澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

ご質問には丁寧にご説明いたしましょう

えっ? 解散には大義が必要ではないか、ですって?
そんなもの不要に決まっているでしょう。解散は総理の専権事項ですし、解散についてのウソは許されるんでございますよ。これこそ、疑うことのできない永田町の常識ではないですか。常々、憲法を大切にしてきた私の立場からすればですね、憲法が定める総理の解散権を制約する議論は、いかがなものかと思いますよ。

えっ? 憲法のどこを見れば、そんなことが言えるのかって?
私には、詳しいことは分かりませんが、7条1項3号はそう読めるんじゃありませんか。69条だけを見ていてはいけません。あとは、三権分立のバランスの理解ということですね。それと、なによりも心強い根拠は永田町の常識ですよ。私が信頼するメディアや、穏健なジャーナリストの皆さんも口を揃えて、そう言っておられるでしょう。それで十分じゃないですか。

えっ? じゃ大義のない解散をしようとしてるのかって?
それをいっちゃオシマイでしょう。「いまなら勝てそうだから解散」「今後ジリ貧が目に見えているから、傷の浅いうちに解散」「野党の側が、態勢整わないうちに、これに付け込んだ解散」「森友・加計学園疑惑隠しの党利党略解散」なんてね。本来大義は不要だけど、私は大義のないことはしない。こういうスタンスでなくては、政治家は務まらない。

じゃ、どんな大義を掲げようというのかって?
いま、それを拵え上げようと苦心惨憺の真っ最中じゃありませんか。でもね、ありがたいのが読売新聞。官邸のスタッフになったつもりで、いろいろお考えでアドバイスをしてくれている。私の方も見返りの情報は提供していますよ。魚心あれば水心なんていうじゃありませんか。穏健な大新聞と政権、こういう持ちつ持たれつの関係であってこそ、政治は安定し、健全な社会の秩序が保たれるというものでしょう。もっとも、前川さんのときのように、すこし焦って政権と読売の蜜月ぶりさらけ出したのはまずかった。ミスを重ねぬよう慎重にやりますよ。

落ち込んだ内閣支持率が多少ともアップした原因をどう見ているかって?
ま、いくつもあるでしょうがね。まずは、私自身がこれまでの安倍を否定する演出をしたことが効果的だった。しおらしく、傲りを認めて、オトモダチ以外も入閣させた改造を行い、国民の皆様に丁寧に説明責任を果たす、なんちゃって。これまでの自分とはちがう、心を入れ替えた真人間になるって神妙な顔して言ったんだよね。これ効いたと思うよ。

それだけかって?
野党のオウンゴールも大きい。これまで、こちら側がオウンゴールの連続で失点していたが、今度は民進党人事でのオウンゴールだ。仕事人内閣が、何にも仕事をしないうちに、民進党がこけてくれた。それが、支持率の回復に影響あるでしょう。それだけでなく、こんな解散のチャンスを逃す手はないと思うんだ。奇襲は闘いの常道でしょう。大義にこだわってフェアにやっていたら、選挙に負けちゃうでしょう。そんなの、宋襄の仁ていうんじゃないの。

北朝鮮問題の影響をどう考えているかって?
あんまり正直に答えたくはないんだけど、ミサイルも核も、絶妙のタイミングでありがたかった。内心の笑いを噛み殺して、北朝鮮や金正恩を非難する言葉を発しているんだ。これを最大限利用しない手はない。今は、北をできるだけ挑発し危機を煽ることが基本方針。戦時モードになれば、国民には強い指導者のもとに結束しようという心理が働く。強硬姿勢を取るトップの支持率は必ず上がる。それだけではない。金正恩のお陰で、9条改憲も、日米同盟強化も、防衛予算増額もうまくいきそうじゃないか。もしかしたら、念願の核武装の実現だって夢じゃないと思っているんだ。

金正恩とは、親近感を感じているかって?
そりゃあ、親近感がないと言えばウソになる。お互い、国民を宥めつつ、ダマシつつ、国防を整えていかなきゃならない立場。お互い、アウンの呼吸で罵り合って、緊張関係を作りあげることにメリットを感じているんだ。戦国大名は、それぞれが敵対しながらも、農民一揆への対応では共通の悩みや恐れを持って、その面では親近感をもっていただろう。あれとおんなじだと思うね。

じゃあ、北朝鮮危機の早期収束はない方がよいかって?
そりゃあそうだ。戦時の名宰相と言われたチャーチルは、平和になったらイギリス国民から捨てられたろう。私も、同じ轍は踏みたくない。害虫駆除業者は害虫を完全に駆除してしまったら失業してしまう。ある程度は残しておかなきゃならない。北朝鮮危機が解決したら私の出番があるという保証はないものね。

結局のところ、突然の解散の大義についてはどう説明するかって?
国民が政権選択をする機会は多ければ多いほどよい。早ければ早いほどよい。こんなところでは駄目かね? 自分に都合のよいときを狙うのは姑息で卑怯? 堂々と争点や判断材料を明示して、主権者に公正な選択を仰ぐのが本来の選挙のあり方じゃないかって? 森友問題も加計問題も疑惑解明に蓋をしておいて、判断材料伏せたままの解散・総選挙は国民を愚弄していることにならないかって? 究極の疑惑隠し・党利党略解散だって? あなたもしつこいね。キョーサントーか、ニッキョーソの方じゃない?

解散の仕方がけしからんと文句があったら、選挙で自民党を負かしたら良いだけの話じゃないの。私は忙しいんだ。もうずいぶん丁寧にお話しした。もういいだろう。
(2017年9月23日)

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Published in 土曜日, 9月 23rd, 2017, at 18:58, and filed under 安倍政権, 選挙.

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