澤藤統一郎の憲法日記

改憲阻止の立場で10年間毎日書き続け、その後は時折に掲載しています。

この事態、アベや小池の言うことを聞いているだけは解決とならない。

アベ・小池の、国民・都民に対する休業要請や外出自粛要請。一応尊重はしつつも納得はしがたい。一つは、上から目線で、「感染が終息しないのは、言うことを聞かないおまえさんたちの自己責任」というイヤーな感じを拭えないからだ。

まず行政がやるべきことをやらねぱならない。そのための国家であり都政ではないか。医療崩壊を回避する防衛策こそが喫緊の最大課題である。医療従事者の安全を確保するために金も物資も惜しんではならない。

コロナに関する国民の不安を払拭するには、マスク2枚では足りない。「予想されるいかなる事態においても、重症患者への救命措置に遺漏はありませ」と、トップリーダーが言い切れる態勢を整えることではないか。

そして、国民に安心して休業も外出自粛もできる経済保障もしなければならない。行政がやるべきことをやらずに国民にのみ忍耐を求め、責任転嫁を図るごとき施策には、破綻が見えている。

もう一つ、納得しがたいのは、「5月6日までの、休業・接触機会8割減要請」策の実効性が見えてこないことである。出口戦略が見えてこない、と言ってもよい。要するに、曖昧模糊としたこの構図では積極的な協力のインセンティブに欠けるのだ。

いわゆる西浦モデルは机上の空論に近い。代入する変数次第でどうにでもグラフを描くことは可能で、結論は変わってくる。どうにでも描けるグラフで、一国の重要政策を左右されてはたまらない。アベや小池は、そんな危険な賭けに興じているわけだ。

それより納得しがたいのは、これまでのクラスター潰し戦略との整合性である。感染経路を追うことができない市中感染がこれだけ増えたのだ。PCR検査態勢なり、抗体検査態勢なりの抜本的拡充が必要だと思うのだが、その宣言はない。

そして、アベ・小池の言に従っていても、実は先が見えないのだ。「接触機会8割減」が厳格に実行されたとしても、コロナ禍が終了するわけではない。感染者の人口比割合が、緊急事態宣言が発せられる時点に戻るのがせいぜい、感染拡大の危険性は相変わらずなのだ。

「8割減」政策が、一時的に感染の規模を抑えこんでも、大半の人は未感染で抗体をもたない。その後の感染拡大が繰り返される可能性は極めて高い。この事態、実はアベや小池の言うことを聞いているだけは解決とならないのだ。そのように明確に自覚して、「感染症専門家」だけでなく、多方面の専門家を含む国民的規模の議論で本格的な対策を講じなければならない。

(2020年4月26日)

「法と民主主義」5月号は、コロナ問題特集

世はコロナ問題一色である。消費生活も、文化も、言論活動も、教育も、経済も、国内政治も、国際政治も。そして、当然のことながら、医療や福祉も、今や一つとしてコロナと関わらざるものはない。

どうしてこんなことになってしまったのか、防ぐことはできなかったのか。今の対策は適切なのか、という問題意識が必要なのは当然として、このどさくさに紛れて何かをなそうとする者への警戒が必要であり、格差社会にこの危機がもたらす弱者へのしわ寄せの実態を直視しなければならない。誰もが、自宅への引きこもりができるわけではないのだ。

日本民主法律家協会の機関誌「法と民主主義」5月号(5月下旬発刊)は、『新型コロナウイルス問題を考える』(仮題) を緊急特集する。現下の状況に変化のない限り、おそらく6月号もその続編となる公算が高い。

飯島滋明・丸山重威両編集委員が中心となって、現在のところ依頼論稿は8本だが、その中には下記のような目玉となる記事がある。

コロナ感染症対策の在り方      上 昌広
コロナ対策の国際比較        稲 正樹
コロナ問題後の社会と立憲主義    広渡清吾

このどさくさに紛れてのアベ政権への警戒については、次の論稿が予定されている。

緊急事態条項の明文改憲の政治的意図 小沢隆一
コロナ対策の経緯と安倍政権の手法  丸山重威

以上の各論稿とは別に、「コロナ規制の中で考えること」を800字の寸評(コメント)として、各界の然るべき方に寄稿をお願いしている。

こちらの担当は私で、依頼の趣旨を以下のようにお伝えしている。

 日ごろのご活躍に敬意を表します。
 「法と民主主義」誌からのコメント寄稿のお願いを申しあげます。内容は、「新型コロナウィルス感染症蔓延とそれにともなって見えてきた様々な問題」について、それぞれのお立場からの寸評をいただきたいと存じます。問題意識は、次のとおりです。

 新型コロナウィルス感染症が猛威を振るっています。その勢いは世界の隅々にまで及び、しかも全ての人びとに脅威を与えて行動の萎縮を強要しています。その収束の兆しは見えないまま恐怖と倦怠が世に満ち、人類が立ちすくんでいる感さえあります。誰にも、真剣にこの問題を考えること、克服のために声を挙げることが求められています。

 また、この深刻な事態だからこそ見えてきた様々な問題があり、この事態にともなって副次的に生じた問題もあります。日本民主法律家協会が発行する「法と民主主義」は、2020年5月号(5月下旬発行)を「『新型コロナウイルス問題』を考える(仮)」緊急特集号とすることにし、その一章を割いて、多くの方に、「この問題を私はこう考える」という意見・論評集を掲載しようと企画しました。敢えて、お一人の原稿字数を800字(表題を除く)に抑えていただき、それぞれのお立場において最も関心ある角度から切り込んだ、凝縮したコメントをいただきたいと存じます。

