?終日:南北朝鮮の軍事境界線「板門店」の見学予定である。
※しかし、南北会談以降、「板門店」への訪問規制があるため、出発の時点まで「板門店」へ行けるかは未定。行けない場合は、北朝鮮を展望できる「統一展望台」に行くことになる。私は、「板門店」には行ったことがない。統一展望台は見学している。「板門店」見学が実現できるか。運試し。
ツアーのリーフレットには、南北を分断している軍事境界線(見学予定先:板門店あるいは統一展望台)について、次のように記載されている。
●2018年4月27日、板門店で南北首脳会談が聞かれ、終戦をめざす「板門店宣言」が発表された。
第二次大戦後、35年に及ぶ日本の植民地支配から解放され、「朝鮮人民共和国」を予定したが、米ソの対立が朝鮮に持ち込まれ、民族分断国家が成立してしまった。ソ連が満州から越境、アメリカが仁川に上陸、1945年の米英ソ外相会議で5年間の「信託統治」合意が成立したが、これを大国の横暴と民衆が反発?済州島4.3事件を経て、1948年8月15日に「大韓民国」が成立。北が対抗して9月9日に朝鮮民主主義人民共和国成立となった。
その後、1950年6月に朝鮮戦争が勃発して3年にも及び朝鮮半島全土を戦場とした。1953年7月27日に休戦協定がなされ、北緯38度線付近の休戦時の前線が軍事境界線として認定?南北2国に分断される。
※注意 南北会談以降、板門店への規制が厳しくなっていることから見学・訪問先として「板門店」には行けないこともあります。そのときは、「統―展望台」に。
第2次大戦後の終戦処理が終わっていないのが南北朝鮮の分断。これに伴って、日朝関係も同様となっている。今日、国境に立てば、陽は暖かく射すだろうか。風はさわやかに吹くだろうか。
(2019年2月21日)
午前:日本軍「慰安婦問題」の解決に向けての交流
*歴史認識と慰安婦の問題について
韓国挺身隊問題対策協議会を訪問
昼頃:日本領事館前での「水曜集会」に参加
午後:平沢米軍基地近辺で、平沢米軍基地反対行動の市民団体と交流
在韓米軍基地の現状について懇談
夕刻:現地団体との懇談・交流
●日本軍「慰安婦」問題の解決へ向けての交流
交流予定先:韓国挺身隊問題対策協議会
女性と人権博物館の見学とともに、日本軍「慰安婦」問題の解決へ向けて交流。1990年11月に37の女性団体と個人が集まり結成。日本軍「慰安婦」犯罪の認定・真相究明・国会決議による謝罪と法的賠償、そして歴史教科書への記録など7大要求を掲げて活動。1992年1月に在韓日本領事館前での抗議行動「水曜集会」を開始してから、毎週実施している。抗議行動には多くの団体・人が参加し、特に若い層の参加が目立つ。
●在韓米軍基地の現状と問題について交流
交流予定先:平沢米軍基地拡張阻止対策委員会
ソウル都心にあった龍山米軍基地の移転等にともない平沢市郊外の農村地帯ペンソン邑テチュ里の農地が強制収用された。2018年6月29日に在韓米軍は、司令部をソウ南方の京畿道平沢市にある米軍基地キャンプ・ハンフリーズに移転した。1957年7月にソウル市内の龍山基地に創設されて以来、在韓米軍司令部の移転は初めて。それによる防衛態勢強化の取り組みなどが問題となっている。
いや、盛り沢山。午前中からお昼までが、日本軍「慰安婦」問題。午後が、在韓米軍問題。日本領事館前の「少女像」は以前にも見学したことはあるが、水曜行動参加は初めて。若い層の参加が目立つという、その運動の雰囲気を感じ取りたい。
(2019年2月20日)
午前:南北分断の克服と平和・繁栄の新しい動きに関する交流
・キョレハナ平和研究センター(イ・ジュンキュ氏)訪問
・史上初となる「南北共同連絡事務所」訪問
・「板門店宣言」の履行について関係各所を訪問・交流
午後:ソウル市市民民主主義とキャンドル革命について交流
・参与連帯を訪問
・ソウル市長との懇談(あるいは市長のブレーンや学者)
・ソウル市の市民民主主義について
・キャンドル市民革命がもたらした変化について
●米朝・南北会談と今後についてのレクチャー
担当講師は、イ・ジュンキュ氏
長年対立してきた米国と北朝鮮が歴史上初めての首脳会談を行い「新しい米朝関係の確立」を約束。平和体制の構築と完全な非核化で合意。また、南北首脳会談では「朝鮮戦争の終結と平和協定締結をめざす」ことに合意。今後の展望を活動家イ・ジュンキュ氏より説明。
●南北分断の克服と平和非核化の新しい勤き
交流予定先キョレハナ平和研究センター
2004年に発足した「キョレハナ」は、韓国に8箇所の支部を持ち、北朝鮮への人道支援などを中心に活勤している。「キョレ=民族・同胞」、「ハナ=1つ」という韓国語であり、「民族・同胞は1つ」という意味の団体。支援事業だけでも11の事業本部を持っている。南北首脳会談の『板門店宣言』にもとづく南北間の緊張緩和一相互交流の進展状況などについて懇談・交流を予定。
