)来、処分内容の見通しが、各メディアで語られている。いずれも、「関係者への取材で明らかに」とされているが、地検の意図的なリークがあったと見るべきだろう。各メディアの見出しが同じ方向のものとなっている。
共同通信配信記事の見出しが、「河井案里秘書 連座制視野に起訴へ」と端的であり、朝日が「案里氏秘書ら、連座制対象と判断か 百日裁判申し立てへ」、毎日が「公選法違反事件、連座制を視野 地検、百日裁判申し立てへ 河井案里議員、失職も」と順次詳細である。この3本の見出しで、大方の内容は把握できよう。
当ブログでも、この問題を下記のとおり3度取りあげている。
哀しいかな、議席もカネで買える現実がある。河井案里を当選させた、巨額の「安倍マネー」。
https://article9.jp/wordpress/?p=14179 (2020年1月23日)
河井案里選挙違反事件でざわつく党内。自民党内からのアベ批判。
https://article9.jp/wordpress/?p=14198 (2020年1月26日)
広島地検は、徹底して河井案里選挙の違法を追及せよ。政権への忖度などあってはならない。
https://article9.jp/wordpress/?p=14443 (2020年3月8日)
報じられているところを整理すれば、以下のとおり。
逮捕された被疑者は、次の3人である。
立道 浩(54) 案里の公設第2秘書(現在) 広島市在住
参院選公示前に車上運動員調整役の事務担当となり、選挙カーの遊説ルート作りなどを担い、案里当選後に秘書になった。車上運動員の手配や街頭宣伝のスケジュール管理、運動員への報酬支払も担当した。
高谷真介(43) 河井克行前法相の政策秘書 東京都在住
選挙運動を実質的に仕切ったとされる河井克行(前法相)と案里陣営とのパイプ役で、違法な報酬を車上運動員の仲介役に伝えた 候補者の遊説の統括や広報を担当、日当3万円の「河井ルール」適用について克行から了解をとり、昨年5月22日に現場に伝えた。
脇 雄吾(71) 案里陣営幹部 広島市在住
選挙対策事務所の事務長として選挙を取り仕切った。昨年6月11日に日当3万円の最終確認をウグイス嬢に伝えている。
被疑事実は公選法違反(運動員買収)
車上運動員14人に公選法が定める日当の上限(1万5000円)を超える報酬計204万円を支払った。
連座制の適用
3名のうちの少なくとも1人を連座制の対象者に当たるとして起訴し、連座制の適用に向け、迅速に裁判を進める「百日裁判」を広島地裁に申し立てる方針。有罪が確定すれば、案里議員の当選は無効となり失職する。
この件を取り巻く状況は、当初とは劇的に変わった。黒川検事長定年延長と検察庁法改正問題が出来して以来、この件の処分如何が、検察庁の政権に対する独立性に関する試金石となっているからだ。広島地検は、この件の処分に関していささかの妥協も許されない。妥協は、安倍政権に対する忖度と指弾されざるをえないのだ。
報じられているところでは、地検が連座制の適用を意識した起訴に及ぶことは確実と思われる。これで、案里議員の失職は見えてきた。問題は、予てから「本丸」とささやかれてきた、河井克行元法相の立件の有無である。報道では「地検は違法な報酬の決定に克行氏が関与したかどうかも慎重に調べている。」「克行氏が選挙の実務の全てを取り仕切る実質的な最高責任者であると述べている供述調書もある」「現場では、ほぼ証拠は固まりつつある。後は上の決断ではないか。」
前法相起訴となれば、政権へのインパクトは大きい。厳しくその任命責任が問われることになる。安倍晋三にしてみれば、こういうときにこそ検察トップに頼りになる人物が欲しいのだ。河井の次は、いつ自分の問題になり得るか心配なのだから。あらためて、権力から真に独立した、公正・中立な検察業務を願う。
(2020年3月21日)
泥棒は夢を見る。「警察官の人事をオレが握ることができれば、安心して仕事ができるんだが…」。 反社の諸君も夢を見る。「検事の人事をオレが握ることができさえれば、心おきなく大きな仕事ができるだろうに…」。 そして、安倍晋三も夢を見る。「検察トップの人事を握ってしまおう。そうすれば、国政私物化だの嘘とごまかしだのという批判は恐くない。心おきなく、私と妻とオトモダチのために特化したお仕事に邁進できる。」 泥棒と反社の願望は夢のまた夢だが、晋三の夢はひょっとすると実現することになる。
政府は3月13日、検察官の定年を63歳から65歳に引き上げる検察庁法の改正案を閣議決定し国会に上程した。これは、単なる公務員の定年延長問題ではなく、検察官の定年を延長するだけの問題でもない。権力の分立に関わる原理的な問題を孕んでいるとともに、国政私物化の安倍政権の野望の表れでもある。泥棒に警察官の人事を与えるに等しい。こんな法案を通してはならない。
翌3月14日の朝日の社説「検察庁法改正 許されぬ無法の上塗り」が、問題点をよく整理して、しかも分かり易い。リベラルな立場からのもっともな怒りがにじみ出ている。その抜粋を引用する。
法をまげたうえで、さらに法の本来の趣旨を踏みにじる行いを重ねるという話ではないか。納得できない。
国家公務員の定年延長にあわせ、検察官の定年を63歳(検事総長のみ65歳)から65歳に段階的に引き上げる検察庁法改正案が、国会に提出された。
見過ごせないのは、63歳以上は高検検事長や地検検事正といった要職に就けないとしつつ、政府が判断すれば特別にそのポストにとどまれる、とする規定を新たに盛り込んだことだ。
安倍内閣は1月末に東京高検検事長の定年を延長する閣議決定をした。検事総長に昇格させるための政治介入ではないかと不信の目が向けられている。
政府は従来、検察官の定年延長は認められないとの立場だったが、今般、解釈を変えることにしたと言い出し、決定を正当化した。立法時の説明や定着した解釈を内閣だけの判断で覆す行為は、法の支配の否定に他ならない。法案は、その暴挙を覆い隠し、さらに介入の余地を広げる内容ではないか。
政治家が特定の人物を選び、特別な処遇を施すことができるようになれば、人事を通じて組織を容易に制御できる。その対象が、政界をふくむ権力犯罪に切り込む強い権限を持ち、司法にも大きな影響を与える検察となれば、他の行政官と同列に扱うことはできない。
戦後、三権分立を定めた憲法の下で制定された検察庁法は、その問題意識に立ち、検察官の独立性・公平性の担保に腐心した。その一環として、戦前あった定年延長規定は削除され、歴代内閣は検察人事に努めて抑制的な姿勢をとってきた。
だが安倍政権は公然とその逆をゆく。延長の必要性について森雅子法相は、「他の公務員は可能なのに検察官ができないのはおかしい」という、検察の職務の特殊性や歴史を踏まえぬ答弁を繰り返すばかりだ。
混迷の出発点である高検検事長人事の背景に、首相官邸の意向があるのは明らかだ。検察への信頼をこれ以上傷つけないために、定年延長の閣議決定をすみやかに取り消すとともに、検察庁法の改正作業も仕切り直すことを求める。
さらに、3月17日東京弁護士会が、以下の会長声明を出した。これも、問題の全体像を簡明に語っている。その素早い対応に敬意を表したい。
検察庁法に反する閣議決定及び国家公務員法等の一部を改正する法律案に反対し、検察制度の独立性維持を求める会長声明
東京弁護士会 会長 篠塚 力
1 政府は本年1月31日、2月7日に63歳で定年を迎えることになっていた東京高検検事長の勤務を、国家公務員法の勤務延長規定を根拠に半年間延長するとの閣議決定をした(以下「本件閣議決定」という。)。
しかし、検察官は一般の国家公務員とは異なり検察庁法によって定年が規定されている。特別法が一般法に優先するのは理の当然であることから、国家公務員法の規定する定年退職の規定(国家公務員法第81条の2)はもとより、勤務延長の規定(同法第81条の3)も検察官には適用されないと解される。これは内閣、人事院の一貫した法律解釈であって、時の政権が閣議決定によってこの解釈を変更することは検察庁法の規定に明白に違背する。
2 検察官が一般の国家公務員とは異なる法律によって規律されるのは、検察官は行政官ではあるものの、刑事事件の捜査・起訴等の権限が付与され司法の一翼を担って準司法的職務を担うことから、政治からの独立性と中立性の確保が特に強く要請されるためである。
すなわち、検察官は「公益の代表者」(検察庁法第4条)であって、刑事事件の捜査・起訴等の検察権を行使する権限が付与されており、ときに他の行政機関に対してもその権限を行使する必要がある。そのために、検察官は独任制の機関とされ、身分保障が与えられている。にもかかわらず、内閣が恣意的な法律解釈によって検察の人事に干渉することを許しては、検察官の政権からの独立を侵し、その職責を果たせなくなるおそれがある。
したがって本件閣議決定は、検察官及び検察組織の政権からの独立を侵し、憲法の基本原理である権力分立と権力の相互監視の理念に違背する。