 この感染症蔓延に関しては、人類史や文明史との関わりにおいて論じる必要があるとも思われますし、この事態をもたらした人と物との国際交流やそれを前提とした経済の在り方にも検証の必要がありそうです。また、当然のことながら、疫学や予防医学、臨床医学からの分析や提言も期待されるところですし、医療行政や医療システムの脆弱性が問われてもいます。医学教育にも考えねばならないところがあるとおもわれます。

 そして、この「緊急事態」に際して、実効ある感染予防と危険な権力の暴走の抑制という矛盾する二つの要請のバランスをどうとるべきか。これが、憲法や人権を大切に思う市民の最大の関心事であって、この政治的・法的な実践課題に喫緊の解答が求められています。

 さらに、各国政府が共通の問題に取り組み、それぞれの流儀でそれぞれの結果を出しつつあります。各国の流儀を比較する視点は、権力的強制と民主的統制との優劣ではないでしょうか。また、この緊急事態を機に、統制型の政治システムが平時にも常態化する危惧はないでしょうか。

 また、社会に「危機」が生ずれば弱者に被害が集中します。格差社会においては、その被害は深刻なものとなります。休校や休業に伴って、地域に企業に家庭に生じている具体的な問題をご指摘ください。

 もちろん、以上の捉え方では不十分で、別の角度からの言及が必要とのご意見も、ぜひ承りたいところです。
 以上、よろしくお願いいたします。

 これまでにご承諾をいただいた主な方は、以下の各氏。
池内了/島薗進/右崎正博/堀尾輝久/吉田博徳/矢吹晋/李京柱/井上英夫/鈴木利廣/角田由紀子/大森典子

なお、「法と民主主義」の購入申込みは、下記のURLから。よろしくお願いします。
https://www.jdla.jp/houmin/index.html

(2020年4月25日)

再び児玉龍彦氏の解説に耳を傾ける。

明けても暮れても、コロナ・コロナである。うっとうしくて気の晴れる間がない。信頼できる政府を持たない民の一人としての深刻な悲哀という実感。嘆きと不満の対象はアベ政権だけではない。小池百合子都政も同断である。

政治的リーダーたるもの、この非常の事態には専門知を集約して的確な対策を講じなければならない。その対策が、住民の生活に影響を及ぼす場合には、その対策の適切性、必要性を、懇切に説明して納得を得なければならない。それがまことに不十分だから、イライラが募る。

政府専門家会議の説明では、対策の基本はクラスター潰しであったはず。だから、「クラスターの発見と、これを結節点とする人的な接触経路を見定めることに全力を集中しなければならない」「むやみにPCR検査対象を拡大することに意味はない」と言っていたのだ。しかし、感染経路不明の感染者がこれだけ増加した今、クラスター潰しの基本戦略は失敗したことになるのではないか。

にもかかわらず、専門家会議は「基本戦略は失敗した」とも、「基本方針を転換する」とも言わない。相変わらずPCR検査対象を絞ったまま、「人的接触の機会を8割減らせ」「全ては、民の自粛努力にかかっている」「蔓延拡大は自粛努力の足りない民に責任がある」と言うのだ。政府も都も、これに倣っている。本当にこれでよいのだろうか。

小池百合子が最も胡散臭い。東京五輪の実施にこだわり続けてコロナ対応の時期を逸した失態を覆い隠すための強気の発言を重ねているようにしか見えない。しかも、東京都の金をふんだんに使ってのメディア露出は、図々しいにもほどがある。鉄面皮な選挙運動ではないか。コロナ以上に、イライラが募る。

あんな政府や、こんな都政を支えている専門家には批判が強い。外出禁止の予防効果に疑問を呈する専門家もいる。もっと有効な打つべき手があるというのだ。たとえば、児玉龍彦(東大先端科学技術研究センター名誉教授)さん。

「日経ビジネス」(4月17日)の記者(白井咲貴)が、児玉龍彦インタビューのリードをこうまとめている。
「クラスター追跡や外出自粛で、日本は感染拡大を防げるのか。東京大学の児玉龍彦名誉教授は『日本は非常に古い対策モデルから抜け出せていない』と言う。『大規模検査、隔離、GPS追跡』という東アジア型の対策の必要性を訴える児玉氏に、解説してもらった。」

以下、「日経ビジネス」が紹介する児玉さんの解説(抜粋)のさわりである。

外出自粛は一過性の患者減らしで、時間稼ぎにすぎません。また緩めると患者数が増えます。みんな自粛は2週間程度かなと勘違いしているようですが、最低でも3カ月はかかります。

(日本は、クラスター対策や外出自粛要請など)非常に古いモデルの感染対策から抜け出せていない。東アジアは遺伝子工学情報科学に立脚した新しいモデルで対応しています。

日本のように一人一人聞き取って紙に書いて、というのは非常に古い調査方法です。今、世界ではGPSによる追跡が当たり前です。誰がどこに行ったのかがつぶさに分かる。韓国やマレーシアなどもGPSを使っています。これらの国では感染者は出ていますが、すぐその人の行動範囲を特定して、周りで感染が出ていないか検査しています。

マレーシアでは、個人に「パンデミック番号」という番号を振って、保険証などとはひも付けられないようにしています。だから、日本でいえば「マイナンバー」で管理してはいけないわけです。