●ソウル市民民主主義とキャンドル革命
交流予定先:参与連帯平和軍縮センター
「市民が主役であり、その市民の力を引き出させるのが『中央』『地方』政府だという朴元淳ソウル市長(元参与連帯役員)。韓国社会を大きく変化させた「キャンドル革命」について、参与連帯を訪問します。当団体は、原水爆禁止世界大会や平和大会にも参加する韓国の中心的市民運動団体。民主主義の基盤を固め、人間らしく生きられる社会実現をめざし、朝鮮半島と北東アジアの平和実現でも積極的に提言している。
予定は、飽くまで予定。本日(19日・火)の現実の行動がどうなったか、今日米朝会談や南北融和の動きについて、現地の意見や空気はどうであったか、帰国後に追々ご報告いたしたい。
(2019年2月19日)
2019年2月18日・月曜日。京成上野から、早朝5時58分のスカイライナー001号で、旅が始まる。成田発のアシアナ航空便で仁川へ。本日から22日までの4泊5日。月曜の朝から金曜の夕刻まで、一衣帯水の国の首都の周辺の旅。
昨年に続いて、日本平和委員会が企画した「韓国ピースツアー」に参加している。総勢35人の大所帯。一人旅では経験できない、現地の平和運動や市民団体との交流が盛り沢山。観光スケジュールは一切ない。
ツアー名にサブタイトルが付いている。「日本の植民地支配から解放されて73年。南北に分断された朝鮮半島の平和と非核化をめざす民衆の運動が躍進する国へ!」という。
旅のセールスポイントは、以下のとおり。
1 キャンドル革命・ソウル市民民主主義がもたらした変化を市民との交流で学ぶ。
2 南北会談以降の軍事境界線を訪問
3 日本軍「慰安婦」問題解決へ向けた連帯と在韓日本領事館前での「水曜集会」デモに参加
4 在韓米軍基地の実態と被害、基地強化の反対を掲げる平和団体との交流
5 韓国の歴史と文化にもふれる
昨年同様、今週の月曜から金曜日までの5日間、憲法日記を書く暇はない。手許にパソコンもない。そこで、今日から5日間は、全て事前に書きためた「予定記事」の掲載である。
今回も、親しい吉田博徳さんからのお誘いに応じての参加。吉田さん、97歳にして矍鑠そのものである。今回のツアーの副団長を務める。
ところで、本日(2月18日)の見学地の一つに、「閔妃暗殺の現場」がある。景福宮の一角。1895年10月8日、日清戦争終了後間もなく、ここで閔妃が殺害されている。李氏朝鮮の第26代王・高宗の正妃である。明成皇后との尊号をもつ人物が、日本公使と軍の策謀によって、暗殺された。これが、乙未事変である。
高宗は「心やさしく温和だが性格が弱く人の言いなり」「意志薄弱」(イザベラ・バードの評)と評される人。高宗の父・大院君が親日派、閔妃が親露派の頭目として、両派が激しい抗争を繰り広げた。閔妃の親露派が優勢となるや、日本公使三浦梧楼(大使はいない)や軍事顧問岡本柳之助らが、親露派の閔妃を排除するための実力行使に出た。これに、大院君派などの朝鮮人が加わった暴徒が王宮内に乱入し、閔妃は景福宮・乾清宮内で斬殺され、遺体は焼却された。この狼藉も、結局親日派の大院君を復権させることには成功しなかった。
なお、三浦梧楼ら48名は謀殺罪等で起訴され、また軍人8人が軍法会議にかけられたが、証拠不十分で免訴となり釈放されたという。
喩えて言えば、日本に軍隊を置く某国大使が画策して、その国の在日軍隊が暴徒とともに皇居に乱入して皇后を殺害した、というこの上ない狼藉。朝鮮の民衆が怒ったのは当然だろう。
かつての日本が、朝鮮に何をしたかの、歴史的事実の一コマ。日本人はこの事件をどれだけ深刻な問題として認識しているだろうか。
(2019年2月18日)
このところ、安倍晋三のやることなすこと叩かれっぱなし。トランプが大統領を続けておられるのも不思議だが、安倍内閣の支持率がそこそこ保って下がらないのはもっと不思議。この国は、もはや真っ当さを失いつつあるのではないか。
まず、2月13日の毎日新聞社説を紹介しよう。表題が、「首相の自衛官募集発言 事実の歪曲で憲法語るな」。最初の書き出しが良い。「また安倍晋三首相が憲法に関して奇妙なことを言い始めた。自衛官募集に協力しない自治体があるから憲法改正が必要だという論理だ。」
首相は自民党大会の演説で「新規隊員募集に対して都道府県の6割以上が協力を拒否している」と語り、「憲法にしっかりと自衛隊と明記して違憲論争に終止符を打とうではありませんか」と呼びかけた。
「都道府県の6割以上」というのは間違いだ。自衛官募集に使うため18歳など適齢者の名簿提供を求める対象は全国の市区町村だからだ。首相も国会で発言を修正した。…自衛隊は9割の市区町村から個人情報の提供を受けていることになる。首相の言う「協力を拒否」は事実を歪曲している。
