澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

ぞろぞろ出て来る問題発言議員 安倍と一蓮托生で一掃せよ

次世代の党とは、安倍政権の右側からの応援団。その存在自体で、「安倍よりもまだ右がいる」と相対化する役割を担っている。しかし、皮肉なもので、安倍の極右ぶりが次世代の存在理由を否定してしまった。

その結党が2014年8月1日、1年前のことだ。結党後初めて昨年暮れの総選挙で国民の審判を受け、選挙前には19あった衆議院の議席のうち、17議席を失って平沼赳夫と園田博之の2議席のみとなった。石原慎太郎も落選組の一人。ご同慶の至りである。

一度も選挙の洗礼を受けていない参議院には「6人も!」の議席が「まだ」ある。その内の一人が、来年改選期を迎える江口克彦である。同党の「両院議員総会長」という肩書。松下電器産業でどっぷりと企業の論理に浸かって生きてきた人物。

その江口が、「国会で『女性、扱いにくい』発言 次世代の党議員」と物議を醸している。

東京新聞の記事は以下のとおり。
「女性活躍推進法案を審議するために開かれた6日の参院内閣委員会で、次世代の党の江口克彦参院議員(比例)が参考人への質問の際に『女性は相手によってセクハラだとか、セクハラじゃないとか言ってくる』『女性社員は管理職になっても扱いにくいところがあると思う』などと述べた。女性への配慮を欠いた発言で、今後批判を浴びそうだ。
 江口氏は終了後の取材に『自分の会社経営者としての経験を基に、男女差別やセクハラはいけないと言いたかったが、誤解される表現があったならば不徳の致すところだ』と釈明した。」
「『気が合わない男性からハグされるとセクハラだと。もっとひどいのは握手するだけでセクハラだと』などと発言した」

「誤解される表現」という表現ぶりが、彼の「不徳」をよく表している。報道にも読者にもなんの誤解があるものか。ホンネを語って不徳の至りをさらけ出しただけのこと。おそらく、松下の社内では、「セクハラ」「パワハラ」の訴えがあっても、「たいしたことのないことを、特定の相手に対して大袈裟に言っているんだろう」と聞き流して、真剣に耳を傾けることはなかったのだろう。これが、前世代経営者の時代錯誤感覚。こんな感覚の政治家は、次世代の到来を俟たずに、速やかに淘汰されなければならない。

保守政治家の感覚の奇妙さ鈍感さの露呈には事欠かない。またまた、自民党の二人が今日の紙面を賑わしている。

「自民党の中川雅治参院議員(68)=東京=が、自身の公式ウェブサイトに載せた中学時代の体験に「いじめを正当化している」などとネット上で批判が広がり、当該記事を削除していたことが分かった。さらに同党の熊田裕通衆院議員(50)=愛知1区=も自身のサイトに載せた学校時代の思い出の記事を批判され、削除した。「炎上」の背景には、自民党の武藤貴也衆院議員が安保法制に抗議する学生を「利己的」などとツイッターで非難し、同党議員の発言への関心が高まっていたことがあるとみられる。

中川氏は自身のサイトで、義家弘介衆院議員、橋本聖子参院議員(ともに自民)との対談記事を5年ほど前から載せていた。この中で中川氏はいじめの問題を話題にし、中学時代にクラスで同級生が裸にされたことなどを紹介。記事は今月4日ごろからネット上で拡散し、「弱者を思う気持ちがない」などと批判が広がり、5日に記事が削除された。

中川氏は取材に「自分はやっていない。そういうことがあったのを見たということ。あっけらかんとしたもので、いじめとは思っていなかった」と説明。削除した理由は「誤解が広がったため」としている。

一方、熊田氏は公式サイトで、学校時代に仲間と女性教師をトイレに閉じ込めたという体験をつづり、批判が相次いだ。熊田氏は記事を削除し、サイト上に謝罪文を掲載。秘書は「議員は取材に応じられない」としている。」(毎日)

毎日が要約した、中川のウェブサイト記事は以下のとおりである。
「中学時代、クラスの悪ガキを中心に皆いつもふざけていて、小さくて可愛い同級生を全部脱がして、着ていた服を教室の窓から投げるようなことをよくやっていました。脱がされた子は素っ裸で走って服を取りに行く。皆でおなかやおちんちんにマジックで落書きしたりしました。やられた方は怒っていましたが、周りはこれをいじめだと思っていませんでしたね。今なら完全ないじめになり、ノイローゼになったりするケースもあるのかなあと思います。」

ここでも弁明は、「誤解が広がった」である。何をどう誤解したというのか、「イジメでないものをイジメと誤解された」とでも言いたいのか。イジメをイジメではないと誤解したのがオマエだろうに。

あらためて考えざるをえない。加害者と被害者とでとらえ方の違いである。足を踏まれた側の痛みが、踏んだ方にはわからないのだ。イジメの加害者は、被害者の心情を分かろうとしない。この中川という男は、「あっけらかんとしたもので、いじめとは思っていなかった」と平気で言ってのける。まったく被害者の心情を理解する感性を持たずに政治家となってしまったのだ。自分の感性を、あるいは感性の欠如を恥ずべきことと思っていない。人の痛みを理解できない者は政治家になってはならない。おそらく安倍晋三も同じ欠陥をもっている。このような感性が、侵略戦争や植民地支配における被害者の心情の理解を妨げており、反省も謝罪も拒否することになっているのだ。

私の関心は、鼎談の相手方だったという義家弘介と橋本聖子の反応にもある。義家・橋下ともに、自民党の文教族である。教育には一家言をもっていなければならない立場。このようなイジメ不感症男の問題発言には、ただちに叱責してしかるべきであった。少なくも、注意してたしなめるくらいはしなければならない。何もせずに、相槌を打っていたのだろうか。こんな連中が、道徳教育を論じたり、「日の丸・君が代」の強制政策を担っているのだ。

このところ、問題発言が目白押しである。話題となったのは、「マスコミ弾圧集会」で盛りあがった自民党37人衆。それに礒崎陽輔、武藤拓也、麻生太郎。そして、江口克彦、中川雅治、熊田裕通等々である。これに、義家弘介と橋本聖子を加えてもよい。

発言を批判されれば、「誤解」と弁明しながら、いとも簡単に撤回し黙り込む。その発言の軽さと無責任ぶりに呆れるしかない。常識も信念もなくその場限りの口先だけで世渡りをしているこんな連中が、多数決で政治を動かしている。違憲の法案成立の一票の頭数に数えられるのだ。

これら時代錯誤政治家の感性の貧しさは、目を覆わんばかりではないか。「安倍を倒せ」のスローガンは、このような安倍を支えている政治家についても、「もろともに倒せ」のことでなくてはならない。
(2015年8月8日)

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Published in 土曜日, 8月 8th, 2015, at 17:31, and filed under 安倍政権, 歴史認識.

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