(日本がこれからすべきことが)4つあります。1つ目は病院や介護施設でのPCR検査の徹底。2つ目はドライブスルー型の検査をすること。日本財団は「船の科学館」などで1万床のベッドを用意するようですが、陽性ならそこに入所してもらえばいい。このように、症状が軽い感染者をどんどんさばく施設が必要です。3つ目は、GPS追跡です。個人情報や倫理を守って実施することが必要です。4つ目は社会インフラを支える人が感染しないような配慮をすることです。ガス、水道、電気、輸送、食品など、社会生活のインフラを支える人を重点的に守る。そういう方たちはPCR検査もすぐできるようにするし、(過去に感染したことがあるかを調べる)抗体検査もすぐできるようにする。

抗体の中には2種類あって、IgMという感染初期に出てくる抗体と、免疫ができてくると出てくるIgGという抗体があります。IgMの数値が上がっている人はまだウイルス感染が続いている可能性が高いので隔離する。IgGの数値が上がってくれば感染した後に治っている、というのが分かり、社会復帰もできる。この両方を測れて、しかも大量に処理できる仕組みをつくることが我々の関心事です。PCR検査と抗体検査は一体でやらないとだめです

政府や都の言うこととは真っ向対立する立論であり提言である。多々、耳を傾けるところがあるではないか。
(2020年4月24日)

コロナがあぶり出したアベノムノウ

コロナ禍は不気味だ。今や他人事ではない。私の籠城の地・本郷から東に行けば永寿総合病院である。西に行けば講道館、全柔連の本部。南すれば田嶋幸三会長の日本サッカー協会、そして北には都立大塚病院、駒込病院。四方から、じわじわと、あるいはジリジリと寄せ手が包囲を狭めつつある。目に見えぬ妖怪が次第に忍び寄ってくるの感がある。

東京地裁・高裁は緊急事態宣言の期間、民事事件及び行政事件の期日は、緊急を要するもの以外は全て取り消しとなった。はたしてこれでよいのだろうかと思いつつも、今は屋内に立て籠もるしかない。必要な会合はオンラインで行われている。

それでも、私のように立て籠もりのできる立場は恵まれている。医療従事者や現場でインフラの整備にあたる人には頭が下がる。ゴミの回収をしている人には、感謝の言葉をかけざるを得ない。生産や物流も支える人がいる。その人たちのお蔭で、まだ社会はまわっている。これがいつまで持つのかという将来への不安を感じなからも、当面籠城に飢餓はない。

憎むべきコロナウィルスではあるが、たった一つ、その効用があるとすれば、『無能な政治的リーダーの選択は、選挙民の命取りになる』ことを多くの人びとが悟ったことではないか。アベの無能は昔からだが、ここに来て盛ったメッキが剥げ落ちた。これまでは無能なリーダーでも大過なかったが、こんなリーダーで、国民の命と健康は大丈夫なのか、財産は守れるのか。それが、切実に国民一人ひとりに関わる問題と意識されるようになっている。アベの無能を悟った人心がアベから急速に離れつつある。

アベの無能については、中野晃一上智大学教授が最新号のアエラで、他国のリーダーたちとコロナ対策を比較して採点をしている。各国の事情には差異があれども、同じコロナ対策である。トップリーダーの資質の比較が可能なのだ。当然のごとく、安倍は最下位。トランプにも劣る、ということだ。

中野教授による評価の対象は、アベ、トランプ、メルケル,ジョンソン、習近平、蔡英文の6人。どういうわけか文在寅の名が抜けているのが、寂しい。蔡英文とならぶ高得点が期待できるだろうに。評価の方法は、(A)決断力、(B)実行力、(C)情報発信力、(D)責任感、(E)市民の支持、という5項目をそれぞれ5点満点で相対評価し、総合は5項目の平均を取るというもの。客観性がどこまで担保されているか保証の限りではないが、有力な政治学者の見解として面白いし、大いに頷ける。

総合点の結論はこうだ。

メルケル   5.0点
蔡英文    4.2点
習近平    3.2点
ジョンソン  3.0点
トランプ   2.0点
アベ     1.4点

100点満点に換算すれば、以下のとおりである。

メルケル  100点(優)
蔡英文    84点(良)
習近平    64点(可)
ジョンソン  60点(可)
トランプ   40点(不可)
アベ     28点(超絶不可)

各人の各項目の評価は以下のとおり。

安倍晋三(日本国首相)総合…1.4点
(A)1点(B)1点(C)2点(D)1点(E)2点

ドナルド・トランプ(アメリカ大統領)総合…2.0点
(A)2点(B)2点(C)3点(D)1点(E)2点

アンゲラ・メルケル(ドイツ首相)総合…5.0点
(A)5点(B)5点(C)5点(D)5点(E)5点

ボリス・ジョンソン(イギリス首相)総合…3.0点
(A)3点(B)2点(C)4点(D)3点(E)3点

習近平(中国国家主席)総合…3.2点
(A)4点(B)5点(C)2点(D)3点(E)2点

蔡英文(台湾総統)総合…4.2点
(A)5点(B)4点(C)4点(D)4点(E)4点

コロナ禍でのアベの無能は、「うちで踊ろう・動画」と、「466億円アベノマスク支出」に象徴されているが、アベノマスクはどうやらアベの無能だけの問題ではなさそうだ。ミャンマー、麻生・昭恵というキーワードが出てきた。政治の私物化・嘘とごまかし・情報不開示というアベの流儀が、ここでも疑惑として問題となりつつある。今まで何度もいわれてきたが、これがアベの末期症状、アベの終わりの様相ではないか。今度こそ。
(2020年4月23日)