3 このような違憲・違法というべき法律解釈の変更について、法務大臣が国会内外で厳しく批判されている中で、政府は3月13日、さらに国家公務員法等の一部を改正する法律案(内容として検察庁法の一部改正を含む。)を閣議決定し、これを国会に提出した。
改正案は、すべての検察官の定年を現行の63歳から65歳に段階的に引き上げた上、63歳になった者は、検事総長を補佐する最高検次長検事や、高検検事長、各地検トップの検事正などの役職に原則として就任できなくなるが(役職定年制)、「内閣」が「職務遂行上の特別の事情を勘案し(中略)内閣が定める事由があると認めるとき」(検察庁法改正案第22条第5項)に当たると判断するなどすれば、特例措置として63歳以降もこれらのポストを続けられるようにするとの内容である。
このような法律改正がなされれば、時の内閣の意向次第で、検察庁法の規定に基づいて上記の東京高検検事長の勤務延長のような人事が可能になってしまう。
しかしこれは、政界を含む権力犯罪に切り込む強い権限を持ち司法にも大きな影響を与える検察官の独立性・公平性の担保という検察庁法の趣旨を根底から揺るがすことになり、極めて不当である。
4 以上の理由により、当会は政府に対し、本件閣議決定に抗議し、撤回を求めるとともに、国家公務員法等の一部を改正する法律案のうち検察官の定年ないし勤務延長に係る「特例措置」に係る部分を撤回し、憲法の権力分立原理を遵守して検察官の独立性が維持されるよう、強く求めるものである。
3月19日の毎日新聞(デジタル)解説記事も、意を尽くしたものとなっている。
国会に3月13日提出された検察官の定年を63歳から65歳に段階的に引き上げる検察庁法改正案への批判が強まっている。今年1月になって急きょ法解釈を変更して可能となった検察官の定年延長だけでなく、内閣が検察幹部の人事に介入できる余地を残すもう一つの「仕組み」も盛り込まれたためだ。内閣が必要と認めれば、例外的にその役職を続けさせることができる――この規定に野党は「検察人事に内閣が露骨に介入するものだ」と反発。東京弁護士会も反対する会長声明を出した。
検察庁法改正案とともに国会提出された国家公務員法(国公法)改正案には、定年の段階的引き上げのほか、管理監督職の年齢の上限を定める「役職定年制」が導入される。検察庁法改正案でも同趣旨の制度が導入され、63歳になるのに合わせて検事総長を補佐する最高検次長検事、高検検事長、地検トップの検事正は役職から退き、「検事」に戻ることになる。ただ、これに伴い、内閣の判断で例外的に63歳以降も役職を続けさせるという規定も入った。
「公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として内閣が定める事由があると認めるときは、次長検事、検事長が63歳に達した日の翌日から起算して1年を超えない範囲内で期限を定め、引き続き勤務させることができる」
この例外規定は現行法で検察官の定年を定めた「22条」に加えられた(検事正は別の条文)。さらに次の項で「前項の期限又はこの項の規定により延長した期限が到来した場合、前項の事由が引き続きあると認めるときは、内閣の定めるところにより、1年を超えない範囲で期限を延長することができる」とし、再延長、再々延長まで想定されている。
…検察官は他の国家公務員と違い、刑事事件の捜査・起訴の権限を付与されている。「首相も逮捕できる」存在であり、政治からの独立性と中立性の確保が極めて重要だ。しかし、この例外規定を素直に読めば、検察幹部の立場からいえば、職を続けられるかどうかは内閣の判断に左右されると言い換えられる。これで内閣の検察幹部への影響力を排除できるのだろうか。
以上で、この問題の論点は尽くされていると思う。
検察官は、他の公務員とは異なり、本来的に行政からの独立を要求される職務なのだ。必要があれば、首相をも逮捕し、起訴し、論告求刑し、刑の執行も行うべき立場にある。だからこそ、その人事が首相の手に握られるようなことがあってはならない。しかし、だからこそ、国政私物化をこととする首相の立場からは、人事権を通じて幹部検察官を手の内に納めておきたいのだ。
このほど、森友問題で文書の改竄を命じられたことを苦にして自殺した近畿財務局職員の手記が公表された。これまで知られていなかった新事実が明るみに出た。明らかに必要な事件の再調査を安倍晋三は拒否した。その理由をなんと言ったか。
「検察が捜査を行い、結果が出ている。財務省でも、麻生大臣のもとで、事実関係を徹底的に調査し、明らかにしたところだ」と言ったのだ。「検察が告発を受けて捜査して不起訴とした」のだからもう問題はない。これが、安倍晋三の錦の御旗となっている。忖度検察は、汚い内閣にとっての頼もしい味方なのである。
こんな法案が議会の数の力でゴリ押しされて通るようでは、刑事司法の権威は失墜する。警察官人事を握らせる泥棒の夢を叶えるに等しく、世も末だ。なんとしても、撤回してもらいたい。
(2020年3月20日)
本日(3月19日)、「卒業式処分をするな!都教委要請行動」。32名の要請団に私も交じって、いくつもの課題について要請と質問を重ねた。
いくつもの課題の根底に、民主主義国家の教育の場にふさわしからぬ「国旗・国歌(日の丸・君が代)」への敬意表明の強制がある。この強制に服さぬ教員に対して、東京都教育委員会が懲戒処分を科し、処分に伴う諸不利益を押し付け続けて事態を混乱させている。
国旗と国歌の学校行事を、ILO・ユネスコ勧告は「愛国的儀式」と呼称している。本来教育とは個人の人格の完成を目指すものだが、世界の良識には日本の教育は「愛国的儀式」に彩られたものと映っているのだ。この点、天皇制政府が国家主義を子どもたちに注入した戦前教育と基本的に変わるところがない。
そして「勧告」は、教員に対して愛国的儀式への参加を強制せぬよう配慮が必要という。これを受け容れがたいとする教員の「不服従の権利」を容認している。
消極的な不服従である限り思想良心に基づく行為への制裁があってはならない。これが「市民的不服従の権利」であって、国連の指し示す世界標準なのだ。不服従の権利を認めず、懲戒処分をもって愛国的行為を強制する我が国は、後進・野蛮の誹りを免れない。
都教委は、いったい何ゆえに、このような野蛮な国旗・国歌(日の丸・君が代)強制にこだわるのであろうか。不可解というしかない。
この度のコロナ禍に伴う措置は、不可解にさらに輪をかけるものとなった。本日の要請行動で、最も話題となったのが、「被処分者の会」からの次の指摘。
東京都教育委員会は2月28日、「新型コロナウイルスに間する都内公立学校における今後の対応(第49報)」を発表し、「1 都立学校の基本方針」として「更なる感染防止拡大」のため卒業式は「参列者の制限や時間の短縮により実施」とした。
そして、指導部指導企画課長名で都立高等学校長・都立特別支援学校長・都立高等学校付属中学校長・都立中等学校長宛「卒業式における国旗・国歌に関する調査の実施について」という事務連絡(以下、事務連絡?という)を発出し、記の2で「本年度に限り…『10.23通達』に示す取り扱いと異なる方法で卒業式を実施する場合は…」として回答例・例1では「…国旗を掲揚できなかった場合‥」、例2では「国歌を含め…斉唱や合唱を行わなかった場合」を挙げ、「※ 本年度に限り、上記回答を不適切な状況として取り扱わない」とした。
ところが、同日、指導部指導企画課長名で都立高等学校長宛に「事務連絡?」を発出し、「現時点で、都立学校における卒業式の国旗国歌の取り扱いについては、『国旗掲揚の下に、体育館で実施する。』『国歌斉唱を行う』という方針に変更ありません。」と指示し、「説明不足であったことをお詫び」した。
事務連絡?で「感染防止」のための「緊急対策」として「連絡」した内容が事務連絡?では「国旗掲揚…、体育館で実施…」「国歌斉唱を行う。」に変えられたのである。
その結果、これまでの式次第にあった校歌斉唱、保護者代表式辞、卒業生代表答辞、在校生代表送辞、式歌(卒業の歌)斉唱、などをカットし、?国歌斉唱、?校長式辞、?卒業証書授与、などに縮小して実施した学校も多い。「感染防止」と言いながら何が何でも「君が代」だけは歌わせるという都教委の異常さが際立っている。
納得できる説明を求めるという質問書の提出に続いて、出席者から声が上がった。
「朝令暮改も甚だしい。常識的な事務連絡?を出したあとに、いったい何があって、非常識な事務連絡?を出すことになったのか」「コロナは、接触感染と飛沫感染で広まっている。接触感染を防ごうというのが、体育館ではなく各教室で行おうという配慮。飛沫感染を防ごうというのが斉唱をやめようという配慮。どちらもまかりならんとはどういうことなのか」「性との命や健康よりも、日の丸・君が代が大切ということなのか」
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事務連絡?