首相発言について石破茂元防衛相は「憲法違反なので募集に協力しないと言った自治体は寡聞にして知らない」と語った。自衛隊を憲法に明記したら自治体の協力が進むかのような首相の主張は詭弁に等しい。
首相はこれまでも「憲法学者の7割以上が自衛隊を違憲と言っている」ことを改憲理由に挙げてきた。事実関係のあやふやな根拠を立てて情緒に訴える論法は今回も同じだ。一国の首相が事実をねじ曲げて憲法を語るべきではない。
翌、2月14日の朝日社説(抜粋)もほぼ同旨。
「自衛官募集 改憲の理由にはならぬ」というもの。この見出しは良い。ずばりの問題点指摘となっている。
自衛官募集に自治体の協力が得られないから、憲法9条に自衛隊の明記が必要だ―。今年に入って安倍首相が言い出した改憲の根拠は、事実を歪曲し、論理も破綻している。首相の改憲論の底の浅さを、改めて示したと言うほかない。
首相は先の国会答弁や自民党大会での演説で、9条改正に関連し、自治体の6割以上が自衛官募集への協力を拒否していると強調した。しかし、これは明らかに事実に反する。
首相はまた、災害時に自衛隊が救援活動を行っていることを引き合いに、自治体の「非協力」を非難した。災害派遣を受けるなら募集活動に協力しろと言わんばかりだ。不見識きわまりない。自衛官募集のために改憲をというのは飛躍がありすぎる。
9条は戦後日本の平和主義の根幹をなす。その重みを踏まえた熟慮の跡もなく、事実をねじ曲げる軽々しい改憲論は、いい加減に慎むべきだ。
同日の東京新聞社説も引用しておきたい。タイトルは、「首相自衛隊発言 事実曲げ改憲説くとは」
安倍晋三首相は自民党大会で、党総裁として憲法9条改正に重ねて意欲を示したが、その理由に挙げた自衛官募集を巡る発言は事実誤認だ。いくら党の「悲願」とはいえ、事実を曲げてはならない。……憲法に自衛隊の存在が明記されていないから自治体が隊員募集に協力しない、自衛隊の存在が明記されれば自衛官の募集も円滑に行われる、という論法である。
東京新聞社説は、「違憲を理由に協力を拒む自治体はほぼ存在しないことになる。」「誤った事実に基づいて改憲を主張するようなことが許されていいのか。」「改憲しなければ国民の権利や平穏な暮らしが守れない、という立法事実がないから、理由にならない理由をひねり出しているのではないか。」と述べ、最後はこう結ばれている。「節度ある防衛力を整備するためにも自衛官の確保は課題だが、事実を曲げてまで、悲願の改憲に結び付けるような言動は厳に慎むべきである。」
朝日が言う「今年に入って安倍首相が言い出した改憲の根拠は、事実を歪曲し、論理も破綻している。首相の改憲論の底の浅さを、改めて示したと言うほかない。」がすべてを物語っていると言って良い。
但し、問題は「自治体が自衛隊の隊員募集に協力しているのかいないのか」にあるのではない。憲法とは、国の基本構造の設計図である。改憲とは、とりわけ9条改憲は、安倍晋三の言うがごとき、些細なみみっちい理由で提起されるべき問題ではない。
むしろ、安倍発言が明らかにした問題点は、自衛隊が9割の市区町村から個人情報の提供を受けているという事実である。唖然とせざるを得ない。
本日(2月16日)の赤旗、「自民党の自衛官募集“圧力”」「地方議会抑え込み狙う」「安倍発言を後押し」「沖縄2紙示し」という記事によれば、
自民党文書に添付されていたのは、琉球新報と沖縄タイムスが2015年10月と12月に報じた四つの記事です。琉球新報は同10月に、沖縄市と宜野湾市が、自衛隊の求めに応じて、住民基本台帳から18?27歳未満の約2万4000人分の氏名、生年月日、住所、性別を本人の同意を得ずに提供したと報道。沖縄タイムスは、同12月に両市が市議会で追及をうけ、「市民に不安を与えた」(沖縄市)「配慮不足だった」(宜野湾市)と謝罪したことを報じています。
自分の個人情報を、知らぬ間に自衛隊に流れされたら、これは一大事ではないか。市が謝罪して当然だろう。ところが、これが自民党には面白くない。
自民党が14日に党所属国会議員に配布した文書では、「一部の地方議会においては、左派系会派からの要求に応じて、法令に基づき募集対象者情報の提供を行った行政側が謝罪を行う事態にまで発展しており、看過できない」と強調しているという。
自民党の言ってることは本末転倒だ。自治体が、個人情報を自衛隊に渡していることこそが大問題ではないか。アベ流改憲がなされれば、徴兵名簿ができあがることにもなりかねない。アベの発言は、大きな問題をあぶり出した。
(2019年2月17日)
えらく、待たせられますな。いつものことですがね。
