「共産党へ投票」 1週間で8.0%から12.2%に。52.5%の増。
つい先頃までネットでの選挙運動は禁止されていた。大いにその不平を鳴らしていたが、4年前の公職選挙法改正で解禁となった。ようやくにして今は「自由」だ。これを活用しない手はない。
要点を確認しておこう。
選挙運動とは、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」などと面倒な定義がなされている。そんな定義にこだわることはない。
要するに、「きたる7月2日の東京都議選文京選挙区では、自民党の悪政に対決し、すべての働く人々に明るい未来を切り開く、日本共産党の福手ゆう子に、ぜひとも清き一票をお願いします」と、特定の選挙について、特定の候補者の名前を出して、投票依頼をしてもよいということだ。
選挙運動は不自由極まりなく、選挙用文書の規制も厳しい。しかし、有権者の誰もが、ホームページ、ブログ、SNS、動画共有サービス、動画中継サイトで、選挙運動ができるのだ。大いに活用すべし、ではないか。もっとも、不特定多数者へのメール発信による選挙運動は誰もが考えるところだが、候補者・政党にのみ許され、一般有権者には解禁されていない。
また、注意すべきは、選挙とは本来が正々堂々の言論戦であるということ。言論には自ずから制約がある。虚偽や侮辱の言論を慎むべきは当然であり、また、匿名に隠れての無責任な言論もあってはならない。
だから匿名のネット選挙運動は、認められていない。「ネット選挙運動には、メールアドレスを表示することが義務づけられている」(公職選挙法第142条の3第3項)。メールアドレスの代わりに返信用フォームのURL、ツイッターのユーザー名などでもよい。その違反に罰則はないが、プロバイダー責任制限法での削除対象にはなり得る。
また、選挙運動は、選挙の期間中になすべきこととなっている。ネット選挙運動も、告示日(6月23日)から、投票日の前日(7月1日)までのこと。選挙当日には選挙運動としての新たな書き込みはできないが、それまでにアップした記事を削除する必要はない。なお、18歳未満の者は選挙運動ができないルールだから、当然にネットでの運動もできない。
さて、都議選である。ネットによる言論戦が望まれる。今は、投票結果に結びつく発信をすべきときだ。
メディアは、もっぱら「小池与党」対「自民」の対立構図を描いているが、そうとらえてはならない。この選挙は、なによりもアベ一強政治弾劾選挙だ。アベ強権政治ノーの一票の積み上げの舞台だ。共謀罪反対の意思表示であり、共謀罪採決強行に見られた議会制民主主義の危機への有権者の警鐘の選挙だ。政治を私物化し、行政をねじ曲げ、政治過程の透明性を奪い、真摯な説明責任を放擲したアベ自民党政治への怒りを表明する機会だ。投票による世直しのチャンスなのだ。
メディアはこれをミスリードして、「小池知事派過半数か 自民第1党か」(朝日)、「知事勢力の過半数焦点」(東京)、「小池勢力VS自民 新構図の決戦」(産経)などと言っている。こういう構図が喧伝されれば、「小池」と「自民」だけがクローズアップされ、その他の政治勢力の存在が霞んでしまうことになる。
ところが、選挙状勢はそうなっていないようなのだ。
JX通信社なるネット配信社が、東京都内世論調査を昨日(6月26日)発表している。
6月24?25日実施のもの。788人から回答を得たという。
見出しを「都議選中盤情勢 都民ファーストが第1党の勢い維持」とし、
アブストラクトを
「都民ファーストに投票32% 自民は19%」
「『築地は守る、豊洲を活かす』に賛成58%」
としている。要するに、ありきたりのメデイアの構図である。
注目すべきは、都民の投票意向先調査で、1週間前の前回数値との比較である。
「都民ファースト」 32.2%(前週比-2.4ポイント)
「自民党」 19.5%(前週比+0.8ポイント)
3位以下の投票意向先では、
共産党が12.2%(プラス4.2ポイント)
民進党が 6.0%(プラス1.3ポイント)
公明党が 5.1%(プラス0.5ポイント)
都ファは、支持を減らしている。-2.4ポイントは、決して小さな数値ではない。注目は共産党。先週の8.0%からの12.2%の獲得は52.5%の増である。この上昇幅のもつ意味は大きい。
前回都議選の自民党得票率は36%。この数値と比較しての今回19.5%は明らかに自民党への都民の批判が大きいことを物語っている。しかし、その批判票の受け皿が小池新党であってはならない。よく知られているとおり、小池は改憲論者の右翼。「日本会議国会議員懇談会」の副会長経歴を持つ。「新しい歴史教科書をつくる会」の支持を受けている歴史修正主義者でもある。また、公明党は、国政ではアベ政治を支え、都政では小池と組もうという無原則。
「自民批判票を、小池新党にやってはならない。ぜひとも共産党に」という呼びかけの手応えが、1週間での「プラス4.2ポイント=52%増」ではないか。共産党の地道な自民批判と、都ファ・公明に対抗しての選挙運動が実を結びつつあるように見える。
(2017年6月27日)