千田功平さんを悼み、その姿勢に学ぶ
日曜日夕刻の電話には、やや不吉な予感がはたらく。はからずも、盛岡の佐々木良博弁護士から「悲しいお知らせをしなくてはなりません」と、今朝、千田功平さんが逝去されたと知らされた。茫然とするのみ。
千田さんは、一関で活動してきた私と同期の弁護士。岩手県南の民主的な諸運動に責任をもつ形での長年の活躍を心強く思っていた。何時でも会える、いつでも話が出来る、と思っていたのに、突然の訃報。
私が盛岡で、千田さんが一関でという責任分担をしていた、二人とも若かった時代を思い出す。とりわけ、1985年の国家機密法反対運動が印象に深い。岩手弁護士会と岩手日報などのマスコミ・岩手大学などをつないで、「国家秘密法に反対する県民の会」がつくられ、いくつもの企画を行った。県南の運動の中心には常に千田さんがいた。
そのとき、国家機密法に反対する演劇を行った。北上山中に米軍機が墜落しその取材の過程で重要な防衛秘密が明らかになる。果敢にこれを報道した記者が逮捕され‥、という筋書き。大ホールを大入り満席にして、盛岡と一関で2公演した。そのとき、体格のよい千田さんは、逮捕された記者の看守役を買って出た。人柄は出るもので、やさしい看守となっていた。
ところで、本日の岩手日報(デジタル版)に次の記事がある。
「特定秘密保護法案に関する緊急学習会(日本国民救援会一関支部主催)は23日、一関市大手町の岩手日報一関ビルで開かれた。同市の千田功平弁護士が講師を務め、『法案が成立すれば国民が萎縮してものを言えぬ社会になり、戦争国家の再来につながってしまう』と法案の危険性を強調した。
市民86人が参加。千田弁護士は、秘密の範囲が曖昧で、普段の何気ない行為が犯罪になり得ると指摘。『情報は国民のものというのが日本国憲法の原則。基本的人権や知る権利に反し、憲法違反の法案だ』とした。
廃案に向けて『秘密の保護は現行法で十分と主張し、法案に反対の人と全国的な連携を広げるべきだ』と呼び掛けた。」
そして、元気そうな千田さんの写真が掲載されている。
【写真=「法案成立で、国民がものを言えない社会になってしまう」と指摘する千田功平弁護士】
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20131124_5
これが、本日の11時19分にアップされた記事である。
千田さんは、亡くなる前日まで、民主々義のために、改憲阻止のために、全力を尽くしていたのだ。改めて頭が下がる。私も見倣いたい。ご冥福を祈るのみ。
その岩手日報。11月になってから下記5本の特定秘密保護法についての社説を掲載している。ジャーリスト魂健在である。
・秘密法案修正 危険性は何も変わらず (2013/11/22)
・<秘密法案> 適性評価制度 違憲の疑い見逃すのか (2013/11/17)
・<秘密法案> 「知る権利」制約 権力監視が妨げられる (2013/11/16)
・<秘密法案> 広がる疑念 やはり廃案以外にない (2013/11/15)
・NSCと「秘密法」 なぜセットで急ぐのか (2013/11/08)
85年のあのときのように、この特定秘密保護法案を廃案に追い込んで、今は亡き千田さんに報告したい。
(2013年11月24日)