きちんと予約制にしてもらいたいものですね。
でも、毎回、ここで結構知らない人とのお話しが弾んで、楽しいこともあるんですよ。
最近、楽しい話題なんて思い当たらないじゃないですか。
児童虐待だの、イジメ自殺だの、統計偽装だの…。
そうなんですよ。私は去年、定年になったんですが、それまではテレビの国会中継なんて観る暇もなかった。今は、よく観るんですが、政府のいい加減さには、ほとほと呆れて腹が立ちますね。
安倍さんの政治は確かにひどい。でも、安倍さんに限らず、アメリカも中国も、イギリスもみんなひどい。韓国もひどいじゃないですか。
韓国の何がひどいんですか。
韓国の国会の議長が、天皇陛下に謝罪を要求したでしょう。天皇陛下に謝罪を、ですよ。怪しからん話じゃないですか。
天皇への謝罪要求はどうして怪しからんのでしょうか。安倍首相は12日の衆院予算委員会で、「甚だしく不適切な内容を含み、極めて遺憾である旨、厳しく申し入れた。強く抗議するとともに、謝罪と撤回を求めた」と怒って見せています。河野太郎外相も同委員会で、「極めて無礼な発言だ」とは言うのですが、何がどうして無礼で、甚だしく不適切なんでしょうかね。
国会議長の発言の中に、天皇を指して『戦争犯罪の主犯の息子ではないのか』という言葉がありましたね。あれが、日本の国民を刺激したのではないでしょうか。
そう、天皇陛下を「戦争犯罪の主犯」、今上陛下を「戦犯の息子」なんて、日本人なら許せないと思うのが当たり前。
そうでしょうかね。天皇が戦争を始め、天皇の軍隊が近隣諸国に攻め入って人々を殺し、天皇の役人が徴用工を募集し、天皇の軍人が強制力を用いて慰安婦を募集して管理した。天皇が、侵略戦争と植民地支配の最高責任者であることは、ごまかしも言い逃れもできない事実でしょう。その戦争や植民地支配に伴う数々の戦争犯罪について、天皇を「戦争犯罪の主犯」と言って、ちっともおかしくないと思いますが。
東京裁判でも、天皇陛下は裁けなかった。陛下に責任はなかったからですよ。
当時、GHQは天皇を占領統治に使おうとしていました。日本を反共の防波堤にしたいという思惑もあった。だから、かなり無理をして、訴追を避けたのではないのでしょうか。
それでも、少なくとも現在の天皇陛下には何の責任もないはず。その陛下に謝罪要求の根拠はあり得ません。
ここに、新聞記事がありますが、こんな風に報道されていますね。
「文喜相氏は『日本を代表する(安倍)首相から(謝罪の)一言でいい。近く退位されるのだから、天皇がそれを行うことを願う』とし、陛下は『戦争犯罪の主犯の息子ではないのか』と指摘。『そのような人が、高齢の元慰安婦の手を握り本当に申し訳なかったと言えば、これを最後に問題は解決する』と語った」(10日付各紙=共同配信)
朝日新聞は、「文氏は(天皇に関し)『戦争犯罪』という表現は使っておらず、『戦争当時の天皇の息子』と述べたと思う」と共同配信の記事の一部を否定したとしています。
正確に言えば、ストレートな「謝罪要求」ではないのですね。でも、親のしたことを子に謝らせる、という発想に違和感がありますね。
敗戦後の日本国民自らが戦争責任追求をしてこなかったことが諸悪の根源となっているように思います。韓国など被害国の側から見れば、あの被害や屈辱を与えた日本が、本心から謝罪したことはない。だから、問題が片付かないまま、現在に至っている。
今できる解決のための謝罪の仕方として考えられるのは、首相か天皇かのどちらかだろう。安倍首相は、人格的に大いに問題のある人物だから、この人に謝られたところで真摯の謝罪だとは受け取りにくい。ならば、天皇の謝罪を、ということではないでしようか。気持ちはよく分かる。
しかし、安倍さんも、国会で言っていましたよね。「今回の(文・韓国国会議長の)発言に多くの国民が驚きかつ怒りを感じたと思う」と。多くを言う必要はないんじゃないでしょうか。私もそう思いますよ。
実は、それこそが一番深い、根本にある問題ではないでしょうか。あの戦争は、天皇の命令で行われた戦争でした。神である天皇が神国日本を防衛するためとして、臣民に命じて他国を侵略した奇妙な戦争。その敗戦の責任を天皇自らがとろうとはせずに生き延びた。その天皇を日本国民が責任追及することなく、天皇制を残してもいる。ナショナリズムの中心に、常に天皇が位置し続けている。
たしかに、韓国との問題となると、排外的なナショナリズムを感じますね。天皇が絡むと一段とその色が濃くなる。安倍さんや河野さんの立場としては、天皇の神聖を傷つける無礼は許せないと言うわけなのでしょうね。
右翼がそう言うのは度しがたいところですが、政権が右翼と同じことを言ってはならんと思います。
