澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

広島地検は、徹底して河井案里選挙の違法を追及せよ。政権への忖度などあってはならない。

自民党河井案里参議院議員の公設秘書ら3人が公職選挙法違反で逮捕されたね。検察もやるときはやるってことじゃない?

さあね。この先を見極めないとなんとも言えないんじゃないかな。

でも、河井案里の選挙運動は安倍首相肝いりだったと報道されているよ。自民党からは1億5000万円も資金がつぎ込まれ、安倍の秘書まで動員されたというじゃない。そこに踏み込んだのだから、広島地検も相当の覚悟のように見えるけど。

自民党現職として同じ選挙区に立候補して落選したのが岸田派の溝手顕正。こちらの陣営も河井案里の派手な選挙活動には驚いたそうだね。溝手には、党から1500万円しか届けられていない。なにせ10倍の資金だから、目立ち過ぎて検察も動かざるを得なかったのかも知れない。

夫の河井克行が選挙を取り仕切ったと言われているでしょ。この人は参院選当時の法務大臣。しかも、安倍・菅の身内の子分みたいな存在。検察も手を着けるのにためらいを感じたはず。そこに手を着けたということは、検察も意地を見せたんじゃないの。

安倍政権は不祥事満載じゃないか。モリ・カケ・サクラ、カジノ、管原・河井。それに入試疑惑もある。これだけあって、手を着けているのは、カジノ疑惑の小物と、この河井案里案件だけじゃないか。とても「検察よくやった」なんていう気にはなれない。

それでも、安倍首相にしてみれば、河井案里選挙違反に関しては、検察が自分の思うままにならないといういらだちがあるんじゃないの。

検察という機構は、時の総理大臣をも、強制捜査して起訴する権限がある。総理に忖度していては公正な職務を全うできない。

それはそうね。モリ・カケ・サクラ、カジノに入試疑惑と数えると、安倍晋三とその直近に、嫌疑がかかってくる事件だものね。

河井案里案件処理の関心のひとつは、逮捕された公設秘書を起訴して、公職選挙法上の「総括責任者」として有罪に持ち込めるか。それができれば、連座制の適用で河井案里の議席は剥奪となる。もう一つは、報道では選挙を取り仕切っていた河井克行を起訴できるかだ。これを有罪にできれば、この議員の衆議院での議席を剥奪できることになる。これは、安倍政権にインパクトが大きい。

黒川検事長の定年延長は、安倍自身が、身の灰色を自覚しての布石ということなのかしら。

そうとしか考えられないというほどの異常なやり口だから、このままだと検察の権威は地に落ちるね。まずは河井案里事件がどうなるかだけれど、これだけでは、とても検察よくやったとは言い難い。

案里の件は、「ウグイス嬢に規定を超える報酬を支払った疑い」とされているけど、自民党内には、「誰でもやっていることで大したことではない、法律の方が現実に合わない」という声もあるようだけど。

まったく嘆かわしい。選挙というものの基本が分かっていない。選挙運動というものは、本来が主権者である有権者国民が行うものであって、無償が大原則だ。車上運動員に、1日15000円の日当支払いを認める法律の方がおかしいんだ。

選挙運動のアルバイトという感覚がおかしいのね。案里の選挙では30000円の領収書は作れないから2枚に分けて、収支報告書には15000円分のものだけ記載していたそうね。これを「河井方式」と呼んでいたそうだけど、案里の選挙運動に関わった全員が違法であることを承知していたんだ。

あなただって、この間の地方選のときには選挙カーに乗ってウグイスやったじゃない。日当はもらわなかったの。

選挙運動に日当なんて文化が違うわね。アルバイトじゃなくて、自分の推薦する候補者の選挙運動をするんだから日当をもらうなんて考えもよらなかった。あのときは、カンパの要請があったから、こちらから支払ってきたわよ。

案里の選挙では、ウグイス嬢への違法日当支払いだけでなく、票のとりまとめの報酬として96万円の支払いがあったとも報道されている。ウグイス嬢への違法日当支払も、票のとりまとめの報酬支払いも、運動員買収となる。カネを支払った者には運動員買収罪、日当名目でも報酬としてでもカネを受けとった者には被買収罪が成立する。カネを配ることは、犯罪者を作ることでもあって罪が深い。表に出ることはすくないが、現実にあることだ。

1億5000万円の選挙資金がいったいどう使われたのか。検察は、その全容を解明して、説明して欲しいね。安倍政権への忖度なしで。

そうしてこそ、政権から独立した検察だ。そして、再度確認しておきたいのは、選挙運動とは無報酬ですべきことだということ。選挙運動の対価として報酬を得れば犯罪となる。このことを肝に銘じなければならない。不当な弾圧などと言って通じることではない。

(2020年3月8日)

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