事 務 連 絡
令和2年2月28日
都立高等学校長
都立特別支援学校長
都立高等学校付属中学校長
都立中等学校長 殿
教育庁指導部指導企画課長 小寺 康裕
卒業式における国旗・国歌に関する調査の実施について
例年実施している標記の調査について、複数の学校や自治体から、「新型コロナウイルス感染防止のため例年と異なる方法で卒業式を実施するため、どのように回答すればよいか。」
などの問い合わせを受けています。
つきましては、下記のとおり御対応ください。
記
1.例年と同様の様式で回答する。
2.新型コロナウイルスへの緊急対策に伴い、本年度に限り、いわゆる「10・23通達」に示す取り扱いと異なる方法で卒業式を実施する場合は、以下の例を参考に回答する。
◆例1 各教室で放送等を活用して式を実施したため、国旗を掲揚できなか った場合
→「オ 式典会場内掲揚せず」、
「ノ 演台を設置せずに実施」と回答
◆例2 飛沫感染を防ぐため、国歌を含め全ての式歌の斉唱や合唱を行わなかった場合
→「ス 斉唱せずメロディも流さず」と回答、
「(7)教職員の状況」は空欄
※本年度に限り、上記回答を不適切な状況として取り扱わない。
なお、体育館で実施しながら国旗掲揚を行わない事例や、校歌や他の式歌を斉唱(合唱)しながら国歌斉唱を行わない事例等は、不適切な事例に該当します。
【担 当】
教育庁指導部 主任指導主事 ○ ○
指導企画課統括指導主事 ○ ○
指導企画課指導主事 ○ ○
電話 03?53××?68××
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事務連絡?
事 務 連 絡
令和2年2月28日
都立高等学校長殿
教育庁指導部指導企画課長 小寺 康裕
「卒業式における国旗・国歌に関する調査の実施について」の趣旨等について
先ほど、当課からの事務連絡「卒業式における国旗・国歌に関する調査の実施について」により、本年度の調査の回答例等を示したところですが、この例は、今年度の新型コロナウイルスの感染拡大等の状況によっては、卒業式の実施方法について、様々な変更が想定されることから、変更があった際の回答の仕方を示したものです。
現時点で、都立学校における卒業式の国旗国歌の取り扱いについては、「国旗掲揚の下に、体育館で実施する。」「国歌斉唱を行う。」という方針に変更ありません。
説明不足であったことをお詫び申し上げます。
ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
【担 当】
指導部主任指導主事(安全教育担当) ○ ○
統括指導主事 ○ ○
電話 03?53××?68××
(2020年3月19日)
本日(3月18日)、コロナ禍のさなかの東京高裁511号法廷で、DHCスラップ反撃訴訟控訴審判決言い渡しがあった。おそらくはこれが、DHC・吉田嘉明と私との一連の訴訟において開かれる最後の法廷となる。
この事件が起きたのが2014年の春。あれから6年にもなる。あのとき私はDHC・吉田嘉明に怒り、今日まで怒り続けてきた。その怒りのエネルギーで、5度の訴訟を継続してきた。まずはDHC・吉田嘉明の起こした典型的なスラップ訴訟を被告として受けて立って、一審に勝訴し、2審も勝訴した。DHC・吉田嘉明は、最高裁への上告受理申立までしたが不受理となって、私の勝訴が確定した。これで3勝。続いての攻守ところを替えた反撃訴訟での一審勝訴に続く、本日の控訴審勝訴。これで、5選5勝である。
控訴審判決は、DHC・吉田嘉明が起こしたスラップの違法を再確認の上、一審では110万円であった損害賠償認容額を、165万円に増額した。一審では認めなかった前件訴訟(DHC・吉田嘉明のスラップ訴訟)における応訴弁護士費用負担分を50万円だけ認めたもの。
金額はともかく、明確にDHC・吉田嘉明がしたスラップ提訴の意図と違法を認めた判決に満足している。反撃訴訟をやってよかった。附帯控訴もやった甲斐があった。
一審判決は、スラップの違法を明晰に認定してはいたが、私のブログによる言論を恫喝し萎縮させる意図の有無には無関心だった。本日の控訴審判決の理由はこの点に踏み込んでいる。判決の末尾の部分をやや長文だが引用しておきたい。なお、以下の()は、私の書き足しである。
「前示のとおり,被控訴人(澤藤)の本件各(ブログでの)記述が,いずれも公正な論評として名誉毀損に該当しないことは控訴人ら(DHC・吉田嘉明)においても容易に認識可能であったと認められること,それにも関わらず控訴人らが,被控訴人に対し前件訴訟(DHC・吉田嘉明によるスラップ訴訟)を提起し,その請求額が,当初合計2000万円,本件ブログ4(「DHCスラップ訴訟を許さない・第1弾」)掲載後は,請求額が拡張され,合計6000万円と,通常人にとっては意見の表明を萎縮させかねない高額なものであったこと,控訴人吉田が自ら本件手記を公表したのであれば,その内容からして,本件各記述のような意見,論評,批判が多数出るであろうことは,控訴人ら(DHC・吉田嘉明)としても当然予想されたと推認されるところ?なお,前件訴訟の提訴前に,控訴人らの相談に当たった弁護士から,本件貸付が規制緩和目的のためなのか,私利私欲のためなのか分からない人たちから批判が出ることは当然あり得るとの意見が出ていたことが認められる(証人内海〔原審〕35頁)。?,控訴人ら(DHC・吉田嘉明)が,それに対し,言論という方法で対抗せず,直ちに訴訟による高額の損害賠償請求という’手段で臨んでいること,ほかにも近接した時期に9件の損害賠償請求訴訟を提起し,判決に至ったものは,いずれも本件貸付に関する名誉毀損部分に関しては,控訴人らの損害賠償請求が認められずに確定していることからすれば,……前件訴訟(DHCスラップ訴訟)の提起等は,控訴人ら(DHC・吉田嘉明)が自己に対する批判の言論の萎縮の効果等を意図して行ったものと推認するのが合理的であり,不法行為と捉えたとしても,控訴人ら(DHC・吉田嘉明)の裁判を受ける権利を不当に侵害することにはならないと解すべきである。したがって,控訴人ら(DHC・吉田嘉明)の前件訴訟の提起等は,請求が認容される見込みがないことを通常人であれば容易に知り得たといえるのに,あえて訴えを提起するなどしたものとして,裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものということができ,被控訴人(澤藤)に対する違法行為と認められる。」
以上の認定で、私の6年間の怒りは無駄ではなかったという充実感がある。表現の自由保障に一石を投ずる判決を得たと思う。
DHC・吉田の側から本日の判決を不服とする上告受理申立があるか否かは予想の限りではない。しかし、仮に申立があったとしても、もう不受理決定を待つだけで、精神的な負担感はまったくない。
あらためて、私は日本一幸福な被告であったことを再確認している。
弁護団の皆様、お世話になりました。支援をしていただいた皆様、本当にありがとうございました。
この勝訴判決が確定したときには、記念のイベントを企画したいと思います。その際には、ぜひともご協力をよろしくお願いいたします。
(2020年3月18日)
新型コロナウイルス対策のためとする特措法改正には、各界からの反対が強い。宗教界も例外ではない。