でも、今上陛下は、追悼と鎮魂の旅を続けこられた。戦争を反省する立場でも一貫しておられる。国民からの支持は当然ではありませんか。
ああ、現天皇の追悼と鎮魂は、皇軍の将兵に対する限りですね。けっして、侵略された側、敵とされた側の将兵に対する追悼と鎮魂はない。それから、現天皇が昭和天皇の戦争責任に言及したこともありません。
もちろん天皇(明仁)が、これまで朝鮮の元「慰安婦」にも、元徴用工にも、創氏改名を強制された多くの人々にも、謝罪したことはありません。
では、退位を目前にした天皇が、いま、元「慰安婦」や元徴用工に謝罪すべきだとお考えですか。
わたしは、それは明らかに天皇の政治利用だと思います。象徴天皇とは、存在するだけのもので、機能すべきものではない。役に立ってはいけないと思うのです。
ほう、ずいぶんお堅い。私は、日韓関係改善の役に立つのなら、内閣の責任できちんと謝罪させればよいと思いますがね。
韓国議長の発言は、大きな問題を投げかけています。私たちは、過去の朝鮮侵略の歴史をきちんと想起することで、これを受けとめなければならないと思います。重要なことは、今にして未解決な慰安婦問題や徴用工問題や天皇の責任問題を考えることであって、天皇の謝罪の是非ではないと思うのです。
おや、呼出がありました。お先に失礼。
(2019年2月16日)
舛添要一・前都知事が、昨日(2月14日)夜、自分のブログに興味ある記事を掲載した。「低迷する憲法改正論議」というタイトル。「改憲派」のこの人の目からも、アベ流改憲論議は低迷しているのだ。
書き出しがこうなっている。「憲法改正の先行きが不透明になっている。憲法改正の気運も下火になっている」。「先行き不透明」とは困難に逢着しているということ、「気運下火」とは首相と側近以外のみんながやる気を失っているということ。あらためてそのとおりだと思う。
しかし、この人は飽くまで、自民党の党是である憲法改正実現にこだわる立場。「改憲を実現するには、専門知識の裏付けのある改正案をとりまとめ、野党をも含めた広範な国民的合意が必要」と言う。その上で、「ところが、今の安倍内閣は、その両方とも欠いている」と嘆くのだ。改憲に汗を流そうという「専門家」はいない。野党とのパイプとなる人材もいない。改憲なんかできるはずはない。この人がそう言うのだから、本当にそのとおりなのだろう。
「現在の自民党では、憲法問題に長年関わってきた専門家議員は排除され、専門家ではない首相側近ばかりが登用されている。安倍首相は自らの案で改憲を急ぐあまり、このような側近重視の布陣となったと思うが、それはかえって改憲を頓挫させるように思えてならない。」
舛添ブログは、さらに、具体的人名を挙げてこう言う。
「自民党改憲推進本部人事では、中谷元、船田元両議員は窓際に追いやられ、下村博文議員が本部長に、新藤義孝議員が本部長代理になった。そして衆議院憲法審査会の筆頭幹事も、中谷議員から新藤議員に代わった。さらに、改憲案を最終決定する総務会の会長は、やはり安倍側近の加藤勝信議員である。
下村、新藤、加藤議員は、憲法の専門家ではない。「憲法族」でない議員が主導権を握ると、立憲主義を無視したり、天賦人権論を否定したりする非常識な主張が採用されることになる。
私が起草に関わった自民党憲法改正第一次草案と2012年4月27日に公表された第二次草案とを比べれば、憲法学的に見て、また国際的視点からも、さらには人権擁護の歴史から見ても、後者が拙劣極まりないものであることが分かる。」
誰が見ても、そうなのだ。かつて自民党憲法改正第一次草案を執筆した人の目からも、現行自民党改憲草案は「拙劣極まりないもの」なのだ。この点は強く同意せざるを得ない。
じゃあ、どうすればよいのか。舛添ブログは、「国の根幹である憲法についての議論には、専門知識と謙虚に国民的合意を得る努力が不可欠である。」で結ばれている。
言外に言わんとするところを忖度すれば、こうであろうか。
「安倍さんよ。改憲は、下村、新藤、加藤などの素人連中でできることじゃない。今のままでは改憲は遠のくばかり。いや、場合によっては、失敗してあなたと自民党の命取りもなりかねない。
だいたい、あの素人連中に任せておくと、立憲主義を無視したり、天賦人権論を否定したり、非常識なことばかり。
あっ、そういえば、安倍さん。あなたも、ど素人のお仲間でしたっけ」
(2019年2月15日)
本日(2月14日)が沖縄県民投票の告示日。沖縄全県で24日に投開票が行われる。投票結果について、「賛成または反対の多い方の票数が投票資格者の総数の4分の1に達したときは、知事はその結果を尊重しなければならない」(県民投票条例第10条第2項)と定められており、「その結果を知事が内閣総理大臣(安倍晋三)及びアメリカ合衆国大統領(ドナルド・トランプ)に対し通知する」もの(同条第3項)とされている。