外出しなくてもできること ― NHK経営委員長・森下俊三氏の経営委員辞任を求める署名にご協力を

コロナウィルスは罪深い。人の命を奪うだけではなく、権力に代わって集会の自由を規制する。デモ行進も妨害する。検察庁法改正問題、森友文書改竄問題、河井夫妻選挙違反事件など、緊急の抗議行動が必要なのに、ままならぬのが実情だ。

間近となった5月3日の憲法記念日大集会も、今年は行われない。「新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、集会方式での開催は中止しますが、オンライン配信を5月3日13時より行います。ぜひご覧ください。」という主催者の急告。残念だが、「オンライン大集会」では迫力を欠く、明らかにアベの力が衰えつつあるこのときに、無念というしかない。

せめて、在宅でできることをしよう。外出しなくてもできることといえば、まずはメールや電話での発信である。そして、ネットでの署名運動。

民主主義と国民の知る権利を大切とお考えの皆さまに再々度のお願いです。NHK経営委員長森下俊三氏の辞任を求める署名運動は4月末まで。

未署名の方は、下記URLを開いて、ぜひともネット署名をお願いいたします。
http://bit.ly/2TM7pGj
あるいは、http://bit.ly/33gfSETから、署名用紙をダウンロードしていただき、郵送での署名をお願いいたします。

署名の集約状況は、本日(4月22日)現在で、累計5,615筆となりました。

この署名の内容については、4月17日の赤旗「おはようニュース問答」欄に、「NHK経営委員辞任署名が4000超えたね」という問答形式として紹介されている。分かり易いので、転載させていただく。

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晴男 NHK経営委員長の森下俊三氏の経営委員辞任を求める署名が、ネット含め4干人分以上集まったんだってね。
秋平 森下氏は、日本郵政グループの求めに応じて上田良一前会長への「厳重注意」を主導した人だね。

番組制作に干渉

晴男 そうだ。発端はNHKが「かんぽ生命保険」の不正販売を告発する番組を作ったからだけど、番組制作者をほめるどころか批判するとはお門違いもいいところだ。
秋平 放送法第3条では放送番組について「何人からも干渉され、又は規律されることがない」としている。32条ではNHK経営委員に対し「個別の放送番組の編集について、第3条の規定に抵触する行為をしてはならない」とある。
晴男 「厳重注意」の際、経営委員会では該当番組について「インターネットの情報は偏っているので、作り方に問題があるのではないか」などと語っていた。
秋平 その発言をしたのが森下氏とみられているね。国会で発言者を問われると、非公開を理由に答えないが、明確な否定もできていない。
晴男 NHK労組は中央委員長見解で「経営委員会の業務として執行した会議において個別番組についての言及があったならば、それは放送法違反の疑いがあるのではないか」と述べている。

資質が問われる

秋平 経営委員長どころか、経営委員としての資質が問われている。
晴男 同じように考える人は多いね。ネット署名に多くの意見が寄せられているけど「経営委員会がモノを申しただけで十分な圧力になる。…番組について話をする姿勢こそが、通常の圧力よりさらにたちが悪い」など本質をついているよ。
秋平 そもそも、放送が「自主自律」を求められるのは、戦中の「大本営発表」の痛苦の経験があるからだ。
晴男 軍部の意向に沿って戦果を誇張し、撤退を「転進」、全滅を「玉砕」と美化してみせた。
秋平 今のNHKの報道にも似たような部分を感じるよ。客観的事実ではなく官邸寄りの情報を流しているようだ。
 権力を監視するのがメディアの役割ならメディアを監視するのが市民の役割。署名はもっと広がってほしいね。

(2020年4月22日)

アベ政権は、アベノマスクの製造元を明示せよ

アベノマスク。構想発表時点から「歴史的愚策」「466億円の無駄遣い」と評判が悪かった。いま配布が始まって、あらためて悪評を重ねている。「やっぱり、アホノマスク」という声もある。

報道によると、厚生労働省が18日、国内全戸への発送に先立って配布された妊婦向けの布マスクの一部に汚れが付着するなどの不良品が見つかったと発表。学校や介護施設等への発送分にも虫や髪の毛が混入されているものが見つかり、17日時点で80市区町村から1901件の報告があったという。不良品の数は合わせておよそ6700枚であったという。

これだけの問題が生じているのに、「発注先や製造元のメーカーなどの製品情報を政府がひた隠しにしている」ことにも疑問の声が噴出している。メディアが、厚生労働省や電話相談窓口に問い合わせても、「公表していない」と口を閉ざし、立憲民主党の蓮舫議員からの問い合わせにも応じていないという。それはおかしい。おかしいという根拠の一つとして、「PL法」を挙げたい。

消費者保護分野での主要法の一つとして、「製造物責任法」がある。その通称が「PL法」。PLとは、「製造物責任(Product Liability)」をいう。

かつて、資本主義の興隆期には企業活動の自由が称揚され、法体系はそのようなものとして作られた。民法の過失責任主義は、企業が製造する製品によって消費者事故が生じ被害が発生しても、「(企業に)過失なければ責任なし」として多くを免責した。この過失責任主義を大転換して、消費者に生じた商品事故が製品の欠陥によるものと認められる限りは、企業は「製造物責任(Product Liability)」を負わねばならないとした「PL法」は画期的な立法とされた。

