私こそは「幸せな被告」?『DHCスラップ訴訟』を許さない・第9弾
昨日(7月22日)、『DHCスラップ訴訟』弁護団結成集会(弁護団会議)が開かれた。弁護団長を選任し、その他の弁護団体制も整った。これで、ようやくにして本スラップ訴訟への応訴の構えができあがったのだ。本日現在の弁護団参加弁護士数は87名。また、幸いにしてカンパの集まりも順調。多くの方に御礼を申し上げなければならない。
弁護団会議での意見交換は、訴訟上の理論的な検討に終わるものとはならなかった。「スラップ訴訟が市民の言論を萎縮させている現実を踏まえてこれにどのように対応すべきか」「スラップ訴訟提起者にたいする最も効果的な反撃手段は何か」「政治資金の透明性の確保の観点から本件をどう把握すべきか」「サプリメント販売の規制緩和における問題点を本件でどのように押し出すべきか」等々の議論があり、力量ある弁護士が次々と発言した。本訴訟をどう位置づけるかについての著名な学者からの特別報告もあった。
ともかく、これでスラップ訴訟対策弁護団の基本方針が決まり動き出すこととなった。もとより、私のためばかりの弁護団ではない。弁護団参加者は、スラップ訴訟に義憤を感じ、主としては表現の自由を獲得するために馳せ参じている。そのことは心得ているつもりだが、基本的に手弁当の弁護団の熱意に、被告本人として頭が下がる。
このスラップ訴訟の訴状送達を受けてしばらくは、まことに不愉快な思いをしていた。しかし、ようやくにして今私は、この不愉快さを完全に払拭し得ている。もしかしたら、私は、これ以上ない「幸せな被告」になり得たのではないだろうか。
訴訟の全過程と判決において、「私の幸せ」はそのまま「表現の自由の幸せ」であり、「日本国憲法の幸せ」でもある。このまま訴訟の確定まで、幸せであり続けたいとねがっている。なにしろ、それこそが憲法の幸せであるのだから。
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植物の毒とスラップの毒
前回は動物(昆虫)の毒について書いた。今回は植物の毒について。
近所の公園で、早朝のラジオ体操が始まった。待ちに待った夏休みだ。生き生きとした子どもたちの明るい声で、こちらまで嬉しくなる。
その公園の近くに、家を取り壊した跡の空き地があちこちにある。不思議なことに、つい先日まで敷地の下で、草一本生えていなかったところに、すぐに雑草が生える。その雑草のなかに有毒植物がある。空き地で昆虫採集の子どもたちがそれを口にしないか心配だ。
ヨウシュヤマゴボウはまるでブルーベリーのようなつやつやした紫色の実をつける。いかにも美味しそうだ。しかし、これを食べれば、嘔吐、下痢をし、ひどいときには呼吸障害、心臓麻痺で死に至る。赤い実をつけるヒヨドリジョウゴもラッパのような花をつけ手榴弾のような実をつけるチョウセンアサガオも猛毒を持っており、口にすれば命に関わる。
こう述べてくると、植物とみればすぐ手に取り、時には舐めてみたり噛んでみたりする私は良く生きのびてきたと思う。これまで命の危険はおろか、嘔吐もしたことがない。草刈り中のひっかき傷がせいぜいだ。運がいいのか、チャレンジ精神がまだ足りないのか。夏休み中の子どもたちの心配より、自分の心配をした方が良さそうだ。
ところで、家庭菜園で作ったヒョウタンを食べて、吐き気と腹痛で入院した方についての報道(7月14日)があった。あのユーモラスな形で、完熟すれば水や酒を入れる「瓢(ふくべ)」となるヒョウタンが毒とは知らなかった。ウリ科の果肉に含まれるククルビタシンという成文が悪さをするらしい。海苔巻きにつきものの「かんぴょう」はユウガオを細くむいて乾かしたもの。そのユウガオはヒョウタンから毒性のない、苦みのないものを選別して作られたのだという。だから苦いユウガオは食べてはいけない。
同じウリ科にはキュウリ、ヘチマ、ゴーヤー、カボチャ、ズッキーニ、メロン、スイカなど食材としておなじみのものが多い。これらとて、時には用心が必要だ。ヘチマの若い実も食用になるが、苦いものはやはり食べてはいけない。ゴーヤーの苦みは別成分なので問題はないようだ。スイカの接ぎ木苗の台木にユウガオが使われ、台木のほうに成った実で食中毒を起こした例がある。きっと台木のユウガオがヒョウタンに先祖返りしてしまったのだろう。家庭菜園で野菜を作る方はくれぐれもご用心を。
身の回りにある毒を持った植物はヒョウタンだけではない。夏のあいだ、暑さに負けず花が咲き続けるキョウチクトウも心臓に作用する猛毒を持っている。古代ギリシャのアレキサンダー大王の軍隊やナポレオン軍や太平洋戦争時に南方にいた日本軍兵士もキョウチクトウでたくさん命を落としたといわれる。肉を焼く串に使ったり、料理用の薪に使ったのだ。キョウチクトウはたき火に使ってはいけない。煙も猛毒だ。(文春新書「毒草を食べてみた」植松黎)
美しい花を咲かせるスイセン、スズラン、ヒガンバナ、フクジュソウも用心したほうがいい。スイセンは葉(ニラに似ている)や球根(小さなタマネギのよう)を食べればひどい嘔吐や下痢をする。花に触って湿疹や皮膚炎を起こす人もいる。
スズランの葉や赤い実を食べたり、花をいけた水を飲んだ人は、ひどければ不整脈を起こして心臓が止まる。フクジュソウのもじゃもじゃの根っこにも心臓に作用する毒が含まれている。
ヒガンバナの球根は救荒食物になるというが、食べられるまでには気の遠くなるような行程をこなさなければならない。そのまま食べればひどい嘔吐に悩まされる。
この世は、自然の恵みに満ちてもいるが、実は毒の危険にも満ちているのだ。光あれば闇もあるごとくに。そして、美しい表現の自由の理念もあれば、スラップ訴訟やヘイトスピーチなどという醜い現実もあるごとくに、だ。
もっとも、植物の毒の多くは薬用にも使われる。花岡清州が、チョウセンアサガオ(曼陀羅華)の毒の作用を全身麻酔薬に試みたごとくにである。これと比較すると、スラップやレイシズムなどはひたすら毒性をもつのみ。人を益するところは皆無なのだ。
(2014年7月23日)
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名義 許さぬ会 代表者佐藤むつみ
(カタカナ表記は、「ユルサヌカイダイヒョウシャサトウムツミ」)