本日、玉城知事が以下のコメントを発表している。
投票日の告示について
本日、辺野古米軍基地建設のための埋立ての賛否を問う県民投票条例第4条第2項の規定に基づき、県民投票の投票日を2月24日・日曜日とすることを告示いたしました。
今回の県民投票は、普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てに対し、県民の意思を的確に反映させることを目的に実施いたします。
投票は、投票用紙の「賛成」の欄、「反対」の欄、又は「どちらでもない」の欄のいずれか一つに「○」の記号を記入する方法で行います。
また、期日前投票も、明日2月15日・金曜日から実施されます。
私自身も、明日早速、期日前投票を行うこととしております。
県民投票は、県民の皆様ご自身の意思を直接示すことができる大変重要な機会です。県民の皆様には、ぜひ、投票所に足を運んでいただき、貴重な一票を投じていただくようお願い申し上げます。
平成31年2月14日
沖縄県知事玉城デニー
そして、本日の地元紙沖縄タイムスの社説を引用(抜粋)しておこう。
[県民投票きょう告示]沖縄の将来像を語ろう
「ようやく」という言葉がふさわしいのかもしれない。名護市辺野古の新基地建設を巡る県民投票が、24日の投開票に向け、14日、告示された。
国が進めている埋め立ての賛否を問うもので、「賛成」「反対」「どちらでもない」の三つの選択肢の中から、いずれかに「○」を記入する。
今さら法的拘束力もない県民投票を実施する必要がどこにあるのか?そんな声は今もある。だが、県民投票を実施する最大の理由は、まさにそこにある。
「他に選択肢がない」という言い方は、政策決定によってもっとも影響を受ける者の声を押しつぶし、上から目線で「これに従え」と命じているのに等しい。実際、選挙で示された民意はずっと無視され続けてきた。
県民投票は、戦後74年にわたる基地優先政策が招いたいびつな現実を問い直す試みでもある。
軟弱地盤の改良工事のため、当初の予定を大幅に上回る工期と建設経費がかかることも明らかになってきた。状況が変わったのだ。
米軍普天間飛行場の一日も早い危険性除去をどう実現すべきか。辺野古の自然環境は果たして保全されるのか。
埋め立ての賛否を考える上で避けて通れないのは、この二つの論点である。
県民投票に法的な拘束力はない。どのような結果になっても計画通り工事を進める、というのが政府の考えである。
しかし、「反対」が多数を占めた場合、玉城知事は辺野古反対を推し進める強力な根拠を得ることになる。
県民投票によって、疑う余地のない形で沖縄の民意が示されれば国内世論に変化が生じるのは確実だ。政府が辺野古での工事を強行しているのは、県民投票を意識している現れでもある。
さて、埋立についての法的問題の経過を確認しておきたい。
公有水面埋立法によれば、海面を埋め立てるには知事の許可または承認を要する。沖縄防衛局の大浦湾埋立を仲井真知事(当時)が承認し、翁長前知事が承認を撤回した。これが、昨年(2018年)8月31日。但し、同知事は8月8日に死去して、知事代行の副知事が撤回の意思表示をしている。
その状態で、沖縄県知事選が行われ、9月30日に「オール沖縄」の玉城デニー候補が圧勝した。
知事選後、アベ政権は沖縄に寄り添う姿勢を捨てた。10月17日には沖縄防衛局が国交大臣に対して承認撤回を理由のないものとして、行政不服審査法に基づく審査請求をし、併せて「(撤回の効力についての)執行停止」を申立てた。同月30日、国交相の執行停止決定がなされ、工事が再開されることになる。12月14日、辺野古沿岸部に土砂が投入され埋め立てが始められた。いま、美ら海が土砂で埋められつつある。
そのような時期における県民投票であるが、沖縄タイムス社説が言うとおりの、事情変更が明らかになっている。「軟弱地盤の改良工事のため、当初の予定を大幅に上回る工期と建設経費がかかる」ことが明らかになってきたのだ。
以前から軟弱地盤問題は知られていたが、予想を遙かに上回るものであることが確認されつつある。「辺野古軟弱地盤 最深90メートル」「杭は7.7万本必要」「砂650万立方メートル」「新基地は不可能」と各紙の見出しが躍っている。
この軟弱地盤、最大の水深90メートル(海面から海底まで30メートル、地中60メートル)に達する、という。土木工学の専門家が、これだけの深さの地盤改良工事は前例がなく、技術的にも極めて困難、これを可能とする地盤改良船は日本にはないという。