「信教の自由」を侵害する新型コロナウイルス対策のための特措法改正に反対する宗教者緊急声明(3月13日付)を紹介する。
呼びかけは、日本キリスト教協議会総幹事 金性済氏。緊急事態宣言の市民生活に及ぼす本質的な危険性と共に、宗教者として「信教の自由」が脅かされる危機感をもって、NCC東アジアの和解と平和委員会や「平和をつくりだす宗教者ネット」が中心となって、宗旨をこえて宗教者がこの法改定に反対する緊急声明に至ったものという。
まことに行き届いた、もっともな内容であって、このような各界からの意見表明の積み重ねが、政権の危険な意図を挫折させることになるだろう。
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「信教の自由」を侵害する新型コロナウイルス対策のための特措法改正に反対する宗教者緊急声明
私たちは、日本国憲法第9条を守りつつ、あらゆる戦争を許さない平和をつくりだすことを願い求め、共に祈り合う宗教者であります。
今、世界を揺るがす事態となった新型コロナ・ウイルス問題をめぐり、安倍晋三首相は、去る3月5日、“緊急事態宣言”発令を念頭に入れた「新型インフルエンザ等対策特別措置法」改定の準備について言明し、10日の閣議で国会上程が決定され、3月13日の国会で制定させようとしています。国会審議においては、すでに1月28日より、新型コロナ問題に関連して、緊急事態条項をもつ憲法の改定が一部国会議員たちによって言及されてきました。
かねてより自民党・与党によって提唱されてきた憲法改定案の一項目である「緊急事態宣言」は、重大な問題をはらんでいることが指摘されてきました。総理大臣を中心とする内閣が国家の緊急事態を宣言することにより、行政府が立法権をも独占してしまうならば、それは憲法秩序を停止してしまい、重大な人権侵害と立憲民主主義の秩序を破壊してしまう恐れがあることを、戦時下の日本やナチス・ドイツの歴史的経験から私たちは知っているのです。
この度の新型コロナ・ウイルスの感染拡大事態について、安倍政権が既存の法制度のもとに、迅速かつ周到な対応を怠ってしまったことを省みず、いきなり「緊急事態宣言」の手段を選択しようとする企ては、新型コロナ・ウイルス問題を奇貨としながら、憲法改定の意図まで含み持つ本末転倒的な対応というほかありません。
私たちがとりわけ憂慮することは、もしも「緊急事態宣言」が総理大臣によって発動されれば、都道府県知事に市民社会生活の広範囲にわたる行動を規制する権限が与えられ、自粛要請によって市民の外出が制限され(移動の自由を保障する憲法22条違反)、社会・教育施設などの使用が制限されることが考えられます。それはまた、宗教者が状況を慎重に見極めつつも、自主的に判断し、宗教活動を営むことさえ制約されることにつながり、「信教の自由」を侵害するものとなりえます。
安倍政権は、1月末の段階において感染症法や検疫法の下でなしうる対応が後手に回り、さらにクルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス号)乗船者に対する対処や下船後の対応についても、適切な政策を打ち出せず、結果的に感染拡大を引き起こす失策を繰り返してきました。
このような失敗を省みず、安倍首相は3月2日、参議院予算委員会にて「新型インフルエンザ等対策特別措置法と同等の措置を講ずることが可能となる立法措置を早急に進める」と発言しました。感染問題をめぐり、安倍首相は2月27日に、専門家会議での協議や関係省庁との慎重な検討も踏まえることなく、科学的根拠もないまま、全国一斉休校「要請」措置を突然出すことにより、社会に大きな混乱をもたらしました。このような安倍政権がさらに緊急事態を宣言することに、私たちは大きな脅威と危険を覚えずにおれません。
さらに、去る3月1日の「3.1独立運動」記念式典の演説において、韓国の文在寅大統領は、日本政府に「共に危機を克服しよう」と呼び掛けたにもかかわらず、その4日後、中国と韓国からの入国を、何の外交的協議や専門家協議もなく一方的に制限する措置を発表しました。安倍政権によるこのような非情・非礼なる措置は、悪化した日韓関係の改善に向けた配慮など一顧だにしない傲慢で排外的な対応というほかありません。
私たち宗教者は、日本も世界のどの国もが協力し合い、一日も早く新型コロナ・ウイルスの感染による災いを、互いの友愛と英知と希望をもって克服していく日を迎えることを心から祈願するものであります。
そして、この人類的危機に際して、むしろ立憲民主主義の秩序を揺るがし、「緊急事態」の名を借りた権力の集中と、人権蹂躙的統制へ道を開くことに対して断固反対するものであります。
(2020年3月17日)
2020年3月16日
放送法を踏みにじり、NHKの番組制作を妨害した
森下俊三氏のNHK経営委員辞任を求める署名運動
へのご協力のお願い
民主主義と国民の知る権利を大切とお考えの皆さま
NHKこそは国内最大の影響力を誇るメディアです。かつては、大本営発表の伝声管として天皇制国家の統制に服する存在でしたが、戦後は国家や時の政権から独立し、資本の支配も受けないという、「公共放送」となりました。権力ではなく、主権者国民がこれを監視し育てて行かなければなりません。
しかし、問題だらけの安倍政権は、一貫して人事を通じてのNHKへの介入を画策してきました。ご存じのとおり、NHKの最高意思決定機関が経営委員会です。その12名の経営委員全員が安倍首相の任命によるもので、互選による経営委員長が森下俊三氏。NTT出身で阪神高速道路会長だった財界人。これがとんでもない人物。この人の経営委員辞任を求める署名活動を始めます。念のためですが、経営委員長辞任ではおさまらない。経営委員を辞めなさい、ということなのです。
辞任を求める直接の理由は、この人の露骨な番組制作の妨害行為。明らかな、放送法違反の違法行為です。この人の「クローズアップ現代+」の番組潰しが、到底経営委員としての資格を認めがたいのです。
「クローズアップ現代+」は2018年4月に、日本郵政の悪徳商法を番組に取りあげました。日本郵政は、職員に過酷なノルマを課し、詐欺同然のやり方でかんぽ保険等の不正販売を続けてきたのです。NHKの現場スタッフは、これ以上の消費者被害を出さぬよう、視聴者に警告を発する立派な番組を制作し放送しました。そして、その上で続編の制作に向けて取材を続けていました。
ところが、あろうことか、当時NHK経営委員会の委員長代行であった森下俊三氏は、さらなる不正の発覚を恐れた日本郵政の不当な要求を取り次いで、「クロ現+」の番組の取材と編集に露骨に干渉し、続編の制作を妨害する発言をしたのです。
信じがたい経営委員としての任務違背の違法行為。彼の頭の中のNHKとは、上命下服の指揮系統だけの存在で、政治的権力や社会的強者、あるいは不正不当を批判するジャーナリズムの神髄への理解は皆無なのです。
そもそも「放送法」は、番組の制作と経営とを分離し、経営委員が個別の番組の編集に関与したり、干渉したりする行為を禁じています。にもかかわらず、森下氏は「クロ現+」が続編制作のための取材を続けていたことを知りながら、経営委員会の席上その取材方法を公然と非難する発言を行い、上田良一会長(当時)への厳重注意決議を成立させるまでして、番組制作を妨害しました。
