澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

大阪検察審査員の皆様に訴えます

1 以下は、不起訴処分となった本件告発(2017年10月16日付)の末尾の文章です。
「以上の被告発人両名に対する本件告発は、森友学園事件疑惑の全容解明を期待する国民世論を代表しておこなうものである。御庁検察官は、権力に屈しない毅然たる姿勢をもって、本告発にかかる事案について厳正な捜査を遂げ、さらに権力中枢の関与についてまで、国民が納得できるよう捜査が及ぶことを望むものである。」
残念ながら、同じことを検察審査員の皆様に申しあげなければなりません。仮に、皆様の判断が、検察官と同様のものだとすれば、もう森友学園事件の刑事事件としての立件は不可能となります。それは、日本の民主主義にとっての大きな禍根と言わざるを得ません。あとがないのです。
皆様に、耳を傾けていただくよう、お願いいたします。

2 検察審査員の皆さんの職責は、検察官の不起訴処分について、その当不当を判断することとされています。一見どんなに些細に見える事件に関しても、適正な刑事司法作用を実現するための検察審査員の関与は意義の大きいもので、それだけに重責と言うべきでしょう。
しかし、ときに、一見些細に見えるどころではない重大事件というものがあります。検察審査員の判断が、民主主義の根幹を揺るがすことにもなりかねない審査申立事件。森友事件関係者38人の一括不起訴処分に対する審査申立案件は、まさしくそのような重大な意味をもっています。あなた方審査員11人の、不起訴処分に対する当不当の判断が、わが国の健全な民主主義を発展させるのか衰退させるのか、そのような大きな影響力を持つものと考えざるをえません。

3 もっと正確に言えば、森友事件で表面化したわが国の政治や行政のありかたは、行政私物化、政治の私物化、あるいは国家の私物化と言われる事態です。憲法が想定するような公平で公正なものではありません。それを建て直すラストチャンスがあなた方の手中にあります。その権限を正しく行使していただきたいのです。仮にも、これを放置して、38名の不起訴を相当とするようなことになれば、わが国の民主主義は地に落ちてしまうことにもなりかねません。

4 森友学園事件の発端は、内閣総理大臣とその妻の威光によって、およそ非常識な教育を行う小学校の建設が認可される運びとなったことにあります。そして、国民の財産である国有地がその校地として只同然の価格で売り渡されたことが、明らかになりました。
これを追及された首相は、「国有地の売却や学校の認可に自分や妻が関わっていれば、首相も政治家も辞める」と明言しました。そのため、多くの官僚が首相を擁護するために、首相の意向を忖度して、書類の隠蔽・改ざん、虚偽の答弁を繰り返してきました。
首相夫妻が元凶で、内閣に自浄作用なく、政権与党も官僚も忖度を繰りかえすばかり。国会が本来の役割を果たし得ていません。最後の頼みが検察だったのですが、残念ながらこれも結局は頼りになりませんでした。とすれば、日本の民主主義は、検察審査会の審査員11名の皆様に希望を託するより方法はありません。

5 法とは正義の別名です。法の適切な運用によって、正義が実現します。皆様の適切な判断によって、日本の民主主義が息を吹き返します。
いま、あなた方11名が、その正義を実現することができる立場にあります。皆様が法であり、正義となります。政治の浄化のために、民主主義のために、勇躍して主権者の任務を果たしていただくよう期待して、本申立をいたします。

6 なお、一言付言いたします。審査員皆様の任務は、被疑者・被告発人の有罪を断定するものではありません。あくまで、本件が裁判官に有罪か無罪かを判断してもらうにふさわしい事案であるかどうかの判断なのです。その意味では、過度に有罪の確信にこだわる必要はありません。飽くまで、国民一般の目線で、これだけの灰色の材料があれば、裁判所の判断を仰ぐべきだというレベルの心証で、不起訴を不当とし、起訴を相当としてよいのです。
そのようなご認識で、以下の告発にかかる被疑事実をお読みください。

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森友学園問題での告発が正確に何件あるかは知らない。報道では、38人の被告発人がすべて不起訴となった。おそらく告発人のすべてが、検察審査会への審査申立をするだろう。

私は下記2件の告発代理人となった。

(1) 告発日 2017年10月16日

被疑者   (1)池田 靖? (2)佐川宣寿

罪状    (1)背 任??? (2)証拠隠滅

(2) 告発日 2017年11月22日

被疑者  美並義人

罪状   背 任

そのいずれも2018年5月31日に不起訴処分となり、その旨の通知が6月1日に発送され、2日に届いた。

本日(6月3日)、大阪検察審査会への審査申立書を起案し、明朝(6月4日)郵便で発送する。

その冒頭の担当審査員への訴えの部分が上掲の一文である。良い結果を期待しつつ…。

(2018年6月3日)

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Published in 月曜日, 6月 4th, 2018, at 00:21, and filed under 安倍政権.

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