明日は参院選の投票日ー大切な「国の基本設計」の擁護を訴える
いよいよ明日が、第23回参議院通常選挙の投票日。国の進路を決める意味において重要でない国政選挙はあり得ないが、今回選挙は格別の重要性を持っている。昨年総選挙の結果、衆院においては改憲勢力が3分の2を超える議席を有しているからだ。今回参院選での「ねじれの解消」とは、両院における改憲発議可能な状態をつくりうることを意味する。日本国憲法を価値あるものと考える立ち場からは、今回選挙のもつ意味は重い。
憲法は、日本という国の基本設計図である。設計図を書いた施主は主権者としての国民、その指図で設計図どおりの建築をする立ち場にある大工が政権である。首相が棟梁にあたると言えよう。施主の指示のとおりに設計図どおりの建築を完成することがその任務で、設計図を無視した勝手は許されない。
設計図の変更は通常想定されていない。設計図はそのままに、棟梁を変え、棟梁の技量の信任を問うことが国政選挙なのだが、今、棟梁が暴走して「俺は設計図を書き変える」と広言しているのだ。「自民党・日本国憲法改正草案」という無茶苦茶な新しい設計図に。それでも、この棟梁を信任するのかどうか、それが今回の参院選を重要なものにしている。
憲法は設計図だから、既に建物が完成しているわけではない。平和も、人権保障も、民主々義も、あくまで設計図に書かれたものとしての理念であって、社会の現実となっているわけではない。男女の平等が、設計図としての憲法に書かれているが、社会の現実となっているわけではない、という比喩が分かりやすい。設計図に合わせて、理想の建築を進めなければならないのだ。司法の独立も、地方自治の本旨も、労働基本権の尊重も、生存権の保障も、教育を受ける権利も、デュープロセスの保障もすべてが同じこと。
我が国の基本設計図である「日本国憲法」は、世界の最高水準にあるよくできたものである。主権者国民が国家権力を掣肘するという立憲主義の土台の上に、3本の太い柱を建てる。その中心の芯柱として国民の人権尊重を据えられ、他の2本が国民主権と恒久平和主義である。この柱が、国民の福利の増進を支える。
ところが、今、自民党はまことに乱暴に、国の基本設計を書き換えてしまおうとしている。立憲主義の土台を崩し、3本の柱とも細く削り曲げてしまう。施主を無視した棟梁の暴走である。今なら、国民としては施主の立ち場として、棟梁に「設計図とおりにきちんと家を建てろ」と要求ができる。しかし、設計図そのものが変えられてしまえば話は別。結局は国民の人権も福利も失われる。隣近所との友好な関係も壊される。できあがった建築物は、要塞となりかねない。
明日の投票は、政権選択にとどまらず、国の基本構造、国の進むべき理念・理想の選択を迫る意味をもっている。人類の叡智の結晶としての日本国憲法の擁護のために、憲法が理想としている、人権・民主々義・平和のために、賢明な選択をお願いしたい。「新たな戦前が投票所から始まった」と、あとで臍を噛むようなことにはなりたくない。
自・み・維の積極改憲3派には投票をすべきではない。それは、多くの国民にとっては自らの首を絞めることなのだから。公明という自民の同盟者への投票も同様だ。
大切な一票を最有効に活用して、憲法の理念が生きる国民すべてにとって生きやすい社会をつくるために、今、憲法を擁護し憲法を暮らしに活かすという視点において最も信頼にたりる日本共産党へのご支援を訴える。
(2013年7月20日)