その森下氏が現在のNHK経営委員長ですが、当時の行為についての反省はありません。事実関係の大筋は認めながら、「放送が終わった番組について感想を述べたまでで、干渉はしていない」と開き直っています。ことここに至っては、森下氏の経営委員としての不適格は明らかであるだけでなく、このような郵政への忖度志向人物が、政権から独立したNHKの姿勢を堅持できるとは、到底考えられません。
以上のとおり、森下氏はNHK経営委員長としてばかりか、NHK経営委員としても不適格であることは明らかですから、私たちは、NHKの自主自律、番組編集の自由を守るために、森下俊三氏に、経営委員の辞任を求めます。
署名用紙は、下記のとおりです。
*署名の第一次集約日:2020年月4月5日(日)
第二次集約日:2020年月4月30日(木) 必着
*署名は用紙かネットのいずれかでお送りください。
・用紙の郵送先:
〒285-0858 千葉県佐倉市ユーカリが丘2?1?8
佐倉ユーカリが丘郵便局留
「森下経営委員の辞任を求める署名運動の会 醍醐 聰」宛て
・署名用紙のダウンロードは→ http://bit.ly/33gfSET から。
*ネット署名: http://bit.ly/2TM7pGj
<以下はネット署名です>のところに記入して「送信」をクリック。
メッセージもお願いします。
*この署名に関するお問い合わせは、
メール:kikime3025-dame18@yahoo.co.jp へ
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2020年3月16日
NHK経営委員長
森下俊三 様
放送法を踏みにじり、NHKの番組制作を妨害した森下俊三氏の
NHK経営委員辞任を求めます
呼びかけ団体 (2020年3月16日、11時現在)
NHKとメディアを考える滋賀連絡会/NHKとメディアを考える東海の会/NHK問題大阪連絡会/NHK・メディアを考える京都の会/NHK問題を考える奈良の会/NHKを監視・激励する視聴者コミュニティ/「日本郵政と経営委首脳によるNHK攻撃の構図を考える11.5シンポジウム」実行委員会/NHKとメディアを語ろう・福島/NHKとメディアを考える会(兵庫)/表現の自由を市民の手に 全国ネットワーク/NHK問題を考える岡山の会/NHK問題を考える会・さいたま/政府から独立したNHKをめざす広島の会/放送を語る会/時を見つめる会/NHKをただす所沢市民の会/NHKとメディアの今を考える会/NHKを考える福岡の会/NHKを考えるふくい市民の会
日本郵政は職員に過酷なノルマを課し、詐欺同然のやり方でかんぽ保険等の不正販売を続けてきました。2018年4月、NHKの「クローズアップ現代+」はこの件を取り上げて視聴者に警鐘を鳴らすとともに続編の制作に向けて取材を続けていました。
ところが、あろうことか、当時NHK経営委員会の委員長代行であった森下俊三氏は、さらなる不正の発覚を恐れた日本郵政の不当な要求を取り次いで、「クロ現+」の番組の取材と編集に露骨に干渉し、続編の制作を妨害する発言をしていた事実が明るみに出ました。
そもそも「放送法」は、番組の制作と経営とを分離し、経営委員が個別の番組の編集に関与したり、干渉したりする行為を禁じています。にもかかわらず、森下氏は「クロ現+」が続編制作のための取材を続けていたことを知りながら、経営委員会の席上その取材方法を公然と非難する発言を行い、上田良一会長(当時)への厳重注意決議を成立させるまでして、番組制作を妨害したのです。
現在、森下氏はNHK経営委員長に就任していますが、当時の行為についての反省はなく、「放送が終わった番組について感想を述べたまでで、干渉はしていない」と強弁し、居直っています。ことここに至っては、森下氏の経営委員としての不適格は明らかと指摘せざるを得ません。
そこで、私たちは森下俊三氏に以下のことを求めます。
森下俊三氏は直ちにNHK経営委員を辞任すること
私は上の求めに賛同し、以下のとおり署名します。
氏 名 住 所
(2020年3月16日)
コロナ禍・アベ禍のさなかにも季節はめぐる。昨日(3月14日)、東京に開花宣言である。「暖冬で観測史上最速、満開は23日見込み」と報じられている。
「銭湯で上野の花の噂かな」をキーワードに検索したところ、幾つかの私の過去のブログが出てきた。まずはその抜粋。
本日の東京の天気は上々。桜も咲いた。
銭湯で上野の花の噂かな
佃育ちの白魚さえも花に浮かれて隅田川
花がほころべば、自ずと顔もほころぶ。春はよろしい。
https://article9.jp/wordpress/?p=2358(2014年3月29日)
花の名所は数あるが、花見の名所は上野を措いてない。ここが花見の本場、花見のメッカだ。花見とは、花を見に行くことではない。ようやく訪れた春の、浮き浮きしたこの気分の共有を確認する集いなのだ。
花は植物で、花見は社会現象である。花は美しく、花見は猥雑である。人がいなくても花は花だが、大勢の人がいなくては花見は成立しない。老も若きも、男も女も、赤子も犬も、猫も杓子も参加しての花見だ。歩くあり、しゃがむあり、座り込むあり、寝込むもあり。杖をつく人も、車椅子の人も。人、人、人。寄せては返す人の波だ。
絶え間なく歩く人と、シートに座を占めた人々。それぞれが、しゃべり、写真を撮り、弁当を開き、酒を飲んでいる。歌もあり、踊りもある。屋台の前のごった返し、席取りのいざこざ、満員のトイレの列への割り込みを非難する声も、カタクリの蕾を踏んじゃダメだという注意も、皆なくてはならない花見文化の構成要素。
年に1度のこの雑踏の雰囲気が、我々の民族的アイデンティテイ。とはいえ、この上野の人混みの中に飛び交ういくつもの外国語。そしていろんな肌の色の人々。ああ、花見文化の浸透力の強さよ。
銭湯で 上野の花の 噂かな (子規)
https://article9.jp/wordpress/?p=10136(2018年 3月 26日)
これまでの上野の春は、上述のとおりだ。ところが、今年の上野はたいへんな様変わりなのだ。やはり子規の句に、「寐て聞けば上野は花のさわぎ哉」とある。上野の花は子規の時代さながらに例年のとおりなのだが、花のさわぎがない。いや、そもそも人混みがない。飛び交ういくつもの外国語も、いろんな肌の色の人々もない。
つい先日まで、上野公園の雑踏はインバウンドの人びとで溢れ、ときたまに聞こえる日本語は実に懐かしい響きだった。啄木ありせば、昨年までなら「やまと言葉なつかし 上野の森の人ごみに そを耳にせり」と詠んだところだが、今年聞こえるのは日本語ばかり。その人びとも、濃厚接触するほどの人混みを作らない。しかも公園は、宴会はだめ、酒はだめ、座り込むもだめという。
子規が句を詠んだ時分、根岸の銭湯での噂話はこんなものだったろうか。
お山の花は、もう五分咲きかい。気もそぞろだね。
ご隠居。はやいとこ出かけないと、散ってしまいますぜ。
上野戦争の時にはおどろいたが、穏やかに花見のできるご時世はありがたい。
これだけは文明開化とは無縁でね、昔どおりでなくっちゃ。
薩摩や長州の連中がいばっているのがシャクな世の中だが、あのとき焼けた桜も立派になったものだ。
ご隠居は、花の下で一句ひねろうてんでしょ。こちとらは、仲間と酒盛りの楽しみ。
ああ、明日花の下でお目にかかろうじゃないか。
最近は、ずいぶんと様変わり。
えっ。3月14日に開花宣言だって?