この軟弱地盤の改良工事は、護岸部分はサンドコンパクションパイル(SCP)工法(強固に締固めた砂杭を地中に造成して地盤を改良する工法だという)で3万8945本、埋め立て部分はサンドドレーン工法で3万7754本、合わせて7万6699本になるのだという。
地盤改良区域の面積は約65ヘクタール(新基地建設埋立て区域160ヘクタールの約4割)。砂杭に使用する砂の量は東京ドーム5・25杯分にあたる約650万立方メートルに達するという。
当然に、沖縄県の地盤改良工事のための設計変更許可が必要になろう。安倍首相は1月31日の衆院本会議で、軟弱地盤の改良工事のため計画変更の承認を沖縄県に申請すると、政府として初めて言及したという。が、県が許可できるはずはない。
こうして、「辺野古新基地建設は法的にも技術的にも不可能であることが鮮明になりました」(しんぶん赤旗)というのが常識的なものの見方。計画は白紙にするほかなかろう。
このような事態での県民投票である。政権の思惑は、早期に既成事実を積み重ねて県民を諦めさせることだった。しかし、そうはなりそうにもない。投票の結果次第では、辺野古新基地建設を断念させることができそうではないか。運動の成果を期待したい。
(2019年2月14日)
隠蔽 改竄 ニセ統計
忖度 追従 無責任
粗製濫造閣僚に
パワハラ セクハラ 嫌がらせ
デマに ヘイトに 不寛容
百鬼夜行の忌まわしさ
トランプ様にはペコペコで
虎の威借りたる我が首相
近隣諸国に居丈高
いつまで続くハッタリぞ
ウソとゴマカシやり放題
嘘つき首相が一強で
政治の私物化お家芸
それでも続くぞ政権は
メディアのプライド投げ捨てて
首相と飯喰う言論人
首相の広報引き受けて
楽に稼げりゃそれでよし
原発輸出は行き詰まり
アベノミクスも行き止まり
急ぐは原発再稼働
環境汚染もなんのその
辺野古の美ら海埋め立てて
作るぞ米軍新基地を
壊すぞ珊瑚の群落を
移植は得意のウソなのさ
東京五輪はもうすぐだ
ばれなきゃいいが、あのウソが
コントロールもブロックも
口から出まかせ 嘘っぱち
どんどん増えるぞ貯水槽
? 森羅万象司る
もしや私は神様か
私になんでも任せなさい
忖度する者は救われる
庶民に負担の消費税
それで財源こしらえて
企業に減税振る舞って
これが安倍流景気策
消費増税その負担
還元しますと胸を張る
ならば増税しなけゃよい
なるほど、言われりゃそのとおり
いよいよ憲法改正だ
なんと言おうとやり遂げる
一人になってもがんばって
目指すは、一人で過半数
私に協力しない者
災害時には救援なしと覚悟せよ
京童の口ずさみ ほんの少しを漏らすなり
天下一統珍しや 今に生れてアベ流の
政治を見聞くぞ不思議なる
(2019年2月13日)
2019年2月12日
平成30年(行コ)第12号 サケ刺網漁不許可取消請求等控訴事件
?意 見 陳 述 要 旨
仙台高等裁判所第1民事部 御中
控訴人ら訴訟代理人弁護士 澤 藤 大 河
本日陳述の準備書面(3) (4) 及び(5)の3通は、いずれも本件の主たる争点であるサケ刺網漁不許可要件としての「漁業調整の必要」の有無に関して、被控訴人への反論を行うものです。この間の、被控訴人との論争を通じて、本件の法的主張の枠組みと主要な争点が明確になってきたものと考えます。
以下に、4点の主要な争点に限って、要約して口頭で意見を陳述いたします。
☆ まず、漁業法の目的規定である第1条「漁業の民主化」をめぐる論点です。
控訴人らは、漁業法第1条を、あるべき漁業秩序の理念の表現と主張してきました。
これに対して、被控訴人は「漁業の民主化」とは手続的原則に過ぎない、と反論しています。しかし、「民主化」の理念が、形式的手続に留まるものであるはずはありません。「漁業の民主化」を形式的手続的理念のみに押し込めてしまえば、「民主化」は目的理念を喪失した無内容なものとなってしまいます。
漁業法の制定は、戦後の経済民主化の一環として、農地改革とならぶものです。農業における「経済民主化」は、小作人に一定の土地を与えることで、独立農業経営主体を作り出すことを主眼としたものでした。「漁業における民主化」とは、漁民に海面の一区画を付与することに代えて、適切な漁業調整を通じて、独立漁業経営主体の形成を可能とすることにあります。ですから、漁業調整とは、単なる手続的概念ではありません。被控訴人は、「民主化とは、構成員が一人一票など対等な立場で漁業調整機構の運営に参加することの手続的保障」だと言いますが、それでは不十分なのです。実体的に零細漁民の生計の維持が可能となるよう調整の目的をもたねばなりません。本件では、漁業法が定める「民主化」という目的に照らして漁業調整が行われたか、そのことが鋭く問われているのです。
☆ 次いで水協法4条の問題です。最初に、この論争の局面を確認しておきます。
