安倍政権にイエローカード。これなら戦争法案を廃案に追い込める
今朝の毎日新聞に目をやって感動を覚えた。1面トップに「内閣支持急落35% 不支持51% 安保強行採決『問題』68%」の大見出し。安倍自民と公明には、衝撃的な調査結果。「やはりこうなったか」とは思いつつも、「それにしても恐るべき変化」である。平和憲法を擁護せよという国民意識の底力に励まされる。これなら、現実に戦争法案を廃案に追い込める。あらためての勇気と自信が湧いてくる。
この調査は月例調査ではない。7月4・5両日の調査からわずか2週間で、安倍内閣支持率は7ポイント減、不支持率は8ポイント増となった。1か月前からの変化を見てみよう。
安倍内閣 「支持」 45%⇒42%⇒35%
「不支持」 36%⇒43%⇒51%
その差 +9⇒ ?1⇒?14
戦争法案に「賛成」 34%⇒29%⇒27%
「反対」 53%⇒58%⇒62%
今国会成立に「賛成」 28%⇒25%
「反対」 61%⇒63%
政府の説明は「十分だ」 10%⇒10%
「不十分だ」 81%⇒82%
なお、新しい質問事項に対する回答として次のものが目を引く。
与党の強行採決は 「問題ではない」 24%
「問題だ」 68%
法案成立した場合には、
「抑止力が高まる」 28%
「戦争に巻き込まれるおそれが強まる」 64%
安倍首相は、アメリカとの軍事的な連携を深めることによって抑止力を高めることができる。抑止力を高めることによって我が国の平和を守ることがこの法案のねらいだ。そのように「丁寧に」説明を繰り返してきた。その説明は、国会で、記者会見で、マスメディアで、テレビ放送で、インターネットで、これ以上はないと思えるほどの情報量として、国民に提供された。むろん、その論旨は荒唐無稽なものではない。しかし、国民は、首相がメリットとして強調する「平和への期待」に納得していないのだ。むしろ、首相がけっして触れようとしない「戦争への危険」の側面に説得力を感じている。これは重要なアンケート結果だ。
毎日は、「安保法案への世論の批判は強まっており、政府・与党の一連の対応が内閣支持率を押し下げたとみられる。」「法案成立によって日本に対する武力攻撃への『抑止力が高まる』は28%にとどまり、自衛隊の海外での活動拡大で『戦争に巻き込まれる恐れが強まる』が64%に上った。『戦争に巻き込まれる』と答えた層では9割近くが法案に反対した。抑止力と考えるか、戦争に巻き込まれると考えるかは、法案の賛否に密接に関連している。」と解説している。
共同通信も17・18両日に実施した世論調査結果を発表している。「内閣支持率は37・7%で、前回6月の47・4%から9・7ポイント急落した。不支持率は51・6%(前回43・0%)と過半数に達し、第2次安倍政権以降で初めて支持と不支持が逆転した。」と、毎日とほぼ同じ数字。1か月で10%の下落は、毎日同様の劇的な変化というべきだろう。
また、「与党が16日の衆院本会議で、多くの野党が退席や欠席する中、安全保障関連法案を採決し、可決したことには『よくなかった』との回答が73・3%を占めた。『よかった』は21・4%だった。」。なお、共同調査では、「安保法案の今国会成立に反対が68・2%で前回から5・1ポイント増えた。賛成は24・6%だった。」という結果。「採決強行よくなかった73・3%」「今国会成立に反対68・2%」は、圧倒的世論と言ってよかろう。「安倍政権は強行採決を反省し、今国会での法案成立は断念せよ」というのが、圧倒的民意なのだ。
明らかに、「安倍政権・自公・底上げ議会」と「民意」とが大きくずれている。安倍と心中せざるを得ない少数のA級戦犯幹部はともかく、風向きを読むに敏なる自民・公明の議員諸君、なかんずく来夏に選挙を控えている参議院議員諸君、ぜひとも考え直していただきたい。これは理を分けての説得ではない。実利を指摘してのアドバイスである。
永田町事情に通じている人の話の受け売りだが、「内閣支持率が40%を切れば黄信号が点滅を始める」のだそうだ。「35%まで下がれば黄信号」。「30%で赤信号が点滅」で、「25%がレッドカード=即退陣」とのこと。60年安保条約が自然成立して岸退陣となったときの支持率が28%、第1次安倍内閣が突然に辞任したときは29%だったという。29%で、安倍さんは突然に体調を崩して政権を投げ出したのだ。
こういうときには、往々にして思いがけないことが起こる。往々にして、デジャビュー現象が起こったりもするものだ。支持率低下は、安倍さんの体に悪いのだから、ここは療養に専念していただいた方が、天下国家のためでもあり安倍さん自身のためでもある。
目標は定まった。安倍政権の退陣と、戦争法案の廃案とは不即不離、同義なのだ。あと、10%の安倍内閣支持率低下が、安倍内閣を退陣に追い込み、同時に戦争法を葬って、憲法と平和を守ることになる。澤地久枝のセンスと先見性が俄然光ってきた。「アベ政治を許さない」がここしばらくのスローガンとして重みをもってきた。あの金子兜太の筆になるポスターとともにだ。
あと10%。そう難しいことではない。材料は盛りだくさんなのだから。
(2015年7月19日)