それがご隠居、地球温暖化のせいでね。どんどん開花がはやくなっているんですよ。
震災や戦災の時には、上野の山は焼け出された人びとの逃げ場になってな。穏やかに花見のできる平和はありがたいね。
ところが、今年は穏やかじゃない。グローバリゼーションがあだとなって、あっという間のコロナの流行り。花見はしたいが、コロナが恐い。
コロナより恐いのがアベ政治じゃ。苛政は虎よりも猛しというではないか。火事場泥棒みたいに、特措法の改正までやりおって。国民の不幸で生き延びているのが、アベ政権。シャクな世の中よ。
結局、ご隠居は花の下での句会もできない。こちらは、仲間との酒盛りの楽しみもだめ。
来年こそはコロナもアベもない、穏やかな春を迎えたいものじゃのう。
(2020年3月15日)
昨日(3月13日)、新型コロナウイルス感染症を適用対象に加える「新型インフルエンザ特措法」の改正法が成立した。3月11日の審議開始からわずか3日間での成立である。内容は、新型コロナを法の適用対象に加えるだけで、ほかの規定は変えなかった。
衆参両院の決議はいずれも全会一致ではなかった。賛成は、自民・公明・維新と、立憲民主・国民民主・社民の共同会派。共産・れいわ・碧水会・沖縄の風が反対。その他の野党の中からも数人の反対・棄権・欠席があったことがせめてもの救い。
どさくさ紛れの火事場泥棒的法改正だが、新型コロナ感染症への適用に関しては、政令で対象期間を来年(2011年)1月31日までと定めた。それまで、緊急事態宣言の発動を阻止しなければならない。
言うまでもないことだが、近代憲法とは、個人の人権を権力の侵害から擁護するために、主権者が与えた権力規制の命令体系である。憲法の命ずるところに従って、権力の行使は人権侵害のないように制約される。ところが、国家緊急の事態においては、その例外がまかり通らねばならないとする考え方がある。その例外を憲法自体に書き込む例もあり、個別の法にそのような例外を設ける例もある。2012年成立の「新型インフルエンザ特措法」は、「緊急事態宣言」時には、そのような「立憲主義の例外」を安易に認める。危険な立法と言わざるを得ない。
大日本帝国憲法には、いわゆる「国家緊急権規程」が満載であった。第14条(戒厳大権)、第8条(緊急勅令)、第31条(非常大権)、第70条(緊急財政処分)などである。条文は以下のとおりである。
第14条(戒厳大権)
1項 天皇ハ戒厳ヲ宣告ス
2項 戒厳ノ要件及効力ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム
第8条(緊急勅令)
1項 天皇ハ公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ帝国議会閉会ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ発ス
第31条(非常大権)
本章(第2章 臣民権利義務)ニ掲ケタル条規ハ戦時又ハ国家事変ノ場合ニ於テ天皇大権ノ施行ヲ妨クルコトナシ
第70条(緊急財政処分)
1項 公共ノ安全ヲ保持スル為緊急ノ需用アル場合ニ於テ内外ノ情形ニ因リ政府ハ帝国議会ヲ召集スルコト能ハサルトキハ勅令ニ依リ財政上必要ノ処分ヲ為スコトヲ得
戒厳が宣告されれば、こんなことになる。
戒厳令第十四条 戒厳地境内於テハ司令官左ニ記列ノ諸件ヲ執行スルノ権ヲ有ス
但其執行ヨリ生スル損害ハ要償スルコトヲ得ス
第一 集会若クハ新聞雑誌広告等ノ時勢ニ妨害アリト認ムル者ヲ停止スルコト
第二 軍需ニ供ス可キ民有ノ諸物品ヲ調査シ又ハ時機ニ依リ其輸出ヲ禁止スルコト
第三 銃砲弾薬兵器火具其他危険ニ渉ル諸物品ヲ所有スル者アル時ハ
之ヲ検査シ時機ニ依リ押収スルコト
第四 郵便電報ヲ開緘シ出入ノ船舶及ヒ諸物品ヲ検査シ並ニ陸海通路ヲ停止スルコト
第五 戦状ニ依リ止ムヲ得サル場合ニ於テハ人民ノ動産不動産ヲ破壊燬焼スルコト
第六 合囲地境内ニ於テハ昼夜ノ別ナク
人民ノ家屋建造物船舶中ニ立入リ検察スルコト
第七 合囲地境内ニ寄宿スル者アル時ハ時機ニ依リ其地ヲ退去セシムルコト
(口語訳)戒厳令が敷かれた地域内では、通常の立法・行政・司法は停止して、司令官が以下の専権をもつ。仮に、これによって誰かに損害が生じても、賠償はしない。
1 不都合な集会や、新聞雑誌広告の発行は停止する
2 軍が必要な諸物品を調査して、その輸出を禁止する
3 銃砲弾薬兵器火具などの危険物の所在を検査して取り上げる
4 郵便電報は開封し船舶や諸物品を検査し陸海の交通路を遮断する
5 やむを得ない場合は、人民の家屋や財産を破壊し焼却する
6 昼夜の別なく人民の住居・建物・船舶に立ち入って検査する
7 必要あれば住民を追い出すこと
関東大震災直後の1923年9月3日の関東戒厳令司令官通知万世一系なにごと以下のとおりである。
(同司令部は、9月2日緊急勅令による「行政戒厳」によって設置されたもの)
一 警視総監及関係地方長官並ニ警察官ノ施行スベキ諸勤務。
1 時勢ニ妨害アリト認ムル集会若ハ新聞紙雑誌広告ノ停止。
2 兵器弾薬等其ノ他危険ニ亙ル諸物晶ノ検査押収。
3 出入ノ船舶及諸物晶ノ検査押収。
4 各要所ニ検問所ヲ設ケ
通行人ノ時勢ニ妨害アリト認ムルモノノ出入禁止又ハ時機ニ依り水陸ノ通路停止。
5 昼夜ノ別ナク人民ノ家屋建造物、船舶中ニ立入検察。
6 本命施行地域内ニ寄宿スル者ニ対シ時機ニ依リ地境外退去。
二 関係郵便局長及電信局長ハ時勢二妨害アリト認ムル郵便電信ヲ開緘ス。
また、ヒトラーが政権簒奪の手段としてまず用いたのが、以下のワイマール憲法第48条2項である。
「ドイツ国内において、公共の安全および秩序に著しい障害が生じ、またはそのおそれがあるときは、大統領は、公共の安全および秩序を回復させるために必要な措置をとることができ、必要な場合には、武装兵力を用いて介入することができる。
この目的のために、大統領は一時的に第114条(人身の自由)、第115条(住居の不可侵)、第117条(信書・郵便・電信電話の秘密)、第118条(意見表明の自由)、第123条(集会の権利)、第124条(結社の権利)、および第153条(所有権の保障)に定められている基本権の全部または一部を停止することができる。」
そして、悪名高いナチスドイツの「授権法」(全権委任法)は、わずか全5条だった。これが、ヒトラー独裁の法的根拠となった。
正式名称 「民族および国家の危難を除去するための法律」1933年3月23日成立
1.ドイツ国の法律は、ドイツ政府によっても制定されうる。
2.ドイツ政府によって制定された法律は、憲法に違反することができる。
3.ドイツ政府によって定められた法律は、首相によって作成され、官報を通じて公布される。特殊な規定がない限り、公布の翌日からその効力を有する。
4.ドイツ国と外国との条約も、本法の有効期間においては、立法に関わる諸機関の合意を必要としない。政府はこうした条約の履行に必要な法律を発布する。
5.本法は公布の日を以て発効する。本法は1937年4月1日までの時限立法である。
日本国憲法には一切の緊急事態条項がない。その理由を制憲国会(第90帝国議会)における政府(担当大臣金森徳次郎)答弁は、こう語っている。
「緊急勅令及ビ財政上ノ緊急処分ハ、行政当局者ニ取リマシテハ実ニ調法(重宝)ナモノデアリマス、併シナガラ調法ト云フ裏面ニ於キマシテハ、国民ノ意思ヲ或ル期間有力ニ無視シ得ル制度デアルト云フコトガ言ヘルノデアリマス、ダカラ便利ヲ尊ブカ或ハ民主政治ノ根本ノ原則ヲ尊重スルカ、斯ウ云フ分レ目ニナルノデアリマス、ソコデ若シ国家ノ伸展ノ上ニ実際上差支ヘガナイト云フ見極メガ付クナラバ、斯クノ如キ財政上ノ緊急措置或ハ緊急勅令トカ云フモノハ、ナイコトガ望マシイト思フノデアリマス」
「民主政治ヲ徹底サセテ国民ノ権利ヲ十分擁護致シマス為ニハ、左様ナ場合ノ政府一存ニ於テ行ヒマスル処置ハ、極力之ヲ防止シナケレバナラヌノデアリマス言葉ヲ非常ト云フコトニ藉リテ、其ノ大イナル途ヲ残シテ置キマスナラ、ドンナニ精緻ナル憲法ヲ定メマシテモ、口実ヲ其処ニ入レテ又破壊セラレル虞絶無トハ断言シ難イト思ヒマス、随テ此ノ憲法ハ左様ナ非常ナル特例ヲ以テ――謂ハバ行政権ノ自由判断ノ余地ヲ出来ルダケ少クスルヤウニ考ヘタ訳デアリマス、随テ特殊ノ必要ガ起リマスレバ、臨時議会ヲ召集シテ之ニ応ズル処置ヲスル、又衆議院ガ解散後デアツテ処置ノ出来ナイ時ハ、参議院ノ緊急集会ヲ促シテ暫定ノ処置ヲスル、…コトガ適当デアラウト思フ訳デアリマス」
70年余以前の、この日本国憲法制定の初心を、今噛みしめる必要があるだろう。新型インフル特措法改定案に反対した山添拓議員(共産)の、昨日(3月13日)参院本会議での反対討論(要旨)を紹介しておく。