本件における漁業調整は、いったい誰と誰との漁業利害を調整しているのでしようか。「控訴人ら漁民と漁協」の調整ではありません。飽くまで、「控訴人ら漁民と定置網漁業者」との間の調整なのです。乙15によれば、岩手沿岸の定置網は82ケ統を数えます。そのうち漁協経営のものが漁協と個人との共同経営を含めて56ケ統、およそ3分の2に過ぎません。残りの26ケ統、3分の1は漁協の関わりのない定置網事業者なのです。
控訴人ら漁民が、漁協との関わりのない定置網事業者、しかもサケの孵化放流事業とも無縁なこれらの定置網事業者との関係で、その事業者の利益を擁護するために、サケ刺し網漁を禁止とされる正当性はおよそ考えられないところです。
そのことを前提とした上で、控訴人ら全員が所属している漁協の定置網事業との競合の関係をどう考えるべきか。それが問題の局面です。控訴人らは、漁協に自営定置を止めろなどとは言っていません。漁協の定置網漁の漁獲に差し支えるから、組合員である原告ら漁民にはサケ刺し網漁は一切禁止という漁業調整のあり方は、本末転倒で違法だと言っているのです。
水協法4条は、「漁協とは組合員のために直接の奉仕をすることを目的とする存在」と定めています。本来、漁民と競合する事業を行うことは想定されていないのです。二平氏の意見書が指摘するとおり、「漁協が組合員構成員の漁業を直接侵害する場合には、自営事業を行うことは、法的な目的に反する」というほかありません。いかなる法人も、法の目的に反した行為はできません。仮に漁協が漁業を営むための法17条の手続要件が具備されたとしても、4条違反を治癒することはできないのです。結局、サケ固定式刺し網漁許可申請を不許可とにする理由として、漁協の定置網漁に支障を生じるという事情を挙げて、「漁業調整の必要有り」として不許可にすることは違法と言わざるを得ません。
なお、被控訴人は、関連して「県内の定置漁業者は公的資金投入を受けた孵化放流事業の担い手でもあり、投下資本回収の必要がある」と言っています。「県内の定置漁業者が公的資金投入を受けた孵化放流事業の担い手」というのは明らかな間違いですが、孵化放流事業者がサケを優先的に漁獲する権利はありません。公的資金と賦課金とで経営されているのであれば、なおさらのことです。
☆ サケ延縄漁業が、刺し網漁の代替性を有するかについては、詳細に述べたところです。被控訴人には、誠実に追加の資料を提出していただくよう求めます。
この論争で浮かびあがってきた論点があります。どうして、行政は漁民に対して、非効率的な漁法は許可して、効率的な漁法は許可しないのか。漁獲上限がない延縄漁は許可して、10トンを上限とするサケ刺し網漁は許可できないのか、という疑問です。控訴人らは、いずれも年間最大漁獲高10トンを上限とする許可を申請していますから、効率がよいから、取り過ぎて資源枯渇をきたすという不許可の理由は成り立ちえません。
何よりも、行政が漁民に対して、あえて非効率な漁法を強制して、効率的な漁法を禁止することは、合理的な理由を欠くものとして、漁民の憲法上の職業選択の自由を侵害するものと言わざるを得ません。
☆ 最後に、漁協による自営定置の利益還元について述べます。
現在、被控訴人は直接的な還元があるとの主張ではなく、定置網事業の利潤が漁協の運営コストに充当されることで、組合員の負担を減らす間接的な還元がなされていると主張しています。しかし、この「間接的還元」論は倒錯した論理と言わざるを得ません。
漁業者の漁業経営を成り立たせることが最優先事項です。漁協は漁民の生活を成り立たせるためにのみ存在するのです。漁業者の収入から、漁協の会計を支えることがあるべき姿です。ところが、サケ漁を漁民から取りあげ、漁協がサケを獲って、漁協のコストを差し引いたものが、間接的に還元されている、という「論理」は、法の予定していないところで、倒錯と言わざるを得ないのです。
更に根本の問題は、漁協から組合員への「還元」の有無や内容ではなく、「還元」の前提となっている、組合員のサケ漁の権利を剥奪して、漁協が独占している構造の正当性の問題です。なぜ、小型漁船漁業者の自らサケを採る権利を奪うことができるのかということなのです。控訴人らの主張は、これを正常に復して、サケ漁の利益を組合員の手に取り戻そうというものです。しかも、全部の収益を組合から取り戻そうというのではなく、年間10トンの漁獲に限ってのささやかな要求であることを、ご理解ください。
☆ なお、本件許可申請を不許可とする事由として、「漁業調整の必要」と並んで、「サケ資源の維持培養の必要」があります。この点については、控訴人としては基本的には原審での井田齊氏の意見書と証言で立証は十分と考えていることを申し添えます。
(2019年2月12日)