では、「過失」と「欠陥」はどう違うのか。本質的で実践的な問題だが、本日論じようというテーマではない。

申しあげたいのは、「製造物責任(Product Liability)」を負う主体が、「製造業者」(当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者)だということ。製造業者は「その引き渡したものの欠陥に」責任をもたねばならない。(法第3条)

消費者運動に携わった我々は、「製造物責任法」を消費者保護立法と位置づけ、消費者に商品事故が生じた場合の救済法と捉えた。その責任追及の実践が、市場から欠陥商品を駆逐し消費者の安全に資することになると考えた。

事実上、「製造物責任法」とは、「商品安全に関する企業の責任法」である。典型的には、企業は消費者に選択されることを念頭に製品を製造し、これを商品として流通に置く。製造物が市民の手に渡るのは、市場において消費者が商品として購入することを通じてのことである。

ところが、製品としての不具合が報じられているアベノマスクは通常の商品流通とは異なる経路で全市民に届けられる。市民は、消費者としての市場での選択とは無関係にマスクを入手することになる。言わば、選択権のないまま押し付けられるのだ。しかし、そうではあっても、このマスクの製造業者に「製造物責任(Product Liability)」は免れない。法は、製造業者に「その引き渡したものの欠陥に」責任を課しているのであって、商品として流通におくことを要件としていないからである。

だから、アベノマスクの欠陥によって、「人の生命、身体又は財産を侵害」する事故が生じた場合には、このマスクの製造業者(メーカー)に、PL法上の製造物責任が生じることになり、無過失でも損害賠償義務を負うことになる。その責任主体のメーカー名を秘匿することは、国が,被害者の裁判を受ける権利を奪うに等しい。もっとも6700枚のマスクの「不良」が必ずしも「欠陥」ではない。しかし、その可能性は否定し得ないのだ。

法的責任もさることながら、肌に密着する衛生用品を使用するに際して、どこの誰が作ったものであるかが不明確であってはならない。このマスクの配布を受けた者には、消費者と同様にマスクの仕様・性能と製造業者について「知る権利」がある。

消費者の選択において、製造業者が示す商品の性能や安全性に関する情報は不可欠なものである。少なくとも、どこの誰が作ったものであるかの明示はなくてはならない。アベノマスクの場合は、企業の製造物責任と行政の説明責任とが重畳していると考えなければならない。

ところが、である。アベ政権は、アベノマスクの製造元を明らかにしようとしないのだ。何らかの不都合あってのことであろう。しかも、この件に関しては「アベノマスク対アサヒノマスク」論争に発展して、アベは墓穴を掘っている。「アサヒノマスク」の方は何から何まで明らかにされており、その値段の根拠には誰もが納得せざるを得ない。これとの対比で、アベノマスク製造業者の非公表は、ますます不自然となっている。

このマスク論争の発端は、朝日嫌いの軽忽な右翼評論家の「朝日新聞が2枚で3300円のぼったくりマスクを販売中! 買っちゃダメだよ!」というツイートに、安倍晋三が乗ってしまったことであったという。情けなや、みっともなや。これが、日本国首相のレベルである。

天下の愚策として配布されたアベノマスク。その製品としての欠陥と製造元の秘匿は、実はアベ政権そのものの欠陥と秘密主義を象徴するものとなっている。
(2020年4月21日)

コロナ風吹きすさぶ中での「ズーム」会合

コロナ禍は、確実に生活のスタイルを変える。その一つが、対面のコミュニケーションから、オンラインのコミュニケーションへの変化である。弁護団会議も市民団体の会合も様変わりだ。

本日(4月20日)、ズームを使っての2時間枠の会合が二つ。自宅にいながらの参加なのだから、何ともありがたい。不器用な私も、ようやくこの会議のやり方に慣れてきた。互いに離れた人びとの参加が容易になるし、交通の時間と費用が節約できる。これは、事態が平常に戻っても続くことになるだろう。もしかしたら、人口の一極集中の弊を解消する切り札になるかも知れない。

ところで、本日の会合は二つとも、気心の知れた仲間内のものだった。話は自ずとコロナ禍の問題となる。事態の打開が見えて来ない現状がもどかしくも重苦しい。が、それだけでない。この事態を乗り切るための国家の手法のあり方がより重要ではないか。その手法如何は、国家や社会の基本原理を転換しかねない。いつになるかはともかく、コロナ禍はいずれ収束する。しかし、この災厄を逃れるために必要として変えられた社会は、もしかしたら元に戻れなくなってしまうかも知れないのだ。

今進行しつつあるパンデミックの進行を阻止し解消するためには、人と人との接触を避けなければならない。あるいは、感染者から感染経路をたどらねばならない。その必要性は避けがたいことだ。

その実効的手段として最も手っ取り早いのが、権力的統制である。国民に、集会を禁止し外出を禁止し、スポーツや歌舞音曲の場をなくしてしまう。その強制の実効性を担保するためには実力行使を辞さない。そしてもう一つが、事実と道理を説くことによって国民を説得し、自発的な行動規制を求める手法である。こちらは、手ぬるく迂遠な印象を持たれがちである。

現実には両者の手法が折衷することになるが、中国が統制型の手法を用いて前者のモデルの成功例となりつつある。これは恐ろしいことだ。国家が全国民の行動履歴や健康状態を把握することは、かつては望むべくもない不可能事であった。今は、それが容易なことになり、現実化している。「1984年」のデストピアの出現である。