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新型コロナウイルス感染症に、多くの人が不安を感じています。今求められているのは、感染拡大を防ぎ、検査体制と医療体制をいっそう充実させるとともに、くらしと経済を守る政治責任を果たすことです。ところが政府は、本法案を通すことを最優先にしています。
特措法の最大の問題は、緊急事態宣言の下で行政に権力を集中させ、広範な権利制限が可能となることです。
外出自粛の要請が可能とされます。学校や保育所、介護老人保健施設など、多くの人が利用する施設の利用の制限・停止を要請し、指示できるとされます。医療施設建設のために土地や建物を同意なく使用できるとされます。
こうした多岐にわたる措置は、憲法が保障する移動の自由、経済活動の自由、集会の自由や表現の自由などの基本的人権を制約し、くらしと経済に重大な影響を及ぼします。
特措法は、自由と権利の制限は「必要最小限度」としていますが、その保証はありません。さまざまな措置により市民に生じる経済的な損失について、補償する仕組みもありません。
幅広い人権制限が発動されれば、市民生活と経済活動に広範な萎縮効果が及びます。
自由と権利の重大な制約を可能とするにもかかわらず、法律上の歯止めが曖昧です。
都道府県知事にこうした強力な権限をもたせるのが、首相による「緊急事態宣言」です。ところが、その発動要件は法律上不明確です。
「重篤」とは何か、「相当程度高い」とはどの程度か、「まん延」とは何か、これらを誰が、いかなる根拠で判断するのかの定めがありません。科学的根拠について、専門家の意見を踏まえる仕組みがありません。
「宣言」の発動や解除に際し、国会の承認は求められていません。私権制限を一時的かつ一部とはいえ行政権に集中させるのに、国会の事前承認すら求めないのは重大です。
さらに「宣言」下では、「指定公共機関」であるNHKに対し首相が「必要な指示をすることができる」とされ、その内容や範囲に限定はありません。これでは、政府にとって都合の悪い事実は報道させないことも可能となり、国民の知る権利を脅かしかねません。
本法案は、衆議院で3時間、本院でも参考人質疑を含め4時間20分の質疑時間で委員会採決に至り、十分な審議すら行われていません。政府は本日の質疑でも、現状は緊急事態宣言を発する状況ではないとしています。急いで審議・採決を進める必要はありません。
憲法改定に前のめりの安倍首相の下で、自民党議員が「緊急事態条項を改憲項目に」と発言しています。安倍政権に緊急事態宣言の発動を可能とすることは容認できません。
(2020年3月14日)
松尾貴史が、絶好調である。日曜日の朝は、毎日新聞の「松尾貴史のちょっと違和感」が楽しみ。3月8日は「首相会見打ち切り、自宅直帰のワケ 聞かれてなぜ、うろたえる?」というタイトル。分かり易く、面白くて、ためになる。
ついでながら、これに比較して、月曜日の西原理恵子「りえさん手帳」がまったくつまらない。貴重な紙面の無駄だ。最近は、月曜日のこの乱暴な絵には目を背ける。ヘイト派の片割れとなり果てては、表現者はお終いなのだ。こんなものの連載を続けている毎日新聞の見識を疑う。
さて、3月8日の松尾貴史コラム。毎日新聞を読んでいない人のために、一部を引用しておきたい。
蓮舫氏は、安倍氏がコロナウイルス問題について「会見」と称して開いた「演説会」で、記者からの質問に対する答えも用意された原稿を読む形ですすめ、まだ質問があると手をあげる記者もいる中、とっとと終えて、忙しいのかと思いきや自宅に直帰した件でもただした。
「ジャーナリストの江川紹子さんが、『まだ質問があります』と挙手しました。なぜ答えなかったんですか」という質問に、安倍総理が「あの、これはですね、あのー、あらかじめ、えー、ま、記者あー、クラブとですね、あの、おー。ま、広報室側で、えー、あの、ある程度の、え、打ち合わせをしていると、おー、いうふうに聞いているところでございますが、ま、時間の関係で、えー、時間の関係で、ですね、あのー、お、お、おー、うちらせ(打ち切らせて?)、えー、いただいた、とまあ、こういうことでございます」としどろもどろ。何をそんなにうろたえているのか。いつもは、ことに女性議員には居丈高になる安倍氏だが、支持率が下がっているせいなのか、意外と言葉だけは低姿勢の印象だ。
そこで蓮舫氏が「いや、36分間の会見終わって、そのあとすぐ帰宅しています。そんなに急いで帰りたかったんですか」と聞くと、安倍氏は「あの、えー、いつも、えー、この、おー、総理……会見、においてはですね、ある程度の、おーこの、えーやり取り、や、やり取りについて、え、あらかじめ質問を、頂いている、ところでございますが、えー、その中で、誰に、えーこの、お答えをさしていただくか、ということについては、ですね、司会を務める、えー、広報官の方で、責任もって、対応をしているところで、えー、あります」。
もう、わらうしかない。毎度のことながら、「急いで帰りたかったのか」という聞かれたことには一切答えなかった。
とうとう蓮舫氏に、「いや会見でね、総理はね、『さまざまなご意見、ご批判、総理大臣として、そうした声に真摯(しんし)に耳を傾けるのは当然だ』と。だったら、広報官を止めて、遮らないで、会見をもっと続けて、江川さんやみんなの声に応えると、何で自らそこでリーダーシップを発揮しなかったんですか」とピシャリとやられていた。
どうだろう、日本国のトップとしてこの体たらくは。これはコント台本ではない。
沖縄タイムスが、この首相記者会見のやり方を「台本営発表」と表現した。なるほどうまいものだ。この首相記者会見をきっかけに、事前にやり取りが決められた総理大臣の会見の在り方を変えるための署名活動が始まっている。呼びかけたのは新聞労連の南彰委員長。署名はオンラインで集めるもので、当初の予定だった1万を遙かに超えて3万余となっている。。
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十分な時間を確保したオープンな「首相記者会見」を求めます!
発信者:日本マスコミ文化情報労組会議 宛先:内閣総理大臣 安倍晋三(内閣総理大臣)
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の全国一斉臨時休校を打ち出した安倍晋三首相が2月29日、記者会見をしました。
安倍首相は「国民の皆さんのご理解とご協力が欠かせません」と訴えましたが、質疑に入ってからも事前に用意した原稿を読み上げるばかり。「なぜ全国一律の対応が必要と判断したのか」「ひとり親や共働きの家庭はどうすればいいのか」などについて十分な説明はありませんでした。約35分間のうち約19分間を一方的な冒頭発言に費やし、まだ質問を求めている人がいるにもかかわらず、官邸側はわずか5問で一方的に「終了」を宣言。説明責任を果たさぬまま、安倍首相は私邸に帰宅しました。立ち去ろうとする安倍首相に対し、「まだ質問があります」「最初の質問にもちゃんと答えられていません」とフリージャーナリストの江川紹子さんが上げた声は、国民・市民の率直な声です。
しかも、2月29日の会見で述べた内容すら揺らいでいます。2日後の3月2日の国会答弁では、「直接、専門家の意見をうかがったものではない」と一斉休校要請が明確な科学的根拠に基づく判断ではないことが明らかになりました。
ウイルス対策は重要ですが、生活や経済が破綻したり、市民的自由が奪われたりするリスクも考慮しなければなりません。多大な影響、痛みが生じる政策決定の根拠や効果、デメリットを抑える具体的な対策について、国民・市民にわかりやすく説明し、納得を得る必要があります。早期に日本記者クラブを活用して、再質問も行える十分な質疑時間を確保し、雑誌やネットメディア、フリージャーナリストも含めた質問権を保障した首相記者会見を行うよう求めます。
政府と同時に、内閣記者会(官邸記者クラブ)に所属している報道機関にも要請します。
現在の首相記者会見は、内閣広報官が質疑を取り仕切り、不十分な答弁に対しても再質問ができない慣例になっています。安倍首相が3月2日の参院予算委員会で、「いつも総理会見においては、ある程度のやり取りについて、あらかじめ質問をいただいている。その中で、誰にお答えさせていただくかということは、司会を務める(内閣)広報官の方で責任を持って対応している」と事前質問通告や官邸側の仕切りを公然と認める状態になっています。このことは、「運営などが公的機関の一方的判断によって左右されてしまう危険性」を指摘し、「当局側出席者、時期、場所、時間、回数など会見の運営に主導的にかかわり、情報公開を働きかける記者クラブの存在理由を具体的な形で内外に示す必要がある」とした記者クラブに関する日本新聞協会編集委員会の見解(2002年作成、2006年一部改訂)にも抵触する状況です。
