澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

「安保関連法案の採決不存在の確認と法案審議の再開を求める申し入れ」(メール署名)への賛同のお願い

読者の皆様へのお願いである。下記のURLを開いて、要請の署名にご協力いただきたい。要請の内容は、戦争法案強行採決への最大限抗議の意思表示として、その採決不存在を主張し、あらためて審議の再開を求めるもの。
  http://form1.fc2.com/form/?id=009b762e6f4b570b

参議院の山崎正昭議長と、安保関連特別委員会鴻池祥肇委員長の両者を名宛人として、市民有志から「安保関連法案の採決不存在の確認」と「法案審議の再開」とを求める申し入れとなっているが、今通常国会の会期(9月27日・日曜日)を過ぎれば不可能な申し入れとなるから、25日(金)午後に申し入れねばならない。連休中に至急のお願いとなる。

戦争法は、一昨日(9月19日)未明参院本会議の採決で成立したことにはなっている。しかし、どうしても納得しがたい。17日夕刻の安全保障特別委員会の、あの「だまし討ち」による混乱を「採決」と認めてはならないという思いが強いからだ。この思いは、多くの人に共有されているはずだと思う。

戦争法をその内容において違憲と批判し、その廃止を求める今後の運動の継続が本筋ではあるが、民主主義の手続的正義を蹂躙した自・公両党の暴挙を看過できない。糾弾せずにはおられない。

多くのところで、その声があがっているが、9月18日のうちに若手弁護士有志225名が素早く発表した声明(参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」での安保関連法案の議決の不存在確認および審議の再開を求める弁護士有志声明)が代表的なもの。

同声明は、「傍聴者や国会中継視聴者からは、およそ外形的に見て採決が存在したとは到底言い難い状況であった。また,速記録(未定稿)では,鴻池委員長が席に戻った後は『発言する者多く,議場騒然,聴取不能』と書かれている」との認識を前提に、参議院規則136条1項「議長は,表決を採ろうとするときは,表決に付する問題を宣告する」、同137条1項「議長は,表決を採ろうとするときは,問題を可とする者を起立させ,その起立者の多少を認定して,その可否の結果を宣告する」に照らして、これらの手続きを欠く「議決」は、「そもそも意思表明の対象を特定することができないのであるから,議決は外形的に不存在というほかない」と断じている。

しかし、世論の指弾を省みることなく、自公両党はこの「採決」を有効なものとして参院本会議を開き可決してしまった。いったい、いつ、どのように採決があったというのか。議長周辺での「議場騒然」をもって、安保関連2法案ほか計5件の案件が「採決」されたとは、到底言い得ない。「強行採決」に抗議しなければならないところだが、抗議の対象となるべき「採決」がなかったというのが真相ではないか。だから、採決を不存在と確認した上、特別委員会を再開して審議を進めていただきたい、という要請になっている。以下に、要請書の案文を掲載する。

                         2015 年9 月25 日
参議院議長 山崎正昭 様
参議院「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」委員長 鴻池祥肇 様

安保関連法案の採決不存在の確認と法案審議の続行を求める申し入れ
                                          市民有志

 参議院に設置された「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」(以下「特別委」)は、2015 年9 月17 日、同特別委に審議を付託された安保関連法案等計5 件の採決を行い、いずれも賛成多数で可決されたと言われています。
 しかし、採決が行われたとされる同日16時30分頃の委員会室の模様を参議院のインターネット中継やテレビの中継・録画で視る限り、鴻池委員長席の周囲は与野党議員によって何重にも取り囲まれ、委員長の議事進行の声を委員が聴き取れる状況になかったことは一目瞭然です。また、委員長も動議提出の声を聴き取り、各委員の起立を確認できる状況になかったことは明らかです。
 こうした状況の中で、採決というに足る手続きが踏まれたとは到底言えません。また、委員会室にいた特別委の委員自身も、「可決はされていません。・・・・委員長が何を言ったかわからない。いつ動議を出したのか、採決されたのかわからない」(福山哲郎委員)、「いったい何がおきたのか、そもそも動議が出たのかどうかも、委員長が何を発言したのかも誰もわからない。そして、私は自民党席の前にいたが、彼らも何もわからないまま立っていただけですよ」(井上哲士委員)と語っています。実際、速記録(未定稿)でも「議場騒然、聴取不能」と記されるのみで、議事の進行を記す委員長の発言も質疑打ち切り動議の提案も記されていません。
 参議院規則の「議長は、表決を採ろうとするときは、表決に付する問題を宣告する」(第136条)、「議長は、表決を採ろうとするときは、問題を可とする者を起立させ、その起立者の多少を認定して、その可否の結果を宣告する」(第137条)との定めは、当然のこととして委員会審議については「議長」を「委員長」と読み替えて理解すべきで、一連の事実と状況に照らせば、上記5件の「採決」なるものは、表決の要件を充たしていないことが明らかです。
 なお、同規則49条は、委員会審議に関して136条と同様の定めをし、参議院委員会先例録第2章第9節・155には、「採決は、挙手又は起立の方法によるのを例とする」との表題で、「委員会における採決は、挙手又は起立の方法によるのを例とするが、異議の有無を諮ってこれを行った例も多い。挙手又は起立により採決するときは、委員長は、問題を可とする者を挙手又は起立させ、挙手又は起立者の多少を認定して可否の結果を宣告する。なお、記名投票によった…例もある」とされており、いずれにせよ当該「採決」なるものが表決の要件を充たしていないことは明らかです。
 国会での審議が進めば進むほど違憲の疑いが深まった安保関連法案を参議院規則まで踏みにじり、締め括りの質疑も省いて、「採決」なるものを強行したことは憲政史上、稀にみる暴挙です。
 以上から、私たちは貴職に対し、次のことを申し入れます。
                       記
1. 私たちは5件の「採決」と称されるものは、すべて採決の要件を充たさず、採決は不存在であると考えます。貴職がこうした私たちの見解を受け入れないのであれば、参議院規則にもとづいて反証されるよう、求めます。
2. 「採決」が存在しない以上、安保関連法案の審議は未了です。よって、改めて所定の手続きを取り、法案の審議を再開されるよう求めます。

 なお、この要請運動の主唱者である醍醐聰さんからのご連絡では、昨日(9月20日)午ころから呼びかけを始め、およそ24時間で5000人からの賛同を得たという。素晴らしい反応ではないか。有志代表が議長と委員長への申し入れの際には、私も同道する。民主主義の手続的正義を蹂躙した「だましうち」に黙っておられないからだ。多くの方の賛同の署名を、お願い申しあげる。
(2015年9月21日・連続904回)

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Published in 月曜日, 9月 21st, 2015, at 21:42, and filed under 戦争法.

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