正常な国民感覚は、国家のプラバシー侵害を忌避する。ところが、このパンデミックの非常事態の恐怖は、多くの国民に「権力に無限の権限を」「プライバシーよりは生命の安全を」という感情を醸成させる。

私たちが、今もたねばならないのは、このような国民に届く説得力をもった言葉である。そのことに、誰も異議がない。

しかし、そこから先の具体策については、よく分からない。意見が一致しない。まだ、先は長そうだ。本日のズームの会合では、問題の整理ができただけでも収穫であったとしよう。
(2020年4月20日)

祝・サガン鳥栖のユニフォームから「DHC」の文字が消えた ― 「DHCスラップ訴訟」を許さない・第177弾

佐賀県の東端に位置して鳥栖市がある。「鳥栖(とす)」という地名には、他にない独特の古代の響きがある。昔は「鳥の巣」と言ったとのこと。九州陸路での交通の要衝であり、朝鮮通信使の立ち寄る場所でもあったという。

鳥栖は、私には懐かしい地名だ。父が奉職していた宗教団体の立教の地としてである。この教団は、戦前大きな勢力を誇っていたが、教義が不敬にあたるとして、天皇制政府から徹底した弾圧を受けて壊滅した。初代教組は不敬罪確定前に死亡し、2代目は有罪確定して下獄したが敗戦で釈放された。その2代教祖が、敗戦の翌年1946年に教団を再建した。その本部が置かれたのが鳥栖であった。幼いころ、父から、鳥栖という地名を何度も聞かされた。

その鳥栖をホームタウンとして、「サガン鳥栖」というプロサッカークラブが誕生したことは知っていた。しかし、誰がスポンサーであるかに関心はなかった。私が、DHCからスラップ訴訟を提起された後に、「サガン鳥栖」のメインスポンサーがDHCであることを知った。そのユニフォームの胸に、「DHC」の3文字が入っているのだ。

「DHC」とは、言うまでもなく「デマとヘイトのカンパニー」である。これにスラップまで加わって、3拍子揃った珍しい企業。そのDHCが「サガン鳥栖」のスポンサーになった事情については知らない。おそらくは吉田嘉明が唐津の出身であった縁からであつたろう。

鳥栖は、さして大きな街ではないが、「サガン鳥栖」はまぎれもなく、佐賀県を代表するスホーツチームである。今スポンサー一覧のリストを眺めるとなんと「佐賀大学」(国立)まで入っている。その佐賀県代表の選手の胸に「デマとヘイトのカンパニー」なのだから、佐賀県の恥ではないか。さすがに、文字には書きにくいが、佐賀に縁のある人にはそうしゃべってきた。

ところが、目出度いことに、DHCと「サガン鳥栖」との縁が切れた。2020年1月でDHCがスポンサーから撤退。2月からの「胸スポンサー」は佐賀新聞となった。「サガン鳥栖」の選手の胸に、DHCの3文字はなくなり、「佐賀新聞」が取って代わっている。

「デマとヘイトとスラップ」のDHCとの縁が切れたことを、佐賀県民のために、心から「おめでとう」と申しあげたい。これからは、サガンの選手から目を背けなくてもよくなるのだから。

なぜ、DHCがサガンから撤退したのか、その理由はよく分からない。よく分からぬままにネットを検索していたら、次の記事にぶつかった。2020年2月1日付のもの。原文のまま、一部を転載する。

【悲痛】J1鳥栖スポンサー相次ぐ撤退その真相は?胸スポのDHCまで!
DHCの吉田嘉明会長
DHCの吉田会長を調べると…色々なスキャンダルが出てきました。
吉田会長が政治家に資金をを貸し付けた事を弁護士がブログで批判した事で、吉田氏側から自由な言論を封じる脅し目的の訴訟を起こされ、精神的苦痛を受けたとして損害賠償を求めている。
吉田会長といえば、2014年にみんなの党・渡辺喜美氏に8億円もの供与し大問題に発展。渡辺氏を通じて安倍晋三首相にも接近しようとしていたとも言われている。
吉田氏が自社株を買い戻したときの金額を国税局が低すぎるとし約6億円の追徴課税を行った際には、処分取り消しの訴訟を起こしただけでなく、国税庁職員の調査によって精神的な苦痛を受けたとして国を相手に約1億4000万円の損害賠償訴訟を起こすなど、『けんかっ早いフィクサー』『ワンマン経営者』などと呼ばれてきた吉田会長。
1992年には六本木に元社長秘書をママに据えた会員制クラブを開店したことが「週刊新潮」で取り上げられている。
このようなスキャンダルが今回のスポンサー撤退理由になのかは解らないがDHC側に有るに[の]では無いかなとも思ってしまう。
DHCの商品は僕は好きなのでなんだか微妙な気分ですね。
DHC商品を一つ買えば、デマとヘイトの番組作りを後押しして、日本の民主主義が一歩後退することになる。反対に、DHC商品の購入を控えれば、デマとヘイトの番組作りは一歩後退し、日本の民主主義が一歩前進することになる。『DHC不買』運動は、デマとヘイトを抑制する民主主義運動なのだと2017年1月18日に記事になっていた。

このブロガーは率直に述べている。「このような吉田嘉明の度重なるスキャンダルが今回のスポンサー撤退理由だと断定はできないが、DHC側に問題があるのだろうと思えてしまう」と言うのだ。