国民・市民の疑問を解消できない記者会見のあり方には、内閣記者会に所属する報道機関側にも国内外から批判が向けられています。日本記者クラブでのオープンで十分な時間を確保した記者会見が実現するよう、各報道機関が首相官邸に要請し、その立場を広く社会に表明するよう求めます。
また、2011年以降、日常的に首相が記者の質問に応じる機会がなくなりました。特に例年3月末に新年度予算が成立した後は、首相が国会で説明する機会も急減します。官邸の権限が増大する一方で、説明の場が失われたままという現状は、民主主義の健全な発展を阻害しています。日常的に首相へ質問する機会を復活するよう、政府と報道機関に求めます。
国民・市民の「知る権利」を実現するため、メディアの労働組合や1人1人のジャーナリスト、市民らが共に声をあげることによって、今の状況を変えていきたいと思い、署名活動を始めました。ぜひ、ご賛同よろしくお願いいたします。
2020年3月5日
【呼びかけ人】
●日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)
(新聞労連、民放労連、出版労連、全印総連、映演労連、映演共闘、広告労協、音楽ユニオン、電算労)
議 長 南 彰(新聞労連)
副議長 是村 高市(全印総連)
副議長 土屋 義嗣(民放労連)
副議長 酒井かをり(出版労連)
副議長 瀬尾 元保(映演共闘)
副議長 土屋 学(音楽ユニオン)
●国会パブリックビューイング
代 表 上西 充子
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こちらは、パロディである。「週刊金曜日」3月13日号、戯作者・松崎菊也のなんと達者な「緊急事態宣言」。これも、その一部の引用。全部をお読みいただくには、ぜひ同誌の定期購読を。
総理「非常事態宣言というのは、いわばですね、まさに非常事態を、宣言することにおいて、ですね。非常事態である、ということをご理解いただき、その上において、さらにですね、いわゆる、非常事態であるということを、いち早く、え〜、宣言すること、お〜、において、え〜、政府与党のみならずですね、ま、いわば、野党のみなさまのご理解をいただいた上において、え〜、国としても、ま、やってるんだということをですね、ご理解いただく、とともにですね、さらにですね、感染拡大の、防止という事態をですね、…先手先手のみならず、後手後手になってもいいように、みなさま方と、責任を分担する上において、私の独断で、え〜、実効性のある対策を、実効性のある無しにかかわらず、実行するべくですね。と同時に、専門家の知見、等も踏まえ、ですね。専門的な知見に惑わされることなく、非常事態を宣言する、と同時にですね。国民のみなさまお一人お一人に寄り添い、…なりふりかまわず、徹底的な防止策を推し進め、国民の生命と私の政権を守る延命策、をですね、政権としても、募集するというよりは、募りたい、という観点から、え〜、寒天から、トコロテン」
(2020年3月13日)
来週の水曜日・3月18日13時15分。東京高裁511号法廷で、DHCスラップ反撃訴訟控訴審判決言い渡しがある。おそらくはこれが、DHC・吉田嘉明と私との一連の訴訟において開かれる最後の法廷となる。
事件が起きたのが、2014年の春。あれから6年にもなる。あのとき私は怒り、その怒りを持続してきた。不当・不正義・愚劣・愚昧・傲岸・不条理に対する憤りである。これまで、その怒りのエネルギーで訴訟を継続してきた。
まずはDHC・吉田嘉明の起こした典型的なスラップ訴訟を被告として受けて立った。圧倒的に優秀な弁護団の力量で一審を勝訴し、2審も勝訴した。敗訴のDHC・吉田嘉明は、通常はあり得ない最高裁への上告受理申立までしたが不受理となって、私の勝訴が確定した。
ついで、攻守ところを替えた「反撃訴訟」を準備中に、DHC・吉田嘉明から、「損害賠償債務不存在確認の請求」が提起された。これに私が反訴を提起して、「DHCスラップ反撃訴訟」一審の審理が展開され、裁判所は澤藤側からの申請にもとづく吉田嘉明の尋問を決定して呼び出した。彼にとっては、堂々と自説を述べるチャンスであったが、彼は出廷命令に応じなかった。私は、心底がっかりした。私が怒りを燃やした相手が怒りをぶつけるに値する人物ではなく、なんともプライドを欠いた、口ほどにもない怯懦な小物に過ぎないありさまをさらけ出したからだ。
こうして、昨年(2019年)10月4日、反訴(反撃訴訟)について判決言い渡しがあり、DHC・吉田嘉明のスラップ提起の違法を認めて110万円の支払いを命じた。4度目のDHC・吉田嘉明の敗訴である。
この判決を不服として、DHC・吉田嘉明が控訴を提起し、澤藤が附帯控訴した。本年(2020年)1月27日控訴審は、第1回口頭弁論期日を開いて、同日結審した。
以上の経過で、3月18日(水)の控訴審判決言い渡し期日を迎えることになる。判決が、DHC・吉田嘉明の控訴を棄却することは確実である。私からの附帯控訴に対する一審の110万円を上回る金額の損害賠償命令が期待される。
この判決は、DHCスラップ訴訟一審判決・控訴審判決・上告受理申立不受理決定、DHCスラップ反撃訴訟一審判決に続く、5回目の裁判となる。このあとに、最高裁への上訴が考えられないではないが、原則として最高裁の審理では法廷は開かれない。来たる18日が最後の法廷となる。
目には見えないコロナウィルスが心配の折柄ですが、できたら、判決法廷の傍聴に足をお運びください。閉廷後、懇談いたしましょう。
下記は、控訴審における私の陳述書(抜粋)の再掲である。
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2020年1月27日
意見陳述要旨
東京高裁第5民事部御中
2014年5月、私は突然に不法行為損害賠償訴訟の被告とされました。吉田嘉明という人物が、私のブログでの批判を快く思わぬことからの提訴で、2000万円の慰謝料を支払えというものです。
裁判官の皆様には、違法とされた私の3本のブログの全文に改めて目を通していただきたいのです。万が一にも、私のこのような言論が違法とされるようなことがあれば、誇張ではなく民主主義は死滅してしまいます。また、このような言論を民事訴訟を道具として攻撃することが許されてはならないことをご確認いただきたいのです。
前件提訴(DHCスラップ訴訟)が、私を恫喝して批判の言論を封殺しようという典型的なスラップ訴訟であることは明らかというべきです。私は、大いに怒りました。こんな訴訟を起こす人物にも、そしてこんな訴訟提起の代理人となる弁護士にも、です。
そして、怒るだけでなく徹底して闘うことを決意しました。これは私一人の問題ではない。けっして、この恫喝に屈してはならない。この提訴が違法であることを法廷で明らかにしなければならない。DHC・吉田嘉明のスラップ提訴の試みを失敗させ、反省させなければならない。まさしく、表現の自由を守るために。
私は、自分のブログに、「DHCスラップ訴訟を許さない」というシリーズを猛然と書き始めました。そうしたら、代理人弁護士からの警告に続いて、DHC・吉田嘉明は請求を拡張しました。2000万円の請求を6000万円にです。DHC・吉田嘉明も代理人弁護士も、言論封殺の目的を自白しているに等しいと指摘せざるを得ません。
当然のことながら、前件訴訟は請求棄却の判決となり確定しました。そして、前件訴訟の提訴を違法とする本件訴訟の提起となり、その一部認容の原判決を得るに至っています。原判決の責任論に異存はありません。吉田嘉明のスラップ提訴を明確に違法と断じた判断には、半分までは提訴の目的を果たし得たとの感慨があります。
しかし、問題は損害論です。経済的強者によるスラップを違法とする判決の認容額がわずか110万円では、ペナルティとしてあまりにも低廉で、十分な違法行為の抑止効果を期待し得ません。とりわけ、応訴費用をまったく認めていない点は、原判決の誤りとして是正されなければなりません。これには、最近の「N国」という政党関係者のスラップに対する判決例が参考になります。N国側がNHKを被告として提起した《10万円請求のスラップ訴訟》に対して、東京地裁は応訴のための弁護士費用54万円満額を損害として認容しているのです。こうした判断あってこそ、DHC・吉田嘉明らスラップ常習者に対する適切なペナルティとなり、スラップ防止の実効性のある判決となりえます。
スラップの本質は「民事訴訟という《市民の公器》を、《強者の凶器》として悪用する」ことにあります。司法が毅然たる態度で、公共的言論をして「不当な裁判から免れる権利」を保障しなければなりません。
まさしく、本件において司法の役割が問われています。控訴審判決が、スラップの害悪を防止し、表現の自由を保障するものとなるよう期待してやみません。
(2020年3月13日)