自民党の選挙公約は、安倍菅政権への反省にもとづくものになっていない。
(2021年10月29日)
第49回総選挙の投票日が明後日に迫っている。今回の選挙は、何よりも7年8か月に及んだ安倍・菅政権への審判である。これからも漫然とその腐敗と失政の継続を容認するのか、それとも転換するのか。その判断は、主権者国民、つまりは私たち自身の投票にかかっている。
安倍・菅政権の腐敗について多くを語る必要はない。「モリ・カケ・桜・クロカワイ、カジノに卵に息子の会食」と並べるだけで、十分だろう。かくも、国政を私物化した政権はミゾユウであろう。しかも、国政私物化には、行政文書の隠匿・廃棄・改竄がつきまとい、今なおその全容が解明されていない。これ以上の自民党政権の継続は、アベノフハイを闇に葬ることにつながりかねない。
安倍・菅政権の失政の第1がアベノミクス、無能の象徴がアベノマスク、そしてその壊憲政治の最大のものが戦争法制定の強行であろう。政権運営のスタイルは、決定的な説明不足。異なる意見には耳を貸さず、国会では「数の力」で押し通す独善性。これで国民からの信頼を得られるはずはない。
掛け替えられた看板となった岸田自民党は、率直に安倍・菅政権の失敗を認め、そのどこをどう立て直すかを語らなければならない。それなくして、国民からの信頼を取り戻すことなどできようはずもない。が、岸田にはそれができない。アベ・アソウ・アマリの援助での現在の地位なのだから。
そのような岸田自民党の選挙公約。自民党の選挙パンフレットは、内容希薄な美辞麗句の羅列だが、私には、その合間合間に次のように聞こえる。太宰治の「トカトントン」のごとくに。
【前文】
新しい経済のかたちを生み出す「成長」と「分配」を柱とした政策を。少子化問題解消のために、子育てへの不安に応える抜本的な政策を。国民の生命と財産を守り抜くために、毅然と対応する外交を。信頼と共感。それこそが政治を前に進める原動力だ。国民の声をしっかりと受け止め、寄り添い、全力で挑む。新しい時代を皆さんとともに。
⇒とはいうものの、「国民」も「皆さん」も、あなたのことではない。
【新型コロナ対策】
・人流抑制や医療提供体制確保のための方策について、行政がより強い権限を持てるための法改正を行う。
⇒その権限は強けりゃ強いほどよい。常に、強すぎるほどの権限が欲しいんだ。
【新しい資本主義】
・究極のクリーン・エネルギーである核融合開発を国を挙げて推進し、次世代の安定供給電源の柱として実用化を目指す
⇒とはいうものの、これがたいへんな金食い虫。そして完成できれば、自前の核抑止力。
【農林水産業】
・2030年5兆円の輸出額目標の達成に向け、輸出産地・事業者の育成、品目団体の組織化、戦略的サプライチェーンの構築、加工食品輸出に取り組む中小事業者への支援を行う
⇒そりゃ、現行の家族農業・家族漁業を潰そうということじゃないか。
【経済対策】
・マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載、健康保険証としての利用や運転免許証・在留カードとの一体化、社会保障・税・災害の3分野以外への情報連携を拡大し、マイナンバー利活用を推進する
⇒デジタル技術で徹底した管理化社会の実現。これこそ長年の権力の夢の現実化だ。
【復興】
・福島については国が前面に立ち、2020年代をかけて、帰還希望者が全員帰還できるよう取り組む
⇒いつまでも補償の継続は負担だから、打ち切るってだけのこと。
【経済安全保障】
・戦略技術・物資の特定と技術流出の防止に資する「経済安全保障推進法」を策定する
⇒それって、戦争準備の常套手段だよね。
【外交】
・北朝鮮に対しては、首脳会談の実現など、あらゆる手段を尽くし全ての拉致被害者の即時一括帰国を求める。
⇒安倍流の好戦外交では、1ミリも問題が動かなかった。このことの反省は?
【安全保障】
・弾道ミサイルへの対処能力を進化させ、相手領域内で弾道ミサイルなどを阻止する能力の保有を含めて、抑止力を向上させる新たな取り組みを進める
⇒そいつはアブナイ。相手国にも日本領域内で弾道ミサイルなどを阻止する能力保有の口実となる。
【教育】
・道徳教育、高校新教科「公共」、体験活動の充実により、公徳心を持ち、日本の伝統文化を引き継ぎ発展させる人材を育成する
⇒そりゃ見当違い。まるでどこかの権威主義国家みたい。権力が、自分の思惑に合うよう、主権者の人格を型にはめてはいけない。
【憲法改正】
・衆参両院の憲法審査会で憲法論議を深め、憲法改正原案の国会提案・発議を行い、国民投票を実施し、早期の憲法改正を実現することを目指す
⇒おやおや、岸田自民はアベのしたこと、何も反省していないんだ。これじゃダメだ。