《DHC商品を一つ買えば、デマとヘイトの番組作りを後押しして、日本の民主主義が一歩後退することになる。反対に、DHC商品の購入を控えれば、デマとヘイトの番組作りは一歩後退し、日本の民主主義が一歩前進することになる。『DHC不買』運動は、デマとヘイトを抑制する民主主義運動なのだ》は、私の文章である。このように拡散されていることは欣快の至りである。

「DHCスラップ訴訟」を許さない・シリーズを重ねて本日が第177弾。書き続ければ何らかの影響を確認できるようになる。書かなければ何も生まれない。DHCとの闘いはまだしばらく終わらない。本シリーズもまだまだ終わらせるわけにはいかない。
(2020年4月19日)

大事なのは、「トップの人が言ったことに従う」ことなのか。

重苦しい雰囲気である。「非常時」、「戦時色」、「臨戦態勢」などの言葉が現実味を帯びつつある。そして、この社会の重苦しさの原因として、政権への批判を封じる同調圧力が感じられる。コロナも恐いが、「一億一心」になりかねない人心も恐い。一歩間違うと、非国民非難になりかねない。

本日(4月18日)の毎日新聞・スポーツ面に、リーチ・マイケルの囲み記事。タイトルは、「外出自粛で“ワンチーム”に リーチ・マイケルが呼びかけ 『油断が危ない』」というもの。

ラグビー・ワールドカップで活躍したリーチ・マイケルが17日、ウェブでの記者会見で報道陣の取材に応じ、新型コロナウイルス感染拡大防止に向け、W杯日本代表のスローガンを引き合いに「ひとりひとりが責任を持ち『ワンチーム』として外出自粛などの行動ができれば拡大は防げる。油断が危ないので正しい行動を取って」と呼びかけたという。官製企画に、スポーツ界もメティアも踊らされている図である。

NHKもこう報じている。
「一人一人が責任持って行動を」リーチ マイケル選手 呼びかけ
「『大事なことは一人一人が責任を持って行動することだ。そうすればウイルスの感染拡大を防げるし、ワンチームになれる』とファンなどに呼びかけました。」

ところが、この動画を眺めて気が付いたのは、彼がこう言っていることだ。もちろん、日本語である。
「トップの人が言ったことに従う。それをやればワンチームになれる」

つまり、大事なことは一人一人が責任を持って判断することではない。「トップの人が言ったことに従って行動すること」だというのだ。ワンチームとは、チームの中に諸チームがないこと、一つのチームがスッキリとまとまり良いことなのだろう。トップに対する批判など、もってのほかなのだ。

念のためと思って、産経の電子版を見ると果たして、こうある。

新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けては、(リーチは)安倍晋三首相や東京都の小池百合子知事の名を挙げて「トップが言ったことに従う」必要性と、各自の責任ある行動を呼びかける。「慣れて油断するのが一番危ない。だから毎日毎日、正しい行動をとれたかを見直す。難しいが、できるだけ家に」。レビュー(振り返り)を通して成長を遂げ、W杯8強にたどり着いた代表チームの軌跡と重ね合わせる。

これが恐い。国難だから、非常時だから、「みんな一丸となってトップが言ったことに従うべきだ」というのだ。単純に短絡的に、チームを国家と同一視して、ワンチームを称揚することで、「全国民がトップの言ったことに従う」という美風を肯定し、そのための「ワンネーション」を目指そうというのだ。

結局のところ、国難だから、非常時だから、「安倍晋三や小池百合子など『トップが言ったことに従うべきだ』と、リーチは引っ張り出されて語らせられているのだ。今後、この動きに警戒し、批判を続けなければならない。

同様の問題意識で、快調にヒットを重ねるリテラが、4月15日に下記の痛快な記事を掲載している。
https://lite-ra.com/2020/04/post-5372.html

糸井重里、山下達郎、太田光…「責めるな」「いまは団結を」と安倍政権批判を封じ込める有名人がわかっていないこと

 安倍政権の酷すぎるコロナ対策、多くの人が怒りの声をあげているのは当然だろう。一方で、「いま批判するのはやめよう」「いまは誰かを責めている時期じゃない」と、政権批判や補償を求める声を封じ込めようとする動きが起き始めた。3.11のときも「国民が一つなって危機をのりこえるべきときで、責任を追及する時期じゃない」と、原発批判が封じ込められたが、まったく同じ状況になっている。

その代表が糸井重里だ。糸井は4月9日にこんなツイートをした。

〈わかったことがある。
新型コロナウイルスのことばかり聞いているのがつらいのではなかった。
ずっと、誰かが誰かを責め立てている。これを感じるのがつらいのだ。〉
〈責めるな。じぶんのことをしろ。〉

これに批判が殺到した。映画評論家の町山智浩〈糸井重里さん、もうレトリックはいいですよ。言いたいことをはっきり、「庶民はお上に逆らうな」「政府に補償を求めるな」「マスク二枚で満足しろ」「お前らは犬だ」「奴隷だ」と言えばいいじゃないですか〉と糸井の本音を喝破。小島慶子〈はー。責めるな、自分のことをやれとどこかのお殿様が呟いたようだけど、コロナ危機なんて他人事なのでしょう…お城に篭っておくつろぎ遊ばせ。あなたに言われなくても、みんな自分のことも他人のことも懸命にやってますから〉と一刀両断にした。

さらに、秀逸だったのはライターの武田砂鉄の皮肉たっぷりのツイートだ。
〈わかったことがある。
「商売が成り立たない」「これからどうしたらいいかわからない」「だから補償を」という悲鳴を、こうやって「責め立てている」なんて変換されるのがつらいのだ。〉

