パロディ与党党首第一声 ― 総選挙の争点(その1)
政権政党の党首として、第47回総選挙の公示日に国民の皆様に心から訴えます。
皆様、進むべき道はこの道しかありません。これまで安倍政権が推し進めてきたこの道。これ以外の選択肢はないのです。もう後戻りなどはできません。後戻りは私の政治生命に関わります。だから、私と国民の皆様とは一蓮托生の間柄。無理心中の腐れ縁とあきらめていただきましょう。
この道の先には平和があります。国家の繁栄があります。そして民族の誇りが花開いています。でも、それはかなり先のこと。目標に到達するまでには、暗く険しい道のりを辛抱強く歩み続けなければなりません。国民の皆様には、その覚悟をお願いしたいのです。
平和に到達するには、仮想敵国とした近隣諸国に侮られないだけの軍備の増強が必要です。予算も計上しなければなりません。もちろん、波風も立ちます。一触即発の緊張を通り抜けなければなりません。相手の出方次第では戦争の一つや二つは、覚悟もしなければなりません。それが、積極的平和主義ということなのです。
繁栄に到達するには、さほど時間のかかることではありません。いま、その入り口まで来ました。せっかくのアベノミクスの成果です。これを手放してはなりません。もう半分くらいは、大企業の業績回復を達成しています。これからさらに、法人税を下げます。労働者の残業代踏み倒しや、首切り自由の法律も断固として実行してまいります。労働者の皆様が多様な労働のあり方を望んでおられるのですから、お望みのとおりに非正規雇用増大の政策を実行してまいります。
現在、大企業の繁栄は道半ばでありますが手の届くところに来ています。もちろん、国民の皆様の繁栄は、別のこと。もう少し我慢を続けていただかなけれなりません。いつとは申し上げられませんが、いつかは、きっと、いや多分、国民の皆様にも若干のおこぼれがまわってくるはずなのです。
何としても今は資本主義の世の中、冷徹に現実を見つめていただかなくてはなりません。企業あっての労働者であり、大企業あっての国民経済ではありませんか。何よりも真っ先に、大企業に儲けていただかなくてはなりません。まずは、大企業には内部留保もたっぷりとため込んだ健全な財務状態を作り上げていただかなくてはなりません。また、株価も上げてお金持ちの皆様にご満足いただいてこその投資意欲ではありませんか。私たち政治家の使命は、真っ先にこのような大企業・お金持ちの皆様にご満足いただくような政治をすること。それこそがアベノミクスの神髄であります。政治献金だって、たっぷりいただいているのですから人の道としてもお返しは当然のこと。
大企業の業績が回復し、株価があがれば、だんだんと中規模企業にも経済効果が波及します。大企業労働者には比較的早期におこぼれを頂戴できる時期がやって来るでしょう。そしていつの日にかは、中小企業にも、地方にも、一般労働者にも、農民漁民にも、好循環のしずくがしたたることになるのです。
ですから、皆様が「アベノミクスの恩恵を受けている実感はない」というのは、言わば当然のことで、今は、皆様の犠牲で大企業が儲けを独占すべき時期なのです。皆さんの雇用の不安定、賃金格差、低福祉等々のご不満は、いつかは来るはずのおこぼれの源泉を養うための不可避の試練なのです。
おこぼれの順番が回ってくるまで、辛抱強く安倍政権を支持しながら、耐え抜いていただくよう、心からお願いをいたします。何ごとも辛抱、そして諦めが肝心です。金持ちをうらやんだり妬んだり、憎んだりしてはなりません。社会の秩序を不合理だなどと不穏なことを言わずに、じっと耐えることを学んでください。教育再生とか、道徳教育の教科化とは、そのようなじっと耐えることを美徳する、賢い従順な国民を育てることを眼目にするものなのです。
そして、私の指し示すこの道の先には、民族の誇りがあります。アベノミクスの副作用としての貧困と格差にご不満の向きには、大いに民族の誇りを語り、優越感に浸っていただきたい。何しろわが国は、奇跡ともいうべき千年の家系を誇る天皇を戴く国なのです。戦時中には、民族の大義に殉じた特攻という誇るべき歴史もあります。もちろん、皇軍に従軍慰安婦の強制連行などあったはずはありません。侵略だって、定義は曖昧ではありませんか。侵略戦争や植民地支配を貶めたり、ことさらに従軍慰安婦を問題化するごとき言論には、言論をもってする対抗が必要です。
政治権力は言論の自由に寛容でなくてはなりません。ましてや、不満の捌け口としての民族優越の言論にはなおさら寛容が必要でしょう。私は、そのような立場の民族の優越に関する表現の自由を断固擁護します。
経済的な格差貧困に不満をもつ人々が、近隣諸国から侮られてはならなないというナショナリストとしての私を支持してくれています。近隣友好ではなく、近隣諸国との緊張を煽って成立する緊張外交は、私にとって好もしい好循環を生み出す政策なのです。靖国参拝がまさしくそうでした。今後ともすきあれば、靖国とのご縁を深め、ますます民族の誇りを輝かせる政策に勤しみます。
「この道はいつかきた道」などと言ってはなりません。あの「いつか」の際には、戦争に突入して敗戦の憂き目をみてしまったではありませんか。私は、できるだけ戦争は避けます。しかし、いざというときには負けない戦争を辞さない。その覚悟がなければ、平和は達成できないし、民族の誇りも花咲かないのです。集団的自衛権の行使とはそういう国の大方針についての選択肢を新しく備えると言うこととご理解ください。
ぜひ、私、安倍晋三とご一緒に、窮乏に耐えて大企業に奉仕し、いざというときには民族の大義のために戦争も辞さないという覚悟を固めていただき、わが党に、そのような覚悟の清き一票を是非ともお願いいたします。
(2014年12月2日)