そのとおりだ。大切なのは、「トップの人が言ったことに従う」ことではない。批判の精神を持続して発言し続けることなのだ。
(2020年4月18日)

検察庁法改正案は権力分立の大原則を侵す

安倍の悪事は多過ぎて、追いかけるだけでも目が回る。コロナだけに気を取られてはいけない。モリ・カケ・サクラ、テストにカジノにカワイ。その全てと関わるのが、幹部検察官人事に介入しようという検察庁法改正案。国家公務員の定年延長法案と抱き合わせとなっている。それが、昨日(4月16日)衆議院で審議入りした。こんなにも評判の悪い、こんなにも不当性見え見えの法案が、堂々と国会で審議されている。

塩川鉄也議員(共産)は、衆院本会議で質疑。これが、分かり易い。

「発端は安倍政権が1月に黒川弘務東京高検検事長の定年を延長させる閣議決定をしたことだ」「戦後、日本国憲法のもとで制定された検察庁法は、検事の定年延長は認めなかった。それは、検察官人事への政治の恣意的な介入を阻止し、検察官の独立性確保のためだ」「違法な閣議決定につじつまを合わせるため検察官の役職定年に例外を設け、内閣が認める時は63歳を超えても、さらには退官年齢(65歳)を超えても検事長などのまま勤務させることができるという抜け穴まで設けたもので許されない」「今回の法案は、検察官人事への介入を通じて内閣が恒常的に司法の一角に対する支配をを可能とすることで、憲法の基本原理である権力分立を破壊するもの」と批判した。まったくそのとおりだ。

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ところで、16日に法案の審議入りが予想されるとして、法律家6団体が、15日に記者会見を開いた。それがズーム(Zoom)を用いた「ウェッブ会見」だと報告を受けた。ふーむ、世は遷っている。

2020年4月14日

「国家公務員法等の一部を改正する法律案(検察庁法改正案)」
に反対する法律家団体の共同記者会見に関する取材と報道のお願い

改憲問題対策法律家6団体連絡会            
社会文化法律センター     共同代表理事 宮里 邦雄
自 由 法 曹 団        団  長 吉田 健一
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議  長 北村  栄
日本国際法律家協会        会  長 大熊 政一
日本反核法律家協会        会  長 佐々木猛也
日本民主法律家協会         理 事 長 右崎 正博
改憲問題対策法律家6団体連絡会事務局長 弁護士大江京子

お問い合わせ先 弁護士 江夏大樹

1 検察庁法改正案が衆院で審議入り
政府は,「国家公務員法の一部を改正する法律案(検察庁法改正案)」を,4月16日に衆議院で審議入りする方針を固めました。
検察官は,「公益の代表者」であり,内閣総理大臣を含む政権中枢の権力犯罪に対しても捜査・起訴権限を付与された準司法官的な地位を有する国家機関であることから,政権からの独立性・公正性が制度的に保障されなければなりません。しかしながら,検察庁法改正案では,すべての検察官の定年及び定年延長について国家公務員法の規定が適用されること,内閣ないし法務大臣の広範な裁量により定年延長ができることを規定し,次長検事,検事長,検事正,上席検察官に役職定年制を導入するとともに,内閣ないし法務大臣の広範な裁量に基づき役職定年を延長する規定が盛り込まれています。この改正案では,検察官全体の人事に政権が恒常的に介入することが合法化することになります。

2 新型コロナ感染が広がる中での検察庁法改正
現在、新型コロナの感染拡大が止まらない中、内閣ないし法務大臣が検察人事に介入するという極めて問題のある検察庁法改正案を国会で審議する必要は全くありません。
また、安倍内閣は現在、自民党の河井克行前法相、河井案里参院議員に対する公職選挙法違反事件や元自民党の秋元司衆院議員に対するカジノを含む統合型リゾート(IR)事業の汚職事件が直撃している上に、自身も森友問題や桜を見る会に関連する支出を政治資金収支報告書に記載していない等の様々な疑惑が浮上しており、捜査の対象となる立場です。そうすると、今回の検察庁法の改正は新型コロナの混乱に乗じて、自身への疑惑の追及を回避する仕組み作りにあるとの謗りを免れません。
そこで,私たちは,4月16日に予定されている検察庁法改正案の国会審議入りを前に,同法案の問題点を明らかにし,同法案の廃案を訴えるために共同記者会見を行うことといたしました。

日時: 4月15日午後3時?4時(予定)共同記者会見
手段: Zoomのウェビナー機能を用いて行います。
参加方法:幹事社の毎日新聞の方に参加URLをメールで送ります。
? Zoomのウェビナーでは参加者がパネリスト(発言可)と一般視聴者(視聴のみ)に分かれます。
? 各メディアの方でご参加いただける方は事前に江夏(enatsu@tokyolaw.gr.jp)に「お名前」と「お使いになるアドレス(Zoomに登録したアドレスの場合はそちらのアドレス)」をお伝えください。パネリストとして記者会見にご招待いたします。
? 本記者会見は一般の方々も視聴者として参加することを可能としました。
? Zoomの参加方法にご不明な点がありましたら江夏までお問い合わせください。
会見出席者:各団体からの発言をご依頼するとともに、各野党の国会議員の先生方に発言をしていただく予定です。

是非,取材をして頂くと共に,報道の程,お願い致します。

(2020年4月17日)

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